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特開2017-221553ゲームプログラムおよびゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-221553(P2017-221553A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/52 20140101AFI20171124BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20171124BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20171124BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20171124BHJP
   G06T 13/20 20110101ALI20171124BHJP
【FI】
   A63F13/52
   A63F13/54
   A63F13/45
   G10K15/04 302G
   G06T13/20 500
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-120508(P2016-120508)
(22)【出願日】2016年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 一樹
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050CA07
5B050EA24
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA10
(57)【要約】
【課題】 負荷の軽減処理の実効性を高めることができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供する。
【解決手段】 コンピュータを、仮想空間を生成する仮想空間生成手段、複数の効果音のうち、効果音出力部から外部へ出力する効果音を、ゲームの状況に応じて特定する効果音特定手段、外部へ出力する効果音の音量の総和を取得する効果音総量取得手段、効果音の音量の総和が所定の基準音量以上となるか否かを判定する音量判定手段、および効果音の音量の総和が所定の基準音量以上であると判定された場合に、ゲーム画面に表示された仮想空間内に描画される複数の描画要素の少なくとも一部の描画要素に関する処理負荷を予め定められた態様で軽減する負荷軽減手段、として機能させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置した仮想カメラで撮像した画像をゲーム画面として表示する表示部と、複数の効果音を記憶する記憶部と、前記複数の効果音のうち、前記ゲーム画面に表示された仮想空間内で発生する効果音を外部へ出力する効果音出力部と、コンピュータと、を備えたゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、
前記複数の効果音のうち、前記効果音出力部から外部へ出力する効果音を、ゲームの状況に応じて特定する効果音特定手段、
前記外部へ出力する効果音の音量の総和を取得する効果音総量取得手段、
前記効果音の音量の総和が所定の基準音量以上となるか否かを判定する音量判定手段、および
前記効果音の音量の総和が前記所定の基準音量以上であると判定された場合に、前記ゲーム画面に表示された前記仮想空間内に描画される複数の描画要素の少なくとも一部の描画要素に関する処理負荷を予め定められた態様で軽減する負荷軽減手段、として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記複数の描画要素のうち、処理負荷の軽減の対象となる2以上の描画要素には、それぞれ優先度が定められ、
前記音量判定手段は、前記所定の基準音量を複数有し、
前記負荷軽減手段は、前記効果音の音量の総和が前記複数の基準音量を1つ超えるごとに前記優先度の順に前記2以上の描画要素に関する処理負荷を段階的に軽減する、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記仮想空間における前記仮想カメラの位置に基づく所定の基準位置と処理負荷を軽減する対象となる各描画要素との間の第1距離を計測する第1距離計測手段として機能させ、
前記負荷軽減手段は、前記効果音の音量の総和が前記所定の基準音量以上であると判定された場合に、前記第1距離が所定の第1基準距離以上である前記描画要素に関する処理負荷を軽減する、請求項1または2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素の表示を削除または簡略化することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減する、請求項1から3の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素のモーションを削除または簡略化することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減する、請求項1から4の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素に対する経路探索を停止することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減する、請求項1から5の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
前記仮想空間における音の聴取位置と、各効果音の発生位置との間の第2距離を計測する第2距離計測手段として機能させ、
