前記カチオン重合性基含有化合物におけるカチオン重合性基が、アルコキシシリル基、及びエポキシ基の少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(光硬化性樹脂組成物)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性基含有化合物と、カチオン重合性基含有化合物と、光ラジカル開始剤と、光酸発生剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記光ラジカル開始剤は、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤、及びベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤の少なくともいずれかである。
前記光硬化性樹脂組成物において、前記ラジカル重合性基含有化合物の含有量は、前記カチオン重合性基含有化合物の含有量よりも多い。
【0014】
本発明者らは、光が直接届かない領域の硬化性を良好にし、硬化物のブリードアウトを防止できる光硬化性樹脂組成物を提供すべく、鋭意検討を行った。その結果、ラジカル硬化系にカチオン硬化系を併用した光硬化系において、光ラジカル開始剤として、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤、及びベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤の少なくともいずれかを用い、カチオン硬化系の硬化剤として光酸発生剤を用いることにより、光が直接届かない領域の硬化性を良好にし、硬化物のブリードアウトを防止できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】
ここで、本発明者が考える、本発明の効果が得られる推定メカニズムを以下のスキーム1を用いて説明する。以下の例は、光ラジカル開始剤として、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤を用い、光酸発生剤としてオニウム塩を用いた例である。
【化1】
【0016】
光硬化性樹脂組成物に光が照射されると、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤が優先的に光を吸収し、カルボニル基と水酸基の炭素-炭素結合が開裂を起こし(α開裂)、ラジカルを生じる。生じたラジカル(A)の一部は、光酸発生剤に電子を移動し、ラジカル(A)は、カチオン(B)となる。カチオン(B)は、より安定構造である非イオン性の構造(C)に転位する。その際、プロトン(H
+)が生じる。
プロトンの発生には、光照射からタイムラグが有る。また、プロトンはラジカルに比べて安定であり、プロトンは系内を拡散可能である。そのため、光硬化性樹脂組成物は光照射後においても硬化が継続し、かつ光が直接届かない領域における硬化を可能にする。なお、光照射後の硬化は、カチオン硬化が支配的であると考えられる。
なお、ベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤は、カルボニル基に隣接するα炭素が水酸基を有しないが、カルボニル基に隣接した結合がα開裂する点で共通している。そのため、ベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤を用いた場合には、α開裂する点は同じであるが、光酸発生剤へ電子が移動した後は、上記スキーム1とは異なるメカニズムによりプロトンを生成するものと考えられる。
【0017】
<ラジカル重合性基含有化合物>
前記ラジカル重合性基含有化合物(ラジカル重合成分)としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
【0018】
前記ラジカル重合性基含有化合物が有するラジカル重合性基は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0019】
前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0020】
1つのラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。
【0021】
2つのラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
3つ以上のラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートなどが挙げられる。
【0023】
前記ラジカル重合性基含有化合物は、所謂オリゴマーであってもよい。
前記オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。更に、以下のアクリル重合体にラジカル重合性基を付与させたものであってもよい。
アクリル重合体:ブチルアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、及びアクリル酸の共重合体や、シクロヘキシルアクリレート、メタクリル酸の共重合体
【0024】
前記ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、主鎖にポリウレタン骨格を有するポリウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーである。具体例として、日本合成化学工業株式会社製のUV−2000B、UV−2750B、UV−3000B、UV−3010B、UV−3200B、UV−3300B、UV−3700B、UV−6640B、UV−8630B、UV−7000B、UV−7610B、UV−1700B、UV−7630B,UV−6300B、UV−6640B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7630B、UV−7640B、UV−7650B、UT−5449、UT−5454などが挙げられる。
