【解決手段】 調理により発生する油分を含む空気を吸込み、油分を捕集するレンジフード1であって、油分を含む空気の流れを発生させると共に、油分を捕集する羽根車100と、羽根車を内部に含むファンケーシング200と、羽根車を洗浄する洗浄機構400と、を備え、洗浄機構は、洗浄液を溜めるタンク410と、ポンプ420によりタンクから吸い上げた洗浄液を羽根車に噴射する噴射部460と、噴射部が噴射した洗浄液をファンケーシングから排水するための、ファンケーシングの下部に設けられた排出口213と、排出口からタンクへ洗浄水を導く排水路431と、を備え、排水路の少なくとも一部は、羽根車の回転方向100DRにおいて鉛直方向よりも下流側に傾いているレンジフード。
前記ファンケーシングは、前記ファンケーシングの内壁に外側へ窪んだ窪み部を下部に有し、前記排出口は、前記窪み部に設けられ、前記窪み部の奥行き方向の寸法は、前記排出口の奥行き方向の寸法より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなレンジフードでは、排水に時間がかかるため送水された洗浄液がファンケーシングの底部に溜まることで洗浄済のファン(羽根車)が汚れを含んだ洗浄液に浸り、汚れがファンに再付着するおそれがあった。
そこで、本発明は、洗浄機能の付いたレンジフードにおいて、洗浄液を素早く排水することで羽根車に汚れが再付着することを防ぐことのできるレンジフードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、調理により発生する油分を含む空気を吸込み、油分を捕集するレンジフードであって、油分を含む空気の流れを発生させると共に、油分を捕集する羽根車と、羽根車を内部に含むファンケーシングと、羽根車を洗浄する洗浄機構と、を備え、洗浄機構は、洗浄液を溜めるタンクと、ポンプによりタンクから吸い上げた洗浄液を羽根車に噴射する噴射部と、噴射部が噴射した洗浄液をファンケーシングから排水するための、ファンケーシングの下部に設けられた排出口と、排出口からタンクへ洗浄水を導く排水路と、を備え、排水路の少なくとも一部は、羽根車の回転方向において鉛直方向よりも下流側に傾いているレンジフードが提供される。
これによれば、排水路が羽根車の回転方向において、鉛直方向よりも下流側に傾いていることで、排水路は羽根車の回転によって生じる洗浄液の流れる方向に沿って設けられるため、滞りなく洗浄液をタンクへ流すことができる。これにより、洗浄液を素早く排水することができ、羽根車に汚れが再付着することを防ぐことのできるレンジフードを提供することができる。
【0007】
さらに、排出口は、ファンケーシングの最下点よりも回転方向において下流側に位置することを特徴としてもよい。
これによれば、洗浄液がタンクへより流れやすくなるため、より素早く洗浄液を排水できる。また、洗浄終了後に羽根車やファンケーシングから洗浄液の残水が流れてきた際は、ファンケーシングの最下点に残水が一時的に溜まることで、タンクを取り外した状態において、残水が排水路へ流れ出て調理器周辺に残水が滴下することを防止できる。
【0008】
さらに、ファンケーシングは、ファンケーシングの内壁に外側へ窪んだ窪み部を下部に有し、排出口は、窪み部に設けられ、窪み部の奥行き方向の寸法は、排出口の奥行き方向の寸法より大きいことを特徴としてもよい。
これによれば、洗浄中において、ファンケーシングの奥行き方向に広がった洗浄液を窪み部が捕捉し、捕捉した洗浄液が排出口に流れることで、洗浄終了後にファンケーシング内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。
【0009】
さらに、ファンケーシングは、排出口に洗浄液を案内する第1ガイド部を内壁に有することを特徴としてもよい。
これによれば、ファンケーシングの奥行き方向に広がった洗浄液が排出口に流れやすくなることで、洗浄終了後にファンケーシング内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。
【0010】
さらに、ファンケーシングは、窪み部に洗浄液を案内する第2ガイド部を内壁に有することを特徴としてもよい。
