【解決手段】(1)使用済みシリコン部材1の表面上に、シリコンと共晶を形成する金属の箔2を載置し、該箔2の上に別のシリコン部材3を載置する工程、(2)載置された前記別のシリコン部材3の上側から加熱して、シリコンを含む前記金属の融解物を生成する工程、(3)前記シリコンを含む金属の融解物を固化させて、前記使用済みシリコン部材1と前記別のシリコン部材3とを接合させる工程、
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体集積デバイス製造におけるエッチング装置として、プラズマを用いたドライエッチング装置が用いられている。この装置では、エッチング対象のウエハが平面電極のカソード上に配置され、装置内にエッチングガスが導入された状態で、高周波発振器により対向電極(アノード)とカソードの間に高周波電圧が印加されると、電極間にエッチングガスのプラズマが発生する。プラズマ中の活性ガスであるプラスイオンがウエハ表面に入射しエッチングが行われる。
【0003】
ドライエッチング装置内部では、金属製部品を用いると金属汚染が起こるので、シリコン製部品が用いられる。代表的なシリコン製部品としては、エッチング対象のウエハを囲むドーナツ状の形状をしたフォーカスリング、下部電極を囲むグランドリング、上部電極板、及びエッチングチャンバー上部及び下部の保護部材などがある。これらのうちフォーカスリング等はエッチング対象のウエハより大きな直径を有することが必要であり、現在主流の300mmウエハ用のものは320mm以上の直径を持ったシリコン結晶インゴットから作成されるため、高価である。これらのシリコン製部品は、使用されるにつれ少しずつ表面がエッチングされて薄くなる。厚みが一定以上薄くなると、屑シリコンとして廃棄されてしまい、再利用する方法が求められていた。
【0004】
フォーカスリング等を再生する方法として、シリコン廃材を洗浄し、不純物の含有量を測定して追加すべきシリコン原料と不純物を決定した後、これらをるつぼ内で溶融して、多結晶シリコンインゴッドを調製し、新たなフォーカスリング等を製造する方法が提案されている(特許文献1)。また、2枚の使用済みフォーカスリングの一方に機械加工により凸状の段を、他方に凹状の段部を設け、該2枚を重ね合わせて組み合わせ型フォーカスリングとして再生する方法が提案されている(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の方法はシリコン廃材全体を溶融するので多大なエネルギーと時間を要し、コストもかかる。特許文献2記載の方法は2枚の使用済みフォーカスリングの双方を機械加工するので手間がかかる上、2枚の廃材から1枚分しか再生できない。
【0007】
そこで本発明は、再生シリコン部材をより少ないエネルギーで、より迅速且つ簡易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1](1)使用済みシリコン部材の表面上に、シリコンと共晶を形成する金属の箔を載置し、該箔の上に別のシリコン部材を載置する工程、
(2)載置された前記別のシリコン部材の上側から加熱して、シリコンを含む前記金属の融解物を生成する工程、
(3)前記シリコンを含む金属の融解物を固化させて、前記使用済みシリコン部材と前記別のシリコン部材とを接合させる工程、
を含む再生シリコン部材の製造方法。
[2]前記金属が、Al、Ga、Ge、及びSnのいずれかである[1]記載の方法。
[3]前記箔の厚みが0.1〜100μmである[1]又は[2]記載の方法。
[4]前記工程(2)において、加熱が光加熱によって行われる[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記光加熱が、キセノンランプ又はハロゲンランプにより行われる[4]記載の方法。
[6]前記工程(2)が、集光した光で前記別のシリコン部材の表面上を走査しながら実施される、[4]又は[5]記載の方法。
[7]前記使用済みシリコン部材が、ドライエッチング装置のフォーカスリング、グランドリング、又は電極板である[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再生シリコン部材の製造方法は、シリコン廃材全体を溶融する方法に比べて少ないエネルギーで、再生シリコン部材を迅速に製造することができる。また、金属の箔をシリコン部材間に載置して加熱するだけでよいので、機械加工するのに比べて簡易である。これにより従来屑シリコンとして廃棄されていたシリコン部材を再利用することが可能となり、消耗品コストの低減にも繋がる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の再生シリコン部材の製造方法は、下記工程を含む。
