【解決手段】流体分注装置は、筐体、吐出チップ、および撹拌子を含む。筐体は、外壁およびチャンバを有する。外壁は、第1平面を定義するチップ取り付け面を有し、且つ開口を有する。チャンバは、内部空間を定義し、且つ開口と流体連通して結合されたポートを有する。吐出チップは、外壁のチップ取り付け面に取り付けられる。吐出チップの平面範囲は、第1平面に沿って配向され、吐出チップは、開口と流体連通しており、吐出チップの流体吐出方向は、第1平面に対して実質的に直交する。撹拌子は、チャンバ内に設置される。撹拌子は、回転軸を有し、撹拌子の回転軸は、流体吐出方向に対して実質的に垂直であるか、または吐出チップの平面範囲に対して平行である。
第1平面を定義するチップ取り付け面を有し、且つ開口を有する外壁、および内部空間を定義し、且つ前記開口と流体連通して結合されたポートを有するチャンバを有する筐体と、
前記外壁の前記チップ取り付け面に取り付けられ、前記第1平面に沿って配向される平面範囲を有し、前記開口と流体連通しており、前記第1平面に対して実質的に直交する流体吐出方向が構成された吐出チップと、
前記チャンバ内に設置され、実質的に前記流体吐出方向に対して垂直であるか、または前記吐出チップの前記平面範囲に対して平行である回転軸を有する撹拌子と、
を含む流体分注装置。
前記撹拌子の前記回転軸が、前記流体吐出方向に対して、±45度、垂直の角度範囲内に配向されるか、または前記吐出チップの前記平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲内に配向された
請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体分注装置。
前記筐体が、ベース壁および前記ベース壁と隣接する外周壁を有する本体、および蓋を有し、前記外周壁が、前記ベース壁と前記蓋の間に狭持され、前記外壁が、前記外周壁の一部であり、前記ベース壁が、前記第1平面に対して実質的に直交する第2平面に沿って配向され、
前記チャンバが、前記外周壁によって定義された境界内に設置され、丸い角を有する内周壁を有し、前記撹拌子が前記内周壁によって定義された境界内に設置された
請求項1〜5のいずれか1項に記載の流体分注装置。
前記流体リザーバの前記可変容積が、連続1/3容積部および連続2/3容積部を有し、前記連続1/3容積部が、前記連続2/3容積部よりも前記吐出チップの近くに設置され、前記撹拌子の前記回転軸が、前記吐出チップに近い前記連続1/3容積部の中に設置された
請求項7に記載の流体分注装置。
前記チャンバが、前記吐出チップの前記平面範囲に対して実質的に直交する第2平面に沿って配向されたベース壁を有し、前記ガイド部が、前記撹拌子の前記回転軸を前記吐出チップの前記平面範囲に対して実質的に平行な、および前記ベース壁の前記第2平面に対して実質的に垂直な配向に維持する
請求項2〜8のいずれか1項に記載の流体分注装置。
前記環状部材が、第1環状面、および前記第1環状面の反対側にある第2環状面を有し、前記第1環状面が、前記環状閉じ込め面によって前記第2環状面から分離され、前記複数のオフセット部材が、前記第1環状面に結合され、前記籠構造が、前記第2環状面に結合された複数のオフセット脚部を有する
請求項10または11に記載の流体分注装置。
前記ガイド部が、前記筐体内に着脱可能に配置されたインサート部であり、前記ガイド部が、第1保持特徴部を含み、前記筐体が、第2保持特徴部を含み、前記第1保持特徴部が、前記第2保持特徴部と係合されて、前記ガイド部を前記筐体に取り付ける
請求項10〜12のいずれか1項に記載の流体分注装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、図面を参照すると、より具体的には、
図1〜
図16は、流体分注装置を示したものであり、本例においては、本発明の1つの実施形態に係る微小流体分注装置110を示したものである。
【0014】
図1〜
図5を参照すると、微小流体分注装置110は、通常、筐体112と、テープ自動ボンディング(tape automated bonding, TAB)回路114とを含む。微小流体分注装置110は、流体含有粒子材料等の流体の供給を含むよう構成され、TAB回路114は、筐体112からの流体の吐出を容易にするよう構成される。流体は、例えば、化粧品、潤滑剤、ペンキ、インク等であってもよい。
【0015】
また、
図6および
図7を参照すると、TAB回路114は、吐出チップ118が機械的および電気的に接続されたフレックス(flex)回路116を含む。フレックス回路116は、インクジェットプリンタ等の電気ドライバ装置(図示せず)に電気接続を提供し、吐出チップ118を操作して筐体112内に収容された流体を吐出するよう構成される。本実施形態において、吐出チップ118は、通常、本分野において周知のノズルプレート層およびシリコン層として形成される平面範囲(planar extent)を有する板状構造として構成される。吐出チップ118のノズルプレート層は、流体吐出方向120−1が吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に直交するよう配向された複数の吐出ノズル120を有する。吐出チップ118のシリコン層において、各吐出ノズル120と関連するものは、電気ヒーター(熱)または圧電(電気機械)装置等の吐出機構である。このような吐出チップ118およびドライバの操作は、インクジェット印刷等の微小流体吐出分野において周知である。
【0016】
ここで使用したように、実質的に直交する、および実質的に垂直なという用語は、それぞれ2つの素子間の角度関係が90度±10度であることを意味するものと定義される。実質的に平行なという用語は、2つの素子間の角度関係が0度±10度であることを意味するものと定義される。
【0017】
図6および
図7に最も良く示すように、筐体112は、本体122と、蓋124と、エンドキャップ(end cap)126と、注入栓128(例えば、ボール)とを含む。筐体112内には、ダイヤフラム(diaphragm)130、撹拌子132、およびガイド部134が収容される。筐体112の構成部品、撹拌子132、およびガイド部134のそれぞれは、成形工程を使用して、プラスチックで作られる。ダイヤフラム130は、成形工程を使用して、ゴムで作られる。また、本実施形態において、注入栓128は、ステンレス鋼ボールベアリング(ball bearing)の形状であってもよい。
【0018】
また、
図8および
図9を参照すると、一般的に、流体(図示せず)は、本体122内の充填孔(fill hole)122−1(
図6を参照)を介して密封領域、すなわち、本体122とダイヤフラム130の間にある流体リザーバ136に運ばれる。流体リザーバ136内の背圧を設定した後、注入栓128を充填孔122−1に挿入する、例えば、押圧することによって背圧を維持し、空気が流体リザーバ136に浸み込む、あるいは流体リザーバ136から漏れ出るのを防ぐ。その後、エンドキャップ126を吐出チップ118の反対側にある本体122/蓋124の結合の端部に配置する。撹拌子132は、流体を収容する本体122とダイヤフラム130の間の密封された流体リザーバ136内に存在する。撹拌子132を回転させて流体リザーバ136内に内部流体流動を生成することによって、流体リザーバ136の密封領域内に流体混合および微粒子の再配分を提供することができる。
【0019】
また、
図10〜
図16を参照すると、筐体112の本体122は、ベース壁138、およびベース壁138と隣接する外周壁140を有する。外周壁140は、ベース壁138からベース壁138に対して実質的に直交する方向に延伸するよう配向される。蓋124は、外周壁140を係合するよう構成される。そのため、外周壁140は、ベース壁138と蓋124の間に挟まれ、蓋124は、溶接、接着、またはスナップフィット(snap fit)やネジユニオン(threaded union)等の他の締結機構により、外周壁140の開放自由端に取り付けられる。蓋124は、本体122内にダイヤフラム130、撹拌子132、およびガイド部134を設置した後、本体122に取り付けられる。
【0020】
本体122の外周壁140は、外周壁140の隣接部分である外壁140−1を含む。外壁140−1は、平面142(
図11および
図12を参照)を定義するチップ取り付け面140−2を有し、且つ外壁140−1の厚さを通過するチップ取り付け面140−2に隣接する流体開口140−3を有する。吐出チップ118は、例えば、粘着シールストリップ144(
図6および
図7を参照)によりチップ取り付け面140−2に取り付けられ、外壁140−1の流体開口140−3(
図13を参照)と流体連通している。そのため、吐出チップ118の平面範囲は、平面142に沿って配向され、複数の吐出ノズル120は、流体吐出方向120−1が平面142に対して実質的に直交するよう配向される。ベース壁138は、外壁140−1の平面142に対して実質的に直交する平面146(
図11を参照)に沿って配向される。
図6、
図15、および
