【解決手段】蓄電装置100の電流遮断装置10は、通電板20と第1変形板30とホルダ80とを備えている。通電板20は、平面視すると矩形状に形成されており、その矩形状の角部の少なくとも2箇所には面取りされた面取り部24が形成されている。ホルダ80の通電板側の面には、該面取り部24のそれぞれに対応する位置に配置され、通電板の外周縁に沿って伸びると共に通電板側に向かって突出する複数のボス76を有している。複数のボスは、通電板の外側面に沿って伸びる基部76aと、該基部から折れ曲がって通電板のホルダとは反対側の面に沿って伸びる先端部76bを有している。通電板は、ホルダの通電板側の面と複数のボスの先端部とで挟まれることで、ホルダに支持されている。
前記通電板に対して前記第1変形板とは反対側に配置されているとともに、前記通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えており、
前記第2変形板は、前記電極組立体と前記電極端子とが導通しているときは前記突起が第1位置に位置して前記通電板と前記第1変形板とが当接している第1状態と、前記電極組立体と前記電極端子とが非導通のときは前記突起が前記第1位置から前記通電板側の第2位置に移動して前記通電板と前記第1変形板とを離間させる第2状態とに切り替えられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
前記ボスの先端部は、前記第1状態において、前記第2変形板の前記通電板から最も離れた位置よりも前記通電板から離れた位置に位置する、請求項4又は5に記載の電流遮断装置。
前記ボスの前記先端部の厚みは、その先端に向かうに従って、前記通電板の外周縁側から前記通電板の中央に向かって徐々に薄くされている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
(特徴1) 本明細書に開示する電流遮断装置では、複数のボスの先端部が熱カシメ処理によって前記通電板の中央に向かって折れ曲がっていてもよい。このような構成によると、ボスの先端部を折り曲げる処理を簡易に行うことができる。
【0010】
(特徴2) 本明細書に開示する電流遮断装置では、通電板の面取り部又はその近傍には、第1嵌合部が形成されており、ボスは、通電板の前記第1嵌合部に嵌合する第2嵌合部をさらに有していてもよい。このような構成によると、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合することによって、通電板のホルダ側の面とホルダの通電板側の面との面内方向の位置ズレを規制することができる。
【0011】
(特徴3) 本明細書に開示する電流遮断装置は、通電板に対して第1変形板とは反対側に配置されているとともに、通電板の中央部に向かって突出している突起が設けられている第2変形板をさらに備えていてもよい。また、第2変形板は、電極組立体と電極端子とが導通しているときは突起が第1位置に位置して通電板と第1変形板とが当接している第1状態と、電極組立体と端子とが非導通のときは突起が第1位置から通電板側の第2位置に移動して通電板と第1変形板とを離間させる第2状態とに切り替えられてもよい。
【0012】
(特徴4) 本明細書に開示する電流遮断装置では、通電板のホルダとは反対側の面は、複数のボスの先端部がそれぞれ当接する第1平面と、第1平面より内側に位置する第2平面とを有していてもよい。第1平面と第2平面の境界には、第2平面が第1平面よりホルダとは反対側に位置する段差が形成されていてもよく、第2変形板は、通電板の段差より内側に配置されていてもよい。このような構成によると、第1平面と第2平面の境界に段差が形成されているため、ボスの先端部が段差を超えて第2平面側に伸びることが防止され、ボスの先端部が第2変形板に接触することを防止することができる。
【0013】
(特徴5) 本明細書に開示する電流遮断装置では、ボスの先端部は、第1状態において、第2変形板の通電板から最も離れた位置よりも通電板から離れた位置に位置してもよい。このような構成によると、ボスの先端部が第2変形板の通電板から最も離れた位置よりもケース内に突出するため、第2変形板の外的要因による変形を抑制することができる。
【0014】
(特徴6) 本明細書に開示する電流遮断装置では、ボスの先端部の厚みは、その先端に向かうに従って、通電板の外周縁側から通電板の中央に向かって徐々に薄くされていてもよい。
【実施例1】
【0015】
以下、実施例1の蓄電装置100について説明する。
図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に固定された電極端子としての端子5、7とを備えている。電極組立体3と端子5、7とは電気的に接続されている。また、蓄電装置100は、電極組立体3と端子7との間に配置された電流遮断装置10を備えている。ケース1の内部には、電解液が注入されており、電極組立体3は、電解液に浸漬している。
