【解決手段】自立型設備ユニット1は、断面略筒状で自立する起立ユニット3と一端が起立ユニット3に連結され、他端が躯体壁6に連結された天井ユニット4とで略L字状に構成した。起立ユニット3の一方の面には可動な浴槽8を設置した。浴槽8は床面に設置した使用状態と起立ユニット3に回動させた格納状態とを取り得る。起立ユニット3の反対側には可動な便器10を設置した。起立ユニット3と天井ユニット4内には、浴槽8に湯を供給する給湯管、浴槽8や便器10に給水する給水管、浴槽8や便器10の汚水を含む排水を圧送する排水管19を備えた。排水管には圧送ポンプユニット20を設置して排水を上方に圧送して外部に排出させる。換気ダクトや電気配線を収納した。
前記起立ユニットと天井ユニットは、少なくとも配管を挿通させる中空部を備えており、前記起立ユニットには前記配管に接続される圧送ポンプユニットを備えた請求項1に記載された自立型設備ユニット。
前記躯体壁に対する前記天井ユニット及び/または前記起立ユニットの設置角度を特定するガイド機構を備えている請求項1から3のいずれか1項に記載された自立型設備ユニット。
前記起立ユニットには、照明、給湯、空調等の少なくともいずれかを制御するスイッチ、コンセント、コントローラー、リモコンの少なくとも1つを設置し、または周辺環境の状態を把握し制御する撮影機器または監視機器等を制御するリモコンを設置した請求項1から4のいずれか1項に記載された自立型設備ユニット。
前記起立ユニットの周囲には浴槽、便器、防水パン、浴室ユニット、シャワーユニット、トイレユニット、キッチン、洗面台、開閉体等の衛生設備の少なくともいずれかを設置した請求項1から6のいずれか1項に記載された自立型設備ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の衛生設備ユニットでは、フレームは断面積が小さく細いので強度が小さく、躯体壁にフレームを渡してユニットを支持させる場合、支持強度が弱くねじれやすいという欠点があった。しかも、可動な衛生設備や扉や窓等の開閉体を吊り下げて支持するには脆弱であった。また、フレームを橋渡しする際、施工によって位置ずれが生じ易く施工精度を向上させにくかった。その上、大きな配管や複数本の配管、或いはまとめた電気配線等の設置スペースの確保やメンテナンスに制約があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、自立可能で高強度であり、可動な衛生設備や開閉体であっても高強度に支持できて高い施工精度を確保できるようにした自立型設備ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による自立型設備ユニットは、断面略筒状または略面状で自立していて内部に配管と配線とダクトの少なくともいずれかを収納可能な中空部を備えた起立ユニットと、起立ユニットに連結されていて配管と配線とダクトの少なくともいずれかを設置可能であると共に一端が躯体壁に連結された天井ユニットと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、断面略筒状または略面状で起立ユニットと躯体壁に連結された天井ユニットとを一体に配設したため自立可能であり、しかも高強度で配管や配線やダクト等が収納可能であるため、適宜の衛生設備や開閉体を設置可能である上に配管や配線やダクト等のメンテナンスや交換等も容易である。
【0007】
また、起立ユニットと天井ユニットは、少なくとも配管を挿通させる中空部を備えており、起立ユニットには配管に接続される圧送ポンプユニットを備えることが好ましい。
本発明によれば、起立ユニットに圧送ポンプを設置したため、浴槽や便器等の衛生設備から排出される排水を圧送ポンプによって圧送して外部設備に搬送できる。
【0008】
また、天井ユニットは配管と配線とダクトの少なくとも1つを設置する載置面を有していてもよい。
