前記縮合型タンニンが、ケイヒタンニン、ダイオウタンニン、ミモザタンニンおよびケブラチョタンニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の消臭材。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の消臭材は、セルロースジアセテート繊維と縮合型タンニンとを含有するものである。本発明の消臭材は、縮合型タンニンとセルロースジアセテート繊維の相乗作用により、優れた消臭効果を発揮することができる。
【0010】
縮合型タンニンは、柿の実(柿渋)、未熟バナナ、ブドウの果皮や種子、栗皮、紅茶、イナゴマメやタマリンドやタラ等の豆類の種皮やサヤ、オークやケブラチョやミモザやシナモン等の樹皮や木質部、植物の根茎等に含まれ、圧搾したり、溶媒(例えば、熱水やアルコール)で抽出することにより、濃縮物として得ることができる。
【0011】
縮合型タンニンは、フラバン骨格に複数の水酸基が結合した構造を有する化合物であることが好ましく、下記式(1)に示すフラバン骨格の構造式中、3位と5位と7位の炭素および2位に結合したフェニル基の3’位と4’位と5’位の炭素から選ばれる少なくとも2つ以上に水酸基が結合していることが好ましい。特に、縮合型タンニンとしては、少なくとも7位と4’位の炭素に水酸基が結合したフラバン骨格を有する化合物であることが好ましく、天然物中にはこのような構造を有する縮合型タンニンが多く知られている。また、縮合型タンニンとして、フラバン骨格の3位の炭素に結合した水酸基がエステル化されているものも知られており、当該水酸基の水素原子がガロイル基(3,4,5−トリヒドロキシベンゾイル基)で置換された構造を有する化合物が知られている。縮合型タンニンは、フラバン骨格に結合した複数の水酸基によって、臭気の原因分子(臭気分子)と多点的に相互作用して、固定化できるものと考えられる。
【0013】
縮合型タンニンとしては、複数の水酸基が結合したフラバン骨格が、炭素−炭素結合を介して複数繋がった構造を有する化合物であることが好ましい。フラバン骨格が複数繋がった構造を有する縮合型タンニンを用いれば、臭気分子を包接固定できるようになると考えられ、消臭効果を高めることができる。例えば天然物中には、上記に示すフラバン骨格の4位の炭素と8位の炭素が結合箇所となって、フラバン骨格が複数繋がった構造を有する縮合型タンニンが知られている。
【0014】
フラバン骨格が複数繋がった構造を有する縮合型タンニンとしては、例えば、下記式(2)で示す構造単位を有するものを用いることが好ましい。なお、下記式(2)において、R
1〜R
3はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表し、R
4は水素原子またはガロイル基を表す。
【0016】
例えば、柿渋由来の縮合型タンニンであるカキタンニンは、上記式(2)において、R
1〜R
3が水酸基で、R
4がガロイル基である構造単位を有しているとされている。ケイヒ由来の縮合型タンニンであるケイヒタンニンは、上記式(2)において、R
1とR
2が水酸基で、R
3とR
4が水素原子である構造単位を有しているとされている。ダイオウ由来のタンニンであるダイオウタンニンは、上記式(2)において、R
1とR
2が水酸基で、R
3が水素原子で、R
4がガロイル基である構造単位を有しているとされている。樹皮や木質部由来のタンニンは、上記式(2)において、R
1とR
2が水素原子または水酸基で、R
3が水酸基で、R
4が水素原子またはガロイル基である構造単位を有するとされている。
【0017】
縮合型タンニンは、消臭効果を高める点から、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。このような重量平均分子量を持つ縮合型タンニンは、フラバン骨格や上記式(2)の構造単位が複数繋がった構造を有するものとなる。一方、縮合型タンニンの重量平均分子量の上限は特に限定されないが、溶解性を高めて取り扱い性を向上させる点から、当該重量平均分子量は500,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましく、150,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の値とする。
【0018】
本発明で用いることができる縮合型タンニンの種類や由来は特に限定されない。縮合型タンニンは、1種のみを用いてよく、2種以上を併用してもよい。縮合型タンニンは、例えば、柿渋由来のタンニンであるカキタンニンを除くものであってもよい。また、実施例に示されるように、ケイヒタンニン(ケイヒ由来のタンニン)、ダイオウタンニン(ダイオウ由来のタンニン)、ミモザタンニン(ミモザ由来のタンニン)、ケブラチョタンニン(ケブラチョ由来のタンニン)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いてもよい。縮合型タンニンは、原料となる植物の特定部位を圧搾したり、溶媒(例えば、熱水やアルコール)で抽出したものをそのまま用いてもよく、必要に応じて適宜、濃縮、希釈、ろ過、発酵、乾燥等の処理を施したものを用いてもよい。