図16に最も良く示すように、ベース壁138は、撹拌子132の所望の位置の周辺に、円形凹部領域138−1を含んでもよい。
【0021】
図11〜
図16を参照すると、筐体112の本体122は、また、外周壁140により定義される境界内に設置されたチャンバ148を含む。チャンバ148は、流体リザーバ136の一部を形成し、内部空間を定義するよう構成され、具体的には、ベース壁138を含み、丸い角を有するよう構成された内周壁150を有するため、チャンバ148内の流体流動を促進する。チャンバ148の内周壁150は、近位端150−1および遠心端150−2により区切られた範囲を有する。近位端150−1は、ベース壁138と隣接し、且つベース壁138と推移径(transition radius)を形成することができる。このような刃半径(edge radius)は、鋭い角の数を減らすことによって、混合効力に役に立つ。遠心端150−2は、チャンバ148の側面開口148−1において周縁端面150−3を定義するよう構成される。周縁端面150−3は、複数の周縁リブまたはうねり(undulation)を含み、ダイヤフラム130と係合するための有効な密封面を提供してもよい。チャンバ148の内周壁150の範囲は、ベース壁138に対して実質的に直交し、且つ外周壁140(
図6を参照)の対応する範囲に対して実質的に平行である。
【0022】
図15および
図16に最も良く示すように、チャンバ148は、流体吸入口152および流体排出口154を有し、それぞれ内周壁150の一部の中に形成される。「入口(inlet)」および「出口(outlet)」という用語は、本実施形態の複数のポート間の区別に使用する場合に便利な用語であり、撹拌子132の特定の回転方向と相互に関係がある。しかしながら、理解すべきこととして、特定のポートが吸入口として機能するか、排出口として機能するかを決定するのは、撹拌子132の回転方向であり、撹拌子132の回転方向を反転し、それゆえにチャンバ148内の各ポートの役割が逆になることは、本発明の範囲内である。
【0023】
流体吸入口152は、内周壁150の一部に沿って流体排出口154から少し離れる。
図15および
図16に最も良く示すように、合わせて考慮すると、筐体112の本体122は、チャンバ148の内周壁150の一部と吐出チップ118を運ぶ外周壁140の外壁140−1の間に挟まれた流路156を含む。
【0024】
流路156は、吐出チップ118の流域内の微粒子の沈殿を最小化するよう構成される。流路156は、例えば、経験的データを用いて、所望の流動率を提供し、同時に、流路156を流れる流体混合に対して許容範囲の流量速度(fluid velocity)を維持する大きさに形成される。
【0025】
本実施形態において、
図15を参照すると、流路156は、チャネル入口156−1およびチャネル出口156−2を有するU字型に延長した通路として構成される。流路156の大きさ、例えば、高さと幅、および形状は、流体流動と流量速度の所望の組み合わせを提供して、チャネル内撹拌を容易にするために選択される。
【0026】
流路156は、チャンバ148の流体排出口154と流体連通しているチャンバ148の流体吸入口152を接続し、且つチャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154の両方と流体連通している外周壁140の外壁140−1の流体開口140−3も接続するよう構成される。具体的には、流路156のチャネル入口156−1は、チャンバ148の流体吸入口152に隣接して設置され、流路156のチャネル出口156−2は、チャンバ148の流体排出口154に隣接して設置される。本実施形態において、チャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154の構造は、対称である。
【0027】
流路156は、チャネル入口156−1とチャネル出口156−2の間に配置された凸状弓形壁156−3を有し、流路156は、チャネル中心点158に関して対称である。同様に、流路156の凸状弓形壁156−3は、チャンバ148の内部空間から内周壁150の反対側にあるチャンバ148の流体吸入口152と流体排出口154の間に配置され、凸状弓形壁156−3は、外壁140−1の流体開口140−3および吐出チップ118に面するよう配置される。
【0028】
凸状弓形壁156−3は、吐出チップ118に対して実質的に平行な流路156を流れる流体流動を生成するよう構成される。本実施形態において、凸状弓形壁156−3の縦方向範囲(longitudinal extent)は、流体開口140−3に面し、且つ吐出チップ118に対して実質的に平行な半径を有し、チャネル入口156−1およびチャネル出口156−2にそれぞれ隣接して設置された推移径156−4、156−5を有する。凸状弓形壁156−3の半径および推移径156−4、156−5は、流体流動効率に役に立つ。凸状弓形壁156−3と吐出チップ118の間の距離は、チャネル中心点158において最も狭く、吐出チップ118の縦方向範囲の中心点と一致し、同様に、外壁140−1の流体開口140−3の縦方向範囲の中心点と一致する。
【0029】
チャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154のそれぞれは、流体吸入口152および流体排出口154のそれぞれが流路156に向かう各方向に集まるよう構成された傾斜ランプ構造を有する。具体的に説明すると、チャンバ148の流体吸入口152は、流体吸入口152が流路156のチャネル入口156−1に向かう方向に集まる、すなわち細くなる傾斜入口ランプ152−1を有し、チャンバ148の流体排出口154は、流路156のチャネル出口156−2から離れる方向に広がる、すなわち広くなる傾斜出口ランプ154−1を有する。
【0030】
図6〜
図10を再度参照すると、ダイヤフラム130は、蓋124とチャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3の間に配置される。蓋124を本体122に取り付けてダイヤフラム130の周辺を圧縮することにより、ダイヤフラム130と本体122の間に連続シール(continuous seal)を形成する。さらに具体的に説明すると、ダイヤフラム130は、流体リザーバ136を形成する際に、チャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3とシール係合するよう構成される。そのため、チャンバ148とダイヤフラム130を組み合わせて、可変容量を有する流体リザーバ136を定義する。
【0031】
特に、
図6、
図8、および
図9を参照すると、ダイヤフラム130の外表面は、蓋124の中に設置された通気口124−1を介して大気に通気されるため、制御された負圧を流体リザーバ136内で維持することができる。ダイヤフラム130は、ゴムで作られ、微小流体分注装置110から流体を使い果たした時にベース壁138に向かってしぼむよう構成されたドーム部130−1を含み、チャンバ148内で所望の負圧を維持するため、流体リザーバ136の可変容量の有効体積を変化させる。
【0032】
図8および
図9を参照すると、さらなる説明の目的で、以下、流体リザーバ136の可変容量(ここでは、バルク領域とも称す)は、近位連続1/3容積部136−1、および中心連続1/3容積部136−2および遠位連続1/3容積部136−3から形成された連続2/3容積部136−4を有するとみなされ、中心連続1/3容積部136−2は、近位連続1/3容積部136−1を遠位連続1/3容積部136−3から分離する。近位連続1/3容積部136−1は、中心連続1/3容積部136−2および遠位連続1/3容積部136−3から形成された連続2/3容積部136−4よりも吐出チップ118の近くに設置される。
【0033】
図6〜
図9、および
図16を参照すると、撹拌子132は、流体リザーバ136の可変容積およびチャンバ148の中に存在し、チャンバ148の内周壁150によって定義される境界内に設置される。撹拌子132は、回転軸160、および回転軸160から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4を有する。撹拌子132は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子132を駆動して回転軸160の周りを回転させるよう構成された磁石162(
図8を参照)、例えば、永久磁石を有する。撹拌子132の回転原理は、外部磁場発生装置164により生成された十分強い外部磁場に磁石162を並べてから、制御された方式で外部磁場発生装置164により生成された外部磁場を回転させて、撹拌子132を回転するという原理である。外部磁場発生装置164により生成された外部磁場は、ステッパモータ(stepper motor)の操作と同様に電気的に回転させてもよく、あるいは回転シャフトを介して回転させてもよい。そのため、撹拌子132は、回転軸160を回る撹拌子132の回転によって、流体リザーバ136に流体混合を提供する効力がある。
