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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-221043(P2017-221043A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20171117BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20171117BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20171117BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20171117BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20171117BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J50/70
   H02J50/10
   G06F1/26 331
   G06F3/03 400E
   G06F3/03 400Z
   H01M10/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-114525(P2016-114525)
(22)【出願日】2016年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(72)【発明者】
【氏名】栗本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森 賢史
(72)【発明者】
【氏名】山口 登
【テーマコード(参考)】
5B011
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5B011DA13
5B011DB19
5B011DB22
5B011EA10
5B011EB06
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA02
5G503FA01
5G503FA07
5G503GB08
5G503GD02
5G503GD03
5H030AS11
5H030AS18
5H030DD18
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】電子機器に着脱可能な非接触型の充電器であって、携帯に適した充電器を提供すること。
【解決手段】充電器10は、電子機器80に着脱可能であり、電子機器80から供給された電力を、ペン70の受電コイル720に対して非接触で送電可能である。充電器10は、シールド部材510と、送電コイル524とを備えている。シールド部材510は、上下方向に延びる筒形状を有している。送電コイル524は、上下方向と平行な軸の周りを巻回しており、且つ、上下方向と直交する水平面においてシールド部材510の内側に位置している。送電コイル524は、電子機器80から供給された電力を、水平面において送電コイル524の内側に位置する受電コイル720に対して送電可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に着脱可能な充電器であって、前記電子機器から供給された電力を、ペン型の入力装置の受電コイルに対して非接触で送電可能な充電器であり、
前記充電器は、シールド部材と、送電コイルとを備えており、
前記シールド部材は、上下方向に延びる筒形状を有しており、
前記送電コイルは、前記上下方向と平行な軸の周りを巻回しており、且つ、前記上下方向と直交する水平面において前記シールド部材の内側に位置しており、
前記送電コイルは、前記電子機器から供給された前記電力を、前記水平面において前記送電コイルの内側に位置する前記受電コイルに対して送電可能である
充電器。
【請求項2】
請求項1記載の充電器であって、
前記シールド部材の前記上下方向におけるサイズは、前記送電コイルの前記上下方向におけるサイズの5倍以上である
充電器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の充電器であって、
前記シールド部材は、磁性シートと金属シートとを積層したものであり、
前記磁性シートは、前記上下方向と直交する水平面において前記金属シートの内側に位置している
充電器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の充電器であって、
前記充電器は、本体部と、被接続部とを備えており、
前記シールド部材及び前記送電コイルは、前記本体部に設けられており、
前記被接続部は、前記上下方向と直交する嵌合方向に沿って前記電子機器の接続部に嵌合可能且つ抜去可能な部位であり、
前記被接続部は、前記本体部に対する相対的位置関係が変わらないように、前記本体部に固定されている
充電器。
【請求項5】
請求項4記載の充電器であって、
前記本体部は、保持部と、ホルダー部とを有しており、
前記被接続部は、前記保持部に固定され且つ保持されており
前記ホルダー部には、前記シールド部材によって少なくとも部分的に囲まれた収容空間が形成されており、
前記収容空間は、上方又は下方に開口した挿入口を有しており、
前記送電コイルは、前記挿入口から前記収容空間に挿入された前記入力装置の前記受電コイルに対して、前記電力を送電可能である
充電器。
【請求項6】
請求項5記載の充電器であって、
前記ホルダー部は、前記保持部に対して相対的に移動できない
充電器。
【請求項7】
請求項5記載の充電器であって、
前記ホルダー部は、前記保持部に取り付けられており、且つ、前記嵌合方向と平行に延びる軸を中心に前記保持部に対して相対的に回転可能である
充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に着脱可能な非接触型の充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプの充電器が開示されている。
【0003】
