【解決手段】明り取り部材1,2の基部5,6の先端からまたは鍔部3,4から延出させて形成された係止爪7a〜7d,8a〜8dを備える。基部5,6には、係止爪8a〜8d,7a〜7dを係止させる被係止部23または24が形成されている。被係止部23,24間、または係止爪7a〜7dの係止部11の係止位置間、および係止爪8a〜8dの係止部12の係止位置間の少なくとも一方に、設計上のドア厚の違いに対応するように係止位置にΔtの間隔を持たせる。また、被係止部23,24間、または係止爪7a〜7dの係止部11の係止位置間、および係止爪8a〜8dの係止部12の係止位置間の少なくとも一方に、製造公差によるドア厚の違いに対応するように係止位置にΔxの間隔を持たせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の明り取り窓構成部品は、係止爪の被係止孔の縁との当接面が、製造公差によるドアの厚みによって変化し、係止爪が撓むことによってドアの製造公差による厚みの違いに対応しているので、製造公差が大きい場合には、係止爪が被係止孔に対して十分に嵌まりこまず、不意な力で明り取り部材どうしの結合が解かれる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、設計上の厚みの異なるドアに対する取付けが可能となるのみならず、製造公差によるドアの厚みの違いが生じても明り取り部材どうしが確実に結合できる明り取り窓構成部品とその部品を構成する明り取り部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の明り取り窓構成部品は、
ドア内外方向に貫通して設けられた取付け孔に挿入して取付けられる明り取り窓構成部品であって、
ドアの内側、外側からそれぞれ前記取付け孔に挿入される2つの明り取り部材からなり、
各明り取り部材は、それぞれ鍔部と、その鍔部の片面から、または前記鍔部から突出させて設けられた基部から延出させて形成された係止爪と、相手側明り取り部材の係止爪を係止させる被係止部とを備え、
前記係止爪と前記被係止部は、予め設計された異なるドアの厚みにそれぞれ対応して、それぞれドア厚方向の係止位置が異なるように、少なくともいずれか一方が複数設けられ、
少なくとも前記係止爪は、設計上の同じドア厚に対応する係止爪として、前記ドアの製造公差による厚みの違いに対応するように、設計上のドア厚の違いに対応して設定された係止位置の間隔よりも短い間隔で、ドア厚方向の係止位置を互いに異ならせて形成された複数の係止爪が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の明り取り窓構成部品は、
ドア内外方向に貫通して設けられた取付け孔に挿入して取付けられる明り取り窓構成部品であって、
ドアの内側、外側からそれぞれ前記取付け孔に挿入される2つの明り取り部材からなり、
各明り取り部材は、それぞれ鍔部と、その鍔部の片面から、または前記鍔部から突出させて設けられた基部から延出させて形成された係止爪と、相手側明り取り部材の係止爪を係止させる被係止部とを備え、
前記係止爪と前記被係止部は、予め設計された異なるドアの厚みの変化にそれぞれ対応して、それぞれドア厚方向の係止位置が異なるように、少なくともいずれか一方が複数設けられ、
少なくとも前記被係止部は、設計上の同じドア厚に対応する被係止部として、前記ドアの製造公差による厚みの違いに対応するように、設計上のドア厚に対応して設定された係止位置の間隔よりも短い間隔で、ドア厚方向の係止位置を互いに異ならせて形成された複数の被係止部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の明り取り窓構成部品は、前記明り取り窓構成部品において、
前記係止爪と前記被係止部とは、前記鍔部の軸心に直交する線を挟んで互いに反対側に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の明り取り窓構成部品は、前記明り取り窓構成部品において、
