【解決手段】25℃の水を30分間吸収させる前後の重量変化量から計算される水膨潤率が30〜1000%である水膨潤性高分子(A)及び前記水膨潤率が30%未満である糖類(B)を含有する崩壊剤用組成物。前記崩壊剤用組成物は、水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有する崩壊剤用組成物であることが好ましい。
25℃の水を30分間吸収させる前後の重量変化量から計算される水膨潤率が30〜1000%である水膨潤性高分子(A)及び前記水膨潤率が30%未満である糖類(B)を含有する崩壊剤用組成物。
糖類(B)がD−マンニトール、結晶セルロース、α化デンプン、部分α化デンプン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の崩壊剤用組成物。
崩壊剤用組成物の重量に基づいて、水膨潤性高分子(A)の含有量が1〜99重量%であり、糖類(B)の含有量が1〜99重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の崩壊剤用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の崩壊剤用組成物は、水膨潤率が30〜1000%である水膨潤性高分子(A)及び水膨潤率が30%未満である糖類(B)を含有する。
なお、本発明の崩壊剤用組成物は、口腔内崩壊錠及び農薬粒剤等の水を吸収することによって崩壊して有効成分を放出する薬剤(錠剤等)の崩壊性を高める改質剤(崩壊剤ともいう)として用いられる組成物である。口腔内崩壊錠は、口腔内の水分によって崩壊錠の結着剤である低分子糖類(D−マンニトールなど)が溶解し、結着能力が低下することによって口腔内での崩壊が起こるが、本発明の崩壊剤用組成物を構成する一成分である糖類(B)は親水性の高い化合物であるため、崩壊剤用組成物の内部への吸水速度を高める導水剤として機能し、糖類(B)の作用により内部に取り込んだ水によって本発明の崩壊剤用組成物を構成するもう一つの成分である水膨潤性高分子(A)が素早く膨潤し、膨潤時の体積膨張で生じる圧力によって口腔内崩壊錠が崩壊することによって優れた崩壊性を発現すると考えられる。
【0010】
本発明の崩壊剤用組成物に用いる水膨潤性高分子(A)は、下記数式(1)で定義される水膨潤率が30〜1000%(好ましくは80〜900%)である高分子化合物である。水膨潤率が30%未満であると、水を吸った時の体積増加が少なすぎるため崩壊性が不十分となり、1000%を超えると膨潤に必要な水が多くなり過ぎ好ましくない。
【0011】
水膨潤率(%)=[W1−W0]/W0×100 (1)
【0012】
但し、W1は25℃の水を30分間吸収させた後の水膨潤性高分子の重量(g)であり、W0は水吸収前の乾燥した水膨潤性高分子(A)の重量(g)である。
【0013】
また、下記数式(2)で定義された5秒後の水膨潤率を初期水膨潤率とした場合に、初期水膨潤率/水膨潤率で計算される水の吸収速度の指標は、0.8〜1.0であることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.0である。なお、この初期水膨潤率は短い時間での水の吸収し易さの指標であり、崩壊剤の崩壊速度に影響する。
【0014】
初期水膨潤率(%)=[W2−W0]/W0×100 (2)
【0015】
但し、W2は25℃の水を5秒間吸収させた後の水膨潤性高分子の重量(g)であり、W0は水吸収前の乾燥した水膨潤性高分子(A)の重量(g)である。
【0016】
水膨潤性高分子(A)の水膨潤率、初期水膨潤率は以下の方法によって測定し、それぞれ上記の数式(1)及び数式(2)に従って計算する。
<水膨潤率測定法>
(1)不織布園芸ポット「ネオポット3.5号(底径Φ10.5cm×高さ8.5cm)、合資会社桃木商店製」に試験試料約0.2g(W0:小数点第2位まで測定)を入れる。
(2)水槽(深さ25cm×縦25cm×横25cm)に25℃のイオン交換水を水深4cmとなるように入れ、該水槽中に内容物がこぼれないよう該ポットを入れ、30分間浸漬させた後、取り出す。
(3)取り出した試料を金網(目開き1〜10mm)上に置いて30秒間水を切った後、重量w1を測定する。1種類の試料につき同様の測定を3回行い、平均値を求める。
(4)試験試料を入れない不織布園芸ポットのみでも操作(1)から(3)の操作を同様に行い、操作(1)後の不織布園芸ポットの重量をp0とし、操作(3)後の不織布園芸ポットの重量をp1とする。
(5)求められたw1から不織布園芸ポットの重量増加分(p1−p0)を引いたものをW1とする。
(6)初期水膨潤率の場合は、浸漬時間を5秒間とし、同様にして重量W2を測定する。
【0017】
本発明の崩壊剤用組成物に用いる水膨潤性高分子(A)としては、水膨潤率が30〜1000%である高分子化合物であれば限定されないが、膨潤速度の観点から、好ましい物としてはアクリル酸デンプン及びカルボシキメチルエチルセルロース等が挙げられる。
アクリル酸デンプン及びカルボシキメチルエチルセルロースの内、膨潤度の観点から好ましいのは、アクリル酸デンプンである。
アクリル酸デンプンとは、デンプン・アクリル酸グラフト重合体とも言い、アクリル酸デンプンが有するカルボキシル基は、一部又は全部がアルカリ金属との塩を形成していてもよい。
【0018】