【0025】
前記ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、主鎖にポリイソプレン骨格を有するポリイソプレン系(メタ)アクリレートオリゴマーである。具体例として、ポリイソプレン重合体の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物〔UC102(ポリスチレン換算分子量17000)、(株)クラレ;UC203(ポリスチレン換算分子量35000)、(株)クラレ〕などが挙げられる。
【0026】
前記ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、主鎖にポリブタジエン骨格又は水素化ポリブタジエン骨格を有するポリブタジエン系(メタ)アクリレートオリゴマーである。具体例として、ポリブタジエン重合体と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物〔EMA−3000(分子量3700)、日本曹達(株)〕などが挙げられる。
【0027】
前記ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとは、主鎖にポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテル骨格を有するポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーである。具体例として、末端アクリル変性ポリエーテル〔UN−6202(分子量6500)、根上工業(株);EBECRYL230(分子量5000)、ダイセル・オルネクス(株)〕などが挙げられる。
【0028】
前記オリゴマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜80,000がより好ましく、5,000〜50,000が特に好ましい。前記重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定される。
【0029】
前記光硬化性樹脂組成物における前記ラジカル重合性基含有化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、40質量%〜60質量%が特に好ましい。なお、前記光硬化性樹脂組成物が揮発分(例えば、有機溶剤)を含有する場合、本明細書における含有量は、前記光硬化性樹脂組成物の不揮発分に対する含有量である。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。即ち、20質量%〜80質量%は、20質量%以上80質量%以下を意味する。
【0030】
前記ラジカル重合性基含有化合物は、前記オリゴマーと、前記オリゴマーよりも低分子量のモノマーとを併用していてもよい。前記モノマーの分子量としては、例えば、1,000未満が好ましく、500以下がより好ましい。
【0031】
前記ラジカル重合性基含有化合物が、前記オリゴマーと、前記モノマーとを含有する場合、前記光硬化性樹脂組成物における前記オリゴマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。
前記ラジカル重合性基含有化合物が、前記オリゴマーと、前記モノマーとを含有する場合、前記光硬化性樹脂組成物における前記モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましい。
【0032】
<カチオン重合性基含有化合物>
前記カチオン重合性基含有化合物(カチオン重合成分)としては、ブレンステッド酸由来又はルイス酸の作用により生成したプロトン又は炭素カチオンと反応する官能基(カチオン重合性基)を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
前記カチオン重合性基としては、例えば、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタニル基などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシシリル基、及びエポキシ基が好ましい。
【0034】
前記アルコキシシリル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される基が好ましい。
【化2】
ただし、一般式(1)中、R
1は、炭素数1〜3のアルキル基、及び炭素数1〜3のアルコキシ基のいずれかを表す。R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0035】
前記アルコキシシリル基としては、カチオン重合性に優れる点で、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましい。
【0036】
前記エポキシ基は、脂環式エポキシ基であってもよいし、非脂環式エポキシ基であってもよい。前記エポキシ基としては、例えば、下記一般式(2)、下記一般式(3)で表される基などが挙げられる。
【化3】
ただし、一般式(2)中、R
4は、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。
【0037】
前記カチオン重合性基含有化合物は、前記光硬化性樹脂組成物中の原材料の相溶性を良好にし、かつ前記光硬化性樹脂組成物の硬化物の相分離を防止できる点で、更にラジカル重合性基を有することが好ましい。
なお、本発明において、ラジカル重合性基を有する前記カチオン重合性基含有化合物は、前記ラジカル重合性基含有化合物に属するのではなく、前記カチオン重合性基含有化合物に属するものとする。
【0038】
前記ラジカル重合性基を有する前記カチオン重合性基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(2)で表される化合物などが挙げられる。
