【解決手段】特定入賞口と一般入賞口が設けられた遊技盤に遊技球を発射して遊技を行う遊技機であって、遊技盤上に設けられ、一方端から他方端に向かって下るように設けられた斜面を有する第1の傾斜通路と、第1の傾斜通路の他方端の近傍であって、該他方端を基準に第1の傾斜通路の一方端と反対側において、第1の傾斜通路の他方端よりも重力方向下側に設けられた第1の一般入賞口と、第1の傾斜通路の他方端よりも重力方向下側に設けられた一方端から他方端に向かって下るように設けられた斜面を有する第2の傾斜通路と、第1の傾斜通路上を移動している遊技球を該第1の傾斜通路の他方端まで移動させる状態と、遊技球を第2の傾斜通路に移動させる状態とに振り分ける振り分け機構50とを備える。
前記第2の傾斜通路の他方端の近傍であって、該他方端を基準に前記第2の傾斜通路の一方端と反対側において、前記第2の傾斜通路の他方端よりも重力方向下側に設けられた第2の一般入賞口を備え、
前記第1の一般入賞口および前記第2の一般入賞口は互いに賞球数が異なることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機とも呼ばれる遊技機においては、操作ハンドルの回動操作により遊技球が遊技盤に発射され、遊技盤に打ち込まれた釘や回転部材などに接触しながら落下し、遊技盤に設けられた特定入賞口(始動口)や一般入賞口に遊技球が入ることで、所定数の賞球が払い出される。そして、特定入賞口に遊技球が入ると、遊技機の内部では、大当たり抽せんが行われる。また、特定入賞口に遊技球が入ると同時に映像表示装置に表示された図柄が変動し、大当たり抽せんに当選した場合、例えば、停止図柄が揃うなどして、大当たり状態が発生する。
【0003】
しかしながら一般入賞口は、特定入賞口と比較すると大当たり抽せんなどの演出が無く、単純で面白味が無いと言える。そこで、一般入賞口に比べて特定入賞口により多くの遊技球を誘導するように遊技釘の調整が行われることがあった。
【0004】
ここで、特許文献1には、いわゆるハネモノと呼ばれる遊技機において、入賞装置内に複数のステージを有し、ステージの途中に利益の異なる複数の入賞口を有するものが開示されている。また特許文献2には、特定遊技状態検出手段(検出スイッチ)からの検出信号に基づいて、特別遊技の最大継続回数を決定する最大継続回数決定手段として、回転部材と各入賞口を備える分別装置や、三段の球通路の終端部に各入賞口を開口させた分別装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(パチンコ機の外観構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ機1の外観構成を例示する図である。
図1に示されるように、パチンコ機1は、前面枠10の背面側に前面ガラス枠11が取り付けられ、前面枠10および前面ガラス枠11は一体となって
図1において左方向に開くように回動可能に取り付けられている。また、前面ガラス枠11の内側には、遊技盤12が設けられている。
【0013】
遊技盤12には、大当たり抽せんの結果等を示す様々な演出が施された映像を表示するディスプレイ13、遊技球の入球が大当たり抽せんの契機となる特定入賞口としての始動口14、大当たり発生時に開放される大入賞口15、振り分け装置16が設けられている。後述するように、振り分け装置16の内部には、複数の一般入賞口45、46、47が設けられており、振り分け装置16に入った遊技球aは、振り分け装置16の内部に設けられた複数の一般入賞口45、46、47のいずれかに入ることとなる。また、遊技盤12の最下部には、始動口14、大入賞口15および振り分け装置16の何れにも入らなかった遊技球aを排出させる排出口17が設けられている。
【0014】
遊技球aは、
図1において遊技盤12の左下部分から、遊技盤12の左側面に沿って発射される。発射された遊技球aは、遊技盤12の上部に達した後、釘20や風車21等に当たりながら落下し、始動口14、大入賞口15または振り分け装置16の何れかに入るか、何れにも入らない場合には排出口17から排出される。
【0015】
前面枠10の下に設けられている下部パネル25には、パチンコ機1から払い出される遊技球aを貯留する上受皿26及び下受皿27が配置されている。上受皿26には、球貸し/返却ボタン30、十字キー31、操作ボタン32が設けられている。また、下部パネル25には、遊技球aを発射するための操作ハンドル33が回動可能に設けられている。
【0016】
パチンコ機1では、遊技者が球貸しボタン30を押下すると、遊技球aが上受皿26に貸与される。遊技者は、操作ハンドル33を操作することで、貸与された遊技球aを遊技盤12に打ち出すことができる。打ち出された遊技球aが始動口14に入ると、パチンコ機1の内部において大当たり抽せんが行われる。
【0017】
大当たり抽せんの結果は、ディスプレイ13に様々な演出を伴って表示される。大当たりの場合には、例えばディスプレイ13に表示される複数の図柄のうち、停止した全ての図柄が揃うことで、遊技者に大当たりしたことが告知され、大当たり状態が発生する。ディスプレイ13に表示される様々な演出において、例えば十字キー31や操作ボタン32を用いた遊技者による操作が促される場合もある。