前記2つの明り取り部材は同形であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の明り取り窓構成部品は、前記明り取り窓構成部品において、
前記係止爪は、前記被係止部に当接する面が傾斜面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の明り取り窓構成部品は、前記明り取り窓構成部品において、
前記係止爪または前記基部の少なくとも一方に、前記2つの明り取り部材を前記取付け孔に挿入して互いに結合させる際における、係止爪の誤挿入を防止する誤挿入防止壁が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の明り取り部材は、前記明り取り窓構成部品の構成部材であって、前述の構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の明り取り窓構成部品は、係止爪と被係止部が、予め設計された異なるドアの厚みにそれぞれ対応して、それぞれドア厚方向の係止位置が異なるように、少なくともいずれか一方が複数設けられる。また、少なくとも係止爪または被係止部としては、同じドアの厚みに対応するものとして、ドアの製造公差による厚みの変化に対応するように、ドアの厚みに対応して設定された係止位置の間隔よりも短い間隔で、ドア厚方向の係止位置を互いに異ならせて形成された複数の係止爪または被係止部が設けられている。このため、予め設計された異なるドアの厚みにそれぞれ対応して明り取り窓構成部品が取付け可能であるのみならず、製造公差によるドア厚みに対して、異なる係止位置で対応できるため、製造公差によってドアの厚みが変化しても、係止爪の撓み量が減少し、より確実な係止構造が実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明による明り取り窓構成部品の一実施の形態を組み合わせ前の状態で示す斜視図、
図2はその側面図、
図3はその一方の明り取り部材を係止爪の先端側から見た図、
図4は展開図である。1,2は明り取り窓構成部品を構成する明り取り部材であり、これらの明り取り部材は同形をなすもので、この部材を通して透光できるように、少なくとも一部を透明または半透明とした硬質樹脂成形材でなる。各明り取り部材1,2は、円板状の鍔部3,4と、各鍔部3,4から突出させて円筒状に形成された基部5,6と、その基部5,6から鍔部3,4の反対方向に延出させて弾性片として形成された係止爪7a〜7d,8a〜8dとをそれぞれ備える。
【0017】
図4に示すように、基部5,6には、相手側の明り取り部材の係止爪8a〜8d,7a〜7dをそれぞれ係止させる被係止部23または24を有する開口部9a〜9c,10a〜10cが形成されている。開口部9a,9c(10a,10c)は厚みの大きなドアに対応し、それぞれ係止爪8a,8d(7a,7d)を係止する被係止部23を有するものとして形成されている。一方、開口部9b(10b)は厚みの小さなドアに対応するものであり、それぞれ係止爪8b,8c(7b,7c)を共通に係止する被係止部24を有するものとして形成されている。
【0018】
図1に示すように、係止爪7a〜7d,8a〜8dは、それぞれ先端の係止部11,12に、相手側部材の基部5,6内への挿入を容易にするための傾斜面13と、係止のための傾斜面14とを有する。
【0019】
図4に示すように、この実施の形態においては、2種の異なる厚みのドアに対応を可能とするため、開口部9a,9cおよび10a,10cの被係止部23(厚みの大きなドア用)の両明り取り部材1,2のドア厚方向(矢印tに示す)の係止位置は、開口部9bおよび10bの被係止部24(厚みの小さなドア用)のドア厚方向の係止位置より、相手側の明り取り部材2,1にΔtだけ近づけた設定にしている。この間隔Δtは、この明り取り窓構成部品が適用される2種のドアの設計上の厚みの差に相当する。
【0020】