前記効果音総量取得手段は、前記複数の効果音のそれぞれの音量を個別に取得し、当該音量を足し合わせることで前記効果音の音量の総和を取得し、前記第2距離が所定の第2基準距離以上である効果音の音量の取得間隔を前記第2距離が前記所定の第2基準距離未満である効果音の音量の取得間隔より長くする、請求項1から6の何れかに記載のゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクションゲームやロールプレイングゲームなど、ユーザの操作に応じてプレイヤキャラクタを仮想のゲーム空間内で動作させるゲームがある。このようなゲームにおいては、プレイヤキャラクタや敵キャラクタなどのオブジェクトが動作する様子をゲーム画面上に表示するために、コンピュータが、オブジェクトの動作に応じて内容が刻々と変化する各フレーム(画像)を、所定のフレームレートで生成している。しかしながら、例えばフレームに含まれるオブジェクトの動きが多くてポリゴンデータの計算量が増加したり、これに加えてエフェクト処理(例えば、攻撃の効果を表現するために、爆風や火花等を表すパーティクルのデータを生成する処理)を実行したりすることで、コンピュータに過大な負荷が生じることがある。このようにコンピュータの負荷が過大になると、所望のフレームレートでフレームを生成することができず、一又は複数のフレームをディスプレイに表示できなかったり、表示速度が遅くなったりするといった現象(いわゆる「処理落ち」)が発生する可能性がある。
【0003】
このようなゲーム画面の描画のための処理負荷を低減するために、例えば特許文献1においては、フレームの生成に要する負荷を検出し、検出結果に応じて、所定のオブジェクトの描画についての更新頻度を低くする構成が提案されている。特許文献1におけるフレームの生成に要する負荷の検出は、オブジェクトデータの更新開始から更新終了までに要した時間に基づき、フレームレートが所定値以下であるか否かを判定することが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−186834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような構成は、実際にフレームレートが低下していることを検出してから処理負荷を軽減する処理を開始するものであり、ある程度実際に処理負荷が大きくなってからでないと処理負荷の軽減処理を実行できない。このため、負荷の軽減処理の開始が間に合わず、場合によっては処理落ちが依然として生じる恐れがある。
【0006】
本発明は、負荷の軽減処理の実効性を高めることができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係るゲームプログラムは、仮想空間に配置した仮想カメラで撮像した画像をゲーム画面として表示する表示部と、複数の効果音を記憶する記憶部と、前記複数の効果音のうち、前記ゲーム画面に表示された仮想空間内で発生する効果音を外部へ出力する効果音出力部と、コンピュータと、を備えたゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、前記複数の効果音のうち、前記効果音出力部から外部へ出力する効果音を、ゲームの状況に応じて特定する効果音特定手段、前記外部へ出力する効果音の音量の総和を取得する効果音総量取得手段、前記効果音の音量の総和が所定の基準音量以上となるか否かを判定する音量判定手段、および前記効果音の音量の総和が前記所定の基準音量以上であると判定された場合に、前記ゲーム画面に表示された前記仮想空間内に描画される複数の描画要素の少なくとも一部の描画要素に関する処理負荷を予め定められた態様で軽減する負荷軽減手段、として機能させる。
【0008】
前記複数の描画要素のうち、処理負荷の軽減の対象となる2以上の描画要素には、それぞれ優先度が定められ、前記音量判定手段は、前記所定の基準音量を複数有し、前記負荷軽減手段は、前記効果音の音量の総和が前記複数の基準音量を1つ超えるごとに前記優先度の順に前記2以上の描画要素に関する処理負荷を段階的に軽減してもよい。
【0009】
前記コンピュータを、前記仮想空間における前記仮想カメラの位置に基づく所定の基準位置と処理負荷を軽減する対象となる各描画要素との間の第1距離を計測する第1距離計測手段として機能させ、前記負荷軽減手段は、前記効果音の音量の総和が前記所定の基準音量以上であると判定された場合に、前記第1距離が所定の第1基準距離以上である前記描画要素に関する処理負荷を軽減してもよい。
【0010】
前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素の表示を削除または簡略化することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減してもよい。また、前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素のモーションを削除または簡略化することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減してもよい。また、前記負荷軽減手段は、対象となる描画要素に対する経路探索を停止することにより前記描画要素に関する処理負荷を軽減してもよい。
【0011】
前記コンピュータを、前記仮想空間における音の聴取位置と、各効果音の発生位置との間の第2距離を計測する第2距離計測手段として機能させ、前記効果音総量取得手段は、前記複数の効果音のそれぞれの音量を個別に取得し、当該音量を足し合わせることで前記効果音の音量の総和を取得し、前記第2距離が所定の第2基準距離以上である効果音の音量の取得間隔を前記第2距離が前記所定の第2基準距離未満である効果音の音量の取得間隔より長くしてもよい。
【0012】
また、本発明の他の態様に係るゲームシステムは、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、負荷の軽減処理の実効性を高めることができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態におけるゲーム装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図1に示すゲーム装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態におけるゲーム音のデータ構造例を示す図である。
図4】本実施の形態におけるゲーム中の仮想空間の一例を示す平面図である。
図5】本実施の形態における発声モーションによるキャラクタの口元の変化態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
[ゲーム概要]