アクリル酸デンプン及びカルボシキメチルエチルセルロースとしては、サンウェットIM−1000[アクリル酸デンプン、三洋化成工業(株)製]、サンウェットIM−300[アクリル酸デンプン、三洋化成工業(株)製]、及びCMEC[カルボシキメチルエチルセルロース、フロイント産業(株)製]等として市販されたものを用いても良い。
【0019】
上記のアクリル酸デンプン及びカルボシキメチルエチルセルロースの他、加工デンプン(酸化デンプン、ジアルデヒドデンプン、アルキルエーテル化デンプン、アリールエーテル化デンプン、オキシアルキル化デンプン、アミノエチルエーテル化デンプン等)、天然セルロース(木材、葉、茎、ジン皮、種子毛等から得られるセルロース)及び加工セルロース(アルキルエーテル化セルロース、有機酸エステル化セルロース及び酸化セルロース等)等のうち、水膨潤率が30〜1000%のものを水膨潤性高分子(A)として使用できる。
なお、水膨潤性高分子(A)は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
本発明の崩壊剤用組成物に含まれる前記(A)の含有量は、吸水速度の観点から、崩壊剤用組成物の合計重量に基づいて1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜90重量%であり、特に好ましくは15〜85重量%である。
【0021】
本発明の崩壊剤用組成物に用いる糖類(B)は、水膨潤率が30%未満である化合物である。水膨潤率が30%以上となると、糖類が吸水した水が水膨潤性高分子(A)に供給されにくくなり、崩壊剤用組成物の吸水効率が悪化するため、崩壊性が不十分となる。
【0022】
糖類(B)のうち吸水速度の観点から好ましいものは、D−マンニトール、結晶セルロース、α化デンプン、部分α化デンプン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0023】
上記の糖類の他、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、トレハロース、パラチニット、パラチノース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、グァーガム、軽質無水ケイ酸含有ヒドロキシプロピルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸フタル酸セルロース、デキストリン、デンプン(溶性)、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ及びプルラン等のうち、水膨潤率が30%未満の糖類を糖類(B)としては使用できる。
なお、糖類(B)は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
糖類(B)は分散性等の観点から、粒状であることが好ましく、その重量平均粒子径は、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは2〜50μm、特に好ましくは3〜20μmである。この範囲であると、崩壊剤用組成物中の糖類(B)の分散性が更に良好となる。崩壊剤用組成物中での糖類(B)の分散性が良好であると、崩壊剤用組成物中に偏り無く水が取り込まれるため、崩壊剤用組成物の崩壊速度が良好となる。
【0025】
なお、糖類(B)の重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。
すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0026】
本発明の崩壊剤用組成物に含まれる前記(B)の含有量は、吸水速度の観点から、崩壊剤用組成物の合計重量に基づいて1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜90重量%であり、特に好ましくは15〜85重量%である。
【0027】
本発明の崩壊剤用組成物は、水膨潤性高分子(A)、糖類(B)の他に、他の崩壊剤、基剤、賦形剤、滑沢剤、結合剤、増粘剤、安定剤、保存剤、コーティング剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、着香剤及び着色剤等適切な添加剤を含有する事もできる。
【0028】
本発明の崩壊剤用組成物の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、固形製剤の成形性の観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0029】
本発明の崩壊剤用組成物は、水膨潤性高分子(A)と糖類(B)とを含んでなる組成物であれば特に限定されないが、吸水速度等の観点から、水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有することが好ましい。水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有することは、崩壊剤用組成物をラマンイメージング装置[CPRIS−II、(株)エス・ティ・ジャパン製]等により確認することができる。
