【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、押込クランプ保持具に関しては、押込クランプ保持具が、横方向に、押込クランプ保持具の少なくとも1つの横狭窄部を形成する囲壁を備えることで達成することができる。前記横狭窄部には、押込クランプ保持具にばね部材を固定するための受容部材が設置される。
【0008】
本発明の押込クランプアセンブリに関しては、これらの目的は、具備されたばね部材によって達成され、その第1の端部は、前記少なくとも1つの横狭窄部において押込クランプ保持具に取り付けられ、その第2の端部は、リード線レセプタクル内へ弾性的に変位可能に延出する自由端である。
【0009】
最後に、これらの目的は、コネクタ要素に関しては、具備されたばね解除部材および具備された押込クランプアセンブリによって達成され、ばね解除部材は、組付け位置から動作位置へ移動可能であり、組付け位置では、ばね部材は、リード線レセプタクルから離れる方向にばね解除部材によって弾性的に撓められ、動作位置では、ばね解除部材は、ばね部材から離れる方向に移動させられる。
【0010】
好適な一実施形態では、押込クランプ保持具は、1つの寸法、例えば、長さが、第2の寸法、例えば、幅よりも大きい直方体形状とすることが出来る。しかしながら、押込クランプ保持具は、正方形又は円形の底面を有する、全く同一又はほぼ同一の長さおよび幅を有することが出来る。
【0011】
押込クランプ保持具は、横方向に対して垂直な1つの方向、好ましくは両方向に開口していることが出来る。この構成では、押込クランプ保持具は、囲壁のみを備えることができ、従って、容易に製造されることができる。
【0012】
狭窄部は、押込クランプ保持具の縁から離して設置されることが好ましい。狭窄部は、押込クランプ保持具の長さに関する中心に配置されることができ、又は中心からずらして配置されることができるが、狭窄部は、好ましくは、押込クランプ保持具の大きい方の寸法に対して垂直であり、その大きい方の寸法は、好ましくは長さである。
【0013】
他の好適な一実施形態では、狭窄部は、単瘤構造として形成されることができ、即ち、囲壁は、狭窄部分において、凸面部分に続いて凹面部分および第2の凸面部分を備える。中心に位置する凸面部分は、従って、囲壁によって包囲された領域に延出する。
【0014】
狭窄部分の中心に位置する凸面部分は、双瘤構造として形成されることができ、即ち、狭窄部の凸面部分は、一続きの凸面部分、凹面部分および第2の凸面部分と取り換えられる。この実施形態では、押込クランプ保持具の外側領域の方に突出する凸面の中心部分は、押込クランプ保持具に挿入されるばね部材の案内要素として機能することができる。
【0015】
狭窄部は、好ましくは、押込クランプ保持具の全高に沿って設置されることができるが、押込クランプ保持具の高さに沿って部分的にのみ設置されることもできる。
【0016】
押込クランプ保持具は、打ち抜き曲げ金属板部品として構成されることができる。この実施形態では、狭窄部により、結果的に、得られる押込クランプ保持具の剛性が増す。狭窄部が押込クランプ保持具の囲壁の全高に沿って具体化されていない場合、狭窄部は、例えば、押込クランプ保持具の高さの半分に達することができるが、押込クランプ保持具の高さの残りの部分であり、上半分又は下半分とすることができる部分は、狭窄部の上方又は下方に設置される凸面状の隆起部分として実施され、押込クランプ保持具の外側に延出する。
【0017】
狭窄部自体は、好ましくは、後に処理されることができる。曲げは特に金属表面に応力を加えるので、狭窄部分には耐食層が塗布されることができる。さらに、ばね部材の挿入を促進する減摩コーティングも考えられる。上述のコーティングは、狭窄部の全面塗布されることができ、又はコーティング材料を節約するパターンに塗布されることができる。
【0018】
さらに、押込クランプ保持具の内側に面する狭窄部表面の一般的な処理が可能である。この表面は、狭窄部の受容部材とばね部材との間の摩擦を増すために粗面化される、即ち、テクスチャ付与されることができる。ばね部材は、好ましくは、摩擦ロックによる固定はされないが、前記処理は、ばねが受容部材内で動く又は振動することがないように構造上の誤差の影響を相殺するために用いられることができる。
【0019】
本発明の別の好適な一実施形態は、押込クランプ保持具のための2つの対向する横狭窄部を備え、受容部材が、横狭窄部の各々に位置される。
【0020】
2つの対向する横狭窄部は、ばね部材のための対称的な取り付け手段と共に、ばね部材から押込クランプ保持具への対称的な荷重伝達をもたらすことができる。
【0021】
