【解決手段】搬送装置は、第1回転体と、前記第1回転体とで形成するニップで媒体を挟んで搬送する第2回転体と、前記第1回転体に対し隙間を形成して配置され、前記ニップを通過した媒体に接触して媒体を定められた方向に案内する案内部材と、前記第2回転体を回転可能に支持し、前記第2回転体を移動させて前記第2回転体の前記第1回転体に対するニップ状態を変更する変更部と、前記変更部に支持され、前記第1回転体と前記案内部材とに挟まれ、その挟まれる方向に交差する交差方向に沿って厚みの異なる複数の部分を有し、前記第2回転体の移動に伴い前記交差方向に移動されて前記複数の部分のうちの何れかの部分で挟まれる挟まれ部材と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪概要≫
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)についての、2つの実施形態(第1及び第2実施形態)を説明する。
【0013】
≪第1実施形態≫
第1実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の全体構成及び画像形成動作について説明する。次いで、本実施形態の要部とされる定着装置の構成及び定着動作について説明する。次いで、本実施形態の効果について説明する。
【0014】
<画像形成装置の全体構成>
本実施形態の画像形成装置10は、
図1に示されるように、用紙Pを搬送するロール対13を含む搬送部12と、搬送部12により搬送される用紙PにトナーTを用いてトナー像Gを形成する画像形成部14と、トナー像Gを加熱して用紙Pにトナー像Gを定着する定着装置30と、制御部20とを含んで構成されている。ここで、画像形成部14は、形成部の一例である。用紙Pは、媒体の一例である。定着装置30は、搬送装置の一例である。
【0015】
画像形成部14は、公知の電子写真方式である帯電、露光、現像、転写の各工程を行うように構成されている。また、制御部20は、制御部20以外の画像形成装置10の各部を制御するようになっている。
【0016】
なお、以下の説明では、
図1に矢印Yで示す方向を装置高さ方向、矢印Xで示す方向を装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(Zで示す)を装置奥行き方向とする。そして、画像形成装置10を正面視して、装置高さ方向、装置幅方向及び装置奥行き方向を、それぞれY方向、X方向及びZ方向と記載する。さらに、X方向、Y方向及びZ方向の一方側と他方側を区別する必要がある場合は、画像形成装置10を正面視して、上側をY方向側、下側を−Y方向側、右側をX方向側、左側を−X方向側、奥側をZ方向側、前側を−Z方向側と記載する。
【0017】
以上が、本実施形態の画像形成装置10の全体構成についての説明である。
【0018】
<画像形成動作>
次に、本実施形態の画像形成動作について、
図1を参照しつつ説明する。
【0019】
外部装置(図示省略)から画像データを受け取った制御部20は、画像形成装置10を構成する制御部20以外の各部を作動させる。具体的には、制御部20は、搬送部12により用紙Pを搬送させ、画像形成部14によりトナー像Gを形成させ、定着装置30によりトナー像Gを用紙Pに定着させる。そして、トナー像Gが定着された用紙Pは、画像形成装置10の外に排出されて、画像成形動作が終了する。
【0020】
以上が、本実施形態の画像形成動作についての説明である。
【0021】
<要部構成>
次に、本実施形態の要部構成(定着装置30の構成)について説明する。
【0022】
本実施形態の定着装置30は、
図2に示されるように、装置本体となる筐体31と、定着ロール32と、加圧ベルト34と、剥離部材40と、加圧部材48と、挟まれ部材100とを含んで構成されている。ここで、定着ロール32は、第1回転体及び加熱部の一例である。加圧ベルト34は、第2回転体及び加圧部の一例である。剥離部材40は、案内部材の一例である。加圧部材48は、変更部の一例である。
【0023】
[筐体]
筐体31は、
図2に示されるように、Z方向を長手方向とする箱状に形成されており、Y方向側及び−Y方向側の図示しない壁に用紙Pが通過可能な開口部が形成されている。また、筐体31は、Z方向で対向する一対の側壁33を有している。一対の側壁33は、X−Y面に沿って配置されている。一対の側壁33のX方向側には、Z方向を軸方向とする円柱状のシャフト36が設けられている。また、一対の側壁33の−X方向側には、Z方向を軸方向とする円柱状のシャフト38が設けられている。
【0024】
シャフト36は、一対の側壁33の内側から外側(Z方向側及び−Z方向側)に突出している。シャフト36は、後述する定着ロール32の径方向の外側(定着ロール32よりもX方向側)で定着ロール32の軸方向(Z方向)に沿って配置されている。なお、
図2における符号C1は、シャフト36の軸線を示している。
【0025】
シャフト38は、一対の側壁33の内側から外側(Z方向側及び−Z方向側)に突出している。シャフト36は、加圧ベルト34の外側(加圧ベルト34よりも−X方向側)で加圧ベルト34の軸方向(Z方向)に沿って配置されている。
図2では、シャフト38の軸線C2を点C2で示している。
【0026】
[定着ロール]
定着ロール32は、
図2に示されるように、円筒状の芯金32Aの外周面32A1にゴム層32Bが設けられた構成とされている。なお、ゴム層32Bは、円筒とされており、その両端から芯金32Aの両端側の部分がはみ出した状態で、芯金32Aの外周面32A1を覆っている(図示省略)。また、定着ロール32は、用紙Pの搬送経路A(
