特開2017-222046(P2017-222046A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222046(P2017-222046A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】自己融着性評価方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/82 20060101AFI20171124BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20171124BHJP
   G01N 33/44 20060101ALI20171124BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
   B29C65/82
   B29C35/02
   G01N33/44
   B29K21:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-117274(P2016-117274)
(22)【出願日】2016年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】森田 智博
【テーマコード(参考)】
4F203
4F211
【Fターム(参考)】
4F203AA45
4F203AB03
4F203AP19
4F203AR02
4F203AR12
4F203AR20
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F211AA45
4F211AD08
4F211AD24
4F211AG03
4F211AG08
4F211TA09
4F211TC02
4F211TH20
4F211TN84
4F211TW39
(57)【要約】
【課題】未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法を提供する。
【解決手段】厚み方向に貫通する開口部を有する第2未加硫ゴムシートの両面に上記開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートを重ね合せることで第1未加硫ゴムシートと第2未加硫ゴムシートと第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備する積層体準備工程と、上記未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで第1未加硫ゴムシートと第3未加硫ゴムシートとが開口部を埋め尽くすように自己融着した加硫ゴムシート積層体を得る加硫工程と、上記加硫ゴムシート積層体の断面を観察することで自己融着した第1未加硫ゴムシートと第3未加硫ゴムシートとの間に空隙が存在するか否かを確認する断面観察工程とを備える、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通する開口部を有する第2未加硫ゴムシートの両面に、前記開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートを重ね合せることで、前記第1未加硫ゴムシートと前記第2未加硫ゴムシートと前記第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備する積層体準備工程と、
前記未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで、前記第1未加硫ゴムシートと前記第3未加硫ゴムシートとが前記開口部を埋め尽くすように自己融着した加硫ゴムシート積層体を得る加硫工程と、
前記加硫ゴムシート積層体の断面を観察することで、自己融着した前記第1未加硫ゴムシートと前記第3未加硫ゴムシートとの間に空隙が存在するか否かを確認する断面観察工程とを備える、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法。
【請求項2】
前記第2未加硫ゴムシートの前記開口部の開口率が、1〜95%である、請求項1に記載の自己融着性評価方法。
【請求項3】
前記開口部の面方向の形状が、前記第1未加硫ゴムシートの面方向の形状及び前記第3未加硫ゴムシートの面方向の形状と相似である、請求項1又は2に記載の自己融着性評価方法。
【請求項4】
前記加硫が、スチーム加硫であり、
前記スチーム加硫の蒸気圧が、5MPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己融着性評価方法。
【請求項5】
前記加硫が、プレス加硫であり、
前記プレス加硫のプレス圧が、1MPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己融着性評価方法。
【請求項6】
