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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-218847(P2017-218847A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】自動車用ドアチェック装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/22 20060101AFI20171117BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   E05C17/22 A
   B60J5/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-115849(P2016-115849)
(22)【出願日】2016年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】摂津 慶治
(72)【発明者】
【氏名】今野 大輔
(57)【要約】
【課題】自動車用ドアチェック装置において、ドアパネルの通孔を確実に閉塞する。
【解決手段】車体に枢着されると共に、ドアに設けられた通孔3aを通ってドア内に進入するリンク6と、ドアの開閉動作に伴ってリンク6に設けられたディテント部65を摺動するガイドアッセンブリー7と、リンク6に固定される全開ストッパ10と、リンク6に設けられた固定部64に嵌合され、ドアが閉鎖位置にあるとき、ドアの通孔3aを外側から閉塞する弾性カバー8と、を備える。固定部64は、リンク6のディテント部65の幅よりも広い第1鍔部64a及び第2鍔部64bを有する。弾性カバー8は、第1鍔部64aと第2鍔部64bとの間に嵌合して固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に枢着されると共に、ドアに設けられた通孔を通って前記ドア内に進入するリンクと、
前記ドアの開閉動作に伴って前記リンクに設けられたディテント部を摺動するガイドアッセンブリーと、
前記リンクに固定される全開ストッパと、
前記リンクに設けられた固定部に嵌合され、前記ドアが閉鎖位置にあるとき、前記ドアの前記通孔を外側から閉塞する弾性カバーと、を備え、
前記固定部は、前記リンクの前記ディテント部の幅よりも広い第1鍔部及び当該第1鍔部から所定量離間する第2鍔部を有し、
前記弾性カバーは、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間に嵌合して固定されることを特徴とする自動車用ドアチェック装置。
【請求項2】
前記第1鍔部及び前記第2鍔部における前記リンクの厚さ方向の寸法を、前記リンクにおける平坦部の厚さよりも大としたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアチェック装置。
【請求項3】
前記弾性カバーは、中央部が皿状に凹んだ皿状部と、前記皿状部の外周に設けられ、前記ドアの閉鎖時、前記ドアに接触する外周縁部と、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間の嵌合部に外嵌する嵌合孔とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用ドアチェック装置。
【請求項4】
前記弾性カバーの前記皿状部を、前記外周から前記中央部に向けて厚さが漸減するように形成したことを特徴とする請求項3記載の自動車用ドアチェック装置。
【請求項5】
前記弾性カバーの前記嵌合孔は、前記皿状部の前記中央部に形成された厚肉部に形成され、
前記厚肉部は、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間に嵌合することを特徴とする請求項3又は4記載の自動車用ドアチェック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを任意の開度位置に保持可能な自動車用ドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアチェック装置は、一端部が車体に揺動可能に枢着され、他端部がドアパネルに設けられた通孔からドア内に進入するリンクと、ドア内に設置され、ドアの開閉動作に伴ってリンクの表面を摺動するシューを有するガイドアッセンブリーとを備え、シューとリンクの表面とが互いに接触する接触面に作用する抵抗力によって、ドアを所定の開度位置に保持するものである。