図1参照)に対してトナー像G側(X方向側)に、Z方向を軸方向として該軸周りに回転可能に配置されている。芯金32A1の内側には、ハロゲンヒータ39が設けられている。ここで、ハロゲンヒータ39は、加熱源の一例である。
【0027】
ハロゲンヒータ39は、電源(図示省略)からの通電により発熱し、芯金32Aを加熱することで、ゴム層32Bを加熱するようになっている。さらに、芯金32AのZ方向側には、図示しないギヤが設けられている。このギヤは、図示しないモータにより回転されるようになっている。このように、定着ロール32は、ハロゲンヒータ39により加熱され、回転しながら用紙P及び用紙Pに形成されたトナー像G(トナーT)を加熱して、トナー像Gを用紙Pに定着するようになっている。
【0028】
[加圧ベルト]
加圧ベルト34は、
図2に示されるように、用紙Pの搬送経路A(
図1参照)に対して定着ロール32側とは反対側(−X方向側)にZ方向を軸方向として、該軸周りに回転(周回移動)可能に配置されている。また、加圧ベルト34は、エンドレスベルトとされている。
【0029】
さらに、加圧ベルト34の内側には、後述する加圧パッド62が設けられている。そして、加圧ベルト34は、定着ロール32との摩擦力により、定着ロール32の回転に従動して周回移動するようになっている。また、加圧ベルト34は、定着ロール32とでニップNを形成しつつ、ニップNで用紙Pを挟んで搬送するようになっている。本実施形態では、一例として、定着装置30における用紙Pの搬送方向がY方向に沿っており、用紙Pの搬送方向と直交する幅方向がZ方向となっている。
【0030】
[剥離部材]
剥離部材40は、定着ロール32に対し隙間Gを形成して配置され、ニップNを通過した用紙Pに接触して用紙Pを定められた方向に案内する機能を有する。ここで、定められた方向とは、用紙Pの搬送経路A(
図1参照)に沿った方向を意味する。搬送経路Aは、Z方向から見て、後述する剥離バッフル46よりも−X方向側とされている。なお、隙間Gについては後述する。
【0031】
剥離部材40は、Z方向で対向する一対のブラケット42と、一対のブラケット42によりZ方向両端部が支持された被取付部材44と、被取付部材44に取り付けられた剥離バッフル46と、被取付部材44に固定された固定部材47とを有している(
図2参照)。なお、ブラケット42は、Z方向側と−Z方向側とで同様の構成でありかつ定着ロール32のZ方向中央に対して対称に配置されているため、本明細書では−Z方向側のブラケット42について説明し、Z方向側のブラケット42の説明を省略する。
【0032】
〔ブラケット〕
ブラケット42は、
図2に示されるように、Z方向から見て円弧状に形成されており、X−Y面に沿って配置されている。具体的には、ブラケット42は、環状の板材を周方向に4分割した1/4円状に形成されている。また、ブラケット42の周方向の一端部(−Y方向側端部)は、シャフト36に回転可能に連結されている。つまり、ブラケット42は、定着ロール32の径方向の外側で、シャフト36(軸線C1)を中心として、軸線C1周りに円弧状に移動可能とされている。なお、ブラケット42は、図示しないバネによりZ方向から見て軸線C1を中心に反時計回りの方向に、常時付勢されている。
【0033】
〔被取付部材〕
被取付部材44は、Z方向を長手方向とする長尺状の部材で構成されている(
図2参照)。また、被取付部材44のZ方向両端部は、Z方向から見て、一対のブラケット42の周方向他端部に固定されている。さらに、被取付部材44の一部は、Z方向から見て、Y方向に対してY方向側端部が−Y方向側端部よりもX方向側に位置するように傾斜した状態で配置されている。さらに、被取付部材44の−Y方向側端部は、−X方向側に向けて屈曲されている。
【0034】
被取付部材44には、Z方向に間隔をあけて図示しない雌ネジが形成されている。この雌ネジには、ネジ57がねじ込まれている。ネジ57は、後述する剥離バッフル46の基端部46A(
図4A及び
図4B参照)を被取付部材44に取り付けるためのネジとされている。また、ネジ57には、圧縮コイルバネ56が挿入されている。そして、圧縮コイルバネ56は、ネジ57の雄ネジが被取付部材44の雌ネジにねじ込まれることにより、剥離バッフル46の基端部46Aを被取付部材44から離れる側に押すようになっている。
【0035】
〔剥離バッフル〕
剥離バッフル46は、Z方向を長手方向とする矩形状の板材で構成されている(
図2、
図4A及び
図4B参照)。また、剥離バッフル46は、基端部46Aと先端部46Bとを有している。基端部46Aは、Z方向を長手方向とする矩形板状のホルダ58に接着により固定(保持)されている。ホルダ58は、ネジ57により被取付部材44の−X方向側に取り付けられており、圧縮コイルバネ56により−X方向側へ向けて押し付けられている。以上のように、基端部46Aがホルダ58を介してブラケット42に固定されていることで、剥離バッフル46はブラケット42に取り付けられている。
【0036】
なお、剥離バッフル46の先端部46Bは、
図6に示すように、ホルダ58から突出した自由端とされている。また、先端部46Bは、用紙Pの搬送方向におけるニップNよりも下流側において、定着ロール32の外周面(ゴム層32Bの外周面)と距離dをあけて、搬送される用紙Pが接触する位置に配置されている。前述の隙間Gとは、先端部46Bと定着ロール32の外周面との隙間を意味する。また、先端部46Bと定着ロール32の外周面との隙間Gの大きさとは、距離dを意味する。先端部46Bは、ホルダ58からの突出の方向が定着ロール32の回転方向とは反対向きとなるように配置されている。ここで、用紙Pの搬送方向におけるニップNの下流端から先端部46Bまでの距離を距離Lbとする。そして、剥離バッフル46は、搬送されてきた用紙Pの搬送方向の先端が剥離バッフル46の先端部46Bと接触することで、定着ロール32の外周面から離れる方向に用紙Pを案内する(剥離させる)ようになっている。