以下の説明では、家庭用ゲーム装置において実行されるアクションゲームを例として説明する。本実施の形態に係るアクションゲームは、仮想のゲーム空間内で行動するプレイヤキャラクタを操作して、敵キャラクタを全滅させる、またはゲーム空間内の所定の位置に到達する等といった所定の目標を達成するために、敵キャラクタと戦うことにより進行する。
【0017】
本ゲームにおいては、ゲーム画面として、ユーザが操作可能なプレイヤキャラクタのゲーム空間上における位置周辺の画像が表示される。プレイヤキャラクタ自体は表示されてもよいし、表示されなくてもよい。ユーザによるプレイヤキャラクタの操作が可能となるゲーム本編の進行中においては、後述するように、所定の背景音楽、複数の効果音、ユーザインターフェイスを含むゲーム音が再生される。
【0018】
[ハードウェア構成]
上述したゲームを実現するゲーム装置の構成について説明する。本実施の形態におけるゲームシステムは、下記ゲーム装置2と、当該ゲーム装置2に接続されるモニタ(表示部)19、スピーカ22およびコントローラ(操作部)24などの外部装置とで構成され、下記ディスク型記憶媒体30から読み込んだゲームプログラム30aおよびゲームデータ30bに基づいてゲームを行い得るものである。ただし、以下では、説明を簡単にするため、単にゲーム装置2と称する場合がある。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるゲーム装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、ゲーム装置2は、他のゲーム装置2およびサーバ装置3との間で、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。このゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介してディスクドライブ12、メモリカードスロット13、プログラム記憶部を成すHDD14、ROM15およびRAM16が接続されている。
【0020】
また、CPU10には、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、無線通信制御部23およびネットワークインタフェース25が接続されている。
【0021】
このうちグラフィック処理部17は、CPU10の指示にしたがってゲーム空間および各キャラクタなどを含むゲーム画像を描画する。また、グラフィック処理部17にはビデオ変換部18を介して外部のモニタ19が接続されており、グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像はビデオ変換部18において動画形式に変換され、モニタ19にて表示されるようになっている。
【0022】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部のスピーカ22が接続されている。したがって、オーディオ合成部20にて再生および合成されたゲーム音声は、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、さらにスピーカ22から外部へ出力されるようになっている。このスピーカ22が後述する所定のゲーム音を外部へ音声出力する楽曲出力部となる。
【0023】
さらに、オーディオ合成部20は、ゲーム装置2に接続されるヘッドセットやコントローラ24等に設けられたマイク26から入力されるユーザの音声等がオーディオ変換部21にてデジタル形式にコードされたデータを取得可能である。オーディオ合成部20は、取得したデータをCPU10に入力情報として伝えることができる。
【0024】
無線通信制御部23は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲーム装置2に付属するコントローラ24との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。ユーザは、このコントローラ24に設けられたボタン等の操作子を操作することにより、ゲーム装置2へ信号を入力することができ、モニタ19に表示されるプレイヤキャラクタの動作を制御可能になっている。また、ネットワークインタフェース25は、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するものであり、他のゲーム装置2またはサーバ装置3との間で通信可能である。そして、ゲーム装置2を、通信ネットワークNWを介して他のゲーム装置2と接続し、互いにデータを送受信することにより、同一のゲーム空間内で同期して複数のプレイヤキャラクタを表示させることができる。これにより、本ゲームにおいては、複数のユーザに対応する複数のプレイヤキャラクタが協同して敵キャラクタと戦う、または複数のユーザ同士が敵対して対戦する、マルチプレイが可能である。
【0025】
[ゲーム装置の機能的構成]
図2は、図1に示すゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。図1に示すようにゲーム装置2は、CPU10、HDD14、ROM15、RAM16、グラフィック処理部17、ビデオ変換部18、オーディオ合成部20、オーディオ変換部21、ネットワークインタフェース25などを含む制御部4を備えたコンピュータとして動作する。そして、図2に示すように、ゲーム装置2の制御部4は、本発明のゲームプログラム30aを実行することで、仮想空間生成手段41、効果音特定手段42、効果音総量取得手段43、音量判定手段44、負荷軽減手段45、第1距離計測手段46、第2距離計測手段47、オブジェクト制御手段48、ゲーム音再生手段49などの機能を発揮する。
【0026】
このうち、仮想空間生成手段41は、ユーザが操作するプレイヤキャラクタが行動する仮想空間(ゲーム空間)を生成する。仮想空間生成手段41は、キャラクタが動作する仮想のゲーム空間および当該ゲーム空間内で動作する各キャラクタを生成し、モニタ19に表示させる。例えば、仮想空間生成手段41は、プレイヤキャラクタの移動に伴って、ゲームデータ30bに含まれるオブジェクトおよびテクスチャなどのデータを読み出し、三次元の仮想ゲーム空間を生成する。さらに、仮想空間生成手段41は、ゲーム装置2のモニタ19にゲーム空間を表示するために、生成したゲーム空間に配置した所定の仮想カメラで撮影したときの二次元画像を生成し、モニタ19にゲーム画面として表示する。