これによれば、ファンケーシングの奥行き方向に広がった洗浄液が排出口に流れやすくなることで、洗浄終了後にファンケーシング内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、洗浄液を素早く排水することでファンに汚れが再付着することを防ぐことのできるレンジフードを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図14を参照して、本実施例に係るレンジフード1について説明する。レンジフード1は、下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル4を内面に有する薄型のフード部2を有する。フード部2は、やや背面右寄りに位置する連通口6付近で、排気ダクトDUに接続される送風機ボックス3と連結される。また、フード部2は、下方に整流板5を備え、フード部2の周囲の風速を高めて、下方から立ち上る油煙等を捕獲しやすくする。フード部2の正面側には、使用者が排気時の風量を指示したり、洗浄を行う指示をしたりするために操作するスイッチ610が設けられている。また、排気ダクトDUの付近には空気の逆流を防止するためのシャッターSHが設けられている。
【0014】
送風機ボックス3は、内部に、フード部2で捕獲した油煙等を含む空気の流れARを連通口6を介して送風機ボックス3の内部に導入する導入部7と、導入部7から油分を含む空気を吸い込む吸込口210を有するファンケーシング200と、ファンケーシング200の内部に含まれる羽根車100(ファンとも言う)と、羽根車100を回転駆動するモータ130と、羽根車100の内部に設けられたグリスフィルタ120と、羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120を洗浄する洗浄機構400と、ファンケーシング200と連通し油分を取り除いて浄化された空気を排気ダクトDUに排気するための、送風機ボックス3に開けられた開口部である排気口500と、羽根車100から排気口500までの空気の流路上にダンパー300と、羽根車100の回転、ダンパー300の開閉、洗浄機構400の動作などを制御する制御部600と、を有する。
【0015】
なお、送風機ボックス3は、フード部2に対して正面視でやや右寄りに設けられている。これは、本実施例の場合、排気ダクトDUと接続される排気口500が送風機ボックス3の左側面に設けられているためであり、排気口500が右側面に設けられる場合には、送風機ボックス3は、フード部2に対して正面視でやや左寄りに設けられてもよい。このように、排気口500が送風機ボックス3の側面に位置することで、送風機ボックス3の上面に設けられるより、排気ダクトDUの引き回しスペースも含めたレンジフード1の実効高さを低くすることができ、設置場所の柔軟性が向上することになる。
【0016】
羽根車100は、主に
図5と
図6に示すように、下方で行われる調理によって発生した油分を含む空気を捕集するために空気の流れARを発生させるファン(送風機)である。羽根車100がモータ130により回転駆動されることで、空気の流れARが発生し、整流板5と内面パネル4の間を油分を含む空気が移動する。導入部7は、整流板5と内面パネル4の間を移動してきた油分を含む空気を、連通口6を通して上方へ引き込む。導入部7は、連通口6から連通口6の面積とほぼ等しい断面積を持ちながら垂直方向に立ち上がり、油分を含んだ状態で空気の流れARをファンケーシング200の吸込口210へ導入する。
【0017】
羽根車100は、その円筒側面部分に、羽根110の間の空隙115を保持して複数の羽根110を有する、いわゆるシロッコファンである。なお、本実施例では後述するように、羽根110の内側111の面(回転軸側の面)に洗浄液を衝突させるので、羽根110は、回転軸131からあるひとつの羽根110を見た場合に、他の羽根110や自身の外側114の面(回転軸側の面の反対側の面)によりそのひとつの羽根110の内側の面が隠れることがないように配置されていることが好ましい。すなわち、回転軸131から見た場合、あるひとつの羽根110のファンケーシング200側の縁113(外側の縁)は、その隣の羽根110の回転軸側の縁112(内側の縁)により隠されることがない。なお、本発明に用いられるファン(送風機)は、本実施例のような遠心送風機である羽根車100が好ましいが、これに限定されず、軸流送風機であってもよい。
【0018】
なお、モータ130の回転軸131は、
図5に示すように、ほぼ水平になるように設置され、そのため回転軸131の基部132と先端133を結んだ線は、ほぼ水平になり、羽根車100の回転軸もほぼ水平である。モータ130は、通常運転である排気運転時において高速回転で羽根車100を回転させ、洗浄時においては比較的低速回転で羽根車100を回転させる。モータ130と羽根車100は、回転力伝達板134を介して結合される。回転力伝達板134は、排気運転時の空気抵抗や洗浄時の液体抵抗に対して十分に抗することができるように羽根車100の各羽根110に強固に結合され、また、回転力伝達板の中央背面側には、回転軸131に設けられているモータピン135が嵌り込み、モータ130の回転力を受け止めるボス溝136が設けられていることで、モータ130の回転駆動力を羽根車100に確実に伝達する。
