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特開2017-221335吸収性物品の加工装置及び加工方法並びに吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-221335(P2017-221335A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】吸収性物品の加工装置及び加工方法並びに吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/539 20060101AFI20171124BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20171124BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20171124BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   A61F13/539
   A61F13/15 352
   A61F13/15 390
   A61F13/511 100
   A61F13/532 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-118140(P2016-118140)
(22)【出願日】2016年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】杉山 勝彦
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200DA13
3B200DB05
3B200DC04
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】吸収体の柔軟性が維持されて、被覆シート及び吸収体に所望の凹凸形状が形成された吸収性物品を提供する。
【解決手段】被覆シート5に凹凸形状を与えて、凹凸形状に形成された吸収体4の表面に沿って密着させる吸収性物品の加工装置であって、吸収体4を所定速度で走行させる走行装置31〜33と、走行している吸収体4の表面側に重なるように被覆シート5を供給する被覆シート供給装置20Aと、表面側に重ねられて走行する被覆シートに対して、凹凸形状に沿った形状を与えて表面に密着させる形状付与装置20Bとを備え、シート供給装置は、吸収体4の長さよりも長い被覆シートを形状付与装置20Bに進入する吸収体4の表面側に供給する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の前記表面に沿って被覆シートに形状を与えて、前記被覆シートを前記吸収体の前記表面に密着させる吸収性物品の加工装置であって、
前記吸収体を所定速度で走行させる走行装置と、
前記走行装置により走行している前記吸収体の前記表面側に重なるように前記被覆シートを供給する被覆シート供給装置と、
前記吸収体の前記表面側に重ねられて走行する前記被覆シートに対して、前記表面の前記凹凸形状に沿った形状を与えて前記表面に密着させる形状付与装置と、を備え、
前記被覆シート供給装置は、前記吸収体の長さよりも長い前記被覆シートを前記形状付与装置に進入する前記吸収体の前記表面側に供給する
ことを特徴とする吸収性物品の加工装置。
【請求項2】
前記凹凸形状における隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記凹部間に供給される前記被覆シートの供給長さをLrとし、前記吸収性物品における隣接する前記凹部間に配設される前記被覆シートの製品長さをLとし、前記製品長さLと前記供給長さLrとの比であるシート伸び率をα(=L/Lr)とし、前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、前記シート伸び率αは下式(a)を満たし、前記供給長さLrは下式(b)を満たす
ことを特徴とする請求項1記載の吸収性物品の加工装置。
1≦α<R ・・・(a)
R・L<α・Lr ・・・(b)
【請求項3】
前記限界伸び率Rは1.05である
ことを特徴とする請求項2記載の吸収性物品の加工装置。
【請求項4】
前記被覆シートが前記凹凸形状の加工後の前記吸収性物品の表面の柔軟性を確保しうる限界に応じた伸び率である許容伸び率をRR(<R)とすると、前記シート伸び率αは下式(c)を満たす
ことを特徴とする請求項2又は3記載の吸収性物品の加工装置。
1≦α<RR ・・・(c)
【請求項5】
前記形状付与装置は、前記表面側に前記被覆シートが重ねられて走行する前記吸収体に対して、前記吸収体の裏面側から吸引するサクション装置を備えている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品の加工装置。
【請求項6】
前記被覆シート供給装置は、
前記凹凸形状に応じたスパンで凹部及び凸部が形成された凹凸外形を有し、前記所定速度と等しい周速で回転する供給ガイドロールと、
前記供給ガイドロールに噛み合い、前記供給ガイドロールの外周の前記凹凸外形の隣接する凸部間に所定長さの前記被覆シートを送給する案内ロールと、から構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品の加工装置。
【請求項7】
前記供給ガイドロールは、前記形状付与装置の直前で、前記凹凸外形の外周が前記吸収体の走行経路に進入するように配置され、
前記凹凸外形の各凸部が、前記吸収体の前記凹凸形状の各凹部と同位相になるように、前記供給ガイドロールの回転位相が設定されている
ことを特徴とする請求項6記載の吸収性物品の加工装置。
【請求項8】
凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の表面に沿って被覆シートに形状を与えて、前記被覆シートを前記吸収体の前記表面に密着させる吸収性物品の加工方法であって、
所定速度で走行する前記吸収体の前記表面側に重なるように前記被覆シートを供給する供給工程と、
前記吸収体の前記表面側に重ねられて走行する前記被覆シートに対して、前記表面の前記凹凸形状に沿った形状を与えて前記表面に密着させる形状付与工程と、を備え、
