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特開2017-222094樹脂ウィンドウの製造方法及び樹脂ウィンドウ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222094(P2017-222094A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】樹脂ウィンドウの製造方法及び樹脂ウィンドウ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20171124BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20171124BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20171124BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C45/16
   B29C39/26
   B29L9:00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-119233(P2016-119233)
(22)【出願日】2016年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】竹村 憲治
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AA28
4F202AD08
4F202AD20
4F202AG01
4F202AG03
4F202AG23
4F202AH17
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB13
4F202CB22
4F202CB28
4F202CK19
4F202CQ01
4F206AA28
4F206AD08
4F206AD20
4F206AG01
4F206AG03
4F206AG23
4F206AH17
4F206JB13
4F206JB22
4F206JB28
4F206JF05
4F206JN12
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能な樹脂ウィンドウの製造方法及び樹脂ウィンドウを提供する。
【解決手段】本発明の樹脂ウィンドウの製造方法では、型準備工程で第1型11、第2型13及び第3型15を準備する。また、フィルム準備工程で機能フィルム5を準備する。機能フィルム5は、基材5a、導電部5b及びバスバー5c、5dを有しており、熱変形可能である。配置工程では、基材5aの裏面50bを第1型11の第1型面130に当接させつつ、第1型面130に機能フィルム5を配置する。第1射出工程では、機能フィルム5の周縁に隠蔽体3が一体に設けられた中間品17を得る。第2射出工程では、第1面1a及び第2面1bを有する透明体1を形成する。この際、第2面1bの周縁に中間品17が一体に設けられる。こうして、樹脂ウィンドウ100が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーとを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記中間品が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバーを配置することを特徴とする樹脂ウィンドウの製造方法。
【請求項2】
第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーを形成するバスバー形成部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記第1中間品が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバー形成部を配置することを特徴とする樹脂ウィンドウの製造方法。
【請求項3】
板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面の周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体と、
前記透明体の前記第2面と前記隠蔽体の裏面とに一体に設けられた機能フィルムとを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面及び前記隠蔽体の前記裏面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記隠蔽体の前記裏面に位置して前記導電部と通電可能なバスバーとを有していることを特徴とする樹脂ウィンドウ。
【請求項4】
第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記バスバーと重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備えていることを特徴とする樹脂ウィンドウの製造方法。
【請求項5】
第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーが形成されるバスバー形成部と、前記バスバー形成部に重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備えていることを特徴とする樹脂ウィンドウの製造方法。
【請求項6】
板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面に一体に設けられた機能フィルムと、
前記透明体の前記第2面の周縁及び前記機能フィルムの裏面の前記周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体とを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出することを防止する着色部とを有し、
前記隠蔽体は、前記導電部及び前記バスバーを露出させていることを特徴とする樹脂ウィンドウ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ウィンドウの製造方法及び樹脂ウィンドウに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の樹脂ウィンドウが開示されている。この樹脂ウィンドウは、透明体と、フィルムと、枠体とを備えている。透明体は板状をなしており、第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有している。透明体は、透明樹脂によって形成されている。フィルムは、シート状をなす透明な基材と、基材の表面に形成された硬質皮膜とを有している。フィルムは、透明体の第1面に一体に設けられている。枠体は樹脂製であり、透明体に一体に設けられている。枠体は、透明体の端面と、フィルムの周縁を含む透明体の第1面の周縁と、透明体の第2面の周縁とを覆っている。
