【解決手段】複数の縫い針11により被縫製物Cの送り方向に沿った複数本の縫い目を形成すると共に、複数の縫い目の間を渡る飾り糸を縫い込む扁平縫いを行う扁平縫いミシン10において、針板12上の被縫製物に対して上方から接して送り方向に被縫製物を送る複数の送りベルトとその送り動作の駆動源となる送りモーター52とを備えた上ベルト機構50を備え、上ベルト機構の複数の送りベルトは、針落ち位置に対して送り方向下流側で被縫製物に接する中央ベルト511と、当該中央ベルトの隣で被縫製物に接する側方ベルト512,513とを有している。
複数の縫い針により被縫製物の送り方向に沿った複数本の縫い目を形成すると共に、前記複数の縫い目の間を渡る飾り糸を縫い込む扁平縫いを行う扁平縫いミシンにおいて、
針板上の被縫製物に対して上方から接して前記送り方向に被縫製物を送る複数の送りベルトとその送り動作の駆動源となる送りモーターとを備えた上ベルト機構を備え、
前記上ベルト機構の複数の送りベルトは、針落ち位置に対して前記送り方向下流側で被縫製物に接する中央ベルトと、当該中央ベルトの隣で被縫製物に接する側方ベルトとを有することを特徴とする扁平縫いミシン。
前記中央ベルトは、被縫製物に接する位置と前記針落ち位置とが前記送り方向に沿って並ぶように配置され、且つ、前記針落ち位置に対して前記送り方向下流側で被縫製物に接するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の扁平縫いミシン。
前記複数の送りベルトは、被縫製物を上から押さえる押さえ板により搬送可能に支持され、且つ前記押さえ板の前記送り方向の下流側で上方に傾斜するように配置されており、
前記押さえ板より前記送り方向の下流側に、前記複数の送りベルトに対して前記送り方向の下流側に凸となる凸部材を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の扁平縫いミシン。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一の実施形態の概略構成]
第一の実施形態である扁平縫いミシン10について
図1〜
図8に基づいて説明する。
図1は扁平縫いミシン10の斜視図、
図2は扁平縫いミシン10の針落ち位置周辺の斜視図である。
なお、以下の説明において、水平な一方向をX軸方向、水平且つX軸方向に直交する方向をY軸方向、垂直な方向Z軸方向と定義する。また、
図1に示すように、X軸方向の一方を「前」、他方を「後」とし、Y軸方向の一方の「左」、他方を「右」として以下の説明を行う。
【0020】
扁平縫いミシン10は、ミシンフレーム20と、ミシンモーターを駆動源として二本の縫い針11を上下動させる図示しない針上下動機構と、針板12の下側においてミシンモーターを駆動源として下ルーパーを往復移動させて二本の縫い針の上糸のループに下ルーパー糸を挿通させる図示しない下ルーパー機構と、二本の縫い針11によって形成される二本の縫い目に対して上飾り糸がY軸方向に渡って縫い込まれるように上飾り糸を案内する図示しないスプレッダ機構と、針板12の下側から送り歯を出没させて被縫製物をX軸方向に沿った送り方向下流側に送る図示しない下送り機構と、布押さえ31により被縫製物を上から押さえる布押さえ機構30と、針板12の上にある被縫製物に上から送りベルトを接触させて送り方向下流側(前方)に送る上ベルト機構50と、折り返された被縫製物の端部を切除する布切除機構80と、糸調子機構13と、天秤機構14と、上記各構成の制御を行う制御装置90とを備えている。
【0021】
[ミシンフレーム]
ミシンフレーム20は、扁平縫いミシン10の下部においてY軸方向に沿って延在するミシンベッド部21と、ミシンベッド部21の一端部から立設された立胴部22と、立胴部22の上端部からミシンベッド部21と同方向に延出されたミシンアーム部23とを備えている。
ミシンベッド部21の立胴部22とは逆側の端部上面には針板12が設けられ、当該針板12に形成された針穴に二本の縫い針11による針落ちが行われる。
【0022】
[針上下動機構]
針上下動機構は、ミシンアーム部23の先端部においてZ軸方向に沿って上下動可能に支持された針棒15(
図3参照)と、当該針棒15の下端部に保持された二本の縫い針11と、ミシンモーターから針棒15に上下動動作を付与するクランク機構とを備えている。
針棒15はその下端部において、二本の縫い針11をY軸方向に並べた状態で保持している。
扁平縫いミシン10では、X軸方向前方に向かって被縫製物が搬送され、二本の縫い針11によりY軸方向に並んだ二本の縫い目がX軸方向に沿って形成される。
【0023】
[糸調子機構及び天秤機構]
扁平縫いミシン10は、二本の上糸と下ルーパー糸と上飾り糸とによる縫製を行い、糸調子機構13は、これら各糸に糸張力を付与する複数の糸調子器から構成されている。
【0024】