【0027】
オブジェクト制御手段48は、少なくとも当該コンピュータを操作するユーザに対応するキャラクタ(プレイヤキャラクタ)の動作を、当該ユーザによるコントローラ24の操作入力またはゲームの進行状況に応じて制御する。プレイヤキャラクタは、コントローラ24を介して入力されるユーザの少なくとも1つの特定操作に基づいて、当該特定操作に定められた所定の行動を行う。オブジェクト制御手段48は、ユーザによるコントローラ24への入力操作に基づいて、特定操作が行われたと判断した場合に、プレイヤキャラクタに、対応する所定の行動を実行させる。さらに、オブジェクト制御手段48は、ゲーム空間にて行動するノンプレイヤキャラクタその他の移動オブジェクトの動作等を制御する。
【0028】
効果音特定手段42は、ゲームデータ30bとしてHDD14等の記憶部に予め記憶されている複数の効果音のうち、ゲーム画面に表示された仮想空間内で発生する少なくとも1つの効果音をスピーカ22から外部へ出力する効果音としてゲーム状況に応じて特定する。例えば、効果音特定手段42は、プレイヤキャラクタが銃を発射するユーザからの操作を受けて、対応する銃の発射音のデータを記憶部から読み出し、再生すべき効果音として特定する。ゲーム音再生手段49は、効果音特定手段42で特定された再生すべき効果音をスピーカ22から出力させる。この際、ゲーム音再生手段49は、必要に応じて背景音楽およびユーザインターフェイス音(後述)も再生する。すなわち、ゲーム音再生手段49は、効果音、背景音楽、およびユーザサーフェイス音を含み得るゲーム音を再生し、スピーカ22から出力する。
【0029】
効果音総量取得手段43は、効果音特定手段42で特定され、スピーカ22から出力される効果音の音量の総和を取得する。例えば、各効果音の音量の実効値が予められており、効果音総量取得手段43は、出力すべき効果音のすべての音量の実効値を足し合わせることにより、効果音の音量の総和を算出する。音量判定手段44は、効果音の音量の総和が所定の基準音量以上となるか否かを判定する。
【0030】
負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和が所定の基準音量以上であると判定された場合に、ゲーム画面に表示された仮想空間内に描画される複数の描画要素の少なくとも一部の描画要素に関する処理負荷を予め定められた態様で軽減する負荷軽減処理を行う。
【0031】
[ゲーム音のデータ構造]
図3は、本実施の形態におけるゲーム音のデータ構造例を示す図である。図3に示す例では、複数の効果音のデータDEFとして、敵キャラクタに関する音データDEm(m=1,2,…)、プレイヤキャラクタに関する音データDPL、武器に関する音データDWn(n=1,2,…)、環境音データDが含まれる。敵キャラクタおよびプレイヤキャラクタに関する音データDPL,DEmには、それぞれ、キャラクタの声(話す声、叫び声、鳴き声等)に関する発声(ボイス)データDEmV,DPLVと、キャラクタの動き(足音等)に関する動作音(動き)データDEmM,DPLMとが含まれる。発声データおよび/または動作音データが複数存在してもよい。敵キャラクタおよびプレイヤキャラクタが複数存在する場合には、これらの音データがキャラクタごとに設けられてもよい。
【0032】
武器に関する音データDWnには、例えば銃であれば発射音のデータDW11、リロード音のデータDW12、爆発音のデータDW13等、一の武器に対して一または複数の音データが含まれ得る。複数の武器が存在する場合には、武器ごとに音データが設けられてもよい。環境音に関する音データDには、仮想空間において全体的に発生している広域の環境音データ(例えば、雨音、小鳥のさえずり等)DA1と、仮想空間において特定の場所で局所的に発生する狭域の環境音データ(川のせせらぎの音、たき火の音、滝の音等)DA2とが含まれる。
【0033】
これらの各効果音のデータが効果音のカテゴリに対応付けられて記憶されている。これとは別に、ユーザインターフェイス音に関する音データDUIが記憶されている。ユーザインターフェイス音は、ゲームシステム上の動作音であり、例えば武器選択変更時の確認音、道具使用時の確認音等、仮想空間内で発生している音とは認識されない音が含まれる。また、効果音とは別のカテゴリとして背景音楽のデータDが記憶されている。効果音、ユーザインターフェイス音および背景音楽の組み合わせがマスタ音のデータDとして構成されている。各音データを再生するか否かが各カテゴリの音データごとに切り替えられることにより、ゲーム進行に応じたマスタ音データDが生成され、当該マスタ音がスピーカ22から外部へ出力される。
【0034】
このようなデータ構造において、効果音総量取得手段43は、音データごとまたはカテゴリごとに音量の実効値を取得する。音量の実効値の取得は、例えば公知のメータプラグインプログラムをゲームプログラムに組み込むことで実現される。図3には、マスタ音の音量SV、効果音の音量の総和SVEF、ユーザインターフェイス音の音量SVUI、背景音楽の音量SV、各キャラクタの音量SVEm,SVPL、各武器の音量SVWn、環境音の音量SVがそれぞれ取得可能となっている。効果音総量取得手段43は、このうち、効果音の音量の総和SVEFを監視し、音量判定手段44による音量判定に利用する。なお、効果音総量取得手段43は、さらに細かい音データごと(例えばプレイヤキャラクタの発声データDPLVおよび動作音データDPLMのそれぞれ)の音量を取得可能としてもよい。
【0035】
[負荷軽減処理]
図4は、本実施の形態におけるゲーム中の仮想空間の一例を示す平面図である。図4に示すように、仮想空間Sには、プレイヤキャラクタPLが配置されるとともに、敵キャラクタE1〜E3が配置されている。プレイヤキャラクタPLはユーザのコントローラ24への操作に基づいて、歩いたり、所持する武器W1を使用する等の特定の行動を行う。敵キャラクタE1〜E3は、オブジェクト制御手段48によりその動作が制御され、プレイヤキャラクタPLに向かって移動する、武器W2を用いてプレイヤキャラクタPLに対して攻撃を行う、叫ぶ等の特定の行動を行う。また、図4の例において、仮想空間Sの所定の位置には、例えば滝、川のせせらぎ、たき火等の音を発生させる固定オブジェクトA2が配置されている。
【0036】