特許文献1の第1の実施形態及び第2の実施形態に開示された充電器は、コンピュータ本体(電子機器)に着脱可能である。充電器は、支持部と、電力供給用コイル(送電コイル)とを備えている。支持部には、ペン型の位置指示器(入力装置)を挿入するための挿入口が形成されている。また、支持部には、送電コイルが巻回されている。充電器は、挿入口に挿入された入力装置に対して、電子機器から供給された電力を交流磁界を介して非接触で送電する。
【0004】
加えて、特許文献1の第5の実施形態には、上述した充電器の充電機能を内蔵したタブレット型コンピュータ(電子機器)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4751191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器(特に、タブレット端末のような携帯型電子機器)の小型化や薄型化に伴い、電子機器に充電機能を内蔵することが困難になる。電子機器に充電機能を内蔵できない場合、電子機器に着脱可能な非接触型の充電器を電子機器と共に携帯できれば便利である。しかしながら、従来の充電器は、携帯に適した構造を有していない。
【0007】
そこで、本発明は、電子機器に着脱可能な非接触型の充電器であって、携帯に適した充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
携帯に適した小型の充電器によって非接触充電を効率よく行うためには、高周波数(例えば、13.56MHz)の交流電流を使用することが好ましい。しかしながら、このような高周波数の交流電流は、電磁ノイズを発生し易い。電磁ノイズが発生した場合、周囲の電子機器の動作に悪影響を与えるおそれがある。そこで、本発明は、携帯に適しており且つ電磁ノイズを抑制するための構造を有する充電器を提供する。具体的には、本発明によれば、下記の充電器が得られる。
【0009】
本発明によれば、第1の充電器として、
電子機器に着脱可能な充電器であって、前記電子機器から供給された電力を、ペン型の入力装置の受電コイルに対して非接触で送電可能な充電器であり、
前記充電器は、シールド部材と、送電コイルとを備えており、
前記シールド部材は、上下方向に延びる筒形状を有しており、
前記送電コイルは、前記上下方向と平行な軸の周りを巻回しており、且つ、前記上下方向と直交する水平面において前記シールド部材の内側に位置しており、
前記送電コイルは、前記電子機器から供給された前記電力を、前記水平面において前記送電コイルの内側に位置する前記受電コイルに対して送電可能である
充電器が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第2の充電器として、第1の充電器であって、
前記シールド部材の前記上下方向におけるサイズは、前記送電コイルの前記上下方向におけるサイズの5倍以上である
充電器が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第3の充電器として、第1又は第2の充電器であって、
前記シールド部材は、磁性シートと金属シートとを積層したものであり、
前記磁性シートは、前記上下方向と直交する水平面において前記金属シートの内側に位置している
充電器が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第4の充電器として、第1から第3までのいずれかの充電器であって、
前記充電器は、本体部と、被接続部とを備えており、
前記シールド部材及び前記送電コイルは、前記本体部に設けられており、
前記被接続部は、前記上下方向と直交する嵌合方向に沿って前記電子機器の接続部に嵌合可能且つ抜去可能な部位であり、
前記被接続部は、前記本体部に対する相対的位置関係が変わらないように、前記本体部に固定されている
充電器が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第5の充電器として、第4の充電器であって、
前記本体部は、保持部と、ホルダー部とを有しており、
前記被接続部は、前記保持部に固定され且つ保持されており
前記ホルダー部には、前記シールド部材によって少なくとも部分的に囲まれた収容空間が形成されており、
前記収容空間は、上方又は下方に開口した挿入口を有しており、
前記送電コイルは、前記挿入口から前記収容空間に挿入された前記入力装置の前記受電コイルに対して、前記電力を送電可能である
充電器が得られる。
【0014】
また、本発明によれば、第6の充電器として、第5の充電器であって、
前記ホルダー部は、前記保持部に対して相対的に移動できない
充電器が得られる。
【0015】
また、本発明によれば、第7の充電器として、第5の充電器であって、
前記ホルダー部は、前記保持部に取り付けられており、且つ、前記嵌合方向と平行に延びる軸を中心に前記保持部に対して相対的に回転可能である
充電器が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による充電器は、電子機器に着脱可能であり、電子機器から供給された電力を、受電コイルに対して非接触で送電可能である。充電器の送電コイルは、筒形状のシールド部材の内部に位置している。この簡易な構造により、送電コイルを流れる高周波数の交流電流によって電磁ノイズが発生しても、電磁ノイズは、シールド部材によって効果的にシールドされる。即ち、本発明によれば、携帯に適した小型の充電器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態による充電器を電子機器及びペンと共に示す斜視図である。充電器は電子機器に装着されておらず、且つ、ペンは充電器に挿入されていない。電子機器の接続部の隠れた輪郭を破線で描画している。
図2図1の充電器、電子機器及びペンを示す斜視図である。充電器は電子機器に装着されており、且つ、ペンは充電器に挿入されている。充電器の被取付面の隠れた輪郭及び充電器の被接続部の隠れた輪郭を破線で描画している。充電器の送電コイルの隠れた輪郭及びペンの隠れた輪郭を1点鎖線で描画している。
図3図1の充電器を示す斜視図である。充電器のシールド部材の隠れた輪郭及び充電器の送電アンテナの隠れた輪郭を破線で描画している。被接続部の端子の隠れた輪郭を1点鎖線で描画している。充電器の本体部の保持部とホルダー部との間の仮想的な境界線を2点鎖線で描画している。