前記供給工程では、前記吸収体の長さよりも長い前記被覆シートを前記形状付与工程に進入する前記吸収体の前記表面側に供給する
ことを特徴とする吸収性物品の加工方法。
【請求項9】
前記凹凸形状における隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記凹部間に供給される前記被覆シートの供給長さをLrとし、前記吸収性物品における隣接する前記凹部間に配設される前記被覆シートの製品長さをLとし、前記製品長さLと前記供給長さLrとの比であるシート伸び率をα(=L/Lr)とし、前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、前記シート伸び率αは下式(a)を満たし、前記供給長さLrは下式(b)を満たす
ことを特徴とする請求項8記載の吸収性物品の加工方法。
1≦α<R ・・・(a)
R・L<α・Lr ・・・(b)
【請求項10】
前記限界伸び率Rは1.05である
ことを特徴とする請求項9記載の吸収性物品の加工方法。
【請求項11】
前記被覆シートが前記凹凸形状の加工後の前記吸収性物品の表面の柔軟性を確保しうる限界に応じた伸び率である許容伸び率をRR(<R)とすると、前記シート伸び率αは下式(c)を満たす
ことを特徴とする請求項9又は10記載の吸収性物品の加工方法。
1≦α<RR ・・・(c)
【請求項12】
前記形状付与工程では、前記表面側に前記被覆シートが重ねられて走行する前記吸収体に対して、前記吸収体の裏面側から吸引することにより前記被覆シートに前記凹凸形状に沿った形状を与える
ことを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の吸収性物品の加工方法。
【請求項13】
前記供給工程では、前記凹凸形状に応じたスパンで凹部及び凸部が形成された凹凸外形を有し、前記所定速度と等しい周速で回転する供給ガイドロールの外周の前記凹凸外形の隣接する凸部間に、所定長さの前記被覆シートを送給し保持させることによって、前記吸収体の前記表面側に前記被覆シートを供給する
ことを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の吸収性物品の加工方法。
【請求項14】
前記供給工程では、前記供給ガイドロールの前記凹凸外形の各凸部を、前記吸収体の前記凹凸形状の各凹部内に進入させて前記吸収体の前記表面側に前記被覆シートを供給する
ことを特徴とする請求項13記載の吸収性物品の加工方法。
【請求項15】
凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の表面に沿って、被覆シートが形状を与えられて密着されて構成された吸収性物品であって、
隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記形状を与えられる際に前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、隣接する前記凹部間に配設された前記被覆シートの長さLが、次式(A)の関係にある
ことを特徴とする吸収性物品。
R・L<L・・・(A)
【請求項16】
前記限界伸び率Rは1.05である
ことを特徴とする請求項15記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに用いて好適の吸収性物品に関し、特に、吸収性物品の加工装置及び加工方法並びに加工された吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、排泄前には体に触れる着用物としての快適性が求められ、排泄後においては排泄物と体が極力触れないようにする吸収性についても求められる。これらのニーズに対して、さまざまな技術開発が行われている。
【0003】
特に、尿のような体液を吸収性物品に吸収させる場合には、体液の量が多い場合であっても、吸収性物品が確実に体液を吸収して、体液漏れを防止できるようにすることは、機能面において利用者に重視されるものの一つである。
【0004】
吸収性物品からの体液漏れを防止するには、吸収性物品内での体液の拡散を促進すればよい。そこで、エンボス加工によって吸収性物品の表面に凹凸を設け、吸収性物品内での体液の拡散を促進して吸収性物品からの体液漏れを抑制すると共に、吸収性物品の接触感を向上させようとする技術が開発されている(特許文献1参照)。ただし、特許文献1には、エンボス加工の手法について具体的には記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−62484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吸収性物品は、吸収体と吸収体の表面(体に触れる面)を被覆する被覆シートとを備えている。吸収性物品に凹凸を設ける場合、例えば、吸収体の表面を凹凸形状に形成し、この凹凸形状の吸収体の表面に被覆シートを重ねて、これらを等速で走行させつつ例えば吸収体の裏面側から吸引を行なうことによって、被覆シートを吸収体の表面の凹凸形状に沿うように変形させ密着させる加工手法が考えられる。
【0007】
この場合、被覆シートは吸収体表面の凹凸形状に沿って密着するように被覆シートを変形させることができればよい。被覆シートは柔軟であり一定範囲で伸びを生じるため、吸収体表面の凹凸形状の深さ(凹部と凸部との高さの差)が小さい場合には、被覆シートが吸収体表面の凹凸形状に沿うように加工することはできる。しかし、被覆シートの伸びには限界があるため、吸収体表面の凹凸形状の深さが大きくなると、被覆シートを吸収体表面の凹凸形状に沿うように密着させることは困難になる。
【0008】
つまり、被覆シートが吸収体の表面に重ねられた状態で、吸収体に裏面側から吸引力を加えて減圧した場合、吸引力は被覆シートを伸長させる引張力として作用する。このため、被覆シートが伸長しうる範囲内では、被覆シートは吸収体表面の凹凸形状に沿うように変形しうる。しかし、吸収体表面の凹凸形状の深さが大きい場合には、被覆シートは吸収体表面の凹凸形状の凸部には沿って変形はするものの、凹凸形状に全面的に密着するまでは伸長できず、凹部からは離隔した不十分な凹凸形状となってしまい、所望の表面状態の吸収性物品が得られない。
【0009】
