特開2017-219210(P2017-219210A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017219210-給水予熱装置 図000003
  • 特開2017219210-給水予熱装置 図000004
  • 特開2017219210-給水予熱装置 図000005
  • 特開2017219210-給水予熱装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-219210(P2017-219210A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】給水予熱装置
(51)【国際特許分類】
   F22D 1/08 20060101AFI20171117BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20171117BHJP
   F28F 1/00 20060101ALI20171117BHJP
   B23P 15/26 20060101ALN20171117BHJP
【FI】
   F22D1/08
   F28D1/047 B
   F28F1/00 E
   B23P15/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-111694(P2016-111694)
(22)【出願日】2016年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】亀山 達彦
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB05
3L103CC02
3L103CC27
3L103DD06
(57)【要約】

【課題】フィンチューブをU字ベンド管によって連結している給水予熱装置において、フィンチューブとU字ベンド管の自動溶接を可能とすることのできる構成とした給水予熱装置を提供する。
【解決手段】ボイラから排出される排ガスを通す排ガス通路に設置した熱交換器によってボイラ給水の予熱を行う給水予熱装置を持ったボイラであって、熱交換器は多数のフィンチューブ3を設置し、フィンチューブ3の端部同士をU字ベンド管6で連結することで長い流路を形成するようにしている給水予熱装置において、前記U字ベンド管6は口径がフィンチューブ3の口径より小さく、かつU字ベンド管の端部にはストレート部を持つものであり、U字ベンド管6によるフィンチューブの連結を行う場合、U字ベンド管6のストレート部をフィンチューブ3の端部から挿入して、U字ベンド管とフィンチューブの接合部は、すみ肉溶接で接合を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される排ガスを通す排ガス通路に設置した熱交換器によってボイラ給水の予熱を行うようにしている給水予熱装置を持ったボイラであって、熱交換器は多数のフィンチューブを設置し、フィンチューブの端部同士をU字ベンド管で連結することで長い流路を形成するようにしている給水予熱装置において、前記U字ベンド管は口径がフィンチューブの口径より小さく、かつU字ベンド管の端部にはストレート部を持つものであり、
U字ベンド管によるフィンチューブの連結を行う場合、U字ベンド管のストレート部をフィンチューブの端部から挿入して、U字ベンド管とフィンチューブの接合部は、すみ肉溶接で接合を行うようにしていることを特徴とする給水予熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のフィンチューブをU字ベンド管で連結することで蛇行した流路を構成し、フィンチューブの周囲に高温ガスを流すことでフィンチューブ内を流れる給水を加熱する給水予熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラでは、ボイラ給水と燃焼排ガスの間で熱交換することによる給水予熱が広く行われている。給水予熱装置は、排ガス通路内に排ガス流とは交差する方向に延びるフィンチューブを多数設置しておき、フィンチューブ内部にボイラ給水を通すことで、フィンチューブ周囲に流れる排ガスとフィンチューブ内を流れるボイラ給水の間で熱交換を行う。このような給水予熱装置でのフィンチューブは、一般的には端部同士を180°のU字ベンド管でつなぐことで長い流路を形成しており、ボイラ給水はフィンチューブによる流路の一方の端部から他方の端部へ向けて、途中で何度も折り返しながら流れるようにしている。
【0003】
この給水予熱装置を組み立てる場合、フィンチューブとU字ベンド管の溶接は突合わせ溶接にて行っており、フィンチューブの先端面とU字ベンド管の先端面を溶接によって接合する。単純な溶接では溶接ロボットを用いた自動溶接が行われるが、U字ベンド管の溶接ではU字ベンド管のピッチが狭く、かつ、U字ベンド管の高さが低いため、人による手溶接(TIG溶接)が一般的であった。そして給水予熱装置は圧力部で気密性を要するため、熟練した溶接者によって長時間かけて慎重に溶接することが行われていた。
【0004】
また、特開平10−96504号に記載の発明では、直管形状のフィンチューブを曲げ加工によって蛇行形状のフィンチューブにする製造方法が記載されている。この場合、直管状のフィンチューブに、フィン状部材を複数の群に分けて、各フィン状部材群間に所定の間隔をおいて固定しておき、フィン状部材の無い箇所を交互に逆方向に曲げ加工して、平面的に蛇行した形状のフィンチューブとしている。この場合は、ベント管を溶接する必要はなくなるが、フィン状部材を設置しているフィンチューブの曲げ加工を精度良く行わなければならず、容易に製造することができるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−96504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、フィンチューブをU字ベンド管によって連結している給水予熱装置において、フィンチューブとU字ベンド管の自動溶接を可能とすることのできる構成とした給水予熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ボイラから排出される排ガスを通す排ガス通路に設置した熱交換器によってボイラ給水の予熱を行うようにしている給水予熱装置を持ったボイラであって、熱交換器は多数のフィンチューブを設置し、フィンチューブの端部同士をU字ベンド管で連結することで長い流路を形成するようにしている給水予熱装置において、前記U字ベンド管は口径がフィンチューブの口径より小さく、かつU字ベンド管の端部にはストレート部を持つものであり、U字ベンド管によるフィンチューブの連結を行う場合、U字ベンド管のストレート部をフィンチューブの端部から挿入して、U字ベンド管とフィンチューブの接合部は、すみ肉溶接で接合を行うようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明を実施することにより、U字ベンド管はすみ肉溶接によってフィンチューブと溶接することができ、溶接ロボットを用いた自動溶接が可能となる。