天秤機構14は、糸調子機構13において糸張力が付与された二本の上糸を挿通させる揺動式の天秤を備えている。この天秤は、ミシンモーターから揺動の動力を得ており、縫い針11の上下動に同期して揺動することにより、適正なタイミングで各上糸の引き上げを行う。
【0025】
[下ルーパー機構]
下ルーパー機構は、ミシンベッド部21の内部に配置され、Y軸方向に沿って往復の進退動作を行う下ルーパーと、ミシンモーターから下ルーパーに進退動作を付与する伝達機構とを備えている。
下ルーパーは、Y軸方向左側に向かって延出された尖鋭の部材であり、その先端部には、下ルーパー糸を挿通する糸通し穴が形成され、針板12の下側に配置されている。そして、左方に向かって前進したときに、下降した二本の縫い針11に通された上糸のループに突入し、下ルーパー糸を二本の上糸のループに挿通することを可能としている。
また、下ルーパーが右方に後退する際に形成される下ルーパー糸のループに下降してきた二本の縫い針11が突入し、二本の上糸が挿通される。これらを交互に繰り返すことにより、X軸方向に沿った二本の縫い目が形成されるようになっている。
【0026】
[スプレッダ機構]
スプレッダ機構は、針板上方に配置され、先端部で上飾り糸をガイドするスプレッダと、スプレッダの先端部がY軸方向に沿って往復するように回動動作を付与する回動機構とを備えている。
回動機構は、ミシンモーターを駆動源として、縫い針11の上下動に同期してスプレッダの往復回動動作の付与を行っている。
スプレッダによりガイドされた上飾り糸は、二本の縫い針11の針落ちに同期して左右に振られ、被縫製物に形成される二本の縫い目に対して交互に縫い込ませることができる。
【0027】
[下送り機構]
下送り機構は、針板12の開口部から歯先を出没させる送り歯と、送り歯に対してX軸方向に沿った長円軌跡を周回させる周回機構とを備えている。
周回機構は、ミシンモーターを駆動源として往復回動を行う水平送り軸と上下送り軸とを備え、送り歯を支持する送り台に上下の往復動作をX軸方向の往復動作を付与して送り歯に長円の周回動作を付与している。
送り歯は、長円軌跡の上部を通過する際に針板の開口部から歯先が上方に突出し、その際、送り歯は前方に向かって移動を行う。これにより、針板上の被縫製物に対して下側から歯先が接して、間欠的に一定の送りピッチで被縫製物を前方に送ることができる。
【0028】
[布切除機構]
被縫製物Cは、右側縁部が下側に折り返された布地であり、布切除機構80は、針落ち位置よりも布送り方向上流側において、被縫製物Cの折り返し部分のY軸方向幅を一定に揃えるために当該折り返し部分の先端部の切除を行っている。
【0029】
布切除機構80は、
図2に示すように、縫製時に被縫製物Cの折り返し部分C1(
図5参照)の折り目となる右側縁部が突き当てられる位置決め定規81と、被縫製物Cの下側で折り返された左側縁部を切除する固定メス82及び動メス83と、動メス83を上下動させるメス上下動機構とを備えている。
【0030】
位置決め定規81は、X−Z平面に沿った平板状部材であり、その左平面に被縫製物Cの折り目部分(右側縁部)が突き当てられる。この位置決め定規81は、Y軸方向に沿って位置調節可能であり、これにより、被縫製物Cの折り返し部分のY方向幅を調節することができる。
固定メス82は、歯先を上方に向けて配置されており、動メス83は、固定メスの歯先に向かって下降し、固定メス82と動メス83の間を通過する被縫製物Cの折り返された左側縁部を切除することができる。
メス上下動機構は、ミシンモーターを駆動源として往復回動を行う駆動軸を備え、当該駆動軸の先端部で動メス83を支持している。そして、動メス83は、往復回動動作が付与されることで、その先端部を上下動させて被縫製物Cの切除を行うことができる。
【0031】
[布押さえ機構]
図3は布押さえ機構30及び上ベルト機構50の側面図、
図4は布押さえ機構30及び上ベルト機構50の下端部の斜視図、
図5は布押さえ31の斜視図である。
図2〜
図5に示すように、布押さえ機構30は、布押さえ31と、布押さえ31を下端部で支持する押さえ棒32と、布押さえ31に押さえ圧を付与するエアシリンダー33と、手動の押さえ圧解除機構34とを備えている。
【0032】
押さえ棒32は、ミシンアーム部23の先端部において、上下動可能に支持されており、その上端部はエアシリンダー33のプランジャーに連結されている。そして、エアシリンダー33の作動により、布押さえ31による被縫製物Cに対する押さえ圧の付与と布押さえ31の上昇による押さえ圧の解除とを切り替えることができる。
【0033】
また、エアシリンダー33には、外部の空圧源から空圧エアーが供給される二つのバルブ331,332が併設されており、一方のバルブ331には外部の空圧源から図示しない減圧弁を介して低圧(例えば、2kgf/cm
2)のエアーが供給され、他方のバルブ332には外部の空圧源から減圧弁を介さずに高圧(例えば、4kgf/cm