図4図3の充電器の構造を模式的に示す図である。充電器に挿入されたペンの端部の輪郭及びペンの受電コイルの輪郭を破線で描画している。電子機器の接続部の輪郭を1点鎖線で描画している。
図5図3の充電器のシールド部材及び送電アンテナを示す一部切り欠き斜視図である。
図6図5のシールド部材及び送電アンテナの断面を示す図である。充電器に挿入されたペンの受電コイルの輪郭を破線で描画している。
図7図3の充電器に組み込まれた回路の一例を示すブロック回路図である。
図8図2のペンに組み込まれた回路の一例を示すブロック回路図である。
図9図3の充電器にペンが挿入された際の充電器の動作を示す図である。
図10図3の充電器に金属の棒等の非対象物が挿入された際の充電器の動作を示す図である。
図11図3の充電器の変形例を示す斜視図である。保持部の支持部の隠れた輪郭及びホルダー部の被支持部の隠れた輪郭を破線で描画している。
図12図3の充電器の別の変形例を電子機器及びペンと共に示す斜視図である。充電器は電子機器に装着されておらず、且つ、ペンは充電器に挿入されていない。電子機器の接続部の隠れた輪郭を破線で描画している。充電器の下面の隠れた輪郭及び充電器の収容空間の隠れた輪郭を1点鎖線で描画している。
図13図3の充電器の更に別の変形例を電子機器及びペンと共に示す斜視図である。充電器は電子機器に装着されており、且つ、ペンは充電器に挿入されている。充電器の被取付面の隠れた輪郭及び被接続部の隠れた輪郭を破線で描画している。ペンの隠れた輪郭を1点鎖線で描画している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施の形態による充電器10は、電子機器80に着脱可能である。また、充電器10は、電子機器80から供給された電力を、ペン型の入力装置(ペン)70に対して非接触で送電可能である。
【0019】
以下、まず、充電器10と電子機器80との間のインタフェース、及び、充電器10とペン70との間のインタフェースを中心に説明する。
【0020】
本実施の形態において、電子機器80は、概ね四角形状を有するタブレットである。電子機器80は、接続部810を有している。接続部810は、電子機器80の+X側の側部に設けられている。一方、充電器10は、被接続部60と、送電コイル524とを備えている。送電コイル524は、例えば絶縁被覆された銅線であり、後述する回路を介して被接続部60と接続されている。被接続部60は、上下方向(Z方向)と直交する嵌合方向(本実施の形態においてX方向)に沿って電子機器80の接続部810に嵌合可能であり且つ抜去可能である。電子機器80は、接続部810と被接続部60とが互いに嵌合した嵌合状態において、充電器10の被接続部60に電力を供給する。被接続部60に供給された電力は送電コイル524に供給され、これにより、送電コイル524は交流磁界を発生させる。
【0021】
図3を参照すると、充電器10の被接続部60は、金属等の導電体からなる4つの端子62と、樹脂等の絶縁体からなる板状部64と、金属製のシェル66とを備えている。端子62は、上下方向(Z方向)に並べられて板状部64に保持されている。シェル66は、端子62及び板状部64を覆っており、端子62を電磁的にシールドしている。
【0022】
上述した構造から理解されるように、本実施の形態の被接続部60は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したUSBプラグであり、接続部810は、USB規格に準拠したUSBレセプタクルである。このため、充電器10は、電子機器80に限らず、ノートブックPC(Personal Computer)等の様々な電子機器に着脱可能である。換言すれば、本実施の形態の充電器10は、様々な電子機器から受電可能である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、被接続部60が接続部810から受電可能である限り、被接続部60は、どのようなインタフェースを有していてもよい。また、電子機器80は、接続部810を介して被接続部60に電力供給できる限り、どのような形状及び機能を有していてもよい。
【0023】
図1及び図2を参照すると、ペン70は、棒のような細長い形状を有している。詳しくは、ペン70は、樹脂等の絶縁体からなる主部710を有している。主部710は、概ね円筒形状を有しており、所定方向(図1及び図2においてZ方向)に長く延びている。主部710の両端部の一方(図1及び図2において−Z側の端部)は、先端712が形成された円錐形状を有している。
【0024】
図8を参照すると、ペン70の主部710の内部には、受電コイル720と、整合回路730と、整流回路740と、充電回路750と、蓄電部760と、ペン回路770とが設けられている。蓄電部760は、充電回路750、整流回路740及び整合回路730を経由して受電コイル720に接続されている。加えて、蓄電部760は、ペン回路770に接続されている。
【0025】
受電コイル720は、送電コイル524の近傍に位置しているとき、送電コイル524が発生させた交流磁界によって交流電流Cacを生じる。換言すれば、受電コイル720は、送電コイル524と電磁的に結合して、交流電流Cacを発生させる。受電コイル720に生じた(誘起された)交流電流Cacは、整合回路730を経由して、整流回路740に供給される。整流回路740は、供給された交流電流Cacを整流し且つ平滑化して直流電流Cdcを生成する。整流回路740が生成した直流電流Cdcは、充電回路750を経由して、蓄電部760に供給される。
【0026】
蓄電部760は、電気エネルギーを蓄積可能な部品である。蓄電部760は、例えば、キャパシタ、電気二重層キャパシタ又は2次電池である。蓄電部760は、充電回路750の制御の下、整流回路740から供給された直流電流Cdcを電気エネルギーとして蓄積する。詳しくは、充電回路750は、蓄電部760の充電状態(満充電、過充電等)を監視する。充電回路750は、監視結果に基づいて、蓄電部760に供給する直流電流Cdcを制御する。蓄電部760は、蓄積した電気エネルギーを直流電流Cspとしてペン回路770に供給する。ペン回路770は、直流電流Cspを使用して、先端712(図1参照)から電気信号を発生させる。