【0018】
(振り分け装置の構成)
図2は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機1が備える振り分け装置16の構成を例示する図である。
図2に示すように、振り分け装置16は、透明な樹脂製のケーシング40の上方に、遊技球aを受け入れる開口部41を有している。ケーシング40の内部には、遊技球aを移動させる複数の傾斜通路が上下段に配置されている。この実施の形態では、一例としてケーシング40の内部に、上段傾斜通路42、中段傾斜通路43、下段傾斜通路44という3つの傾斜通路が設けられている。
【0019】
上段傾斜通路42と下段傾斜通路44は、
図2中において、左側が高く、右側が低くなるように傾斜して設けられている。したがって、これら上段傾斜通路42上と下段傾斜通路44上では、遊技球aは図中の左から右に向かって転がりながら移動していく。一方、中段傾斜通路43は、
図2中において、右側が高く、左側が低くなるように傾斜して設けられている。したがって、中段傾斜通路43上では、遊技球aは図中の右から左に向かって転がりながら移動していく。
【0020】
上段傾斜通路42、中段傾斜通路43、下段傾斜通路44のそれぞれの終端近傍においては、各傾斜通路42,43,44の終端を基準とした重力方向の下側に一般入賞口45、46、47がそれぞれ配置されている。ここで、各傾斜通路の終端とは、各傾斜通路の低所側の端を指し、上段傾斜通路42の終端は上段傾斜通路42の右端であり、中段傾斜通路43の終端は中段傾斜通路43の左端であり、下段傾斜通路44の終端は下段傾斜通路44の右端である。即ち、一般入賞口45は上段傾斜通路42の終端近傍において該終端の重力方向下側に設けられ、一般入賞口46は中段傾斜通路43の終端近傍において該終端の重力方向下側に設けられ、一般入賞口47は下段傾斜通路44の終端近傍において該終端の重力方向下側に設けられている。
【0021】
始動口14(特定入賞口)と異なり、一般入賞口45、46、47に遊技球aが入球しても、大当たり抽せんの契機にはならない。また、この実施の形態では、一般入賞口45、46、47は互いに賞球数が異なった設定となっており、下段にある一般入賞口ほど賞球数が多く設定されている。例えば、上段傾斜通路42の終端近傍に設けられた一般入賞口45の賞球数は5個、中段傾斜通路43の終端近傍に設けられた一般入賞口46の賞球数は10個、下段傾斜通路44の終端近傍に設けられた一般入賞口47の賞球数は15個である。
【0022】
上段傾斜通路42には、振り分け機構50が設けられており、同様に、中段傾斜通路43には、振り分け機構51が設けられている。なお、最下段にある下段傾斜通路44には振り分け機構は設けられていない。振り分け機構50と振り分け機構51は基本的に同様の構成を有するので、上段傾斜通路42に設けられた振り分け機構50について代表して説明する。
【0023】
図3〜5は、本発明の一実施形態に係る振り分け機構50の動作説明図であり、
図3は遊技球aを次の下段の中段傾斜通路43に移動させる状態の説明図、
図4は同状態を上から見た説明図である。
図5は遊技球aをそのまま通過させる状態の説明図である。
【0024】
これら
図3〜5に示すように、振り分け機構50は、上段傾斜通路42を移動する遊技球aを次の下段の中段傾斜通路43に移動させる移動部55と、上段傾斜通路42を移動する遊技球aをそのまま通過させる通過部56を備える回転体57を有している。回転体57は、軸58によって一定の速度で回転させられている。移動部55と通過部56は軸58を挟んで回転体57における互いに反対となる位置に配置されている。回転体57の回転に伴って、
図3、4に示すように上段傾斜通路42の上面に移動部55が近づいた状態と、
図5に示すように上段傾斜通路42の上面から移動部55が上方に離れて通過部56が上段傾斜通路42の上面に近づいた状態とに交互に切り替えられている。
【0025】
このため、
図3、4に示すように上段傾斜通路42の上面に移動部55が近づいた状態では、上段傾斜通路42を転がって移動してきた遊技球aは、移動部55の表面にぶつかって跳ね返り、上段傾斜通路42の前面側に設けられた切欠き溝60から落下し、次の下段の中段傾斜通路43に移動させられる。一方、
図5に示すように上段傾斜通路42の上面から移動部55が上方に離れて通過部56が上段傾斜通路42の上面に近づいた状態では、上段傾斜通路42を転がって移動してきた遊技球aは、そのまま通過部56を通過して上段傾斜通路42の終端まで移動し、上段傾斜通路42の終端近傍に設けられた一般入賞口45に入ることとなる。
【0026】
代表して、上段傾斜通路42に設けられた振り分け機構50について説明したが、中段傾斜通路43に設けられた振り分け機構51も、振り分け機構50と同様の構成を有しており、中段傾斜通路43を転がって移動してきた遊技球aは、振り分け機構51によって、次の下段の下段傾斜通路44に移動させられる状態と、中段傾斜通路43の終端まで移動し、中段傾斜通路43の終端近傍に設けられた一般入賞口46に入る状態とに切り替えられる。振り分け機構51の各構成要素については、振り分け機構50の各構成要素と共通の符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0027】