また、ドアの製造公差に対応するため、厚みの大きなドア用の係止爪7aと7d(係止爪8aと8dについても同様)の各係止部11,11間のドア厚方向の位置は、Δxに示す間隔だけ異ならせている。この間隔Δxは、ドアの厚みの違いに基づいて設定した前記間隔Δtより狭い値である。同様に、厚みの小さなドア用の係止爪7bと7c(係止爪8bと8cについても同様)の各係止部11,11間のドア厚方向の係止位置も、Δxに示す間隔だけ異ならせている。ここで、係止位置の差とは、係止爪7a〜7dや8a〜8dの先端の位置の差ではなく、傾斜面14の位置の差であるが、理解を容易にするために、図面上は係止爪7a〜7dや8a〜8dの先端の位置の差として表現している。なお、係止爪7a〜7dや8a〜8dの係止位置に違いはあっても、これらの係止爪7a〜7dや8a〜8dの先端の位置は揃えてもよい。
【0021】
図3に示すように、係止爪7a〜7dは、鍔3の軸心0に直角に交わる線22の片側に配置され、開口部9a〜9cはその反対側に配置される。明り取り部材1,2は同形に構成されているので、係止爪8a〜8dや開口部10a〜10cについても同様である。
【0022】
図1、
図2、
図4において、20は明り取り部材1,2の基部5,6に、鍔部3,4側に凹ませて設けた凹部である。21はこの凹部20に嵌合されるように基部6,5の先端からドア厚方向に突出させて設けた凸部である。これらの凹部20,凸部21は、両明り取り部材1,2を組み合わせた際に互いに嵌合されることにより、両者のガタつきを防ぐものである。凹部20の開口端部20aは、凸部21の挿入を容易にするために末広がり状に形成している。
【0023】
図5に示すように、この明り取り窓構成部品は、2つの明り取り部材1,2を、ドア16の両側から、ドア16の小孔16aに挿入し、両明り取り部材1,2を小孔16a内で結合して取付ける。すなわち、明り取り部材2の係止爪8a〜8dを、相手側明り取り部材1の基部5の内面に係止爪8a〜8dの先端の傾斜面13を擦動させながら基部5内に挿入する。この時、係止爪8a〜8dはそれぞれが持つ弾性により変形しながら基部5内に挿入される。そして、係止部12が開口部9a〜9c内に達したら、弾性により係止爪8a〜8dが元の姿勢またはその姿勢に近い姿勢で復帰する。
【0024】
図5の取付け例は、厚みの小さなドアに明り取り窓構成部品を取付けた例を示しているので、厚みの大きなドア用の係止爪8a,8dは係止されない状態で係止部12が開口部9a,9c内にあり、係止爪8b,8cのいずれかが明り取り部材1の開口部9bの被係止部24に係止された状態を示している。図示を省略しているが、厚みの小さなドアに明り取り窓構成部品を取付けられる時は、明り取り部材1の係止爪7a,7dは、明り取り部材1の係止爪8a,8dと同様に係止されない状態で係止部11が開口部10a,10c内にあり、係止爪7b,7cのいずれかが明り取り部材1の開口部10bの被係止部24に係止された状態となる。
【0025】
一方、厚みの大きなドアに明り取り部材1,2を取付ける場合には、係止爪7b,7cおよび8b,8cの係止部11,12は開口部10bおよび9bの被係止部24に係止されず、係止爪7aまたは7dのいずれかが開口部10aまたは10cの被係止部23に係止されると共に、係止爪8aまたは8dのいずれかが開口部9aまたは9cの被係止部23に係止される。このため、異なる厚みのドアに明り取り部材1,2の取付けが可能となる。
【0026】
ここで、
図6に示すように、例えば係止爪8cの傾斜面14が、開口部9bの縁である被係止部24に、係止爪8cの弾性によって圧接すると、矢印F1で示す圧接力の分力により、明り取り部材1に対して矢印F2で示す方向の力、すなわち明り取り部材2側に近接させる力が生じ、明り取り部材2についても同様に明り取り部材1側に近接させる力が生じるので、鍔部3,4をドア16の表裏面に圧接させた状態で明り取り部材1,2を取付けることができ、明り取り部材1,2をガタつきなく取付けることができる。
【0027】
