特開2017-219226(P2017-219226A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2017219226-熱交換器 図000003
  • 特開2017219226-熱交換器 図000004
  • 特開2017219226-熱交換器 図000005
  • 特開2017219226-熱交換器 図000006
  • 特開2017219226-熱交換器 図000007
  • 特開2017219226-熱交換器 図000008
  • 特開2017219226-熱交換器 図000009
  • 特開2017219226-熱交換器 図000010
  • 特開2017219226-熱交換器 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-219226(P2017-219226A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/013 20060101AFI20171117BHJP
   F28F 21/04 20060101ALI20171117BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20171117BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20171117BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   F28F9/013 Z
   F28F21/04
   F28F21/08 Z
   F28D7/10 Z
   F28D7/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-112739(P2016-112739)
(22)【出願日】2016年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祥啓
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA05
3L103AA13
3L103DD08
3L103DD84
(57)【要約】
【課題】熱媒体の流路構成の密閉性をより好適に確保する。
【解決手段】熱交換器は、筒状のケース10と、ケース10に収納された柱状のセラミック体20と、ケース10とセラミック体20との間を封止する封止部材30とを備える。ケース10は、軸方向の両端にそれぞれ形成されていてケース10の内外を貫通する一対の第1開口部12、13を有するとともに、周面にそれぞれ形成されていてケースの内外を貫通する一対の第2開口部14、15を有し、セラミック体20は、第1熱媒体が流通する第1流路と第2熱媒体が流通する第2流路とを有し、第1流路は、一対の第1開口部12、13の間を連通し、第2流路は、一対の第2開口部14、15の間を連通し、封止部材30は、環状の金属材料によって構成され、第1流路の各流路端部を囲むように第1開口部12、13とセラミック体20の端部との間に配置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースと、該ケースに収納された柱状のセラミック体と、前記ケースと前記セラミック体との間を封止する封止部材とを備えた熱交換器であって、
前記ケースは、軸方向の両端にそれぞれ形成されていて該ケースの内外を貫通する一対の第1開口部を有するとともに、周面にそれぞれ形成されていて該ケースの内外を貫通する一対の第2開口部を有し、
前記セラミック体は、第1熱媒体が流通する第1流路と第2熱媒体が流通する第2流路とを有し、前記第1流路は、一対の前記第1開口部の間を連通し、前記第2流路は、一対の前記第2開口部の間を連通し、