2)のエアーが供給される。
そして、各バルブ331,332は、それぞれエアーの供給と停止とを切り替える手動の押しボタン333,334を有しており、これらの押しボタン333,334の切り替え操作により、布押さえ31の押さえ圧の強弱を切り替えることができるようになっている。
【0034】
押さえ圧解除機構34は、
図3に示すように、押さえ棒32に固定装備された棒抱き341と、図示しない手動の押さえ上げレバーに連結された入力軸342と、入力軸342に固定装備された回動アーム343と、回動アーム343の回動端部と棒抱き341を連結するリンク部材344とを備えている。
この構成により、押さえ上げレバーを手動で反時計方向に回動させると、入力軸342を介して回動アーム343の回動端部が上方に回動し、リンク部材344を介して押さえ棒32及び布押さえ31を引き上げることができる。
【0035】
布押さえ31は、
図3〜
図8に示すように、押さえ板311と、押さえ板311の前側中央に設けられた立設部312とを備えている。なお、
図5では立設部312の図示を省略している。
立設部312の上端部には、押さえ棒32の下端部を挿入可能な連結穴が設けられており、頭無しネジにより押さえ棒32を保持することができる。
【0036】
押さえ板311は、前述したエアシリンダー33からの押さえ圧を被縫製物Cに付与する機能を有しており、当該押さえ板311の中央部には、上下に貫通した二つの針挿通部313,314が形成されている。かかる針挿通部313,314を通って、押さえ板311の下側の被縫製物Cに対して二本の縫い針11,11による針落ちが行われる。
【0037】
また、押さえ板311は、その上面から後端部又は後端部より幾分前側の位置を介して底面を通過するように、後述する上ベルト機構50の三本の送りベルトである中央ベルト511,左ベルト512,右ベルト513を送り方向に搬送可能にガイドする機能をも有している。
このため、押さえ板311の左後端部と左前端上部には、左ベルト512を搬送するための第一左ローラー351と第二左ローラー352とが回転可能に配置されている。
また、押さえ板311の右後端部と右前端上部には、右ベルト513を搬送するための第一右ローラー353と第二右ローラー354とが回転可能に配置されている。
【0038】
また、押さえ板311の前端部から中央部にかけては広く切り欠かれており、その内側には前後に並んで、中央ベルト511を搬送するための第一中央ローラー355及び第二中央ローラー356が回転可能に配置されている。そして、押さえ板311の中央前端上部には、第三中央ローラー357が回転可能に配置されている。
なお、第二左ローラー352、第二右ローラー354及び第三中央ローラー357は、押さえ板311ではなく、立設部312によって支持されている。
【0039】
これらのローラー351〜357により、中央ベルト511,左ベルト512,右ベルト513は、Y軸方向に並んだ状態で、且つ、押さえ板311の底面を前方に向かって円滑に搬送することができ、押さえ板311の押さえ圧で被縫製物Cの上面に接触しつつ、被縫製物Cの上面を前方に送り出すことができるようになっている。
【0040】
また、第一中央ローラー355は、X軸方向(送り方向)に沿って針落ち位置となる針挿通部313,314と並んだ配置であり、且つ、当該針挿通部313,314よりも前方(送り方向下流側)に配置されている。
これに対して、第一左ローラー351及び第一右ローラー353は、針挿通部313,314の左側と右側とに位置すると共に、当該針挿通部313,314よりも後方(送り方向上流側)に配置されている。
これにより、中央ベルト511は、針落ち位置よりも送り方向下流側で被縫製物に接して送りを行い、左ベルト512と右ベルト513は、針落ち位置よりも送り方向上流側で被縫製物に接して送りを行う。
【0041】
また、
図6に示すように、中央ベルト511,左ベルト512,右ベルト513は、被縫製物Cと接触する各々の底部が異なる高さに支持されている。即ち、中央ベルト511がその底部が最も低位置となり、左ベルト512の底部はその次に低位置となり、右ベルト513の底部は最も高位置となるように支持されている。
なお、中央ベルト511の底部の高さは、第一中央ローラー355及び第二中央ローラー356の設置高さによって調節されており、左ベルト512と右ベルト513の底部の高さは、押さえ板311の底面側に形成されたそれぞれのベルトをガイドする溝311a,311bの深さによって調節されている。
【0042】
このため、被縫製物Cに対して、針落ちにより送りに対して抵抗が生じ易い中央部に対して中央ベルト511が最も被縫製物Cに圧接した状態となるので、左右に対する遅れを抑制して、安定して被縫製物を送ることが可能となる。