このことにより、給水予熱装置製造でのリードタイムの大幅な短縮とコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例における給水予熱装置の断面図
図2】本発明の一実施例におけるフィンチューブとU字ベンド管の接合部を拡大した断面図
図3】本発明の一実施例における給水予熱装置の熱交換器部分正面図
図4】本発明の一実施例における給水予熱装置の熱交換器部分側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している給水予熱装置の断面図、図2は本発明の一実施例におけるフィンチューブとU字ベンド管の接合部を拡大した断面図、図3図4は本発明の一実施例における給水予熱装置の熱交換器部分の正面図と側面図である。ボイラ1で発生した燃焼排ガスは、排ガス通路2を通して戸外へ排出するものであるが、排ガス通路2途中に給水予熱装置7を設けており、排ガスは給水予熱装置7を通した後に戸外へ排出する。給水予熱装置7は略直方体の形状をしており、給水予熱装置7は側面に排ガス入口8、上面に排ガス出口9を設けている。排ガス入口8は、給水予熱装置7の側面であるが上面に近い位置に設けており、排ガスは給水予熱装置内の上部に入る。
【0011】
給水予熱装置内には、内部を排ガス入口8側と排ガス出口9側に分割する仕切板4を設置しておく。仕切板4は、上端側と左右の端部では給水予熱装置の排ガス流路壁面とつながり、下端側では給水予熱装置底面との間に隔たりを持ったものとしており、給水予熱装置内は仕切板4の下方以外で分断している。給水予熱装置内部は、仕切板によって2つの排ガス流路に分割した構成で、排ガス入口8側の流路は排ガス流下降流路10、排ガス出口9側の流路は排ガス流上昇流路11となる。排ガス流は排ガス流下降流路10で下降し、仕切板4の下方でターンした後、排ガス流上昇流路11で上昇流となる。
【0012】
排ガス流下降流路10内には水平方向に伸びる多数のフィンチューブ3からなる熱交換器を設置する。フィンチューブ3は、素管表面に全周の熱吸収用フィン5を設置したものであり、熱吸収用フィン5を設置することで伝熱面積が大きくなるため、熱吸収量を大きくすることができる。給水予熱装置7内の各フィンチューブ3は、端部を連結することで蛇行する長い給水流路を形成するようにしており、給水予熱装置内への給水は、フィンチューブ群の最下段のフィンチューブ3より行う。給水予熱装置内での給水は、最下段のフィンチューブ3から順次通り、加熱されながら最上段のフィンチューブ3まで達する。予熱を行った給水は、給水予熱装置より取り出して、ボイラ1内へ供給する。伝熱面積を大きくしたフィンチューブ3では、燃焼排ガスが熱吸収用フィンの表面に沿って流れる際に燃焼排ガスから熱を吸収する。排ガス流下降流路10内にはフィンチューブ3による熱交換器を設置しており、フィンチューブ3内には温度の低いボイラ給水が流れるため、最初高温であった排ガスは、フィンチューブ3を加熱するにつれて温度を低下させていく。替わりにフィンチューブ3内を流れる給水は温度を上昇させていく。
【0013】
ここに設置しているフィンチューブは、素管の表面に多数の熱吸収用フィン5を取り付けたものであり、熱吸収用フィン5は薄い円盤であって熱吸収用フィン5の中心部には、熱吸収用フィン5を素管3に差し込んで接合するために素管外径にあわせた穴を開口している。熱吸収用フィン5の素管への接合は、熱吸収用フィン5の中心に開口している穴を素管に差し込むことで行う。
【0014】
フィンチューブ3を連結するU字ベンド管6は、フィンチューブ3より口径を小さくし、かつ、U字ベンド管6の先端にはストレート部12を設けたものとする。U字ベンド管6先端の外径をフィンチューブ3の内径より僅かに小さくし、U字ベンド管6のストレート部12をフィンチューブ3に挿入することが可能な構造とする。
【0015】
U字ベンド管6とフィンチューブ3の溶接を行う場合、まずU字ベンド管6の先端のストレート部12をフィンチューブ3の先端に挿入する。そしてU字ベンド管6をフィンチューブ3に挿入した状態でU字ベンド管6とフィンチューブ3の溶接を行う。U字ベンド管6とフィンチューブ3の接合は、U字ベンド管6を挿入しているため、溶接箇所12はフィンチューブ3の先端とU字ベンド管のストレート部13の外表面となり、溶接はU字ベンド管の側、つまり熱交換器の外側から行うことになる。
【0016】
U字ベンド管6の溶接は前記の溶接箇所12にすみ肉溶接で行うものとし、溶接ロボットを用いた自動溶接とすることができる。フィンチューブ3はU字ベンド管6が上側となる向きにしておき、溶接姿勢を下向きとして溶接を行う。溶接線はベンド管内側からスタートし、約370°の全周溶接を一気に行う。横向き姿勢での溶接を行っていた場合には、天地に分けて2回の溶接を行っていたが、下向き姿勢とすることで連続溶接が可能となる。また、溶接作業が容易になることで、熟練溶接者以外でも溶接が可能であって、溶接時間の短縮が可能となるうえに、バックシール等が不要であって、溶接品質の向上も図ることができるようになる。そして溶接ロボットによる自動溶接とすることで、生産性を格段に向上させることができる。
【0017】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 ボイラ
2 排ガス通路
3 フィンチューブ
4 仕切板
5 熱吸収用フィン
6 U字ベンド管
7 給水予熱装置
8 排ガス入口
9 排ガス出口
10 排ガス流下降流路
11 排ガス流上昇流路
12 溶接箇所
13 ストレート部

図1
図2
図3
図4