図6に示すように、厚みの小さなドアにこの部品を取付ける際に、係止爪8bまたは8cが開口部9bの被係止部24に係止される。この場合、係止爪8b,8cの係止部12の係止位置を、ドア厚方向にΔx、すなわち、傾斜面14のドア厚方向の幅と同じかやや狭い幅だけ異ならせている。
【0028】
これを
図6によってより詳しく説明する。14a,14bはそれぞれ係止爪8bの傾斜面14の底部、頂部を示し、14c,14dはそれぞれ係止爪8cの傾斜面14の底部、頂部を示している。相手側明り取り部材1に対して係止爪8cよりも後位にある係止爪8bの傾斜面14の頂部14bは、前位にある係止爪8cの傾斜面14の底部14cか、あるいは底部14cより前位にあるように構成する。このように構成することが、係止爪8b,8cによる係止を連続的に行なう意味で好ましい。
【0029】
このように、係止爪8b,8cの係止位置をΔxに示す差を持たせることによって、係止可能な範囲は、係止爪8bの傾斜面14の底部14aから、係止爪8cの傾斜面14の頂部14dまでのXで示す範囲となり、1本の係止爪8bまたは8cのみとした場合の約2倍あるいは2倍に近いドア厚の変化に対応できる。
【0030】
係止爪8aと8dの間、並びに係止爪7aと7dとの間にも、係止位置がΔxだけ異なるので、ドアの厚みが大きい場合にも同様に製造公差による厚みの変化に対応できる。
【0031】
また、
図7(A)に示すように、この実施の形態のように2本の係止爪8b,8cで製造公差に対応する場合と、
図7(B)に示す従来例のように、1本の係止爪8で同じ範囲の製造公差に対応する場合とでは、
図7(A)に示すこの実施の形態の場合の方が開口部9bへの嵌め込み深さが増すとともに、傾斜面14の角度θ1を、
図7(B)に示す従来例の場合のθ2より大きくすることができるので、係止力が増し、より確実な係止が可能となる。
【0032】
また、前述した従来例においては、円筒状をなす基部に軸心方向について係止爪の係止位置が異なる2種の被係止孔を備え、係止爪として、明り取り部材の軸心を中心として対角線上に2本の係止爪を配置し、一方の明り取り部材を他方の明り取り部材に対して軸心を中心として回すことにより、係止爪を係止する被係止孔を選択してドア厚の違いに対応している。このため、ドア厚の違いに対応して一方の明り取り部材に対する他方の明り取り部材の相対的回動角に注意して取付ける必要がある。
【0033】
一方、この実施の形態においては、
図3に示したように、係止爪7a〜7d(8a〜8d)は、鍔部3の軸心Oに直角に交わる線22の片側に配置され、開口部9a〜9c(10a〜10c)はその反対側に配置される。そして、厚みが小さいドアに対して係止爪7b,7c(8b,8c)と開口部9b(10b)を備え、厚みの大きいドアに対して係止爪7a,7d(8a,8d)と開口部9a,9c(10a,10c)を備えているので、ドアの厚みが違う場合でも、明り取り部材1,2の相対的な回動角度を変えずに取付けることができ、取付けが容易となる。
【0034】
また、この実施の形態においては、2つの明り取り部材1,2を互いにワンタッチで嵌めることにより小窓を構成できるので、取付けにおける作業性が向上し、取付けが容易となる。また、1つの形状の明り取り部材を、互いに組み合わせて用いることができるので、成形装置が1種ですみ、経済化が達成できる上、部品管理も容易となる。
【0035】
また、この実施の形態においては、
図8において説明する明り取り部材1,2どうしの誤挿入防止手段を有している。その誤挿入防止のため、両端の係止爪7d(7aも同様)の係止部11の幅w2を係止爪7b,7cの係止部11の幅w1より大きく形成し、係止爪7dの係止爪7c側の挿入側傾斜面13における基部5の半径方向における外側の面を欠除させ、その欠除部25を設けることにより、係止部11の係止爪7c側に、基部5の半径方向の外側に突出させた誤挿入防止壁26を形成している。さらにこの例においては、係止爪7dと係止爪7cとの間の間隔S1を、係止爪7dの幅w2より狭くしている(w2>s1)。