【0019】
縮合型タンニンは、セルロースジアセテート繊維と組み合わせて用いる。セルロースアセテート繊維は、セルロースを酢酸エステル化することにより得られる半合成繊維であり、セルロースジアセテート繊維とセルローストリアセテート繊維の2種類が広く用いられている。本発明では、このうちセルロースジアセテート繊維を用いる。セルロースジアセテートは、セルロースの無水グルコースの繰り返し単位に含まれる3個の水酸基のうち、平均で2.1個〜2.7個の水酸基がアセチル化されていること、すなわち置換度が2.1〜2.7であることが好ましい。
【0020】
本発明者らが、様々な種類の繊維に縮合型タンニンを担持させて、その消臭効果を検討したところ、セルロースジアセテート繊維を用いた場合に特に優れた消臭効果を発揮することが明らかになった。例えば、合成繊維に縮合型タンニンを担持させた場合や、セルロースジアセテート繊維に近い構造を有するセルローストリアセテート繊維や単なるセルロース繊維(すなわち酢酸エステル化されていないセルロース繊維)に縮合型タンニンを担持させた場合と比較すると、セルロースジアセテート繊維に縮合型タンニンを担持させることにより高い消臭効果を得ることができる。セルロースジアセテート繊維を用いた場合に優れた消臭効果を示す理由は明らかではないが、縮合型タンニンがセルロースジアセテート繊維と接触することにより、それぞれの持つ水酸基の水素結合により縮合型タンニンがセルロースジアセテート繊維に固定化され、縮合型タンニンとセルロースジアセテート繊維とが協働して臭気分子を安定して包接固定できるようになると推測される。また、セルロースジアセテート繊維の有する水酸基やアセトキシ基により、臭気分子の捕集効果も発揮されるものと推察される。一方、単なるセルロース繊維に縮合型タンニンを担持させた場合は、セルロース繊維がアセトキシ基を有しないことにより、臭気分子の捕集能力が落ちたり、あるいは臭気分子の包接固定能力が低下するものと考えられる。
【0021】
セルロースジアセテート繊維は、少なくとも繊維表面にセルロースジアセテート成分が存在していればよく、例えば、セルロースアセテート成分が鞘となった芯鞘繊維であってもよい。また、芯鞘繊維以外の複合繊維で、少なくとも一部の繊維表面にセルロースアセテート成分が存在しているものであってもよい(例えば、サイド・バイ・サイド型複合繊維など)。なお後述するように、セルロースジアセテート繊維はトウ開繊繊維であることが好ましく、そのような繊維を容易に形成する点から、セルロースジアセテート繊維は、複合繊維のような断面に複数成分が存在する繊維でなく、単一成分からなる(すなわち繊維断面の全体がセルロースジアセテート成分からなる)ことが好ましい。
【0022】
セルロースジアセテート繊維は繊維集合体として用いることが好ましい。すなわち、消臭材はセルロースジアセテート繊維を含む繊維集合体を含有することが好ましい。セルロースジアセテート繊維を複数の繊維を含む集合体として用いることにより、繊維による網状構造が形成され、臭気分子の捕捉能力を高めることができる。
【0023】
セルロースジアセテート繊維は、トウ開繊繊維であることが好ましい。トウ開繊繊維は長繊維であるため、それから繊維集合体を形成した場合、繊維の脱落が起こりにくく、耐久性に優れたものとなる。また、トウ開繊繊維とすることにより、繊維集合体を嵩高く形成して空隙率を高めることができ、臭気分子の捕集能力を高めることができる。
【0024】
繊維集合体は、セルロースジアセテート繊維以外の繊維を含んでいてもよい。例えば、繊維集合体の成形性を高めるために熱融着性繊維を含ませたり、あるいは繊維集合体の親疎水性を調節したり、吸水性能を付与したりするために、任意の他の繊維を含ませてもよい。なお繊維集合体は、消臭効果を高める点から、セルロースジアセテート繊維の含有率が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。繊維集合体は、セルロースジアセテート繊維のみから構成されるものであってもよい。繊維集合体中のセルロースジアセテート繊維の含有率は、繊維集合体を構成する全繊維100質量%に対する割合を意味する。なお、繊維集合体中にセルロースジアセテート繊維が偏在している場合は、当該セルロースジアセテート繊維に縮合型タンニンが担持されるように形成されていれば、繊維集合体中のセルロースジアセテート繊維の含有率を30質量%未満とすることもできる。
【0025】