【0019】
グリスフィルタ120は、主に
図5に示すように、モータ130の回転軸131の先端133に回転軸131と垂直をなすように取り付けられる平板な円盤であり、その外縁が羽根110の内側(回転軸側)の縁112に近接するように取り付けられる。これにより、羽根110とグリスフィルタ120の間から油分を含む空気の漏れが少なくなり、油分を捕獲する割合が増加する。また、グリスフィルタ120は、回転力伝達板134よりも正面側であって、羽根110の奥行き方向におけるほぼ中央部に取りけられる。グリスフィルタ120が回転力伝達板134の空気の流れの上流側にあることで、回転力伝達板134に油分が付着することを防止し、また、羽根110の奥行き方向におけるほぼ中央部に取り付けられることで、その中央部より奥側に油分が付着することを防止する。
【0020】
グリスフィルタ120は、平板な円盤に空気を通す孔が開いており、羽根車100と共に回転することで空気が孔を通過する際、油分が孔以外の肉部に衝突し、付着することで空気に含まれる油分を取り除く。なお、本実施例では、グリスフィルタ120は平板な円盤であるが、これに限定されず、皿状に湾曲していてもよいし、モータ130の回転軸131を含む断面が正面側に広がっている台形状のグリスフィルタであってもよい。
【0021】
ファンケーシング200は、主に
図5と
図9に示すように、吸込口210の周囲に空気の流れARを円滑に引き込めるように構成されているベルマウス211と、内部に羽根車100と、空気の流路上で羽根車100と排気口500の間にダンパー300と、を含む。羽根車100が発生させる空気の流れARは、吸込口210に取り付けられたベルマウス211からファンケーシング200内に吸い込まれ、空気の流れARに含まれる油分は、羽根車100の円筒側面部分に設けられた羽根110または羽根車100の円筒内部に設けられたグリスフィルタ120に衝突し、付着する。これにより、油分を含んだ空気から油分が取り除かれ、油分を取り除かれた空気は、ファンケーシング200の内部であって羽根車100の外側を通って、ダンパー300が開状態の場合、ファンケーシング200の側方(左横方向)に位置する排気口500に送出され、排気口500に接続された排気ダクトDUを通って外気に排気される。
【0022】
排気口500は、
図9に示すように、ファンケーシング200の最下点200Zの位置より上下方向で高い位置に設けられる。すなわち、排気口500の最下点500Zの位置は、ファンケーシング200の最下点200Zの位置より高い。実験値によれば、排気口500の最下点500Zとファンケーシング200の最下点200Zと結ぶ線は、水平線と10度以上、さらに好ましくは15度以上の角度を有することが好ましい。このようにすることで、排気口500の最下点500Zからファンケーシング200の最下点200Zの間に付着した油や洗浄液を、ファンケーシング200の最下点200Zの方へとスムーズに案内することができ、後述する洗浄液をファンケーシング200から排出する排出口213へ導くことで、洗浄液がファンケーシング200内で停滞してしまうことを防止することができる。
【0023】
羽根車100の回転方向100DRは正面視で右回転であり、ファンケーシング200の最下点200Z付近にある空気は、本図に示される空気の流れARの如く、左斜め上の方向にある排気口500に向けて移動して排気される。このように、排気口500は、ファンケーシング200と連通し排気ダクトDUに浄化された空気を排気するための送風機ボックス3の側面に開けられた開口部である。これにより、送風機ボックス3の上面に設けられるより、排気ダクトDUの引き回しスペースも含めたレンジフード1の実効高さを低くすることができ、設置場所の柔軟性が向上することになる。
【0024】
ダンパー300は、主に
図9に示すように、ファンケーシング200の内部にあり、羽根車100からファンケーシング200の側方(左横方向)に位置する排気口500に至るまでの空気の流路上であって、排気口500の近傍に設けられる。ダンパー300は、回転軸311を有し、回転軸311を中心に回転することにより空気の流路を開閉する。ダンパーはスライド式などで空気の流路を開閉してもよいが、ダンパー300が回転軸311を有することで、ファンケーシング200に空ける穴が最小限の大きさとなり洗浄水がファンケーシング200の外部に漏れにくくなる。また、ファンケーシング200に開ける穴が小さいことでファンケーシング200の気密性が良くなり、ファン駆動時に効率的に排気することが可能となる。