【0027】
図1を参照すると、電子機器80は、ペン70の先端712から生じた電気信号を使用して、先端712の位置や筆圧を検出する。即ち、本実施の形態において、ペン70は、電子機器80用の座標入力装置である。本実施の形態において、電子機器80は、静電結合方式によって先端712の位置や筆圧を検出する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、電子機器80が先端712の位置や筆圧を検出する方式として、電磁誘導方式等の別の方式を用いることができる。また、ペン70は、座標入力装置以外の入力装置であってもよい。更に、ペン70の形状は、本実施の形態に限られない。例えば、ペン70の主部710は、全体として棒状に延びている限り、角筒形状や円錐形状を有していてもよい。また、主部710には、様々な凹部や凸部が形成されていてもよい。
【0028】
以上に説明したように、充電器10は、電子機器80から供給された電力を、送電コイル524が発生させた交流磁界を介して、受電コイル720に対して非接触で送電可能である。換言すれば、ペン70は、送電コイル524と受電コイル720との間の電磁結合によって非接触で充電可能である。本実施の形態における電磁結合は、電磁誘導方式を用いて行われる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、送電コイル524と受電コイル720との間の電磁結合方式として、静電結合方式、磁界共鳴方式、電磁波方式等の様々な方式を用いることができる。
【0029】
次に、本実施の形態による充電器10の構造について詳細に説明する。
【0030】
図3を参照すると、充電器10は、前述した被接続部60に加えて本体部20を有している。本体部20は、樹脂等の絶縁体からなるハウジング30を有している。ハウジング30は、上面320(+Z側の面)と、下面330(−Z側の面)と、被取付面340と、側面350とを有している。上面320及び下面330の夫々は、Z方向と直交する水平面(XY平面)と平行な平面である。被取付面340は、YZ平面と平行な平面である。側面350は、XY平面においてU字形状を有する曲面である。
【0031】
図3及び図4を参照すると、ハウジング30には、収容空間310が形成されている。収容空間310は、ペン70を部分的に収容するための空間であり、ペン70に対応した形状を有している。より具体的には、収容空間310は、円柱形状を有しており、ハウジング30の内部をZ方向に延びている。収容空間310は、上方(+Z方向)に開いており、下方(−Z方向)において底を有している。詳しくは、収容空間310は、挿入口312を有している。挿入口312は、ハウジング30の上面320に位置しており、上方に開口している。
【0032】
充電器10は、シールド部材510を備えている。シールド部材510は、本体部20に設けられている。シールド部材510は、収容空間310に対応した円筒形状を有しており、Z方向に延びている。シールド部材510は、XY平面において、収容空間310の周囲に位置している。換言すれば、収容空間310は、XY平面においてシールド部材510によって囲まれた空間である。
【0033】
上述したように、本実施の形態において、収容空間310は、円柱形状を有しており、シールド部材510は、円筒形状の部位のみを有している。但し、本発明は、これに限られない。収容空間310がペン70を収容できる限り、収容空間310及びシールド部材510の夫々は、様々な形状に形成できる。更に、シールド部材510は、収容空間310を下方から部分的に覆う部位を有していてもよい。
【0034】
図5及び図6を参照すると、シールド部材510は、軟磁性体からなる磁性シート512と、銅やアルミニウムなどの金属からなる金属シート514とを積層したものである。金属シート514は、XY平面において磁性シート512を囲んでいる。換言すれば、磁性シート512は、XY平面において金属シート514の内側に位置している。本実施の形態において、磁性シート512は、全てのR方向(図6における、収容空間310のZ方向と平行な中心軸を中心とする径方向)において金属シート514の内側に位置している。
【0035】
本実施の形態において、金属シート514と磁性シート512とは、互いに貼りあわされている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、金属シート514と磁性シート512との間に多少の隙間があってもよい。また、金属シート514と磁性シート512との間に、樹脂等の薄い絶縁体が設けられていてもよい。
【0036】
図3から図6までを参照すると、充電器10は、送電アンテナ520を備えている。本実施の形態による送電アンテナ520は、樹脂等の絶縁体からなる基部522と、前述した送電コイル524とを備えている。基部522及び送電コイル524は、充電器10の本体部20に設けられている。基部522は、Z方向に沿って延びる円筒形状を有している。送電コイル524は、基部522の径方向外側の面上を巻回している。詳しくは、送電コイル524は、基部522のZ方向と平行な中心軸の周りを巻回している。
【0037】
基部522は、送電コイル524を巻回させるための部位である。従って、基部522なしでも送電コイル524を巻回できる場合には、基部522を設けなくてもよい。また、基部522は、Z方向に沿って延びている限り、様々な形状を有していてよい。更に、送電コイル524は、径方向において基部522の内側に位置していてもよい。
【0038】
送電アンテナ520(送電コイル524)は、XY平面においてシールド部材510の内側に位置している。本実施の形態において、送電コイル524は、全ての径方向においてシールド部材510の内側に位置している。また、送電コイル524は、シールド部材510の磁性シート512の径方向内側の面に直接的に固定されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、送電コイル524は、薄い絶縁体を介して磁性シート512に固定されていてもよい。また、送電コイル524と磁性シート512との間に多少の隙間があってもよい。