前記封止部材は、環状の金属材料によって構成され、前記第1流路の各流路端部を囲むように前記第1開口部と前記セラミック体の端部との間に配置していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記封止部材は、前記第1開口部に対して圧接されている第1環状部と、前記セラミック体の端部に対して圧接されている第2環状部と、前記第1環状部の端部と前記第2環状部の端部とを接続する接続部とを有する請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記セラミック体の端部は、環状の凹溝を有し、前記封止部材は、前記凹溝に係合している請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記セラミック体は、該セラミック体の周壁の各端部に、全周に亘り外方向に突出したリブを有していて、前記リブの軸方向外面と、この面に対向する前記ケースの第1開口部の開口内面との間に前記封止部材が配置されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記リブの軸方向外面は、前記軸方向において前記セラミック体の端部の端面と同じ位置にあるか、前記セラミック体の端部の端面よりも前記軸方向において外方に位置する請求項4に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の熱媒体から他方の熱媒体へ熱伝達が行われるようにする熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたセラミック熱交換器は、熱交換体を備え、この熱交換体は、第一流体流通部と第二流体流通部とを備えている。第一流体流通部は、隔壁によって仕切られて一方の端面から他方の端面まで軸方向に延びる複数のセルによって構成されている。第二流体流通部は、隔壁によって仕切られて軸方向と直交する方向に延びる複数のセルによって構成されている。第一流体流通部には加熱体が流通し、第二流体流通部には被加熱体が流通して、加熱体から被加熱体へ熱が伝達される。熱交換体は、熱交換体保持容器の内部に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−271031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器では、物性の異なる熱媒体がそれぞれ流通するため、それら熱媒体を互いに隔離する必要がある。そのため、熱媒体がケースと熱交換機能を果たすセラミック体とを流通することを前提として、熱媒体の通路構成の密閉性を考慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための熱交換器は、筒状のケースと、該ケースに収納された柱状のセラミック体と、前記ケースと前記セラミック体との間を封止する封止部材とを備えた熱交換器であって、前記ケースは、軸方向の両端にそれぞれ形成されていて該ケースの内外を貫通する一対の第1開口部を有するとともに、周面にそれぞれ形成されていて該ケースの内外を貫通する一対の第2開口部を有し、前記セラミック体は、第1熱媒体が流通する第1流路と第2熱媒体が流通する第2流路とを有し、前記第1流路は、一対の前記第1開口部の間を連通し、前記第2流路は、一対の前記第2開口部の間を連通し、前記封止部材は、環状の金属材料によって構成され、前記第1流路の各流路端部を囲むように前記第1開口部と前記セラミック体の端部との間に配置していることを要旨とする。
【0006】
セラミック体を流通する第1熱媒体は、第1開口部を介して第1流路に流入出し、また、セラミック体を流通する第2熱媒体も、第2開口部を介して第2流路に流入出する。封止部材は、第1熱媒体が一方の第1開口部から第1流路へ流入することなくケースとセラミック体との間に進入する事態の発生、また、第1流路から他方の第1開口部へ流出することなくケースとセラミック体との間に進入する事態の発生をそれぞれ抑制する。したがって、上記構成によれば、第1開口部及び第1流路の密閉性と、第2開口部及び第2流路の密閉性とを好適に確保することができる。
【0007】
上記熱交換器について、前記封止部材は、前記第1開口部に対して圧接されている第1環状部と、前記セラミック体の端部に対して圧接されている第2環状部と、前記第1環状部の端部と前記第2環状部の端部とを接続する接続部とを有することが好ましい。この構成によれば、ケースの第1開口部とセラミック体の端部との間に熱膨張による離間長さに変化が生じたとしても、その変化に追従して第1環状部と第2環状部とが変位する。したがって、封止部材の封止機能の向上に貢献する。
【0008】