また、被縫製物Cの右側縁部を折り返して縫製を行う場合、針落ち位置の左側は折り返し部分C1が存在せず、針落ち位置の右側に比べて左側は実質的に被縫製物が薄くなるので、左ベルト512の底部を右ベルト513の底部よりも低位置に配置することで、左ベルト512と右ベルト513を被縫製物に対して左右でバランス良く圧接させることができ、左右に偏ることなくことなく安定的に被縫製物Cを送ることが可能となる。
【0043】
また、
図7に示すように、押さえ板311の前端部(送り方向下流側端部)は、図示しない支点軸により立設部312に対してY軸回りに揺動可能に軸支されている。これにより、押さえ板311の後端部(送り方向上流側端部)は、押さえ板311の送り方向下流側端部に設けられた図示しない支点軸を支点として揺動し、上下に昇降可能となっている。
さらに、押さえ板311の左側面には、段ネジ315によって弾性部材としてのねじりコイルバネ316が装備されており、当該ねじりコイルバネ316の一端部は立設部312側に係止され、他端部は押さえ板311の後端部上面に圧接している。これにより、押さえ板311は、その後端部に下方側への弾性力が付与された状態となっている。
なお、上記
図7では、各ベルト511〜513及び各ローラー351〜357の図示を省略している。
【0044】
押さえ板311は、押さえ棒32を介してエアシリンダー33により下方に押圧されているので、通常の縫製時には、押さえ板311の底面は水平状態を維持して被縫製物Cの押さえを行っている。
しかしながら、押さえ板311は、前述したように立設部312に対して揺動可能であることから、被縫製物Cに段部があり、当該段部が後方から前方に向かって送られてくると、ねじりコイルバネ316に抗して押さえ板311の後端部が上方に揺動して段部を容易に乗り越え、段部がある被縫製物Cに対しても円滑且つ良好な送りを行うことができるようになっている。
【0045】
また、
図8に示すように、中央ベルト511,左ベルト512及び右ベルト513は、いずれも、布押さえ31の押さえ板311の前端部(送り方向下流側端部)から前斜め上の方向に向かってほぼ同じ傾斜角度で延出されている。
そして、布押さえ31の立設部312の前端部(送り方向下流側端部)であって、押さえ板311の前端部より前方となる位置には、凸部材317が形成されている。この凸部材317は、側方から見て斜め上に延び、中央ベルト511,左ベルト512及び右ベルト513よりも前方に向かって凸となっている。
凸部材317は、側方から見て、押さえ板311の底面前端部とほぼ同位置から前斜め上に向かう下向きの傾斜面317aを有している。また、凸部材317は、X軸方向から見て、各ベルト511〜513と重ならない配置となっている。
そして、当該傾斜面317aは、各ベルト511,512,513よりも緩やかな角度で上向きに傾斜している。このため、凸部材317は、側方から見て、各ベルト511,512,513よりも前方及び下方に突出した状態となっている。
【0046】
この凸部材317が存在しないものと仮定した場合、各ベルト511,512,513により前方に送られる被縫製物Cは、押さえ板311の底面前端部よりも前方では、上方に凸となるように弛みが生じ易くなる。このような弛みが生じると、被縫製物Cの良好な送り動作が阻害されるので、ミシンの作業者は、弛みが生じないように被縫製物Cを前方に引っ張りながら縫製を行う必要が生じる。
しかし、上記凸部材317を布押さえ31の前端部に設けることにより、押さえ板311の底面前端部よりも前方に被縫製物Cの弛みが生じるスペースがなくなり、弛みの発生を抑制することが可能となる。
さらに、凸部材317の下部は傾斜面317aを有する形状なので、弛みを解消しながら被縫製物Cを良好に前方に送り出すことができる。これにより、ミシンの作業者が被縫製物Cを前方に引っ張る作業を不要とし、縫製時の作業性の向上を図ることができる。
【0047】
なお、凸部材317の下部は、前斜め上に真っ直ぐに向かう傾斜面317aを例示したが、形状はこれに限らない。例えば、凸部材317の下部は、押さえ板311の底面と同じ水平な状態から湾曲しながら徐々に上向く湾曲面を有する形状としても良い。
また、凸部材317は、布押さえ31の立設部312に対して一体的に形成しても良いが、別部材で形成しても良い。
【0048】
[上ベルト機構]
上ベルト機構50は、複数の送りベルトとしての無端環状の中央ベルト511,左ベルト512,右ベルト513と、ベルト送りの駆動源となる送りモーター52と、送りモーター52から布押さえ31まで各ベルト511〜513をガイドするガイド機構53とを備えている。
【0049】
送りモーター52は、回転数が制御可能なモーター、例えば、直流モーター、交流モーター、ステッピングモーター等が使用される。
そして、送りモーター52は、出力軸を左方に向けた状態で、モーターブラケット521を介してミシンアーム部23の先端部の前面側に固定装備されている。