【0025】
図9に示すダンパー300は、主に排気運転時の状態にあるものであり、ファンケーシング200内部から油分を除去した空気を排気口500に排気する状態なので、排気口500への流路を開いた状態(開状態)である。ダンパー300の回転軸311は、一端310に偏った側に位置し、一端310は、ダンパー300が開状態のときもう一方の他端320(回転軸311のある一端310に対向するダンパー300の他端320)より高い位置にある。すなわち、回転軸311は、開状態のとき、ダンパー300で最も高い位置にある。このように、ダンパーが開状態のとき回転軸が他端より高い位置にあることで、ダンパーに付着した油分が回転軸に流れてくる量を軽減でき、回転軸311に油分が固着して回転不能になるなどの不具合の発生を防止することができる。なお、本実施例では、ダンパー300の回転軸311は、一端310に位置するが、流路方向におけるダンパー300の中央より一端310に偏った側に位置してもよい。
【0026】
開状態のダンパー300は、ファンケーシング200の内部において凹部を形成するダンパー収容部330に収められ、空気の流れARの抵抗にならないように構成される。また、開状態のダンパー300がダンパー収容部330に収められているとき、ダンパー300は、他端320のみでファンケーシング200の内部に当接する。ダンパー300が面でファンケーシング200に当接すると油分で固着してしまうことがあるが、他端320のみで当接することにより、ダンパー300を開状態から閉状態にする際にダンパー300が固着して閉じられなくなる障害を起こすことを防止する。
【0027】
ベルマウス211は、主に
図13に示すように、清掃し易いようにファンケーシング200と着脱自在に構成される。本図(C)の底面図は、ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けた際に正面側となり、本図(B)の平面図は羽根車100と対向する背面側となる。ベルマウス211の背面側には、後述する洗浄機構400を構成する給水パイプ450の一部と給水パイプ450の先端に接続された噴射部460または給水部460が設けられており、ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けると、本体側の給水パイプ450と接続されるように構成されている。ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けた際には、噴射部460/給水部460の大部分が正面視でベルマウスカバー部212により隠れるように設けられているので、噴射部460/給水部460が油分を含む空気に曝されることが少なく、油分が付着しにくい。
【0028】
洗浄機構400は、主に
図4、
図10〜
図12に示すように、羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120を洗浄するための機構である。なお、洗浄機構400は、グリスフィルタ120が羽根車100の内部に設けられていない場合は、羽根車100の羽根110で油分を捕獲することになるので羽根車100の羽根110を洗浄する。洗浄機構400は、フード部2の底面の背面側寄りに位置するタンク収納部412の中に収納され洗浄液を溜めるタンク410と、洗浄液をファンケーシング200の内部に給水する給水部460と、タンク410から給水部460まで洗浄液を供給する給水パイプ450と、給水部460とタンク410との間に配置され、タンク410から洗浄液を吸上げるポンプ420と、タンク410と給水部460の間の給水パイプ450の流路内に洗浄液に混入した異物を除去する異物除去フィルタ440と、給水部460が給水し、羽根車100等を洗浄した後の洗浄液をタンク410へ回収する回収部430と、を備える。
【0029】
タンク410は、主に
図14に示すように、中に洗浄液を蓄えることができる立方体の箱である。タンク収納部412に収納できるように適宜突起が形成されており、これら突起がタンク収納部412の凹部などに係合することで、タンク410は、タンク収納部412に収納される。なお、タンク収納部412は、フード部2の底面の背面側やや左寄りに備えられ、タンク収納部412のタンク収納部蓋413が設けられている。タンク収納部蓋413は、タンク410をタンク収納部412に収納した際、タンク収納部412に蓋をする。
【0030】
