【課題】蝶番を介して戸体を開閉可能に枠体に取り付ける建具において、十分な有効開口を確保しつつ、吊元側の枠体と戸体の間に十分な隙間を大きくすることができる構造を提供すること。
【解決手段】建具1は、枠体30と、枠体30の内側に配置される戸体10と、枠体30側に取り付けられる枠体側羽根板71及び枠体側羽根板71に回転可能に連結されるとともに戸体10に取り付けられる戸体側羽根板72を有する蝶番70と、を備え、戸体10が閉鎖位置にある状態の平面視で、戸体側羽根板72は、枠体側羽根板71に対して間隔を開けて平行に配置され、見付方向で蝶番70の回転中心Oよりも戸体10側に位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吊元側の枠体と戸体の間の隙間(チリ)が狭いと、隙間に物が入った状態で戸体が閉じられたときに、戸体と枠体の間に物等が挟み込まれしまうことがある。例えば、特許文献1の
図4や
図6では、平面視において戸体側の羽根板と枠体側の羽根板の一部が重なっており、吊元側の枠体と戸体の間の隙間が小さくなっている。物の挟み込みを防止する方法として、閉鎖位置における戸体を吊元側の枠体から離して吊元側の枠体と戸体の間の隙間を大きくすることが考えられる。しかし、戸体を吊元側の枠体から離して配置するだけでは、戸体が吊元側から離れれば戸体を開いたときの有効開口が小さくなる問題が生じる。
【0005】
本発明は、蝶番を介して戸体を開閉可能に枠体に取り付ける建具において、十分な有効開口を確保しつつ、吊元側の枠体と戸体の間に十分な隙間を大きくすることができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠体(例えば、後述の枠体30)と、前記枠体の内側に配置される戸体(例えば、後述の戸体10)と、前記枠体側に取り付けられる枠体側羽根板(例えば、後述の枠体側羽根板71,371)及び前記枠体側羽根板に回転可能に連結されるとともに前記戸体に取り付けられる戸体側羽根板(例えば、後述の戸体側羽根板72,372)を有する蝶番(例えば、後述の蝶番70)と、を備え、前記戸体が閉鎖位置にある状態の平面視で、前記戸体側羽根板は、前記枠体側羽根板に対して間隔を開けて平行に配置され、見付方向で前記蝶番の回転中心よりも前記戸体側に位置する建具(例えば、後述の建具1,201)に関する。
【0007】
前記蝶番は、前記枠体側羽根板に設けられる枠体側軸体(例えば、後述の枠体側軸体81)と、前記戸体側羽根板に設けられ、前記枠体側軸体に回転可能に連結される戸体側軸体(例えば、後述の戸体側軸体82)と、を有し、前記戸体側羽根板は、前記戸体側軸体の外周面から延出し、前記戸体側軸体は、前記戸体の吊元側の面よりも前記枠体側に位置することが好ましい。
【0008】
前記戸体側軸体は、その一部が、平面視で閉鎖位置の前記戸体の表面(例えば、後述の表面10a)よりも裏側に位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建具の構造によれば、蝶番を介して戸体を開閉可能に枠体に取り付ける建具において、十分な有効開口を確保しつつ、吊元側の枠体と戸体の間に十分な隙間を大きくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、建物に形成された躯体開口部の内部に設けられ、開閉可能な戸体(障子)10を備える建具1を本発明の一実施形態として説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建具1(戸体10)の面方向に沿う方向であり、建具1(戸体10)の高さ方向や幅方向を含む概念とする。
【0012】
図1は、本実施形態に係る建具1を屋外側から見た姿図である。
図1に示すように、建具1は、建物側に固定される枠体30と、枠体30に対して開閉可能に取り付けられる戸体10と、を備える。
【0013】
枠体30は、横枠としての上枠31及び下枠32と、縦枠としての吊元側の縦枠33及び戸先側の縦枠34と、により矩形に枠組みされる。
【0014】
戸体10は、吊元側の縦枠33に固定される蝶番70を介して枠体30の内側に吊り込まれる。戸体10には、ハンドル91やハンドル91の上下にそれぞれ配置されるシリンダ錠92等のドアの開閉に関わる部品等が配置される。
【0015】
図2は、本実施形態の建具1の縦断面図であり、
図1のA−A線断面図である。
図2に示すように、上枠31の下面には、見付方向の下側に延出する上側取付部51が形成される。上側取付部51は、上枠31の長手方向(左右方向)に延びる板状に形成されており、屋外側の面に上側気密材41を嵌合するための嵌合溝511が形成される。
【0016】
上側気密材41は、上側取付部51を介して上枠31の下面(見込面)に固定される。上側気密材41は、戸体10上部と上枠31の隙間を埋めるように上枠31の左右方向の略全域に設けられる。
【0017】