水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有するとは、水膨潤性高分子(A)を粉砕して得られる粒子の内部に糖類(B)が均一に微分散している状態、粒子を構成する水膨潤性高分子(A)が糖類(B)を溶解した水溶液で膨潤され、これを乾燥させることにより(A)中に(B)が析出した状態又は1つの粒子において、これらの状態が混在している状態であることを意味する。
【0030】
本発明の崩壊剤用組成物は、水膨潤性高分子(A)、糖類(B)及び必要により用いる添加剤を公知の方法で混合し、乾燥することで得ることができる。
【0031】
なかでも、水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有する崩壊剤用組成物は、後述する本発明の崩壊剤用組成物の製造方法で製造することができる。
なお、水膨潤性高分子(A)、糖類(B)及び必要により用いる添加剤の混合は、これらの原料を練り込むように均一混合することが好ましい。混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。
【0032】
本発明の崩壊剤用組成物の製造方法は、水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)との混合物を乾燥させる工程を含む。
【0033】
水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)との混合物は、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の公知の混合装置を用いて水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)とを混練することで得ることができるが、水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)との混合は、水膨潤性高分子(A)を水で予め膨潤させた含水ゲルに糖類(B)を混練することで行うことが好ましい。
混練によって得られた糖類(B)を含有する水膨潤性高分子(A)の含水ゲルは、必要に応じて細断してから乾燥を行うことができる。
上記の混練によって、水膨潤性高分子(A)と水とが混練されることにより、水膨潤性高分子(A)が膨潤する。この膨潤した水膨潤性高分子(A)と糖類(B)とが混練されることにより、水に溶解した糖類(B)が膨潤した水膨潤性高分子(A)の内部に浸透し、含有される。
【0034】
水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)との混合物を乾燥させる工程は、水と水膨潤性高分子(A)と糖類(B)との混合物から水を除去する工程である。
水を除去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で除去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等の公知の方法が適用できる。
上記の乾燥させる工程により、糖類(B)を内部に含有し、膨潤した水膨潤性高分子(A)から水が除去される。
【0035】
本発明の製造方法は、水を除去した後に、更に粉砕する工程を含むことが好ましく、粉砕する方法については、特に限定はなく、一般的な粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕により得られる吸水性樹脂粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整をおこなってもよい。
前記の乾燥させる工程の後に、粉砕する工程を行うことで、水膨潤性高分子(A)を含む粒子の内部に糖類(B)を含有する崩壊剤用組成物が得られる。
【0036】
必要によりふるい分けした場合の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、更に好ましくは200〜700、特に好ましくは250〜600、とりわけ好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0037】
<重量平均粒子径の測定法>
重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μmの順に重ね合わせ、最下部に受け皿を装着する。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0038】
本発明の崩壊剤用組成物は水をすばやく吸収することで優れた崩壊性を発揮することができるので、医薬用固形製剤、食品用固形組成物、農薬用固形組成物、肥料用固形組成物に用いることができる。
本発明の崩壊剤用組成物を用いた医薬用固形製剤、食品用固形組成物、農薬用固形組成物及び肥料用固形組成物は、用途に応じて用いられる公知の有効成分と公知の結合剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム及びメタリン酸ナトリウム等)と前記の崩壊剤用組成物と必要により用いるその他の添加剤[酸化防止剤(エチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム及びアスコルビン酸等)、pH調整剤(クエン酸等)及び増粘剤(キサンタンガム等)等]を含有する。
【0039】