前記断面観察工程において、前記加硫ゴムシート積層体に対して鋭利なカッターで切り込みを入れることによって断面を作製する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自己融着性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己融着性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホース(例えば、マリンホース)を製造する方法として、図9に示されるようにマンドレル50に未加硫ゴムシート60を巻き付け、その後加硫する方法が知られている(例えば、特許文献1)。このとき、図9に示されるように、未加硫ゴムシートはその端部同士が重なり合うようにマンドレル50に巻き付けられる。ここで、未加硫ゴムシート同士が重なり合った部分62では、下に位置する未加硫ゴムシートと上に位置する未加硫ゴムシートとの間に多少隙間ができるが、その後の加硫によって未加硫ゴムシートが流れて上記隙間は埋められる。すなわち、未加硫ゴムシート同士が自己融着する。
一方で、加硫しても上述した隙間が完全に埋められない場合がある。すなわち自己融着が不十分となる場合がある。このようにゴムシート間に空隙が生じてしまうと、ホースとしての耐久性が低下するため問題である。
従来、このような空隙が生じるか否かを事前に予測する方法として、例えば、ゴムシート同士の剥離力(例えば、JIS K6854−1)を評価する方法が用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−296607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようななか、本発明者の検討から、上述したような剥離力の評価で十分な剥離力を示す場合でも、ホースを製造するとゴムシート間に空隙が生じてしまう場合があることが明らかになった。すなわち、上述したような剥離力の評価では未加硫ゴムシート同士の自己融着性を十分に評価することができないことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、厚み方向に貫通する開口部を有する未加硫ゴムシートの両面に上記開口部を閉じるように未加硫ゴムシートを重ね合せた未加硫ゴムシート積層体を用いることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) 厚み方向に貫通する開口部を有する第2未加硫ゴムシートの両面に、上記開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートを重ね合せることで、上記第1未加硫ゴムシートと上記第2未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備する積層体準備工程と、
上記未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで、上記第1未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとが上記開口部を埋め尽くすように自己融着した加硫ゴムシート積層体を得る加硫工程と、
上記加硫ゴムシート積層体の断面を観察することで、自己融着した上記第1未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとの間に空隙が存在するか否かを確認する断面観察工程とを備える、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法。
(2) 上記第2未加硫ゴムシートの上記開口部の開口率が、1〜95%である、上記(1)に記載の自己融着性評価方法。
(3) 上記開口部の面方向の形状が、上記第1未加硫ゴムシートの面方向の形状及び上記第3未加硫ゴムシートの面方向の形状と相似である、上記(1)又は(2)に記載の自己融着性評価方法。
(4) 上記加硫が、スチーム加硫であり、
上記スチーム加硫の蒸気圧が、5MPa以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の自己融着性評価方法。
(5) 上記加硫が、プレス加硫であり、
上記プレス加硫のプレス圧が、1MPa以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の自己融着性評価方法。
(6) 上記断面観察工程において、上記加硫ゴムシート積層体に対して鋭利なカッターで切り込みを入れることによって断面を作製する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の自己融着性評価方法。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価するための自己融着性評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、未加硫ゴムシート積層体の一実施態様の断面図である。
図2図2は、未加硫ゴムシート積層体の一実施態様の平面図である。
図3図3は、第1未加硫ゴムシート10の平面図である。
図4図4は、第2未加硫ゴムシート20の平面図である。
図5図5は、第3未加硫ゴムシート30の平面図である。
図6図6は、加硫ゴムシート積層体の一態様の断面図である。
図7図7は、加硫ゴムシート積層体の一態様の断面図である。
図8図8は、加硫ゴムシート積層体の一態様の平面図である。
図9図9は、ホースの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の自己融着性評価方法について説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[自己融着性評価方法]
本発明の自己融着性評価方法(以下、「本発明の評価方法」とも言う)は、下記(1)〜(3)の工程を備える。
【0012】