【0016】
ケース1は、金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112とを備えている。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。蓋部112には、開口部81、82が形成されている。端子5は、開口部81を介してケース1の内外に通じており、端子7は、開口部82を介してケース1の内外に通じている。
【0017】
電極組立体3は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータとを備えている。電極組立体3は、複数の正極シート、複数の負極シート及び複数のセパレータが積層されて構成されている。正極シート及び負極シートは、集電部材と、集電部材上に形成されている活物質層とを備えている。集電部材としては、正極シートに用いられるものは例えばアルミ箔であり、負極シートに用いられるものは例えば銅箔である。また、電極組立体3は、正極集電タブ41及び負極集電タブ42を備えている。正極集電タブ41は、正極シートの上端部に形成されている。負極集電タブ42は、負極シートの上端部に形成されている。正極集電タブ41及び負極集電タブ42は、電極組立体3の上方に突出している。正極集電タブ41は正極リード43に固定されている。負極集電タブ42は負極リード44に固定されている。
【0018】
正極リード43は、正極集電タブ41と端子5とに接続されている。正極リード43を介して、正極集電タブ41と端子5とが電気的に接続されている。正極リード43とケース1との間には、絶縁部材72が配置されている。絶縁部材72は、正極リード43とケース1の蓋部112とを絶縁している。
【0019】
負極リード44は、負極集電タブ42と接続端子46とに接続されている。接続端子46は、電流遮断装置10を介して端子7に電気的に接続されている。よって、負極リード44、接続端子46及び電流遮断装置10を介して、負極集電タブ42と端子7とが電気的に接続されている。これにより、電極組立体3と端子7とを接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10は、この通電経路を遮断可能である。電流遮断装置10の構成については後述する。負極リード44とケース1との間には、絶縁部材73が配置されている。絶縁部材73は、負極リード44とケース1とを絶縁している。
【0020】
蓋部112の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62は、蓋部112より上方に突出した突出部66と、蓋部112に沿って伸びる平板部68を有する。突出部66は、蓋部112の開口部81より中央側に配置され、平板部68は、蓋部112の開口部81側に配置される。ガスケット62の上面には、外部端子60が、ガスケット62の上面の形状に沿って配置されている。ボルト64の頭部は、突出部66に形成された有底穴62a内に配置されている。ボルト64の軸部は、外部端子60の開口を通って上方に突出している。端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は、上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様である。端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。
【0021】
ここで、
図2を参照して端子7について説明する。
図2に示すように、端子7は、ケース1にカシメ固定されている。端子7は、円筒部94、基底部95及び固定部96を備えている。円筒部94は開口部82に挿入されている。円筒部94には貫通孔97が形成されている。基底部95は環状に形成されている。基底部95は円筒部94の下端部に固定されている。基底部95はケース1の内部に配置されている。基底部95には、凹所98が形成されている。凹所98は貫通孔97と連通しており、凹所98内は大気圧に保たれる。固定部96は環状に形成されており、円筒部94の上端部に配置されている。固定部96はケース1の外部に配置されている。端子7は、固定部96によりケース1の蓋部112に固定されている。基底部95には、突出部99(後で詳述)が形成されている。突出部99は、基底部95の下面の外周縁に沿って環状に形成されている。突出部99は、基底部95の下面から下方(後述する通電板20側)に突出している。
【0022】
次に、電流遮断装置10について説明する。