(1)使用済みシリコン部材の表面上に、シリコンと共晶を形成する金属の箔を載置し、該箔の上に別のシリコン部材を載置する工程、
(2)載置された前記別のシリコン部材の上側から加熱して、シリコンを含む前記金属の融解物を生成する工程、
(3)前記シリコンを含む金属の融解物を固化させて、前記使用済みシリコン部材と前記別のシリコン部材とを接合させる工程。
【0012】
工程(1)において、使用済みシリコン部材(以下「使用済み部材」という場合がある)は、単結晶でも多結晶でもよく、その製造方法、純度、結晶方位、形状等任意であってよい。ドライエッチング装置における使用済み部材としては、例えばフォーカスリング、グランドリング、及び電極板が挙げられる。
【0013】
ドライエッチング装置での使用済み部材は、エッチングによりその表面が荒れ、金属などの汚染物質が付着している場合がある。そのため、再生に先立ち、研削加工などで、別のシリコン部材(以下「別部材」という場合がある)との接合面に隙間が生じないように加工することが好ましい。加工後の面の表面は研削面であれば問題ないが、アルミナなどの1000番程度の砥粒により研磨することも可能である。バフ研磨などにより接合面を鏡面としてもよいが、研削面、又は研磨面で十分接合が可能である。研削、あるいは研磨後に生じた汚染については弗酸と硝酸の混合液などにより表面をエッチングして除去することが可能である。該混合液としてはJIS規格H0609に規定の化学研磨液(弗酸(49%):硝酸(70%):酢酸(100%)=3:5:3)などを用いることができる。
【0014】
シリコンと共晶を生成する金属としては、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、及びAuが挙げられる。これらのうち、シリコン結晶中での拡散係数が低く、使用済み部材内での拡散が少ないこと、電気的に問題になるディープレベルを作りにくいこと、及び環境への問題がないことから、Al、Ga、Ge、及びSnが好ましく、さらに低価格である点でAlが最も好ましい。該金属の純度は、共晶を形成することが可能であれば特に限定されず、好ましくは98%以上である。共晶は使用済み部材と別部材との接合部の少なくとも一部に含まれればよく、接合部全体が共晶から成る必要は無い。
【0015】
本発明では、該金属の箔(以下「金属箔」という場合がある)を用いる。金属の粉体又は粒子を用いても使用済み部材と別部材を接合させることは可能であると考えられるが、使用済み部材の表面上に均一な濃度で簡易に載置できる点で箔が好ましい。InやGaのような低融点金属の場合、該金属の融解物を使用済み部材及び/又は別部材の接合面に直接塗布して膜にしたものを、箔に代えてもよい。従って、本明細書において「金属箔」は金属膜を包含する。該金属箔の厚みは、融解させるためのエネルギーが少なくて済む点では薄い方が良いが、接合強度を得るために0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜20μmであることがより好ましい。上記下限値より薄いと接合面に金属箔を載せる際に破損し易く、また膜の場合には金属量が不十分な箇所が存在し得る。一方、上記上限値より厚いと、シリコンとの接合が十分ではない部分が生じやすい。
【0016】
使用済み部材と別部材を接合した後に、使用済み部材及び/又は別部材の端部のシリコンを溶融し、外側から金属−シリコン共晶物を含む接合部が見えない様にすることが好ましい。通常、端部のシリコンを溶融させた場合、溶融シリコンが使用済み部材と別部材の間の溝に数mm程度侵入するので、溶融シリコンと接合部とが接触しないよう、金属箔の大きさは端部から数mm離れる様な大きさであることが好ましい。
【0017】
別部材は、単結晶および多結晶のいずれであってもよい。また、その厚みは再生目標とするシリコンの厚みに依存して調整されるが、好ましくは1mm〜50mmである。シリコンとアルミニウムなどとの共晶温度はシリコンの融点に比べ十分に低いため、比較的厚い材料でも上から加熱して十分接合させることができるが、前記上限値を超えると金属箔が十分に加熱されずに融解し難くなり共晶形成にやや時間がかかる。一方、厚みが前記下限値未満であると、加熱時の雰囲気を調整するためのアルゴンガスの流れによって別部材が移動してしまう恐れがある。
【0018】
別部材を載置する場所は、使用済み部材において再生したい箇所の表面上であり、特定の一箇所であっても、全面に亘ってもよい。例えば、
図2は後述する実施例4においてL字型断面を有するリング形状の部材を再生したときの別部材の載置形態を示す。