また、送りモーター52の出力軸には各ベルト511〜513の一端部が巻回されるモータープーリ522が装備されている。
【0050】
ガイド機構53は、主に、第一と第二のリンク部材531,532からなるガイドアーム533と、モータープーリ522から布押さえ31に到るベルト経路の各部に回転可能に設けられた複数のガイドローラー534とから構成されている。
【0051】
ガイドアーム533の第一のリンク部材531は、その一端部がモーターブラケット521の下部においてY軸回りに回動可能に連結され、その他端部は第二のリンク部材532の一端部にY軸回りに回動可能に連結されている。
第二のリンク部材532の他端部は、布押さえ31のすぐ上側で押さえ棒32の下端部に抱き締めされた締結部材535に対してY軸回りに回動可能に連結されている。
【0052】
第一のリンク部材531と第二のリンク部材532は、いずれも、左右一対であってX−Z平面に沿った平板状の側壁部を備えており、互いの側壁部は対向している。そして、各リンク部材531,532の互いに対向する側壁部の対向面上の各位置にガイドローラー534が配置されており、これによって、各ベルト511〜513のベルト経路がガイドアーム533の各リンク部材531,532に沿うように形成されている。
【0053】
ガイドローラー534は、各リンク部材531,532の他に、モーターブラケット521の各位置にも配置されている。
それぞれのガイドローラー534は、所定のベルト経路を形成するために経路の角部等に配置されたものに加えて、各ベルト511〜513に弛みが生じないように圧接状態で配置されたテンションローラーとして機能するものも含まれている。
【0054】
各ベルト511〜513は、モータープーリ522に一端部が巻回され、各ガイドローラー534を経て、布押さえ31に設けられた各ローラー351〜357に他端部が巻回されている。
これにより、各ベルト511〜513は、送りモーター52が駆動すると、そのトルクによって、布押さえ31の底面側において前方に向かって搬送される。
【0055】
なお、送りモーター52の回転数は、原則的には、布押さえ31の底面における各ベルト511〜513の搬送速度が、下送り機構による間欠的な送り速度を平均化して連続的な送り速度に換算した仮想的な送り速度と一致するように制御される。
但し、被縫製物Cの上側部分と下側部分とで送り速度に差が生じている場合には、送りモーター52の回転数を増減させる調整制御が行われる。
【0056】
また、布押さえ31は、押さえ圧を解除する際には、押さえ棒32を介して上方の退避位置まで上昇移動を行うので、ガイドアーム533の第二のリンク部材532の他端部は、押さえ棒32と共に上方に移動を生じるが、ガイドアーム533の両端部がY軸回りに回動可能に連結され、第一のリンク部材531と第二のリンク部材532もY軸回りに回動可能に連結されているので、第一のリンク部材531と第二のリンク部材532との間で屈曲角度が変化することで、布押さえ31の上昇に対応することが可能である。
【0057】
[制御装置]
制御装置90は、CPU、RAM、データメモリ等を備える制御回路であり、ドライバー回路を介してミシンモーター、送りモーター52等と接続され、これらの駆動の開始と停止、駆動速度等の制御を行うことができる。
また、制御装置90には、
図1に示す、操作パネル91と、調節ダイヤル92とが図示しないインターフェイスを介して接続されている。
【0058】
操作パネル91は、縫製に関する各種の設定を入力するボタンやキー等の入力部と、設定作業を補助する表示を行う表示部とを備えている。
この操作パネル91からは、例えば、ミシンモーターの回転数、上ベルト機構50による被縫製物の送り速度、縫製の開始等が入力される。
上ベルト機構50による被縫製物の送り速度は、直接的な速度に限らず、例えば、下送り機構の送り速度に対する速度差や速度比の入力であっても良い。
上記各種の数値設定の際には、例えば、増減キーを用いて、表示部で表示される設定値の増減を入力し、決定キーにより設定値を決定する。
【0059】
調節ダイヤル92は、回転入力操作が可能であり、内蔵されたエンコーダー等の回転量検出センサーにより入力量が検出され、制御装置90に入力される。
この調節ダイヤル92は、上ベルト機構50の送り速度の調節を専用に入力する入力手段であり、正回転で上ベルト機構50の送り速度の設定値の増加を入力し、逆回転で送り速度の設定値の低減を入力する。
また、調節ダイヤル92から入力される送り速度の設定値の増加又は低減は、回転操作時にリアルタイムで送りモーター52の速度制御に反映するようにしても良いし、調節ダイヤル92で回転操作して設定値を入力後に決定キー等で決定の入力操作をしてから送りモーター52の速度制御に反映するようにしても良い。また、決定キー等で決定の入力操作を行う場合には、操作パネル91の決定キーを利用しても良いし、調節ダイヤル92のダイヤルを押し込み操作、クリック操作可能とし、これら押し込み又はクリック操作で決定可能としても良い。