【0003】
また、自動車走行時に、風がドアパネルの通孔からドア内に進入することで発生する風切り音を防止するために、ドアの閉鎖時、通孔を閉塞するゴム製の弾性カバーを備えたドアチェック装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5727287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、ドアチェック装置は、自動車への組付け作業を考慮して、リンクにガイドアッセンブリー、弾性カバー及びその他の部品を組み付けたアッセンブリー状態で、ドア内からリンクの一端部及び当該リンクに取り付けられた弾性カバーをドアパネルの通孔を通過させてドア外に出すことで、リンクの一端部を車体パネルに枢着して組み付けられる。
【0006】
しかしながら、弾性カバーは、ドアパネルの通孔を閉塞する機能を有する関係上、その外形は通孔よりも大としなければならない。そのため、特許文献1に記載されているようなドアチェック装置を自動車に組付ける場合、弾性カバーをドアパネルの通孔を通過させる際、弾性カバーを弾性変形させる必要がある。これが原因で、弾性カバーがリンクの取り付け位置からずれてしまい、ドアの閉鎖時に通孔を確実に閉塞できなくなる虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、弾性カバーのリンクに対する取り付けを確実にして、ドアパネルの通孔を確実に閉塞できるようにした自動車用ドアチェック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
第1の発明は、車体に枢着されると共に、ドアに設けられた通孔を通って前記ドア内に進入するリンクと、前記ドアの開閉動作に伴って前記リンクに設けられたディテント部を摺動するガイドアッセンブリーと、前記リンクに固定される全開ストッパと、前記リンクに設けられた固定部に嵌合され、前記ドアが閉鎖位置にあるとき、前記ドアの前記通孔を外側から閉塞する弾性カバーと、を備え、前記固定部は、前記リンクの前記ディテント部の幅よりも広い第1鍔部及び当該第1鍔部から所定量離間する第2鍔部を有し、前記弾性カバーは、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間に嵌合して固定されることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1鍔部及び前記第2鍔部における前記リンクの厚さ方向の寸法を、前記リンクにおける平坦部の厚さよりも大としたことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記弾性カバーは、中央部が皿状に凹んだ皿状部と、前記皿状部の外周に設けられ、前記ドアの閉鎖時、前記ドアに接触する外周縁部と、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間の嵌合部に外嵌する嵌合孔とを有することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記弾性カバーの前記皿状部を、前記外周から前記中央部に向けて厚さが漸減するように形成したことを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、前記弾性カバーの前記嵌合孔は、前記皿状部の前記中央部に形成された厚肉部に形成され、前記厚肉部は、前記第1鍔部と前記第2鍔部との間に嵌合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、弾性カバーがリンクのディテント部よりも幅広の第1鍔部及び第2鍔部との間に嵌合固定されるため、弾性カバーのリンクに対する固定を確実にして、ドアの通孔を確実に閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のドアチェック装置を備えた自動車の側面図である。
図2】本発明に係るドアチェック装置の分解斜視図である。
図3図1におけるIII−III線水平断面図である。
図4図3におけるIV矢視図である。
図5】ドアが全開位置にあるときの図3と同じ部位の水平断面図である。
図6図3におけるVI−VI線縦断面図である。
図7図4におけるVII−VII線拡大水平断面図である。