両方の対向する横狭窄部の狭窄線は、各狭窄部の凹面状の狭窄面上の全ての頂点をつなぐ線である。これらの狭窄線は、好ましくは、押込クランプ保持具の高さに対して平行である共に、リード線レセプタクルの向きによって定義される挿入方向に対して平行に配置される。
【0022】
多瘤構造の狭窄部分の場合、多数の狭窄線が定義されることができる。全ての横狭窄部の狭窄線は、好ましくは互いに平行であり、基本的に平らで平面状の第1の端部を備えるばね部材の適用を可能にする。
【0023】
押込クランプ保持具は、異なる強度を有する、即ち、押込クランプ保持具の内側への凹面領域の範囲が異なる2つの狭窄部を備えることも出来る。
【0024】
かかる実施形態は、例えば、押込クランプ保持具の1つの側壁がより高い剛性を備えるように構成される場合に適用されることができる。前記実施形態は、非連続的な囲壁を特徴とする打ち抜き曲げ金属板の場合に好ましい可能性がある。
【0025】
かかる金属板部品の縁同士は、金属板全体を曲げることによって近接させることができ、金属板の2つの縁を固定するためのさらなる手段が存在しない場合は、金属板の縁の間のせん断運動が生じる可能性がある。囲壁における隙間の位置によっては、押込クランプ保持具の一方の側では、又は他方の側では、より強い狭窄部によって増大させた剛性が好ましい可能性がある。
【0026】
本発明の押込クランプ保持具の別の実施形態では、受容部材は、少なくとも1つのスリットを備えることができる。
【0027】
前記スリットは、好ましくは、少なくとも1つの狭窄線に平行に、且つ挿入方向に平行に配置される。さらに、囲壁に対する力が壁の厚み方向に作用することを避けるために、スリットは狭窄線に設置されると好ましい。かかる力は、囲壁に望ましくないねじりおよびせん断モーメントを生じる。
【0028】
スリットは、囲壁によって包囲されることができ、スリットからばね部材が外れることを防止する開口を形成する。しかしながら、ばね部材を固定する他の手段が適用される場合は、一方の側に開口する、好ましくはリード線の挿入側に向かって開口するスリットが好ましい可能性がある。かかる一実施形態では、スリットは、ばね部材のための案内要素としてのみならず、ばね部材から押込クランプ保持具への荷重伝達を保証する要素として働くことができる。挿入側におけるスリットの開口は、面取り縁を備えることができ、面取り縁は、押込クランプ保持具へのばね部材の簡単な挿入に有利である。
【0029】
さらに、スリットは、スリットの端部が挿入方向に近づくにつれて減少するスリット幅である円錐形(V字形)を備えることができる。このように形成されたスリットは、単なるばね部材の挿入によるばね部材の自動的なクランプ、およびばね部材とスリットの内壁との摩擦係合を得るためには好ましい可能性がある。
【0030】
さらに、スリットの内壁は、摩擦係合を増強するために、テクスチャ構造、阻止構造又はラッチ構造および/又は機能性コーティングを備えることができ、ばね部材と押込クランプ保持具との間のロックをなし、又はばね部材の挿入を楽にするためにばね部材とスリットとの間の摩擦を低減する。
【0031】
本発明の押込クランプ保持具は、ばね部材の少なくとも1つの相手ロック部材の挿入のためのロック部材を備える少なくとも1つの横狭窄部分を有することができる。
【0032】
ロック部材は、ばね部材の相手ロックラッチとロックするように押込クランプ保持具の内側に延出するロックラッチとして具体化されることができる。
【0033】
ロック部材は、押込クランプ保持具の囲壁によって包囲された円形又は矩形の凹部又は開口として具体化されることもできる。ばね部材の相手ロック部材は、囲壁に向かって突出するばね部材の突出部として実施されることができる。
【0034】
さらに、ロック部材は、狭窄部分に設置されたスリットの一部であることができる。ロック部材はスリットの先端における樽形状の歪み部として形成されることができ、又はスリット幅における狭窄部として構成されることができる。ロック部材は、例えば、内側スリット壁上の少なくとも1つの瘤であることができ、スリットの長さに沿って任意の箇所に設置されることができる。樽形状の歪み部を用いる手段は、局所的に厚みを増したばね部材の側壁の領域によってばね部材とロックさせることができる。内側スリット壁上に突出部が位置される場合は、ばね部材は、それに対応するようにその側壁に形成された凹部を備えることができる。
【0035】
他の好適な一実施形態では、押込クランプ保持具は、金属板の2つの対向する縁が、それらの縁のせん断運動を防止するためにポジティブロックによって互いに係合した状態に金属板から作製された一体的な打ち抜き曲げ部品である。
【0036】