下枠32の屋内側には、左右方向にわたって上方に突出する突条部521が形成される。突条部521の上面にはカバー部材523が取り付けられ、その屋外側の面には下側取付部52が形成される。下側取付部52には、下側気密材42を嵌合するための嵌合溝522が形成される。
【0018】
下側気密材42は、下側取付部52を介して下枠32の上面(見込面)に固定される。下側気密材42は、戸体10下部と下枠32の隙間を埋めるように下枠32の左右方向の略全域に設けられる。
【0019】
図3は、本実施形態の建具1の横断面図であり、
図1のB−B線断面図である。
図3に示すように、吊元側の縦枠33には、見付方向の戸先側に延出する吊元側取付部53が形成される。吊元側取付部53は、縦枠33の長手方向(上下方向)に延びる板状に形成されており、屋外側の面に吊元側気密材43を嵌合するための嵌合溝531が形成される。
【0020】
吊元側気密材43は、吊元側取付部53を介して縦枠33における戸先側を向く面(見込面)に固定される。吊元側気密材43は、戸体10の吊元側の端面と縦枠33の隙間を埋めるように縦枠33の上下方向の略全域に設けられる。
【0021】
戸先側の縦枠34には、見付方向の吊元側に延出する戸先側取付部54が形成される。戸先側取付部54は、縦枠34の長手方向(上下方向)に延びる板状に形成されており、屋外側の面に戸先側気密材44を嵌合するための嵌合溝541が形成される。
【0022】
戸先側気密材44は、戸先側取付部54を介して縦枠34における吊元側を向く面(見込面)に固定される。戸先側気密材44は、戸体10の戸先側の端面と縦枠34の隙間を埋めるように縦枠34の上下方向の略全域に設けられる。
【0023】
上側気密材41、下側気密材42、吊元側気密材43及び戸先側気密材44の4方に配置される気密材によって、戸体10閉鎖時における戸体10と枠体30の隙間が埋められている。また、これらの気密材のうち、上側気密材41、吊元側気密材43及び戸先側気密材44の近傍には、上側加熱発泡材61、吊元側加熱発泡材63及び戸先側加熱発泡材64がそれぞれ配置される。
【0024】
次に、蝶番70について説明する。
図4は、本実施形態の蝶番70及び戸体10の調整プレート90を示す図である。
図4に示すように、蝶番70は、枠体30側に固定される枠体側羽根板71と、枠体側軸体81と、戸体10側に固定される戸体側羽根板72と、戸体側軸体82と、芯棒73と、スペーサ75と、を備える。
【0025】
枠体側羽根板71は、その平面部分に、取付ネジ(図示省略)を挿通する取付孔85が4箇所(複数)形成される。この取付孔85を通じて枠体側羽根板71が吊元側の縦枠33の見込面に固定される。
【0026】
枠体側軸体81は、枠体側羽根板71の端部に配置され、芯棒73が固定される。枠体側軸体81の下面には下義星86が取り付けられる。
【0027】
戸体側羽根板72は、その平面部分に、取付ネジ(図示省略)を挿通する取付孔87が4箇所(複数)形成される。この取付孔87を通じて戸体側羽根板72が戸体10の端面に固定される。本実施形態では、戸体側羽根板72は、戸体10の閉鎖位置において吊元側となる端面に固定される調整プレート90を介して戸体10に固定される。調整プレート90には、戸体側羽根板72を締結する際に取付ネジを挿通するための切欠き95が複数形成される。
【0028】
戸体側軸体82は、戸体側羽根板72の端部に配置され、芯棒73の先端が挿入される挿入孔89が形成される。戸体側軸体82の上面には上義星88が取り付けられる。
【0029】
芯棒73は、蝶番70の回転軸芯であり、ローレット加工された部分が枠体側軸体81に圧入固定されている。
【0030】
スペーサ75は、リング状の部材であり、その貫通孔に芯棒73が挿通された状態で枠体側軸体81と戸体側軸体82の間に配置される。このスペーサ75によって蝶番70の高さ調節が行われる。
【0031】
図5は、本実施形態の枠体30が備える縦枠33、戸体10及び蝶番70の位置関係を示す拡大縦断面図である。
図5では、戸体10が閉鎖位置にある状態が示されている。
【0032】
図5の平面視に示すように、戸体10の屋外側の表面10a(戸体10の表面材の外側面)を延長した仮想直線L1に枠体側軸体81及び戸体側軸体82が重なるように蝶番70が配置される。本実施形態では、枠体側軸体81及び戸体側軸体82の屋内側の部位が、見付方向で閉鎖位置の戸体10に重なりつつ、蝶番70の回転中心は仮想直線L1よりも屋外側に位置する配置となっている。また、縦枠33の屋外側の端面よりも屋内側に位置している。
【0033】
枠体側羽根板71は、枠体側軸体81の屋内側を向く部位の中央から見込方向の屋内側に延びるように形成されている。本実施形態では、枠体側羽根板71は、蝶番70の回転中心Oを通る見込み方向の仮想的な直線L2に重なる位置に形成される。
【0034】
戸体側羽根板72は、閉鎖位置において回転中心を通る仮想的な直線L2には重ならないように戸体10側に位置している。本実施形態の戸体側羽根板72は、戸体側軸体82の外周面から接線方向に延びており、戸体側軸体82の外周面と戸体側羽根板72の戸体10側の面が途切れることなく連続している。