仮想空間S内においてプレイヤキャラクタPL近傍の所定位置には、仮想空間Sを撮像するための仮想カメラVCが配置されており、ゲーム装置2のモニタ19には、仮想カメラVCにより撮像された仮想空間Sの二次元画像がゲーム画面として表示される。そして、本ゲームは、ユーザがゲーム画面を見ながら、プレイヤキャラクタPLを操作して敵キャラクタE1〜E3と戦闘を行い、これを討伐するアクションゲームになっている。
【0037】
プレイヤキャラクタPLと仮想カメラVCとは位置関係が互いに関連付けられている。具体的には、仮想カメラVCは、プレイヤキャラクタPLに対して所定の距離だけ離れた状態を保持しており、平面視したときの視野は、仮想カメラVCとプレイヤキャラクタPLとを結ぶ線を中心軸として、左右に所定の角度を有するように設定されている。仮想カメラVCの視野内の仮想空間Sがゲーム画面に表示される。なお、仮想カメラVCは、通常、プレイヤキャラクタPLに所定距離離れた状態でプレイヤキャラクタPLの方向に視野の中心軸が来るように制御される。仮想カメラVCは、自動的にまたはコントローラ24への操作に応じてプレイヤキャラクタPLを中心に仮想カメラVCがプレイヤキャラクタPLへ向いた状態で三次元的に旋回可能に制御される。すなわち、仮想カメラVCの位置を水平方向だけでなく高さ方向にも変更可能に制御される。なお、コントローラ24への操作に応じて仮想カメラVCの位置をプレイヤキャラクタPLに対して変化させる(仮想カメラVCとプレイヤキャラクタPLとの相対距離を変化させる)ことも可能である。
【0038】
また、仮想空間Sに配置されるオブジェクトの少なくとも一部は、音の発生源として設定されている。例えば、音の発生源(に設定されるオブジェクト)の位置が仮想カメラVCの視野内に位置した場合に、音の発生源から音が発生される。なお、これに限られず、音の発生源から音を発生させる領域は、仮想カメラVCの視野より広くてもよいし、狭くてもよいが、当該領域は、音の聴取位置LCに基づいて定められる。また、音の発生源は、必ずしもオブジェクトに対応付けて設定されていなくてもよい。例えば、仮想空間Sの所定の位置座標に音の発生源が設定されてもよい。仮想空間Sに配置される音の発生源から発生した音は、仮想空間Sにおいて予め定められる音の聴取位置LPにおいて検出され、ゲーム装置2のスピーカ22から出力される。本実施の形態において、音の聴取位置LPは、仮想カメラVCの位置に一致しているが、これに限られない。
【0039】
各キャラクタPL,E1〜E3、武器W1,W2、固定オブジェクトA2は、常時または所定の動作に基づいて音を発生させる、音の発生源として設定される。例えば、プレイヤキャラクタPLが歩くとプレイヤキャラクタPLの位置において足音に関する音データDPLMが再生される。また、プレイヤキャラクタPLが銃である武器W1を発射すると武器W1の位置において武器W1の発射音に関する音データDW11が再生される。また、武器W1から発射された弾が敵キャラクタE1等に着弾すると着弾位置において着弾音(爆発音等)に関する音データDW13が再生される。また、プレイヤキャラクタPLが武器W1のリロード操作を行うと、武器W1の位置においてリロード音に関する音データDW12が再生される。
【0040】
また、各敵キャラクタE1〜E3の移動時に移動に関する音データDE1M〜DE3Mが再生される。また、敵キャラクタE1〜E3が被弾時等において叫び声を上げる場合に、敵キャラクタE1〜E3において音データDE1V〜DE3Vが再生される。また、敵キャラクタE1は、武器W2を所持し、武器W1と同様に所定の動作に応じて武器W1の位置または着弾位置において音データDW21〜DW23が再生される。図4の例では、敵キャラクタE1がメインのキャラクタ(例えばステージクリアの条件となる対象等)であり、その他の敵キャラクタE2,E3はサブのキャラクタ(例えばステージクリアの条件とならず、無限に発生するようなモブキャラクタ等)である。また、常時または所定のタイミングにおいて固定オブジェクトA2に対応する音データDA2が固定オブジェクトA2の位置において再生される。
【0041】
仮想空間S内で発生する音の音量は個々に設定されているため、必ずしも厳密ではないが、一般的な傾向として、音の聴取位置LPで聴取される効果音の音量の総和SVEFは、音の発生源として設定されるオブジェクトが仮想カメラVCの視野内に多く配置されているほど大きくなり易い。言い換えると、音の聴取位置LPで聴取される効果音の音量総和SVEFが大きいほど、仮想カメラVCの視野内に配置されるオブジェクトの数は多くなり、キャラクタ等の動きのあるオブジェクトが動いている可能性が高く、処理負荷が高くなっている可能性が高い。
【0042】
そこで、本実施の形態において、音量判定手段44は、効果音の音量の総和SVEFが所定のしきい値以上となるか否かを判定する。音量判定手段44が判定に用いる効果音の音量の総和SVEFは、音の聴取位置LPに基づいて定められる音の発生領域内で発生した効果音の総和である。本実施の形態において、効果音総量取得手段43は、複数の効果音のそれぞれの音量を個別に取得し、当該音量を足し合わせることで効果音の音量の総和SVEFを取得する。音の発生源の位置と、音の聴取位置LPとの距離に応じて音量の減衰が生じる態様においては、減衰後の効果音の音量の総和(音の聴取位置LPでの各音の音量の総和)を用いてもよいし、減衰前の効果音の音量の総和(各音の発生源での音量の総和)を用いてもよい。
【0043】
効果音総量取得手段43は、所定の取得間隔ごと(例えば3フレームごと)に各効果音の音量を取得する。取得された各効果音の音量は、一時記憶され、新たに効果音の音量が取得されるたびに、更新記憶される。
【0044】
そして、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和SVEFが所定の基準音量以上であると判定された場合に、ゲーム画面に表示された仮想空間S内に描画される複数の描画要素の少なくとも一部の描画要素に関する処理負荷を予め定められた態様で軽減する。このように、本実施の形態によれば、ゲーム画面に表示された仮想空間S内で発生する効果音の多寡により、ゲーム画面上の処理負荷の軽重が推定される。したがって、実際にフレームレートが低下しているか否かを検出する前から処理負荷の軽減処理を開始することができ、処理負荷の軽減処理の実効性を高めることができる。この際、メインの敵キャラクタE1については負荷をなるべく軽減せず、サブのキャラクタE2,E3または背景の一部を構成するような固定オブジェクトA2の負荷を軽減させることにより、ゲームをプレイするユーザが画質の低下またはメインの敵キャラクタE1の動きの変化等を感じ難くすることができる。