図2に示すように、電流遮断装置10は、通電板20と、第1変形板30と、ホルダ80とを備えている。第1変形板30は、円形の導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。第1変形板30は、中央部32及び外周部31を有している。第1変形板30の中央部32は、通電板20と接続されている。第1変形板30の外周部31は、端子7の基底部95に固定されている。詳細には、第1変形板30の外周部31は、基底部95の下面のうち、突出部99が形成されていない領域に溶接されている。第1変形板30が基底部95の下面に接続されると、第1変形板30の外周面が突出部99の内壁面に当接する。これによって、第1変形板30の基底部95(すなわち、端子7)に対する接続位置を安定化することができる。基底部95の凹所98の下端は、第1変形板30により覆われている。凹所98内は大気圧に保たれているため、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。
【0023】
通電板20は、金属製の部材であり、導電性を有している。
図3に示すように、通電板20は、平面視において、矩形状に形成されており、矩形状の角部それぞれが直線状に面取りされた面取り部24(後で詳述)が形成されている。通電板20の角部が直線状に面取りされているため、面取り部24の外縁は直線状に伸びており、通電板20の2辺と交差している。通電板20は、第1変形板30の下方に配置されている。通電板20には、接続端子46が接続されている。通電板20は、中央部22及び外周部21を有している。通電板20の下面には溝部20aが形成されている(
図2参照)。溝部20aは中央部22の周囲に形成されており、溝部20aの内側で通電板20と第1変形板30の中央部32とが接続されている。溝部20aが形成された位置における通電板20の機械的強度は、溝部20a以外の位置における通電板20の機械的強度よりも低い。
【0024】
ホルダ80は、その内部に端子7の基底部95と、第1変形板30と、通電板20と、シール部材75を収容し、これらを保持する。ホルダ80の上端には貫通孔79aが形成されており、貫通孔79aには端子7の円筒部94が挿入されている。ホルダ80の下端は解放されており、通電板20により閉じられている。ホルダ80は、弾性を有する絶縁材料により形成されている。ホルダ80には、例えば、ポリフェニルスルファイド(PPS)が用いられる。なお、ホルダ80の材料は上記のPPSに限られず、絶縁性及び耐電解液性を有する材料(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)等)であればよい。
【0025】
ホルダ80は、上端部79と、中央部78と、ボス76とを有している。上端部79は、その中心に貫通孔79aを有する環状に形成されている。上述したように、上端部79の貫通孔79aには、端子7の円筒部94が挿入されている。上端部79は、ケース1の蓋部112の下面と、端子7の基底部95の上面との間に配置されている。すなわち、蓋部112の下面は上端部79の上面と当接し、基底部95の上面は上端部79の下面と当接する。蓋部112の下面と基底部95の上面とは、ホルダ80の上端部79によって絶縁されている。
【0026】
中央部78は、上端部79の外周縁から下方に伸びている。中央部78は環状に形成されており、その内部に基底部95と第1変形板30とを収容する。中央部78の内面には、基底部95の外周面と当接する第1部分と、第1部分の下方に位置する凹部77が形成されている。第1部分は、中央部78の上端側に形成され、凹部77は、中央部78の下端側に形成されている。凹部77の径は、基底部95の径(第1部分の径)より大きくされている。基底部95の下面には突出部99が形成されていることから、中央部78内に基底部95が収容されると、突出部99の一部が凹部77内に突出することとなる。凹部77内に突出部99が突出することで、シール部材75を収容する空間が凹部77に形成される。なお、中央部78の下面は、通電板20の上面に当接している。
【0027】
シール部材75は、凹部77内の空間であって、突出部99より外側の空間に収容される。シール部材75は、端子7の基底部95の外周側を周方向に一巡している。シール部材75は、上記の空間に圧縮された状態で収容されており、通電板20とホルダ80と突出部99に接触している。シール部材75は、各接触部において、両者の間をシールしている。これによって、ケース1内の空間と、ケース1外の空間とがシールされている。シール部材75は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などのエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)を材料とするOリングである。なお、シール部材75は上記に限られず、シール性、絶縁性、耐電解液性及び弾性を有する材料が用いられてもよい。
【0028】
なお、基底部95の下面に形成される突出部99の下端は、凹部77の上端よりも下方に位置する一方、通電板20には接触していない。シール部材75が突出部99に当接することによって、シール部材75が通電板20やホルダ80に対して位置ズレすることが防止されている。
【0029】