タンク410は、上面に、軸支部418により内側から外側に向けてバネ等(図示せず)により付勢され、押圧することで開き、押圧力を除くことで閉まるタンク蓋411と、タンク蓋411の下方に浄化フィルタ部416と、収納された際に給水パイプ450の先端と一致する位置に孔径の小さい接続孔415と、を有する。タンク蓋411は、後述する突出部417により押圧されて、タンク410が取り付けられた状態の時に開いた状態となるが、取り出した状態でのタンク蓋411は閉じているので、使用者がタンク410を運ぶ際にも、中に含まれている洗浄液がこぼれることが防止できる。なお、タンク410の上面は、タンク410の本体から着脱自在に構成されており、取り外して内部を洗浄することができる。また、浄化フィルタ部416は、洗浄液を循環させてタンク410に戻すために、回収された洗浄液に含まれる油分などを除去し浄化する。
【0031】
給水パイプ450は、タンク410から噴射部/給水部460の間に設けられ、洗浄液の流路となり、タンク410から洗浄液を吸い上げる液体吸上げ口414から、羽根車100の空気の流れの上流側となる正面側に位置する給水部460まで、洗浄液を引きまわす液体配管である。給水パイプ450の、給水部460と接続される正面側に位置する部分は、ベルマウス211の裏側(羽根車100側)に配設されたパイプとして構成される。
【0032】
給水パイプ450は、タンク410とレンジフード本体との間で分離可能である。より具体的には、給水パイプ450は、タンク410内に存する液体吸上げ口414から接続孔415までのタンク内給水パイプ450と、接続孔415から噴射部/給水部460までの本体側給水パイプ450とに分離できるように構成されている。
【0033】
ポンプ420は、洗浄液をタンク410から高い位置にある給水部460まで移動させる出力を備え、また、給水部460が噴射部460として機能する場合、洗浄液が勢いよく噴射できるための水圧を生じさせる出力を有する。ただし、その場合であっても、噴射部460は、給水パイプ450の内径と同程度の内径を有する孔を有し、その孔から噴射するので、小さな孔から噴射するのに比して大きな出力を必要としない。また、ポンプ420は、タンク410から給水部460への方向に洗浄液を移動させる順回転だけでなく、給水部460からタンク410への方向に洗浄液を移動させる逆回転を行えることが好ましい。
【0034】
給水部460は、洗浄液で羽根車100の羽根110等を洗浄するために洗浄液をファンケーシング200の内部に給水するが、羽根110やグリスフィルタ120に洗浄液を衝突させて洗浄する場合、洗浄液を勢いよく羽根110やグリスフィルタ120に向けて噴射する噴射部460として機能する。本実施例では、給水部460は噴射部460として機能するので、以下では噴射部460として記載する。
【0035】
噴射部460は、ファンケーシング200の内部であって羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120に向けた広範囲に亘って、洗浄液を噴射するように構成される。噴射部460は、吸込口210側からファンケーシング200の内部に向けて、すなわち油分が付着し易いグリスフィルタ120や羽根110の内側に向けて、直接洗浄液を噴射する。噴射部460は、吸込口210の周縁部の近傍すなわち羽根車100の内側において羽根110の近傍であることが好ましく、接触しない限り近ければ近いほどよい。これにより、噴射部460から噴射した洗浄液が、強く羽根110に衝突する。また、噴射部460が羽根車100の中心部分にあると排気運転中に噴射部460が障害となり油分を含む空気を吸引する性能を低下させる場合があるが、噴射部460を吸込口210の周縁部の近傍に設けることでかかる問題が生じない。
【0036】
また、噴射部460は、モータ130の回転軸131の先端133より下側に設けられる。たとえば、噴射部460が回転軸131より上に設けられると、噴射部460は回転中回転軸131より高い位置にある羽根110に向けて洗浄液を噴射することとなり、洗浄液が衝突後跳ね返ることで吸込口210を超えて飛び散ることになる。したがって、かかる構成により、噴射された洗浄液が吸込口210から飛び散ったり、噴射部460から洗浄液が滴下したりことを防止できる。
【0037】
また、
図7に示すように羽根車100の回転方向100DRが右回転である場合、噴射部460は、正面視で、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより右側に設けられることが好ましい。すなわち、噴射部460は、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより回転方向100DRの上流側の四半部分100ZUに設けられることが好ましい。噴射部460がかかる四半部分100ZUに設けられることで、羽根車100にむけて噴射され衝突した洗浄液は直後に回転方向である下方へ動くので、吸込口210から飛び散ることを防止することができる。また、かかる四半部分の位置に噴射部460を設けた場合は、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより回転方向の下流側に噴射部を設けた場合と比べて、油分等を含む空気が噴射部に衝突する量が少ないので、汚れが付着することを低減することができる。