上記熱交換器について、前記セラミック体の端部は、環状の凹溝を有し、前記封止部材は、前記凹溝に係合していることが好ましい。この構成によれば、封止部材が凹溝との間で係合関係を構築することから封止部材の位置ずれを抑制することができる。
【0009】
上記熱交換器について、前記セラミック体は、該セラミック体の周壁の各端部に、全周に亘り外方向に突出したリブを有していて、前記リブの軸方向外面と、この面に対向する前記ケースの第1開口部の開口内面との間に前記封止部材が配置されていることが好ましい。封止部材をケースとセラミック体との間に配置するにあたって、セラミック体の周壁を相応の厚さに形成し、その周壁の軸方向外面と、この面に対向するケースの第1開口部の開口内面との間に封止部材を配置することが考えられる。しかし、この構成では、セラミック体の周壁が相応の厚さに形成されることとなるため、それに伴って熱交換器の重量増やコスト増といった不具合を伴う面もある。上記構成では、封止部材は、リブの軸方向外面に対して配置される。したがって、セラミック体の周壁全体を壁厚に構成する場合に比べ、熱交換器の軽量化や低コスト化の面で有利である。
【0010】
上記熱交換器について、前記リブの軸方向外面は、前記軸方向において前記セラミック体の端部の端面と同じ位置にあるか、前記セラミック体の端部の端面よりも前記軸方向において外方に位置することが好ましい。この構成によれば、セラミック体の端部が軸方向においてリブの軸方向外面よりも外方に突出することはない。そのため、凹溝の形成対象となるリブの軸方向外面を面加工する際、セラミック体の端部が外方へ突出していることに伴う面加工の煩雑さを解消する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱媒体の流路構成の密閉性をより好適に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】熱交換器の斜視図。
図2】ハニカム構造体の斜視図。
図3】ハニカム構造体の第1流路の横端面図。
図4】ハニカム構造体の第2流路の横端面図。
図5図1の2−2線断面図。
図6図1の3−3線断面図。
図7】(a)、(b)は凹溝と封止部材の拡大図。
図8】別の実施形態のセラミック体の斜視図。
図9】(a)、(b)別の実施形態の凹溝と封止部材の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
熱交換器の一実施形態を説明する。
図1に示すように、熱交換器は、ケース10を備えている。ケース10は、円筒状をなすケース本体11を有し、ケース本体11の軸方向の中央部に溶接部16を有している。溶接部16は、ケース本体11の周方向に沿って延びている。ケース10は、ケース本体11の軸方向の両端部に一対の第1開口部を有する。第1開口部としての第1軸方向開口部12は、円環状に形成された第1開口壁12aを有し、この開口壁12aの外周端は、ケース本体11の軸方向の端縁に接続されている。第1軸方向開口部12は、ケース本体11よりも径の小さい円筒状に形成された第1連結管12bを有し、この第1連結管12bの軸方向の端縁は、開口壁12aの内周端に接続されている。第1開口部としての第2軸方向開口部13も第1軸方向開口部12と同様に第2開口壁13aと第2連結管13bとを有している。
【0014】
図1に示すように、ケース10は、ケース本体11の周面に一対の第2開口部を有する。第2開口部としての第1径方向開口部14は、第1貫通孔14aを有し、この貫通孔14aは、ケース本体11の周面のうち、最上部位となる位置であって、ケース本体11の軸方向において第1軸方向開口部12側となる位置に形成されている。第1径方向開口部14は、円筒状に形成された第1連結管14bを有し、第1連結管14bの軸方向の端縁は、第1貫通孔14aの内周端に接続されている。第2開口部としての第2径方向開口部15は、第2貫通孔15aを有し、この第2貫通孔15aは、ケース本体11の周面のうち、最下部位となる位置であって、ケース本体11の軸方向において第2軸方向開口部13側となる位置に形成されている。第2径方向開口部15は、円筒状に形成された第2連結管15bを有し、第2連結管15bの軸方向の端縁は、第2貫通孔15aの内周端に接続されている。
【0015】