また、被覆シートの伸長限界内であっても、吸収体の裏面側からの吸引力を強めるなど、被覆シートに形状を与える力を強めた場合、被覆シートの伸長が促進されるため被覆シートの形状を吸収体表面の凹凸形状により近づけることはできるが、吸収体が吸引力で圧縮されるため、吸収体が締まって硬くなってしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決しようとするもので、吸収体の柔軟性が維持されて、被覆シート及び吸収体に所望の凹凸形状が形成された吸収性物品を加工する吸収性物品の加工装置及び加工方法並びに加工された吸収性物品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は、上記の課題が発生する原因を、以下のように分析した。
凹凸形状の吸収体の表面に被覆シートを重ねて被覆シートを吸収体の表面の凹凸形状に沿うように変形させ密着させる際には、吸収体に対して被覆シートを弛ませることなく吸収体と等しい長さで供給して、例えば吸収体を裏面側からに吸引するなどして被覆シートを吸収体の表面の凹凸形状に密着させる。
【0012】
このとき、被覆シートは伸長しながら凹凸形状に密着することになるが、凹凸形状に密着できるのは、被覆シートが伸長できる範囲内であり、凹凸形状が深くなるとこの被覆シートの伸長限度を超えるため、被覆シートが凹凸形状の凹部まで密着できなくなる。
【0013】
そこで、本願発明者は、吸収体の長さよりも長い被覆シートを、サクション装置等の被覆シートを吸収体の凹凸形状の表面に密着させる装置に進入する吸収体の表面側に供給することで、表面の凹凸形状が深い吸収体に対しても、被覆シートを凹凸形状の凹部まで密着できるようにすることを見出した。
【0014】
本発明は、このような知見に基づいて創案されたもので、以下の要旨構成を有する。
【0015】
(1)本発明の吸収性物品の加工装置は、表面が凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の前記表面に沿って被覆シートに形状を与えて、前記被覆シートを前記吸収体の前記表面に密着させる吸収性物品の加工装置であって、前記吸収体を所定速度で走行させる走行装置と、前記走行装置により走行している前記吸収体の前記表面側に重なるように前記被覆シートを供給する被覆シート供給装置と、前記吸収体の前記表面側に重ねられて走行する前記被覆シートに対して、前記表面の前記凹凸形状に沿った形状を与えて前記表面に密着させる形状付与装置と、を備え、前記被覆シート供給装置は、前記吸収体の長さよりも長い前記被覆シートを前記形状付与装置に進入する前記吸収体の前記表面側に供給することを特徴としている。
かかる吸収性物品によれば、以下の効果を得ることができる。
吸収体の長さよりも長い被覆シートに吸収体の凹凸形状に沿った形状を与えて形状付与装置に供給するので、被覆シートを吸収体の表面から剥離することなく密着させも、吸収体が締まって硬くなってしまうことを回避でき、且つ吸収性物品の表面に必要な深さの凹凸形状を有するように構成することが可能になる。
【0016】
(2)前記凹凸形状における隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記凹部間に供給される前記被覆シートの供給長さをLrとし、前記吸収性物品における隣接する前記凹部間に配設される前記被覆シートの製品長さをLとし、前記製品長さLと前記供給長さLrとの比であるシート伸び率をα(=L/Lr)とし、前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、前記シート伸び率αは下式(a)を満たし、前記供給長さLrは下式(b)を満たすことが好ましい。
1≦α<R ・・・(a)
R・L<α・Lr ・・・(b)
【0017】
(3)前記限界伸び率Rは1.05であることが好ましい。
【0018】
(4)前記被覆シートが前記凹凸形状の加工後の前記吸収性物品の表面の柔軟性を確保しうる限界に応じた伸び率である許容伸び率をRR(<R)とすると、前記シート伸び率αは下式(c)を満たすことが好ましい。
1≦α<RR ・・・(c)
【0019】
(5)前記形状付与装置は、前記表面側に前記被覆シートが重ねられて走行する前記吸収体に対して、前記吸収体の裏面側から吸引するサクション装置を備えていることが好ましい。
サクション装置による吸引によって、被覆シートに接触することなく、被覆シートを吸収体の表面の凹凸形状に沿うように形状を与えて表面に密着させることができる。
【0020】
(6)前記被覆シート供給装置は、前記凹凸形状に応じたスパンで凹部及び凸部が形成された凹凸外形を有し、前記所定速度と等しい周速で回転する供給ガイドロールと、前記供給ガイドロールに噛み合い、前記供給ガイドロールの外周の前記凹凸外形の隣接する凸部間に所定長さの前記被覆シートを送給する案内ロールと、から構成されていることが好ましい。
これにより、供給ガイドロールの外周の隣接する凸部間に所定長さの被覆シートを送給するので、所定長さの被覆シートを供給ガイドロールの外周の凸部間に保持させて、被覆シートを弛ませることなく形状付与装置に供給することができる。
【0021】
(7)前記供給ガイドロールは、前記形状付与装置の直前で、前記凹凸外形の外周が前記吸収体の走行経路に進入するように配置され、前記凹凸外形の各凸部が、前記吸収体の前記凹凸形状の各凹部と同位相になるように、前記供給ガイドロールの回転位相が設定されていることが好ましい。
これにより、凹凸外形に沿った状態で吸収体の表面に供給される被覆シートは、形状付与装置に進入する際に、吸収体の表面にその凹凸形状に沿って供給されているので、被覆シートが吸収体の表面の凹凸形状に円滑に密着される。
【0022】
(8)本発明の吸収性物品の加工方法は、凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の表面に沿って被覆シートに形状を与えて、前記被覆シートを前記吸収体の前記表面に密着させる吸収性物品の加工方法であって、所定速度で走行する前記吸収体の前記表面側に重なるように前記被覆シートを供給する供給工程と、前記吸収体の前記表面側に重ねられて走行する前記被覆シートに対して、前記表面の前記凹凸形状に沿った形状を与えて前記表面に密着させる形状付与工程と、を備え、前記供給工程では、前記吸収体の長さよりも長い前記被覆シートを前記形状付与工程に進入する直前で前記吸収体の前記表面側に供給することを特徴としている。
