【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を詳述するが、この実施例の記載により本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0037】
(毛髪変形用第1剤)
チオグリコール酸、硫酸ナトリウム及び適量の水を混合し、25%アンモニア水を加えて所定のpH値に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、実施例1aの毛髪変形用第1剤を製造した。また、実施例1aの毛髪変形用第1剤と同様の製造方法で、実施例1aの組成から硫酸ナトリウムの代わりにそれぞれ、塩化カリウムを配合したもの(実施例1b)、塩化ナトリウムを配合したもの(参考例A)、水を配合したもの(比較例1a)、リン酸一水素二ナトリウム・12水和物と塩化アンモニウムを配合したもの(比較例1b)、リン酸一水素二ナトリウム・12水和物と10%HClを配合したもの(比較例1c)、塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムを配合したもの(比較例1d)を製造した。
この場合の各毛髪変形用第1剤の製造において、各成分の配合量は下記表1に記載の通りとした。なお、下記表1における配合量の数値は質量%である。
【0038】
(評価)
製造した各毛髪変形用第1剤をパーマネントウェーブに用いて、毛髪変形効果及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0039】
<毛髪変形効果の評価>
毛髪変形効果の評価は、次に示す評価方法及び評価基準に従って、パーマネントウェーブ処理した毛束のセット率の算出とウェーブのかかりを評価した。
【0040】
[評価方法]
同一人物の日本人黒髪毛髪を50本集めて、長さ23cmにそろえた評価用毛束を準備した。つづいて、評価用毛束に対してブリーチ処理を行った。ブリーチ処理は、処理剤A1(アンモニア 2質量%、炭酸水素アンモニウム 2%、及び水酸化カリウム 0.5質量%の水溶液)1質量部と処理剤A2(過酸化水素6質量%水溶液)2質量部の混合液を、毛束に塗布し、室温で30分放置させて行った。ブリーチ処理後の評価用毛束に対して水洗を行い、さらにミルボン社製のディーセス ノイ ドゥーエ ウィローリュクスシャンプーにより洗髪を2度行った後、タオルドライを行った。そして、直径12mmのパーマネントウェーブロッドに評価用毛束を巻き付けた。その後、実施例または比較例の各毛髪変形用第1剤を評価用毛束に1mL塗布して、38℃の恒温槽で15分放置した。つづいて、中間水洗を行い、酸化剤が配合された毛髪変形用第2剤を評価用毛束に1mL塗布し室温で10分放置した。放置後、水洗を行い、パーマネントウェーブロッドを外した評価用毛束を水に浸漬し、以下の評価基準に基づいてセット率を算出した。セット率の算出後、濡れた毛束を固定して風乾を行った。風乾後の毛束を以下の評価基準に基づいて、ウェーブのかかりを評価した。
なお、実施例及び比較例の各毛髪変形用第1剤について、評価を2回行った。
【0041】
[セット率の評価基準]
前記セット率は、水に浸漬して水中でほぼ同心円の形状となった評価用毛束を用いて、毛束の根元を起点として毛先を終点としたときの回転数を測定した。得られた回転数から次の式により各毛束のセット率を算出し、各実施例及び各比較例の毛束のセット率の平均値を求めた。
セット率(%)=回転数×ロッド径(cm)×π/毛束全長(cm)×100
なお、セット率の数値が大きいと、毛髪変形効果が大きい傾向にあることを示す。当該セット率は、Wortmannの報告(Wortmann F. -J., Kure N., J.Soc. Cosmet. Chem., 41, 123(1990))による曲げセットにおけるセット率(精製水に浮かべた際の毛束直径÷ロッド径×100)の算出に準拠したものであるが、ここでは、形式的に上記報告の算出式を僅かに変更して用いている。
【0042】
[ウェーブのかかりの評価基準]
ウェーブのかかりは、風乾後の毛束におけるウェーブのかかりの強さ(毛束の平均的なウェーブの大きさ及び毛束の上端から下端までの鉛直方向の直線距離の平均)を、下記評価基準に従って目視により評価した。
◎:基準に比べて、ウェーブのかかりが強い。
○:基準に比べて、ウェーブのかかりがやや強い。
−:基準と比べて、ウェーブのかかりがほぼ同等。
△:基準に比べて、ウェーブのかかりがやや弱い。
×:基準に比べて、ウェーブのかかりが弱い。
【0043】
<ドライ後の指通りの評価>
ドライ後の指通りの評価は、次に示す評価方法及び評価基準に従って行った。
【0044】
[評価方法]
評価用毛束が異なる以外は、上記の毛髪変形効果の評価と同様の方法でパーマネントウェーブ処理を行い、処理後の乾燥させた評価用毛束に対して、ドライ後の指通りの評価を行った。なお、この場合の評価用毛束は、ヘアカラー処理履歴のある同一人物の日本人毛髪を重量2gとなるように集めたものを用いた。
【0045】
[評価基準]
ドライ後の評価用毛束に対して、中間部分から毛先部分にかけての指通りを基準と比較し、パネラー5名で官能評価による評点付けを行った。
◎:基準に比べて、ドライ後の指通りが良いと5名中5名が回答。
○:基準に比べて、ドライ後の指通りが良いと5名中4名が回答。
−:基準に比べてドライ後の指通りが良いと5名中3名以下が回答、
又は、基準に比べてドライ後の指通りが悪いと5名中3名以下が回答。
△:基準に比べて、ドライ後の指通りが悪いと5名中4名が回答。
×:基準に比べて、ドライ後の指通りが悪いと5名中5名が回答。
【0046】
実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dの評価結果を下記表1に示し、表1においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を
図1に示す。なお、表1は比較例1aを基準として、ウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
表1及び