なお、ケース10の材質は特に限定されるものではなく、公知の熱交換器に用いられる材料を用いることができる。たとえば、金属、樹脂が挙げられる。その中でも、耐熱性や耐衝撃性に優れた金属を用いることが好ましい。
【0016】
熱交換器は、ケース10内に収納されている柱状のセラミック体20を有している。図2に示すように、セラミック体20は、ハニカム構造体21を有している。ハニカム構造体21は、筒状の周壁22と、周壁22の内部を周壁22の軸方向に延びる複数のセルに区画する断面ハニカム形状の区画壁23と備えている。
【0017】
図3及び図4に示すように、区画壁23により区画されたセルSは、その両端部が共に開放された第1セルS1と、その両端部が共に閉塞された第2セルS2との二種類のセルから構成されている。図3に示すように、第1方向(図2の上下方向)に並ぶ各セルSは全て同種のセルとなっている。また、第1方向に直交する第2方向(図2の紙面手前奥方向)において隣り合う各セルSは、互いに異なる種類のセルとなっている。
【0018】
図4に示すように、ハニカム構造体21において、第1方向に並ぶ第2セルS2により構成される部分(第2セルS2からなるセル列)のそれぞれには、第1方向に延びるように形成されて、第1方向に隣接する第2セルS2同士を連通する第1連通部24a及び第2連通部24bが設けられている。
【0019】
第1連通部24aは、ハニカム構造体21の第1端部21a側に設けられている。第1連通部24aにおける第1方向の一方側(図4の上側)の端部は、周壁22に開口するとともに、同他方側(図4の下側)の端部は、第1方向において最も他方側に位置する第2セルS2にまで達している。
【0020】
第2連通部24bは、ハニカム構造体21の第2端部21b側に設けられている。第2連通部24bにおける第1方向の他方側(図4の下側)の端部は、周壁22に開口するとともに、同一方側(図4の上側)の端部は、第1方向において最も一方側に位置する第2セルS2にまで達している。
【0021】
したがって、ハニカム構造体21の内部には、第1セルS1により構成され、ハニカム構造体21の軸方向両端部を流入口又は流出口とする第1流路と、第2セルS2により構成され、ハニカム構造体21の周壁22に形成された、第1連通部24a及び第2連通部24bの各開口を流入口又は流出口とする第2流路とが形成されている。ハニカム構造体21の軸方向両端部が第1流路の流路端部となる。こうした構成のハニカム構造体21は、第1流路を流れる第1熱媒体と第2流路を流れる第2熱媒体との間で、区画壁23を通じて熱交換を行うことができる。
【0022】
図2に示すように、セラミック体20は、ハニカム構造体21の第1端部21aにおいて径方向外方へ突出する環状の第1リブ25を有するとともに、ハニカム構造体21の第2端部21bにおいて径方向外方へ突出する環状の第2リブ26を有する。第1リブ25は、ハニカム構造体21の軸方向において、第1リブ25の軸方向外面25aとハニカム構造体21の第1端部21aの端面とが同じ位置となるように配置されている。第2リブ26も、ハニカム構造体21の軸方向において、第2リブ26の軸方向外面26aとハニカム構造体21の第2端部21bの端面とが同じ位置となるように配置されている。
【0023】
図3に示すように、第1リブ25は、軸方向外面25aにおいてハニカム構造体21の軸方向に凹んでいて、ハニカム構造体21の第1端部21aの端面の囲む環状の凹溝25bを有している。第2リブ26は、軸方向外面26aにおいてハニカム構造体21の軸方向に凹んでいて、ハニカム構造体21の第2端部21bの端面の囲む環状の凹溝26bを有している。
【0024】
セラミック体20の材質は特に限定されるものではなく、公知の熱交換器に用いられるセラミック材料を用いることができ、たとえば、酸化物セラミック、窒化物セラミック、炭化物セラミックが挙げられる。酸化物セラミックとしては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライトが挙げられる。窒化物セラミックとしては、たとえば、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。炭化物セラミックとしては、たとえば、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステンが挙げられる。
【0025】