これにより、吸収体の単位長さに対して当該単位長さよりも長い所定長さの被覆シートに対して、前記凹凸形状に沿った形状を与えるので、被覆シートを吸収体の表面から剥離することなく密着させも、吸収体が締まって硬くなってしまうことを回避でき、且つ吸収性物品の表面に必要な深さの凹凸形状を有するように構成することが可能になる。
【0023】
(9)前記凹凸形状における隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記凹部間に供給される前記被覆シートの供給長さをLrとし、前記吸収性物品における隣接する前記凹部間に配設される前記被覆シートの製品長さをLとし、前記製品長さLと前記供給長さLrとの比であるシート伸び率をα(=L/Lr)とし、前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、前記シート伸び率αは下式(a)を満たし、前記供給長さLrは下式(b)を満たすことが好ましい。
1≦α<R ・・・(a)
R・L<α・Lr ・・・(b)
【0024】
(10)前記限界伸び率Rは1.05であることが好ましい。
【0025】
(11)前記被覆シートが前記凹凸形状の加工後の前記吸収性物品の表面の柔軟性を確保しうる限界に応じた伸び率である許容伸び率をRR(<R)とすると、前記シート伸び率αは下式(c)を満たすことが好ましい。
1≦α<RR ・・・(c)
【0026】
(12)前記形状付与工程では、前記表面側に前記被覆シートが重ねられて走行する前記吸収体に対して、前記吸収体の裏面側から吸引することにより前記被覆シートに前記凹凸形状に沿った形状を与えることが好ましい。
吸引によって、被覆シートに接触することなく、被覆シートを吸収体の表面の凹凸形状に沿うように形状を与えて表面に密着させることができる。
【0027】
(13)前記供給工程では、前記凹凸形状に応じたスパンで凹部及び凸部が形成された凹凸外形を有し、前記所定速度と等しい周速で回転する供給ガイドロールの外周の前記凹凸外形の隣接する凸部間に、所定長さの前記被覆シートを送給し保持させることによって、前記吸収体の前記表面側に前記被覆シートを供給することが好ましい。
これにより、供給ガイドロールの外周の隣接する凸部間に所定長さの被覆シートを送給するので、所定長さの被覆シートを供給ガイドロールの外周の凸部間に保持させて、被覆シートを弛ませることなく形状付与工程に供給することができる。
【0028】
(14)前記供給工程では、前記供給ガイドロールの前記凹凸外形の各凸部を、前記吸収体の前記凹凸形状の各凹部内に進入させて前記吸収体の前記表面側に前記被覆シートを供給することが好ましい。
これにより、凹凸外形に沿った状態で吸収体の表面に供給される被覆シートは、形状付与工程に進入する際に、吸収体の表面にその凹凸形状に沿って供給されているので、被覆シートが吸収体の表面の凹凸形状に円滑に吸着される。
【0029】
(15)本発明の吸収性物品は、凹部及び凸部が連続した凹凸形状に形成された吸収体の表面に沿って、被覆シートが形状を与えられて密着されて構成された吸収性物品であって、隣接する前記凹部間の距離をLとし、前記形状を与えられる際に前記被覆シートが破断せずに伸長する限界に応じた伸び率である限界伸び率をRとすると、隣接する前記凹部間に配設された前記被覆シートの長さLが、次式(A)の関係にあることを特徴としている。
R・L<L・・・(A)
かかる吸収性物品によれば、以下の効果を得ることができる。
上記R・Lは、被覆シートを凹部間の距離Lと等しい長さだけ用いて、被覆シートの伸長限界で、吸収体の表面に被覆シートが密着されて構成された吸収性物品の製品長さに相当する。本吸収性物品(当然、被覆シートは破断していない)の製品長さLが、このR・Lよりも大きいことは、距離Lに対して距離Lよりも長い被覆シートが用いられたことを意味する。また、式(A)の関係にあると、被覆シートを凹部間の距離Lと等しい長さだけ用いた場合よりも、深さのある凹凸形状を得ることができる。
したがって、本吸収性物品によれば、吸収体が締まって硬くなってしまうことを回避しながら、被覆シートを吸収体の表面から剥離することなく吸着され、且つ吸収性物品の表面に必要な深さの凹凸形状を有するように構成することが可能になる。
【0030】
(16)前記限界伸び率Rは1.05であることが好ましい。
被覆シートの材料には、不織布が好適であり、この不織布の伸長限界に応じた係数Rは1.05程度である。このため、被覆シートに不織布を用いた場合に、確実に上記効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、吸収体の柔軟性が維持されて、被覆シート及び吸収体に所望の凹凸形状が形成された吸収性物品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の製造装置の上流部分の構成を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の加工装置の構成を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る被覆シート(トップシート)の供給長さ(供給シート長)Lr及び製造された吸収性物品におけるトップシートの製品長さLを説明するための模式的断面図であって、(a)は供給長さLrに関し、(b)は対比供給長さ及び隣接する部間の距離(凹部間の距離)Lに関し、(c)は製品長さ(物品シート長)Lに関する。
図4】本発明の一実施形態に係る吸収性物品及びその製造装置,製造方法による作用効果を説明する模式的断面図であって、(a)はトップシートの供給状態を示し、(b)はトップシートのマットへの密着後の状態を示し、(c)はトップシートのマットへの密着による伸びを示す。
図5】比較例に係る吸収性物品の吸収体の状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各部構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0034】
本実施形態に係る吸収性物品は、例えば、紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」),尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーなどに適用される。