天井ユニットに配管や配線やダクト等を設置できるため、床下にこれらの部材を設置する場合と比較して取り回しや配設位置の選択等が容易である上に、床面等の居住空間から目視できないので外観の見栄えもよい。
【0009】
また、躯体壁に対する天井ユニット及び/または起立ユニットの設置角度を特定するガイド機構を備えていてもよい。
ガイド機構によって躯体壁に対する自立型設備ユニットの設置角度を選択して高強度に固定できるため、取り付け強度が高い。
【0010】
また、起立ユニットには、照明、給湯、空調等の少なくともいずれかを制御するスイッチ、コンセント、コントローラー、リモコンの少なくとも1つを設置し、または周辺環境を把握し制御する撮影機器または監視機器等を制御するリモコンを設置してもよい。
本発明によれば、照明、給湯、空調等を制御するスイッチ、コンセント、コントローラー、リモコンや、周辺環境の状態を把握し制御する撮影機器または監視機器等を制御するリモコンを設置して、自立型設備ユニットの内部に収納した配線等を通して電力を供給したり制御信号を入出力したりすることができる。
【0011】
また、配管は保温巻されており、または配管、配線及びダクトの少なくともいずれかは耐火被覆されていてもよい。
給水管や給湯管等の配管は保温巻されているために給水温度や給湯温度等を保温して内部の水や湯等の温度の変動を抑制でき、環境温度の影響を抑制できる。また、配管、配線及びダクト等の少なくともいずれかを耐火被覆することで、キッチン等の近傍で高熱に晒されたとしても熱で劣化したり熱影響を受けたりすることを抑制できる。
【0012】
また、本発明による自立型設備ユニットは、起立ユニットの周囲に浴槽、便器、防水パン、浴室ユニット、シャワーユニット、トイレユニット、キッチン、洗面台、開閉体等の衛生設備の少なくともいずれかを設置してもよい。
自立型設備ユニットに上述した水回り設備を含む衛生設備を接続した場合、自立設備ユニット内に配設される配管や配線やダクト等を使って衛生設備の給排水や通電及び通信制御や換気や排気等を省スペース空間で行うことができる上にメンテナンスや交換作業等が容易である。そのため、建築躯体からの配管や配線やダクト等の取り出し取り付けが容易で、設置位置の自由度が高い。
【発明の効果】
【0013】
本発明による自立型設備ユニットによれば、断面略筒状または略面状で内部に配管と配線とダクトの少なくともいずれかを収納可能な中空部を備えた起立ユニットと一端が躯体壁に連結された天井ユニットとを備えたため、自立可能で高強度に支持できて高い施工精度を確保できる上に、周囲に設置した衛生設備への給排水や通電及び通信制御や換気等を省スペースで行うことができてメンテナンスも容易である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による自立型設備ユニットを添付図面によって説明する。
図1乃至
図3は本発明の第一実施形態による自立型設備ユニットを示すものである。
図1に示す自立型設備ユニット1は建物の居住空間に設置されており、床面2から起立する起立ユニット3と天井ユニット4とで略L字形に形成されている。起立ユニット3は例えばトイレを壁掛け支持する支持部材であり、水平断面が縦横方向にそれぞれ所定幅を有する中空の筒体で形成され、床面2から自立して鉛直方向に延びている。
【0016】
天井ユニット4は水平方向に配設された筒体で形成され、起立ユニット3の上端部に一端が連結され他端部は躯体壁6に面で連結されている。天井ユニット4は図示しない天井面をなす天井スラブの梁からわずかに隙間を開けて下側に設置されているが、天井面に当接して設置してもよい。
天井ユニット4や起立ユニット3は例えば四角筒枠等のフレームをパネルで覆った筒状にした構成でもよいし、或いはフレームを用いることなく高剛性パネルだけで四面を形成したフレームレス構造でもよい。また、起立ユニット3や天井ユニット4は略四角形筒状に限定されるものではなく、略円筒状でもよいし他の多角形筒状でもよく、その断面形状は任意に設定できる。
【0017】