【0038】
ファンケーシング200の吸込口210の内径は、主に
図6と
図7に示すように、羽根車100の内径より小さい。これにより、吸込口210を通過した空気に含まれる油分は、羽根車100の羽根110の内側に衝突する。そして、噴射部460は、モータ130の回転軸131方向から見て、羽根車100の内側であって吸込口210の外側に設けられる。これによれば、噴射部460の正面側にファンケーシング200が存在することとなるので、吸込口210を超えて洗浄液が飛び散ることを防止できると共に、汚れが付着しやすい羽根車100の内側に向けて洗浄液を直接噴射することができるので効果的に洗浄することできる。なお、ベルマウス211が取り付けられて使用される場合は、吸込口210の内径は、ベルマウス211の開口の内径とみなしてもよい。また、内径とは、開口の中心(本実施例では回転軸131の軸中心線と開口との交点)から周縁までの距離を言うが、本実施例におけるベルマウス211の内径は、開口の中心からベルマウスカバー部212の最も中心寄りの部分までの距離としてもよい。つまり、少なくとも噴射部460が設けられる位置において、ファンケーシング200の吸込口210の内径(ベルマウス211が取り付けられて使用される場合には、ベルマウス211の開口の内径)が羽根車100の内径より小さくなっていれば良いものである。
【0039】
また、噴射部460は、
図7に示される羽根車100の回転方向100DRにおいて、噴射部460から下流側100ZDの方に向けて洗浄液を噴射することとしてもよい。これによれば、噴射部460から下流側100ZDへ洗浄液を噴射することで、洗浄液が羽根車100の羽根110に衝突した洗浄液は円滑に回転方向である下流側に流れるため、衝突した洗浄液が飛び散ることをより防止することができる。
【0040】
回収部430は、主に
図4、
図10〜
図12に示すように、噴射部460が羽根110やグリスフィルタ120に噴射して洗浄した後の洗浄液を受けるファンケーシング200の底部214と、ファンケーシング200の底部214であってファンケーシング200の最下点200Zよりややタンク410寄りに設けられたファンケーシング洗浄液の排出口213と、ファンケーシング洗浄液の排出口213と一致する位置にあり、ファンケーシング洗浄液の排出口213がファンケーシング200から排出する洗浄液をタンク410へ導いて戻すための排水路431と、ファンケーシング200の下部の内壁において他の部分より外側(下側)へ窪んだ窪み部215と、を有する。
【0041】
ファンケーシング洗浄液の排出口213は、噴射部460が噴射した洗浄液をファンケーシング200から排水するためファンケーシングの下部に設けられる。排出口213は、より具体的には、ファンケーシング200の最下点200Zよりややタンク410寄りすなわち最下点200Zより回転方向100DRにおいて下流側へずれた位置に設けられる。これによれば、羽根車100の回転により洗浄液がファンケーシング200の底部214から上方へ移動するとき、洗浄液がファンケーシング洗浄液排出口213に導かれることから、洗浄液がタンク410へより流れやすくなるため、より素早く洗浄液を排水できる。また、洗浄終了後に羽根車100やファンケーシング200の内壁から洗浄液の残水がファンケーシング200の底部214へ流れてきた際は、ファンケーシング200の最下点200Zに残水が一時的に溜まることで、タンク410を取り外した状態において、残水が排水路431へ流れ出て調理器周辺に残水が滴下することを防止できる。
【0042】