セラミック体20は、上記セラミック材料として例示したセラミック粒子を焼結した焼結体に限定されず、上記セラミック材料として例示したセラミック粒子間を他の金属化合物や金属で充填して構成されたものが含まれるものとする。具体的には、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等から選ばれる金属化合物の粒子間に、金属珪素を充填して構成されたものが含まれる。
【0026】
図5及び図6に示すように、ケース10の第1軸方向開口部12とセラミック体20のハニカム構造体21の第1端部21aとは互いに対向するように配置されている。この配置では、第1軸方向開口部12の第1連結管12bの端面は、ハニカム構造体21の第1端部21aにおける周壁22の端面に対向する。ケース10の第2軸方向開口部13とセラミック体20のハニカム構造体21の第2端部21bとは互いに対向するように配置されている。この配置では、第2軸方向開口部13の第2連結管13bの端面は、ハニカム構造体21の第2端部21bにおける周壁22の端面に対向する。
【0027】
図5及び図6に示すように、熱交換器は、封止部材として第1封止部材30と第2封止部材40を備えている。第1封止部材30は、ケース10の第1軸方向開口部12とセラミック体20の第1リブ25との間に配置されている。第1封止部材30は、環状の金属材料によって構成されている。第1封止部材30は、断面S字状に構成されている。第1封止部材30は、第1環状部31と第2環状部32とを有し、それら第1環状部31の外周側端部と第2環状部32の内周側端部とを接続する接続部33を有する。
【0028】
図7(a)に示すように、第1環状部31は、第1軸方向開口部12の第1開口壁12aにおける開口内面に線接触して圧接している。第2環状部32は、第1リブ25の凹溝25bの底面に線接触して圧接している。図7(b)に示すように、第1封止部材30は、ケース10とセラミック体20との間に配置される前の状態では、第1環状部31の内周側端部と第2環状部32の外周側端部との間の距離、すなわち、第1封止部材30の厚さが所定の長さL1に設定されている。この長さL1は、第1開口壁12aにおける開口内面と凹溝25bにおける底面との間の離間長さL2よりも長く設定されている。
【0029】
図5及び図6に示すように、第2封止部材40は、ケース10の第2軸方向開口部13とセラミック体20の第2リブ26との間に配置されている。第2封止部材40は、環状の金属材料によって構成されている。第2封止部材40は、断面S字状に構成されている。第2封止部材40は、第1環状部41と第2環状部42とを有し、それら第1環状部41の外周側端部と第2環状部42の内周側端部とを接続する接続部43を有する。第2封止部材40の厚さである長さL1とケース10とセラミック体20の離間長さL2との寸法関係は、第1封止部材30の場合と同じである。したがって、第1環状部41は、第2軸方向開口部13の第2開口壁13aにおける開口内面に線接触して圧接し、第2環状部42は、第2リブ26の凹溝26bの底面に線接触して圧接している。
【0030】
第1封止部材30及び第2封止部材40の材質は特に限定されるものではなく、封止部材として用いられる公知の金属材料を用いることができる。その中でも、耐熱性、耐腐食性に優れたステンレスを用いることが好ましい。
【0031】
図5及び図6に示すように、ケース10の第1径方向開口部14とセラミック体20のハニカム構造体21における第1連通部24aの開口とは互いに対向するように配置されている。この配置では、第1径方向開口部14の第1連結管14bは、ハニカム構造体21の第1連通部24aの開口を指向している。ケース10の第2径方向開口部15とセラミック体20のハニカム構造体21における第2連通部24bの開口とは互いに対向するように配置されている。この配置では、第2径方向開口部15の第2連結管15bは、ハニカム構造体21の第2連通部24bの開口を指向している。
【0032】