本発明の崩壊剤用組成物を用いた医薬用固形製剤、食品用固形組成物、農薬用固形組成物及び肥料用固形組成物は、用途に応じて用いられる公知の有効成分と公知の結合剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム及びメタリン酸ナトリウム等)と前記の崩壊剤用組成物と必要により用いるその他の添加剤[酸化防止剤(エチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム及びアスコルビン酸等)、pH調整剤(クエン酸等)及び増粘剤(キサンタンガム等)等]を前記の公知の混合装置を用いて混合し、得られた混合物を乾燥し、その後圧縮成型する方法等の公知の方法で製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0041】
<実施例1〜16>
表1に記載の水膨潤性高分子(A)とイオン交換水100部をビーカーに入れて、混合攪拌し含水ゲルを得た。
次にこの含水ゲル100部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で裁断しながら、表1に記載の糖類(B)を添加して混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機(150℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕し崩壊剤用組成物(X−1)〜(X−16)を得た。(X−1)〜(X−16)の重量平均粒子径については以下に記載の方法で測定した値を表1に示す。
【0042】
<重量平均粒子径の測定法>
重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定した。
すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μmの順に重ね合わせ、最下部に受け皿を装着した。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせた。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とした。
【0043】
【表1】
【0044】
<実施例17〜30:単純混合の場合>
実施例1〜14において、イオン交換水100部を使用せず、それぞれの(A)と(B)をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉体混合し、本発明の崩壊剤用組成物(X−17)〜(X−30)を得た。
【0045】
表1に記載の(A)及び(B)としては以下のものを使用した。
アクリル酸デンプン:三洋化成工業(株)製「アクリル酸デンプン300」
カルボキシメチルエチルセルロース:フロイント産業(株)製「CMEC」
D−マンニトール:東和化成工業(株)製「マンニットP」
結晶セルロース:旭化成(株)製「セオラスPH−101」
α化デンプン:旭化成(株)製「SWELSTARPD−1」
部分α化デンプン:旭化成(株)製「PCS PC−10」
トウモロコシデンプン:日本食品化工(株)「コーンスターチW」
ヒドロキシプロピルセルロース:日本曹達(株)製「NISSO HPC」
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:信越化学工業(株)製「L−HPC LH−21」
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:信越化学工業(株)製「TC−5E」
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート:信越化学工業(株)製「Shin−Etsu AQOAT AS−LF」
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート:信越化学工業(株)製「HPMCP50」
【0046】
<比較例1;(B)不使用>
D−マンニトールをステアリン酸マグネシウム(日油(株)製「日局ステアリン酸マグネシウム−S」)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較用の崩壊剤用組成物(X’−1)を得た。重量平均粒子径は400μmであった。
【0047】
<比較例2;(A)不使用>
アクリル酸デンプンをクロスポピドン(BASF(株)製「Kollidon CL−F」、水膨潤率26%)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較用の崩壊剤用組成物(X’−2)とした。重量平均粒子径は80μmであった。
【0048】
実施例1〜30で作成した本発明の崩壊剤用組成物(X−1)〜(X−30)、及び比較例1〜2で作成した比較用の崩壊剤用組成物(X’−1)〜(X’−2)について、前述の水膨潤率の測定法により、初期水膨潤率、水膨潤率を測定し、その結果を表2に示す。
なお、初期水膨潤率/水膨潤率の値を吸収速度の指標とした。
【0049】
【表2】
【0050】
本発明の実施例1〜30の崩壊剤用組成物は、初期水膨潤率が高い上、水膨潤率と初期水膨潤率の値の差が小さく、非常に高い吸収速度を示した。
一方、比較例1〜2は、初期水膨潤率が低く、かつ初期水膨潤率と水膨潤率の差が大きく吸水速度が低い。