【0039】
図3及び図4を参照すると、充電器10の本体部20は、被接続部60を保持するための保持部22と、ペン70を収容するためのホルダー部24とを有している。保持部22は、本体部20のうちの−X側の部位であり、ホルダー部24は、本体部20のうちの+X側の部位である。収容空間310は、ホルダー部24に形成されている。加えて、シールド部材510及び送電アンテナ520も、ホルダー部24に設けられている。一方、保持部22には、被接続部60が固定され且つ保持されている。また、保持部22の内部には、回路基板40が保持されている。
【0040】
本実施の形態において、保持部22及びホルダー部24の夫々は、本体部20の一部である。詳しくは、保持部22は、本体部20のうち仮想的な境界線BLよりも−X側に位置する部位であり、ホルダー部24は、本体部20のうち境界線BLよりも+X側に位置する部位である。保持部22とホルダー部24との間には視認可能な境界がない。換言すれば、本実施の形態において、本体部20は、互いに一体に形成された保持部22とホルダー部24とを有している。但し、本発明は、これに限られない。後述するように、保持部22とホルダー部24とは、互いに別体の部位であってもよい。
【0041】
図4を参照すると、回路基板40には、電源部410と、制御部420と、送電部430とが設けられている。電源部410は、導電線492によって被接続部60と接続されている。制御部420は、導電線498によって電源部410に接続されている。送電部430は、導電線494によって電源部410に接続されており、且つ、導電線496によって制御部420に接続されている。電子機器80から被接続部60に供給された電力は、電源部410を経由して、制御部420及び送電部430の夫々に供給され、これによって制御部420及び送電部430の夫々が動作する。より具体的には、送電部430に供給された電力は、制御部420による制御の下、送電コイル524に供給される。
【0042】
充電器10は、以上に説明した部位に加えて、検知部480と端部526とを備えている。検知部480及び端部526の夫々は、保持部22とホルダー部24との間に設けられている。検知部480は、ON(閉じた状態)とOFF(開いた状態)の2つの状態を選択的に取ることができるスイッチである。検知部480は、部分的にホルダー部24の収容空間310の内部に位置しており、保持部22の制御部420に接続されている。端部526は、ホルダー部24の送電コイル524と保持部22の送電部430とを互いに接続している。
【0043】
本実施の形態において、端部526は、送電コイル524を形成する導電線の一部である。換言すれば、送電コイル524と端部526とは、互いに一体の部材である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、端部526は、送電コイル524とは別体の部材であってもよい。この場合、端部526は、送電コイル524に接合されていてもよい。
【0044】
シールド部材510には、部分的にスリット(図示せず)が形成されている。端部526は、このスリットを通過して送電部430から送電コイル524まで延びている。この構造から理解されるように、本実施の形態におけるシールド部材510は、収容空間310を完全には囲んでいない。但し、収容空間310の殆どは、シールド部材510によって囲まれている。また、シールド部材510にスリットを設けることなく、端部526を送電コイル524から送電部430まで延ばすことも可能である。この場合、収容空間310は、シールド部材510によって完全に囲まれる。即ち、本発明において、収容空間310は、シールド部材510によって少なくとも部分的に囲まれていればよい。
【0045】
次に、本実施の形態による充電器10の機能について詳細に説明する。
【0046】
図4を参照すると、ペン70を、主部710がZ方向に沿って延びるように配置したとき、主部710のXY平面におけるサイズは、送電アンテナ520(基部522)のXY平面におけるサイズよりも小さい。このため、ペン70は、先端712を下方に向けた状態で、挿入口312から収容空間310に挿入可能である。ペン70が収容空間310に挿入されて収容されたとき、先端712は、収容空間310の底に位置する。以下、このときの充電器10の状態を「収容状態」という。また、ペン70が収容空間310に挿入されていないときの充電器10の状態を「未収容状態」という。
【0047】
図4及び図6を参照すると、収容状態において、ペン70の受電コイル720は、挿入口312から収容空間310に挿入されており、全体的に収容空間310の内部に位置している。詳しくは、受電コイル720は、全ての径方向においてシールド部材510の内側に位置する。また、受電コイル720は、XY平面において、少なくとも部分的に送電コイル524の内側に位置する。この配置により、収容状態において、送電コイル524は、電子機器80から供給された電力を、受電コイル720に対して送電可能である。
【0048】
図4を参照すると、検知部480は、充電器10が収容状態にあるか否かを検知する検知機能と、検知した状態を制御部420に通知する通知機能とを有している。詳しくは、検知部480は、未収容状態において開いており(OFFであり)、収容状態においてにおいて閉じる(ONになる)。検知部480は、このON/OFF状態を制御部420に通知する。本実施の形態による検知部480は、機械的なスイッチである。但し、本発明は、これに限られない。検知部480は、検知機能及び通知機能を有している限り、どのように構成されていてもよい。例えば、検知部480は、ペン70が発光する光を受光することで充電器10が収容状態にあるか否かを検知してもよい。更に、充電器10は、必要に応じて検知部480を備えていればよい。
【0049】