【化4】
ただし、一般式(4)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Xは、カチオン重合性基を表し、Yは、2価の連結基を表す。
【0039】
前記Xとしては、例えば、前記一般式(1)で表される基、前記一般式(2)で表される基、前記一般式(3)で表される基などが挙げられる。
【0040】
前記Yとしては、例えば、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基などが挙げられる。前記アルキレン基としては、例えば、C
1〜6アルキレン基などが挙げられる。前記アルキレンオキシアルキレン基としては、例えば、C
1〜6アルキレンオキシC
1〜6アルキレン基などが挙げられる。ここで、C
1〜6は、炭素数が1〜6を表す。
【0041】
前記光硬化性樹脂組成物における前記カチオン重合性含有化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、2質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0042】
<光ラジカル開始剤>
前記光ラジカル開始剤は、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤、及びベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤の少なくともいずれかである。
【0043】
前記α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン]などが挙げられる。
【0044】
前記α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製)、イルガキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、BASF社製)、イルガキュア2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、BASF社製)、イルガキュア127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン、BASF社製)、Esacureone(オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン]、Lamberti社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記ベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。
前記ベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、BASF社製)などが挙げられる。
【0046】
前記光硬化性樹脂組成物における前記光ラジカル開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%〜2.0質量%がより好ましく、0.2質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
【0047】
<光酸発生剤>
前記光酸発生剤としては、光を吸収して酸を発生する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、オニウム塩が好ましい。
【0048】
前記オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安定性の点から、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩が好ましい。
【0049】
前記ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレートなどが挙げられる。
【0050】
前記ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフロオロホスフェートなどが挙げられる。
【0051】
前記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムのリン酸塩などが挙げられる。
【0052】
前記光酸発生剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、CPI−100P、101A、200K、210S(トリアリールスルホニウム塩、サンアプロ株式会社製)、カヤラッド(登録商標)PCI−220、PCI−620(日本化薬株式会社製)、UVI−6990、UVI−6992(ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−170(株式会社ADEKA製)、CI−5102(日本曹達株式会社製)、CIT−1370、1682、(日本曹達株式会社製)、CIP−1866S、2048S、2064S、(日本曹達株式会社製)、DPI−101、102、103、105(みどり化学株式会社製)、MPI−103、105(みどり化学株式会社製)、BBI−101、102、103、105、109、201(みどり化学株式会社製)、TPS−101、102、103、105(みどり化学株式会社製)、MDS−103、105(みどり化学株式会社製)、DTS−102、103、2000(みどり化学株式会社製)、PI−2074(ローディアジャパン株式会社製)、WPI−113、116(和光純薬工業株式会社製)、イルガキュア250(BASF社製)などが挙げられる。
【0053】
前記光硬化性樹脂組成物における前記光酸発生剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%以上が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましく、0.01質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