縮合型タンニンをセルロースジアセテート繊維に担持させる方法としては、縮合型タンニンやそれを含む液体をセルロースジアセテート繊維に散布したり、縮合型タンニンを含む液体にセルロースジアセテート繊維を浸漬する方法が挙げられる。縮合型タンニンは、天然抽出液(例えば、搾汁液や溶媒抽出液)として、セルロースジアセテート繊維に加えるようにしてもよい。縮合型タンニンを含む液体を加えたセルロースジアセテート繊維は、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。
【0026】
縮合型タンニンは、消臭効果を発揮させたいときに、セルロースジアセテート繊維に担持されるようにしてもよい。すなわち消臭材は、使用の際に縮合型タンニンがセルロースジアセテート繊維に担持されるように形成されていてもよい。本発明の消臭材は、実施例でも説明するように、尿由来の臭気を除去することができるが、消臭材が尿に触れることにより、縮合型タンニンがセルロースジアセテート繊維と接触するようにしてもよい。この場合、例えば、縮合型タンニンを、透液性シートを介してセルロースジアセテート繊維とは直接接触しないように配することにより、消臭材を構成することができる。そして、消臭材に尿が加えられることにより、縮合型タンニンが尿とともに透液性シートを透過してセルロースジアセテート繊維の表面に移行し、その結果、縮合型タンニンがセルロースジアセテート繊維に担持され、消臭効果が発現するようになる。
【0027】
縮合型タンニンとセルロースジアセテート繊維の配合量は、所望する消臭効果に応じて適宜調整すればよい。なお天然物中には、縮合型タンニンが単一の化合物として存在しているのではなく、様々な形態で存在しているため、縮合型タンニンそのものの配合量を求めることは実際には難しい。従って、縮合型タンニンの配合量は、天然抽出物の乾燥質量(天然抽出液の場合は蒸発残分質量)として定めることが簡便である。このように定める場合、縮合型タンニンの配合量は、セルロースジアセテート繊維100質量部に対して、0.3質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、また50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
【0028】
消臭材には、他の消臭物質が含まれていてもよい。また、芳香剤、抗菌剤、防腐剤、乾燥剤等の任意の副資材が含まれていてもよい。
【0029】
本発明の消臭材は、生物由来の臭気の除去に特に効果を発揮する。例えば、アンモニア系、硫化水素やメチルメルカプタン等の硫黄系、低級脂肪酸等の有機酸系、アルデヒド系等の臭気成分の除去が可能であり、臭気成分が複数ある場合でも消臭効果を発揮することができる。
【0030】
本発明の消臭材は、居室やトイレ等の居住空間に置いて用いたり、空気清浄機や空調機のフィルターに設置したり、生ゴミや食品残渣等の傍に置いたり、それらの廃棄容器(ゴミ袋やゴミ箱)の内部に設置して用いることができる。また、本発明の消臭材を、繊維製品(例えば、衣料、使い捨ておむつ、生理用品、使い捨て下着、家具、カーペット、壁材等)の一部として用いることもできる。特に、実施例に示した結果からも明らかなように、本発明の消臭材は尿等の排泄物由来の臭気を効果的に除去することができるため、使い捨ておむつや生理用品といった吸収性物品に好適に適用することができる。使い捨ておむつは、パンツタイプ、テープタイプ、パッドタイプ(尿パッド、軽失禁パッド)等、その形状は特に限定されない。
【0031】
吸収性物品は、その基本構成として、例えばトップシートとバックシートの間に吸収体が配されて構成される。トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、親水性不織布や孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、疎水性不織布、プラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの積層体等を用いることができる。なお、特別な使用態様の吸収性物品においては、バックシートは液透過性であってもよく、この場合、バックシートはトップシートで使用可能な材料から構成することができる。吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆ったり挟んだものを用いることができる。吸収体に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。
【0032】