何れの場合も、着用者の肌に触れる側(装着された状態で内側)を内側又は肌面側とし、その反対側(装着された状態で外側)を外側又は非肌面側とする。
そして、以下の説明では、上記の内側の面を表面とし、上記の外側の面を裏面とする。
【0035】
また、以下の説明で、「上流」,「下流」と記載するが、これらは吸収性物品の製造工程において構成要素のシート類が走行する方向を基準にしたもので、「上流」とはシート類の走行方向上流側を言い、「下流」とはシート類の走行方向下流側を言う。
さらに、「上」,「下」は、鉛直方向を基準にしたものであり、「上」とは鉛直方向上方を言い、「下」とは鉛直方向上方を言う。
【0036】
〔吸収性物品の加工装置〕
まず、本実施形態の吸収性物品の加工装置について説明する。
この加工装置は、吸収性物品の製造装置に装備される。
図1に示すように、吸収性物品の製造装置には、下コアラップシート1上に、表面に、凹部2cc及び凸部2cvが長手方向(走行方向)に連続した凹凸形状2cに形成されたマット本体(吸収体本体)2を形成する吸収体形成装置10が装備される。
【0037】
吸収体形成装置10の下流には、マット本体2を所定の長さに断裁して凹凸加工前のマット(吸収体)4を形成する断裁パートCPが備えられる。
【0038】
加工装置20は、断裁パートCPの下流側に装備され、表面が凹凸形状2cに形成されたマット本体2の表面にトップシート(被覆シート)5を密着させる。
【0039】
吸収体形成装置10には、フォーミングドラム11が装備されている。フォーミングドラム11には、ドラム外周11aの一部を覆うようにスカート12が配置されている。スカート12内には、マット材料が供給される。マット材料は、粉砕あるいは解繊されたパルプ(いわゆる「フラッフパルプ」)と、高吸水性樹脂(いわゆるSAP〈Superabsorbent polymer〉,高吸水性高分子あるいは高吸水性ポリマーとも称される)とからなり、これらがスカート12内で混合状態になっている。
【0040】
フォーミングドラム11は、形成する凹凸形状2cに応じた凹凸面を有するドラム外周11aを備え、スカート12で覆われた外周部分において、スカート12内のマット材料を図1中に矢印で示すようにドラム内方向へ吸引することにより表面に凹凸形状2cが形成されたマット本体2の層をドラム外周11aに連続的に形成する。
【0041】
このマット本体2の層は、図示しないシートロールから送り出されてコンベア(走行装置)31上を走行する下コアラップシート1の上に図1中に矢印で示すように吸引されて受け渡される。これにより、下コアラップシート1及びマット本体2が一体になったマット4が形成される。
【0042】
なお、下コアラップシート1には、ティッシュや不織布を用いることができる。ティッシュの方が不織布よりも形状の追従性がよいことから、ここでは、ティッシュを下コアラップシート1に用いており、下コアラップシート1は下ティッシュとも言う。
【0043】
断裁パートCPでは、吸収体形成装置10において形成されコンベア31上を搬送されるマット本体2を、コンベア(走行装置)32上に受け渡す際に、シート走行方向と直交するシート幅方向に延びた断裁ナイフ34によって所定の長さに断裁する。これにより、所定の長さのマット4が形成される。
【0044】
加工装置20は、断裁パートCPで形成された所定の長さのマット4の表面に、これを覆うようにトップシート(被覆シート)5を積層すると共に、トップシート5をマット4の表面の凹凸形状2cに沿うように形状を与えて、トップシート5をマット4の表面に密着させて、凹凸マット(凹凸形状が形成された吸収体)6を加工する。
【0045】
トップシート5には、マット4を着用者の肌に接触する肌面側から被覆すると共に付着した液をマット4側へ透過させる液透過性の材料が用いられる。ここでは、液透過性を有する不織布が用いられる。
【0046】
図1図2に示すように、加工装置20は、コンベア32から受け渡されたマット4を所定速度で走行させるコンベア(走行装置)33と、コンベア33により走行しているマット4の表面側に重なるようにトップシート5を供給するトップシート供給装置(被覆シート供給装置)20Aと、マット4の表面側に重ねられて走行するトップシート5に対して、マット4表面の凹凸形状2cに沿った形状を与えて表面に密着させる形状付与装置20Bと、を備えている。
【0047】
トップシート供給装置20Aは、外周21Pに周方向に凹部21a及び凸部21bが周方向に連続した凹凸外形21cを備えコンベア33によるマット4の走行速度と等しい又は略等しい周速で回転する供給ガイドロール21と、この供給ガイドロール21と対向する受けロール22とを備えている。コンベア33は、これらの供給ガイドロール21と受けロール22との間のシート供給部24にマット4を通過させる。
【0048】
このようにマット4の走行速度と供給ガイドロール21の周速とを等速又は略等速にするのは、後述する所要の凹凸形状6cの凹凸マット6を適正に形成するためであり、両者は厳密に等速である必要はない。
【0049】
つまり、マット4の走行速度と供給ガイドロール21の周速との速度差が大きいと、シート供給部部24において、供給ガイドロール21からマット4に、或いは、供給ガイドロール21からトップシート5及びマット4に、速度差に伴う種々の力が作用し、凹凸マット6の表面のトップシート5に皺が寄ったり凹凸形状6cが変形したりするおそれが発生する。このようなおそれを回避するために、マット4の走行速度と供給ガイドロール21の周速とを等速又は略等速(即ち、速度差が所定値以下)に設定している。
【0050】
なお、シート供給部24は、供給ガイドロール21と受けロール22とがコンベア33のベルトを挟んで対向する箇所であり、このシート供給部24は、マット4の厚さにほぼ沿った隙間として形成される。
【0051】
また、トップシート供給装置20Aは、供給ガイドロール21の最大外径における周長よりも長いトップシート5をシート供給部24に供給する。したがって、プレス加工部24には、単位時間当たり、マット4よりも長いトップシート5が供給される。
【0052】