図2,3に示すように、ホルダ80には複数のボス76が形成されている。複数のボス76は、通電板20の面取り部24のそれぞれに対応する位置に形成されている。通電板20の角部を直線状に面取りすることで面取り部24が形成されるため、ボス76も面取り部24に沿って直線状に形成されている。ボス76は、中央部78の外周端から下方に向かって突出している。ボス76は、平面視すると通電板20の面取り部24の外側に形成されている。複数のボス76のそれぞれは、基部76aと先端部76bとを有している。基部76aは、通電板20の外側面(面取り部24)に沿って下方に伸びている。基部76aの板厚は一定に形成されている。先端部76bは、ホルダ80に通電板20が取付けられる前は、基部76aと同一の方向(下方)に伸びている(
図3に示す状態)。ホルダ80に通電板20が取付けられた後は、先端部76bは、基部76aから折れ曲がって通電板20の下面(反ホルダ側の面)に沿って水平に伸びている(
図2に示す状態)。すなわち、複数のボス76の基部76aによって、通電板20が位置決めされ、かつ、複数のボス76の先端部76bを折り曲げることで、通電板20がホルダ80に支持されている。具体的には、ボス76の基部76aが通電板20の外側面(面取り部24)に当接することで、ホルダ80に対する通電板20の水平方向(面内方向)の位置が位置決めされる。また、ホルダ80の下面(中央部78の下面)とボス76の先端部76bとで通電板20を挟持することで、ホルダ80に通電板20が支持される。なお、先端部76bの板厚は、先端に向かうに従って徐々に薄くなっている。このため、先端部76bを折り曲げると、先端部76bの板厚は、通電板20の外周縁側から通電板20の中央に向かって徐々に薄くなっている。
【0030】
なお、ホルダ80に通電板20を取付ける際は、まず、ホルダ80の下面に通電板20の上面が当接するまで、ホルダ80の下方から上方に向かって通電板20を移動させ、ホルダ80と通電板20とを組付ける。この状態では、
図4に示すように、ボス76は、ホルダ80の下面から下方に伸びている。すなわち、基部76aと先端部76bは同一直線上に配置されている。次に、ボス76の先端部76bを内側に折り曲げることで、ホルダ80に通電板20が支持される。この際、通電板20の角部を直線状に面取りする面取り部24が形成しているため、ボス76も面取り部24に沿って直線状に形成されている。このため、ボス76の各部が重なり合うことなく折り曲げられる。すなわち、
図5A及び
図5Bに示すように、通電板Aの角部に面取りがされない場合、一方の辺に沿うボスの一部分Bを折り曲げると、他方の辺に沿うボスの他の部分Cとが重なり合う部分Dが生じることとなる。ボスの一部分Bとボスの他の部分Cが重なり合うと、通電板の下方にボスが大きく突出することとなり、ケース内の空間にデッドスペースを生じさせることとなる。しかしながら、本実施例では、ボス76が直線状に形成されているため、ボス76が重なり合うことはなく、ケース1内の空間を有効に活用することができる。なお、先端部76bの折り曲げには、熱カシメ処理を用いることができる。ここで、
図4に示す状態では、先端部76bの板厚は、先端に向かうに従って外側から内側に向かって徐々に薄くなっている。このため、熱カシメ処理を行うと、先端部76bが内側に折れ曲がり易い。このため、熱カシメ用ツールの動作を複雑に制御しなくても、ボス76の先端部76bを内側に折り曲げることができる。
【0031】
上述した説明から明らかなように、電流遮断装置10は、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10の通電経路を介して電気的に接続されている。
【0032】
ここで、電流遮断装置10の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、端子5と端子7との間が外部機器(例えば、発電機やモータ等)を介して通電可能な導通状態で用いられる。蓄電装置100の過充電等によってケース1内の圧力が上昇すると、通電板20の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第1変形板30の上面には大気圧が作用する。このため、ケース1の内圧が上昇して所定値に達すると、第1変形板30の中央部32に接続されていた通電板20が、機械的に脆弱な溝部20aを起点に破断する。そして、第1変形板30が反転して、上方に凸の状態に変化する。これによって、通電板20と第1変形板30とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7とが非導通状態となる。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されると共に、通電板20は端子7から絶縁される。
【0033】