図5及び図6に示すように、ケース10とセラミック体20との間には、保持材50が配置されている。保持材50は、ケース本体11の内面とハニカム構造体21の周壁22との間に配置され、周壁22の周方向全体を覆うように環状に形成されている。保持材50は、ハニカム構造体21の軸方向において、ケース本体11の内面とハニカム構造体21の周壁22との間の空隙を2つに区画し、区画された一方の第1空隙R1に第1連通部24aの開口が位置し、区画された他方の第2空隙R2に第2連通部24bの開口が位置している。保持材50の材質は、特に限定されるものではないが、たとえば、無機繊維マットや、金属メッシュを用いることができる。
【0033】
本実施形態の熱交換器の各部材の組付方法について説明する。
ケース10は、ケース本体11の溶接部16を境界として、第1軸方向開口部12側の第1部材10Aと第2軸方向開口部13側の第2部材10Bとの2部材から構成されている。セラミック体20のハニカム構造体21の周壁22に保持材50を巻き付けて固定する。次に、セラミック体20の第1リブ25の凹溝25bに第1封止部材30の第2環状部32を嵌め入れ、その状態でケース10の第1部材10Aに挿入する。このとき、第1封止部材30の第1環状部31は、第1軸方向開口部12の第1開口壁12aにおける開口内面に当接する。次に、セラミック体20の第2リブ26の凹溝26bに第2封止部材40の第2環状部32を嵌め入れ、その状態でケース10の第2部材10Bに挿入する。このとき、第2封止部材40の第1環状部41は、第2軸方向開口部13の第2開口壁13aにおける開口内面に当接する。ケース10の第1部材10Aと第2部材10Bとは互いに所定間隔をおいて離間しているため、それら第1部材10Aと第2部材10Bとの端縁同士が接触するように配置させ、その接触した端縁同士を溶接する。
【0034】
本実施形態の熱交換器の使用形態について説明する。
熱交換器は、熱媒体の流通経路上に配設される。ケース10の第1連結管12b、第2連結管13b、第1連結管14b、第2連結管15bにはそれぞれ熱媒体の流路経路をなす配管が連結される。図5に示すように、第2連結管13bに流入した第1熱媒体は、第2開口壁13aを介してハニカム構造体21の第2端部21bの端面に到る。そして、ハニカム構造体21の第1セルS1に流入し、第1セルS1に沿って流動して、第1端部21aの端面に到る。ハニカム構造体21を通過した第1熱媒体は、第1開口壁12aを介して第1連結管12bに流出する。
【0035】
図6に示すように、第1連結管14bに流入した第2熱媒体は、ケース本体11の貫通孔14aを介して、ケース本体11の内面とハニカム構造体21の周壁22との間の第1空隙R1に到る。この第1空隙R1に到った第2熱媒体は、ハニカム構造体21の内部流路か外部流路に流入する。第2熱媒体は、ハニカム構造体21の周壁22に形成された開口から第1連通部24aに流入し、第2セルS2に沿って流動し、第2連通部24bに到る。第2連通部24bは、ハニカム構造体21の周壁22に開口していて、この開口を介して第2熱媒体は、第2空隙R2に流入する。一方、第1空隙R1に到った第2熱媒体は、ケース本体11の内面とハニカム構造体21の周壁22との間に位置する保持材50を通り抜けて第2空隙R2に流入する。第2空隙R2に流入した第2熱媒体は、ケース本体11の貫通孔15aを介して第2連結管15bに流出する。
【0036】
このように、ケース10の内部に流入した第1熱媒体と第2熱媒体とは、ケース10に収納されたセラミック体20を流通する。第1熱媒体と第2熱媒体とは、互いに熱的な物性が異なっている。したがって、それら熱媒体が熱交換器を流通することによって、一方から他方へ熱が伝達される。
【0037】
本実施形態の熱交換器の作用効果を説明する。
(1)第1封止部材は、ハニカム構造体の第1端部の端面を囲むように第1軸方向開口部とセラミック体との間に配置している。また、第2封止部材は、ハニカム構造体の第2端部の端面を囲むように第2軸方向開口部とセラミック体との間に配置している。したがって、セラミック体を流通する第1熱媒体は、第1軸方向開口部及び第2軸方向開口部を介して第1流路に流入出する。したがって、第1熱媒体が第2軸方向開口部からハニカム構造体の第1セルS1へ流入することなくケースとセラミック体との間に進入する事態の発生、また、第1セルS1から第1軸方向開口部へ流出することなくケースとセラミック体との間に進入する事態の発生をそれぞれ抑制する。したがって、第1軸方向開口部及び第1流路の密閉性と、第2軸方向開口部及び第1流路の密閉性とを好適に確保することができる。
【0038】