【0045】
本実施の形態において、負荷軽減手段45は、例えば、敵キャラクタE3および/または固定オブジェクトA2の表示を削除または簡略化することにより処理負荷を軽減する。表示の簡略化には、例えばポリゴン数を減らす、テクスチャ等の一部を削除する、解像度を下げる等が含まれる。
【0046】
また、例えば、負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3のモーションを削除または簡略化することにより当該敵キャラクタE3に関する処理負荷を軽減する。モーションの簡略化は、例えば、モーションを構成するフレーム数の削減(間引き)、モーション自体の変更等が含まれる。
【0047】
モーション自体を削除してもよい。例えば敵キャラクタE3の発声モーションを削除してもよい。図5は、本実施の形態における発声モーションによるキャラクタの口元の変化態様を示す図である。本実施の形態において、オブジェクト制御手段48は、対応する敵キャラクタE3の発声データDE3Vの音量SVE3Vを取得し、当該音量SVE3Vに応じて敵キャラクタE3の口の開口率を変化させるようなモーションを実行する。これにより、図5の上段に示すように、発声データの音量SVE3Vが0%のとき(発声していないとき)、キャラクタE3は、口を閉じた状態(開口率0%)となり、図5の下段に示すように、発声データの音量SVE3Vが100%のとき(最大音量のとき)、キャラクタE3は、口を最大限明けた状態(開口率100%)となる。これらの中間の状態(例えば図5の中段に示すような、発声データの音量SVE3Vが50%である状態)においてキャラクタE3は、音量SVE3Vに応じた開口率で口を開く。なお、発声データの音量SVE3Vにおける割合は、発声していないときを0%としなくてもよいし、最大音量のときを100%としなくてもよい。すなわち、発声データの音量SVE3Vの割合とキャラクタE3の口の開口率とが、一致していなくてもよい。
【0048】
従来から、キャラクタの口を発声するボイスに合わせて動かす態様が存在する。例えば、従来から知られている態様としては、先にキャラクタのモーションを作製しておき、それに合わせるようにボイスを同期させる態様、または、実際の映像を取り込むモーションキャプチャが存在する。しかし、キャラクタのモーションに合わせてボイスを同期させる態様は、口の開きとボイスとの一致度を高めるのが難しい、予め細かくキャラクタの口の開口度を変化させておくことが難しい等、ボイスの発声に応じた自然なモーションの実現が難しかった。また、モーションキャプチャを行うと処理負荷が大きくなる、予め決まったボイスしか再生できない等の問題があった。
【0049】
これに対し、本実施の形態における発声モーションでは、キャラクタE3が発声するボイスの音量SVE3Vに応じてキャラクタE3の口の開口度が変化する。これにより、モーションキャプチャを用いることなく、自然な発声に近い口の開きを再現することができる。
【0050】
このように、本実施の形態における発声モーションは、従来より負荷が低いものではあるが、ゲーム画面全体として処理負荷が大きくなった場合に、これを軽減する一態様として、当該発声モーションを削除する(口を動かさないようにする)こともできる。また、キャラクタE3のボイスの発声をランダムで再生させる場合にも、当該ボイスの発声によく追従したモーションとすることができる。
【0051】
また、例えば、負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3の行動に基準となる経路探索を停止することにより、当該敵キャラクタE3に関する処理負荷を軽減する。負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3の経路探索を停止した場合、その代わりに、敵キャラクタE3を所定の方向に直線移動させる、または、その場で停止させ、敵キャラクタE3の位置を基準とする所定の範囲内にプレイヤキャラクタPLが位置した場合に、当該プレイヤキャラクタPLに対して戦闘行動を行う等、経路探索に基づく行動より処理負荷の軽い行動を実行してもよい。
【0052】
さらに、負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3だけでなく敵キャラクタE2も負荷軽減処理の対象としてもよい。このように、複数の描画要素のうち、処理負荷の軽減の対象となる2以上の描画要素には、それぞれ優先度が定められてもよい。この場合、音量判定手段44は、負荷軽減処理の基準となる所定の基準音量を複数有し、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和が複数の基準音量を1つ超えるごとに優先度の順に2以上の描画要素に関する処理負荷を段階的に軽減してもよい。
【0053】
例えば、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1を超えた場合、負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3に関する処理負荷を軽減し、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1より大きい第2の基準音量SV2を超えた場合、負荷軽減手段45は、敵キャラクタE3に加えて敵キャラクタE2に関する処理負荷を軽減する処理を行う。この場合、負荷軽減処理の対象となる敵キャラクタとして敵キャラクタE2およびE3が含まれ、その優先度に関し、敵キャラクタE3が敵キャラクタE2より高くなるように設定される。なお、複数の描画要素を負荷軽減処理の対象とすることは、複数のオブジェクト(キャラクタ等)を対象とすることに限られず、例えば一のオブジェクトにおける複数の描画要素を段階的に軽減することも含まれる。例えば、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1を超えた場合、敵キャラクタE3のモーションが簡略化され、効果音の音量の総和SVEFが第2の基準音量SV2を超えた場合、敵キャラクタE3の経路探索が停止されてもよい。この場合、負荷軽減処理の対象となる敵キャラクタE3の描画要素として、モーションの簡略化および経路探索の停止が含まれ、その優先度に関し、モーションの簡略化処理が経路探索の停止処理より高く設定される。