【0054】
前記光ラジカル開始剤と、前記光酸発生剤との質量比率(光ラジカル開始剤/光酸発生剤)は、0.5〜30であり、1.0〜20が好ましい。前記質量比率が、0.5未満であると、ブリードを生じ、30を超えても、ブリードを生じる。
【0055】
前記光ラジカル開始剤の含有量と、前記光酸発生剤の含有量との和(光ラジカル開始剤+光酸発生剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記光ラジカル開始剤及び前記光酸発生剤の含有量が多すぎると、硬化物の変色が生じる恐れがあることから、4.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
【0056】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を阻害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その他の光ラジカル開始剤、可塑剤、粘着付与剤、増感剤などが挙げられる。
【0057】
<<その他の光ラジカル開始剤>>
前記その他の光ラジカル開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0058】
前記アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名ルシリンTPO、ルシリンはビーエーエスエフ社の登録商標)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名イルガキュア819)などが挙げられる。
【0059】
前記オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(商品名イルガキュアOXE−01)などが挙げられる。
【0060】
前記光硬化性樹脂組成物における前記その他の光ラジカル開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%〜2.0質量%がより好ましく、0.2質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
【0061】
<<可塑剤>>
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可塑剤成分としては、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基を分子内に持たず、紫外線の照射を受けてラジカル重合及びカチオン重合しない公知の可塑剤を使用することができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤、アゼライン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、グリコール酸系可塑剤、リシノール酸系可塑剤、マレイン酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、イタコン酸エステル系可塑剤、及びシクロヘキサンジカルボキシレート系可塑剤などが挙げられる。
前記可塑剤は、硬化後の硬化物に柔軟性を与え、また硬化収縮率を低減させるものである。
【0062】
前記光硬化性樹脂組成物における前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましい。
【0063】
<<粘着付与剤>>
前記粘着付与剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テルペン系樹脂(例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂など)、ロジン樹脂(例えば、天然ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジンなど)、石油樹脂(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等)などが挙げられる。
また、前記粘着付与剤は、光ラジカル重合性(メタ)アクリレートを予めポリマー化した材料であってもよい。そのようなポリマー化した材料としては、ブチルアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、及びアクリル酸の共重合体や、シクロヘキシルアクリレート、及びメタクリル酸の共重合体などが挙げられる。
前記粘着付与剤は、硬化物にタック性を付与し、接着強度を高める。
【0064】
前記光硬化性樹脂組成物における前記粘着付与剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましい。
【0065】
<<増感剤>>
前記増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記光ラジカル開始剤を増感させる増感剤であってもよいし、前記光酸発生剤を増感させる増感剤であってもよい。
【0066】
前記増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン系増感剤、アントラセン系増感剤、チオキサントン系増感剤、カルバゾール系増感剤などが挙げられる。
【0067】
(画像表示装置)
本発明の画像表示装置は、本発明の前記光硬化性樹脂組成物の硬化物を少なくとも有し、好ましくは画像表示部材と、光透過性カバー部材とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0068】
前記画像表示部材と、前記光透過性カバー部材とは、前記光硬化性樹脂組成物の前記硬化物を介して接着されている。
【0069】
<画像表示部材>