図8図6における矢視VIII部の拡大図である。
図9】リンクの要部及び弾性カバーの拡大側面図である。
図10】リンクの要部及び弾性カバーの拡大平面図である。
図11】(a)は、弾性カバーの正面図、(b)は、(a)のb−b線縦断面図、(c)は、弾性カバーの後面図、(d)は、(a)のd−d線水平断面図、(e)は、(b)の矢視e部の拡大図である。
図12】ドアチェック装置の自動車への取り付けを説明するための斜視図である。
図13】アッセンブリー状態にある弾性カバーをドアパネルの通孔を通す前の要部の縦断面図である。
図14】同じく弾性カバーがドアパネルの通孔を通過する直前の要部を後方から見た後面図である。
図15図14におけるXV−XV線縦断面図である。
図16図14におけるXVI−XVI線水平断面図である。
図17】弾性カバーがドアパネルの通孔を通過した状態の要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係わる一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で使用する方位は、ドアチェック装置1を自動車に取り付けた状態での方位を指す。
【0016】
図1に示すように、ドアチェック装置1は、車体に上下のドアヒンジ2、2により開閉可能に枢支されるドア3の開閉動作に対して所定の抵抗力を付与することで、ドア3を任意の開度位置に保持するものであって、図2−6に示すように、前端部(枢着側)が支持ブラケット5を介して車体パネル4に枢着され、後端部がドア3における前端面のドアパネル31に設けられる通孔3aを通ってドア3内に進入するリンク6と、ドア3内に取り付けられ、ドア3の開閉動作に伴ってリンク6の表面を摺動するガイドアッセンブリー7と、ドア3の閉鎖時にドアパネル31の通孔3aを閉塞するゴム製の弾性カバー8と、ドア3の全開位置を規制する全開ストッパ10と、を含んで構成される。
【0017】
リンク6は、主に図6から理解できるように、1枚の金属板61の表面にモールド成形等で合成樹脂材62を被覆することで形成され、長手方向(前後方向(図6において左右方向))の前端部に形成された枢支部63が上下方向を向くシャフト9により車体パネル4に固定される支持ブラケット5に枢着される。
【0018】
リンク6の枢支部63には、シャフト9が挿入される軸孔63aが形成され、同じく枢支部63よりも若干後部寄りには、弾性カバー8をリンク6に固定するための固定部64が合成樹脂材62により形成され、同じく後端部には、リンク6と別部材で形成された全開ストッパ10が固定され、また、固定部64と全開ストッパ10との間の領域には、ドア3の開閉動作に伴って、ガイドアッセンブリー7の後述のシュー14、15が摺動するディテント部65が合成樹脂材により形成される。
【0019】
ディテント部65は、ドア3が全閉位置と僅かに開いた位置の範囲にあるとき、シュー14、15が接触する平坦部65aと、当該平坦部65aよりも厚さが厚くなるように平坦部65aの後側に連続形成され、ドア3が半開位置(乗員が乗降可能な開度)と全開位置(図5に示す位置)との間にあるとき、シュー14、15が接触する隆起部65bを有し、隆起部65bの表面は、シュー14、15との間に作用する抵抗力を増大させるように長手方向に沿って略波形状に形成される。なお、ディテント部65は、左右方向の幅W3(図3参照)が長手方向に沿って均一になるように形成されている。
なお、固定部64については、後で詳細に説明する。
【0020】
ガイドアッセンブリー7は、図2、8に示すように、上下2本のボルト11によりドアパネル31の内面に固定される金属製のケース12と、ケース12に進入しているリンク6のディテント部65を上下から挟みようにして、ケース12内に収容された上下のシュー14、15と、ケース12内に収容され、シュー14、15をリンク6のディテント部65に向けて付勢する上下のコイルばね16、17と、ケース12の後面の開口を閉塞する金属製のカバー13とを有する。
【0021】
ケース12及びカバー13には、リンク6をケース12内に進入させるための正面視矩形の通孔12a及び13aが設けられる。
ガイドアッセンブリー7は、主に図7、8に示すように、ケース12の通孔12aがドアパネル31の通孔3aと重なり合うようにして、ドアパネル31の内面に固定される。
【0022】