・工程(1):積層体準備工程
厚み方向に貫通する開口部を有する第2未加硫ゴムシートの両面に、上記開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートを重ね合せることで、上記第1未加硫ゴムシートと上記第2未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備する工程
・工程(2):加硫工程
上記未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで、上記第1未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとが上記開口部を埋め尽くすように自己融着した加硫ゴムシート積層体を得る工程
・工程(3):断面観察工程
上記加硫ゴムシート積層体の断面を観察することで、自己融着した上記第1未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとの間に空隙が存在するか否かを確認する工程
【0013】
本発明の評価方法はこのような構成をとるため未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価することができると考えられる。その理由は明らかではないが、第2未加硫ゴムシートの開口部が、上述した未加硫ゴム同士の重なり合った部分(図9の未加硫ゴムシート同士が重なり合った部分62)に生じる空隙を模擬するためと推測される。
【0014】
以下、各工程について詳述する。
【0015】
〔工程(1):積層体準備工程〕
積層体準備工程は、厚み方向に貫通する開口部を有する第2未加硫ゴムシートの両面に、上記開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートを重ね合せることで、上記第1未加硫ゴムシートと上記第2未加硫ゴムシートと上記第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備する工程である。
【0016】
最初に図面を用いて積層体準備工程の一実施態様について説明する。
図1及び図2は、それぞれ未加硫ゴムシート積層体の一実施態様の断面図及び平面図である。
図3〜5は、それぞれ、未加硫ゴムシート積層体の一実施態様に使用される第1未加硫ゴムシート10の平面図、第2未加硫ゴムシート20の平面図、及び、第3未加硫ゴムシート30の平面図である。ここで、図4に示されるように、第2未加硫ゴムシート30は、厚み方向に貫通する開口部28を有する。
【0017】
まず、第2未加硫ゴムシート20の一方の面に上記開口部28を閉じるように第1未加硫ゴムシート10を重ね合せる。次いで、第2未加硫ゴムシートのもう一方の面に上記開口部28を閉じるように第3未加硫ゴムシートを重ね合せる。このようにして、図1及び2に示されるような、第1未加硫ゴムシート10と第2未加硫ゴムシート20と第3未加硫ゴムシート30とをこの順に備える未加硫ゴム積層体100を準備する。なお、未加硫ゴム積層体100において、第2未加硫ゴムシート20の開口部28は、第1未加硫ゴムシート10及び第2未加硫ゴムシート20によって閉じられた空間になっている。
【0018】
以下では、まず未加硫ゴムシートについて説明し、その後、未加硫ゴムシート積層体の製造方法について説明する。
【0019】
<未加硫ゴムシート>
未加硫ゴムシート(第1未加硫ゴムシート、第2未加硫ゴムシート、第3未加硫ゴムシート)は、自己融着性の評価対象となる未加硫ゴムシート(加硫前のゴムシート)である。本発明の評価方法により、上記未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価することができる。
未加硫ゴムシートの形状は特に制限されないが、自己融着性の評価の再現性(以下、単に単に「再現性」とも言う)がより優れる理由から、平板状であることが好ましい。また、平面方向の形状は特に制限されず、正方形、長方形、円形、楕円形などが挙げられる。なかでも、再現性がより優れる理由から、正方形、長方形であることが好ましい。
未加硫ゴムシートの平面方向の大きさは特に制限されないが、後述するように第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートは第2未加硫ゴムシートの開口部を閉じる必要があるため、第1未加硫ゴムシート及び第3未加硫ゴムシートの平面方向の大きさは開口部の平面方向の大きさよりも大きい必要がある。未加硫ゴムシートの厚みは、ホース等の製造に実際に用いられる未加硫ゴムシートの厚みと同程度であることが好ましい。
【0020】
第2未加硫ゴムシートは、厚み方向に貫通する開口部を有する。開口部の平面方向の形状は特に制限されず、正方形、長方形、円形、楕円形などが挙げられる。開口部の面方向の形状は、再現性がより優れる理由から、第1未加硫ゴムシートの面方向の形状及び第3未加硫ゴムシートの面方向の形状と相似であるのが好ましい。
開口部の開口率は特に制限されないが、再現性がより優れる理由から、1〜95%であることが好ましく、5〜95%であることがより好ましく、50〜90%であることがさらに好ましい。ここで開口率とは、第2未加硫ゴムシートの平面方向の面積に対する、開口部の平面方向の面積の割合を表す。例えば、後述する実施例1の場合、第2未加硫ゴムシートの平面方向の面積が100mm×100mm、開口部の平面方向の面積が80mm×80mmであるので、開口率は64%である。