【0054】
また、第1距離計測手段46により計測された、仮想空間Sにおける仮想カメラVCの位置に基づく所定の基準位置と処理負荷を軽減する対象となる各描画要素との間の第1距離L1に基づいて、負荷軽減処理を行う対象を決定してもよい。例えば、所定の基準位置は、仮想カメラVCの位置(本実施の形態では音の聴取位置LPに一致する)に設定される。これに代えて、所定の基準位置は、仮想カメラVCと一定の距離を維持するプレイヤキャラクタPLの位置に設定されてもよい。そして、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和SVEFが所定の基準音量以上であると判定された場合に、負荷軽減処理の対象となる描画要素のうち、第1距離L1が所定の第1基準距離LB1以上である描画要素に関する処理負荷を軽減する。
【0055】
例えば、効果音の音量の総和SVEFが所定の基準音量を超えた場合、負荷軽減手段45は、第1距離L1が第1基準距離LB1以上である敵キャラクタE2に関する処理負荷を軽減する。あるいは、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1を超えた場合、第1距離L1が第1基準距離LB1以上である敵キャラクタE2に関する処理負荷を軽減し、効果音の音量の総和SVEFが第2の基準音量SV2(>SV1)を超えた場合、第1距離L1に拘わらず、すべての敵キャラクタE2に関する処理負荷を軽減してもよい。あるいは、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1を超えた場合、第1距離L1に拘わらず敵キャラクタE3に関する処理負荷を軽減し、効果音の音量の総和SVEFが第2の基準音量SV2(>SV1)を超えた場合、第1距離L1が第1基準距離LB1以上である敵キャラクタE2に関する処理負荷を軽減してもよい。また、負荷軽減手段45は、効果音の音量の総和SVEFが第1の基準音量SV1を超えた場合、第1距離L1が第1基準距離LB1以上である敵キャラクタE2,E3に関する処理負荷を軽減し、効果音の音量の総和VEFが第2の基準音量SV2(>SV1)を超えた場合、第1距離L1が第1基準距離より短い所定の基準距離(第3基準距離LB3)以上である敵キャラクタE2,E3に関する処理負荷を軽減してもよい。
【0056】
このように、所定の基準位置と処理負荷を軽減する対象となる各描画要素の位置との間の第1距離L1以上の描画要素に対して負荷軽減処理を行うことにより、プレイヤキャラクタPLから離れた位置に位置するオブジェクト、すなわち、ゲーム画面上で小さく描画されるオブジェクトに対して処理負荷を軽減することにより、処理負荷の軽減を効率的に行いつつ、負荷が軽減されることによるゲーム画面上の変化をユーザに感じ難くさせることができる。
【0057】
本実施の形態において、効果音総量取得手段43は、音の聴取位置LPと音の発生位置(音の発生源の位置)との間の第2距離L2に基づいて各効果音の音量を取得する取得間隔を変化させてもよい。この場合、第2距離計測手段47は、仮想空間Sにおける音の聴取位置LPと、各効果音の発生位置との間の第2距離L2を計測する。本実施の形態において、第1距離L1の基準となる所定の基準位置が音の聴取位置LPに設定されているため、第2距離L2は、上記第1距離L1と一致する。そして、効果音総量取得手段43は、第2距離L2が所定の第2基準距離LB2以上である効果音の音量の取得間隔を第2距離L2が所定の第2基準距離LB2未満である効果音の音量の取得間隔より長くする。図4の例において、第2基準距離LB2は、第1基準距離LB1と同じ距離に設定されている。例えば、効果音総量取得手段43は、第2距離L2が第2基準距離LB2未満である音の発生源に対しては3フレームごとに当該音の発生源から発生する効果音の音量を取得し、第2距離L2が第2基準距離LB2以上である音の発生源に対しては3フレームより長い間隔、例えば、1秒(例えば30フレーム)ごとに当該音の発生源から発生する効果音の音量を取得する。
【0058】
これによれば、プレイヤキャラクタPLから所定の距離(第2基準距離LB2)以上離れた位置で再生される効果音の取得、更新頻度が下がるため、効果音の音量取得処理による負荷を低減することができる。プレイヤキャラクタPLから所定の距離以上離れた位置で発生する音はあまり重要でない場合が多く、また、音の発生源の位置と音の聴取位置LPとの距離に応じて音量の減衰が生じる態様においては、再生される効果音の音量が小さくなるため、プレイヤキャラクタPLから所定の距離(第2基準距離LB2)以上離れた位置で再生される効果音の取得、更新頻度を下げても、ゲームをプレイするユーザには、違和感が生じ難い。したがって、ゲーム上の違和感を低く抑えつつ処理負荷を軽減することができる。
【0059】
なお、効果音総量取得手段43は、音の聴取位置LPと音の発生位置との間に障害物(壁等の効果音の音量に影響を与えるオブジェクト)が存在するか否かの確認間隔を第2距離L2に応じて変化させてもよい。
【0060】
本実施の形態において、図4に示す敵キャラクタE1のような、特定の敵キャラクタ(ボス敵等)と遭遇した際には、ゲーム音再生手段49は、背景音楽を変更する。この場合、ゲーム音再生手段49は、背景音楽の一部の音量または背景音楽のテンポをプレイヤキャラクタPLの位置に基づく所定の基準位置と特定の敵キャラクタE1の位置との間の第3距離L3に応じて変更してもよい。
【0061】
例えば、特定の敵キャラクタE1の遭遇時に再生される背景音楽が、時間軸に並行する複数の音波形が組み合わせられることにより構成されている。すなわち、当該背景音楽は、同時に再生される複数のトラックを有している。ゲーム音再生手段49は、当該背景音楽を構成する複数のトラックのうちの少なくとも1つの音量を第3距離L3に応じて変更する。
【0062】
