【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における第1の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーとを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記中間品が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバーを配置することを特徴とする。
【0014】
第1の樹脂ウィンドウの製造方法では、第1型の第1型面が第1形成部位と第2形成部位とを有している。第1形成部位は、第1射出工程で中間品を得る際に、隠蔽体の裏面を形成する。第2形成部位は、第2射出工程で製品を得る際に、透明体の第2面を形成する。また、この製造方法では、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、透明な基材の裏面に導電部及びバスバーが形成されている。そして、配置工程で第1型面に機能フィルムを配置する際には、第2形成部位に導電部を配置するとともに、第1形成部位にバスバーを配置した状態で、基材の裏面を前記第1型面に当接させる。これらのため、第1射出工程で得られた中間体では、隠蔽体の裏面にバスバーを位置させた状態で、機能フィルムの周縁に隠蔽体が一体に設けられることになる。そして、第2射出工程では、透明体の第2面の周縁に中間品が一体に設けられた製品、つまり、透明体の第2面に隠蔽体と導電部とが一体に設けられた樹脂ウィンドウが得られる。
【0015】
こうして、この製造方法では、機能フィルムが基材と導電部とバスバーとを有しているため、導電部及びバスバーを透明体に直接形成する場合に比べて、これらを容易に設けることが可能となる。そして、この製造方法では、導電部は透明体の第2面に配置され、バスバーは隠蔽体の裏面に配置される。ここで、透明体は透明樹脂からなる一方、隠蔽体は不透明樹脂からなる。このため、この製造方法で得られた樹脂ウィンドウでは、導電部は透明体の第1面側に露出するものの、バスバーは、隠蔽体によって隠蔽され、透明体の第1面側に露出しない。このため、この製造方法では、透明体の第1面側にバスバーが露出することを防止するために、第1面に対して、別途に隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程が不要となる。
【0016】
したがって、本発明における第1の樹脂ウィンドウの製造方法によれば、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0017】
本発明における第2の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーを形成するバスバー形成部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記第1中間品が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバー形成部を配置することを特徴とする。
【0018】
第2の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1の樹脂ウィンドウの製造方法とほぼ同様であるものの、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、基材の裏面にバスバー形成部が形成されている。つまり、フィルム準備工程で準備された際の機能フィルムには、バスバーは形成されていない。そして、配置工程で第1型面に機能フィルムを配置する際には、第2形成部位に導電部を配置するとともに、第1形成部位にバスバー形成部を配置した状態で、基材の裏面を前記第1型面に当接させる。これにより、第1射出工程で得られた第1中間体では、隠蔽体の裏面にバスバー形成部を位置させた状態で、機能フィルムの周縁に隠蔽体が一体に設けられることになる。そして、バスバー形成工程において、バスバー形成部にバスバーが形成され、樹脂ウィンドウが得られる。こうして、この製造方法によっても、上記の第1の樹脂ウィンドウの製造方法と同様の作用を奏することが可能である。
【0019】
したがって、本発明における第2の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0020】
本発明における第1の樹脂ウィンドウは、板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面の周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体と、
前記透明体の前記第2面と前記隠蔽体の裏面とに一体に設けられた機能フィルムとを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面及び前記隠蔽体の前記裏面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記隠蔽体の前記裏面に位置して前記導電部と通電可能なバスバーとを有していることを特徴とする。
【0021】
本発明における第1の樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが透明体の第2面と隠蔽体の裏面とに一体に設けられている。これにより、導電部は透明体の第2面に配置され、バスバーは、隠蔽体の裏面に配置される。そして、透明体は透明樹脂からなり、隠蔽体は不透明樹脂からなる。このため、この樹脂ウィンドウは、第1、2の樹脂ウィンドウの製造方法で得られた樹脂ウィンドウと同様の作用を奏することが可能である。
【0022】
したがって、本発明における第1の樹脂ウィンドウは、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0023】
本発明における第3の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記バスバーと重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備えていることを特徴とする。
【0024】
第3の樹脂ウィンドウの製造方法では、フィルム準備工程で準備される機能フィルムは、透明な基材の裏面に導電部及びバスバーが形成されている他、基材の表面又は裏面に不透明色からなる着色部が形成されている。そして、配置工程では、基材の裏面を第1型面に当接させつつ、第1型面に機能フィルムを配置する。このため、第1射出工程で得られた中間体では、基材の表面に透明体の第2面が一体に設けられることになる。そして、第2射出工程では、透明体の第2面の周縁に隠蔽体が一体に設けられた樹脂ウィンドウが得られる。この際、枠体は、導電部及びバスバーを露出させて形成される。
【0025】
こうして、この製造方法でも、機能フィルムが基材と導電部とバスバーとを有しているため、導電部及びバスバーを透明体に直接形成する場合に比べて、これらを容易に設けることが可能となる。さらに、機能フィルムは、着色部を有しているため、この製造方法で得られた樹脂ウィンドウでは、バスバーは基材の表面側、ひいては、透明体の第1面側に露出することがない。このため、この製造方法でも、透明体の第1面側にバスバーが露出することを防止するために、第1面に対して、別途に隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程が不要となる。また、例えば、第1面に不透明色を着色して着色部を形成する場合には、着色部とバスバーとの位置決めを慎重に行う必要があり、その分、樹脂ウィンドウの製造が複雑になる。これに対し、この製造方法では、機能フィルムが着色部を有することにより、着色部とバスバーとの位置決めを新たに行う必要がなく、製造を容易化できる。
【0026】
さらに、隠蔽体がバスバーを隠蔽する必要がないため、この製造方法では、隠蔽体を必要以上に大きく形成しなくても足りる。このため、この製造方法では、第2射出工程において、第2溶融樹脂の射出量を少なくすることができる。
【0027】
したがって、本発明における第3の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウ高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0028】
本発明における第4の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーが形成されるバスバー形成部と、前記バスバー形成部に重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備えていることを特徴とする。
【0029】
第4の樹脂ウィンドウの製造方法は、第3の樹脂ウィンドウの製造方法とほぼ同様であるものの、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、基材の裏面にバスバー形成部が形成されている。つまり、この製造方法では、フィルム準備工程で準備された際の機能フィルムには、バスバーは形成されていない。これにより、第1射出工程で得られた第1中間体では、基材の裏面にバスバー形成部が露出した状態となる。そして、バスバー形成工程において、バスバー形成部にバスバーが形成されて樹脂ウィンドウが得られる。こうして、この製造方法によっても、上記の第3の樹脂ウィンドウの製造方法と同様の作用を奏することが可能である。
【0030】
したがって、本発明における第4の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0031】
本発明における第2の樹脂ウィンドウは、板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面に一体に設けられた機能フィルムと、
前記透明体の前記第2面の周縁及び前記機能フィルムの裏面の前記周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体とを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出することを防止する着色部とを有し、
前記隠蔽体は、前記導電部及び前記バスバーを露出させていることを特徴とする。
【0032】
本発明における第2の樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが導電部、バスバー及び着色部を有している。この着色部は、不透明色からなる。そして、この樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが透明体の第2面に一体に設けられることにより、導電部、バスバー及び着色部が透明体に設けられている。このため、この樹脂ウィンドウは、第3、4の樹脂ウィンドウの製造方法で得られた樹脂ウィンドウと同様の作用を奏することが可能である。
【0033】
したがって、本発明における第2の樹脂ウィンドウも、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。