図2Aは、L字型断面を有するリング形状の使用済み部材1の全面上に複数の別部材3a、cを載置したものの正面図であり、
図2Bはその部分斜視図である。図示しない金属箔2が、使用済み部材1と別部材3a〜cの間に載置されている。
【0019】
好ましくは、別部材を複数個載置する際には、各別部材の間にできるだけ隙間ができないように載置する。そして、再生部材の仕上げ工程として、上記、再生部材の端面での融解と同様に、各別部材の端部表面とその下側の使用済み部材の表面を加熱して融解させ、別部材間の隙間を塞ぐことが好ましい。
【0020】
工程(2)において、加熱の方法は特に限定されず、抵抗加熱、光加熱等により行うことができる。好ましくは、加熱部位を容易に移動でき且つ供給する電力に応じて加熱量を変化させることが容易である点で、光加熱が用いられ、例えば各種ランプ、レーザーが使用される。該ランプとしては、赤外線結晶成長装置に一般的に用いられるキセノンランプやハロゲンランプを用いることができる。出力としては1〜30kW程度のものが好ましい。
【0021】
加熱は、別部材の上側から行う。上側であればよく、別部材に対して垂直方向上側には限られず、斜め上側からであってもよい。例えば、
図2Bに示す形態のように金属箔2がL字型断面の壁面に沿って垂直方向に載置される場合であっても、垂直方向から約30度程度傾いた斜め上からの加熱で問題なかった。本発明を限定する趣旨ではないが、本発明の方法では加熱により先ず金属箔が融解し該金属の融解物が生成する。次いで、該融解物に接している使用済み部材および別部材の表面がこの金属融解物に侵され、シリコンを含む金属融解物が生成される。加熱を止めて温度を下げると該融解物が共晶を含む合金相を形成しながら凝固し、接合が完成するものと考えられる。例えば、アルミニウム箔を用いた場合、800℃程度までの加熱で十分に使用済み部材と別部材を接合することができた。使用済み部材および別部材の表面において、金属融解物で侵される浸食量は金属箔の厚みとほぼ同程度となると考えられる。
【0022】
上記キセノンランプ等を用いる場合には、例えば楕円ミラー等の集光手段を用いて集光することが好ましい。その際、複数個もしくは複数種類の加熱手段を、重ねて集光することによって加熱パワーを上げてもよい。集光領域は、通常直径10〜30mm程度であるが、該ランプの発光位置を楕円ミラーの焦点からずらすことにより、集光領域を30〜100mm程度に広げ、加熱範囲をひろげることも可能である。さらに該集光領域を金属箔及び別部材の表面全体に亘って走査させて加熱を行うことが好ましい。
【0023】
加熱時間は、加熱手段の出力、別部材の厚み等に依存して異なるが、後述する実施例1で使用した11μmのアルミニウム箔と約121x60x5mmの別部材の組み合わせの場合、約1〜5分程度であった。
【0024】
工程(3)において、シリコンを含む金属融解物を冷却することによって固化させて、金属−シリコン共晶物を含む接合部を生成させて、使用済み部材と別部材とを接合する。例えば金属がAlの場合、約577℃まで冷却すると、Al−シリコン共晶物(12.2原子%Al)を含む接合部が生成する。冷却速度は、使用する金属に応じて異なるが、Alを使用する場合には100〜10℃/分となるように制御することが好ましい。該速度が前記下限値未満では冷却時間が長くなり、再生効率が悪い。また前記上限値より大きいと接合部中に歪が残る傾向がある。該冷却速度は、金属箔の融解が完了した後、加熱手段の出力を徐々に低下して、接合部の温度が共晶物の融解温度より低くなったと推測されたときに加熱を停止することによって制御することができる。このような加熱温度の制御は、例えば実際に貼り合わせるものと同様な形状のシリコン部材の間に熱電対を設置し、あらかじめ加熱手段のパワーと温度の関係を測定しておき、該測定結果に基づき行うことができる。
【0025】
工程(2)及び(3)は、金属及びシリコンの酸化を防ぐために10〜200torr(約1333〜26664Pa)のアルゴン雰囲気にしたチャンバー内で行うことが好ましい。アルゴンガスを使用せずに、減圧することによって酸化を防ぐこともできるが、減圧にするとシリコンの蒸発が起き、チャンバー内が汚れる場合があるので好ましくない。また窒素ガスによっても酸化を防ぐことはできるが、1200℃以上でシリコンの窒化が起こるため、望ましくない。
【0026】
図1は、本発明の方法を実施するための装置の一例の概略断面図である。同図において、使用済み部材1の上にシリコンと共晶を形成する金属箔2が、該金属箔2の上に、別部材3が載置される。別部材3の上側から、集光手段5により集光されたキセノンランプ等の加熱手段4により加熱して、使用済み部材1と別部材3を接合する。