実施例1の蓄電装置100の作用効果について説明する。上記の蓄電装置100では、通電板20の外周縁に沿って複数のボス76が形成されている。通電板20は、複数のボス76の基部76a及び先端部76bによって通電板20の外周側から保持されている。したがって、従来技術のように、通電板20にボス76を挿通するための貫通孔を形成する必要がなく、通電板20の通電経路を制限することはない。また、面取り部24の幅を適宜設定することで、ボス76の大きさを変更することができるため、ホルダ80による通電板20を保持する力を調整でき、ホルダ80に通電板20を強固に固定することができる。
【0034】
また、通電板20には直線状の面取り部24が設けられており、面取り部24の外側面で直線状のボス76の先端部76bをかしめている。このため、矩形状の通電板の角部でかしめる場合と比較して、かしめる際に先端部76bの折り重なりを防止することができ、かしめ部分の肉厚を薄くすることができる。これによって、ケース1内にデッドスペースが生じすることが防止され、電極組立体3のサイズを大きくでき、十分な電池容量を確保することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、
図6を参照して、実施例2の蓄電装置について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。後述する実施例3でも同様である。
【0036】
図6に示すように、通電板50の面取り部54のそれぞれには、第1嵌合部54aが形成されている。第1嵌合部54aは、面取り部54の各角部(すなわち、両端)から通電板50の外周側に向かって突出するように形成されている。すなわち、通電板50の第1嵌合部54aは、実施例1における通電板20を平面視したときに、通電板20の各辺(面取り部24以外の辺)と平行な方向に突出するように形成されている。したがって、第1嵌合部54aと、その第1嵌合部54aとが交差する通電板50の辺とがなす角度は90°となる。
【0037】
ホルダ88には、複数のボス86が形成されている。複数のボス86は、通電板50の面取り部54のそれぞれに対応する位置に、面取り部54の形状(第1嵌合部54a)に倣った形状で形成されている。ボス86は、中央部78の外周端から下方に向かって形成されている。複数のボス86のそれぞれは、基部86aと先端部86bとを有している。基部86aは、通電板50の外側面(面取り部54)に沿って下方に伸びている。ホルダ88に通電板50が取付けられた後は、実施例1と同様、先端部86bは、基部86aから折れ曲がって通電板50の下面(ホルダとは反対側の面)に沿って水平に伸びている。基部86aのそれぞれには、第2嵌合部86cが形成されている。第2嵌合部86cは、基部86aの両側面から突出するように形成されている。第2嵌合部86cは、平面視において三角形状に形成されている。第2嵌合部86cの通電板50中央側の面は、通電板50の第1嵌合部54aと当接する。すなわち、ホルダ88は、複数のボス86の基部86a、先端部86b及び第2嵌合部86cによって、通電板50を位置決めし、かつ、通電板50を支持している。具体的には、ボス86の第2嵌合部86cのそれぞれが、対応する通電板50の第1嵌合部54aのそれぞれと嵌合することで、ホルダ88に対する通電板50の水平方向(面内方向)の位置が位置決めされる。また、ホルダ88の下面(中央部78の下面)とボス86の先端部86bとで通電板50を挟持することで、ホルダ88に通電板50が支持される。なお、先端部86bの板厚は、実施例1と同様に、先端に向かうに従って徐々に薄くなっている。
【0038】
実施例2の蓄電装置では、通電板50には第1嵌合部54aが形成されており、ホルダ88には第2嵌合部86cが形成されている。このため、第1嵌合部54aと第2嵌合部86cとが嵌合することで、通電板50の水平方向(面内方向)の位置ズレを好適に抑制することができる。すなわち、ボス86の基部86aと先端部86bのみによって通電板50の水平方向の位置決めをすると、先端部86bを通電板50の下面に沿って折り曲げる際、通電板50の外側面(面取り部54)と基部86aとの間に隙間が生じ、通電板50の位置決めの正確性を欠く虞が生じる。これに対し、本実施例の蓄電装置では、第1嵌合部54a及び第2嵌合部86cによって、通電板50の水平方向の位置決めをすることができるため、上述した虞が生じることを防止でき、通電板50の水平方向の位置決めの精度を向上させることができる。また、実施例2の蓄電装置においても、通電板50の面取り部54においてボス86の先端部86bをかしめてホルダ88に通電板50を固定しているため、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0039】
次に、
図7を参照して、実施例3の蓄電装置について説明する。本実施例の蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1のそれと異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。