【0003】
この樹脂ウィンドウは、以下のようにして製造される。まず、準備工程として、第1型面を有する第1型と、第2型面を有する第2型と、第3型面を有する第3型とを準備する。第1型面は、第2型面とともに板状の第1キャビティを形成する。第3型面は、第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する。また、フィルム準備工程として、フィルムを準備する。次に、載置工程として、第1型面にフィルムを載置する。
【0004】
次に、第1射出工程として、この状態で第1型と第2型とを型締めする。そして、第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することによって、中間品を得る。この中間品は、第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなる透明体に対し、その透明体の第1面にフィルムが一体に設けられている。
【0005】
次に、第2射出工程として、第1型と前記第2型とを型開きした後、第1型と第3型とを型締めする。そして、第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出する。この第2溶融樹脂が固化することにより、中間品に一体に形成された樹脂性の枠体が形成される。こうして、樹脂ウィンドウが完成する。
【0006】
この樹脂ウィンドウでは、フィルムの硬質皮膜によって透明体の第1面を保護することが可能となっている。また、上記の製造方法によれば、透明体の第1面にフィルムを容易に設けることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−227224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種の樹脂ウィンドウでは、例えば、透明体に対する防曇や融氷や装飾等の機能を付加するため、通電によって発熱や発光等が生じる導電部と、導電部と通電可能なバスバーとを追加することが考えられる。
【0009】
この場合、これらの導電部及びバスバーを印刷等によって透明体に直接設けることが考えられる。しかし、樹脂製の透明体は、平坦な板状に形成されるだけでなく、湾曲形状にも形成され得るため、このように湾曲した透明体に導電部及びバスバーを設けることは困難である。
【0010】
そこで、上記従来の樹脂ウィンドウの製造方法におけるフィルム準備工程において、基材に導電部及びバスバーが形成されたフィルムを準備することが考えられる。この場合には、中間体を形成する透明体が湾曲形状であっても、その第1面に導電部及びバスバーを容易に設けることが可能となる。
【0011】
しかしながら、この場合には、透明体の第2面側にバスバーが露出するため、樹脂ウィンドウの美観が損なわれてしまう。このため、バスバーの露出を防止するために、例えば、第2面に対して不透明色の隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程を追加すれば、その分、樹脂ウィンドウの製造が困難となり、製造コストが増大する。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能な樹脂ウィンドウの製造方法及び樹脂ウィンドウを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における第1の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーとを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記中間品が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバーを配置することを特徴とする。
【0014】
第1の樹脂ウィンドウの製造方法では、第1型の第1型面が第1形成部位と第2形成部位とを有している。第1形成部位は、第1射出工程で中間品を得る際に、隠蔽体の裏面を形成する。第2形成部位は、第2射出工程で製品を得る際に、透明体の第2面を形成する。また、この製造方法では、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、透明な基材の裏面に導電部及びバスバーが形成されている。そして、配置工程で第1型面に機能フィルムを配置する際には、第2形成部位に導電部を配置するとともに、第1形成部位にバスバーを配置した状態で、基材の裏面を前記第1型面に当接させる。これらのため、第1射出工程で得られた中間体では、隠蔽体の裏面にバスバーを位置させた状態で、機能フィルムの周縁に隠蔽体が一体に設けられることになる。そして、第2射出工程では、透明体の第2面の周縁に中間品が一体に設けられた製品、つまり、透明体の第2面に隠蔽体と導電部とが一体に設けられた樹脂ウィンドウが得られる。
【0015】
こうして、この製造方法では、機能フィルムが基材と導電部とバスバーとを有しているため、導電部及びバスバーを透明体に直接形成する場合に比べて、これらを容易に設けることが可能となる。そして、この製造方法では、導電部は透明体の第2面に配置され、バスバーは隠蔽体の裏面に配置される。ここで、透明体は透明樹脂からなる一方、隠蔽体は不透明樹脂からなる。このため、この製造方法で得られた樹脂ウィンドウでは、導電部は透明体の第1面側に露出するものの、バスバーは、隠蔽体によって隠蔽され、透明体の第1面側に露出しない。このため、この製造方法では、透明体の第1面側にバスバーが露出することを防止するために、第1面に対して、別途に隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程が不要となる。
【0016】
したがって、本発明における第1の樹脂ウィンドウの製造方法によれば、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0017】
本発明における第2の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーを形成するバスバー形成部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備するフィルム準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなる隠蔽体を形成し、前記機能フィルムの周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第1型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記第2面の周縁に前記第1中間品が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備え、