(2)熱交換器を流通する熱媒体の温度によっては、熱交換器が熱膨張することがある。その場合、ケースの熱膨張とセラミック体の熱膨張とで差が生じ、その熱膨張の差に起因して、ケースとセラミック体との離間長さに変化が大きくなることもある。本実施形態の第1封止部材は、第1開口壁の開口内面と第1リブの凹溝とに圧接し、第2封止部材は、第2開口壁の開口内面と第2リブの凹溝とに圧接している。つまり、熱交換器に生じ得る熱膨張に基いて、ケースとセラミック体との熱膨張差を求め、その熱膨張差を吸収することができるように封止部材の厚さである長さL1が設定されている。したがって、ケースとセラミック体との間で熱膨張差に起因して離間長さが変化したとしても、その変化に追従して第1環状部と第2環状部とが変位する。したがって、封止部材の封止機能が向上する。
【0039】
(3)セラミック体の第1リブにおける軸方向外面に凹溝を有し、第1封止部材の第2環状部が凹溝に圧接している。また、第2リブにおける軸方向外面に凹溝を有し、第2封止部材の第2環状部が凹溝に圧接している。したがって、封止部材の第2環状部と凹溝とは係合関係を構築することから封止部材の位置ずれを抑制することができる。
【0040】
(4)封止部材の第2環状部が圧接する凹溝は、セラミック体のリブに形成されている。たとえば、凹溝をハニカム構造体の周壁の端面に形成することも考えられる。ただ、この場合は、周壁の厚さを凹溝の形成を考慮して相応に厚くする必要がある。したがって、リブに凹溝を形成する本実施形態の構成は、ハニカム構造体の周壁全体を壁厚に構成する場合に比べ、熱交換器の軽量化や低コスト化の面で有利である。
【0041】
(5)第1径方向開口部の第1連結管の流路断面積とハニカム構造体の第1連通部の開口における流路断面積とで差が生じることもある。本実施形態では、ケース本体の内面とハニカム構造体の周壁との間に第1空隙が形成されている。したがって、その流路断面積の差を好適に吸収することができる。この第1空隙の作用効果は、第2空隙の構成も同様に奏する。
【0042】
(6)ハニカム構造体の周壁には保持材が周壁の周方向全体を覆うように環状に形成されている。この保持材の密度の設定によって、保持材を通り抜ける第2熱媒体の流量を設定することができる。
【0043】
(7)第1リブは、ハニカム構造体の軸方向において、第1リブの軸方向外面とハニカム構造体の第1端部の端面とが同じ位置となるように配置されている。第2リブも、ハニカム構造体の軸方向において、第2リブの軸方向外面とハニカム構造体の第2端部の端面とが同じ位置となるように配置されている。したがって、リブの軸方向外面を面加工する際に、ハニカム構造体の端部が軸方向に突出していることに伴う面加工の煩雑さを解消することができる。
【0044】
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・セラミック体に形成される第1流路及び第2流路は、ハニカム構造体を対象として形成されなくてもよい。たとえば、図8に示すように、複数の貫通孔27Aが形成された一対のセラミック板27の間に、複数のセラミック管28を連結し、セラミック板27の貫通孔27Aとセラミック管28とを連通させた構成としてもよい。この場合、セラミック管28の内部が第1流路となり、セラミック管28同士の隙間が第2流路となる。
【0045】
・ハニカム構造体の周壁に配置されている保持材は、周壁の周方向全体を覆うように環状に形成されているものに限らない。セラミック体の周壁に形成されている第1連通部24aの開口と第2連通部24bの開口を覆うことがなければ、セラミック体の軸方向及び周方向において大きさを変更することは可能である。また、保持材の厚さの設定も任意に変更可能である。たとえば、第1リブ及び第2リブの高さと同じとなるように設定することも可能であるし、それらリブの高さよりも厚くするように設定することも可能である。
【0046】
・ハニカム構造体の形状は円柱状に限定されない。たとえば、角柱状に形成することも可能である。こうしたセラミック体の形状変更に合わせて、ケースの形状の変更も可能である。
【0047】
・ケースは、ケース本体の溶接部を境界として2つの部材から構成していたが、ケースを構成する部材の数は、2つに限定されない。3つ以上であってもよい。また、ケースを複数の部材に分割する位置は、ケース本体の中央部に限定されない。たとえば、ケース本体と第1開口壁との境界の位置でケースが分割されるように構成してもよい。