【0040】
図7に示すように、電流遮断装置10aは、通電板20と、第1変形板30と、金属製の第2変形板40とを備えている。
【0041】
第2変形板40は、中央部47と外周部48とを有している。第2変形板40は、通電板20の下方に配置されており、その中央部47が下方に突出している。第2変形板40の外周部48の上面と、通電板20の外周部21の下面は、溶接により固定されている。また、第2変形板40の上面中央には、上方に突出する突出部40aが設けられている。突出部40aの上方には通電板20の中央部22が位置している。第2変形板40の下面には、ケース1内の圧力が作用する。
【0042】
通電板20は、第2変形板40と第1変形板30との間に配置されており、通電板20には、通気孔20bが形成されている。第2変形板40と通電板20との間の空間120は、通気孔20bを介して第1変形板30と通電板20との間の空間122と連通している。第1変形板30は、通電板20の上方に配置されている。第1変形板30の上面には、空間124が形成されており、空間124は大気圧に保たれている。
【0043】
電流遮断装置10aは、接続端子46と、通電板20と、第1変形板30と、端子7とを直列に繋ぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3と端子7は、電流遮断装置10aの通電経路を介して電気的に接続されている。
【0044】
ここで、電流遮断装置10aの遮断動作について説明する。上述した蓄電装置では、ケース1の内圧が上昇すると、第2変形板40の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板40の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間120の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が所定値を超えると、第2変形板40が反転して、下方に凸の状態から、上方に凸の状態に変化する。このとき、空間120内の空気は通気孔20bを通って空間122に移動し、空間122内の圧力が上昇する。また、第2変形板40が下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化すると、第2変形板40の突出部40aが第1位置から第2位置に移動して通電板20の中央部22に衝突し、通電板20が溝部20aで破断する。これにより、第1変形板30が反転し、第1変形板30及び通電板20の中央部22が上方に変位する。このため、通電板20と第1変形板30を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と端子7との間の導通が遮断される非導通状態となる。このとき、第1変形板30は接続端子46から絶縁されるとともに、通電板20は端子7から絶縁される。実施例3の蓄電装置においても、ホルダ80(ボス76)及び通電板20の構成が実施例1のそれらと同様の構成であるため、実施例1の蓄電装置と同様の作用効果を奏することができる。なお、上記の電流遮断装置10aは、実施例2の蓄電装置に取付けられてもよい。
【実施例4】
【0045】
次に、
図8を参照して、実施例4の蓄電装置について説明する。以下では、実施例3と相違する点についてのみ説明し、実施例3と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。後述する実施例5でも同様である。
【0046】
図8に示すように、通電板130は、中央部132及び外周部131を有している。通電板130の下面には、溝部130aが形成されている。溝部130aは中央部132の周囲に形成されており、溝部130aの内側で通電板130と第1変形板30の中央部32とが接続されている。通電板130の外周部131の下面(ホルダとは反対側の面)には、下方に突出する突起136が形成されている。突起136は、第2変形板40の外周縁に沿って、第2変形板40の周囲を一巡している。本実施例では、外周部131の下面に突起136を形成することで、外周部131の下面には、第1平面134及び第2平面136aが形成されている。第1平面134は、突起136の外側に形成されており、突起136の周囲を周方向に一巡するように形成されている。第1平面134には、折り曲げられたボスの先端部76bが当接している。第2平面136aは、突起136の下端に形成される面であり、第1平面134より内側に位置している。突起136の下面が第2平面136aとなることから、第1平面134と第2平面136aとの境界には段差が形成されており、第2平面136aは第1平面134より下方(ホルダとは反対側)に突出している。
【0047】