【0037】
〔固定部材〕
固定部材47は、被取付部材44の長手方向の両端側の部分にネジ(図示省略)で固定された一対の円柱とされている(
図2参照)。固定部材47は、一例として金属製とされている。各固定部材47は、被取付部材44の長手方向に沿って、被取付部材44の両端からそれぞれZ方向、−Z方向に対称に突出している。また、各固定部材47は、Y方向から見ると、定着ロール32におけるゴム層32Bの両端からはみ出した芯金32Aに重なっている。なお、各固定部材47は、定着ロール32の芯金32Aとで、挟まれ部材100を挟んでいる。以上のとおり、各固定部材47が定着ロール32の芯金32Aとで挟まれ部材100を挟むことで、別言すれば、各固定部材47が挟まれ部材100に接触していることで、図示しないバネにより常時付勢されているブラケット42(剥離部材40)が位置決めされるようになっている。その結果、剥離バッフル46の先端部46Bが定着ロール32の外周面とあける距離dが決まるようになっている。
【0038】
[加圧部材]
加圧部材48は、加圧ベルト34を回転可能に支持し、加圧ベルト34を定着ロール32側に移動させて加圧ベルト34の定着ロール32に対するニップ状態を変更する機能を有する。ここで、「ニップ状態を変更する」とは、ニップNを形成している状態としていない状態との2つの状態を変化させること、及び、ニップNを形成している状態においてニップNによる圧力の大きさを変化させることを意味する。
【0039】
加圧部材48は、
図2及び
図3に示されるように、加圧パッド62と、加圧パッド62を保持するホルダ64と、ホルダ64を支持する第1レバー部材66と、第1レバー部材66が移動可能に設けられた第2レバー部材68とを含んで構成されている。また、加圧部材48は、Z方向から見て、カムユニット80により軸線C2周りに円弧状に移動可能とされている。
【0040】
〔加圧パッド〕
加圧パッド62は、
図5A及び
図5Bに示されるように、加圧ベルト34の内側に配置されている。また、加圧パッド62は、一例として、パッド部材62A及びパッド部材62Bを有している。
【0041】
パッド部材62Aは、一例として、Z方向を長手方向とし用紙Pの搬送方向を短手方向とする矩形板状のシリコンゴムで構成されている、また、パッド部材62Aは、用紙Pの搬送方向におけるニップNの上流端から下流端の手前(下流端よりも上流側)までの範囲で加圧ベルト34と接触し、後述する圧縮コイルバネ63の押付力により加圧ベルト34を加圧している。
【0042】
パッド部材62Bは、一例として、Z方向に長い直方体状のシリコンゴムで構成されている。また、パッド部材62Bは、後述するホルダ64に固定されており、用紙Pの搬送方向におけるニップNの下流端側の部分で加圧ベルト34と接触し、加圧ベルト34を加圧している。
【0043】
〔ホルダ〕
ホルダ64は、
図5A及び
図5Bに示されるように、一例として、Z方向に長い長尺状の部材であり、加圧ベルト34の内側に配置されている。また、ホルダ64には、ホルダ64をZ方向から見て、−X方向側に凹んだ凹部64Aが形成されている。凹部64Aには、X方向を変形方向とする圧縮コイルバネ63が設けられている。圧縮コイルバネ63は、パッド部材62Aを加圧ベルト34に押し付けている。さらに、ホルダ64のY方向側端部は、パッド部材62Bの−X方向側の端部が図示しないネジにより固定されている。加えて、ホルダ64のZ方向両端部は、第1レバー部材66(
図3参照)に図示しないネジにより固定されている。
【0044】
ここで、
図2及び
図5Aに示すように、パッド部材62Aがパッド部材62Bよりもホルダ64側に押し込まれている加圧状態(パッド部材62A及びパッド部材62Bが加圧ベルト34に接触する状態)をフルラッチ状態と称する。また、
図4A及び
図5Bに示すように、パッド部材62Aが加圧ベルト34と接触し、パッド部材62Bが加圧ベルト34と接触していない加圧状態をハーフラッチ状態と称する。つまり、定着ロール32と加圧ベルト34とが接触した状態又は定着ロール32と加圧ベルト34とで用紙Pが挟まれた状態において、加圧ベルト34の加圧力が高い状態がフルラッチ状態であり、フルラッチ状態よりも加圧力が低い状態がハーフラッチ状態である。なお、
図4Bに示されるように、ハーフラッチ状態よりも加圧ベルト34の加圧力が低い状態(ニップNが形成されていない非接触状態)をラッチ解除状態と称する。
【0045】
図3には、−Z方向側の第1レバー部材66及び第2レバー部材68が示されている。ここで、第1レバー部材66及び第2レバー部材68は、Z方向側と−Z方向側とで同様の構成でありかつホルダ64(
図2参照)のZ方向中央に対して対称に配置されている。このため、−Z方向側の第1レバー部材66及び第2レバー部材68について説明し、Z方向側の第1レバー部材66及び第2レバー部材68の説明を省略する。第1レバー部材66のU字状に凹んだ部位には、ホルダ64のZ方向両端部が、図示しないネジにより固定されている。
【0046】
〔第1レバー部材〕
第1レバー部材66は、