【0034】
バルク領域における流体混合は、撹拌子132の回転によって生じる流量速度に依存し、微粒子の沈殿した境界層において剪断応力(shear stress)を生成する。剪断応力が臨界剪断応力(経験的に決定される)よりも大きく、粒子移動を開始した時、沈殿した粒子が移動中の流体内に分配されるため、再混合が起こる。剪断応力は、粘度、粒子サイズ、および密度等の流体パラメータと、容器の形状、撹拌子132の幾何学的配置、移動中の表面と静止した表面の間の流体厚、および回転速度等の機械的設計要因の両方に依拠する。
【0035】
また、流体領域内で、例えば、吐出チップ118と関連する近位連続1/3容積部136−1および流路156内で、撹拌子132を回転させて流体流動を生成することによって、混合されたバルク流体が吐出チップ118に提供されてノズル吐出を行うことを確実にするとともに、吐出チップ118に隣接する流体を流体リザーバ136のバルク領域に移動させて、流路156を流れるチャネル流体が流体リザーバ136のバルク流体と混合することを確実にすることにより、より均一な混合をもたらす。この流動は、主に、天然分布であるが、流量速度が臨界値以上の剪断応力を生成するのに十分である場合は、多少の混合が生じる。
【0036】
撹拌子132は、主に、部分的トロイダル流れパターンのように中心リターンパス(return pass)を持ついくつかの軸流によって、撹拌子132の回転軸160と関連する中心領域を回る流体の旋回流を引き起こす。
【0037】
図16を参照すると、撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4の各パドルは、各自由端頂点132−5を有する。回転抗力を減らすため、各パドルは、上下対称対の面取り面(chamfered surface)を含み、撹拌子132の回転方向160−1に対して先頭傾斜面132−6および後端傾斜面132−7を形成してもよい。撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれが錠剤または円筒形状を有することも考慮される。本実施形態において、撹拌子132は、2対の正反対向きのパドルを有し、正反対向きのパドルのうちの第1パドルは、第1自由端頂点132−5を有し、正反対向きのパドルのうちの第2パドルは、第2自由端頂点132−5を有する。
【0038】
本実施形態において、2対の正反対向きのパドルを形成する4つのパドルは、回転軸160の周りを90度単位で均等に間隔をあける。しかしながら、撹拌子132のパドルの実際の数は、2つ、またはそれ以上であり、好ましくは、3つまたは4つであり、さらに好ましくは、4つであり、各隣接する対のパドルは、回転軸160の周りに同じ角度間隔を有する。例えば、3つのパドルを有する撹拌子132の形状は、120度のパドル間隔を有し、4つのパドルを有するものは、90度のパドル間隔を有する。
【0039】
本実施形態において、流体リザーバ136の可変容積は、上述した近位連続1/3容積部136−1と連続2/3容積部136−4に分割され、近位連続1/3容積部136−1は、連続2/3容積部136−4よりも吐出チップ118の近くに設置されるため、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118に近い近位連続1/3容積部136−1の中に設置されてもよい。言い換えれば、ガイド部134は、流体開口140−3に最も近いチャンバ148の内部空間の容積の1/3を構成するチャンバ148の内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。
【0040】
図11を再度参照すると、撹拌子132の回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して、±45度、垂直の角度範囲内に配向される。言い換えれば、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118の平面範囲(例えば、平面142)に対して、±45度、平行の角度範囲内に配向される。組み合わせると、撹拌子132の回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して、±45度、垂直の角度範囲と、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲の両方に配向される。
【0041】
より好ましくは、回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向性を有するため、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118の平面142、すなわち、平面範囲に対して実質的に平行であり、且つベース壁138の平面146に対して実質的に垂直な配向性を有する。また、本実施形態において、撹拌子132の回転軸160は、回転軸160の周りの全ての配向においてベース壁138の平面146に対して実質的に垂直であり、且つ流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向性を有する。
【0042】
図6〜
図9、
図11および
図12を参照すると、撹拌子132の配向は、上述したように、ガイド部134により達成され、ガイド部134は、流体リザーバ136(
図8および
図9を参照)の可変容積内のチャンバ148内に設置され、より具体的には、チャンバ148の内周壁150によって定義される境界内に設置される。ガイド部134は、所定の配向でチャンバ148の内部空間の所定の部分に撹拌子132を閉じ込め、同時に、流路156のチャネル入口156−1に向かって撹拌子132から回転流体流動を分裂させて向け直すよう構成される。返流側において、ガイド部134は、流体リザーバ136のバルク領域にある流路156のチャネル出口156−2から受け取った旋回流を再結合するのに役立つ。
【0043】
例えば、ガイド部134は、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲内で撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。より好ましくは、ガイド部134は、吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行な撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。本実施形態において、ガイド部134は、撹拌子132の回転軸160の配向が吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行に、且つ回転軸160を回る全ての配向においてベース壁138の平面146に対して実質的に垂直になるように配置および維持するよう構成される。
【0044】
ガイド部134は、環状部材166と、複数の位置決め特徴168−1、168−2と、オフセット部材170、172と、籠構造174とを含む。複数の位置決め特徴168−1、168−2は、オフセット部材170、172から環状部材166の反対側に配置され、且つダイヤフラム130によって係合されるよう配置されるため、オフセット部材170、172をベース壁138と接触した状態に保つ。オフセット部材170、172は、流体リザーバ136内にガイド部134の軸位置(撹拌子132の回転軸160に対する)を維持する。オフセット部材172は、本体122を係合する保持特徴部172−1を含み、流体リザーバ136内のガイド部134の横方向へのずれを防ぐ。
【0045】
図6および
図7を再度参照すると、ガイド部134の環状部材166は、第1環状面166−1と、第2環状面166−2と、環状閉じ込め面166−4を定義する開口166−3とを含む。環状部材166の開口166−3は、中心軸176を有する。環状閉じ込め面166−4は、中心軸176に対して撹拌子132の半径方向運動を制限するよう構成される。第2環状面166−2は、第1環状面166−1の反対側にあり、第1環状面166−1は、環状閉じ込め面166−4によって第2環状面166−2から分離される。また、
図9を参照すると、環状部材166の第1環状面166−1は、流体入口152および流体出口154の上とこれらの間において、連続シーリング(continuous ceiling)としても機能する。複数のオフセット部材170、172は、環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、複数のオフセット部材170、172は、環状部材166の第1環状面166−1に結合される。複数のオフセット部材170、172は、中心軸176に対して第1軸方向に向かって環状部材166から延伸するよう配置される。複数のオフセット部材170、172のそれぞれは、チャンバ148のベース壁138を係合するよう構成された自由端を有し、ベース壁138から環状部材166のアキシャルオフセット(axial offset)を確立する。オフセット部材172は、また、流路156の流量バイパスを防ぐ目的で配置および構成される。