金属板から作製された打ち抜き曲げ部品は、高速且つ低コストで製造されることができる。しかしながら、金属板から作製されたこのような打ち抜き曲げ部品によって囲壁を形成するため、得られる要素は、縁同士の互いに対する移動および/又はせん断運動の可能性が問題となる可能性がある。
【0037】
このようなせん断運動は、金属板の一方の縁に備わることができる少なくとも1つのロック部材によって防止されることができる。前記ロック部材は、金属板の他方の縁の凹部に挿入するように構成されることができる。
【0038】
さらに、ロック部材として使用されるロックラッチ又は戻り止めフックも考えられる。かかる手段により、金属板の2つの縁の互いに対する移動が抑制されることができる。
【0039】
本発明の押込クランプ保持具の他の好適な一実施形態では、リード線レセプタクル内で導電要素を保持して固定するためのさらなるレセプタクルが設けられる。
【0040】
さらなるレセプタクルは、リード線レセプタクル内に備えられることができ、又はリード線レセプタクルの一部であることができ、又は少なくとも部分的にリード線レセプタクルに沿って配置されることができる。
【0041】
さらなるレセプタクルは、押込クランプ保持具の囲壁によって少なくとも部分的に形成されることができる。
【0042】
さらなるレセプタクルは、導電要素が挿入され、保持され且つ固定されるスリットを備えることができる。
【0043】
さらなるレセプタクルを備える押込クランプ保持具は、自立ラッチが作り出されるように実施されることができ、前記ラッチは、少なくとも部分的にさらなるレセプタクルを表す。
【0044】
導電要素は、1つの方向からリード線の挿入方向に、又はその反対方向にさらなるレセプタクル内に保持されることができる。従って、さらなるレセプタクルは、リード線レセプタクルと同じ押込クランプ保持具の側又は押込クランプ保持具の反対側に作り出されることができる。さらなるレセプタクルのスリットは、従って、囲壁の上縁又は囲壁の下縁で終わることができる。
【0045】
導電要素は、スリットの内壁と、押込クランプ保持具の内壁の一部と、さらなるレセプタクル内に備えられたラッチの内壁との間の摩擦係合によってさらなるレセプタクル内に固定されることできる。
【0046】
導電要素は、さらに、ロック要素および相手ロック要素によって押込クランプ保持具に固定されることができるが、夫々、導電要素が、ロック要素又は相手ロック要素を備えてもよく、さらなるレセプタクルを部分的に形成するラッチが、相手ロック要素又はロック要素を備えてもよい。
【0047】
ロック要素は、傾斜面および急勾配面を備える戻り止めフックとして具体化されることができる。傾斜面は、さらなるレセプタクルのラッチの撓みを開始することができるので、傾斜面は、さらなるレセプタクルへの導電要素の挿入を促進することができる。
【0048】
相手ロック要素は、さらなるレセプタクルのラッチの内側又はその縁における凹部であることができる。ラッチの縁に配置される時は、少なくとも1つの凹部は、さらなるレセプタクルのスリットに向かって開口している。
【0049】
さらなるレセプタクルへの導電要素の十分な挿入を受けて、さらなるレセプタクルのラッチは、ロック要素の急勾配面が相手ロック部材に到達するまで、さらなるレセプタクルから離れる方向に撓めることができる。相手ロック要素は、少なくとも部分的にロック要素に巻き付くことによってロック要素を保持することができ、相手ロック要素は、相手ロック要素の内壁に当接するロック要素の急勾配面によって、さらなるレセプタクルから導電要素が外れることを阻止することができる。
【0050】
ロック要素および相手ロック要素は、さらなるレセプタクルのラッチの中心で、又は前記ラッチの縁にて、互いに当接することができる。
【0051】
導電要素は、導電要素の挿入の限界を定める少なくとも1つの肩を備えることができる。前記肩又は複数の肩は、さらなるレセプタクルを少なくとも部分的に形成するスリット又は複数のスリットの端部と接触することができる。
【0052】
導電要素の少なくとも1つの肩とのスリット又は複数のスリットの端部の接触は、優先的には、ロック要素が相手ロック要素に係合された後になされる。
【0053】
導電要素は、その最終的な固定位置において押込クランプ保持具の上縁と面一になるまで、さらなるレセプタクルに挿入されることができる。
【0054】
さらなるレセプタクルに導電要素が挿入される間は互いの方を向いたさらなるレセプタクルのラッチの縁と導電要素の縁とは、面取り面を備えることができる。
【0055】
さらなるレセプタクルのラッチにて実施された面取り面は、導電要素の挿入を促進することができるが、導電要素の縁の面取り面は、押込クランプ保持具の上縁と面一であることができ、リード線レセプタクルへのリード線の挿入を促進することができる。