【0036】
このような構造を有するため、仮に係止爪7dの欠除部25上に係止爪8dが乗り上げたとしても、係止爪8dの先端が誤挿入防止壁26に突き当たってそれ以上の挿入が防止される。また、明り取り部材1の係止爪7dと係止爪7cとの間に明り取り部材2の係止爪8dを誤挿入しようとしても挿入できない。係止爪7aにも同様の欠除部25と誤挿入防止壁26が形成されている。誤挿入防止壁26は、被係止部23,24側、すなわち明り取り部材2(1)の基部6(5)における開口部10a〜10c(9a〜9c)の相互の間における相手側係止爪7a〜7d(8a〜8d)の挿入側に設けてもよい。
【0037】
また、
図8において、係止爪7dの明り取り部材2の基部6への挿入抵抗を、係止爪7b,7cの挿入抵抗と同じにして挿入時の感覚を同じにするため、係止爪7d(7aも同様)の傾斜面13の幅w3を、係止爪7b,7cの幅w1と同じに形成している。また、係止爪7c、7dの高さh1,h2を同一とし、他の係止爪7a,7b,8a〜8dについても同一の高さとしている。
【0038】
また、ドアの厚みが大きい場合には、係止爪7b,7cは明り取り部材2の基部6における被係止部24に至らず、係止爪7b,7cの先端側の傾斜面13が基部6に設けられた凹部20の縁に内接し、係止爪7b,7cに明り取り部材1が抜け出ようとする力が作用することがあるので、その力に耐えられるように、ドアの厚みが大きい場合に係止される係止爪7dの傾斜面14の幅w4は、ドアの厚みが小さい場合に係止される係止爪7b,7cの傾斜面14の幅w1より広く形成している。明り取り部材2は明り取り部材1と同形に形成されているので、明り取り部材2の係止爪8a〜8dも同様に形成されている。
【0039】
上記実施の形態においては、
図4に示したように、開口部9a〜9c,10aa〜10cにおける被係止部23,24のドア厚方向の位置をΔtで示すように異ならせることにより、ドアの設計上の厚みの相違に対応し、製造公差については、係止爪7a〜7d,8a〜8dの係止部11,12の位置をΔxで示すように異ならせている。しかしながら、前記係止位置の差Δt、Δxは実現するには、これに限られず、以下に説明する種々の態様がある。
【0040】
図9は前記係止位置の差Δt、Δxを実現するための本発明の他の実施の形態を示す展開図である。この実施の形態においては、明り取り部材1,2の係止爪7a〜7d,8a〜8dの係止部11,12の前記矢印tで示すドア厚方向の係止位置を同一にし、ドアの設計上の厚みの違いや製造公差に対しては、開口部9a〜9c,10a〜10cの構造のみで対応している。
【0041】
すなわち、厚みの大きいドアの厚みの製造公差に対応するために、開口部9a,9c(10a,10c)の被係止部23aと23bとの間に、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設けている。また、厚みの小さいドアの厚みの製造公差に対応するために、開口部9b(10b)に2つの被係止部24aと24bを設け、これらの被係止部24a,24bに、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設けている。
【0042】
また、設計上のドアの厚みの違いに対応するため、ドア厚大用に開口部9c(10c)に設ける被係止部23bと、ドア厚小用に開口部9b(10b)に設ける被係止部24aとの間に、ドア厚方向に係止位置の差Δtを設けている。また、ドア厚大用に開口部9a(10a)に設ける被係止部23aと、ドア厚小用に開口部9b(10b)に設ける被係止部24bとの間にも係止位置の差Δtを設ける。このような構成とすることにより、上記実施の形態と同様に設計上のドアの厚みの相違や各厚みにおける製造公差に対応できる。
【0043】
図10は前記係止位置の差Δt、Δxを実現するための本発明の他の実施の形態を示す部分展開図である。この実施の形態においては、明り取り部材1の開口部9a〜9cの被係止部23,24のドア厚方向の係止位置を同じにし、係止爪8a〜8dの係止部12のドア厚方向の係止位置のみを異ならせることにより、ドアの設計上の厚みの違いや製造公差に対応している。