【0046】
複数のオフセット部材170、172は、環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、複数のオフセット部材170、172は、環状部材166の第2環状面166−2に結合される。複数のオフセット部材170、172は、中心軸176に対して第1軸方向とは反対の第2軸方向に向かって環状部材166から延伸するよう配置される。
【0047】
そのため、組み立てた時、複数の位置決め特徴168−1、168−2のそれぞれは、ダイヤフラム130の周辺部を係合する自由端を有し、複数のオフセット部材170、172のそれぞれは、ベース壁138を係合する自由端を有する。
【0048】
ガイド部134の籠構造174は、複数のオフセット部材170、172の反対側にある環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、籠構造174は、環状部材166の第2環状面166−2に結合された複数のオフセット脚部178を有する。籠構造174は、第1軸方向とは反対の第2軸方向に向かって環状部材166から複数のオフセット脚部178(3つを図示する)により軸方向に配置された軸拘束部180を有する。
図12に示すように、軸拘束部180は、環状部材166内の開口166−3の少なくとも一部の上に配置され、第2軸方向における中心軸176に対する撹拌子132の軸方向運動を制限する。
【0049】
このように、本実施形態において、撹拌子132は、環状部材166の開口166−3および環状閉じ込め面166−4によって定義される領域内に、且つ籠構造174の軸拘束部180とチャンバ148のベース壁138の間に、遊動自在(free-floating)に閉じ込められる。撹拌子132が遊動自在な範囲は、径方向の環状閉じ込め面166−4と撹拌子132の間に提供される半径方向公差(radial tolerance)、およびベース壁138と軸拘束部180の組み合わせにより提供される撹拌子132と軸方向リミット(axial limit)の間の軸方向交差(axial tolerance)により決定される。例えば、ガイド部134により提供される半径方向および軸方向の交差が厳しいほど、ベース壁138に対する垂線からの撹拌子132の回転軸160の変動が少なく、且つ流体リザーバ136内の撹拌子132の左右の動きが少ない。
【0050】
本実施形態において、ガイド部134は、筐体112に着脱可能に取り付けられた一体インサート部材(unitary insert member)として構成される。ガイド部134は、第1保持特徴部172−1を含み、筐体112の本体122は、第2保持特徴部182を含む。第1保持特徴部172−1は、第2保持特徴部182と係合され、筐体112と固定の関係でガイド部134を筐体112の本体122に取り付ける。第1保持特徴部172−1/第2保持特徴部182はそれぞれ、例えば、タブ/スロット配置、あるいは、スロット/タブ配置の形式であってもよい。
【0051】
図7および
図15を参照すると、ガイド部134は、さらに、流動制御部184を含んでもよく、本実施形態では、オフセット172としても使用される。
図15を参照すると、流動制御部184は、分流特徴部184−1と、再結合流特徴部184−2と、凹型円弧状表面184−3とを含む。凹型円弧状表面184−3は、分流特徴部184−1および再結合流特徴部184−2のそれぞれと同一の範囲を持ち、且つこれらの間に延伸する。分流特徴部184−1および再結合流特徴部184−2のそれぞれは、角のある、すなわち、傾斜した壁によって定義される。分流特徴部184−1は、流体入口152に隣接して配置され、再結合流特徴部184−2は、流体出口154に隣接して配置される。
【0052】
チャンバ148の流体入口152に隣接して配置された分流特徴部184−1の傾斜壁は、チャンバ148の流体入口152の傾斜入口ランプ152−1と協働して、流路156のチャネル入口156−1に向かって流体を案内する。分流特徴部184−1は、流体の直接バイパスをチャネル出口156−2から出る流出口に入れる代わりに、旋回流をチャネル入口156−1に向かって導くよう構成される。また、
図9および
図14を参照すると、反対側に配置された傾斜入口ランプ152−1は、環状部材166の第1環状面166−1により提供される流体シーリグ(fluid ceiling)である。分流特徴部184−1は、環状部材166の連続シーリングおよびチャンバ148の流体入口152の傾斜入口ランプ152−1によって提供される傾斜ランプ壁と結合して、流体流動を流路156のチャネル入口156−1に導くのに役立つ。
【0053】
同様に、
図9、
図14、および
図15を参照すると、チャンバ148の流体出口154に隣接して配置された結合流特徴部184−2の傾斜壁は、流体出口154の傾斜出口ランプ154−2と協働して、流路156チャネル出口156−2から流体を遠ざけるよう案内する。反対側に配置された傾斜出口ランプ154−1は、環状部材166の第1環状面166−1により提供される流体シーリグである。
【0054】
本実施形態において、流動制御部184は、ガイド部134のオフセット部材172として形成された一体構造である。あるいは、流動制御部184の全てまたは一部を筐体112の本体122のチャンバ148の内周壁150に合体させてもよい。
【0055】
本実施形態において、
図15および
図16に最も良く示すように、撹拌子132が回転軸160の周りを回転した時、撹拌子132は、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4が流動制御部184の凹型円弧状表面184−3に周期的に面するように向けられる。撹拌子132は、回転軸160から各パドルの自由端頂点132−5に向かう撹拌子半径を有する。撹拌子半径対自由端頂点132−5と流動制御部184の間の空間距離の比率は、5:2〜5:0.025であってもよい。さらに具体的に説明すると、ガイド部134は、チャンバ148の内部空間の所定の部分に撹拌子132を閉じ込めるよう構成される。本例において、各自由端頂点132−5が凹型円弧状表面184−3に面している時、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4の各自由端頂点132−5と流動制御部184の凹型円弧状表面184−3の間の距離は、2.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内であり、より好ましくは、1.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内である。また、撹拌子132を吐出チップ118のできるだけ近くに配置して、流路156を流れる流動を最大限度にするのが好ましいこともわかっている。
【0056】
また、ガイド部134は、流体リザーバ136の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれの自由端頂点132−5は、吐出チップ118に比較的近い近位連続1/3容積部136−1に回転して進入し、退出する。言い換えると、ガイド部134は、内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれの自由端頂点132−5は、流体入口152および流体出口154を含むチャンバ148の内部空間の近位連続1/3容積部136−1に回転して進入し、退出する。
【0057】
さらに具体的に説明すると、本実施形態において、撹拌子132は、4つのパドルを有し、ガイド部134は、内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、2対の正反対向きのパドル132−1、132−3および132−2、132−4のそれぞれの第1および第2自由端頂点132−5は、流体入口152および流体出口154を含むチャンバ148の内部空間の近位連続1/3容積部136−1内に、および吐出チップ118から最も遠い内部空間の遠位連続1/3容積部136−3を有する連続2/3容積部136−4内に、交互にそれぞれ配置される。
【0058】
図17〜
図27は、本発明の別の実施形態を示したものであり、本例では、微小流体分注装置210の形態で示したものである。微小流体分注装置110と微小流体分注装置210の両方に共通の素子は、同じ素子番号を使用して示し、簡潔にするため、詳細については説明を省略する。
【0059】
微小流体分注装置210は、通常、筐体212と、TAB回路114とを含み、微小流体分注装置210は、微粒子搬送流体等の流体の供給を含むよう構成され、TAB回路114は、筐体212から流体の吐出を容易にするよう構成される。
【0060】
図17〜