天井面と天井ユニット4との間に適宜の隙間を設置した方が、天井が高く見えるため好ましい。天井面は突出する梁や施工誤差等の関係で水平でない場合があり、天井ユニット4を天井面から離すことで水平に設置することができる。しかも、天井面と天井ユニット4との間に隙間を設けると後述するように天井ユニット4に配設した配管や電気配線22や換気ダクト21等を取り出しやすい。
また、床面から天井ユニット4までの距離は適宜設定できるが、一例をいえば、2118mm〜1720mmの範囲、或いは2118mm〜1830mmの範囲に設定できる。
【0018】
自立型設備ユニット1における起立ユニット3及び天井ユニット4と躯体壁6で仕切られた空間内には起立ユニット3に支持された浴槽8が設置されている。
図1及び
図2に示すように、浴槽8は起立ユニット3(または床面2)に対して図示しない回動軸を介して起立及び倒伏可能に連結されている。浴槽8の上方には天井ユニット4が設置されており、これが浴槽8の天井になる。浴槽8は
図1に示すように床面2上に倒れた状態で入浴可能であり、
図2に示すように起立ユニット3に平行に起立した状態で格納されてなる可倒浴槽である。
起立ユニット3の浴槽8と反対側の側面には水洗便器等の便器10が起立及び倒伏可能に連結されている。便器10は起立ユニット3における床面2より高い位置に図示しない回動軸回りに回動可能に設置されており、水平に倒れた状態で使用可能であり、起立ユニット3に平行に起立した状態で格納されている。浴槽8と便器10は自立型設備ユニット1に設置された水回り設備(衛生設備)である。
【0019】
浴槽8を設置した空間において、起立ユニット3の両側面には躯体壁6との間で浴槽8を囲って浴室15を仕切る側壁12a、12bが設置されている。一方の側壁12aには躯体壁6との間に形成された浴室15の出入口15aを開閉する扉体13がスライド可能に設置されている。扉体13は後述するように天井ユニット4に吊り下げられてスライド可能とされている。
また、他方の側壁12bにも躯体壁6との間で回動可能な扉体14が設置されている。或いは、扉体14は扉体13と同様に天井ユニット4に吊り下げられて他方の側壁12bに重なるようにスライド可能とされていてもよい。他方の扉体14は、浴槽8の使用時には他方の側壁12bと同一面上に配置されて浴室15の壁面を形成しており、浴槽8の格納時には他方の側壁12bに直角に折り曲げられて一方の側壁12aと共に浴槽8を囲うように配置される。浴槽8の格納時には一方の扉体13は側壁12aに重なる位置にスライドして保持される。そのため、
図2に示す浴槽8の格納時に、浴槽8の底面に重なる他方の扉体14と躯体壁6との間は通路として使用できる。
【0020】
次に、便器10を設置した空間において、起立ユニット3の両側部には浴室15の側壁12a、12bがトイレ室16を仕切るように延びており、その先端面にトイレ扉11が開閉可能に設置されている。便器10は使用時には、
図1に示すように、トイレ室16内で水平に保持され、格納時には
図2に示すように垂直に折り畳まれている。
なお、
図1及び
図2に示す例では、浴室15とトイレ室16は共通の側壁12a、12bを用いているが、起立ユニット3の両側で別個の側壁をそれぞれ設置してもよい。また、
図1に示す例では、トイレ室16は側壁12a、12bと開閉可能なトイレ扉11とで使用状態の便器10を納めた閉鎖空間を形成するように形成されている。或いは、使用状態の便器10はトイレ室16の側壁12a、12bから外側に突出するように構成してもよい。
【0021】
また、自立型設備ユニット1において、起立ユニット3と天井ユニット4は略L字形の筒状をなすL字形配管を形成しており、
図3(a)には天井ユニット4の長手方向に直交する断面図が示されている。天井ユニット4及び起立ユニット3内の中空部には、浴槽8に給湯を行う給湯管17と、便器10や浴槽8に給水を行う給水管18と、浴槽8から排出された排水や便器10から排水された汚水を排出するための排水管19とが収納されている。排水管19の下端部には排水や汚水中の物体をインペラ(羽根車)で砕く等して上方に圧送するための圧送ポンプユニット20等が設置されている。自立型設備ユニット1内には浴室15やトイレ室16を換気するための換気ダクト21が収納されている。