本発明の消臭材は、吸収性物品の任意の構成部材に適用することができ、尿等の排泄物と直接接触する箇所のみならず、直接接触しない箇所に設置しても臭気を除去することができる。消臭材は、例えば、吸収体の少なくとも一部の構成材料として用いたり、トップシートと吸収体の間に配して用いたり、バックシートと吸収体の間に配して用いることができる。また、トップシートの肌面側(着用者側)に設置したり、バックシートの外面側に設置して用いることも可能である。本発明の消臭材を備えた吸収性物品は、排泄物由来の臭気を効果的に除去でき、吸収性物品を着用した際の不快感を低減することができる。また、吸収性物品を使用後に廃棄した際にも、臭気の発生を抑制できる。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0034】
(1)消臭試験1
(1−1)試験方法
ケイヒタンニン(ウチダ和漢薬社製、日本薬局方ケイヒ末)、ダイオウタンニン(ウチダ和漢薬社製、日本薬局方ダイオウ末)、ミモザタンニン(川村通商社製、ミモザタンニン剤)、ケブラチョタンニン(川村通商社製、ケブラチョタンニン剤)7.3gをそれぞれ92.7gの精製水に加え、各タンニン薬液を調製した。各タンニン薬液を2.5倍に希釈した希釈タンニン薬液0.6gを、セルロースジアセテートのトウ開繊繊維または開繊パルプ繊維の集合体0.55gに塗布し、室温で1時間乾燥させることにより、消臭材を作製した。また、タンニン薬液を加えないセルロースジアセテートのトウ開繊繊維の集合体のみの消臭材と開繊パルプ繊維の集合体のみの消臭材も別途作製した。このように作製した消臭材に混合尿(複数人の尿の混合物)45mLを加え、28cm×40cmのジッパーバッグに入れ、密封した。密封して3時間後にジッパーバッグ内の臭いをかいで、臭気確認試験を行った。
【0035】
(1−2)判定方法
5人の評価者それぞれが、下記の判定基準に基づき臭気強度を0.5刻みで判定し、その平均値を臭気強度とした。評価は、臭気強度が1.0以下を「○」とし、1.0超1.5以下を「△」とし、1.5超を「×」とした。
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいかがわかる弱いにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
【0036】
(1−3)結果
表1に消臭試験1の結果を示した。表1に示すように、縮合型タンニンをセルロースジアセテート繊維に塗布した消臭材(No.1〜4)は、タンニンの種類によらず、臭気強度が1.0以下となり、良好な消臭効果を示した。一方、タンニンを塗布せずにセルロースジアセテート繊維のみを用いた消臭材(No.5)や、セルロースジアセテート繊維の代わりに開繊パルプ繊維を用いた消臭材(No.6〜10)では、いずれも臭気強度が1.6以上となり、消臭効果が低下する結果となった。
【0037】
【表1】
【0038】
(2)消臭試験2
(2−1)試験方法
開繊パルプ繊維0.3gと高吸水性樹脂粉末0.2gとを混合した吸収体を作製した。別途、セルロースジアセテートのトウ開繊繊維の集合体0.05gに、上記の消臭試験1で調製した希釈ケイヒタンニン薬液、希釈ダイオウタンニン薬液、またはリリース科学社製のPancil(登録商標)FG−22(カキタンニン溶液)を2.5倍に希釈した希釈カキタンニン溶液を0.06g散布して、室温で乾燥させることにより、消臭材を作製した。このように作製した吸収体と消臭材を同一のバイアル瓶に入れて試験用サンプルを作製した(No.11〜13)。各バイアルに混合尿4.7mLを加えて密封し、3時間および6時間静置した後、バイアル瓶内のガスを採集し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にてメチルメルカプタンの存在の有無を調べた。
【0039】
また、タンニン薬液を散布しないセルロースジアセテート繊維の集合体を消臭材として用い、これを吸収体と同一のバイアル瓶に入れたサンプル(No.14)、セルロースジアセテート繊維の集合体を使用せず、吸収体に希釈ケイヒタンニン薬液、希釈ダイオウタンニン薬液または希釈カキタンニン薬液を0.06g散布して、室温で乾燥させたものをバイアル瓶に入れたサンプル(No.15〜17)、吸収体のみをバイアル瓶に入れたサンプル(No.18)をそれぞれ作製し、各サンプルに混合尿4.7mLを加えて密封し、3時間および6時間静置した後、バイアル瓶内のガスを採集し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)にてメチルメルカプタンの存在の有無を調べた。
【0040】
(2−2)結果
表2に消臭試験2の結果を示した。表2に示すように、縮合型タンニンをセルロースアセテート繊維に担持させたサンプル(No.11〜13)では3時間後および6時間後のいずれも、メチルメルカプタンの検出ピークは確認されなかった(ベースラインと区別が付かなかった)。一方、それ以外のサンプル(No.14〜18)では、3時間後と6時間後のいずれもメチルメルカプタンの検出ピークが確認された。縮合型タンニンとセルロースジアセテート繊維を併用することで、メチルメルカプタンの発生を完全に抑えられたことが分かる。
【0041】
【表2】