図19に最も良く示すように、筐体212は、本体214と、蓋216と、エンドキャップ218と、注入栓220(例えば、ボール)とを含む。筐体212内には、ダイヤフラム222、撹拌子224、およびガイド部226が収容される。筐体212の構成部品、撹拌子224、およびガイド部226のそれぞれは、成形工程を使用して、プラスチックで作られる。ダイヤフラム222は、成形工程を使用して、ゴムで作られる。また、本実施形態において、注入栓220は、ステンレス鋼ボールベアリングの形状であってもよい。
【0061】
図18を参照すると、一般的に、流体(図示せず)は、本体214内の充填孔214−1(
図6を参照)を介して密封領域、すなわち、本体214とダイヤフラム222の間の流体リザーバ228に運ばれる。流体リザーバ228内の背圧を設定した後、注入栓220を充填孔214−1に挿入する、例えば、押圧することによって背圧を維持し、空気が流体リザーバ228に浸み込む、あるいは流体リザーバ228から漏れ出るのを防ぐ。その後、エンドキャップ218を吐出チップ118の反対側にある本体214/蓋216の結合部分の端部に配置する。撹拌子224は、流体を含む本体214とダイヤフラム222の間の密封された流体リザーバ228内に存在する。撹拌子224を回転させて流体リザーバ228内で内部流体流動を生成することによって、流体リザーバ228の密封領域内に流体混合および微粒子の再配分を提供することができる。
【0062】
また、
図20および
図21を参照すると、筐体212の本体214は、ベース壁230、およびベース壁230と隣接する外周壁232を有する。外周壁232は、ベース壁230からベース壁230に対して実質的に直交する方向に向かって延伸するよう配向される。
図19を参照すると、蓋216は、外周壁232を係合するよう構成される。そのため、外周壁232は、ベース壁230と蓋216の間に挟まれ、蓋216は、溶接、接着、またはスナップフィットやネジユニオン等の他の締結機構により、外周壁232の開放自由端に取り付けられる。
【0063】
また、
図18、
図22、および
図23を参照すると、本体214の外周壁232は、外周壁232の連続部分である内壁232−1を含む。外壁232−1は、チップ取り付け面232−2、および外壁232−1の厚さを通過するチップ取り付け面232−2に隣接する流体開口232−3を有する。
【0064】
また、
図20を再度参照すると、チップ取り付け面232−2は、平面234を定義する。吐出チップ118は、チップ取り付け面232−2に取り付けられ、外壁232−1の流体開口232−3と流体連通している。吐出チップ118下方に分配された接着剤および導線を保護する封止剤が硬化される間、粘着シールストリップ144は、吐出チップ118およびTAB回路114を定位置に保持する。硬化サイクルの後、吐出チップ118とチップ取り付け面232−2の間の液体シールは、ダイボンド(die bond)接着剤である。
【0065】
吐出チップ118の平面範囲は、平面234に沿って配向され、複数の吐出ノズル120(
図1を参照)は、流体吐出方向120−1が平面234に対して実質的に直交するよう配向される。ベース壁230は、外壁232−1の平面234に対して実質的に直交し、且つ流体吐出方向120−1に対して実質的に平行な平面236に沿って配向される。
【0066】
図20に最も良く示すように、筐体212の本体214は、外周壁232によって定義される境界内に設置されたチャンバ238を含む。チャンバ238は、流体リザーバ228の一部を形成し、内部空間を定義するよう構成され、具体的には、ベース壁230を含み、丸い角を有するよう構成された内周壁240を有するため、チャンバ128内の流体流動を促進する。
図19を参照すると、チャンバ238の内周壁240は、近位端240−1および遠心端240−2により区切られた範囲を有する。近位端240−1は、ベース壁230と隣接し、好ましくは、ベース壁230と推移径を形成する。遠心端240−2は、チャンバ238の側面開口238−1において周縁端面240−3を定義するよう構成される。周縁端面240−3は、複数の周縁リブまたはうねりを含み、ダイヤフラム222と係合するための有効な密封面を提供してもよい。チャンバ238の内周壁240の範囲は、ベース壁230に対して実質的に直交し、且つ外周壁232の対応する範囲に対して実質的に平行である。
【0067】
図19に最も良く示すように、チャンバ238は、流体吸入口242および流体排出口244を有し、それぞれ内周壁240の一部の中に形成される。流体吸入口242は、内周壁240の一部に沿って流体排出口244から少し離れる。「入口」および「出口」という用語は、本実施形態の複数のポート間の区別に使用する場合に便利な用語であり、撹拌子224の特定の回転方向250−1と相互に関係がある。しかしながら、理解すべきこととして、特定のポートが吸入口として機能するか、排出口として機能するかを決定するのは、撹拌子224の回転方向であり、撹拌子224の回転方向を反転し、それゆえにチャンバ238内の各ポートの役割が逆になることは、本発明の範囲内である。
【0068】
図23に最も良く示すように、筐体212の本体214は、チャンバ238の内周壁240の一部と吐出チップ118を運ぶ外周壁232の外壁232−1の間に挟まれた流路246を含む。流路246は、流体開口232−3、および同様に、吐出チップ118の領域に沈殿する微粒子を最小化するよう構成される。
【0069】
本実施形態において、流路246は、チャネル入口246−1およびチャネル出口246−2を有するU字型に延長した通路として構成される。流路246の大きさ、例えば、高さと幅、および形状は、流体流動と流量速度の所望の組み合わせを提供して、チャネル内撹拌を容易にするために選択される。
【0070】
流路246は、チャンバ238の流体出口244と流体連通しているチャンバ238の流体入口242を接続し、また、チャンバ238の流体入口242と流体出口244の両方と流体連通している外周壁232の外壁232−1の流体開口232−3も接続するよう構成される。具体的に説明すると、流路246のチャネル入口246−1は、チャンバ238の流体入口242に隣接して設置され、流路246のチャネル出口246−2は、チャンバ238の流体出口244に隣接して設置される。本実施形態において、チャンバ238の流体入口242および流体出口244の構造は、対称である。
【0071】
流路246は、チャネル入口246−1とチャネル出口246−2の間に配置された凸状弓形壁246−3を有し、流路246は、チャネル中心点248に対して対称である。同様に、流路246の凸状弓形壁246−3は、チャンバ238の内部空間から内周壁240の反対側にあるチャンバ238の流体吸入口242と流体排出口244の間に配置され、凸状弓形壁246−3は、外壁232−1の流体開口232−3および流体吐出チップ118に面するよう配置される。
【0072】
凸状弓形壁246−3は、吐出チップ118に対して実質的に平行な流体流動を生成するよう構成される。本実施形態において、凸状弓形壁246−3の縦方向範囲は、流体開口232−3に面し、且つ吐出チップ118に対して実質的に平行な半径を有し、且つチャネル入口246−1およびチャネル出口246−2の平面にそれぞれ隣接して設置された推移径246−4、246−5を有する。凸状弓形壁246−3の半径および推移径は、流体流動効率に役に立つ。凸状弓形壁246−3と流体吐出チップ118の間の距離は、チャネル中心点248において最も狭く、流体吐出チップ118の縦方向範囲の中心点と一致し、同様に、外壁232−1の流体開口232−3の縦方向範囲の中心点と一致する。
【0073】
また、
図19を再度参照すると、チャンバ238の流体吸入口242および流体排出口244のそれぞれは、流体吸入口242および流体排出口244のそれぞれが流路246に向かう各方向に集まるよう構成された傾斜ランプ構造を有する。具体的に説明すると、チャンバ238の流体吸入口242は、流体吸入口242が流路246のチャネル入口246−1に向かう方向に集まる、すなわち細くなる傾斜入口ランプ242−1を有し、チャンバ238の流体排出口244は、流路246のチャネル出口246−2から離れる方向に広がる、すなわち広くなる傾斜出口ランプ244−1を有する。
【0074】
図18を再度参照すると、ダイヤフラム222は、蓋216とチャンバ238の内周壁240の周縁端面240−3の間に配置される。蓋216を本体214に取り付けてダイヤフラム222の周辺を圧縮することにより、ダイヤフラム222と本体122の間に連続シールを形成する。さらに具体的に説明すると、ダイヤフラム222は、流体リザーバ228を形成する時に、チャンバ238の内周壁240の周縁端面240−3とシール係合するよう構成される。そのため、チャンバ238とダイヤフラム222を組み合わせて、可変容量を有する流体リザーバ228を定義する。
【0075】
特に、
図18および