前記第1型面は、前記隠蔽体の前記裏面を形成する第1形成部位と、前記透明体の前記第2面を形成する第2形成部位とを有し、
前記配置工程では、前記第2形成部位に前記導電部を配置するとともに、前記第1形成部位に前記バスバー形成部を配置することを特徴とする。
【0018】
第2の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1の樹脂ウィンドウの製造方法とほぼ同様であるものの、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、基材の裏面にバスバー形成部が形成されている。つまり、フィルム準備工程で準備された際の機能フィルムには、バスバーは形成されていない。そして、配置工程で第1型面に機能フィルムを配置する際には、第2形成部位に導電部を配置するとともに、第1形成部位にバスバー形成部を配置した状態で、基材の裏面を前記第1型面に当接させる。これにより、第1射出工程で得られた第1中間体では、隠蔽体の裏面にバスバー形成部を位置させた状態で、機能フィルムの周縁に隠蔽体が一体に設けられることになる。そして、バスバー形成工程において、バスバー形成部にバスバーが形成され、樹脂ウィンドウが得られる。こうして、この製造方法によっても、上記の第1の樹脂ウィンドウの製造方法と同様の作用を奏することが可能である。
【0019】
したがって、本発明における第2の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0020】
本発明における第1の樹脂ウィンドウは、板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面の周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体と、
前記透明体の前記第2面と前記隠蔽体の裏面とに一体に設けられた機能フィルムとを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面及び前記隠蔽体の前記裏面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記隠蔽体の前記裏面に位置して前記導電部と通電可能なバスバーとを有していることを特徴とする。
【0021】
本発明における第1の樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが透明体の第2面と隠蔽体の裏面とに一体に設けられている。これにより、導電部は透明体の第2面に配置され、バスバーは、隠蔽体の裏面に配置される。そして、透明体は透明樹脂からなり、隠蔽体は不透明樹脂からなる。このため、この樹脂ウィンドウは、第1、2の樹脂ウィンドウの製造方法で得られた樹脂ウィンドウと同様の作用を奏することが可能である。
【0022】
したがって、本発明における第1の樹脂ウィンドウは、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0023】
本発明における第3の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記バスバーと重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた製品を得る第2射出工程とを備えていることを特徴とする。
【0024】
第3の樹脂ウィンドウの製造方法では、フィルム準備工程で準備される機能フィルムは、透明な基材の裏面に導電部及びバスバーが形成されている他、基材の表面又は裏面に不透明色からなる着色部が形成されている。そして、配置工程では、基材の裏面を第1型面に当接させつつ、第1型面に機能フィルムを配置する。このため、第1射出工程で得られた中間体では、基材の表面に透明体の第2面が一体に設けられることになる。そして、第2射出工程では、透明体の第2面の周縁に隠蔽体が一体に設けられた樹脂ウィンドウが得られる。この際、枠体は、導電部及びバスバーを露出させて形成される。
【0025】
こうして、この製造方法でも、機能フィルムが基材と導電部とバスバーとを有しているため、導電部及びバスバーを透明体に直接形成する場合に比べて、これらを容易に設けることが可能となる。さらに、機能フィルムは、着色部を有しているため、この製造方法で得られた樹脂ウィンドウでは、バスバーは基材の表面側、ひいては、透明体の第1面側に露出することがない。このため、この製造方法でも、透明体の第1面側にバスバーが露出することを防止するために、第1面に対して、別途に隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程が不要となる。また、例えば、第1面に不透明色を着色して着色部を形成する場合には、着色部とバスバーとの位置決めを慎重に行う必要があり、その分、樹脂ウィンドウの製造が複雑になる。これに対し、この製造方法では、機能フィルムが着色部を有することにより、着色部とバスバーとの位置決めを新たに行う必要がなく、製造を容易化できる。
【0026】
さらに、隠蔽体がバスバーを隠蔽する必要がないため、この製造方法では、隠蔽体を必要以上に大きく形成しなくても足りる。このため、この製造方法では、第2射出工程において、第2溶融樹脂の射出量を少なくすることができる。
【0027】
したがって、本発明における第3の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウ高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0028】
本発明における第4の樹脂ウィンドウの製造方法は、第1型面を有する第1型と、前記第1型に対して型閉めされて前記第1型面とともに板状をなす第1キャビティを形成する第2型面を有する第2型と、前記第2型に対して型閉めされて前記第2型面とともに製品形状の第2キャビティを形成する第3型面を有する第3型とを準備する型準備工程と、
シート状をなす透明な基材と、前記基材の裏面に形成された導電部と、前記基材の前記裏面に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーが形成されるバスバー形成部と、前記バスバー形成部に重なるように前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出すること防止する不透明色からなる着色部とを有し、熱変形可能な機能フィルムを準備する準備工程と、
前記基材の前記裏面を前記第1型面に当接させつつ、前記第1型面に前記機能フィルムを配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを型閉めして前記第1キャビティ内に第1溶融樹脂を射出することにより、前記第1溶融樹脂が固化した透明樹脂からなり、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明体を形成し、前記機能フィルムの前記基材の前記表面に前記透明体が一体に設けられた第1中間品を得る第1射出工程と、