前記画像表示部材としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、有機ELディスプレイ(OLED)パネル、電界発光ディスプレイ(ELD)パネル、電界放出ディスプレイ(FED)パネル、プラズマディスプレイ(PDP)パネルなどが挙げられる。
【0070】
<光透過性カバー部材>
前記光透過性カバー部材としては、前記画像表示部材に形成された画像が視認可能となるような光透過性があればよく、その材質としては、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
前記光透過性カバー部材の形状としては、例えば、板状などが挙げられる。
前記光透過性カバー部材には、片面又は両面ハードコート処理、反射防止処理などを施すことができる。
前記光透過性カバー部材の平均厚み、弾性等の物性は、使用目的に応じて適宜決定することができる。
【0071】
前記光透過性カバー部材は、周縁部に遮光層を有する。前記遮光層は、例えば、表示画像の輝度、コントラスト、意匠性等の向上のために設けられる。その場合、前記光透過性カバー部材において、前記遮光層を有する面は、前記画像表示部材を向いている。
前記遮光層は、例えば、前記光透過性カバー部材上に黒色インクを所定の領域に塗布し、乾燥させることにより作製することができる。
【0072】
前記画像表示装置としては、例えば、テレビ、ノートパソコン、タブレットパソコン、カーナビゲーション、電卓、携帯電話、スマートフォン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistant)などが挙げられる。
【0073】
(画像表示装置の製造方法)
本発明の画像表示装置の製造方法は、塗布工程と、仮硬化工程と、貼合工程と、本硬化工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0074】
<塗布工程>
前記塗布工程としては、周縁部に遮光層を有する光透過性カバー部材の前記遮光層を有する側の面に、本発明の前記光硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布層を得る塗布工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記塗布工程に供される前記光硬化性樹脂組成物は、例えば、液状である。
【0075】
前記光透過性カバー部材としては、例えば、本発明の前記画像表示装置の説明において例示した前記光透過性カバー部材などが挙げられる。
【0076】
前記塗布工程において、前記光硬化性樹脂組成物は、前記遮光層上にも塗布されることが好ましい。この場合、前記遮光層の表面の全面に塗布されてもよいし、一部に塗布されてもよい。
【0077】
前記塗布工程においては、前記遮光層と前記光透過性カバー部材の遮光層形成側表面とで形成される段差がキャンセルされるように、前記光硬化性樹脂組成物を塗布することが好ましい。
【0078】
前記塗布層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記遮光層の平均厚みよりも厚いことが好ましい。
前記塗布層の平均厚みは、前記遮光層と前記光透過性カバー部材の遮光層形成側表面とで形成される段差がキャンセルされるようにするために、前記遮光層の平均厚みの2.5倍〜40倍が好ましく、2.5倍〜10倍がより好ましく、2.5倍〜4.0倍が特に好ましい。
【0079】
前記塗布工程における塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記光硬化性樹脂組成物の塗布は、必要な厚みが得られるように複数回行ってもよい。
【0080】
<仮硬化工程>
前記仮硬化工程としては、前記塗布層に、前記光透過性カバー部材側と反対側から光を照射し、前記塗布層を仮硬化させ、仮硬化層を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0081】
前記仮硬化工程により、例えば、光硬化性樹脂組成物を液状から流動しない状態にする。そうすることにより、取り扱い性が向上する。また、本硬化工程により得られる本硬化層の厚みの均一性が向上する。
【0082】
前記仮硬化層としては、流動しない程度に硬化していればよく、硬化率(ゲル分率)としては、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0083】
前記仮硬化工程において前記塗布層に照射する光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線が好ましく、近紫外線がより好ましい。
照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ、LEDランプなどが挙げられる。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0084】
前記仮硬化工程において前記塗布層に照射される光の照射量は、例えば、前記本硬化工程において前記仮硬化層に照射される光の照射量よりも少ない。
【0085】
<貼合工程>
前記貼合工程としては、前記仮硬化層と、画像表示部材とを貼り合わせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の圧着装置を用いて、10℃〜80℃で加圧することにより行うことができる。
【0086】
前記画像表示部材としては、例えば、本発明の前記画像表示部材の説明において例示した前記光透過性カバー部材などが挙げられる。
【0087】
<本硬化工程>
前記本硬化工程としては、前記光透過性カバー部材側から前記仮硬化層に光を照射し、前記仮硬化層を本硬化させ、本硬化層を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0088】
前記本硬化工程において前記仮硬化層に照射する光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線が好ましく、近紫外線がより好ましい。