図19を参照すると、ダイヤフラム222の外表面は、蓋216の中に設置された通気口216−1を介して大気に通気されるため、制御された負圧を流体リザーバ228内で維持することができる。ダイヤフラム222は、ゴムで作られ、微小流体分注装置210から流体を使い果たした時にベース壁230に向かってしぼむよう構成されたドーム部222−1を含み、チャンバ238内で所望の負圧を維持するため、流体リザーバ228の可変容量の有効体積を変化させる。
【0076】
図18を参照すると、さらなる説明の目的で、以下、流体リザーバ228の可変容量(ここでは、バルク領域とも称す)は、近位連続1/3容積部228−1、中心連続1/3容積部228−2、および遠位連続1/3容積部228−3を有するとみなされ、中心連続1/3容積部228−2は、近位連続1/3容積部228−1を遠位連続1/3容積部228−3から分離する。近位連続1/3容積部228−1は、中心連続1/3容積部228−2および遠位連続1/3容積部228−3のいずれか1つよりも吐出チップ118の近くに設置される。
【0077】
図18および
図19を参照すると、撹拌子224は、流体リザーバ228の可変容積およびチャンバ238の中に存在し、チャンバ238の内周壁240によって定義される境界内に設置される。また、
図24〜
図27を参照すると、撹拌子224は、回転軸250、および回転軸250から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル252、254、256、258を有する。撹拌子224は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子224を駆動して回転軸250の周りを回転させるよう構成された磁石262(
図18、
図23、および
図27を参照)、例えば、永久磁石を有する。本実施形態において、撹拌子224は、回転軸250の周りを90度単位で均等に間隔をあけた2対の正反対向きのパドルを有する。しかしながら、撹拌子224のパドルの実際の数は、2つ、またはそれ以上であり、好ましくは、3つまたは4つであり、さらに好ましくは、4つであり、各隣接する対のパドルは、回転軸250の周りに同じ角度間隔を有する。例えば、3つのパドルを有する撹拌子224の形状は、120度のパドル間隔を有し、4つのパドルを有するものは、90度のパドル間隔を有する。
【0078】
本実施形態において、
図24〜
図27に示すように、撹拌子224は、所望の特性(穏やか、短い、低軸抗力、優れた回転速度移動、および微粒子沈殿物で撹拌子224により混合を開始することができる)を提供することのできる面取り面を有する階段状の、すなわち、二層構造の交差パターンに構成される。具体的には、
図26を参照すると、撹拌子224の複数のパドル252、254、256、258のそれぞれは、第1階層部264および第2階層部266を有する軸方向範囲(axial extent)262を有する。また、
図25を参照すると、第1階層部264は、第1遠位端頂点270で終わる第1径方向範囲(radial extent)268を有する。第2階層部266は、第2遠位端頂点274で終わる第2径方向範囲272を有する。第1径方向範囲268は、第2径方向範囲272よりも大きいため、第1階層部264の第1遠位端頂点270の第1回転速度は、第2階層部266の第2遠位端頂点274の第2回転速度よりも速い。
【0079】
また、本実施形態において、第1径方向範囲268は、前の実施形態のように籠状格納構造(cage containment structure)により制限されないため、第1遠位端頂点270は、チャンバ238の内周壁240の周辺部の近く、具体的には、中心連続1/3容積部228−2および遠位連続1/3容積部228−3の中に配置されてもよい。第1遠位端頂点270とチャンバ238の内周壁240の間の隙間を減らすことによって、混合効力が向上する。撹拌子224は、回転軸250から各パドルの第1階層部264の第1遠位端頂点270に向かう撹拌子半径(第1径方向範囲268)を有する。撹拌子半径対第1遠位端頂点270と内周壁240に最も接近する所の間の空間距離の比率は、5:2〜5:0.025であってもよい。本例において、最も接近する所の各隙間は、2.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内であってもよく、より好ましくは、1.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内である。
【0080】
第1階層部264は、第1遠位端頂点270を含む第1頂点部270−1を有する。第1頂点部270−1は、回転軸250から第1遠位端頂点270の方向に向かって細くなってもよい。第1階層部264の第1頂点部270−1は、対称の上表面と下表面を有し、それぞれ傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する。第1頂点部270−1の傾斜先頭面および傾斜後端面は、第1遠位端頂点270に集まるよう構成される。
【0081】
また、本実施形態において、複数のパドル252、254、256、258のそれぞれの第1階層部264は、まとめて凸面276を形成する。
図18に示すように、凸面276は、チャンバ238のベース壁230と接触するよう配置された抗力減少半径(drug-reducing radius)を有する。抗力減少半径は、例えば、複数のパドル252、254、256、258のそれぞれの第1階層部264の第1径方向範囲268よりも少なくとも3倍大きくてもよい。
【0082】
図26を再度参照すると、第2階層部266は、第2遠位端頂点274を含む第2頂点部274−1を有する。第2遠位端頂点274は、放射状の鈍端面(radial blunt end surface)を有してもよい。複数のパドル252、254、256、258のそれぞれの第2階層部266は、傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する上表面を有する。
【0083】
図19〜
図27を参照すると、撹拌子224の回転軸250は、流体吐出方向120−1に対して、±45度、垂直の角度範囲内に配向される。言い換えれば、撹拌子224の回転軸250は、吐出チップ118の平面範囲(例えば、平面234)に対して、±45度、平行の角度範囲内に配向される。また、撹拌子224の回転軸250は、ベース壁230の平面範囲に対して、±45度、垂直の角度範囲内に配向される。組み合わせると、撹拌子224の回転軸250は、流体吐出方向120−1および/またはベース壁230の平面範囲に対して、±45度、垂直の角度範囲と、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲の両方に配向される。
【0084】
より好ましくは、回転軸250は、流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向、吐出チップ118の平面234、すなわち、平面範囲に対して実質的に平行な配向、およびベース壁230の平面236に対して実質的に垂直な配向を有する。本実施形態において、撹拌子224の回転軸250は、回転軸250を回る全ての配向においてベース壁230の平面236に対して実質的に垂直な、および/または回転軸250を回る全ての配向において流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向性を有する。
【0085】
撹拌子224の配向は、上述したように、ガイド部226により達成され、ガイド部226は、流体リザーバ228の可変容積内のチャンバ238内に設置されてもよく、より具体的には、チャンバ238の内周壁240によって定義される境界内に設置される。ガイド部226は、上述したように、所定の配向のうちの1つでチャンバ238の内部空間の所定の部分に撹拌子224を閉じ込め、配置するよう構成される。
【0086】
図18〜
図21を参照すると、例えば、ガイド部226は、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲内で撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成される。より好ましくは、ガイド部226は、吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行な撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成される。本実施形態において、ガイド部226は、撹拌子224の回転軸250の配向が回転軸250を回る全ての配向においてベース壁230の平面236に対して実質的に垂直に、且つ回転軸250を回る全ての配向において吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行に配置および維持するよう構成される。
【0087】
図19〜
図21、および