【0056】
特に組付け状態において、導電要素の一部が、導電要素の挿入方向と反対の方向にさらなるレセプタクルから延出することができる。
【0057】
さらなるレセプタクルのラッチの面取り面は、特に、前記導電要素が、傾斜面を有しない少なくとも1つのロックラッチを備える場合に、導電要素の挿入を促進することができる。
【0058】
ロック要素は急勾配縁のみを備えることができるため、さらなるレセプタクルのラッチの面取り面は、ロック要素が相手ロック要素内に保持されるロック位置に到達するために、さらなるレセプタクルから離れる方向への前記ラッチの撓みを促進することができる。
【0059】
本発明の好適な一実施形態では、押込クランプアセンブリは、押込クランプ保持具と、第1の端部および第2の端部を備える別体のばね部材とを備える。ばね部材の第1の端部は、少なくとも1つの横狭窄部内で押込クランプ保持具に取り付けられ、ばね部材の第2の端部は、リード線レセプタクル内へ弾性的に変位可能に延出する自由端である。
【0060】
ばね部材は、押込クランプ保持具に取り外し可能に受容されおよび/又は取り外し可能に取り付けられることができる。この実施形態は、さらにばね部材の容易な取り換えを可能にするので、この実施形態は、ばね部材の点検および組付けに有利である。
【0061】
上記取り換えは、ばね部材とリード線との間の接触力を増大又は低減する異なるばね定数を備えるばね部材によって行われることができる。従って、リード線と導電要素との間の接触力も変更される。
【0062】
ばね部材は、押込クランプ保持具の側壁から離れる方向に離間して、押込クランプ保持具に挿入されることができる。ばね部材は、押込クランプ保持具の中心に取り付けられることもできるが、押込クランプ保持具へのばね部材の固定箇所は、優先的には、中心からずれている。
【0063】
押込クランプ保持具の中心に又は中心からずらして挿入させたばね部材は、押込クランプ保持具の側壁に寄り掛かることができる。押込クランプ保持具の側壁に接触することにより、ばね部材が誤った方向に曲がることを防止する。
【0064】
ばね部材は、押込クランプ保持具の側壁に接触しないことが好ましいことがある。かかる実施形態の利点とは、ばね部材が、横狭窄部によってリード線レセプタクルから分離された後方中空空間への接触を妨げないことである。後方中空空間への接触は、押込クランプアセンブリに異なる追加の機能部が組み込まれる場合に有利である可能性がある。
【0065】
ばね部材の第1の端部および第2の端部の異なる実施形態が考えられる。ばね部材の第1の端部は、少なくとも1つの狭窄部において押込クランプ保持具に取り付けられるおよび/又はロックされ、少なくとも1つの横狭窄部の上述のロック部材とスナップフィットする相手ロック部材を備えることができる。
【0066】
さらに、ばね部材の第1の端部は、受容部材、例えば、スリットにばね部材を導入することが促進されるようにテーパーを付けることができる。かかるテーパー形状により、押込クランプ保持具に対してばね部材の正確なセンタリングおよび整列が容易になる。
【0067】
ばね部材の第1の端部のテーパー部分の先端は、ばね部材の平行な縁に合流するが、これらの平行な縁は、狭窄部の受容部材内に案内されるおよび/又は固定される。
【0068】
ばね部材の第1の側の縁は、押込クランプ保持具の上述のロック部材に対するスナップフィットをなす少なくとも1つの構造を備えることができる。前記縁は、押込クランプ保持具の受容部材との摩擦を増大するために、表面構造も備えることができる。
【0069】
摩擦を増す構造の代わりに、ばね部材の縁と押込クランプ保持具の受容部材との間の摩擦を低減するための機能性コーティングを備えることもできる。
【0070】
ばね部材は、押込クランプ保持具に完全に組み込まれることができる。これにより、ばね部材は、押込クランプ保持具の外側から誤って接触されることから機械的に保護されることができる。
【0071】
押込クランプ保持具からのばね部材の容易な解体が望まれる場合は、ばね部材は、押込クランプ保持具に組み込まれることが好ましい可能性がある。この構成では、ばね部材の一部が、押込クランプ保持具の外側に延出することができ、ばね部材への接触および容易な解体を可能にする。
【0072】
本発明の押込クランプ保持具の他の実施形態では、ばね部材を受容する少なくとも1つの横狭窄部は、リード線レセプタクルから離れる方向へのばね部材の撓みの限界を定めるためのストッパである。
【0073】
ばね部材の第2の端部がリード線レセプタクルから離れる方向に弾性的に撓められた場合、ばね部材の第2の端部は、押込クランプ保持具の狭窄部に向かって傾けられることができる。