前記第1型と前記第2型とを型開きした後、前記第2型と前記第3型とを型閉めして前記第2キャビティ内に第2溶融樹脂を射出することにより、前記第2溶融樹脂が固化した不透明樹脂からなり、前記導電部及び前記バスバーを露出する隠蔽体を形成し、前記第2面の周縁に前記隠蔽体が一体に設けられた第2中間品を得る第2射出工程と、
前記バスバー形成部に前記バスバーを形成して製品を得るバスバー形成工程とを備えていることを特徴とする。
【0029】
第4の樹脂ウィンドウの製造方法は、第3の樹脂ウィンドウの製造方法とほぼ同様であるものの、フィルム準備工程で準備される機能フィルムには、基材の裏面にバスバー形成部が形成されている。つまり、この製造方法では、フィルム準備工程で準備された際の機能フィルムには、バスバーは形成されていない。これにより、第1射出工程で得られた第1中間体では、基材の裏面にバスバー形成部が露出した状態となる。そして、バスバー形成工程において、バスバー形成部にバスバーが形成されて樹脂ウィンドウが得られる。こうして、この製造方法によっても、上記の第3の樹脂ウィンドウの製造方法と同様の作用を奏することが可能である。
【0030】
したがって、本発明における第4の樹脂ウィンドウの製造方法も、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0031】
本発明における第2の樹脂ウィンドウは、板状をなし、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する透明樹脂からなる透明体と、
前記透明体の前記第2面に一体に設けられた機能フィルムと、
前記透明体の前記第2面の周縁及び前記機能フィルムの裏面の前記周縁に一体に設けられ、不透明樹脂からなる隠蔽体とを備え、
前記機能フィルムは、前記透明体の前記第2面に一体に設けられ、シート状をなす透明な基材と、前記基材に形成され、前記第2面に位置する導電部と、前記基材に形成され、前記導電部と通電可能なバスバーと、前記基材の表面又は前記裏面に形成され、前記基材の前記表面に前記バスバーが露出することを防止する着色部とを有し、
前記隠蔽体は、前記導電部及び前記バスバーを露出させていることを特徴とする。
【0032】
本発明における第2の樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが導電部、バスバー及び着色部を有している。この着色部は、不透明色からなる。そして、この樹脂ウィンドウでは、機能フィルムが透明体の第2面に一体に設けられることにより、導電部、バスバー及び着色部が透明体に設けられている。このため、この樹脂ウィンドウは、第3、4の樹脂ウィンドウの製造方法で得られた樹脂ウィンドウと同様の作用を奏することが可能である。
【0033】
したがって、本発明における第2の樹脂ウィンドウも、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明における第1〜4の樹脂ウィンドウの製造方法によれば、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウが高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。また、本発明における第1、2の樹脂ウィンドウは、導電部及びバスバーを容易に設けることが可能であるとともに高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法で製造された樹脂ウィンドウを示す透明体の第1面側から見た正面図である。
図2図2は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法で製造された樹脂ウィンドウに係り、図1におけるA−A断面を示す要部拡大断面図である。
図3図3は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、フィルム準備工程で準備する機能フィルムを示す基材の裏面側から見た背面図である。
図4図4は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第1型及び第2型を示す断面図である。
図5図5は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、載置工程を示す要部拡大断面図である。
図6図6は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第1射出工程を示す断面図である。
図7図7は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2キャビティを示す断面図である。
図8図8は、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2射出工程を示す断面図である。
図9図9は、実施例2の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、フィルム準備工程で準備する機能フィルムを示す基材の裏面側から見た背面図である。
図10図10は、実施例2の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2中間品を示す断面図である。
図11図11は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法で製造された樹脂ウィンドウを示す透明体の第1面側から見た正面図である。
図12図12は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法で製造された樹脂ウィンドウに係り、図11におけるB−B断面を示す要部拡大断面図である。
図13図13は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、フィルム準備工程で準備する機能フィルムを示す基材の裏面側から見た背面図である。
図14図14は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、フィルム準備工程で準備する機能フィルムを示す基材の表面側から見た正面図である。
図15図15は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第1型及び第2型を示す断面図である。
図16図16は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、載置工程を示す要部拡大断面図である。
図17図17は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第1射出工程を示す断面図である。
図18図18は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2キャビティを示す断面図である。