【0044】
すなわち厚みの大きいドアの場合の厚みの製造公差に対応するために、係止爪8aと8dの係止部12,12の間に、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設けている。また、厚みの小さいドアの場合の厚みの製造公差に対応するために、係止爪8bと8cの係止部12,12の間に、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設けている。
【0045】
また、設計上のドアの厚みの違いに対応するため、ドア厚大用の係止爪8dとドア厚小用の係止爪8cの係止部12,12の間に、ドア厚方向に係止位置の差Δtを設けている。また、同様に、ドア厚大用の係止爪8aとドア厚小用の係止爪8bの係止部12,12の間に、ドア厚方向に係止位置の差Δtを設けている。図示を省略しているが、係止爪7a〜7d、開口部10a〜10cの構造もそれぞれ係止爪8a〜8dや開口部9a〜9cの構造と同じである。このような構成とすることにより、上記実施の形態と同様に設計上のドアの厚みの違いや各厚みにおける製造公差に対応できる。
【0046】
図11は前記係止位置の差Δt、Δxを実現するための本発明の他の実施の形態を示す部分展開図である。この実施の形態においては、明り取り部材2の係止爪8a〜8dの係止位置を異ならせることにより、ドアの設計上の厚みの違いに対応し、製造公差には、開口部9a〜9cに設ける被係止部23a,23b,24a,24bの係止位置を異ならせることによりに対応している。
【0047】
すなわち、ドア厚大用の係止爪8aと8dにおけるドア厚方向の係止部12,12の係止位置は同じとする。また、ドア厚小用の係止爪8bと8cのドア厚方向の係止部12,12の係止位置も同じとする。そして、ドア厚大用の係止爪8a,8dとドア厚小用の係止爪8b,8cの係止部12の係止位置に、前記Δtの差を設ける。
【0048】
また、厚みの大きいドアの製造公差に対応するために、ドア厚大用の開口部9aに設ける被係止部23aと、ドア厚大用の開口部9cに設ける被係止部23bとの間に、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設ける。また、厚みの小さいドアの厚みの製造公差に対応するために、ドア厚小用の開口部9bに、それぞれ係止爪8bと8cに対応して被係止部24a,24bを設け、これらの被係止部24a,24bの間に、ドア厚方向についてΔxの係止位置の差を設ける。図示を省略しているが、係止爪7a〜7d、開口部10a〜10cの構造もそれぞれ係止爪8a〜8dや開口部9a〜9cの構造と同じである。このような構成とすることにより、上記実施の形態と同様に設計上のドアの厚みの違いや各厚みにおける製造公差に対応できる。
【0049】
図12は前記係止位置の差Δt、Δxを実現するための本発明の他の実施の形態を示す部分展開図である。この実施の形態においては、明り取り部材1,2の基部5,6に設ける開口部9d〜9i,10d〜10iをドア厚方向にそれぞれ2つずつ設けることにより、設計上のドアの厚みの違いに対応し、製造公差には、係止爪7a〜7d,8a〜8dの係止部11,12の係止位置を異ならせることによりに対応している。
【0050】
すなわち、ドア厚方向に並べて配設した開口部9dと9e、9fと9g、9hと9i(10d〜10iも同様)の各被係止部23cと23dのドア厚方向の間隔はすべて前記Δtである。また製造公差に対応するため、ドア厚大用の係止爪8aと8dの係止部12,12間、およびドア厚小用の係止爪8bと8cの係止部12,12のドア厚方向の間隔は前記Δxである。7a〜7dについても同様である。このような構成とすることにより、上記実施の形態と同様に設計上のドアの厚みの違いや各厚みにおける製造公差に対応できる。
【0051】