【0074】
狭窄部における押込クランプ保持具の幅は、ばね部材の第2の端部の幅よりも短くあることができる。従って、狭窄部に向かってばね部材の第2の端部をさらに撓ませることによって、ばね部材の第2の端部の縁は、狭窄部の少なくとも1つの凹面状の内面に接近することができる。
【0075】
ばね部材の第2の端部の十分な傾きを受けて、ばね部材の第2の端部の少なくとも1つの縁は、前記凹面に接触することができる。この接触により、ばね部材の第2の端部の傾きを停止することができ、少なくとも1つの狭窄部は、ばね部材のためのストッパとして働くことができる。
【0076】
押込クランプ保持具が1つの狭窄部を備える場合は、ばね部材の第2の端部の傾きは、突然止まることはできない。狭窄部の凹面状の内面とのばね部材の第2の端部の縁の接触後、ばね部材の第2の端部は、ばね部材の第2の端部に沿って配置された長手軸の周りを歪曲される。
【0077】
この捻じりは、リード線によってばね部材の第2の端部にかけられる力がばね部材の第2の端部によってかけられる反作用の歪曲力と等しくなる時に停止される。
【0078】
押込クランプアセンブリは、2つの均等に構成された狭窄部を備えることができる。この実施形態では、ばね部材の第2の端部が狭窄部に向かって傾けられる場合に、ばね部材の第2の端部の両縁が、同時に2つの狭窄部の凹面状の内面に接触することができる。
【0079】
本発明の押込クランプアセンブリの好適な一実施形態では、単一のストッパおよび2つのストッパの上述の機能は、1つの押込クランプ保持具において組み合わされることができる。これは、2つの具備された狭窄部の異なる強度を利用してなされることができる。
【0080】
押込クランプ保持具の内部領域により深く延出する狭窄部は、単一のストッパの機能を提供することができる。リード線レセプタクルから離れる方向に撓むことを受けて、ばね部材の第2の端部の縁は、まず、より強い方の狭窄部への接触をなすことができる。前記接触に続いて、ばね部材の第2の端部が上述の長手軸の周りに歪曲するが、回転の中心は、より強い方の狭窄部とのばね部材の第2の端部の縁の接点に位置される。
【0081】
この捩じり運動は、ばね部材の第2の端部の第2の縁が、押込クランプ保持具の第2のより弱い方の狭窄部と接触するまで続くことができる。より強い方の狭窄部および弱い方の狭窄部の組み合わせにより、2つの均等に構成されたストッパの機能が提供される。第2の狭窄部とのばね部材の第2の端部の接触後、ばね部材の第2の端部のさらなる撓みが防止される。
【0082】
ばね部材は、弾性強化部材を備えることができる。この弾性強化部材は、ばね部材の第2の端部の旋回点の傾きにつながる弾性的に撓み可能な領域として機能するばね部材における屈曲部として具体化されることができる。従って、ばね部材の第2の端部の旋回点は、固定されるのではなく、弾性強化部材を軸にして傾けられている。
【0083】
弾性強化部材の機能を組み込むために、ばね部材の材料および/又は形状の変更も可能である。ばね部材は、例えば、より小さいばね定数を生じる、異なるより柔らかい材料の領域を備えることができる。また、ばね部材の形状を、その厚みおよび/又は幅に関して変更し、同様にばね定数の変化につなげることができる。低下したばね定数の領域は、弾性強化部材を表す。
【0084】
本発明の押込クランプアセンブリの一実施形態では、ばね部材は、270°よりも大きく拡張する曲げ部分を備えることが好ましい。
【0085】
ばね部材のこのような屈曲部分により、ばね部材のループが形成されることができる。
【0086】
ばね部材の前記ループは、優先的には、ばね部材の中心に設置されることができるが、僅かに中心からずらされることもでき、長さが等しい又は異なる長さを示すことができるばね部材の2つの端部に合流することができる。
【0087】
ばね部材の第2の端部にかけられてばね部材の第1の端部に伝達される力の伝達は、押込クランプ保持具の受容部材に遅れて分散されることができるので、270°よりも大きい角度が好ましい。
【0088】
真っ直ぐなばね部材、即ち、片持ち梁の場合であれば、ばね部材の自由端にかかる力は、ばね部材の第1の固定端部を介して受容部材に、局所的にはばね部材の第1の端部と受容部材の上側および下側の接点に伝達される。
【0089】
ループのより大きな角度により、ばね部材の第1の端部にかかる力は、接線方向だけではなくなり、少なくとも部分的にはばね部材の厚みに沿う方向になることができる。ばね部材による力は、従って、ばね部材の第1の端部と受容部材の内壁との間のより大きな接触面積上に分散されることができる。
【0090】