第2変形板40は、中央部47と外周部48とを有している。第2変形板40は、通電板130の下方に配置されており、その中央部47が下方に突出している。第2変形板40の外周部48の上面は、通電板130の外周部131の下面のうち、第1平面134及び第2平面136aが形成されていない領域に溶接により固定されている。これによって、第2変形板40の外側面が突起136に当接して位置決めされるため、第2変形板40の通電板130に対する接続位置を安定化することができる。また、第2変形板40の上面中央には、上方に突出する突出部40aが設けられている。突出部40aの上方には通電板130の中央部132が位置している。第2変形板40の下面には、ケース1内の圧力が作用する。
【0048】
実施例4の蓄電装置では、通電板130の外周部131の下面に突起136が形成されることで、第1平面134及び第2平面136aが形成されている。これにより、第1平面134と第2平面136aとの境界には、第2平面136aが第1平面134より下方に突出する段差が形成されている。ここで、ホルダ80のボス76の先端部76bを熱カシメ処理によって折り曲げると、熱カシメ処理時の熱によって、先端部76bが通電板130の中心方向に流出する場合がある。このとき、当該流出部分が第2変形板40と接触すると、電流遮断装置の作動精度が低下する虞がある。しかしながら、本実施例の蓄電装置では、熱カシメによって先端部76bが内側に流出しようとしても、第1平面134と第2平面136aとの境界に設けられた段差によって、当該境界より内方に先端部76bが流出することを防止できる。このため、ホルダ80の先端部76bと第2変形板40との接触を防止することができ、電流遮断装置の作動精度を高くすることができる。なお、実施例4では、突起136が第2変形板40の周囲を一巡するように形成されたが、突起136は、通電板20の面取り部24に対応した位置にのみ形成されていてもよい。このように突起を形成しても、ボス76の先端部76bが第2変形板40と接触することを防止することができる。
【実施例5】
【0049】
次に、
図9を参照して、実施例5の蓄電装置について説明する。実施例5の蓄電装置では、第2変形板40の突出部40aが第1位置に位置する第1状態において、ホルダ80のボス76の先端部76bの下面(折り曲げられた状態での下面)は、第2変形板40の下端(第2変形板40の通電板20から最も離れた位置(中央部47の位置))よりも、通電板20から離れた位置に位置している。
【0050】
実施例5の蓄電装置では、先端部76bの下面が、第2変形板40の下端よりも下方に位置している。このため、第2変形板40は、先端部76bによって保護され、外的要因による変形を抑制することができる。なお、本実施例のホルダ80(先端部76b)の構成は、実施例4の蓄電装置に用いられてもよい。
【0051】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0052】
例えば、実施例1において、通電板20の面取り部24は、平面視において、角部の全てが面取りされた構成を示したが、これに限られない。例えば、通電板20を平面視したときに、通電板20の対角線上の角(2箇所)に形成されていてもよい。矩形状の通電板20の対角線上の2つの角部がホルダによって保持されることで、ホルダに通電板を好適に保持することができる。
【0053】
また、実施例2において、通電板50は、複数の角部のそれぞれの面取り部54に第1嵌合部54aを形成した構成を示したが、
図10に示すように、各対角線上の角にそれぞれ面取り部54と第1嵌合部54aとを形成してもよい。この場合、ホルダ88は、面取り部54に対応する位置に基部86aと先端部86bを有するボス86が形成され、第1嵌合部54aに対応する位置に第2嵌合部86cが形成される。このような構成によっても、ホルダ88に対して通電板50を好適に支持することができる。
【0054】
また、実施例4、5の蓄電装置において、通電板は、面取り部を有していなくてもよいし、通電板の面取り部及びホルダの基部は、第1嵌合部及び第2嵌合部を有していてもよい。
【0055】
また、電流遮断装置10は、端子5側に設けられてもよいし、端子5と端子7の双方に設けられてもよい。端子5側に電流遮断装置10が設けられる場合は、端子5と蓋部112との間に、上記の実施例の構成と同様に絶縁部材を配置することができる。また、上記の実施例では、第1変形板30が反転することで通電板20との導通が遮断される。しかしながら、第1変形板30の変形の態様は反転に限られない。例えば、第1変形板30の中央部32が上方に撓むことで通電板20が溝部20aを起点に破断し、第1変形板30と通電板20との導通が遮断される構成であってもよい。第1変形板30は、第1変形板30と通電板20との導通が遮断されるのであればどのように変形してもよい。第2変形板40についても同様である。
【0056】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。