【0027】
図3は本発明の方法を実施するための装置の他の例の概略断面図である。同図において、
図1と同じ構成要素には同じ符合が付されており、それらに関する説明は省略する。該装置では、複数の別部材3の表面上を光が走査するように、チャンバー6内で使用済み部材1を回転させながら加熱が行われる。図示しないガスボンベ等が接続されているアルゴンガス導入口8からアルゴンガスが矢印で示す方向で供給され、排気ポンプ10により排出される。
【0028】
チャンバー6には石英窓7が設けられており、加熱手段4からの光が石英窓7を通って別部材3に照射され、使用済み部材1等を、モーター11により回転される回転台9により一定速度で回転し、それによって加熱手段4の集光領域が、別部材3の表面上を走査するようにする。走査速度は、使用する金属及び加熱手段4の出力に応じて異なるが、集光領域中に金属及び/又はシリコンを含む金属の融解物が常に存在するような速度に調整することが好ましい。走査が速すぎて、該融解物が全く存在していない部分まで集光領域を移動させてしまうと、金属の融解が不十分となる。一方、遅すぎると再生効率が悪くなる。例えば、後述する実施例1等では、外径390mm、内径330mm、厚み5mmのリング形状の使用済み部材1を、10度/分の角速度で回転させた。
【0029】
上記回転台9はX、Y−ステージ12の上に配置される。該X、Y−ステージ12によって、使用済み部材1等を回転させながらX、Y−方向にも動かして、集光領域が同方向を走査するようにしてもよい。
【0030】
上述のように使用済み部材1を局所的に加熱する場合、加熱領域とそれに隣接する部分の間で温度差によって使用済み部材1中にひずみが生じ、金属との接合不良を招く場合がある。
図3に示す装置では、この温度差を緩和するため、使用済み部材1全体を下側から補助加熱手段13によって、金属の融点より低い温度、例えばAlの場合400〜550℃に加熱することができる。補助加熱は金属を融解するための加熱開始に先立って開始し、使用済み部材1が所定の温度になった後に、金属を融解するための加熱を開始する。そして、工程(3)において、同融解のための加熱を停止した後、即ち加熱手段4を消灯した後に補助加熱手段13を消灯する。補助加熱手段13としては、カンタル(鉄クロムアルミ合金)などの電熱線やSiCなどのセラミックを用いた一般的な抵抗加熱ヒーターを用いることができる。なお、
図3では集光領域に対応する箇所に補助加熱手段13が備えられているが、ここには限定されず、他の箇所であってもよい。
【0031】
加熱領域が移動するに伴い、加熱領域を過ぎた部分の融解物は徐々に温度が低下し、固化し始める。使用済み部材1上の最後の金属箔2を融解し終わったら、加熱温度を下げる。この際の接合部の冷却速度については上で述べたとおりであり、加熱手段4の出力を低下しながら使用済み部材1の回転を継続し、加熱手段4を消灯した後に補助加熱手段13を消灯する。
【0032】
上記の方法で得られた再生部材は、そのままでも使用に供することができるが、好ましくは研磨する。研磨の方法は、特に限定されずラッピング、バフ研磨等、慣用の方法で行ってよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
図3に示すような装置を用いて、ドライエッチング装置内で使用済みの外径390mm、内径330mm、厚み5mmのリング形状の使用済み部材1の表面上に、アルミニウム箔2(厚み17μm)を介して外弦長123mm、内弦長104mm、厚み約5mmのシリコン板10枚(別部材3)を接合して、厚み約10mmのリング形状の部材へと再生した。
【0034】
前処理として、2000番のSiC研磨紙により使用済み部材1の接合面を研磨し、既に平面が出ている別部材3を載せた際に使用済み部材1と別部材3との間に面積1cm
2かつ高さ50μm以上の隙間が生じないようにした。なお、別部材3はアルミナの2000番の砥粒により表面研磨をした。いずれの材料も研磨後、純水で研磨屑を洗い流し、エタノール(電子工業用グレード)を含ませたクリーンルームワイパー(東レ製)で表面を洗浄した後、乾燥した。使用済み部材1を回転台9の上に設置したのち、使用済み部材1の上表面上に厚み17μmのアルミニウム箔2(三菱アルミニウム製)を敷き詰めた。アルミニウム箔2の上に10枚の別部材3をほぼ隙間無く設置し、チャンバー6内を真空引きして、アルゴンガスを5L/分で流すことにより、チャンバー6内を約100torr(13332Pa)のアルゴンガス雰囲気とした。
【0035】