照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ、LEDランプなどが挙げられる。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0089】
前記仮硬化工程において使用する光源と、前記本硬化工程において使用する光源とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0090】
得られる前記本硬化層の光透過性としては、前記画像表示部材に形成された画像が視認可能となるような光透過性であればよい。
【0091】
ここで、本発明の画像表示装置の製造方法の一例を、図を用いて説明する。
図1A〜
図1Eは、本発明の画像表示装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
まず、片面の周縁部に形成された遮光層1Aを有する光透過性カバー部材1を用意する(
図1A)。
次に、光透過性カバー部材1の表面に、液状の光硬化性樹脂組成物を、遮光層1Aと光透過性カバー部材1の遮光層形成側表面とで形成される段差がキャンセルされるように、遮光層1Aの厚さより厚く塗布し、塗布層2Aを形成する(
図1B)。
次に、形成された塗布層2Aに対し光源100を用いて紫外線を照射して仮硬化させることにより仮硬化層2Bを形成する(
図1C)。
次に、画像表示部材3に、光透過性カバー部材1を仮硬化層2B側から貼り合わせる(
図1D)。
次に、画像表示部材3と光透過性カバー部材1との間に挟持されている仮硬化層2Bに対し光源200を用いて紫外線を照射して本硬化させ、本硬化層2Cを形成する。
これにより、画像表示部材3と光透過性カバー部材1とを光透過性の本硬化層2Cを介して積層して画像表示装置を得る。
【実施例】
【0092】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0093】
(実施例1〜27、及び比較例1〜10)
下記表1−1〜表1−7に示す組成、及び含有量の光硬化性樹脂組成物を調製した。具体的には、ラジカル重合性基含有化合物、カチオン重合性基含有化合物、光ラジカル開始剤、光酸発生剤、増感剤、及び可塑剤を混合した後、固形分が溶解するまで撹拌した。
なお、表1−1〜表1−7中の含有量の単位は、質量部である。
【0094】
【表1-1】
【0095】
【表1-2】
【0096】
【表1-3】
【0097】
【表1-4】
【0098】
【表1-5】
【0099】
【表1-6】
【0100】
【表1-7】
【0101】
表1−1〜表1−7中の各種材料は以下のとおりである。
<<ラジカル重合性基含有化合物>>
・UV−3700B:日本合成化学株式会社
ウレタンアクリレート
・LA(ライトアクリレート):共栄社化学株式会社
ラウリルアアクリレート
・4HBA:日本化成株式会社
4−ヒドロキシブチルアクリレート
【0102】
<<カチオン重合性基含有化合物>>
・KBM−5103:信越化学工業株式会社
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【化5】
【0103】
・KBM−502:信越化学工業株式会社
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
【化6】
【0104】
・KBM−503:信越化学工業株式会社
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【化7】
【0105】
・KBE−502:信越化学工業株式会社
3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン
【化8】
【0106】
・KBE−503:信越化学工業株式会社
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
【化9】
【0107】
・4HBAGE:日本化成株式会社
4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル
【化10】
【0108】
・M−100:ダイセル社
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート
【化11】
【0109】
<<光ラジカル開始剤>>
・Irgacure 184:BASF社
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【化12】
【0110】
・Irgacure 1173:BASF社
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
【化13】
【0111】
・Irgacure 651:BASF社
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
【化14】
【0112】
・Irgacure 2959:BASF社
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン
【化15】
【0113】
・Irgacure 127:BASF社
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン
【化16】
【0114】
・esacureone:Lamberti社
オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン
【化17】
【0115】
・Speed Cure TPO:Lamberti社
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド
【化18】
【0116】
・OXE−01:BASF社
1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]
【化19】
【0117】
・DETX−S:日本化薬株式会社
2,4−ジエチルチオキサントン
【化20】
【0118】