上下のシュー14、15は、互いに上下に点対称形状であって、ケース12内に進入しているリンク6のディテント部65を摺動する摺動部14a、15aと、摺動部14a、15aの一側部にあって、リンク6の側面に接触することでリンク6の横振れを抑制するガイド部14b、15bとを有し、ドア3の開閉動作に伴って、摺動部14a、15aがリンク6のディテント部65を摺動すると共に、ディテント部65の隆起部65bとの間に作用する抵抗力によってドア3を任意の開度位置に保持する。
【0023】
なお、シュー14、15のガイド部14b、15bは、リンク6の横振れを抑制するものであるから、図7に示すように、ガイド部14bとガイド部15bとの左右方向の間隔W4は、リンク6のディテント部65の幅W3よりも僅かに大きくなるように設定される。
【0024】
ガイドアッセンブリー7のリンク6に対するアッセンブリーは、リンク6に全開ストッパ10を固定する前の段階で、リンク6の後端部からケース12の通孔12a、シュー14、15間、及びカバー13の通孔13aに進入させることで行われる。
【0025】
全開ストッパ10は、リンク6の後端部に固定される金属板10aと、当該金属板10aの前面に固定されるゴム製の弾性板10bとから構成され、ドア3が開方向へ移動した際、図5に示すように、カバー13の後面が弾性板10bに当接することでドア3の全開位置を規制する。なお、全開ストッパ10のリンク6への組付けは、ガイドアッセンブリー7をリンク6にアッセンブリーした後に行われる。
【0026】
次に、リンク6の固定部64及び当該固定部64に固定される弾性カバー8について説明する。
【0027】
主に図9、10に示すように、リンク6の固定部64は、枢支部63に近接する第1鍔部64aと、当該第1鍔部64aから後方へ所定距離離間する第2鍔部64bと、第1鍔部64aと第2鍔部64bとの間の嵌合部64cとを含んで形成される。
【0028】
第1鍔部64aは、上下方向(リンク6の厚さ方向と平行な方向)の寸法H1(図9参照)がリンク6の平坦部65aの厚さよりも厚く、かつ枢支部63の厚さと略同一であり、また、左右方向(リンク6の長手方向及びシャフト9の軸線方向に直行する方向)の寸法W1(図10参照)がリンク6のディテント部65の幅W3よりも幅広になるように形成される。
【0029】
第2鍔部64bは、上下方向の寸法H2(図9参照)が第1鍔部64aの寸法H1よりも大きく、かつディテント部65における隆起部65bの厚さT3(図4参照)と略同一であり、また、左右方向の寸法W2(図10参照)がディテント部65の幅W3よりも幅広になるように形成される。
【0030】
嵌合部64cは、左右方向の幅がディテント部65の幅W3と略同じで、また、厚さがディテント部65の平坦部65aの厚さと略同じになるように形成される。
【0031】
弾性カバー8は、ドア3の閉鎖時、ドアパネル31の通孔3aを完全に閉塞するものであるから、図11に示すように、その外形は少なくとも通孔3aよりも大きい矩形形状であって、中央部分が前方(リンク6の枢支部63を向く方で、図11(b)、(e)において左方)へ皿状に凹んだ矩形皿状部81と、当該矩形皿状部81の外周縁から後方へ向けて所定量延伸し、ドア3の全閉時にドアパネル31の外面に接触する外周縁部82とを有している。矩形皿状部81の中央部分には、他の部位よりも肉厚で、かつリンク6の第1鍔部64aと第2鍔部64bとの間の距離に相当する厚さの厚肉部84が設けられる。この厚肉部84の中央部には、開口寸法がリンク6の固定部64における嵌合部64cの外形寸法と略同一寸法の矩形の嵌合孔83が設けられる。
【0032】
弾性カバー8のリンク6に対する組付けは、リンク6の枢支部63に支持ブラケット5に連結する前の段階で、リンク6を枢支部63の方から弾性カバー8の嵌合孔83に弾性変形させながら差し込んで、主に図9、10に2点鎖線で示すように、厚肉部84をリンク6の第1鍔部64aと第2鍔部64b間に嵌合させることによって達成される。
【0033】
弾性カバー8が固定部64に嵌合固定されている状態においては、図9、10に2点鎖線で示すように、弾性カバー8の厚肉部84が、左右方向の寸法W1がリンク6の幅W3よりも大きい第1鍔部64aと、左右方向の寸法W2がリンク6の幅W3よりも幅広で、かつ高さの寸法H2がアーム6の厚さよりも大きい第2鍔部64bとの間に挟み込まれた状態で、嵌合孔83が嵌合部64cに外嵌している。これにより、リンク6に固定された弾性カバー8は、その前方移動が第1鍔部64aにより規制され、後方移動が第2鍔部64bにより規制されることから、弾性カバー8は、リンク6の固定部64に確実に嵌合固定されて固定部64から簡単に外れるようなことはない。
【0034】