【0060】
[第一の実施形態の技術的効果]
上記扁平縫いミシン10は、被縫製物Cの送り動作の駆動源となる送りモーター52と、針落ち位置に対して送り方向下流側で被縫製物Cに接する中央ベルト511と、中央ベルト511の左隣で被縫製物Cに接する左ベルト512と、中央ベルト511の右隣で被縫製物Cに接する右ベルト513とを備えた上ベルト機構50を備えているので、送りモーター52の速度をミシンモーターとは別に制御することで、被縫製物Cの上側部分と下側部分とで送り量の差を低減することが可能となる。
さらに、被縫製物Cの上側に各ベルト511,512,513が接して送りを行うので、上下から送り歯で挟持されて送り出される場合と異なり、段差や厚みがある被縫製物Cの場合でも挟持圧で生じる傷や圧痕の発生を低減することが可能となる。
【0061】
また、中央ベルト511は、被縫製物Cに接する位置と針落ち位置とがX軸方向に沿って並ぶように配置され、且つ、針落ち位置に対して送り方向下流側(前側)で被縫製物Cに接するように配置されている。
このため、縫い針11が被縫製物に刺さっている状態では抵抗が生じて左右よりも被縫製物Cの送りに遅れが生じ易くなるが、中央ベルト511が針落ち位置の送り方向下流側で接するように配置することで、被縫製物Cを引っ張るようにして送ることができるので、中央部の遅れを低減して、全体的に良好に被縫製物Cを送ることが可能となる。
【0062】
また、中央ベルト511の底部は、左ベルト512及び右ベルト513の底部よりも低位置に配置しているので、針落ちにより送りに対して抵抗が生じ易い中央部に対して中央ベルト511が最も被縫製物Cに圧接した状態となるので、左右に対する遅れを抑制して、安定して被縫製物を送ることが可能となる。
また、左ベルト512及び右ベルト513が中央ベルト511を挟んでY軸方向についてその両側に配置されているので、三本のベルト511〜513によって直進性に優れる送りを行うことが可能となる。
【0063】
また、扁平縫いミシン10は、送りモーター52により送り速度を制御する制御装置90を備えているので、下送り機構に対する上ベルト機構50による送り量の比率を任意に調節することが可能となり、被縫製物Cの上側部分と下側部分とでバランス良く適正な送りを行うことができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
さらに、制御装置90は、調節ダイヤル92を備えるので、下送り機構の送り量の調節を高い操作性で行うことが可能となると共に、直感的に調節作業を行うことができるので縫製中等にも自在に調節することが可能となる。
【0064】
また、布押さえ機構30の布押さえ31の押さえ板311は、送り方向の下流側端部を支点として送り方向の上流側端部が昇降可能に支持されると共に当該送り方向の上流側端部がねじりコイルバネ316により下降方向に弾性力が付与されている。
このため、被縫製物Cに段部がある場合や厚さが変化する部分がある場合でも、押さえ板311の送り方向の上流側端部が昇降して被縫製物Cに密接した状態を維持することができ、送り量の変動を抑え、安定した送り動作を行うことが可能となる。
【0065】
また、布押さえ機構30の布押さえ31には、押さえ板311より送り方向の下流側に、複数のベルト511〜513に対して送り方向の下流側に凸となる凸部材317が設けられている。
これにより、押さえ板311の底面前端部よりも前方に被縫製物Cの弛みが生じるスペースがなくなり、弛みの発生を抑制することが可能となる。
また、凸部材317の下部は傾斜面317aを有しているので、弛みを解消しながら被縫製物Cを良好に前方に送り出すことができ、ミシンの作業者が被縫製物Cを前方に引っ張る作業を不要とし、縫製時の作業性の向上を図ることができる。
【0066】
[上ベルト機構の他の例]
図9は上ベルト機構の他の例を示している。この上ベルト機構50Aは、送りモーター52を二基備える点が前述した上ベルト機構50と異なっており、その他の点についてはおおむね同一である。従って、上ベルト機構50Aについて上ベルト機構50と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0067】
この上ベルト機構50Aは、二つの送りモーター52,52を上下に並べて支持するモーターブラケット521Aを備えており、当該モーターブラケット521Aは前述したモーターブラケット521と同じ位置でミシンアーム部23に取り付けられている。
各送りモーター52の出力軸には、いずれも、モータープーリ522が装備され、上側の送りモーター52のモータープーリ522には、左ベルト512のみが巻回され、下側の送りモーター52のモータープーリ522には、中央ベルト511及び右ベルト513が巻回されている。