図19図19は、実施例3の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2射出工程を示す断面図である。
図20図20は、実施例4の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、フィルム準備工程で準備する機能フィルムを示す基材の裏面側から見た背面図である。
図21図21は、実施例4の樹脂ウィンドウの製造方法に係り、第2中間品を示す断面図である。
図22図22は、実施例4の樹脂ウィンドウの製造方法で製造された樹脂ウィンドウに係り、図11と同方向の断面を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
(実施例1)
図1に示す樹脂ウィンドウ100は、透明体1と、隠蔽体3と、機能フィルム5とを備えている。この樹脂ウィンドウ100は、図示しない車両に採用されている。本実施例では、図1中に示す矢印方向によって樹脂ウィンドウ100の左右方向及び前後方向を規定している。左右方向と前後方向とは直交する。そして、図2以降では、図1に対応して樹脂ウィンドウ100の各方向を規定している。また、図2図10図12図21及び図22では、樹脂ウィンドウ100及び後述する樹脂ウィンドウ200、300が車両に取り付けられた際に室外側となる方向と、室内側となる方向とを規定している。なお、これらの各方向は説明の便宜上のための一例である。
【0038】
図2に示すように、透明体1は、略矩形の平坦な板状をなしており、第1面1aと、第1面1aの反対側に位置する第2面1bとを有している。第1面1aは、樹脂ウィンドウ100が車両に取り付けられた際に車外側に面するようになっている。第2面1bは、樹脂ウィンドウ100が車両に取り付けられた際に車内側に面するようになっている。
【0039】
透明体1は、第1面1aから第2面1bまで透光性を有するポリカーボネートを主成分とする透明樹脂からなる。なお、透明体1は、ポリカーボネート以外の透明樹脂を主成分とするものでも良い。また、透明体1の厚みは適宜設計することができる。
【0040】
隠蔽体3は板状をなしており、表面3aと、表面3aの反対側に位置する裏面3bとを有している。具体的には、隠蔽体3は、図1に示すように、枠状に形成されている。そして、隠蔽体の外周は、透明体1の外周と同形状とされている。図2に示すように、隠蔽体3は、表面3aを透明体1の第2面1bに当接させた状態で、第2面1bの周縁に一体に設けられている。これにより、隠蔽体3では、樹脂ウィンドウ100が車両に取り付けられた際に裏面3bが車内側に位置するようになっている。なお、隠蔽体3は枠状以外の形状に形成されても良い。
【0041】
隠蔽体3は、黒色に着色されたポリカーボネートを主成分とする不透明樹脂からなる。これにより、樹脂ウィンドウ100において、隠蔽体3が設けられている部分では、車外側から車内側が見えなくなっている。つまり、透明体1の第1面1a側から、隠蔽体3の裏面3bは見えなくなっている。なお、隠蔽体3は、黒色以外の不透明色に着色されても良い。また、ポリカーボネート以外の不透明樹脂を主成分とするものでも良い。また、隠蔽体3の厚みについても、適宜設計することができる。
【0042】
図3に示すように、機能フィルム5は、基材5aと、導電部5bと、バスバー5c、5dとを有している。基材5aは矩形のシート状をなしており、図2に示す表面50aと表面50aの反対側に位置する裏面50bとを有している。基材5aは透明であり、表面50aから裏面50bまで透光性を有している。図1に示すように、基材5aは、透明体1及び隠蔽体3よりも、上下方向及び左右方向が小さく形成されている。
【0043】
図3に示すように、導電部5b及びバスバー5c、5dは、いずれも導電材料からなり、基材5aの裏面50bに形成されている。具体的には、導電部5b及びバスバー5c、5dは、基材5aの裏面50bに対して、導電材料がスクリーン印刷されることによって形成されている。なお、フォトリソグラフィーやエッチング蒸着等の方法によって、導電部5b及びバスバー5cを基材5aの裏面50bに形成しても良い。
【0044】
導電部5bは、基材5a左右方向に直線状に延びる複数本の導電線によって構成されている。バスバー5c、5dは、それぞれ基材5aの上下方向に延びている。バスバー5cは、導電部5bの左側に位置しており、導電部5bと接続している。バスバー5dは、導電部5bの右側に位置しており、導電部5bと接続している。これにより、バスバー5c、5dは、導電部5bと通電可能となっている。
【0045】
図2に示すように、この樹脂ウィンドウ100では、機能フィルム5は、透明体1の第2面1bと隠蔽体3の裏面3bとに一体に設けられている。この際、機能フィルム5では、基材5aの表面50aを透明体1の第2面1b及び隠蔽体3の裏面3bに対面させた状態としている。また、図1に示すように、導電部5bは、透明体1の第2面1bに配置されており、バスバー5c、5dは、隠蔽体3の裏面3bに配置されている。なお、図2等では、説明を容易にするため、基材5a、導電部5b及びバスバー5cの各厚みを誇張して図示している。
【0046】
この樹脂ウィンドウ100は、以下に説明する樹脂ウィンドウ製造方法(以下、単に製造方法という。)によって製造される。まず、この製造方法では、型準備工程として、図4に示す第1型11及び第2型13と、図7に示す第3型15とを準備する。図4示すように、第1型11には、第1型面110が凹設されている。この第1型面110は、第1形成部位110aと、第2形成部位110bと、凹溝110cとを有している。第1形成部位110aは、後述する第1射出工程において、隠蔽体3の裏面3bを形成する。また、第2形成部位110bは、後述する第2射出工程において、透明体1の第2面1bを形成する。凹溝110cは、導電部5b及びバスバー5c、5dに整合するように、第1形成部位110a及び第2形成部位110bに形成されている。なお、凹溝110cの形成を省略しても良い。
【0047】
一方、第2型13には、第2型面130が形成されている。第2型面130は、平坦に形成されている。第2型面130は、第1射出工程において、隠蔽体3の表面3bを形成する。図7に示すように、第3型15には、第3型面150が凹設されている。第3型面150は、第2射出工程において、透明体1の第1面1aを形成する。
【0048】
また、フィルム準備工程として、図3に示す機能フィルム5を準備する。つまり、このフィルム準備工程で準備される機能フィルム5には、基材5aの裏面50bに導電部5b及びバスバー5c、5dが既に形成されている。
【0049】
次に、載置工程として、図5に示すように、第1型面130に機能フィルム5を配置する。この載置工程では、機能フィルム5は、第2形成部位110bに導電部5bを配置するとともに、第1形成部位110aにバスバー5c、5dを配置した状態で、基材5aの裏面50bを第1型面130に当接させる。この際、導電部5b及びバスバー5c、5dを凹溝110cに整合させることにより、基材5aの裏面50bを第1型面130に密着させる。