図3に示されるように、Z方向に間隔をあけて配置された外側壁66Aと、内側壁66Bと、前壁66Cとを有している。外側壁66Aは、内側壁66Bよりも−Z方向側に配置されている。外側壁66A及び内側壁66Bは、Z方向に見てX方向側に開口するU字状に形成されている。前壁66Cは、外側壁66AのY方向側かつX方向側の端部と、内側壁66BのY方向側かつX方向側の端部とを繋いでいる。さらに、外側壁66Aの−Y方向側端部と内側壁66Bの−Y方向側端部とには、Z方向に貫通した貫通孔66Dが形成されている。そして、第1レバー部材66は、貫通孔66Dに既述のシャフト38が挿入されることにより、軸線C2周りに円弧状に移動可能に、シャフト38に設けられている。
【0047】
第1レバー部材66の前壁66Cよりも−X方向側の部位には、板状の被押付部66Eが形成されている。被押付部66Eには、X方向に貫通した図示しない雌ネジ部が形成されている。また、被押付部66Eの−X方向側の面には、圧縮コイルバネ67のX方向側端部が接触している。圧縮コイルバネ67の−X方向側端部は、後述する第2レバー部材68に接触している。つまり、第1レバー部材66のY方向側端部は、圧縮コイルバネ67の押付力により、第2レバー部材68から離れる側に押されている。
【0048】
〔第2レバー部材〕
第2レバー部材68は、
図3に示されるように、Z方向に間隔をあけて配置された外側壁68Aと、内側壁68Bと、後壁68Cとを有している。外側壁68Aは、内側壁68Bよりも−Z方向側に配置されている。また、外側壁68Aと内側壁68Bとの間には、第1レバー部材66が配置されている。
【0049】
外側壁68Aは、Z方向に見てX方向側に開口するU字状に形成されている。外側壁68AのY方向側かつX方向側端部には、Z方向を軸方向とし−Z方向側へ向けて突出した軸部68Dが形成されている。軸部68Dには、Z方向に見て円筒状のカムフォロワ72が、軸部68Dを中心として回転可能に設けられている。
【0050】
また、外側壁68AのY方向中央かつ−X方向側の部位には、Z方向を軸方向とするシャフト74の一端部が取り付けられている。シャフト74の他端部は、内側壁68BのY方向中央かつ−X方向側の部位に取り付けられている。シャフト74には、Z方向に見て円筒状のカムフォロワ75(
図2参照)が、シャフト74を中心として回転可能に設けられている。さらに、外側壁68Aの−Y方向側かつX方向側端部には、Z方向に貫通した貫通孔68Eが形成されている。貫通孔68Eには、既述のシャフト38が挿入されている。
【0051】
内側壁68Bは、Z方向に見てL字状に形成されている。また、内側壁68BのY方向中央部でかつ−X方向側の部位には、既述のように、シャフト74のZ方向の他端部が取り付けられている。さらに、内側壁68Bの−Y方向側かつX方向側端部には、Z方向に貫通した図示しない貫通孔が形成されている。この貫通孔には、既述のシャフト38が挿入されている。つまり、外側壁68Aの−Y方向側端部と内側壁68Bの−Y方向側端部とは、シャフト38の軸線C2周りに回転するように連結されている。別言すると、第2レバー部材68は、第1レバー部材66のZ方向側及び−Z方向側において、軸線C2周りに円弧状に移動可能に、シャフト38に設けられている。
【0052】
後壁68Cは、外側壁68AのY方向側かつ−X方向側の端部と、内側壁68BのY方向側かつ−X方向側の端部とを繋いでいる。また、後壁68Cには、X方向に貫通した図示しない貫通孔が形成されている。この貫通孔には、X方向側に向けて調整ネジ76が挿入されている。
【0053】
調整ネジ76は、後壁68Cと被押付部66Eとの間で圧縮コイルバネ67に挿入されている。また、調整ネジ76の先端の図示しない雄ネジは、第1レバー部材66の被押付部66Eの雌ネジにねじ込まれている。これにより、調整ネジ76のねじ込み量を増やしたときに圧縮コイルバネ67が圧縮され、第1レバー部材66に作用する押付力が増えるようになっている。
【0054】
ここで、
図2に示すように、ブラケット42及び加圧部材48をZ方向から見て、加圧部材48が軸線C2を中心として時計回り方向に移動した場合、ブラケット42は軸線C1を中心として反時計回り方向に移動するようになっている。また、加圧部材48が軸線C2を中心として反時計回り方向に移動した場合、ブラケット42は軸線C1を中心として時計回り方向に移動するようになっている。
【0055】
〔カムユニット〕
カムユニット80は、
図2に示されるように、図示しないモータにより回転されるシャフト81と、シャフト81に取り付けられたカム82とを有している。シャフト81は、Z方向を軸方向として筐体31内に配置されている。また、シャフト81のZ方向両端部は、一対の側壁33及び図示しない軸受により回転可能に支持されている。さらに、シャフト81は、カム82とカムフォロワ75とが接触するように、第2レバー部材68よりも−X方向側に配置されている。
【0056】
カム82は、Z方向から見て、長径部(長軸に相当する部位)と短径部(短軸に相当する部位)とを有する楕円形状であって、長径部に凹部82Aが形成された形状とされている。ここで、長径部と短径部との間に相当する部位を中径部と称する。また、カム82における凹部82Aの反対側を凸部82Bと称する。そして、カム82が回転して、カムフォロワ75を介して第1レバー部材66及び第2レバー部材68(
図3参照)がシャフト38の軸線C2周りに円弧状に移動することで、加圧パッド62が加圧ベルト34を加圧するようになっている。すなわち、加圧部材48及びカムユニット80により、加圧ベルト34は定着ロール32側に移動して定着ロール32に加圧されるようになっている。
【0057】