或いは、上側の送りモーター52のモータープーリ522には、左ベルト512と中央ベルト511が巻回され、下側の送りモーター52のモータープーリ522には、右ベルト513のみが巻回されていても良い。
【0068】
このように、左ベルト512と右ベルト513とを別々の送りモーター52で搬送する構成とすることにより、二つの送りモーター52,52の送り速度に差を設けるように制御することで、被縫製物Cの送り方向を右曲がり或いは左曲がりに制御することが可能となり、右曲がり或いは左曲がりの縫製に容易且つ良好に対応することが可能となる。また、二つの送りモーター52,52の送り速度差を任意に設定することにより、右曲がり或いは左曲がりの曲率まで制御することが可能となる。
【0069】
なお、二つの送りモーター52,52の送り速度差の設定は、前述した操作パネル91の入力操作で行うことが望ましい。
また、前述した調節ダイヤル92と同じ調節ダイヤルをもう一つ設け、当該新たな調節ダイヤルの正回転又は逆回転により、二つの送りモーター52,52の送り速度差を設定入力可能としても良い。
さらに、送りモーターを三基備え、中央ベルト511と左ベルト512と右ベルト513とで個別にベルト送り速度を制御しても良い。
【0070】
[第二の実施形態]
第二の実施形態である扁平縫いミシン10Bについて
図10〜
図12に基づいて説明する。
図10は扁平縫いミシン10Bの針板周辺の斜視図、
図11は扁平縫いミシン10Bに搭載されている下ベルト機構70Bの斜視図、
図12は下ベルト機構70Bの側面図である。
なお、扁平縫いミシン10Bについても、水平な一方向をX軸方向、水平且つX軸方向に直交する方向をY軸方向、垂直な方向Z軸方向と定義する。また、
図1に示すように、X軸方向の一方を「前」、他方を「後」とし、Y軸方向の一方の「左」、他方を「右」として以下の説明を行う。
【0071】
扁平縫いミシン10Bは、前述した下送り機構に替えて、針板12B上の被縫製物Cに下方から送る下ベルト機構70Bを備えている点が扁平縫いミシン10と異なっている。
従って、以下の説明では、扁平縫いミシン10と同一の構成については同符号を付して説明を省略し、主に、下ベルト機構70Bについて説明する。
【0072】
[下ベルト機構]
下ベルト機構70Bは、複数の送りベルトとしての無端環状の中央ベルト711B,左ベルト712B,右ベルト713Bと、ベルト送りの駆動源となる送りモーターとしての下送りモーター72Bと、下送りモーター72Bから針板12Bを通過する経路で各ベルト711B〜713Bをガイドするガイド機構73Bとを備えている。
【0073】
下送りモーター72Bは、回転数が制御可能なモーター、例えば、直流モーター、交流モーター、ステッピングモーター等が使用される。
そして、下送りモーター72Bは、出力軸を右方に向けた状態で、モーターブラケット721Bを介してミシンベッド部21の先端部の前面側に固定装備されている。
また、下送りモーター72Bの出力軸には各ベルト711B〜713Bの一部が巻回されるモータープーリ722Bが装備されている。
【0074】
ガイド機構73Bは、各ベルト711B〜713Bをガイドするガイド枠731Bと、モータープーリ722Bから針板12Bに到る中央ベルト711Bのベルト経路を形成する複数のガイドローラー732Bと、ガイド枠731Bに設けられ、ミシンベッド部21の外周を一周するように、左ベルト712B及び右ベルト713Bを搬送可能に支持するガイドローラー733Bとを備えている。
【0075】
ガイド枠731Bは、Y軸方向から見て略矩形の枠体であり、ミシンベッド部21の先端部を取り囲むように当該ミシンベッド部21に装備されている。
また、このガイド枠731Bの上部は針板12に連結されており、ガイド枠731Bに支持された各ベルト711B〜713Bを針板12Bの上面に案内することが可能である。
【0076】
中央ベルト711Bのガイドローラー732Bは、モータープーリ722Bと針板12Bの間となる位置と、針板12Bの針穴121B近傍であって当該針穴121Bの送り方向下流側となる位置とに設けられている。
針板12Bは、その前端部中央から針穴121Bの手前まで切り欠かれており、当該切り欠きの内側にガイドローラー732Bの一つが配置されている。
そして、中央ベルト711Bの一端部がモータープーリ722Bに掛け渡され、他端部が針板12B針の切り欠きの内側のガイドローラー732Bに掛け渡されている。また、途中の二つのガイドローラー732Bは、中央ベルト711Bに弛みが生じないようにテンションローラーとして機能している。
【0077】
左ベルト712Bと右ベルト713Bのガイドローラー733Bは、ガイド枠731Bの四隅に設けられ、ミシンベッド部21の先端部を取り囲む略矩形のベルト経路を形成している。また、ガイドローラー733Bには、左ベルト712B及び右ベルト713Bに弛みが生じない状態でモータープーリ722Bに圧接するように配置されたテンションローラーとして機能するものも含まれている。