また、ファンケーシング200は、ファンケーシング200の他の部分の内壁より外側(回転軸131から離れる方向)へ窪んだ窪み部215を下部に有する。そして、ファンケーシング洗浄液の排出口213は、窪み部215に設けられている。すなわち、ファンケーシング洗浄液の排出口213は、ファンケーシング200の内壁に他の部分よりも一段下がった窪み部215に設けられている。排出口213の開口面積は、窪み部215の面積より小さく、また、窪み部215の奥行き方向の寸法は、排出口213の奥行き方向の寸法より大きい。好ましくは、窪み部215の奥行き方向における寸法は、ファンケーシング200の奥行き方向の寸法の半分以上である。これによれば、洗浄中において、ファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液を窪み部215が捕捉し、捕捉した洗浄液が排出口213に流れることで、洗浄終了後にファンケーシング200内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。窪み部215は、ファンケーシング200をプレス加工により内壁に凹部を形成することにより設けてもよいし、本実施例のように、内壁の開口部を別部材で一段下がって塞ぐようにして設けてもよい。また、窪み部の窪み形状は漏斗状であっても良い。
【0043】
排水路431は、ファンケーシング洗浄液排出口213と一致する位置から、洗浄液をタンク410に戻すように下斜め方向に延伸して、タンク410のタンク蓋411に一致する位置に配設される。すなわち、排水路431の少なくとも一部は、羽根車100の回転方向100DRにおいて、鉛直方向(
図11(B)における一点鎖線の矢印の方向)よりも下流側であって水平方向よりも上流側(
図10および
図11における実線の矢印の方向)に傾いている。このように、排水路431が羽根車100の回転方向100DRにおいて、鉛直方向よりも下流側に傾いていることで、排水路431は羽根車100の回転によって生じる洗浄液の流れる方向に沿って設けられるため、滞りなく洗浄液をタンク410へ流すことができる。また、これにより、洗浄液を素早く排水することができ、羽根車100に汚れが再付着することを防ぐことのできるレンジフード1を提供することができる。また、排水路431を下斜め方向に延伸することで、タンク410をファンケーシング200の最下点200Zから横方向にずらすことが可能となり、これにより、レンジフード1の全体の高さを比較的低くすることができる。
【0044】
排水路431は、本実施例では、給水パイプ450のように周囲が閉じられた管状ではなく、排水路431の上方は、開放された滑り台状の部材から構成される。このようにすることで、管の内部が詰まって洗浄液が流れにくくなることを防止すると共に、排水する洗浄液を素早くタンク410に流すことができる。本実施例のような洗浄液を循環させて使用するレンジフード1のタイプであれば、かかる構造をとることで、洗浄液が素早く排水されるため、少量の洗浄液で洗浄できるので節水になる。また、洗浄液が少ない分タンク410を小さくすることができるため、レンジフード自体の大きさを小さくすることができる。
【0045】
従来のレンジフードでは、ファンケーシングの底部に溜まる洗浄液の量を考慮してファンケーシングを大きくすることで洗浄済みのファンが汚れを含んだ洗浄液に浸ることを防止していたが、かかる構造であれば滞りなく洗浄液をタンクへ流すことができるため、ファンケーシングの底部に溜まる洗浄液の量を考慮する必要がなくなる。したがって、ファンケーシングのサイズを小さくすることができ、これによりレンジフード自体の大きさを小さくすることが可能となり、排気ダクトの接続等が容易になる。
もちろん、かかる構造は、洗浄液を循環させて使用するタイプのレンジフードに限らない。すなわち、洗浄液を供給するタンクから給水部を通ってケーシング内部に噴射された洗浄液は、排水するタンクに回収したのち、供給するタンクへ戻すことなく廃棄するタイプのレンジフードであっても、かかる構造を利用することで上述した所定の効果を得ることができる。
【0046】
<第一実施例の変形例>
また、
図15(A)に示すように、ファンケーシング200は、排出口213に洗浄液を案内する第1ガイド部216を内壁に有することが好ましい。第1ガイド部216は、窪み部215がない場合であっても洗浄中においてファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液を排出口213へ誘導するため、洗浄液がファンケーシング200の内壁を流れる方向に対して約45度の角度をなす線状の凸部をなす。
【0047】
また、
図15(B)に示すように、ファンケーシング200は、排出口213に洗浄液を案内する第1ガイド部216’を内壁に有してもよい。第1ガイド部216’は、窪み部215がない場合であっても洗浄中においてファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液を排出口213へ誘導するため、洗浄液がファンケーシング200の内壁を流れる方向に対して約45度の角度をなす線状の凸部を有すると共に、その線状の凸部に挟まれた奥側および手前側の領域を隆起させて形成されている。これによれば、ファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液が排出口213に流れやすくし、洗浄終了後にファンケーシング200内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。