【0035】
枠体側羽根板71と戸体側羽根板72は、平面視において間隔d1をあけた平行な位置関係となっている。また、閉鎖位置において、枠体側羽根板71の屋内側の端面と、戸体側羽根板72の屋内側の端面の位置が揃うように枠体側羽根板71及び戸体側羽根板72の長さが設定されている。
【0036】
以上説明した実施形態の建具1によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は、枠体30と、枠体30の内側に配置される戸体10と、枠体30側に取り付けられる枠体側羽根板71及び枠体側羽根板71に回転可能に連結されるとともに戸体10に取り付けられる戸体側羽根板72を有する蝶番70と、を備え、戸体10が閉鎖位置にある状態の平面視で、戸体側羽根板72は、枠体側羽根板71に対して間隔を開けて平行に配置され、見付方向で蝶番70の回転中心Oよりも戸体10側に位置する。
【0037】
これにより、枠体側羽根板71に対して戸体側羽根板72が間隔d1離して配置されるので、戸体側羽根板72における戸体10を取り付ける部位がそれだけ戸先側に移動することになる。従って、閉鎖位置における戸体10の吊元側の端面から縦枠33の端面までの距離d2を大きく確保することができ、吊元側の縦枠33と戸体10の間に生じる隙間(チリ)を大きくできる。また、従来の蝶番に比べ、戸体側羽根板72における戸体10を取り付ける位置を戸体側軸体82寄りにすることができるので、戸体10を開いたときの有効開口も広くすることができる。なお、本実施形態における有効開口は、平面視における戸先側気密材44の見込面と、閉鎖位置から90度開いたときの戸体10の戸先側を向く面10bとの見付方向の距離Aである(
図3参照)。
【0038】
蝶番70は、枠体側羽根板71に設けられる枠体側軸体81と、戸体側羽根板72に設けられ、枠体側軸体81に回転可能に連結される戸体側軸体82と、を有し、戸体側羽根板72は、戸体側軸体82の外周面から延出し、戸体側軸体82は、戸体10の吊元側の面よりも枠体30側に位置する。
【0039】
これにより、蝶番70の配置位置を屋内側に下げても戸体側軸体82が戸体10に干渉しなくなるので、戸体側軸体82の位置を屋内側にしてより、有効開口を広くすることができる。
【0040】
戸体側軸体82は、その一部が、平面視で閉鎖位置の戸体10の表面10aよりも裏側に位置する。
【0041】
これにより、戸体側羽根板72の長さを短くして戸体10の取付位置を戸体側軸体82側に位置させることができ、有効開口を更に拡げることができる。また、蝶番70の外側への突出量が少なくなるので、建具1全体のデザイン性も向上させることができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0043】
第1変形例について説明する。
図6は、第1変形例の建具201を屋外側から見た姿図である。
図6に示すように、第1変形例の建具201は、戸体210の表面に化粧材220が設けられる。
【0044】
図7は、第1変形例の建具201の横断面図である。
図7に示すように、化粧材220が戸体210の表面210aにおける略全面に取り付けられており、戸体210の吊元側の端面まで達している場合であっても、本実施形態の蝶番70であれば、戸体側軸体82が化粧材220に干渉することがない。従来の蝶番では、戸体側羽根板が吊元側にあるために、戸体側軸体が戸先側にせり出し、当該戸体側軸体が干渉して化粧材220を吊元側まで配置することが難しい。本変形例の構成によれば、蝶番70を化粧材220に干渉させることなく従来よりも屋内側に戸体側軸体82を配置することができるので、有効開口を大きく確保しつつ、戸体210の化粧材220の自由なレイアウトを実現して意匠性を向上させることができる。
【0045】
第2変形例について説明する。
図8は、第2変形例の枠体が備える縦枠33、戸体10及び蝶番370の位置関係を示す拡大縦断面図である。
図8に示すように、第2変形例の蝶番370は、戸体側軸体82(枠体側軸体81)が、戸体10の屋外側の表面10aを延長した仮想直線L1よりも屋外側に位置するように配置される。
【0046】
第2変形例では、平面視において、枠体側羽根板371及び戸体側羽根板372の長さが、上記実施形態よりも長くなっている。上記実施形態と異なり、戸体側軸体82(枠体側軸体81)が、仮想直線L1よりも屋外側に位置するように配置しているが、枠体側羽根板及び戸体側羽根板が中心で重なるような従来の構成に比べ、閉鎖位置における戸体10の吊元側の端面から縦枠33の端面までの距離d2を大きく確保することができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態及び変形例では、何れも戸体側軸体82の外周面から戸体側羽根板72が延び出るように構成されているが、外周面よりも吊元側であっても戸体側羽根板が戸体側に離れておればよく、その構成は適宜変更することができる。