チャンバー6内に設置したカンタルヒーター13(坂口電熱株式会社製)により使用済み部材1の一部を使用済み部材1の下部から、加熱手段4照射前での使用済み部材1の下部表面の最高温度が400℃になるように熱した。次いで、加熱手段4として5kWのキセノンランプ(ウシオ電機社製、以下「ランプ」という)を、集光手段5として楕円ミラーを用いて、別部材3の上側から加熱した。ランプの発光部の位置をミラーの焦点位置からずらすことにより、照射位置での光の広がりを調整し、直径約50mmの範囲を照射できるように調整した。ランプのパワーは使用済み部材1と別部材3の接合部となる部分の温度がランプの照射部で800℃になるように設定した。このパワーは予め熱電対を挟んだダミーの部材を用いた測定から決定した。ランプのパワーを3分間維持したのち、該パワーを維持しながら回転台9を10度/分で回転させ始め、一周回転後、該パワーを落として10分で400℃まで降温し、ランプ、カンタルヒーターの順でパワーをオフにした。
得られた再生部材の断面を切り出し、顕微鏡観察を行ったところアルミニウムの金属光沢は見られず、ほぼ全てのアルミニウムがシリコンと反応し共晶を含む合金相を形成して使用済み部材1と別部材3が接合されていることが確認された。
【実施例2】
【0036】
アルミニウム箔の厚みを15μmに変更したことを除き、実施例1と同様の方法によりリング形状の再生シリコン部材を再生した。
得られた再生部材の断面を切り出し、顕微鏡観察を行ったところアルミニウムの金属光沢は見られず、ほぼ全てのアルミニウムがシリコンと反応し共晶を含む合金相を形成して使用済み部材1と別部材3が接合されていることが確認された。
【実施例3】
【0037】
実施例1で調製した再生シリコン部材の別部材3間等に残った溝を、シリコンを溶融することにより塞いだ。
ミラーの焦点位置とランプの発光部の位置を合致させるようランプ位置を調整し、再生シリコン部材の上表面の高さをミラーのもう一つの焦点位置になるように調整することにより、照射位置での集光部の広がりを約3mmとした。この状態で、集光部を溝位置に合わせランプのパワーを上げたところ、ランプ定格の60%で表面が解け始め(表面温度が1420℃と推定される)、ランプ定格の90%で溝に溶融したシリコンが流れ込んで溝の一部を塞いだ。この状態で、集光部を溝に沿って5mm/分の速度で溝の端から端まで走査することにより、溝を溶融シリコンで埋め、溝を塞ぐことができた。その後溶融したシリコンが固まり始めるランプ定格の55%まで2分でランプのパワーを下げ、その状態で5分保持したのち、回転台9を回転させて隣の溝を同様に溶融し、最終的にすべての溝を塞いだ。
得られた再生部材が冷めた後、溝部を顕微鏡で観察したところ割れは発生しておらず、溝が完全にふさがっていることを確認した。
【実施例4】
【0038】
図2に示す断面L字形状の使用済み部材1(内径400mm、外径450mm、外径部での厚み10mm、内径部での厚み20mm、厚み20mmの部分の幅10mm)に2mm厚みの3種類の形状の別部材3a〜cを
図2Bに示すように使用済み部材1に合わせて載置し、実施例1と同様の条件で張り合わせた。ただし、垂直に立っている別部材3bの加熱についてはランプを垂直方向から30度傾けることによって、斜めから加熱光が照射できるようにした。またランプのパワーについては、あらかじめ熱電対を埋め込んだダミーの部材を使って温度を測定することにより、別部材3a〜cそれぞれに対応するランプの照射位置で温度が800℃になるようなパワーを定め、そのパワーでそれぞれの別部材を照射して、断面L字形状の部材を再生した。
【実施例5】
【0039】
アルミニウムに代えてインジウムを用いることを除き、実施例1と同様にシリコン部材の再生を行った。使用済み部材1の一部を、天板サイズが170x170mmのホットプレートの上に乗せ、使用済み部材1の該一部分が110℃以上になるまで加熱して、インジウム粒を乗せるとただちにインジウムは溶融した。溶融したインジウムをシリコン片で作成したヘラにより広げることにより、使用済み部材1の該一部分にインジウムを塗布することができた。その後、使用済み部材1の位置をずらしながら同様にインジウムを塗布することにより、使用済み部材1の接合面全体にインジウムを塗布した。使用済み部材1を室温まで冷却後、別部材3をインジウムが塗布された接合面に乗せ、実施例1と同様にランプとカンタルヒーターで加熱した。ただし、接合部の温度が500℃になるようにランプのパワーを調整し、500℃まで5分間で昇温し、昇温後ただちに10度/分の回転を開始し、一周回転後、直ちにランプとカンタルヒーターを消灯した。
得られた再生部材を切断し断面を観察すると、インジウムとシリコンの共晶を含む合金相が形成され、使用済み部材1と別部材3が接合されていることが確認された。