特に、本実施形態では、図2に示すように、トップシート供給装置20Aは、供給ガイドロール21と、供給ガイドロール21に対して受けロール22よりも回転方向上流側で噛み合い、供給ガイドロール21の外周の凹凸外形21cの隣接する凸部21b間(即ち、一方の凸部21bの周方向中央から凹部21aを経て他方の凸部21bの周方向中央までの間)に所定長さのトップシート5を送給する案内ロール23と、を備えて構成されている。
【0053】
案内ロール23は、その外周部23Pに、供給ガイドロール21の外周部21Pに形成された凹部21a,凸部21bとそれぞれ対応する凸部23a,凹部23bが連続した凹凸外形23cを備え、噛合部25において、凹凸外形23cを供給ガイドロール21の凹凸外形21cに噛み合わせながら供給ガイドロール21の周速と等しい又は略等しい周速で回転する。
【0054】
トップシート5は、図示しないシートロールから送り出しロール30a,30bを通じて送り出されて、この供給ガイドロール21の凹凸外形21cと案内ロール23の凹凸外形23cとの間の噛合部25に供給される。
【0055】
案内ロール23の凹凸外形23cは、噛合部25において、供給ガイドロール21の凹凸外形21cに噛み合いながら、その各凸部23aが供給ガイドロール21の凹凸外形21cの凹部21aにトップシート5を押し込むようにしてトップシート5を供給ガイドロール21の凹凸外形21cに沿わせる。これによって、供給ガイドロール21の最大外径における周長よりも長いトップシート5が供給ガイドロール21に供給される。
【0056】
トップシート5は、供給ガイドロール21の凹凸外形21cに沿って凹凸状態に保持されながら、供給ガイドロール21の回転によって、シート供給部24に送られ、シート供給部24において、コンベア33によって走行するマット4の上に、供給ガイドロール21の外周部21Pから供給され重合される。なお、供給ガイドロール21の凹凸外形21cの凹部21aはマット4の凹凸形状2cの凸部2cvと、供給ガイドロール21の凹凸外形21cの凸部21bはマット4の凹凸形状2cの凹部2ccと、それぞれ同位相又は略同位相になるように設定されている。
【0057】
また、本実施形態では、案内ロール23と、供給ガイドロール21と、受けロール22とは、各回転軸心が同一平面上に互いに平行に配置された3連ロールとして構成されている。したがって、各ロール23,21,22を安定して支承することができ、また、装置をコンパクトに構成することができる。
【0058】
シート供給部24の直下流側には、形状付与装置20Bとしてサクション装置が装備されている。サクション装置20Bは、マット4を走行させるコンベア33の空気透過性ベルトの裏面に装備したサクションボックス20bを備え、サクションボックス20bによりマット4をその裏面側から吸引することによって、マット4の表面側に重ねられて走行するトップシート5を、マット4表面の凹凸形状2cに沿った形状に隙間なく密着させる。これによって、トップシート5はマット4表面の凹凸形状2cに沿うように形状を与えられる。
【0059】
なお、本実施形態では、形状付与装置20Bとしてサクション装置が装備されるが、形状付与装置20Bはこれに限るものではなく、吸引することなしに、トップシート5をマット4の凹凸形状2cに沿わせて密着させることができる手法もある。
【0060】
つまり、供給ガイドロール21の凹凸外形21cによって、トップシート5にマット4の凹凸形状2cに対応するような形状が与えられていれば、シート供給部24で供給ガイドロール21からマット4の凹凸形状2cの面に、キスタッチ状態(触れる程度の押圧状態)で接触させれば、吸引することなしに、トップシート5をマット4の凹凸形状2cに沿わせて密着させることができる。
【0061】
また、このように、供給ガイドロール21の凹凸外形21cからトップシート5がマット4の凹凸形状2cの面に供給される際に、供給ガイドロール21を通じてトップシート5がマット4の凹凸形状2cに加圧された場合にも、吸引することなしに、トップシート5をマット4の凹凸形状2cに沿わせて密着させることができる。
【0062】
このようにして、マット4は、加工装置20によって、表面にトップシート5を重ねられ、凹凸形状2cのマット4の表面にトップシート5が隙間なく密着され凹部6a及び凸部6bが連続した凹凸マット6となって、後工程に送られる。後工程では、例えばマット4の裏面側にバックシート(裏面被覆シート)を重合されるなど、製品(吸収性物品)に必要な加工が加えられる。ただし、凹凸マット6の表面の凹凸形状は、その後の加工は行われず、かかる表面の形状は製品(吸収性物品)となっても保持される。したがって、凹凸マット6の表面は、吸収性物品の表面に相当する。なお、前後に隣接する凹凸マット6間のトップシート5は、後工程で断裁される。
【0063】
ここで、シート供給部24において供給されるトップシート5の供給長さ(供給方向の長さ)Lrについて説明する。上述のように、トップシート5は、供給ガイドロール21によって凹凸状態に保持されながら供給される。つまり、トップシート5は、案内ロール23の各凸部23bにより供給ガイドロール21の凹部21aに押し込まれた状態でプレス加工部24に供給される。したがって、供給ガイドロール21の最大外径における周長(即ち、供給ガイドロール21の各凸部21bの凸面における周長)よりも長い長さのトップシート5がプレス加工部24に供給される。
【0064】
供給ガイドロール21の外周部21Pの最大外径を規定する供給ガイドロール21の各凸部21bの周方向中央部に着目し、隣接する凸部21b間の周方向長さを単位長さとする。つまり、図3(b)に示すように、供給ガイドロール21の隣接する凸部21b間において、一方の凸部21bの周方向中央部から凹部21aを経て他方の凸部21bの周方向中央部までの間の長さをL(即ち、凹凸マット6の表面の隣接する凹部6aの中央部間の距離、以下、凹部間距離とも言う)Lを単位に説明とする。なおこの凹部間距離Lを単位長さとも言う。
【0065】
トップシート5は使用する材料にもよるが、一定の範囲で伸長可能である。本実施形態では、トップシート5に不織布が用いられており、凹凸形状6cに加圧形成される際に不織布は一定の限度内で伸長可能である。不織布の場合、シートが破断しない伸び率の上限(限界伸び率)Rは1.05程度である。
【0066】
したがって、凹部間距離(隣接する凹部6a間の距離)Lと等しい長さのトップシート5を加工部24に供給しても凹凸形状6cを加圧形成することはできる。