カム82の凸部82Bがカムフォロワ75と接触している状態では、定着ロール32及び加圧ベルト34が既述のフルラッチ状態となる(
図2参照)。また、カム82の中径部がカムフォロワ75と接触している状態では、定着ロール32及び加圧ベルト34が既述のハーフラッチ状態となる(
図4A参照)。さらに、カム82の凹部82Aがカムフォロワ75と接触している状態では、定着ロール32及び加圧ベルト34が既述のラッチ解除状態となる(
図4B参照)。なお、ラッチ解除状態、ハーフラッチ状態及びフルラッチ状態の切り替えは、用紙Pの種類に応じて既述の制御部20(
図1参照)がカムユニット80を動作させることにより行われるようになっている。
【0058】
例えば、カムユニット80は、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙よりも厚い厚紙の場合はハーフラッチ状態となるように、駆動制御されるようになっている。また、カムユニット80は、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙及び普通紙よりも薄い薄紙の場合はフルラッチ状態となるように、駆動制御されるようになっている。また、カムユニット80は、画像形成装置10を待機させている場合、用紙Pが定着装置30で詰まった場合(いわゆる紙ジャムの場合)はラッチ解除状態となるように駆動制御されるようになっている。以上のとおり、加圧部材48は、用紙Pの種類に応じて移動するようになっている。
【0059】
[挟まれ部材]
挟まれ部材100は、前述の距離dの大きさ、すなわち、先端部46Bと定着ロール32の外周面との隙間Gの大きさを調整する機能を有する。挟まれ部材100は、
図2に示されるように、長尺の棒状部材とされている。挟まれ部材100は、一例として金属製とされている。
【0060】
挟まれ部材100の長手方向の一端側には、Z方向に貫通する貫通孔102が形成されている。貫通孔102には、加圧部材48の第2レバー部材68に設けられたピンPNがはめ込まれている。そして、挟まれ部材102は、ピンPNを軸として加圧部材48に回転可能に支持されている。なお、挟まれ部材100は、Z方向側及び−Z方向側の各加圧部材48に支持されている。
【0061】
挟まれ部材100は、長手方向の一端側から他端に亘って、その厚み(Y方向の幅)が変化している構造とされている。具体的には、挟まれ部材100は、挟まれ部材100の長手方向の一端側から、第1部分100A、第1傾斜部分100B、第2部分100C、第2傾斜部分100D、第3部分100Eの順で、厚みの異なる複数の部分を有している。ここで、第1部分100A、第2部分100C及び第3部分100Eの各厚みは挟まれ部材100の長手方向に亘って一定であり、各部分の厚みは、これらの記載順で大きくなる関係とされている。第1傾斜部分100B及び第2傾斜部分100Dは、それぞれ、長手方向で隣接する各部分を繋ぐ傾斜部分とされており、長手方向の一端側から他端側に亘って、徐々にその厚みが大きくなる部分とされている。また、第1傾斜部分100B及び第2傾斜部分100Dの高さ(挟まれ部材100の厚み方向の長さを意味する。)は、固定部材47の半径よりも短い。なお、第1傾斜部分100B、第2部分100C、第2傾斜部分100D及び第4部分100Eは、挟まれ部材100における長手方向の他端側(貫通孔102が形成されている側と反対側)に形成されている。
【0062】
ここで、前述のとおり、
図2は、定着装置30のフルラッチ状態を示している。挟まれ部材100は、フルラッチ状態において、定着ロール32(の芯金32A)と、剥離部材40(の固定部材47)とに第1部分100Aで挟まれて、距離dの大きさを定めている。また、
図4Aは、定着装置30のハーフラッチ状態を示している。挟まれ部材100は、ハーフラッチ状態において、定着ロール32(の芯金32A)と、剥離部材40(の固定部材47)とに第2部分100Cで挟まれて、距離dの大きさを定めている。さらに、
図4Bは、定着装置30のラッチ解除状態を示している。挟まれ部材100は、ラッチ解除状態において、定着ロール32(の芯金32A)と、剥離部材40(の固定部材47)とに第3部分100Eで挟まれて、距離dの大きさを定めている。なお、挟まれ部材100の長手方向は、定着ロール32と剥離部材40とに挟まれる方向に交差する方向の一例である。
【0063】
なお、前述のとおり、第1部分100A、第2部分100C及び第3部分100Eは、これらの記載順でその厚みが大きくなる関係にあり、また、剥離部材40は、軸線C1を中心として回転するようになっている。そのため、挟まれ部材100は、フルラッチ状態(
図2参照)、ハーフラッチ状態(
図4A参照)及びラッチ解除状態(
図4B参照)の記載順で距離dが大きくなるように、設定されている。
【0064】
以上のとおりであるから、挟まれ部材100は、各ラッチ状態により、定着ロール32と、剥離部材40とに、異なる厚みの部分の何れかの部分で挟まれることで、距離dの大きさを調整する機能を有するといえる。
【0065】
以上が、本実施形態の要部構成(定着装置30の構成)についての説明である。
【0066】
<定着動作>
次に、本実施形態の定着装置30の定着動作について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の定着動作では、制御部20が定着装置30を制御して、ハロゲンヒータ39により定着ロール32を加熱させ、定着ロール32を回転させることで行われる。ただし、本実施形態の定着装置30では、前述のとおり、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙よりも厚い厚紙の場合は、