本発明の押込クランプアセンブリの他の好適な一実施形態では、押込クランプ保持具は、横狭窄部に少なくとも1つの凹部を備え、ばね部材は、この凹部内に少なくとも部分的に延出する。
【0091】
かかる凹部は、様々な利点を有する。第1に、押込クランプ保持具の製造に必要な材料が減少されることができ、第2に、前記凹部は、押込クランプ保持具の内部領域への接触を可能にすることができる。
【0092】
この凹部は、さらに、ばね部材の特別な構成を必要とすることなく、主に押込クランプ保持具内へのばね部材の容易な組み込みを可能にすることができる。従って、ばね部材は、押込クランプ保持具の囲壁の上縁と面一でありながら、ばね部材への接触を可能にすることができる。
【0093】
囲壁は、2つの対向する凹部を備えることができる。前記凹部は、狭窄部の残りの材料が押込クランプ保持具の安定性要求に適合する限りは、任意の高さを有することができる。
【0094】
少なくとも1つの凹部は、好ましくは、狭窄線の周りに設置され、結果的に、ばね部材の固定点および特にばね力の接触点を、押込クランプアセンブリの中心に移動させることができる。従って、ばね部材から押込クランプ保持具に伝達されるばね力は、押込クランプ保持具に均一に分散されることができる。
【0095】
横狭窄部における少なくとも1つの凹部は、さらに、ばね部材の撓みを完全に防止することができ、従ってリード線の挿入も防止する別体のストッパ又はさらにはばね部材阻止要素を導入する機会を提供することができる。
【0096】
さらに、横狭窄部における凹部は、ばね部材への接触を可能にすることができ、ばね部材は、押込クランプアセンブリの外側から圧縮されることができる。これは、リード線レセプタクルから離れる方向にばね部材の第2の端部を撓ませて、リード線によってさらなる力がかけられなくてもリード線の導入を可能にするために、例えば、ねじ回しを用いて行われることができる。
【0097】
本発明の押込クランプアセンブリの他の好適な一実施形態では、ばね部材は、ばね部材の第1の端部および第2の端部が90°よりも小さい角度をなすように少なくとも1つの曲げ領域を有する。
【0098】
ばね部材の曲げ領域は、ばね部材の中心に、又は中心からずらして設置されることができ、優先的には、凸面形状であり、ばね部材を押込クランプ保持具の狭窄部に取り付けるために使用されるばね部材の第1の端部が曲げ領域に合流し、同様に、曲げ領域が、リード線レセプタクルに向かってリード線レセプタクル内に延出するばね部材の第2の端部に合流するようになっている。
【0099】
ばね部材の曲げ領域は、1つの凸面形状のみを備えることができるが、一続きの複数の凸面形状および凹面形状として実施されることもできる。しかしながら、ばね部材の全体形状は、優先的には、凸面の連続を示す。
【0100】
ばね部材の第1の端部と第2の端部とは、90°よりも小さい角度をなすことができ、且つばね部材の第1の端部は、狭窄線に平行に配置されることができ、狭窄線は、同様に挿入方向に平行であるため、リード線レセプタクルに挿入されたリード線とばね部材の第2の端部との間の最大角度は、90°に達する。
【0101】
ばね部材の第1の端部と第2の端部との間の角度は、好ましくは90°よりも小さく、従って、結果的に、リード線とばね部材の第2の端部との間の角度も90°よりも小さくなる。この角度のため、リード線は、ばね部材の第2の端部に引っかかることなくリード線レセプタクルに挿入されることができる。
【0102】
90°よりも小さなばね部材の第1の端部と第2の端部との間の角度を選択することによって、ばね部材の第2の端部は、リード線レセプタクル内に延出することができる一方、ばね部材の第2の端部は、好ましくは、押込クランプ保持具の狭窄部に向かって下方に傾けられる。
【0103】
本発明の好適な一実施形態では、ばね部材の曲げ領域は、押込クランプ保持具の側壁に接触することができる。これにより、ばね部材は、例えば、リード線の取り外しの際、誤った方向に曲がることが防止される。
【0104】
さらに、90°よりも小さなばね部材の第1の端部と第2の端部との間の角度は、押込クランプ保持具の構成を容易にすることができる。この角度により、押込クランプ保持具へのばね部材の挿入方向は、リード線がばね部材に及ぼす力とほぼ平行であることができる。従って、押込クランプ保持具の狭窄部のロック部材にばね部材を保持するロック機構は、ばね部材が押込クランプ保持具から落下することを防止するための保持力のみを提供することができる。
【0105】
さらに、ばね部材の第2の端部とリード線との間の90°の角度により、リード線を引っ張った時に意図せず外れないように、リード線レセプタクル内にリード線が固定される。
【0106】