【0048】
また、
図15(C)に示すように、ファンケーシング200は、窪み部215に洗浄液を案内する第2ガイド部217を内壁に有することが好ましい。第2ガイド部217は、窪み部215がある場合、洗浄中においてファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液を窪み部215へ誘導するため、洗浄液がファンケーシング200の内壁を流れる方向に対して約45度の角度をなす線状の凸部をなす。窪み部215に排出口213が設けられている場合は、第1ガイド部216のみ、または第2ガイド部217のみを設けても良いし、第1ガイド部216と第2ガイド部217の両方を設けても良い。この場合、第1ガイド部216は窪み部215に設けても良いし、他の部分の内壁であっても良い。
【0049】
また、
図15(D)に示すように、ファンケーシング200は、窪み部215に洗浄液を案内する第2ガイド部217’を内壁に有してもよい。第2ガイド部217’は、窪み部215がある場合、洗浄中においてファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液を窪み部215へ誘導するため、洗浄液がファンケーシング200の内壁を流れる方向に対して約45度の角度をなす線状の凸部を有すると共に、その線状の凸部に挟まれた奥側および手前側の領域を隆起させて形成されている。これによれば、ファンケーシング200の奥行き方向に広がった洗浄液が排出口213に流れやすくなることで、洗浄終了後にファンケーシング200内部に洗浄液が残ることを防ぎ、残水による異音の発生やカビの発生を防ぐことができる。
【0050】
タンク蓋411は、タンク収納部412に収納されタンク410が取り付けられた状態の時には、タンク収納部412の上面から突出する突出部417に押圧されて、排水路431から流れてきた汚れた洗浄液をタンク410内に受け入れるように開く。汚れた洗浄液は、浄化フィルタ部416によりろ過されて、浄化された洗浄液がタンク410に戻る。
【0051】
浄化された洗浄液は、再度、液体吸上げ口414から接続孔415を通してポンプ420により吸い上げられ、給水パイプ450に供給される。なお、このように循環される洗浄液は、洗浄の過程で浄化フィルタ部416では取り除くことのできない異物が混入することがあり、かかる異物を含むことがある。かかる場合、ポンプ420の障害を起こす原因ともなりうるので、タンク410と噴射部460の間の洗浄液の給水パイプ450内に、洗浄液に混入した異物を除去する異物除去フィルタ440を1つ以上設けることが好ましい。
【0052】
異物除去フィルタ440は、タンク410とポンプ420の間に設けることが好ましい。これにより、異物がポンプ420内部に入り込むことを防止することができる。また、ポンプ420を逆回転させる場合、異物除去フィルタ440をタンク410とポンプ420の間、すなわち洗浄液の順方向においてポンプよりも上流側に設けることで、ポンプ420への異物侵入を防ぐことができる。
【0053】
制御部600は、モータ130の回転を制御することにより羽根車100の回転を制御し、ダンパーモータ(図示せず)の回転を制御することによりダンパー300の開閉を制御し、ポンプ420の動作を制御することにより洗浄機構400の動作を制御し、スイッチ610の入力に基づきモータ130、ダンパーモータ、ポンプ420などを制御する。制御部600は、マイコンに内蔵された制御プログラムから構成され、本実施例では送風機ボックス3に設けられるが、特に限定されるものではなく、フード部2に設けられてもよい。
【0054】
制御部600は、レンジフード1の使用者によるスイッチ610の操作に基づいて、モータ130の回転を制御してもよいし、リモコン信号や調理器からの連動信号の受信によって動作してもよく、また、空気に含まれる油分を検出して自動で所定の回転制御を行ってもよい。また、制御部600は、洗浄機構400の動作を制御する所定の洗浄工程を有していてもよい。また、制御部600は、羽根車100の回転制御や洗浄機構400の動作に応じてダンパー300を開閉制御する。
【0055】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、適用例、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。