【0022】
更に浴槽8への給湯や温度調整等を行うためのコントロールパネルや便器10での操作パネル等が起立ユニット3の各表面に設置されていてもよい(図示せず)。自立型設備ユニット1内には、浴室15や便器10等に給電したり信号送受するための電気配線(配線)22も束ねて設置されているが、これら電気配線22は電気配管23内に設置していてもよいし、或いは電気配管23を用いずに、束ねてまたは個別に配設していてもよい。また、これらの配管以外に空調用の配管等を含んでいてもよい。
起立ユニット3には、照明、給湯、空調等を制御するスイッチ、コンセント、コントローラー、リモコンや、周辺環境の状態を把握し制御するカメラ等の撮影機器または赤外線センサ等の監視機器等を制御する受像機やリモコン等を設置して、自立型設備ユニット1の内部に収納した電気配線22等を通して電力を供給したり制御信号を入出力したりすることができる。
【0023】
なお、自立型設備ユニット1における各配管等を収納した天井ユニット4は必ずしも筒状に形成されていなくてもよい。例えば、
図3(b)に示すように断面略コの字状に形成されていてもよいし、或いは
図3(c)に示すように平板状等の載置面に形成されていてもよい。いずれの場合でも、天井ユニット4は給湯管17や給水管18や排水管19や換気ダクト21や電気配線22等を居室の床面側から目視できないように設置できればよく、美観を損ねることがない。
なお、各配管や換気ダクト21等の断面形状は任意であり、天井ユニット4の高さを圧縮するために楕円形等の扁平な断面形状の配管やダクト等を採用してもよい。また、
図3(a)において、天井ユニット4の上面を蓋として開閉可能にしてもよく、この場合には各配管や換気ダクト21や電気配線22等のメンテナンスや交換等が容易になる。
図3(b)に示す天井ユニット4においても、開閉可能な蓋を設置してもよい。
【0024】
本第一実施形態においては、給湯管17や給水管18や排水管19の各種の配管や換気ダクト21等や電気配線22等は床面に引き込むことなく、床面側から自立型設備ユニット1の起立ユニット3を通して立ち上げて天井ユニット4を介して天井側に取り回すようにした。そのため、自立型設備ユニット1とその周囲の浴槽8や便器10等の水回り設備を床面上で適宜位置に選択的に設置でき、設置の自由度が高い。或いは躯体壁6の裏面側に設置した配管24に収納してもよい。
【0025】
本実施形態による自立型設備ユニット1は上述した構成を備えており、次にその使用方法について説明する。
自立型設備ユニット1に設置した浴槽8は、使用状態で
図1に示すように床面2上に横たわっており、側壁12aに対して扉体13をスライドさせ且つ扉体14を回動させて、躯体壁6に当接させることで浴室15を閉鎖空間にした。この状態で、図示しないコントロールパネルまたは操作パネルを操作して自立型設備ユニット1内の給湯管17を通して浴槽8内に湯を給湯する。給湯終了後、扉体13をスライドして開口することで入浴者が浴室15内に入って入浴できる。
【0026】
入浴後は浴槽8内の湯を排出させ、圧送ポンプユニット20によって排水管19を通して天井側に圧送して排水する。その後、
図2に示すように、浴槽8を起立ユニット3側に回動させて起立させる。そして、一方の扉体13を側壁12aに重なる位置にスライド移動させ、他方の扉体14を浴槽8の底面に回動させることで浴室15を小さい空間に閉鎖させる。この状態で浴室15と躯体壁6との間に空間が形成され、人が通行可能になる。
【0027】
次に、便器10を使用する場合には、
図1に示すように、起立ユニット3に対して便器10を水平に倒して保持した状態で使用できる。そして、使用後には、便器10を起立ユニット3側に回動させて起立させ、トイレ室16のトイレ扉11を閉鎖させることで格納できる(