第2未加硫ゴムシートにおける開口部の位置は特に制限されないが、再現性がより優れる理由から、図4に示されるように第2未加硫ゴムシートの中央付近であることが好ましい。
【0021】
<未加硫ゴムシート積層体の製造方法>
未加硫ゴムシート積層体の製造方法は特に制限されないが、まず、第2未加硫ゴムシートの一方の面に第2未加硫ゴムシートの開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシートを重ね合せ、次いで、第2未加硫ゴムシートのもう一方の面に開口部を閉じるように第3未加硫ゴムシートを重ね合せる方法が好ましい。
【0022】
〔工程(2):加硫工程〕
加硫工程は、上述した工程(1)で得られた未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで、第1未加硫ゴムシートと第3未加硫ゴムシートとが開口部を埋め尽くすように自己融着した加硫ゴムシート積層体を得る工程である。
【0023】
<加硫方法>
加硫の方法は特に制限されないが、再現性がより優れる理由から、スチーム加硫、プレス加硫であることが好ましく、スチーム加硫であることがより好ましい。
加硫温度は特に制限されないが、100〜200℃であることが好ましい。加硫時間も特に制限されないが、10〜120分であることが好ましい。
加硫の方法がスチーム加硫である場合、スチーム加硫の蒸気圧は5MPa以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、1MPa以上であることが好ましい。
加硫の方法がプレス加硫である場合、プレス加硫のプレス圧は1MPa以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、0.2MPa以上であることが好ましい。
【0024】
<加硫ゴムシート積層体>
次に、図面を用いて、加硫ゴムシート積層体について説明する。
図6は、図1及び図2に示されるような未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで得られた加硫ゴムシート積層体の一態様の断面図である。
また、図7も、図1及び図2で示されるような未加硫ゴムシート積層体に対して加硫を行うことで得られた加硫ゴムシート積層体の一態様の断面図である。
図6の加硫ゴムシート積層体200aでは、加硫後の第1未加硫ゴムシート(第1加硫ゴムシート)12aと加硫後の第3未加硫ゴムシート(第3加硫ゴムシート)32aとが、加硫後の第2未加硫ゴムシート(第2加硫ゴムシート)22aの開口部を完全に埋め尽くすように自己融着している。そのため、後述する図7に示されるような空隙は存在しない。使用された未加硫ゴムシート同士の自己融着性が十分である場合、図6に示されるような加硫ゴムシート積層体が得られるものと考えられる。
一方、図7の加硫ゴムシート積層体200bでは、加硫後の第1未加硫ゴムシート(第1加硫ゴムシート)12bと加硫後の第3未加硫ゴムシート(第3加硫ゴムシート)32bとが、加硫後の第2未加硫ゴムシート(第2加硫ゴムシート)22bの開口部を埋め尽くすように自己融着しているが、完全には自己融着せず空隙28xが存在する。使用された未加硫ゴムシート同士の自己融着性が不十分である場合、図7に示されるような空隙29xが存在する加硫ゴムシート積層体が得られるものと考えられる。
なお、このような自己融着性の違いは、未加硫ゴムシートの物性や未加硫ゴムシートの表面形状(例えば、凹凸)等によって生じるものと考えられる。
【0025】
〔工程(3):断面観察工程〕
断面観察工程は、上述した工程(2)で得られた加硫ゴムシート積層体の断面を観察することで、自己融着した第1未加硫ゴムシート(第1加硫ゴムシート)と第3未加硫ゴムシート(第2加硫ゴムシート)との間に空隙が存在するか否かを確認する工程である。
例えば、上述した図6の加硫ゴムシート積層体200aの場合、空隙が確認されず、使用された未加硫ゴムシートは、未加硫ゴムシート同士の自己融着性が十分であると評価される。一方、上述した図7の加硫ゴムシート積層体200bの場合、空隙28xが確認され、使用された未加硫ゴムシートは、未加硫ゴムシート同士の自己融着性が不十分であると評価される。
【0026】
<断面観察方法>
上記断面を作製する方法は特に制限されないが、生じた空隙を潰さないようにするために、加硫ゴムシート積層体に対して鋭利なカッターで切り込みを入れることによって断面を作製する方法が好ましい。また、空隙を見逃さないように、少なくとも3箇所以上切り込みを入れることが好ましい。例えば、図8に示されるように、加硫ゴム積層体200(第1加硫ゴムシート12、第2加硫ゴムシート22、第3加硫ゴムシート32)に対して、5箇所に切り込みCを入れる方法が挙げられる。
【0027】
[用途]
本発明の評価方法は、特に、低圧の加硫方法によって加硫を行う場合の未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価する方法として有用である。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〕
10種類のNBR(ニトリルゴム)系ゴム組成物(A1〜A10)を調製し、各組成物を用いて10種類の未加硫ゴムシート(厚み:2mm)を作製した。そして、各未加硫ゴムシート(A1〜A10)について以下のとおり自己融着性の評価を行った。