制御部420は、検知部480からOFF状態が通知されているとき、送電部430に供給された電流が送電コイル524に供給されないように、送電部430を制御する。この制御により、未収容状態においては、充電器10が電子機器80に装着されていても、受電コイル720への送電のために必要な電力が送電コイル524に供給されない。一方、制御部420は、検知部480からON状態が通知されているとき、送電部430に供給された電力が送電コイル524に供給されるように、送電部430を制御する。この制御により、充電器10が電子機器80に装着されており且つ収容状態にあるとき、受電コイル720への送電のために必要な電力が送電コイル524に供給される。
【0050】
図1図2及び図4を参照すると、ペン70は電子機器80の入力装置であるため、電子機器80を使用する場所で容易に充電できることが好ましい。この要求に応えるため、電子機器80に非接触充電機能を組み込むか、又は、非接触充電機能を有する機器(非接触充電機器)を電子機器80と共に持ち運ぶ必要がある。
【0051】
電子機器80に非接触充電機能を組み込む場合、電子機器80の内部に非接触充電機能を組み込むための所定空間を設ける必要がある。しかしながら、電子機器80のような携帯端末は、厚さ方向(Y方向)におけるサイズを小さくすること(薄型化)が求められている。電子機器80が薄くなると、上述した所定空間を設けることが難しくなる。また、薄い電子機器80に敢えて非接触充電機能を組み込む場合、ペン70のXY平面におけるサイズ(太さ)を電子機器80の厚さよりも更に小さくする必要がある。しかしながら、ペン70の操作性を考慮すると、ペン70の太さを過度に小さくすることができない。以上のように、電子機器80が薄くなると、電子機器80に非接触充電機能を組み込むことが困難になる。
【0052】
電子機器80と共に非接触充電機器を持ち運ぶ場合、非接触充電機器は、携帯に適したコンパクトな形状を有する必要がある。本実施形態による充電器10は、以下に説明するように、この要求に応えることができる。
【0053】
図1から図4までを参照すると、充電器10のY方向におけるサイズ(厚さ)は、電子機器80の厚さと同程度である。また、充電器10の被接続部60は、本体部20に対する相対的位置関係が変わらないように、本体部20に固定されている。換言すれば、充電器10の被接続部60は、コード等の部材を介することなく、本体部20に固定されている。このため、本発明による充電器10は、コンパクトな形状を有している。
【0054】
充電器10は、被接続部60を接続部810に挿入するだけで、電子機器80に装着できる。また、充電器10は、+X方向に力を加えるだけで、電子機器80から容易に取り外せる。また、充電器10は、ペン70を保持するためのペンホルダーとしても使用できる。即ち、本発明による充電器10は使い易い。
【0055】
図2に示されるように、充電器10を電子機器80に装着すると、充電器10の被取付面340は、電子機器80の側部に密着又は近接する。これにより、充電器10は、電子機器80に安定的に装着できる。更に、充電器10を電子機器80に装着したとき、充電器10に挿入したペン70は、電子機器80の側部に沿って延びる。従って、充電器10、ペン70及び電子機器80は、全体としてコンパクトな形状を有する。このため、本発明による充電器10は携帯し易い。充電器10を使用することで、例えば、収容状態の充電器10を電子機器80に装着した状態で移動することで、特に意識せずに移動中にペン70を充電することが可能である。
【0056】
上述のように、本実施の形態による充電器10は薄い。このような薄い充電器10を使用してペン70を非接触充電する場合、ペン70の操作性が損なわれない範囲で、ペン70を細くする必要がある。ペン70を細くすると、受電コイル720のXY平面におけるサイズが小さくなる。一般的に、受電コイル720のサイズが小さくなると、電磁結合による起電力が低下する。即ち、一般的には、受電コイル720のサイズを小さくすると、ペン70の非接触充電が困難になる。一方、本実施の形態によれば、送電コイル524が生成する交流磁界の周波数(送電周波数)を高くすることで、起電力を向上できる。
【0057】
より具体的には、本実施の形態における送電周波数は、13.56MHzである。このような高い送電周波数を使用することで、送電コイル524のサイズ及び受電コイル720のサイズを小さくできる。即ち、充電器10のサイズ及びペン70のサイズを小さくできる。より具体的には、ペン70の直径を5mm程度に抑えることができる。この場合、送電コイル524のXY平面における直径を1cm程度に抑えることができ、且つ、ターン数を10ターン程度に抑えることができる。ターン数が少ないことから、送電コイル524のZ方向におけるサイズ(高さ)を2〜3mm程度に抑えることができる。同様に、受電コイル720のXY平面における直径を2mm程度に抑えることができ、且つ、ターン数を3ターン程度に抑えることができる。
【0058】
起電力を向上させるという観点からは、本発明における送電周波数は、13.56MHzに限られず、1MHz〜数10MHz(例えば、5〜20MHz)の範囲内であればよい。更に、送電周波数は、数10kHz〜数100kHzの範囲内であってもよい。
【0059】
図7及び図8を参照すると、非接触送電の際、送電コイル524及び受電コイル720の夫々から不要な電磁波(電磁ノイズ)が放射される。電磁ノイズは、充電器10の制御部420等の電子回路や、ペン70のペン回路770等の電子回路に悪影響を及ぼすだけでなく、送電コイル524及び受電コイル720の周辺に位置する電子機器80等の機器の動作にも悪影響を及ぼす。一般的に送電周波数が高くなるほど電磁ノイズが生じ易くなる。特に、送電周波数が13.56MHzのように高い場合、電磁ノイズは、大きな影響を及ぼす。
【0060】
図5及び図6を参照すると、本実施の形態によれば、電磁ノイズは、送電コイル524及び受電コイル720を囲むシールド部材510の2つのシート(磁性シート512及び金属シート514)によってシールドされる。これにより、電磁ノイズの悪影響を防止できる。
【0061】
特に、本実施の形態によれば、シールド部材510のZ方向におけるサイズ(高さH1)は、送電コイル524のZ方向におけるサイズ(高さH0)よりも十分に大きい。より具体的には、高さH1は高さH0の5倍以上である。例えば、高さH0は、2〜3mmであり、高さH1は、20〜30mmである。これにより、シールド部材510は、電磁ノイズを確実にシールドできる。