【0050】
次に、第1射出工程を行う。第1射出工程では、まず初めに、第1型面130に機能フィルム5を配置した状態で、同図に示すように、第1型11と第2型13とを型閉めする。これにより、第1型11と第2型13との間には、第1型面110と第2型面130とによって、第1キャビティC1が形成される。この第1キャビティC1は枠状をなしている。
【0051】
そして、図示しない射出機によって、第1キャビティC1内に第1溶融樹脂を射出する。この第1溶融樹脂は、隠蔽体3を構成する上記の不透明樹脂、すなわち、黒色に着色されたポリカーボネートを主成分とする不透明樹脂を含んでいる。この第1溶融樹脂が固化することにより、図6に示すように、隠蔽体3が形成される。この際、機能フィルム5は、第1型面130の形状に沿って熱変形し、隠蔽体3に密着して一体化する。こうして、隠蔽体3と機能フィルム5とからなる中間品17が得られる。ここで、配置工程において、上記のように機能フィルム5が第1型面130に配置されていることから、中間品17では、隠蔽体3の裏面3bにバスバー5c、5dを位置させた状態で、機能フィルム5の基材5aの表面50aの周縁に隠蔽体3が一体に設けられている。
【0052】
次に、第2射出工程を行う。第2射出工程では、まず初めに、第1型11と第2型13とを型開きし、その後、図7に示すように、第1型11と第3型15とを型閉めする。これにより、第1型11と第3型15との間には、第1型面110と第3型面150とによって、第2キャビティC2が形成される。この第1キャビティC2は、製品である樹脂ウィンドウ100の形状をなしている。なお、第1型11と第2型13とを型開きするに際して、中間品17の取り出しは行わない。このため、第2キャビティC2内には、中間品17が配置されている。
【0053】
そして、図示しない射出機によって、第2キャビティC2内に第2溶融樹脂を射出する。この第2溶融樹脂は、透明体1を構成する上記のポリカーボネートを主成分とする透明樹脂を含んでいる。この第2溶融樹脂が固化することにより、図8に示すように、第1面1a及び第2面1bを有する上記の透明体1が形成される。この際も機能フィルム5は熱変形し、第2面1bに密着する。これにより、透明体1の第2面1bには、中間品17が一体に形成されている。より具体的には、第2面1bの周縁には、隠蔽体3の表面3aが当接した状態で隠蔽体3が一体となっている。また、第2面1bにおいて隠蔽体3よりも内側には、基材5aの表面50aが当接した状態で機能フィルム5が一体となっている。これにより、第2面1bにおいて隠蔽体3よりも内側には、導電部5bが配置されている。こうして、図1に示す樹脂ウィンドウ100が完成する。
【0054】
この樹脂ウィンドウ100は、車両の窓枠に取り付けられる。この際、樹脂ウィンドウ100と車両との取付箇所は、隠蔽体3によって隠蔽されるため、車外側に露出することがない。そして、樹脂ウィンドウ100が車両に取り付けられることにより、バスバー5c、5dがそれぞれ図示しないコントローラに電気的に接続される。これにより、バスバー5c、5dが導電部5bに通電することにより、導電部5bが発熱する。これにより、樹脂ウィンドウ100では、導電部5bによって透明体1の防曇や融氷を行うことが可能となっている。なお、隠蔽体3及びバスバー5c、5dは、車両を構成するパネル(図示略)によって覆われるため、車室内に露出することはない。
【0055】
ここで、本実施例の製造方法では、準備工程で準備される機能フィルム5が基材5aと導電部5bとバスバー5c、5dとを有している(図3参照)。このため、導電部5b及びバスバー5c、5dを透明体1の第2面1bに直接形成する場合に比べて、これらを容易に設けることが可能となっている。そして、この製造方法では、導電部5bは透明体1の第2面1bに配置され、バスバー5c、5dは隠蔽体3の裏面3bに配置される。ここで、透明体1は透明樹脂からなる一方、隠蔽体3は不透明樹脂からなる。このため、この製造方法で製造された樹脂ウィンドウ100では、バスバー5c、5dは、隠蔽体5の裏面5bに露出しているものの、図1に示すように、バスバー5c、5dは、隠蔽体5によって隠蔽されており、透明体1の第1面1a側、すなわち、車外側には露出しない。これにより、この製造方法では、透明体1の第1面1a側にバスバー5c、5dが露出することを防止するために、第1面1aに対して、別途に隠蔽体を設けたり、不透明色を着色したりする工程が不要となっている。また、機能フィルム5の基材5aは透明であるため、樹脂ウィンドウ100を車外側から見た場合であっても、基材5aは、ほぼ見えることがない。
【0056】
したがって、実施例1の樹脂ウィンドウの製造方法によれば導電部5b及びバスバー5c、5dを容易に設けることが可能であるとともに、樹脂ウィンドウ100が高い美観を発揮し、かつ、製造コストの低廉化が可能である。
【0057】
(実施例2)
実施例2の製造方法は、実施例1の製造方法とほぼ同様であるものの、この製造方法では、フィルム準備工程において、上記の機能フィルム5に変えて、図9に示す機能フィルム51を準備する。この機能フィルム51は、機能フィルム5と同様、基材5aと、基材5aの裏面50bに形成された導電部5bとを有している。そして、この機能フィルム51では、同図の仮想線で示すように、基材5aの裏面50bにバスバー形成部5e、5fが設定されている。バスバー形成部5eは導電部5bの左側に位置しており、バスバー形成部5fは導電部5bの右側に位置している。つまり、この製造方法では、フィルム準備工程で準備された時点では、機能フィルム51に対して、バスバー5c、5dが形成されていない。
【0058】
この製造方法では、載置工程において、第1型面130に機能フィルム51を配置する。この際、機能フィルム51は、第2形成部位110bに導電部5bを配置するとともに、第1形成部位110aにバスバー形成部5e、5fを対面させた状態で、基材5aの裏面50bを第1型面130に当接させる。
【0059】
そして、実施例1の製造方法と同様、第1射出工程を行うことにより、図10に示す第1中間品19を得る。この第1中間品19は、隠蔽体3と機能フィルム51とからなる。ここで、機能フィルム5と同様、機能フィルム51も熱変形し、隠蔽体3と機能フィルム51とが一体化する。これにより、第1中間品19では、隠蔽体3の裏面にバスバー形成部5e、5fを位置させた状態で、基材5aの表面50aの周縁に隠蔽体3が一体に設けられている。
【0060】
さらに、実施例1の製造方法と同様、第2射出工程において、第2キャビティC2内に第2溶融樹脂を射出することにより、第2中間品21を得る。この第2中間品21は、第1面1aと第2面1bとを有する透明体1と、第1中間品19とからなる。この際も機能フィルム51は熱変形し、第2面1bに密着する。これにより、第2中間品21では、第2面1bの周縁に隠蔽体3の表面3aが当接した状態で隠蔽体3が一体となっている。また、第2面1bにおいて隠蔽体3よりも内側には、基材5aの表面50aが当接した状態で機能フィルム51が一体となっている。これにより、この第2中間品21でも、第2面1bにおいて隠蔽体3よりも内側には、導電部5bが配置されている。