図23を参照すると、ガイド部226は、環状部材278と、環状部材278に結合された複数の取り付けアーム280−1、280−2、280−3、280−4とを含む。環状部材278は、環状閉じ込め面278−2を定義する開口278−1を含む。開口278−1は、中心軸282を有する。撹拌子224の第2階層部266は、環状部材278の開口278−1内で受け取られる。環状閉じ込め面278−2は、複数のパドル252、254、256、258の第2階層部266の径方向範囲と接触し、中心軸282に対して撹拌子224の半径方向運動を制限するよう構成される。
図18〜
図20、および
図23を参照すると、環状部材278は、チャンバ238のベース壁230から軸方向にオフセットされるよう配置された軸拘束面278−3を有し、撹拌子224の第1階層部264と軸方向係合する。
【0088】
図20および
図21を参照すると、複数の取り付けアーム280−1、280−2、280−3、280−4は、筐体212を係合して、チャンバ238のベース壁230から分離されたチャンバ238の内部空間に環状部材278をぶら下げるよう構成され、軸拘束面278−3は、チャンバ238のベース壁230に面し、そこから軸方向にオフセットされるよう配置される。取り付けアーム280−1、280−2、280−3、280−4のそれぞれの遠位端は、ダイヤフラム222の周辺部を係合するための自由端を有する各位置決め特徴280−5、280−6、280−7、280−8を含む。
【0089】
本実施形態において、ベース壁230は、第1軸方向において中心軸282に対して撹拌子224の軸方向運動を制限し、環状部材278の軸拘束面278−3は、複数のパドル252、254、256、258の第1階層部264の少なくとも一部を軸方向に係合するよう設置され、第1軸方向とは反対の第2軸方向において中心軸282に対して撹拌子224の軸方向運動を制限する。
【0090】
このように、本実施形態において、撹拌子224は、環状部材278の開口278−1および環状閉じ込め面278−2によって定義される領域内に、且つ環状部材278の軸拘束面278−1とチャンバ278のベース壁230の間に、遊動自在に閉じ込められる。撹拌子224が遊動自在な範囲は、径方向において環状閉じ込め面278−2と撹拌子224の間に提供される半径方向公差、およびベース壁230と環状部材278の軸拘束面238−3の組み合わせにより提供される撹拌子224と軸方向リミットの間の軸方向交差により決定される。例えば、ガイド部226により提供される半径方向および軸方向の交差が厳しいほど、ベース壁230に対する垂線からの撹拌子224の回転軸250の変動が少なく、且つ流体リザーバ228内の撹拌子224の左右の動きが少ない。
【0091】
本実施形態において、ガイド部226は、筐体212に着脱可能に取り付けられた一体インサート部材として構成される。
図23を参照すると、ガイド部226は、第1保持特徴部284を含み、筐体212の本体214は、第2保持特徴部214−2を含む。第1保持特徴部284は、第2保持特徴部214−2と係合され、筐体212と固定の関係でガイド部226を筐体212の本体214に取り付ける。第1保持特徴部284/第2保持特徴部214−2はそれぞれ、例えば、タブ/スロット配置、あるいは、スロット/タブ配置の形式であってもよい。
【0092】
図19に関して、
図23に最も良く示すように、ガイド部226は、さらに、分流特徴部286−1、再結合流特徴部286−2、および凹型円弧状表面286−3を有する流動制御部286を含んでもよい。流動制御部286は、流体入口242および流体出口244の領域内に軸拘束面278−3とベース壁230の間の軸方向空間を提供する。凹型円弧状表面286−3は、分流特徴部286−1および再結合流特徴部286−2のそれぞれと同一の範囲を持ち、且つこれらの間に延伸する。分流特徴部286−1は、流体入口242に隣接して配置され、再結合流特徴部286−2は、流体出口244に隣接して配置される。分流特徴部286−1は、チャンバ238の流体入口242の傾斜入口ランプ242−1(
図19を参照)と共同する傾斜壁を有し、流路246のチャネル入口246−1に向かって流体を案内する。同様に、再結合流特徴部286−2は、流体出口244の傾斜出口ランプ244−1(
図19を参照)と共同する傾斜壁を有し、流路246のチャネル出口246−2から離れるよう流体を案内する。
【0093】
流体制御部286の全て、または一部を筐体212の本体214のチャンバ238の内周壁240に合体させることも考慮される。
【0094】
本実施形態において、
図23に最も良く示すように、撹拌子224が回転軸250の周りを回転した時、撹拌子224は、複数のパドル252、254、256、258が流動制御部286の凹型円弧状表面286−3に周期的に面するように配向される。撹拌子半径対各パドルの第1階層部264の第1遠位端頂点270と流動制御部286の間の空間距離の比率は、5:2〜5:0.025であってもよい。さらに具体的に説明すると、ガイド部226は、チャンバ238の内部空間の所定の部分に撹拌子224を閉じ込めるよう構成される。本例において、第1遠位端頂点270と流動制御部286の凹型円弧状表面286−3の間の距離は、2.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内であり、より好ましくは、1.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内である。
【0095】
また、
図18を参照すると、ガイド部226は、流体リザーバ228の一部に撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成されるため、撹拌子224の複数のパドル252、254、256、258のそれぞれの第1遠位端頂点270は、吐出チップ118に比較的近い流体リザーバ228の近位連続1/3容積部228−1に回転して進入し、退出する。言い換えると、ガイド部226は、内部空間の一部に撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成されるため、複数のパドル252、254、256、258のそれぞれの第1遠位端頂点270は、流体入口242および流体出口244を含むチャンバ238の内部空間の近位連続1/3容積部228−1に回転して進入し、退出する。
【0096】
さらに具体的に説明すると、本実施形態において、撹拌子224は、4つのパドルを有し、ガイド部226は、チャンバ238の内部空間の一部に撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成されるため、2対の正反対向きのパドルのそれぞれの第1遠位端頂点270は、流体入口242および流体出口244を含むチャンバ238の内部空間の近位連続1/3容積部228−1に、および吐出チップ118から最も遠い内部空間の遠位連続1/3容積部228−3に、交互にそれぞれ配置される。さらに具体的に説明すると、本実施形態において、撹拌子224は、2組の正反対向きのパドルを有し、ガイド部226は、チャンバ238の内部空間の一部に撹拌子224の回転軸250を配置するよう構成されるため、2対の正反対向きのパドル、例えば、252、256、または254、258(
図23に示す)のそれぞれの第1遠位端頂点270は、撹拌子224が回転した時、近位連続1/3容積部228−1および遠位連続1/3容積部228−3に交互にそれぞれ配置される。
【0097】
図28〜
図31は、撹拌子300の構成を示したものであり、ガイド部226と使用する
図17〜
図27の実施形態に関して上述した微小流体分注装置210の撹拌子224と置き換えられる。
【0098】
撹拌子300は、回転軸350、および回転軸350から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル352、354、356、358を有する。撹拌子300は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子300を駆動して回転軸350の周りを回転させるよう構成された磁石360(
図31を参照)、例えば、永久磁石を有する。本実施形態において、撹拌子300は、回転軸350の周りを90度単位で均等に間隔をあけた2対の正反対向きのパドルを有する。
【0099】
本実施形態において、示すように、撹拌子300は、面取り面を有する階段状の、すなわち、二層構造の交差パターンに構成される。具体的に説明すると、撹拌子300の複数のパドル352、354、356、358は、第1階層部364および第2階層部366を有する軸方向範囲362を有する。第1階層部364は、第1遠位端頂点370で終わる第1径方向範囲368を有する。第2階層部366は、第2遠位端頂点374で終わる第2径方向範囲372を有する。第1径方向範囲368は、第2径方向範囲372よりも大きいため、撹拌子300の第1階層部364の第1遠位端頂点370の第1回転速度は、撹拌子300の第2階層部366の第2遠位端頂点374の第2回転速度よりも速い。
【0100】