【0062】
更に、金属シート514の内側に配置された磁性シート512は、電磁ノイズをシールドするだけでなく、送電コイル524の外側の磁路として機能する。換言すれば、非接触送電時に生じた交流磁界は、磁性シート512内に集まる。このため、金属シート514に渦電流が生じ難い。この結果、渦電流損が低減し、送電効率が向上する。
【0063】
更に、送電コイル524及び受電コイル720は、収容状態において、共通のシールド部材510によって囲まれる。換言すれば、1つのシールド部材510が、2つのシールド部(送電コイル524用のシールド部及び受電コイル720用のシールド部)として機能する。このため、部材の点数を削減でき、製造コストを低減できる。
【0064】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、携帯に適しており、且つ、優れたシールド機能及び送電機能を有する小型の充電器10が得られる。
【0065】
次に、本実施の形態による充電器10の非接触充電機能について更に詳細に説明する。
【0066】
図7を参照すると、充電器10の送電部430は、送電回路432と、整合回路434と、検出回路438とを有している。整合回路434は、送電回路432と送電コイル524との間に設けられている。検出回路438は、整合回路434と制御部420との間に設けられている。加えて、送電回路432は、制御部420に接続されている。電源部410は、被接続部60を経由して電子機器80から3〜5Vの電圧で供給された直流電流Csを、直流の動作電流Ccに変換して制御部420に供給すると共に、直流の動作電流Cpに変換して送電回路432に供給する。
【0067】
以下に説明するように、送電回路432は、電源部410から供給された動作電流Cpを、制御部420からの制御信号Scに応じて、交流の送電電流Ctに変換して出力する。送電電流Ctは、整合回路434を経由して送電コイル524に供給され、これにより交流磁界が生成される。
【0068】
図7及び図8を参照すると、整合回路434は、ペン70の整合回路730と協働して、インピーダンスを調整する。整合回路434と整合回路730とによるインピーダンス調整の結果、ペン70の充電回路750が動作しているとき(即ち、蓄電部760への充電が行われているとき)の送電電流Ctは、充電回路750が動作していないとき(即ち、蓄電部760への充電が行われていないとき)の送電電流Ctに比べて大きくなる。
【0069】
図7を参照すると、検出回路438は、送電電流Ctの値を検出して制御部420に通知する。加えて、検知部480は、検知部480のON/OFF状態を示す検知信号Sdを、制御部420に通知する。制御部420は、検出回路438から通知された送電電流Ctの値と、検知部480から通知された検知信号Sdの値(ON又はOFF)とに基づいて、送電コイル524に送電電流Ctを供給するか否かを決める。
【0070】
制御部420は、送電コイル524に送電電流Ctを供給すると決めたとき、制御信号ScをONにして送電回路432に通知する。一方、制御部420は、送電コイル524に送電電流Ctを供給しないと決めたとき、制御信号ScをOFFにして送電回路432に通知する。送電回路432は、制御信号ScがONであるとき、送電電流Ctを出力する。一方、送電回路432は、制御信号ScがOFFであるとき、送電電流Ctの出力を停止する。
【0071】
図9図7及び図8と併せて参照すると、ペン70に対する非接触充電は、具体的には下記のように行われる。
【0072】
まず、充電器10が未収容状態(図1の状態)にあるとき、検知信号SdがOFFである。このとき、制御部420は、充電を開始しないことを決め、制御信号ScをOFFにして送電回路432に通知する。このため、送電コイル524に送電電流Ctが供給されておらず、非接触充電が行われていない。
【0073】
次に、ペン70が充電器10に収容されて、充電器10が収容状態(図2の状態)に遷移すると、検知信号SdがONになる。このとき、制御部420は、充電を開始することを決め、制御信号ScをONにして送電回路432に通知する。これにより、非接触充電が始まり、送電電流Ctの値が所定電流値C1まで上昇する。但し、非接触充電の開始からペン70の充電回路750が動作開始するまでには、所定時間Tpだけの時間を要する。このため、非接触充電の開始から所定時間Tpが経過するまでの間、送電電流Ctの値は、所定電流値C1に留まる。
【0074】
次に、非接触充電の開始から所定時間Tpが経過すると、充電回路750が動作開始する。このため、充電器10の整合回路434とペン70の整合回路730のインピーダンス調整により、送電電流Ctの値は、所定電流値C1から所定電流値C2まで上昇し、これにより非接触充電が効率的に行われる。
【0075】
次に、更に時間が経過すると、蓄電部760が満充電になり、充電回路750の出力が低下する。この結果、送電電流Ctの値は、所定電流値C2から徐々に下降する。送電電流Ctの値が所定の閾値Cthを超えて下降すると、制御部420は、充電を終了することを決め、制御信号ScをOFFにして送電回路432に通知する。これにより送電コイル524への送電電流Ctの供給が停止され、非接触充電が終了する。
【0076】
上述した非接触充電の途中においてペン70が充電器10から引き抜かれると、充電器10は未収容状態(図1の状態)に遷移し、検知信号SdがOFFになる。このとき、制御部420は、充電を終了することを決め、制御信号ScをOFFにして送電回路432に通知する。このため、非接触充電が終了する。
【0077】
本実施の形態による充電器10は、上述したペン70への非接触充電機能に加えて、非接触充電の対象とならない導電性の非対象物(例えば、図示しない金属の棒)を検出する機能を有している。図10図7及び図8と併せて参照すると、充電器10は、非接触充電の非対象物に対して、具体的には下記のように動作する。
【0078】
まず、充電器10が未収容状態(図1の状態)にあるとき、検知信号SdがOFFである。このため、制御信号ScはOFFであり、非接触充電が行われていない。
【0079】