しかし、トップシート5の限界伸び率Rは1.05程度と小さいため、凹部間距離Lと等しい長さのトップシート5を加工部24に供給したのでは、トップシート5の限界伸び率Rまで伸長させても凹凸マット6に十分な深さ(凹部6aと凸部6bとの高低差)の凹凸形状6cを形成することはできない。
【0067】
つまり、吸収性物品として製品状態になった時のトップシート5の長さである製品長さをL〔図3(c)参照〕とすると、下式(A)を満たすことが、凹凸マット6に十分な深さ(凹部6aと凸部6bとの高低差)の凹凸形状6cを形成する上で必要な条件となる。
R・L<L・・・(A)
【0068】
本実施形態では、トップシート5の供給長さLrを、図3(a)に示すように、トップシート5が供給ガイドロール21の凹凸外形21cに保持される長さ(=La+Lb+Lc+Ld+Le)とし、凹部間距離Lよりも大きくしている(Lr>L)。なお、この供給長さLrを規定する値Lb,Ldは、案内ロール23の外周部23Pの凹凸外形23cの凸部23aが供給ガイドロール21の外周部21Pの凹凸外形21cの凹部21a内へトップシート5を進入させる進入深さに対応する。
【0069】
また、供給長さLrが製品長さL以上の場合には、凹凸マット6の表面のトップシート5に弛みや皺が生じるおそれがある。これを回避するため、トップシート5の供給長さLrを製品長さL未満(Lr<L)に設定している。
【0070】
上記のように、供給長さLrを製品長さL未満とすることにより、トップシート5はプレス加工部24で伸長しながら凹凸形状6cに沿って加圧形成される。しかし、トップシート5の伸びが限界(伸長限界)に達すると破断してしまうので、この伸長限界を考慮して供給長さLrを設定する必要がある。
【0071】
ここで、トップシート5の伸び率(製品長さLと供給長さLrとの比の値)であるシート伸び率α(=L/Lr)に着目して、供給長さLr,製品長さLについて説明する。トップシート5が弛みや皺が生じないで且つ破断しないシート伸び率αの条件は、限界伸び率Rを用いて、次式(a)で与えられる。
1<α<R・・・(a)
【0072】
そこで、シート伸び率αが式(a)を満たすように、供給長さLr及び製品長さLを設定する。上記のように供給長さLrは、案内ロール23の凸部23aによってトップシート5を供給ガイドロール21の凹部21aに進入させる進入深さによって決まり、これは凸部23aの形状や大きさによって決まる。また、製品長さLは供給ガイドロール21の凹凸外形21cの形状や大きさに応じて決まる。したがって、これらの設定により、供給長さLr及び製品長さLを設定することができる。
【0073】
ただし、凹凸マット6の表面は柔軟であり触感が良好であることが要求されるので、シート伸び率αは限界伸び率Rに対して余裕をもって設定されることが好ましい。そこで、本実施形態では、破断しない限界伸び率Rよりも低く、凹凸マット6の表面に柔軟性を確保しうる限界伸び率である許容伸び率RR(<R)を設定し、次式(c)を満たすようにシート伸び率αを設定する。
1<α<RR・・・(c)
破断しない限界伸び率Rが例えば1.05であれば、柔軟性を確保しうる許容伸び率RRは例えば1.03となり、シート伸び率αは式(c)を満たすように、例えば1.02と設定することができる。
【0074】
また、上記の式(A)において製品長さLを供給長さLr及びシート伸び率αに置き換えると(L=α・Lr)、次式(b)になる。
R・L<α・Lr・・・(b)
【0075】
したがって、凹凸マット6の表面のトップシート5に弛みや皺が生じることなく、トップシート5が破断することなく、且つ、凹凸マット6の表面の柔軟性を確保できるように凹凸形状6cを形成するには、シート伸び率αが式(c)を満たすように、且つ、供給長さLrが式(b)を満たすように、供給長さLr及び製品長さLを設定することが必要である。
【0076】
〔作用及び効果〕
本実施形態に係る吸収性物品及び吸収性物品の加工装置はこのように構成されているので、以下のように加工方法を実施して吸収性物品を製造することができ、これによって、以下のような作用,効果を得ることができる。
【0077】
まず、吸収体形成装置10により、表面が凹凸形状2cに形成されたマット本体2を形成する。次に、断裁パートCPでマット本体2を所定の長さに断裁して凹凸加工前のマット4を形成する。
そして、コンベア33によって所定速度で走行するマット4の凹凸形状2cを有する表面側に重なるように、トップシート供給装置20Aによりトップシート5を供給する(供給工程)。
【0078】
このとき、トップシート5は、案内ロール23の外周部23Pの凹凸外形23cの凸部23aによって供給ガイドロール21の外周部21Pの凹部21aに押し込まれ、図4(a)に示すように、供給ガイドロール21の凹凸外形21cの主に凸部21bに沿って保持され、供給ガイドロール21の外周の単位長さ(隣接凹部間距離)Lに対してこの単位長さLよりも長い所定長さLrの状態でシート供給部24に送られる。
【0079】
サクション装置20Bでは、供給ガイドロール21と受けロール22との間に形成されるシート供給部24の下流において、図4(b)に示すように、上面にトップシート5を重ねられたマット4の裏面側をサクションボックス20bにより吸引しながら、トップシート5をマット4表面の凹凸形状2cに沿った形状に隙間なく密着させる(形状付与工程)。これによって、トップシート5はマット4表面の凹凸形状2cに沿うように形状を与えられ、表面に凹部6a及び凸部6bが連続した凹凸形状6cを有する凹凸マット6が形成される。
なお、形状付与工程では、前述のように、吸引することなしに、トップシート5をマット4の凹凸形状2cに沿わせて密着させることができる手法を適用してもよい。
【0080】
この結果、吸収性物品の製品長さLを、前記式(A)を満たすように、値R・Lよりも大きくすることができ、トップシート5及びマット4の表面に必要な高低差の凹凸形状6cを形成することができる。したがって、マット4の柔軟性が維持されて、トップシート5及びマット4に所望の高低差を有する凹凸形状6cが形成された吸収性物品を得ることができる。この高低差を有する凹凸形状によって、吸収性物品内での体液の拡散を促進して吸収性物品からの体液漏れを抑制すると共に、吸収性物品の接触感を向上させることができる。
【0081】