図4A及び
図5Bに示されるハーフラッチ状態となるように、カムユニット80が駆動制御される。また、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙及び普通紙よりも薄い薄紙の場合は、
図2及び
図5Aに示されるフルラッチ状態となるように、カムユニット80が駆動制御される。また、画像形成装置10の待機時、紙ジャム時等の場合は、
図4Bに示されるラッチ解除状態となるように、カムユニット80が駆動制御されるようになっている。なお、これらのラッチ状態の変更(カムユニット80の駆動制御)は、例えば、使用者が、図示しない入力手段に、画像形成動作の際に使用する用紙Pの種類等を入力することで、当該用紙Pの種類等に関するデータが送られた制御部20により、搬送部12による用紙Pの搬送前に行われる。そして、画像形成部14によりトナー像Gが形成されて、搬送部12により搬送される用紙Pは、ニップNでトナー像Gが定着され、更に剥離バッフル46により搬送経路Aを案内されて、定着動作が終了する。
【0067】
以上が、本実施形態の定着動作についての説明である。
【0068】
<効果>
次に、本実施形態の効果(以下に説明する第1、第2、第3及び第4の効果)について、本実施形態を以下に説明する各比較形態(第1、第2及び第3比較形態)と比較しながら説明する。なお、各比較形態において本実施形態で用いた部品等を用いて説明する場合、図示しない場合であってもその部品の符号、名称等を使用する。
【0069】
[第1の効果]
第1の効果は、挟まれ部材100が、加圧部材48に(回転可能に)支持されており、その長手方向において厚みの異なる複数の部分を有し、加圧部材48の回転に伴い移動して定着ロール32と剥離部材40とに異なる厚みの部分の何れかの部分で挟まれることの効果である。第1の効果については、本実施形態を図示しない第1比較形態と比較して説明する。
【0070】
第1比較形態の定着装置は、挟まれ部材100及び固定部材47(
図2参照)を備えていない。また、第1比較形態の定着装置は、剥離部材40が一対の側壁33(
図2参照)に対して位置決めされている(回転可能とされていない)。第1比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様の構成とされている。
【0071】
第1比較形態の場合、上記のような構成であることから、加圧部材48の移動に伴い、距離d(先端部46Bと定着ロール32の外周面との隙間Gの大きさ)が調整されない。
【0072】
これに対して、本実施形態の定着装置30は、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、挟まれ部材100が、加圧部材48に(回転可能に)支持されている。そして、挟まれ部材100は、加圧部材48の回転に伴い移動して定着ロール32と剥離部材40とに異なる厚みの部分の何れかの部分で挟まれる。
【0073】
したがって、本実施形態の定着装置30によれば、定着ロール32に対する加圧ベルト34のニップ状態の変更に伴い定着ロール32に対する剥離部材40の隙間Gの大きさ(距離d)を調整することができる。別の見方をすると、本実施形態の定着装置30は、用紙Pの厚みに応じたニップNの変更に伴い、すなわち、用紙Pの厚みに応じたラッチ状態の変更に伴い、距離dを調整することができる。また、これに伴い、本実施形態の画像形成装置10は、定着ロール32に対する加圧ベルト34のニップ圧の変更に伴い定着ロール32に対する剥離部材40の隙間Gの大きさ(距離d)を変更することができない構成に比べて、特定の厚みの媒体を用いる場合、定着装置30での案内不良(いわゆる剥離バッフル46での紙ジャム)が抑制される。
【0074】
[第2の効果]
第2の効果は、第1傾斜部分100Bと第2傾斜部分100Dは、それぞれ、長手方向で隣接する各部分を繋ぐ傾斜部分とされており、挟まれ部材100の長手方向の一端側から他端側に亘って、徐々にその厚みが大きくなる部分とされていることの効果である。第2の効果については、本実施形態を図示しない第2比較形態と比較して説明する。
【0075】
第2比較形態の挟まれ部材(図示省略)は、第1傾斜部分100Bと第2傾斜部分100Dがない。そのため、第2比較形態の挟まれ部材の場合、第1部分100Aと第2部分100Cとの境界と、第2部分100Cと第3部分100Eとの境界とには、挟まれ部材100の長手方向に対して直交する面が形成されている。第2比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様の構成とされている。なお、第2比較形態は第1の効果を奏する構成を有することから、第2比較形態は本発明の技術的範囲に含まれる形態とされている。
【0076】
第2比較形態の場合、上記のとおりの構成であることから、ラッチ状態の変更に伴って挟まれ部材が移動する場合、その各部分の境界で固定部材が引っ掛かる虞がある。
【0077】
これに対して、本実施形態の場合、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、第1傾斜部分100Bと第2傾斜部分100Dは、それぞれ、長手方向で隣接する各部分を繋ぐ傾斜部分とされており、挟まれ部材100の長手方向の一端側から他端側に亘って、徐々にその厚みが大きくなる部分とされている。
【0078】