・ベンゾフェノン:東京化成工業株式会社
【化21】
【0119】
<<光酸発生剤>>
・PI−2074:ローディアジャパン株式会社
【化22】
【0120】
・BBI−105:みどり化学株式会社
【化23】
【0121】
・BBI−109:みどり化学株式会社
【化24】
【0122】
・BBI−201:みどり化学株式会社
【化25】
【0123】
・DTS−2000:みどり化学株式会社
【化26】
【0124】
<<増感剤>>
・ベンゾフェノン
・esacureTZT:Lamberti社
4−メチルベンゾフェノンと2,4,6−トリメチルベンゾフェノンとの混合物
【0125】
<<可塑剤>
・Hexamoll DINCH:BASF社
ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート
【0126】
(評価)
光硬化性樹脂組成物を以下の評価に供した。
【0127】
<相溶性>
光硬化性樹脂組成物に白濁があるかどうかについて目視で観察し、下記評価基準で評価した。結果を、表2−1〜表2−7に示す。
〔評価基準〕
○:白濁がなかった。
×:白濁があった。
【0128】
<後硬化>
得られた光硬化性樹脂組成物についてUVレオメーター(MARS、HAKKE社製)を用いて、下記測定条件、及び評価基準により後硬化の有無を評価した。結果を、表2−1〜表2−7に示す。
−測定条件−
光源:LED 365nm
波長365nmにおけるUV照度:200mW/cm
2
照射時間:60秒間
温度:25℃
〔評価基準〕
○:照射終了時から360秒間経過後のG’の値/照射終了直後のG’の値が、1.10超
×:照射終了時から360秒間経過後のG’の値/照射終了直後のG’の値が、1.10以下
なお、G’は、貯蔵弾性率を意味する。
【0129】
【表2-1】
【0130】
【表2-2】
【0131】
【表2-3】
【0132】
【表2-4】
【0133】
【表2-5】
【0134】
【表2-6】
【0135】
【表2-7】
【0136】
増感剤を含有する光硬化性樹脂組成物(実施例18、及び実施例19)については、照射する波長を365nmからより長波長側の385nmに変えた場合でも、照射する波長が365nmの場合と同様に後硬化することが確認できた。
【0137】
<ブリード試験>
−印刷及び露光−
下記表3に示すいずれかの基板、及び光源を用いて印刷及び露光を行い、模擬パネルを作製した。作製手順を
図2A〜
図2Eを用いて説明する。
外周から1cmの地点を中心に幅3mm、厚み20μmの遮光部11Aを有する5cm四方の基板11を用いた(
図2A)。
基板11の中心から4cm四方に、光硬化性樹脂組成物を平均厚みが100μmになるように印刷し、塗布層12Aを得た(
図2B)。
光硬化性樹脂組成物を印刷した面側から、光源100を用いて1回目の露光を行い、仮硬化層12B得た(
図2C)。
次に、5cm四方の偏光板13(住友化学社製)を仮硬化層12Bに貼りあわせ(
図2D)、基板1側から、光源200を用いて2回目の露光を行い、本硬化層12Cを得た(
図2E)。
以上により、模擬パネルを作製した。
【0138】
【表3】
【0139】
−評価方法−
作製した模擬パネルを、95℃0%RH下において100時間保管(保管条件A)し、又は60℃90%RH下において100時間保管(保管条件B)し、光硬化性樹脂組成物の硬化物のブリードの有無を目視により観察し、下記評価基準で評価した。結果を表4−1〜表4−7に示す。
〔評価基準〕
○:ブリードがなかった。
×:ブリードがあった。
【0140】
<黄変>
作製した前記模擬パネルに対し、紫外線フェードメーター(U48、スガ試験機株式会社)を用いて100時間光照射を行い、光照射後の黄変の有無を目視により観察し、下記評価基準で評価した。結果を表4−1〜表4−7に示す。
〔評価基準〕
○:黄変がなかった。
×:黄変があった。
【0141】
【表4-1】
【0142】
【表4-2】
【0143】
【表4-3】
【0144】
【表4-4】
【0145】
【表4-5】
【0146】
【表4-6】
【0147】
【表4-7】
【0148】
プロセスc、dについては、実施例1〜27の光硬化性樹脂組成物を代表して、実施例19及び21の光硬化性樹脂組成物について、行った。そのところ、保管条件A及び保管条件Bのいずれにおいてもブリードは見られなかった。
【0149】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光照射後も硬化が継続し、かつ光が直接届かない領域においても硬化が進行するため、光が直接届かない領域の硬化不足によるブリードを防ぐことができた。また、硬化物に対して、長時間紫外線を照射しても黄変が生じなかった。
【0150】
一方、以下の比較例1〜10では、後硬化が生じておらす、かつブリードが生じた。
比較例1:光酸発生剤を含有するものの、光ラジカル開始剤とカチオン重合成分とを含有しない。
比較例2:光酸発生剤とカチオン重合成分とを含有するものの、光ラジカル開始剤を含有しない。
比較例3:光酸発生剤とカチオン重合成分とを含有するものの、光ラジカル開始剤がα−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤、又はベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤ではない。
比較例4:光酸発生剤を含有するものの、カチオン重合成分を含有しない。
比較例5:光酸発生剤とカチオン重合成分とを含有しない。
比較例6:光酸発生剤と、カチオン重合成分とを含有するものの、質量比率(A/B)が、30を超える。
比較例7:光酸発生剤と、カチオン重合成分とを含有するものの、質量比率(A/B)が、0.5未満である。
比較例8〜10:光酸発生剤とカチオン重合成分とを含有するものの、光ラジカル開始剤がα−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル開始剤、又はベンジルメチルケタール系光ラジカル開始剤ではない。