図2参照)。
【0028】
上述したように、本第一実施形態による自立型設備ユニット1によれば、断面略筒状で略L字状に折り曲げて形成したため、従来のフレームユニット構造と比較して支持強度が高くねじれに強いという利点がある。また、自立型設備ユニット1の施工に際して、位置ずれを抑制して施工精度が高い。
しかも、自立型設備ユニット1は断面略筒状で大径の排水管19や換気ダクト21を設置でき、更に給水管18や給湯管17や電気配線22等もまとめて設置できるため、各配管の経路がまとまって単純化できて浴槽8や便器10等の衛生設備への接続とメンテナンスが容易である。
また、自立型設備ユニット1に可動の浴槽8や便器10等の衛生設備や扉体13,14等の開閉体が設置されていてもしっかり支持できる。
【0029】
なお、本発明による自立型設備ユニット1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の他の実施形態や変形例等について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を省略する。
【0030】
次に本発明の第二実施形態による自立型設備ユニット25について
図4乃至
図6により説明する。本第二実施形態による自立型設備ユニット25は、上述した第一実施形態と同様に略筒状をなす起立ユニット3及び天井ユニット4とで略L字状に形成され、天井ユニット4の端部が躯体壁27に連結されている。
そして、起立ユニット3の両側面には側壁26a、26bが略平行に配列されていて起立ユニット3と天井ユニット4と躯体壁27との間に浴槽8が設置されている。躯体壁27はその水平断面で複数の凹部27aが配列された略櫛刃形状を有しており、1つの凹部27a内に浴槽8の一端部が嵌合されている。嵌合する浴槽8と凹部27aとの間の空間が浴室15の洗い場28を形成する。浴槽8は横たわって固定設置されているが、第一実施形態と同様に収納可能としてもよい。
しかも、浴槽8が嵌合する一の凹部27aの両側に配列された複数の凹部27aにはそれらの側部27bの先端部が封止壁27cで封止されている。浴槽8の他端部は起立ユニット3の下部近傍に設置されている。
【0031】
また、起立ユニット3の浴槽8と反対側の面には便器10が連結されている。便器10を設置した側壁26a、26bで仕切られた空間はトイレ室16を形成し、その先端開口にトイレ扉11が開閉可能に取り付けられている。便器10を水平方向に固定構造であるが、格納可能としてもよい。
起立ユニット3の一方の側面に連結された一方の側壁26aの外側において、その下部には流し台やガス台等を有する下部キャビネット29を有するキッチン本体30がキッチンとして設置されている。キッチン本体30の上方には側壁26aの上部に上部キャビネット31が取り付けられている。また、起立ユニット3の他方の側面に連結された他方の側壁26bの外側において、その下部に洗面台33が取り付けられている。
これらの浴槽8、便器10、キッチン本体30、洗面台33等には第一実施形態と同様に、自立型設備ユニット25内に収納された給湯管17、給水管18、排水管19、換気ダクト21、電気配線22等がそれぞれ接続されている。
【0032】
次に、浴室15の開閉構造について説明する。
図4及び
図5において、天井ユニット4の下面には幅方向両端部に設けた一対のレール受け部40が天井ユニット4の長手方向に延びており、この一対のレール受け部40には浴室15の両側に沿ってスライド可能な開閉扉35の複数対の車輪44が吊り下げられている。躯体壁27の封止壁27cと側壁26a、26bの間の浴室15の開放空間Kを各一対の開閉扉35で開閉可能とされている。
【0033】
次に、
図5乃至
図7によって、開閉扉35の開閉機構について詳述する。平面視略長方形の浴槽8に対向する天井ユニット4の下面両側には、浴槽8の各一対の開閉扉35を吊り下げるための吊り下げ機構36がそれぞれ設置されている。