したがって、本実施形態の定着装置30によれば、第1部分100Aと第2部分100Cとの境界と、第2部分100Cと第3部分100Eとの境界とに、挟まれ部材100の長手方向に対して直交する面が形成されている場合に比べて、固定部材47が引っ掛かり難い(距離dの調整がスムーズに行える)。
【0079】
[第3の効果]
第3の効果は、固定部材47が円柱状であり、かつ、固定部材47の半径が、第1傾斜部分100B及び第2傾斜部分100Dの高さ、すなわち、挟まれ部材100における各段差の大きさよりも大きいことの効果である。第3の効果については、本実施形態を図示しない第3比較形態と比較して説明する。
【0080】
第3比較形態の固定部材47の半径は、挟まれ部材100の各段差の大きさよりも小さい。第3比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様の構成とされている。なお、第3比較形態は第1及び第2の効果を奏する構成を有することから、第3比較形態は本発明の技術的範囲に含まれる形態とされている。
【0081】
第3比較形態の場合、上記のとおりの構成であることから、ラッチ状態の変更に伴って挟まれ部材が移動する場合、その各部分の境界(段差)で固定部材が引っ掛かる虞がある。
【0082】
これに対して、本実施形態の場合、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、固定部材47の半径が、第1傾斜部分100B及び第2傾斜部分100Dの高さ、すなわち、挟まれ部材100における各段差の大きさよりも大きい。
【0083】
したがって、本実施形態の定着装置30によれば、固定部材47の半径が挟まれ部材100の各段差の大きさよりも小さい場合に比べて、固定部材47が引っ掛かり難い(距離dの調整がスムーズに行える)。
【0084】
[第4の効果]
第4の効果は、定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分が芯金32Aの外周面32A1であることの効果である。第3の効果については、本実施形態を第4比較形態(
図10参照)と比較して説明する。
【0085】
第4比較形態の場合、
図10に示されるように、定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分は(定着ロール32の)ゴム層32Bの外周面とされている。第3比較形態は、上記の点以外は本実施形態と同様の構成とされている。なお、第4比較形態は第1、第2及び第3の効果を奏する構成を有することから、第4比較形態は本発明の技術的範囲に含まれる形態とされている。
【0086】
第4比較形態の場合、挟まれ部材100がゴム層32Bの外周面に接触することから、ゴム層32Bの弾性率等によっては、ゴム層32Bが凹む虞がある。そして、長期間使用することに伴い、ゴム層32Bの凹み量が変動する虞がある。その結果、第4比較形態の場合、距離dが変動する。
【0087】
これに対して、本実施形態の場合、
図2、
図4A及び
図4Bに示されるように、定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分は芯金32Aの外周面32A1とされている。
【0088】
したがって、本実施形態の定着装置30によれば、定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分が(定着ロール32の)ゴム層32Bの外周面とされている場合に比べて、距離dが変動し難い。
【0089】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、第1実施形態の説明である。
【0090】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について
図7を参照しつつ説明する。以下、本実施形態について第1実施形態と異なる部分について説明する。なお、本実施形態において第1実施形態で用いた部品等を用いて説明する場合、図示しない場合であってもその部品の符号、名称等を使用する。
【0091】
<構成>
本実施形態の定着装置30A(
図7参照)は、第1実施形態の定着装置30(
図2参照)に対して、挟まれ部材200の構成のみが異なる。具体的に、本実施形態の挟まれ部材200は、支持棒210と、回転部材220とを含んで構成されている。ここで、定着装置30Aは、搬送装置の一例である。
【0092】
支持棒200は、両端側に貫通孔212A、212Bが形成された棒とされている。支持棒200の一端側の貫通穴212Aには加圧部材48の第2レバー部材68に設けられたピンPNにはめ込まれている。これにより、支持棒200は、ピンPNに回転可能とされて、第2レバー部材68に支持されている。また、支持棒200の他端側の貫通孔212Bは、後述する回転部材220に設けられたピン222にはめ込まれている。
【0093】
回転部材220は、リング状の部材とされ、その内周に定着ロール32の芯金32Aがはめ込まれ、芯金32Aに対して回転可能な状態で、芯金32Aに支持されている。回転部材220は、ピン222と、リング部224と、凸部226とを含んで構成されている。
【0094】