さらに、図11(e)に示すように、弾性カバー8における矩形皿状部81は、外周から中央部に向けて厚さが漸減するように形成される。外周縁部82は、矩形皿状部81との境目に段差部85が形成されることで、厚さt1が矩形皿状部81の最も厚さが厚い外周部分の厚さt2よりも厚くなるように形成される。
【0035】
ドアチェック装置1の自動車への組付けは、次のようにして行われる。先ず、図12に示すように、リンク6に支持ブラケット5、ガイドアッセンブリー7、弾性カバー8及び全開ストッパ10を組み付けたアッセンブリー状態で、図13に示すように、ドアチェック装置1の前端部をドア1の内側からドアパネル31の通孔3aに挿入し、図14−16に示すように、弾性カバー8を弾性変形させつつ通孔3aを通過させる。これにより、図17に示すように、支持ブラケット5及び弾性カバー8は、ドア3の外側に導出される。その後に、支持ブラケット5を車体パネル4に固定し、ガイドアッセンブリー7のケース12をドアパネル31の内面に固定する。
【0036】
この場合、弾性カバー8は、その外形寸法がドアパネル31の通孔3aの孔寸法よりも大きいため、ドアパネル31の通孔3aを通過する際、図14−16に示すように、矩形皿状部81及び外周縁部82の外形が縮小するように弾性変形する。
【0037】
しかし、本実施形態においては、矩形皿状部81の厚さが外周から中央部に向けて漸減するように形成されているため、矩形皿状部81が通孔3aを通過するための弾性変形を容易にしている。また、厚肉部84の厚さが矩形皿状部81よりも厚く形成されているため、矩形皿状部81の変形は厚肉部84には伝達され難い。これにより、嵌合孔83が固定部64から抜け出て、弾性カバー8が固定部64から外れてしまうような事態は阻止される。
【0038】
次に、ドア3の開閉時における弾性カバー8の作用について説明する。
図5に示すように、ドア3が開いている場合には、弾性カバー8は、リンク6の固定部64に固定されて、ドアパネル31の外面から離れている。この状態でドア3を閉じると、ガイドアッセンブリー7のシュー14、15がリンク6のディテント部65を前方へ向けて摺動し、図3、4に示すように、ドア3が全閉状態となると、主に図7、8に示すように、弾性カバー8は、ドアパネル3の外面に接触する。
【0039】
弾性カバー8がドアパネル31の外面に接触して押し付けられると、図7、8から理解できるように、弾性カバー8は、矩形皿状部81が前方へ向けて弾性変形すると共に、外周縁部82がドアパネル31の外面に接触して、ドアパネル31の通孔3aを閉塞する。
【0040】
この場合、弾性カバー8の矩形皿状部81の厚さが中央部に向けて漸減する形状であるため、矩形皿状部81は、前方、すなわちドア3の閉方向へ容易に弾性変形することができる。また、外周縁部82の厚さが矩形皿状部81よりも厚いため、矩形皿状部81の弾性変形が外周縁部82に伝達され難くなり、外周縁部82がドアパネル31の外面に確実に接触することができる。これにより、自動車の走行時に発生する風が通孔3aを通ってドア3内に進入する際に発生する風切り音を確実に防止することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(1)弾性カバー8を正面視で円形又は楕円形とする。
(2)ガイドアッセンブリー7の構成を適宜変更する。
(3)リンク6の固定部64における第1鍔部64aの上下方向(リンク6の厚さ方向と平行な方向)の寸法H1を枢支部63の厚さよりも大とする。
【符号の説明】
【0042】
1 ドアチェック装置 2 ドアヒンジ
3 ドア 3a 通孔
31 ドアパネル 4 車体パネル
5 支持ブラケット 6 リンク
61 金属板 62 合成樹脂材
63 枢支部 63a 軸孔
64 固定部 64a 第1鍔部
64b 第2鍔部 64c 嵌合部
65 ディテント部 65a 平坦部
65b 隆起部 7 ガイドアッセンブリー
8 弾性カバー 81 矩形皿状部
82 外周縁部 83 嵌合孔
84 厚肉部 85 段差部
9 シャフト 10 全開ストッパ
10a 金属板 10b 弾性板
11 ボルト 12 ケース
12a 通孔 13 カバー
13a 通孔 14、15 シュー
14a、15a 摺動部 14b、15b ガイド部
16、17 コイルばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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