リード線が挿入方向とは反対の方向に意図せず引っ張られた場合、ばね部材の第2の端部は、リード線に引っかかることができ、即ち、ばね部材の第2の端部とリード線との間で摩擦係合が生じ、リード線がさらに引っ張られると、この引っ張り運動が、ごく一部の引っ張り力が接線力に転換され、ばね部材の第2の端部を回転させるようにばね部材を圧迫するため、摩擦係合がなお一層増大する。
【0107】
大部分の引っ張り力は、ばね部材の第2の端部に沿って働く力に転換されることができ、従って、ばね部材の凸面状の曲げ領域を主に変形する。リード線レセプタクルへのリード線の挿入中にばね部材が及ぼす反作用力は、従って、リード線の引っ張り中にばね部材が及ぼす反作用力よりも小さくあることができる。このように、90°よりも小さなばね部材の第1の端部と第2の端部との間の角度は、リード線のための固定機能を有することができる。さらに、リード線レセプタクルの側壁とばね部材の傾いた第2の端部との組み合わせは、かかりの付いたフックのように働くことができる。
【0108】
本発明の押込クランプアセンブリの別の好適な一実施形態では、少なくとも1つの横狭窄部は、リード線レセプタクルを、同様に横方向に囲壁によって部分的に包囲された後方中空空間から分離する。この実施形態では、ばね部材は、後方中空空間へ少なくとも部分的に延出する。
【0109】
ばね部材の設計は、概して、押込クランプ保持具の形態から独立していることができる。ばね部材は、後方中空空間に延出することができるが、これは、ばね部材が押込クランプ保持具の壁に取り付けられた場合には不可能である。従って、少なくとも1つの凸面状のばね部材形状を備えるばね部材の曲げ領域を設計するこの好適な実施形態が考えられるのは、前記凸面状のばね部材形状が後方中空空間に延出することができるからである。
【0110】
さらに、ばね部材の凸面状の曲げ領域の直径は、曲げられたばね部材が押込クランプ保持具の外部に達することができるため、任意であることができる。
【0111】
押込クランプ保持具の狭窄部に設置された凹部は、ばね部材の第2の端部がストッパと最初に接触することなく、ばね部材の第2の端部の傾きを可能にするために、より小さな幅を備えるばね部材の領域を設計する必要がなく、押込クランプ保持具にばね部材を主に組み込むことができる。
【0112】
本発明の押込クランプアセンブリの他の実施形態では、押込クランプ保持具は、好ましくは、ばね部材のループ内に延出する突起を備える。
【0113】
突起は、後方中空空間から離れる方向に囲壁から延出することができる。突起は、さらに、後方中空空間に向かって曲げられることができ、曲げられた突起は、ばね部材のループを形成する曲げ領域内に延出することができるようにする。
【0114】
突起は、好ましくは、90°に曲げられ、従って、ばね部材のループ内に横方向に延出する。突起は、押込クランプ保持具の反対の壁に到達するのに十分な長さを備えて構成されることができ、押込クランプ保持具の反対側は、押込クランプ保持具の対向し合う側の間にスターアップ(stirrup)を実現するために、前記突起のための凹部を備えることができる。
【0115】
前記突起は、押込クランプ保持具からのばね部材の意図しない解体に対する固定要素を表すことができる。突起は、ばね部材がその他の手段によって押込クランプ保持具に固定されていない場合、ばね部材が押込クランプ保持具から外れることを防止することができる。
【0116】
電気コネクタ要素の好適な一実施形態は、押込クランプアセンブリと、組付け位置から動作位置へ移動可能なばね解除部材とを備え、組付け位置では、ばね部材は、リード線レセプタクルから離れる方向にばね解除部材によって弾性的に撓められ、動作位置では、ばね解除部材は、ばね部材から離れる方向に移動させられる。
【0117】
前記ばね解除部材は、電気コネクタ要素内に緩く装着されることができるが、ばね解除部材を電気コネクタ要素に固定することによって、失われることがないように固定されてもよい。ばね解除部材は、さらに、例えば、案内溝、スライドピン又はスリットによって、押込クランプ保持具内を案内されることができる。
【0118】
ばね解除部材は、中空体と、曲げ領域と、先端とを備える剛性の中空要素であることができる。
【0119】
ばね解除部材は、リード線挿入方向と平行な方向又はリード線挿入方向とは反対の方向への直線運動のみにつながる回転に対してさらに固定されることができる。
【0120】
ばね解除部材の幅は、ばね解除部材も設置される押込クランプ保持具と同程度の大きさであることができる。従って、ばね部材に対してばね解除部材が及ぼす押込力は、大きな面積によって且つ遅れて分散されることができる。
【0121】