【0061】
そして、第2中間品21を第2キャビティC2内から取り出し、バスバー形成工程を行う。バスバー形成工程では、バスバー形成部5e、5fに導電材料を塗布する。こうして、バスバー形成部5eにバスバー5cが形成され、バスバー形成部5fにバスバー5dが形成される。これにより、この製造方法によっても、図1に示す樹脂ウィンドウ100を製造することができる。
【0062】
(実施例3)
図11及び図12に示す樹脂ウィンドウ200は、透明体1と、隠蔽体3と、機能フィルム52とを備えている。この樹脂ウィンドウ200も、図示しない車両に採用されている。
【0063】
図13及び図14に示すように、機能フィルム52は、上記の機能フィルム5と同様、基材5aと、導電部5bと、バスバー5c、5dとを有している。そして、この機能フィルム52は、着色部5g、5hをさらに有している。図13に示すように、導電部5bと及びバスバー5c、5dは、基材5aの裏面50bに形成されている。一方、図14に示すように、着色部5g、5hは、基材5aの裏面50aに形成されている。着色部5g、5hは、裏面50aに対して不透明色の黒色が着色されることによって形成されている。ここで、着色部5gは、バスバー5cと重なるように表面50aの左端に位置しており、基材5aの上下方向に延びている。着色部5hは、バスバー5dと重なるように表面50aの右端に位置しており、基材5a上下方向に延びている。着色部5g、5hは、隠蔽3の形状に沿う形状に形成されており、互いに左右対称となっている。なお、着色部5g、5hは、黒色以外の不透明色で着色されて形成されても良い。また、着色部5g、5hの形状は適宜設計することができる。
【0064】
図12に示すように、この樹脂ウィンドウ200では、機能フィルム52は、透明体1の第2面1bに一体で設けられており、透明体1と隠蔽体3との間に位置している。具体的には、機能フィルム52では、基材5aの表面50aを透明体1の第2面1bに対面させており、基材5aの裏面50bに隠蔽体3の表面3aを対面させている。ここで、図11に示すように、この樹脂ウィンドウ200では、隠蔽体3は、導電部5b及びバスバー5c、5dよりも外側で第2面1bの周縁に一体で設けられている。
【0065】
この樹脂ウィンドウ200は、以下に説明する製造方法によって製造される。まず、この製造方法では、型準備工程として、図15に示す第1型31及び第2型33と、図18に示す第3型35とを準備する。図15に示すように、第1型31には、第1型面310が形成されている。第1型面310は、後述する第1射出工程において、透明体1の第2面1bを形成する。また、第1型面310には、電部5b及びバスバー5c、5dに整合する凹溝310aが形成されている。なお、凹溝310aの形成を省略しても良い。
【0066】
一方、第2型33には、第2型面330が凹設されている。第2型面330は、第1射出工程において、透明体1の第1面1aを形成する。そして、図18に示す第3型35には、第3型面350が凹設されている。第3型面350は、第2射出工程において、隠蔽体3の裏面3bを形成する。
【0067】
また、フィルム準備工程として、図13及び図14に示す機能フィルム52を準備する。つまり、このフィルム準備工程で準備される機能フィルム52には、基材5aの表面50aに着色部5g、5hが既に形成されており、基材5aの裏面50bに導電部5b及びバスバー5c、5dが既に形成されている。
【0068】
次に、載置工程として、図16に示すように、第1型面310に機能フィルム52を配置する。この際、機能フィルム52は、導電部5b及びバスバー5c、5dを凹溝310aに整合させることにより、基材5aの裏面50bを第1型面310に密着させる。
【0069】
次に、第1射出工程を行う。第1射出工程では、まず初めに、第1型面310に機能フィルム52を配置した状態で、同図に示すように、第1型31と第2型33とを型閉めする。これにより、第1型31と第2型33との間には、第1型面310と第2型面330とによって、第1キャビティC10が形成される。この第1キャビティC1は板状をなしている。
【0070】
そして、実施例1の製造方法と同様、第1キャビティC10内に第1溶融樹脂を射出する。この第1溶融樹脂は、実施例1の製造方法における第2溶融樹脂と同様であり、透明体1を構成するポリカーボネートを主成分とする透明樹脂を含んでいる。この第1溶融樹脂が固化することにより、板状をなして第1面1aと第2面1bとを有する透明体1が形成される。この際、機能フィルム52は熱変形して、第2面1bに密着する。これにより、透明体1と機能フィルム52とが一体化し、透明体1と機能フィルム52とからなる中間品18が得られる。ここで、配置工程において、上記のように機能フィルム52が第1型面310に配置されていることから、中間品18では、透明体1の第2面1bに対して、機能フィルム5の基材5aの表面50aが一体に設けられている。
【0071】
次に、第2射出工程を行う。第2射出工程では、まず初めに、第1型31と第2型33とを型開きし、その後、図18に示すように、第2型33と第3型35とを型閉めする。これにより、第2型33と第3型35との間には、第2型面330と第3型面350とによって、第2キャビティC20が形成される。この第1キャビティC20は、製品である樹脂ウィンドウ200の形状をなしている。なお、第1型31と第2型33とを型開きするに際して、中間品18の取り出しは行わない。このため、第2キャビティC20内には、中間品18が配置されている。
【0072】
そして、第2キャビティC20内に第2溶融樹脂を射出する。この第2溶融樹脂は、実施例1の製造方法における第1溶融樹脂と同様であり、黒色に着色されたポリカーボネートを主成分とする不透明樹脂を含んでいる。この第2溶融樹脂が固化することにより、隠蔽体3が形成される。この隠蔽体3は、中間品18に一体に形成されている。つまり、機能フィルム52の基材5aの裏面50bを含む第2面1bの周縁に対して、表面3aを当接させた状態で隠蔽体3が一体で設けられている。ここで、隠蔽体3は、導電部5b及びバスバー5c、5dよりも外側で第2面1bと一体となっている。これにより、隠蔽体3は、導電部5b及びバスバー5c、5dを露出させている。こうして、図11に示す樹脂ウィンドウ200が完成する。
【0073】
この樹脂ウィンドウ200でも、図1に示す上記の樹脂ウィンドウ100と同様、樹脂ウィンドウ200と車両との取付箇所は、隠蔽体3によって隠蔽され、車外側に露出することがない。そして、導電部5bによって透明体1の防曇や融氷を行うことが可能となっている。
【0074】