【0048】
・第1軸方向開口部の構成は、とくに限定されない。たとえば、第1開口壁及び第1連結管の構成に代えて、ケース本体の端部に、該端部から離間するほど小径となるテーパ壁によって構成するようにしてもよい。また、第1連結管の構成について、第1開口壁から離間するほど小径となるテーパ管によって構成することも可能である。なお、第2軸方向開口部の構成も同様にとくに限定されない。
【0049】
・第1径方向開口部及び第2径方向開口部のケース本体の周面に対する位置は、とくに限定されない。たとえば、第1径方向開口部を第2軸方向開口部側に配置し、第2径方向開口部を第1軸方向開口部側に配置するようにしてもよい。また、ケースの軸方向からみて、ケース本体の中心軸を水平方向において挟むように第1径方向開口部及び第2径方向開口部を配置してもよい。
【0050】
・封止部材の断面形状はとくに限定されない。たとえば、図9に示すように、断面C字状を採用してもよい。この場合、外周側が開放された一対の自由端として配置される第1環状部31と第2環状部32とを有し、それら第1環状部31と第2環状部32の内周側端部を接続する接続部33を有する。図9(a)に示すように、第1環状部31は、第1軸方向開口部12の第1開口壁12aにおける開口内面に線接触して圧接している。第2環状部32は、第1リブ25の凹溝25bの底面に線接触して圧接している。図9(b)に示すように、第1封止部材30は、ケース10とセラミック体20との間に配置される前の状態では、第1環状部31と第2環状部32との外周側端部の間の距離、すなわち、第1封止部材30の厚さが所定の長さL1に設定されている。この長さL1は、第1開口壁12aにおける開口内面と凹溝25bにおける底面との間の離間長さL2よりも長く設定されている。ケースとセラミック体との間で熱膨張差に起因して離間長さが変化したとしても、その変化に追従して第1環状部31と第2環状部32が変位することにより、封止部材の厚さがケースとセラミック体の離間長さの変化に追従する。また、断面U字状や断面V字状に形成された封止部材を採用することも可能である。こうした断面形状に合わせて第1環状部及び第2環状部の断面形状を変更したり、接続部を省略したりすることとなる。封止部材の断面形状によっては、ケース及びセラミック体に対して面接触することとなる場合もある。また、封止部材の第1環状部及び第2環状部の自由端が内周側を向くように配置することも可能である。
【0051】
・セラミック体における凹溝の配置は、リブの軸方向外面に限定されない。たとえば、ハニカム構造体の周壁について、所定の厚さを有するように形成し、その周壁の端面に凹溝を形成するようにして封止部材が配置されるようにしてもよい。また、セラミック体から凹溝を省略することも可能である。この場合、封止部材は、リブの軸方向外面や周壁の端面に圧接することとなる。
【0052】
・封止部材が係合する対象となる構成は、凹溝に限定されない。セラミック体の端部に環状に延びる凸条を形成し、この凸条の内周面又は外周面に環状の封止部材を配置すれば、その凸条によって封止部材の位置ずれを抑制することができる。
【0053】
・セラミック体は、第1リブ及び第2リブを省略することが可能である。この場合、第1リブ及び第2リブの高さ分だけケース本体の径が短くなり、それだけ熱交換器が小型になる。
【0054】
・ハニカム構造体の端部の端面を、軸方向において、リブの軸方向外面よりも外方に位置する構成を採用することも可能である。この場合、ハニカム構造体の端部の周壁は、封止部材の位置ずれを抑制するように貢献する。
【0055】
・熱交換器の使用形態において、熱媒体の流通方向を変更することは可能である。第1熱媒体について、第1軸方向開口部から第2軸方向開口部へ流動するようにしてもよいし、第2熱媒体について、第2径方向開口部から第1径方向開口部へ流動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…ケース、12、13…第1開口部、14、15…第2開口部、20…セラミック体、25、26…リブ、25b、26b…凹溝、30、40…封止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9