図1において、硫酸ナトリウムまたは塩化カリウムを配合した実施例1a、1bは、強酸と強塩基との正塩を配合していない比較例1a及びリン酸一水素二ナトリウム・12水和物または塩化アンモニウムを配合した比較例1b〜1dに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
【0049】
上記実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dとは別に、同実施例等と同様にして、チオグリコール酸の代わりにグリセリルモノチオグリコレートを配合した下記表2の実施例2a及び比較例2aの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
実施例2a及び比較例2aの評価結果を下記表2に示し、表2においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を
図2に示す。なお、表2においては、比較例2aを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0050】
【表2】
【0051】
表2及び
図2において、塩化ナトリウムを配合した実施例2aは、塩化ナトリウムを配合しない比較例2aに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
【0052】
上記実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dとは別に、同実施例等と同様にして、チオグリコール酸の代わりにグリセリルモノチオグリコレートを配合した下記表3の実施例3a及び比較例3aの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
実施例3a及び比較例3aの評価結果を下記表3に示し、表3においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を
図3に示す。なお、表3においては、比較例3aを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0053】
【表3】
【0054】
表3及び
図3において、硫酸ナトリウムを配合した実施例3aは、硫酸ナトリウムを配合しない比較例3aに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
【0055】
上記実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dとは別に、同実施例等と同様にして、チオグリコール酸の代わりにシステアミン塩酸塩を配合した下記表4の実施例4a及び比較例4aの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
実施例4a及び比較例4aの評価結果を下記表4に示し、表4においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を
図4に示す。なお、表4においては、比較例4aを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0056】
【表4】
【0057】
表4及び
図4において、硫酸ナトリウムを配合した実施例4aは、硫酸ナトリウムを配合しない比較例4aに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
【0058】
ブチロラクトンチオールとPOE(10)セチルエーテル及び適量の水を混合し、リン酸を所定の量で加えてpHを4.5に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、実施例5aの毛髪変形用第1剤を製造した。また、実施例5aの毛髪変形用第1剤と同様の製造方法で、実施例5aの組成から硫酸ナトリウムの代わりに水を配合した比較例5aを製造した。
【0059】
実施例5a及び比較例5aの評価結果を下記表5に示し、表5においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を
図5に示す。なお、表5においては、比較例5aを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0060】
【表5】
【0061】
表5及び
図5において、硫酸ナトリウムを配合した実施例5aは、硫酸ナトリウムを配合しない比較例5aに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
【0062】
上記実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dとは別に、同実施例等と同様にして、下記表6の参考例B〜Gの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例B〜Gの評価結果を下記表6に示す。なお、表6においては、参考例Gを基準としてドライ後の指通りの評価を行った。
【0063】
【表6】
【0064】
表6において、塩化ナトリウムを配合し、pHを7.0以下である参考例B〜Eは、pHが7.0よりも大きいpHが9の参考例F、Gに比べてドライ後の指通りに優れることがわかる。なお、pHが9において、塩化ナトリウムを配合した参考例Fと塩化ナトリウムを配合しない参考例Gを比べると、ドライ後の指通りに大きな差は認められない。
【0065】
上記実施例1a、1b、参考例A及び比較例1a〜1dとは別に、同実施例等と同様にして、下記表7の参考例H〜Kの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例H〜Kの評価結果を下記表7に示す。なお、表7においては、参考例Kを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
【0066】
【表7】
【0067】
表7の結果から、塩化ナトリウムを配合した参考例H〜Jは、塩化ナトリウムを配合しない参考例Kに比べて、ウェーブのかかりに優れる。