リング部224は、中心に芯金32Aの外径と同等の内径の貫通孔が形成されたリングとされている。凸部226は、リング部224の外周に形成され、リング部224の径方向に突出した部分とされている。凸部226は、リング部224の周方向における定められた範囲に亘って形成されている。凸部226は、一例として、定着装置30をZ方向側から見て、時計回りに、定められた厚みで突出した第1凸部226Aと、第1傾斜部分226Bと、第1凸部226Aよりも厚い第2凸部226Cと、第2傾斜部分226Dと、第2凸部226Cよりも厚い第3凸部226Eとで構成されている。第1傾斜部分226B及び第2傾斜部分226Dは、それぞれ、リング部224の周方向で隣接する各部分を繋ぐ傾斜部分とされており、当該周方向の一方側から他方側に亘って、徐々にその厚みが大きくなる部分とされている。なお、挟まれ部材200(のリング部224)の回転方向は、定着ロール32と剥離部材40とに挟まれる方向に交差する方向の一例である。
【0095】
以上のとおりであるから、本実施形態の定着装置30Aは、挟まれ部材200が、加圧部材48に(回転可能に)支持されており、かつ、定着ロール32と剥離部材40とに厚みの異なる複数の部分のうちの一の部分(第1凸部226A、第2凸部226C及び第3凸部226Eの何れか1つの部分)で挟まれ、加圧部材48の回転に伴い移動して他の部分(第1凸部226A、第2凸部226C及び第3凸部226Eの何れか1つの部分)で挟まれるようになっている。なお、
図7は、フルラッチ状態の定着装置30Aを示している。
【0096】
以上が、本実施形態の構成についての説明である。
【0097】
<定着動作>
次に、本実施形態の定着装置30Aの定着動作について、第1実施形態の場合と異なる点を説明する。本実施形態の定着装置30Aでは、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙よりも厚い厚紙の場合は、ハーフラッチ状態となるようにカムユニット80が駆動制御される。この場合、挟まれ部材200は、固定部材47と定着ロール32とに第2凸部226Cで挟まれる。また、画像形成動作に用いられる用紙Pが普通紙及び普通紙よりも薄い薄紙の場合は、
図7に示されるフルラッチ状態となるようにカムユニット80が駆動制御される。この場合、挟まれ部材200は、固定部材47と定着ロール32とに第1凸部226Aで挟まれる(図示省略)。また、画像形成装置10の待機時、紙ジャム時の場合は、ラッチ解除状態となるようにカムユニット80が駆動制御される。この場合、挟まれ部材200は、固定部材47と定着ロール32とに第3凸部226Eで挟まれる(図示省略)。
【0098】
以上が、本実施形態の定着動作についての説明である。
【0099】
<効果>
本実施形態の効果は、第1実施形態の効果(第1、第2及び第3の効果)と同様である。
【0100】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、第2実施形態についての説明である。
【0101】
以上のとおり、本発明について特定の実施形態を例として説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態も含まれる。
【0102】
例えば、各実施形態では、剥離バッフル46が定着ロール32の外周面に対して距離dをあけて配置されているとして説明した。しかしながら、定着ロール32と加圧ベルト34とを入れ替えて、剥離バッフル46が加圧ベルト34の外周面に対して距離dをあけて
配置されているようにしてもよい。この変形例(図示省略)の場合、定着ロール32は第2回転体の一例となり、加圧ベルト34は第2回転体の一例となる。
【0103】
また、各実施形態では、挟まれ部材100、200は固定部材47と定着ロール32とに厚みの異なる3つの部分で挟まれるとして説明した。そのため、各実施形態におけるラッチ状態は、フルラッチ状態、ハーフラッチ状態及びラッチ解除状態の3つの状態があるとして説明した。しかしながら、挟まれ部材100、200が厚みの異なる3つの部分で挟まれるのは例示であり、厚みの異なる2つの部分又は4つ以上の部分で挟まれるようにしてもよい。また、
図8の変形例に示されるように、挟まれ部材100の厚み方向の向きを、逆にしてもよい。さらに、
図9の他の変形例に示されるように、挟まれ部材100における固定部材47と定着ロール32とで挟まれる部分の厚みをその一端側から他端側に亘って徐々に厚くなるようにしてもよい。この場合の挟まれる部分における厚みが徐々に厚くなる部分は、厚みの異なる複数の部分で構成されているといえる。
【0104】
また、各実施形態では、定着装置30、30Aが搬送装置の一例であるとして説明した。しかしながら、挟まれ部材が、加圧部材に(回転可能に)支持されており、厚みの異なる複数の部分を有し、加圧部材の回転(移動)に伴い移動して第1回転体と剥離部材とに異なる厚みの部分の何れかの部分で挟まれる構成を備えていれば、搬送装置は、定着装置以外であってもよい。例えば、搬送装置の一例は、用紙Pのカールを矯正するデカーラ装置、インクジェット記録装置を構成する乾燥装置その他の装置であってもよい。
【0105】
また、第1実施形態における第4の効果の説明において、第1実施形態は、例えば、第4比較形態に比べて、距離dが変動し難いという効果を有するとした。しかしながら、第4比較形態のように定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分がゴム層32Bの外周面である形態(
図2参照)は、第1実施形態のように定着ロール32における挟まれ部材100に接触する部分が芯金32Aの外周面32A1である形態(
図10参照)に比べて、以下の点で優れているといえる。すなわち、定着装置30の長時間利用によりゴム層32Bが熱膨張した場合はその膨張分も加味して案内部材40の位置を調整する必要がある。そのため、第4比較形態は、第1実施形態と異なり、前記膨張分も加味した案内部材40の位置の調整が可能となる点で優れている。