図13は本発明の明り取り部材の他の実施の形態を、係止爪の先端側から見た図、
図14は
図13のE−E断面図である。この実施の形態は、係止爪7a〜7dを基部5から突出させて形成するのではなく、鍔部3から突出させて形成したものである。他の構成は
図1〜
図6で説明した通りであり、同形の2つの明り取り部材を結合させて、前記設計上の厚みの異なるドアへの対応や、製造公差への対応がなされるものである。このように、鍔部3に係止爪7a〜7dや開口部9a〜9cの形成態様としては、
図9〜
図12により説明した種々の態様が適用可能である。なお、係止爪7a〜7dは、鍔部3に直接設けるのではなく、補強部を介して設けてもよい。
【0052】
図15は本発明の明り取り部材の他の実施の形態を示す展開図である。この実施の形態は、基部5,6の全周にわたって係止爪7a〜7d,8a〜8dを配設すると共に、対応する開口部9a〜9dも基部5,6の全周にわたって配設したものである。この例では
図1〜
図6で説明したものと同様に、設計上のドアの厚みの違いに対応するため、開口部9a〜9d,10a〜10dの被係止部23,24間でドア厚方向の係止位置に前記差Δtを設け、また、製造公差による厚みの違いに対応するため、係止爪7a〜7d,8a〜8dの各係止部11,12について、ドア厚方向の係止位置に前記差Δxを設けている。
【0053】
このように基部5,6の全周にわたって係止爪7a〜7d,8a〜8dや開口部9a〜9c,10a〜10cを配設する場合にも、係止爪7a〜7d,8a〜8dや開口部9a〜9c,10a〜10cの形成態様としては、
図9〜
図12により説明した種々の態様が可能である。なお、この実施の形態においては、2つの明り取り部材どうしを結合する位置を合わせるための目印あるいはガイドを設けてもよい。
【0054】
図16は本発明の明り取り部材の他の実施の形態を示す展開図である。この実施の形態は、2つの明り取り部材のうち、一方の明り取り部材1Aには鍔部3から突出した係止爪7a〜7dのみを設け、他方の明り取り部材2Aには被係止部23,24を有する開口部10a〜10cのみを設けたものである。各開口部10a〜10cはそれぞれ鍔部4の片面から突出して分割形成された基部6a〜6cにそれぞれ設けられている。開口部10a,10cはそれぞれドア厚大用の係止爪7a,7dを係止させる被係止部23を有するものであり、開口部10bはドア厚小用の係止部7b,7cを係止させる被係止部24を有するものである。
【0055】
この例では
図1〜
図6で説明したものと同様に、設計上のドアの厚みの違いに対応するため、10a〜10cの被係止部23,24間でドア厚方向の係止位置に前記差Δtを設け、また、製造公差による厚みの違いに対応するため、係止爪7a,7bと7c,7dの各係止部11の間で、ドア厚方向の係止位置に前記差Δxを設けている。
【0056】
図16の例においても、係止爪7a〜7dや開口部10a〜10cの形成態様としては、
図9〜
図12により説明した種々の態様が可能である。また、基部6a〜6bは分割型ではなく、上記各実施の形態と同様に一体に形成したものであってもよい。
【0057】
本発明を実施する場合、具体的構造については、種々に変更可能である。例えば被係止部は開口部ではなく、凹部として形成してもよく、基部の形状も角形にしてもよい。また、前記係止位置の差ΔtやΔxは、例えば係止爪7a〜7d,8a〜8d、または開口部9a〜9c,10a〜10dの被係止部23,24等の位置の差だけで設定するのではなく、係止爪7a〜7d(8a〜8d)の係止部の係止位置の差と、被係止部23,24の係止位置の差との合算によって差ΔtやΔxが生じるようにしてもよい。また、
図1〜
図15で示した実施の形態において、基部5,6の構造を、
図16で示したような分割構造にしてもよい。
【0058】
その他、本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各部構造やその組み合わせについて、種々の変更、付加が可能である。