例えば、複数のトラックは、メロディトラックと、リズムトラックとを含み、ゲーム音再生手段49は、リズムトラックの音量を、第3距離L3が短くなるほど(すなわち、プレイヤキャラクタPLと特定の敵キャラクタE1との距離が近付くほど)大きくなるようにする。これにより、特定の敵キャラクタE1との対戦の開始を盛り上げることができる。リズムトラックの音量は、直線的に上昇させてもよいし、曲線的に上昇させてもよい。なお、ゲーム音再生手段49は、リズムトラックの音量を、第3距離L3が長くなるほど(すなわち、プレイヤキャラクタPLと特定の敵キャラクタE1との距離が遠ざかるほど)小さくなるようにしてもよい。これに代えて、リズムトラックの音量が一旦大きくなった後は、所定の条件(例えば第3距離L3が所定の基準距離以上となった状態が所定の時間維持される等)を満たすまで小さくならないようにしてもよい。また、第3距離L3が所定の基準距離以上となった場合には、時間経過に基づいて徐々に音量を落としてもよい(例えば1フレームごとに所定の音量だけ下げてもよい)。
【0063】
これに加えてまたはこれに代えて、ゲーム音再生手段49は、第3距離L3が短くなるほど背景音楽のテンポを速くして再生してもよい。さらに、背景音楽のテンポ変更を行うか否かを、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識するか否かで特定の敵キャラクタE1の行動が変化する態様と組み合わせてもよい。例えば、このような態様においては、特定の敵キャラクタE1において設定される視野内にプレイヤキャラクタPLが位置するか否かを判定し、当該視野内にプレイヤキャラクタPLが位置していない状態(プレイヤキャラクタPLの認識前の状態)において、特定の敵キャラクタE1は、仮想空間Sにおける所定のルートを周回するように設定され、当該視野内にプレイヤキャラクタPLが位置した場合(特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識した場合)、その後は、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを追いかけるように設定される。
【0064】
このような態様において、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識していない間、ゲーム音再生手段49は、第3距離L3に拘わらず、背景音楽を所定のテンポで再生し、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識した後は、第3距離L3に応じて背景音楽のテンポを速くして再生してもよい。これにより、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識していない状態で、プレイヤキャラクタPLが近づく間は背景音楽のテンポに変化はないが、敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識した途端に、第3距離L3に応じた速いテンポで背景音楽が再生されることになる。したがって、特定の敵キャラクタE1に静かに近づくようなゲーム態様において緊迫感を高めることができる。なお、テンポに関しても上記リズムトラックの音量と同様に、第3距離L3が長くなるほどテンポを落とすようにしてもよいし、所定の条件を満たすまでテンポが落ちないようにしてもよいし、時間経過に基づいて徐々にテンポを落としてもよい。
【0065】
なお、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識する態様は、上記視野に位置するか否かのみに限られず、例えば、特定の敵キャラクタE1に基づく所定の範囲内にプレイヤキャラクタPLが位置した状態で、プレイヤキャラクタPLが物音(銃声、足音等)を立てた場合に、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識する態様としてもよい。
【0066】
これに加えてまたはこれに代えて、ゲーム音再生手段49は、背景音楽のテンポを特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識した後の経過時間に応じて変更してもよい。例えば、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識していない間、ゲーム音再生手段49は、第3距離L3に拘わらず、背景音楽を所定のテンポ(予め定められる最大テンポ(例えば120BPM)の50%のテンポ(60BPM))で再生し、特定の敵キャラクタE1がプレイヤキャラクタPLを認識した後、ゲーム音再生手段49は、当該認識後から所定の時間(例えば10秒)経過したときに100%のテンポ(120BPM)となるようにテンポの変更を行ってもよい。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0068】
例えば、上記実施の形態において、複数の効果音として、プレイヤキャラクタ、敵キャラクタ、固定オブジェクト、武器等に関する音を例示したが、これに限られず、例えば自動車などの乗物のエンジン音、スキール音等が含まれてもよい。また、上記実施の形態において、効果音の音量の総和SVEFは、再生されるすべての効果音を足し合わせたものとしたが、再生されるすべての効果音のうちの一部の効果音を除外したものを効果音の音量の総和SVEFとして基準音量と比較してもよい。例えば、メインの敵キャラクタE1が特定のモーションを行う際に大音量で叫ぶ等の態様においては、敵キャラクタE1の叫びによる音量単体で基準音量に近くなる、または、基準音量を超えてしまうと、実際の処理負荷は大きくないのに負荷軽減処理が実行されてしまうおそれがある。このような場合には、当該敵キャラクタE1の叫びに関する効果音は効果音の音量の総和SVEFから除外することにより、実際の処理負荷の変化と効果音の音量の総和SVEFの変化とをより一致させることができる。
【0069】
また、上記実施の形態では据え置き型のゲーム装置について説明したが、携帯型のゲーム装置、携帯電話機、およびパーソナルコンピュータなどのコンピュータについても、本発明を好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ゲームにおける負荷の軽減処理の実効性を高めるために有用である。
【符号の説明】
【0071】
2 ゲーム装置(ゲームシステム)
30a ゲームプログラム
30b ゲームデータ
41 仮想空間生成手段
42 効果音特定手段
43 効果音総量取得手段
44 音量判定手段
45 負荷軽減手段
46 第1距離計測手段
47 第2距離計測手段
図1
図2
図3
図4
図5