図7に示す吊り下げ機構36の拡大図において、天井ユニット4の下面には上部枠体37の下面にねじ止めされた下部枠体38が設置されている。下部枠体38内の上部には中央開口40bを挟んで両側に一対のレール部40aが形成されたレール受け部40が長手方向に沿って延びている。
【0034】
一方、開閉扉35を両面側から挟んで支持する一対の支持部42の上部に支持軸43が突出形成されている。この支持軸43は中央開口40bを通してレール受け部40内に延びており、支持軸43の両側にはレール部40aに載置されて摺動可能な一対の車輪44が支持されている。
図6に示すように、一対の支持部42で挟持されて吊り下げられた開閉扉35は下方に垂下されており、その下端部は浴槽8の長辺の天端8aに設けた受け溝46内に納められている。そのため、開閉扉35を天井ユニット4のレール受け部40に沿ってスライド移動させると、浴槽8の受け溝46に沿って摺動して開閉作動する。
【0035】
また、自立型設備ユニット25の内部には第一実施形態と同様に、給湯管17と排水管19と給水管18と換気ダクト21とが収納され、更に電気配線22を束ねて収納した電気配管23が収納されている。
また、
図4に示す自立型設備ユニット1において、天井ユニット4の躯体壁27との連結部に床面2から上方に延びる調整支柱47が天井ユニット4の下面に当接している。この調整支柱47の下端部には調整ナット48が固定され、調整ナット48にねじ軸が螺合した調整ボルト49が床面2に設置されている。そのため、自立型設備ユニット1の天井ユニット4の先端が躯体壁27に当接した状態で、天井ユニット4が水平になるように調整ボルト49によって調整支柱47の高さを調整できる。なお、天井ユニット4を躯体壁27に固定した後で、調整支柱47を取り外してもよい。
これら調整支柱47、調整ナット48及び調整ボルト49は、自立型設備ユニット25のガイド機構を構成する。
【0036】
本第二実施形態による自立型設備ユニット25は上述した構成を備えているから、
図4及び
図5に示す浴室15において、浴槽8の幅方向両側における躯体壁27の側部27b、27bと両側の側壁26a、側壁26bとの間に開放空間Kがそれぞれ形成されている。この状態から、入浴時には天井ユニット4の幅方向両側に設けた一対のレール部40aに沿って両側から各開閉扉35をスライドさせて対向する開放空間Kを閉鎖させる。この状態で浴室15が閉鎖され、入浴できる。
また、浴室15の不使用時には、各開放空間Kを閉鎖させた2枚の開閉扉35を外側に開いて側壁26a、側壁26bと躯体壁27の側部27b、27bに重なる位置に移動することで、開放空間Kを開放できる。
【0037】
上述したように本第二実施形態による自立型設備ユニット25によれば、自立型設備ユニット25は支持強度が高く高精度に施工できる。
しかも、自立型設備ユニット25の周囲に設けた浴室15、トイレ室16、キッチン本体30、洗面台33等の衛生設備の使用に際し、自立型設備ユニット25の内部に設けた給湯管17や給水管18によって、水や湯を浴室15、トイレ室16、キッチン本体30、洗面台33に分配して供給することができる。また、浴室15、トイレ室16、キッチン本体30、洗面台33で生じた汚水を含む排水は自立型設備ユニット25内の圧送ポンプユニット20によって排水管19を通して天井側に圧送することで外部に排出できる。
また、浴室15の開閉扉35についても自立型設備ユニット25の天井ユニット4によって堅固にスライド移動可能に支持でき、浴室15の開放空間Kを開閉できる。更に浴室15、トイレ室16、キッチン本体30で生じる臭気や湿気や煙等を換気ダクト21を通して外気に放出し新鮮な空気と置換する等して、換気できる。
【0038】
次に、
図8は第二実施形態による自立型設備ユニット25のガイド機構の変形例を示すものであるが、第一実施形態による自立型設備ユニット1にも適用できることはいうまでもない。本変形例では、起立ユニット3と天井ユニット4の結合部にガイド機構としてのアングル51を設けている。アングル51は例えば略直角三角形板状とされ、起立ユニット3と天井ユニット4の結合角部を測定器等で直角に調整してアングル51を起立ユニット3と天井ユニット4にねじ等で固定したものである。