最下段にある下段傾斜通路44には振り分け機構がなく、下段傾斜通路44を転がって移動してきた遊技球aは、そのまま下段傾斜通路44の終端まで移動し、下段傾斜通路44の終端近傍に設けられた一般入賞口47に入ることとなる。
【0028】
(パチンコ機の作用)
以上のように構成された本発明の一実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ機1において、遊技者が操作ハンドル33を操作することで、遊技球aが遊技盤12に打ち出される。そして、打ち出された遊技球aが始動口14に入ると、大当たり抽せんが行われる。また、始動口14に遊技球aが入ると同時にディスプレイ13に表示された図柄が変動し、大当たり抽せんに当選した場合、例えば、停止図柄が揃うなどして、大当たり状態が発生し大入賞口15が開放される。このように、始動口14に遊技球aが入った場合は、様々な演出によって、遊技者に高揚感を与えることができる。
【0029】
一方、打ち出された遊技球aが振り分け装置16の開口部41に入ると、遊技球aは、先ず上段傾斜通路42上を左から右に向かって転がりながら移動していく。そして、上段傾斜通路42を転がって移動してきた遊技球aは、振り分け機構50によって、次の下段の中段傾斜通路43に移動させられる状態と、上段傾斜通路42の終端まで移動し、上段傾斜通路42の終端近傍に設けられた一般入賞口45に入る状態とに切り替えられる。そして、上段傾斜通路42の終端近傍に設けられた一般入賞口45に遊技球aが入った場合は、例えば賞球数5個の遊技球aが上受皿26もしくは下受皿27に払い出される。
【0030】
また、振り分け機構50によって遊技球aが次の下段の中段傾斜通路43に移動させられた場合は、遊技球aはさらに中段傾斜通路43上を右から左に向かって転がりながら移動していく。そして、中段傾斜通路43を転がって移動してきた遊技球aは、振り分け機構51によって、次の下段の下段傾斜通路44に移動させられる状態と、中段傾斜通路43の終端まで移動し、中段傾斜通路43の終端近傍に設けられた一般入賞口46に入る状態とに切り替えられる。そして、中段傾斜通路43の終端に設けられた一般入賞口46に遊技球aが入った場合は、例えば賞球数10個の遊技球aが上受皿26もしくは下受皿27に払い出される。
【0031】
また、振り分け機構51によって遊技球aが次の下段の下段傾斜通路44に移動させられた場合は、遊技球aはさらに下段傾斜通路44上を左から右に向かって転がりながら移動していく。そして、下段傾斜通路44を転がって移動してきた遊技球aは、そのまま下段傾斜通路44の終端まで移動し、下段傾斜通路44の終端近傍に設けられた一般入賞口47に入る。こうして、例えば賞球数15個の遊技球aが上受皿26もしくは下受皿27に払い出される。
【0032】
このパチンコ機1にあっては、振り分け装置16のケーシング40が透明であり、振り分け装置16の内部において、振り分け機構50によって適宜振り分けられながら、複数の一般入賞口45、46、47に選択的に入っていく様子が遊技者から視認可能である。また、各一般入賞口45、46、47は賞球数が異なり、下段になるほど賞球数が多く設定されている。このため、振り分け装置16の内部のより下段に遊技球aが移動していくような期待感を遊技者に対して抱かせることができ、さらに賞球数が決定される過程を遊技者に見せて遊技性を高めることが可能である。そのため、一般入賞口45、46、47に遊技球が入っていく場合についても演出を生じさせることができ、特定入賞口14に遊技球aが入るまでの間においても、遊技者に高揚感を与えることが可能となる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態に係る振り分け装置16に設けられた振り分け機構70の動作説明図である。この振り分け機構70は、軸71に振り分け部材72が取り付けられており、軸71の回動によって、
図6中の実線で示したように、振り分け部材72が上段傾斜通路42の上面に近づいた状態と、
図6中の一点鎖線で示したように、振り分け部材72が上段傾斜通路42の上面から上方に離れた状態に切り替えられる。そして、
図6中の実線で示したように、振り分け部材72が上段傾斜通路42の上面に近づいた状態では、上段傾斜通路42を転がって移動してきた遊技球aは、振り分け部材72にぶつかって跳ね返り、上段傾斜通路42の前面側に設けられた切欠き溝60から落下し、次の下段の中段傾斜通路43に移動させられる。一方、
図6中の一点鎖線で示したように、振り分け部材72が上段傾斜通路42の上面から上方に離れた状態では、上段傾斜通路42を転がって移動してきた遊技球aは、そのまま上段傾斜通路42の終端まで移動し、上段傾斜通路42の終端近傍に設けられた一般入賞口45に入ることとなる。なお、上段傾斜通路42に設けられた振り分け機構70について説明したが、中段傾斜通路43に同様の振り分け機構70を設けることもできる。
【0035】
なお、本発明の遊技機はいわゆるハネモノと呼ばれるパチンコ機にも同様に適用できる。また、振り分け装置の内部に3段の傾斜通路と3つの一般入賞口が設けられた例を説明したが、傾斜通路と一般入賞口の数は複数であれば任意である。