なお、図9に示されるようにマンドレルに各未加硫ゴムシート(A1〜A10)を巻き付け、その後加硫することで10種類のホースを製造したところ、5種類(A1〜A5)については空隙が見られ(自己融着性が不十分)、残りの5種類(A6〜A10)については空隙が見られなかった(自己融着性が十分)。
【0030】
<積層体準備工程>
未加硫ゴムシートを切断し、未加硫ゴムシート(100mm×100mm×2mm)を3枚作製した。また、作製した3枚の未加硫ゴムシートのうち1枚(第2未加硫ゴムシート)について、中央付近に厚み方向に貫通する開口部(80mm×80mm×2mm)(開口率:64%)を設けた。このようにして、図3に示すような第1未加硫ゴムシート、図4に示すような第2未加硫ゴムシート、及び、図5に示すような第3未加硫ゴムシートを作製した。
次いで、第2未加硫ゴムシートの一方の面に開口部を閉じるように第1未加硫ゴムシートを重ね合せた。また、第2未加硫ゴムシートのもう一方の面に開口部を閉じるように第3未加硫ゴムシートを重ね合せた。このようにして、図2に示されるような、第1未加硫ゴムシートと第2未加硫ゴムシートと第3未加硫ゴムシートとをこの順に備える未加硫ゴムシート積層体を準備した。
【0031】
<加硫工程>
得られた未加硫ゴムシート積層体に対してスチーム加硫を行った。なお、スチーム加硫は100℃で15分間加熱した後に、148℃で60分間加熱することで行った。スチーム加硫の蒸気圧は、3.5MPaであった。このようにして加硫ゴムシート積層体を得た。
【0032】
<断面観察工程>
得られた加硫ゴムシート積層体に対して鋭利なカッターで切り込みを入れることによって断面を作製した。そして、断面を観察し、空隙が存在するか否かを確認した。
各未加硫ゴムシート(A1〜A10)全てについて加硫ゴムシート積層体(A1〜A10)を作製し、断面を観察した。
そして、下記式から再現率を求め、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
再現率=((A1〜A5のうち空隙が見られた加硫ゴムシート積層体の数)+(A6〜A10のうち空隙が見られなかった加硫ゴムシート積層体の数))÷10×100(%)
A:再現率が90%以上
B:再現率が70%以上90%未満
C:再現率が70%未満
【0033】
〔実施例2〕
開口部の大きさを10mm×10mm×2mm(開口率:1%)にした以外は、実施例1と同様の手順に従って、加硫ゴムシート積層体(A1〜A10)を作製し、断面を観察した。そして、再現率を求めた。結果を表1に示す。
【0034】
〔実施例3〕
開口部の大きさを3mm×3mm×2mm(開口率:0.09%)にした以外は、実施例1と同様の手順に従って、加硫ゴムシート積層体(A1〜A10)を作製し、断面を観察した。そして、再現率を求めた。結果を表1に示す。
【0035】
〔実施例4〕
開口部の大きさを98mm×98mm×2mm(開口率:96%)にした以外は、実施例1と同様の手順に従って、加硫ゴムシート積層体(A1〜A10)を作製し、断面を観察した。そして、再現率を求めた。結果を表1に示す。
【0036】
〔実施例5〕
10種類のNBR(ニトリルゴム)系ゴム組成物(A1〜A10)を用いる代わりに、10種類のNR(天然ゴム)系ゴム組成物(B1〜B10)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、加硫ゴムシート積層体(B1〜B10)を作製し、断面を観察した。そして、再現率を求めた。結果を表1に示す。
なお、図9に示されるようにマンドレルに各未加硫ゴムシート(B1〜B10)を巻き付け、その後加硫することで10種類のホースを製造したところ、5種類(B1〜B5)については空隙が見られ(自己融着性が不十分)、残りの5種類(B6〜B10)については空隙が見られなかった(自己融着性が十分)。
【0037】
〔比較例1〕
上述した10種類のNBR系ゴム組成物について、JIS K6854−1に基づき、剥離接着強さ試験を行った。結果、剥離力と自己融着性との間に十分な相関は見られなかった(再現率はCに相当)。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から分かるように、実施例1〜5の自己融着性試験方法は、ホースにしたときの空隙の発生を高い確率で再現した。すなわち、本発明の自己融着性試験方法により、未加硫ゴムシート同士の自己融着性を評価することができることが分かった。
実施例1〜4の対比から、第2未加硫ゴムシートの開口部の開口率が1〜95%である実施例1及び2は、より高い再現率を示した。
また、実施例1と5との対比から、加硫がスチーム加硫である実施例1は、より高い再現率を示した。
一方、剥離接着強さ試験(JIS K6854−1)の場合、剥離力と自己融着性との間に十分な相関が見られず、自己融着性を評価することができないことが分かった。
【符号の説明】
【0040】
10 第1未加硫ゴムシート
12、12a、12b 第1加硫ゴムシート
20 第2未加硫ゴムシート
22、22a、22b 第2加硫ゴムシート
28 開口部
28x 空隙
30 第3未加硫ゴムシート
32、32a、32b 第3加硫ゴムシート
50 マンドレル
60 未加硫ゴムシート
62 未加硫ゴムシート同士が重なり合った部分
100 未加硫ゴムシート積層体
200、200a、200b 加硫ゴムシート積層体
C 切り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9