【0078】
針板12Bの上面には、針穴121Bを挟んでY軸方向の両側にX軸方向に沿ったガイド溝が二本形成されている。各ベルト712B,713Bは、各ガイドローラー733Bにより、針板12Bの二本のガイド溝内を通過するように案内されている。
これらのガイド溝は、針板12Bの上面に載置された被縫製物Cに対して下側から良好に接するように、溝の深さが各ベルト712B,713Bの厚さよりも浅く形成されている。
【0079】
上記ガイド機構73B及び針板12Bにより、中央ベルト711Bは、針落ち位置である針穴121Bの送り方向下流側で針板12B上の被縫製物Cに下から接した状態で被縫製物Cの送りを行う。
また、左ベルト712B及び右ベルト713Bは、針落ち位置である針穴121Bの左右両側において、針穴121Bよりも送り方向上流側から下流側に到る範囲で針板12B上の被縫製物Cに下から接した状態で被縫製物Cの送りを行う。
【0080】
上記下送りモーター72Bも、制御装置90によりその回転動作が制御される。この場合、下送りモーター72Bは、原則として、上ベルト機構50の送りモーター52と被縫製物Cの送り速度が等しくなるように制御される。
但し、被縫製物Cの上側部分と下側部分とで送り速度に差が生じた場合に対応できるように、送りモーター52とは別に下送りモーター72Bの回転数を増減させる調整制御を行うことができるように構成しても良い。
下送りモーター72Bの送り速度を独立して制御する場合には、操作パネル91から、下送りモーター72Bの送り速度を入力するか、上ベルト機構50の送り速度に対する速度差や速度比を入力する。
また、上ベルト機構50の送りモーター52の場合のように、下送りモーター72Bも、回転操作により送り速度の増減を入力する調節ダイヤルを設けてもよい。
【0081】
[第二の実施形態の技術的効果]
上記扁平縫いミシン10Bは、下ベルト機構70Bを設けたので、間欠的に被縫製物Cに接する送り歯による送りを行う下送り機構と異なり、被縫製物に対して、ベルト711B〜713Bにより常に縫製物Cに接して送りを行うことができる。従って、被縫製物Cを上下からベルトで常に接した状態で送ることができ、被縫製物Cの上部と下部とでズレが生じにくく、高い縫い品質で縫製を行うことが可能となる。
さらに、被縫製物Cの下側に各ベルト711B,712B,713Bが接して送りを行うので、送り歯で送り出される場合と異なり、段差や厚みがある被縫製物Cの場合でも送り歯による傷や圧痕の発生を低減することが可能となる。
【0082】
また、中央ベルト711Bは、被縫製物Cに接する位置と針落ち位置(針穴121B)とがX軸方向に沿って並ぶように配置され、且つ、針落ち位置に対して送り方向下流側(前側)で被縫製物Cに接するように配置されている。
このため、縫い針11による被縫製物Cの送りの遅れを低減して、全体的により良好に被縫製物Cを送ることが可能となる。
また、左ベルト712B及び右ベルト713Bが中央ベルト711Bを挟んでY軸方向についてその両側に配置されているので、三本のベルト711B〜713Bによってさらに直進性に優れる送りを行うことが可能となる。
【0083】
なお、下ベルト機構70Bの場合も、
図9に示す上ベルト機構と同様に、二基の下送りモーターを備え、一方の下送りモーターで中央ベルト711Bと左ベルト712Bを送り、他方の下送りモーターで右ベルト713Bを送り、これらの下ベルト送り速度を個別に制御しても良い。また、一方の下送りモーターで中央ベルト711Bと右ベルト713Bを送り、他方の下送りモーターで左ベルト712Bを送り、これらの下ベルト送り速度を個別に制御しても良い。
或いは、三基の下送りモーターを備え、中央ベルト711Bと左ベルト712Bと右ベルト713Bとで個別に下ベルト送り速度を制御しても良い。
【0084】
[その他]
なお、上記上ベルト機構50,50Aでは、送りベルトを三本とする場合を例示したが、送りベルトは二本でも良い。その場合、削除する送りベルトは、左ベルト512又は右ベルト513とすることが望ましい。
このように、送りベルトを二本で構成する場合でも、送りモーター52の速度をミシンモーターとは別に制御することで、被縫製物Cの上側部分と下側部分とで送り量の差を低減することが可能である。
また、下ベルト機構70Bについても同様に、送りベルトを二本(中央ベルト711Bと左ベルト712B又は中央ベルト711Bと右ベルト713B)にしても良い。
【0085】
また、左ベルト512(或いは左ベルト712B)を削除した場合には、右側に湾曲するように被縫製物Cを誘導し易くなり、右ベルト513(或いは右ベルト713B)を削除した場合には、左側に湾曲するように被縫製物Cを誘導し易くなり、手操作での湾曲した縫い目の形成も容易に行うことが可能となる。