そして、図13及び図14に示すように、この製造方法では、準備工程で準備される機能フィルム52が基材5a、導電部5b、バスバー5c、5dの他、着色部5g、5hを有している。これらの着色部5g、5hは、それぞれバスバー5c、5dと重なるように基材5aの表面50aに形成されている。このため、この製造方法で製造された樹脂ウィンドウでは、図11及び図12に示すように、着色部5g、5hによって、バスバー5c、5dは、基材5aの表面側、ひいては、透明体1の第1面1a側に露出することがない。
【0075】
ここで、透明体1の第1面1a側にバスバー5c、5dが露出することを防止するに当たって、例えば、第1面1aの所定の位置に不透明色を着色して着色部5g、5hを形成することも考えられる。しかし、この場合には、着色部5g、5hとバスバー5c、5dが透明体1と機能フィルム52とに別々に設けられるため、着色部5g、5hとバスバー5c、5dとの位置決めを慎重に行う必要がある。このため、樹脂ウィンドウ200の製造が複雑になる。これに対し、この製造方法では、機能フィルム52が着色部5g、5hを有することにより、着色部5g、5hとバスバー5c、5dとの位置決めを新たに行う必要がなく、製造を容易化できる。
【0076】
さらに、実施例1の製造方法で製造された樹脂ウィンドウ100と異なり、この製造方法で製造された樹脂ウィンドウ200では、隠蔽体3がバスバー5c、5dを隠蔽する必要がない。このため、この製造方法では、隠蔽体3を必要以上に大きく形成しなくても足りる。このため、この製造方法では、第2射出工程において、第2溶融樹脂の射出量を少なくすることが可能となっている。この製造方法における他の作用は実施例1の製造方法と同様である。
【0077】
特に、機能フィルム52では、着色部5g、5hが隠蔽体3と同色の黒色に着色されることによって形成されている。このため、この製造方法で製造された樹脂ウィンドウ200では、透明体1の第1面1a側、すなわち、車外側から見た際に、着色部5g、5hが隠蔽体3と同化し、着色部5g、5hと隠蔽体3とで一つの形状を構成する。これにより、着色部5g、5hが目立ち難くなり、この点においても、樹脂ウィンドウ200が高い美観を発揮する。
【0078】
(実施例4)
実施例4の製造方法は、実施例3の製造方法とほぼ同様であるものの、この製造方法では、フィルム準備工程において、上記の機能フィルム52に変えて、図20に示す機能フィルム53を準備する。この機能フィルム53は、機能フィルム52と同様、基材5aと、導電部5bと、着色部5g、5hとを有している。ここで、この機能フィルム53では、導電部5b及び着色部5g、5hがいずれも基材5aの裏面50bに形成されている。そして、この機能フィルム53では、同図の仮想線で示すように、基材5aの裏面50bにバスバー形成部5i、5jが設定されている。バスバー形成部5iは、着色部5gと重なるように導電部5bの左側に位置しており、バスバー形成部5jは、着色部5hと重なるように導電部5bの右側に位置している。つまり、この製造方法では、フィルム準備工程で準備された時点では、機能フィルム53に対して、バスバー5c、5dが形成されていない。
【0079】
この製造方法では、載置工程において、実施例3の製造方法と同様して、第1型面310に機能フィルム53を配置する。その後、実施例3の製造方法と同様、第1射出工程において第1溶融樹脂を射出し、透明体1を形成する。この際、機能フィルム53は熱変形し、第2面1bに密着する。これにより、図21に示ように、透明体1と機能フィルム53とからなる第1中間品23が得られる。この第1中間品23では、透明体1の第2面1bに対して、機能フィルム53の基材5aの表面50aが一体に設けられている。
【0080】
さらに、実施例3の製造方法と同様、第2射出工程において、第2溶融樹脂を射出し、隠蔽体3を形成する。こうして、第1中間品23と隠蔽体3とからなる第2中間品25を得る。この第2中間品25では、隠蔽体3が第1中間品23に一体に形成されている。具体的には、機能フィルム53の基材5aの裏面50bを含む第2面1bの周縁に対して、表面3aを当接させた状態で隠蔽体3が一体に設けられている。この際、基材5aの裏面50bでは、着色部5g、5hの各一部が隠蔽体3に覆われているものの、導電部5b及びバスバー形成部5i、5jは、隠蔽体3の内側に位置しており、隠蔽体3から露出している。
【0081】
第2中間品25を得た後、バスバー形成工程を行う。バスバー形成工程では、バスバー形成部5i、5jに対して、実施例2の製造方法と同様に導電材料を塗布する。これにより、図22に示すように、バスバー形成部5iにバスバー5cが形成される。また、同図では省略するものの、バスバー形成部5jにも同様にバスバー5dが形成される。こうして、同図に示す樹脂ウィンドウ300が完成する。
【0082】
このように、この製造方法では、基材5aの裏面50bにおいて、バスバー5cが着色部5gに積層されて形成される。図示を省略するものの、バスバー5dも同様に、基材5aの裏面50bにおいて、着色部5hに積層されて形成される。このため、この製造方法によって製造された樹脂ウィンドウ300でも、図12に示す樹脂ウィンドウ200と同様、着色部5g、5hによって、バスバー5c、5dは、透明体1の第1面1a側に露出することがない。この製造方法における他の作用は実施例3の製造方法と同様である。
【0083】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0084】
例えば、透明体1は平坦な板状に限らず、湾曲形状に形成されても良い。
【0085】
また、導電部5bは、バスバー5c、5dと通電することによって発光するように構成されても良い
【0086】
さらに、実施例1の製造方法において、フィルム準備工程において、基材5aが透明体1及び隠蔽体3より大きく形成された機能フィルム5を準備し、第2射出工程後に基材5の不要部分を削除しても良い。実施例2〜4の製造方法においても同様である。
【0087】
また、機能フィルム52において、着色部5g、5hが基材5の裏面50bに形成されていても良い。また、機能フィルム53において、着色部5g、5hが基材5の表面50aに形成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は車両や建物等に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1…透明体
1a…第1面
1b…第2面
3…隠蔽体
5、51、52、53…機能フィルム
5a…基材
5b…導電部
5c、5d…バスバー
5e、5f、5i、5j…バスバー形成部
5g、5h…着色部
11、31…第1型
13、33…第2型
15、35…第3型
17、18…中間品
19、23…第1中間品
21、25…第2中間品
100、200、300…樹脂ウィンドウ
110、310…第1型面
110a…第1形成部位
110b…第2形成部位
130、330…第2型面
150、350…第3型面
C1、C10…第1キャビティ
C2、C20…第2キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図22