ばね解除部材は、さらに、ばね解除部材がリード線レセプタクル内に延出せず、従ってリード線の動作および/又は組付けに直接影響を及ぼすことがないように設計されることができる。
【0122】
本発明の電気コネクタ要素の異なる実施形態は、ロックサブアセンブリを備え、ばね解除部材は、ロックサブアセンブリによって組付け位置にロックされるように構成される。
【0123】
ロックサブアセンブリは、ばね解除部材に一体的に取り付けられたラッチアームとして実現されることができ、ロックサブアセンブリは、戻り止めフックを備えることができる。ラッチアームは、ばね解除部材に対して可撓性であることが好ましい。
【0124】
ラッチアームは、ばね解除部材を備えるアームと同一の側に位置されることができるが、ばね解除部材の反対の側に位置されることもできる。
【0125】
押込クランプ保持具は、ポジティブロックによってロックサブアセンブリと係合させることができる相手ラッチ要素を備えることができる。
【0126】
電気コネクタ要素のさらなる好適な一実施形態では、ロックサブアセンブリは、電気コネクタ要素の外側から手動で操作可能なトリガー面を備えるラッチ解除部材を備え、トリガー面の操作によって、ロックサブアセンブリをロック解除する。
【0127】
ラッチ解除部材は、押込クランプ保持具の一部であることができ、又は別体の要素として実施されることができる。
【0128】
ラッチ解除部材は、押込クランプ保持具の一部である場合は、可撓性要素であることができ、そうでない場合、例えば、ラッチ解除部材が別体の要素として具体化される場合は、ラッチ解除要素は、押込クランプ保持具に可動的に組み込まれることができ、又は、例えば、押込クランプ保持具の案内および/又は固定構造によって案内されるおよび/又は所定の位置に維持されることができる。押込クランプ保持具の前記案内および/又は固定構造は、それがない場合には押込クランプ保持具から外れてしまう可能性があるラッチ解除部材の喪失を防止することができる。
【0129】
電気コネクタ要素の他の好適な実施形態では、前記電気コネクタ要素は、コネクタハウジングに備えられる。前記コネクタハウジングは、円周方向に全体的に又は部分的に電気コネクタ要素を包囲することができる。
【0130】
さらに、コネクタハウジングは、電気コネクタ要素の高さを部分的に又は全体的に被覆することができ、即ち、電気コネクタ要素は、電気コネクタ要素の一部がコネクタハウジングの外に延出しないようにコネクタハウジングに挿入されることができる。
【0131】
コネクタハウジングは、さらに、例えば、相手ラッチ要素などの、上述の機能的要素の内の1つ、数個、又は全てを備えることができる。また、ばね解除部材および/又はロックサブアセンブリは、コネクタハウジングの可撓性部分として具体化されてもよい。
【0132】
これらの機能的要素は、従って、コネクタハウジングの一体的部分として具体化されることができるが、コネクタハウジングから分離されて、コネクタハウジングに単に取り付けられ、又はそれに固定されることもできる。
【0133】
電気コネクタ要素を備えるコネクタハウジングは、押込クランプ保持具に形状が一致することができる。従って、押込クランプ保持具が打ち抜き曲げ金属板部品である場合は、形状の一致によって、押込クランプ保持具のせん断運動が防止される。
【0134】
コネクタ保持具は、さらに、コネクタ保持具の内側に押込クランプ保持具を保持するためのさらなる部材を備えることができる。前記保持手段は、押込クランプ保持具の縁又はさらなる凹部にスナップ嵌め込みするように設計され且つそれをコネクタ保持具内で所定の位置に維持するさらなるラッチ部材によって実現されることができる。
【0135】
他の好適な一実施形態では、コネクタ保持具は、例えば他のクランプ接続部によって電気的接続をなす接続手段を提供することができる。
【0136】
コネクタ保持具は、例えば、リード線挿入側とは反対の側からコネクタ保持具に挿入されることができる前記その他のクランプ接続部を受容するために他のレセプタクルを備えることができる。
【0137】
その他のクランプ接続部又はその一部は、リード線レセプタクル内に部分的に又は完全に延出することができる。
【0138】
本発明の上述の実施形態の全ての特徴は、任意に互いに組み合わされることができる。幾つかの特徴は、本発明に係る機能が依然として与えられる限りは、それらの実施形態に追加又はそれらの実施形態から除去されることができる。
【0139】
本発明およびその利点のより完璧な理解のために、これから以下の詳細な説明が参照される。説明は、以下の図面に関連してなされ、図面では、一部の部分および/又は機能は、同一の参照記号が付され、各図面は、先行の図面との違いを記載し、既に説明した特徴を繰り返さない。