また、トップシート5のマット4上への供給時に、トップシート5は、図4(c)に示すように、二点鎖線で示す状態で供給ガイドロール21の凹凸外形21cの主に凸部21bに沿って保持されてシート供給部24に供給され、実線で示す状態に加工される。このとき、サクション装置20Bの吸引によるトップシート5の伸び(矢印参照)による長さ変化は、僅かであり、トップシート5はマット4(マット本体2)の復元力によって僅かに伸びを生じるだけで、マット4(マット本体2)の凹凸形状2cに沿った形状に形成される。このため、トップシート5に破断が生じるおそれもない。
【0082】
また、例えば図5に示すように、トップシート5の供給長さLrに余裕がなく、凹凸形状に形成されることでトップシート5が伸長限界に近づくまでサクション装置20Bの吸引を強めると、トップシート5がマット4(マット本体2)を圧縮する圧縮力(太矢印参照)が増大し、この結果、マット4が硬化して、肌面側の触感の低下を招く。しかし、本吸収性物品では、シート伸び率αが凹凸マット6の表面に柔軟性を確保しうる許容伸び率RR(<R)未満になるようにトップシート5の供給長さLrに余裕を取っているので、図4(b)に太矢印で示すように、トップシート5が凹凸マット6を圧縮する圧縮力(太矢印参照)は小さく、凹凸マット6が硬化することなく柔軟性を確保され肌面側の触感を良好な状態に維持できる。
【0083】
また、トップシート5の供給長さLrに余裕がないと、吸引加工後にテンションが掛かったトップシート5が凹凸マット6のマット4を圧縮するのに対して、トップシート5がマット4の復元反力を受けて破れるおそれがあるが、トップシート5の供給長さLrに余裕を取っているので、このような原因でトップシート5が破断するおそれも回避することができる。
【0084】
本実施形態では、トップシート供給装置20Aは、供給ガイドロール21と、案内ロール23とから構成しており、トップシート5を、案内ロール23の外周部23Pの凸部23aによって供給ガイドロール21の外周部21Pの凹部21a内に押し込むようにして、マット4の単位長さよりも長い所定長さの状態を保持しながらマット4上に供給するので、確実に所定長さのトップシート5を供給することができる。
【0085】
また、本実施形態では、供給ガイドロール21の凹凸外形21cの凹部21aはマット4の凹凸形状2cの凸部2cvと、供給ガイドロール21の凹凸外形21cの凸部21bはマット4の凹凸形状2cの凹部2ccと、それぞれ同位相又は略同位相になるように設定されているので、シート供給部24において、サクション装置20Bに進入する直前に、マット4の表面にその凹凸形状2ccに沿ってトップシート5が供給される。したがって、トップシート5がマット4表面の凹凸形状2ccに円滑に吸着される。
【0086】
〔その他〕
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態を適宜変更して実施することができる。
【0087】
例えば、上記実施形態では、案内ロール23と、供給ガイドロール21と、受けロール22とを、同一平面上に互いに平行に回転軸心が配置された3連ロールとしており、各ロール23,21,22を安定して支承することができ、また、装置をコンパクトに構成することができるが、各ロール23,21,22の配置はこれに限定されない。
【0088】
上記実施形態では、トップシート5に対してマット4表面の凹凸形状2ccに沿った形状を与えてマット4表面に密着させる形状付与装置20Bとして、シート吸引装置を適用しているが、例えば、トップシート5の圧縮空気を噴射してマット4表面に密着させるなど、形状付与装置は吸引装置に限定されない。
【0089】
また、上記実施形態では、トップシート(被覆シート)5をマット4の単位長さよりも長い所定長さの状態でマット4上に供給するトップシート供給装置(被覆シート供給装置)20Aを、互いに噛み合う供給ガイドロール21と案内ロール23とから構成しているが、トップシート供給装置20Aは、トップシート5をマット4の単位長さよりも長い所定長さ状態でマット4上に供給できればよく、これに限らない。
【0090】
また、本装置では、マット本体2の表面に上コアラップシート(上ティッシュ)を装着させていないが、例えば、トップシート供給装置20Aによりトップシート5と共に上コアラップシートを凹凸状に保持してシート供給部24においてマット4表面に供給し、マット本体2とトップシート5との間に上コアラップシートが介装されるようにしてもよい。
【0091】
さらに、上記実施形態では、最もシンプルな例として、吸収性物品となる凹凸マット6の凹凸形状2cが、その幅方向(製造時に走行する走行方向と直交する方向)で均一(同一縦断面形状)なものを想定している。この場合、凹凸マット6の表面を正面視した場合に、凹部2ccが縞状に並ぶことになる。これに対して、凹凸マット6の凹凸形状2cが幅方向で変化するように形成してもよい。この場合、凹凸マット6の表面を正面視した場合に、例えば凹部2ccが格子状(グリッド状)に並ぶようにすることもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 下コアラップシート(下ティッシュ)
2 マット本体(吸収体本体)
2a マット基部
2b 追加マット材
2c 凹凸形状
2cc 凹部
2cv 凸部
3 上コアラップシート(上ティッシュ)
4 マット(吸収体)
5 トップシート(被覆シート又は表面シート)
6 凹凸マット
6a 凹凸形状6cの凹部
6b 凹凸形状6cの凸部
6c 凹凸マット6の凹凸形状(吸収性物品の凹凸形状)
10 吸収体形成装置
11 フォーミングドラム
11a フォーミングドラム1の外周
12 スカート
20 加工装置
20A トップシート供給装置(被覆シート供給装置)
20B シート吸引装置(形状付与装置)
20b サクションボックス
21P 供給ガイドロール21の外周部
21a 凹凸外形21cの凹部
21b 凹凸外形21cの凸部
21c 凹凸外形
21 供給ガイドロール
22 受けロール
23 案内ロール
23P 案内ロール23の外周部
23a 凹凸外形23cの凸部
23b 凹凸外形23cの凹部
23c 案内ロール23の凹凸外形
24 シート供給部
25 噛合部
30a,30b 送り出しロール
31〜33 コンベア(走行装置)
34 断裁ナイフ
CP 断裁パート
L 製品長さ
隣接する凹部間の距離(凹部間距離、単位長さ)
Lr 供給長さ
R 限界伸び率
RR 許容伸び率
図1
図2
図3
図4
図5