【0039】
また、他のガイド機構の例として、
図8に示す天井ユニット4と躯体壁27との当接部において、天井ユニット4の端部の下部に調整治具53を位置させて躯体壁27に固定した。調整治具53は、躯体壁27に固定した断面略L字状の固定部材54の天面に設けた調整ナット部55に対し、天面を貫通したねじ軸57を螺合させてその上端の調整頭部56を天井ユニット4の端部下面に当接させる。そして、天井ユニット4を図示しない水平測定器で水平になるように調整ナット部55を正逆回転させることで、調整頭部56の進退量を調整して天井ユニット4を水平に調整すれば、起立ユニット3も垂直に支持される。
なお、自立型設備ユニット25の支持角度を調整して天井ユニット4を躯体壁27に固定した後、調整治具53を取り外してもよい。
【0040】
なお、ガイド機構として、調整支柱47、アングル51、調整治具53のいずれを設置してもよく、アングル51は調整支柱47や調整治具53と併用してもよい。しかも、ガイド機構は各自立型設備ユニット1,25の天井ユニット4を躯体壁6、27に直角に固定しなくてもよく、適宜の設置角度に設定できる。
また、上述した各自立型設備ユニット1,25の壁面に照明器具等を設置してもよく、例えば天井ユニット4の上面に照明器具を設置したり埋め込んだりすれば間接照明として使用できる。
【0041】
上述した第一実施形態による自立型設備ユニット1では、自立型設備ユニット1に浴槽8と便器10等の水回り設備を設置し、第二実施形態による自立型設備ユニット25では、浴槽8と便器10とキッチン本体30と洗面台33等の水回り設備を設置した。しかし、本発明はこのような構成に限定されることなく、各種の配管やダクトや配線等を収納した自立型設備ユニット1,25に設置し、ユニット化する水回り設備を含む衛生設備は任意のものを選択的に設置できる。例えば衛生設備として、浴槽8に加えて防水パンを設置してもよく、浴槽8の代わりに浴室ユニット、またはシャワーユニットを設置してもよい。さらには、便器10の代わりにトイレユニットを設置してもよい。
なお、各配管の内の給湯管17や給水管18等は温度低下を防いだり温度調整のために保温巻されていてもよい。また、給水管18と排水管19と電気配線22と換気ダクト21の少なくともいずれかは耐火被覆されていてもよく、キッチン本体30の近傍の火炎や熱等で高温になることを防止できる。また、ダクトとして換気ダクト以外に空調ダクト等を設置してもよい。
【0042】
なお、上述した各実施形態等では、自立型設備ユニット1,25を略筒状に形成したが、これに限定する必要はなく、特に起立ユニット3は長手方向に直交する断面が略面状であれば、例えば中実の断面に各配管や換気ダクト21や電気配線22等を挿通させるための長手方向に延びる中空の孔を設けた構成でもよい。
また、自立型設備ユニット1,25と天井スラブとの間に別の天井面を設置してもよい。その場合、天井面として例えば平板プレートを設置してもよいし、メッシュシート等を設置してもよい。メッシュシートを設置すれば空調機等の通気性が良くなるため、浴室15から天井ユニット4に向けて上昇する湯気等の湿気を広く拡散できる。
【0043】
なお、上述した実施形態において、給湯管17や給水管18や排水管19の各種の配管は床面に引き込み、床下から取り回してもよい。その際、排水管19において適切な排水勾配が確保できる場合には圧送ポンプユニット20を設置せず、排水を自然流下方式としてもよい。上述した各配管や配線やダクト等の少なくとも一部を自立型設備ユニット1,25を通して天井側または床下側に誘導できればよい。
また、本実施例においては浴槽8および便器10はいずれも回動起立により収納可能としたが、いずれか1つ、もしくは両方を使用可能な水平状態に固定設置してもよい。