次に、導電性の非対象物が充電器10に収容されて、充電器10が収容状態(図2の状態)に遷移すると、検知信号SdがONになる。このため、制御信号ScはONになる。これにより、送電電流Ctの値が上昇する。このとき、非対象物が導電性を有するため、送電コイル524に過電流が発生し、これにより送電電流Ctの値は、所定時間Tpが経過する前に閾値Cthを超えて高電流値Chまで上昇する。この場合、制御部420は、充電器10に非対象物が収容されたと判断し、制御信号ScをOFFにして送電回路432に通知する。これにより送電コイル524への送電電流Ctの供給が停止される。
【0080】
以上に説明したように、本実施の形態による充電器10は、収容状態においてのみ非接触充電を行う。また、充電器10は、ペン70が満充電になったときに非接触充電を停止する。更に、充電器10は、ペン70と類似した形状を有する非対象物を検知すると非接触充電を停止する。このように、本実施の形態による充電器10は、電力を浪費せずに効率的に使用する節電機能を有している。但し、本発明は、これに限られない。充電器10は、これらの節電機能の全て又は一部を有していなくてもよい。
【0081】
以下に説明するように、本実施の形態による充電器10は、既に説明した様々な変形例に加えて、更に様々に変形可能である。
【0082】
図11図3と併せて参照すると、変形例による充電器10Aは、本実施の形態による本体部20と少し異なる本体部20Aを備えている。本体部20Aは、保持部22Aと、保持部22Aと別体のホルダー部24Aとを備えている。本体部20のホルダー部24が、保持部22に固定されており、保持部22に対して相対的に移動できない一方、ホルダー部24Aは、保持部22Aに取り付けられており、保持部22Aに対して相対的に移動可能である。
【0083】
詳しくは、保持部22Aは、支持部222Aを有しており、ホルダー部24Aは被支持部242Aを有している。被支持部242Aは、支持部222Aを中心にして回転可能となるようにして、支持部222Aに支持されている。支持部222A及び被支持部242Aは、端部526(図4参照)及び検知部480の導電線(図4参照)を通過させる部位として使用できる。また、支持部222Aによる被支持部242Aの支持により、ホルダー部24Aは、電子機器80(図2参照)との嵌合方向であるX方向と平行に延びる軸を中心に、保持部22Aに対して相対的に回転可能である。
【0084】
より具体的には、ホルダー部24Aは、図11に示した第1回転方向RF及び第2回転方向RSに沿って回転可能である。このため、ホルダー部24Aに収容したペン70(図2参照)が力を受けたときにも、ホルダー部24Aが回転し、この力による充電器10Aの破損を防止する。このように、変形例による充電器10Aは、充電器10に比べて、収容状態において電子機器80(図2参照)に装着して携帯するのに更に適している。
【0085】
図12図1と併せて参照すると、変形例による充電器10Bは、本実施の形態によるハウジング30と少し異なるハウジング30Bを備えている。ハウジング30Bは、上面320Bと、下面330Bとを有している。充電器10Bにおいて、収容空間310は、下方に開いており、上方において底を有している。詳しくは、収容空間310の挿入口312は、ハウジング30Bの上面320Bではなく下面330Bに位置しており、下方に開口している。
【0086】
変形例による充電器10Bは、電子機器80Bに適している。電子機器80Bの接続部810は、Z方向において電子機器80の接続部810と反対側に設けられている。このため、充電器10(図1参照)を電子機器80Bに装着すると、収容状態において、ペン70が電子機器80Bの上端を超えて上方に突出する。一方、充電器10Bは、収容状態においても、電子機器80Bにコンパクトに装着可能である。
【0087】
図13図1と併せて参照すると、変形例による充電器10Cは、本実施の形態によるハウジング30と少し異なるハウジング30Cを備えている。ハウジング30Cには、収容空間310Cが形成されている。また、ハウジング30Cは、下面330Cを有している。収容空間310Cは、上方及び下方の両方に開いている。詳しくは、収容空間310Cは、ハウジング30Cの上面320に位置する挿入口312に加えて、下面330Cに位置する挿入口(図示せず)を有している。更に、充電器10Cは、収容空間310Cに挿入されたペン70を挟んで仮保持する部位(図示せず)を備えている。
【0088】
変形例による充電器10Cは、電子機器80Cに適している。電子機器80Cの接続部810は、電子機器80CのZ方向における中間部に設けられている。このため、充電器10(図1参照)や充電器10B(図12参照)を電子機器80Cに装着すると、収容状態において、ペン70が電子機器80Cの上端又は下端を超えて上方又は下方に突出する。一方、充電器10Cは、電子機器80Cに装着された状態において、ペン70をコンパクトに収容可能である。
【符号の説明】
【0089】
10,10A,10B,10C 充電器
20,20A 本体部
22,22A 保持部
222A 支持部
24,24A ホルダー部
242A 被支持部
BL 境界線
30,30B,30C ハウジング
310,310C 収容空間
312 挿入口
320,320B 上面
330,330B,330C 下面
340 被取付面
350 側面
40 回路基板
410 電源部
420 制御部
430 送電部
432 送電回路
434 整合回路
438 検出回路
480 検知部
492,494,496,498 導電線
510 シールド部材
512 磁性シート
514 金属シート
520 送電アンテナ
522 基部
524 送電コイル
526 端部
60 被接続部
62 端子
64 板状部
66 シェル
70 入力装置(ペン)
710 主部
712 先端
720 受電コイル
730 整合回路
740 整流回路
750 充電回路
760 蓄電部
770 ペン回路
80,80B,80C 電子機器
810 接続部
Cs 直流電流
Cc,Cp 動作電流
Ct 送電電流
C1,C2 所定電流値
Cth 閾値
Ch 高電流値
Tp 所定時間
Sd 検知信号
Sc 制御信号
Cac 交流電流
Cdc,Csp 直流電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13