第1階層部364は、第1遠位端頂点370を含む第1頂点部370−1を有する。第1頂点部370−1は、回転軸350から第1遠位端頂点370の方向に向かって細くなってもよい。第1階層部364の第1頂点部370−1は、対称の上表面と下表面を有し、それぞれ傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する。第1頂点部370−1の傾斜先頭面および傾斜後端面は、第1遠位端頂点370に集まるよう構成される。また、本実施形態において、複数のパドル352、354、356、358のそれぞれの第1階層部364は、まとめてベース壁230を係合する平面376を形成する。
【0101】
第2階層部366は、第2遠位端頂点374を含む第2頂点部374−1を有する。第2遠位端頂点374は、放射状の鈍端面を有してもよい。第2階層部366は、正反対の2対の上表面を有し、それぞれ、傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する。しかしながら、本実施形態において、正反対の2対は、異なる構成を有し、正反対の対のパドル352、356の上傾斜先頭面および上傾斜後端面の面積は、正反対の対のパドル354、358の上傾斜先頭面および上傾斜後端面の面積よりも大きい。そのため、隣接して角度をなして離間した対の複数のパドル352、354、356、358は、それぞれ流体リザーバ228内の流体のより少なくより積極的な撹拌を交互に提供する。
【0102】
図32〜
図35は、撹拌子400の構成を示したものであり、ガイド部226と使用する
図17〜
図27の実施形態に関して説明した微小流体分注装置210の撹拌子224と置き換えられる。
【0103】
撹拌子400は、回転軸450、および回転軸450から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル452、454、456、458を有する。撹拌子400は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子400を駆動して回転軸450の周りを回転させるよう構成された磁石460(
図32および
図35を参照)、例えば、永久磁石を有する。本実施形態において、撹拌子400は、回転軸450の周りを90度単位で均等に間隔をあけた2対の正反対向きのパドルを有する。
【0104】
本実施形態において、示すように、撹拌子400は、階段状の、すなわち、二層構造の交差パターンに構成される。具体的に説明すると、撹拌子400の複数のパドル452、454、456、458は、第1階層部464および第2階層部466を有する軸方向範囲462を有する。第1階層部464は、第1遠位端頂点470で終わる第1径方向範囲468を有する。第2階層部466は、第2遠位端頂点474で終わる第2径方向範囲472を有する。第1径方向範囲468は、第2径方向範囲472よりも大きいため、撹拌子400の第1階層部464の第1遠位端頂点470の第1回転速度は、撹拌子400の第2階層部466の第2遠位端頂点474の第2回転速度よりも速い。
【0105】
第1階層部464は、第1遠位端頂点470を含む第1頂点部470−1を有する。第1頂点部470−1は、回転軸450から第1遠位端頂点470の方向に向かって細くなってもよい。第1階層部464の第1頂点部470−1は、対称の上表面と下表面を有し、それぞれ傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する。第1頂点部470−1の傾斜先頭面および傾斜後端面は、第1遠位端頂点470に集まるよう構成される。また、本実施形態において、複数のパドル452、454、456、458のそれぞれの第1階層部464は、まとめてベース壁230を係合する平面476を形成する。
【0106】
第2階層部466は、第2遠位端頂点474を含む第2頂点部474−1を有する。第2頂点部474−1は、放射状の鈍端面を有する。第2階層部466は、正反対の2対の上表面を有する。しかしながら、本実施形態において、正反対の2対は異なる構成を有し、正反対の対のパドル452、456は上傾斜先頭面および上傾斜後端面を有するが、正反対の対のパドル454、458はこれらを有さない、すなわち、回転軸450に対して実質的に平行な鈍横面(blunt lateral surface)を提供する。
【0107】
図32〜
図35を参照すると、撹拌子400は、回転軸450を放射状に交差するくぼみ(void)478を含み、くぼみ478は、正反対の対のパドル454、458の中に設置される。磁石460は、回転軸450に対して正反対向きの北極磁石460および南極磁石460とともに、くぼみ478の中に配置される。フィルムシール480は、例えば、超音波溶接、熱かしめ(heat staking)、レーザー溶接等により撹拌子400に取り付けられ、くぼみ478の上を覆う。フィルムシール480は、撹拌子400の材料と化学的に相溶性のあるシール層材料を有するのが好ましい。フィルムシール480は、正反対の対のパドル454、458の第2階層部466の上表面の形状に一致する形状を有する。インサート成形は、インサート成形プロセス加熱から磁石をわずかに消磁するため、この構成は、磁石の周りに成形される撹拌子挿入以上の利点を有する。
【0108】
図36〜
図39は、撹拌子400−1の構成を示したものであり、
図32〜
図35に関して上述した撹拌子400と実質的に同じ構成を有し、唯一の違いは、くぼみ478を密封するために使用されるフィルムシールの形状である。撹拌子400−1は、円形のフィルムシール480−1を有し、複数のパドル452、454、456、458の隣接する対の間のアーチウェブ(arcuate web)を形成する直径を有する。ウェブ特徴は、撹拌子400−1とダイヤフラム222の間の領域、および複数のパドル452、454、456、458の隣接する対の間の領域のバルク混合流を分離するために使用される。
【0109】
図40〜
図43は、撹拌子500の構成を示したものであり、ガイド部226と使用する
図17〜
図27の実施形態に関して上述した微小流体分注装置210の撹拌子224と置き換えられる。
【0110】
撹拌子500は、円筒状ハブ(cylindrical hub)502から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル552、554、556、558を有する。撹拌子500は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子500を駆動して回転軸550の周りを回転させるよう構成された磁石560(
図40および
図43を参照)、例えば、永久磁石を有する。
【0111】
本実施形態において、示すように、撹拌子500の複数のパドル552、554、556、558は、面取り面を有する階段状の、すなわち、二層構造の交差パターンに構成される。具体的に説明すると、撹拌子500の複数のパドル552、554、556、558は、第1階層部564および第2階層部566を有する軸方向範囲562を有する。第1階層部564は、第1遠位端頂点570で終わる第1径方向範囲568を有する。第2階層部566は、第2遠位端頂点574で終わる第2径方向範囲572を有する。
【0112】
第1階層部564は、第1遠位端頂点570を含む第1頂点部570−1を有する。第1頂点部570−1は、回転軸550から第1遠位端頂点570の方向に向かって細くなってもよい。第1階層部564の第1頂点部570−1は、対称の上表面と下表面を有し、それぞれ傾斜した、すなわち面取りした先頭面および傾斜した後端面を有する。第1頂点部570−1の傾斜先頭面および傾斜後端面は、第1遠位端頂点570に集まるよう構成される。複数のパドル552、554、556、558のそれぞれの第1階層部564および円筒状ハブ502は、まとめてベース壁230を係合する凸状曲面576を形成する。
【0113】
第2階層部566は、第2遠位端頂点574を含む第2頂点部574−1を有する。第2遠位端頂点574は、放射状の鈍端面を有してもよい。第2階層部566は、面取り先頭面および面取り後端面を有する上表面を有する。
【0114】
図40および
図43を再度参照すると、撹拌子500は、回転軸550を放射状に交差するくぼみ578を含み、くぼみ578は、円筒状ハブ502の中に設置される。磁石560は、回転軸550に対して正反対向きの北極磁石560および南極磁石560とともに、くぼみ578の中に配置される。フィルムシール580は、例えば、超音波溶接、熱かしめ、レーザー溶接等により撹拌子500の円筒状ハブ502の上表面に取り付けられ、くぼみ578の上を覆う。フィルムシール580は、撹拌子500の材料と化学的に相溶性のあるシール層材料を有するのが好ましい。
【0115】
図44〜
図46は、撹拌子500−1の構成を示したものであり、
図40〜
図43に関して上述した撹拌子500と実質的に同じ構成を有し、唯一の違いは、くぼみ578を密封するために使用するフィルムシール580を永久カバー580−1に置き換えたことである。本実施形態において、永久カバー580−1は、インサート成形プロセスの間に磁石560の周りに形成される撹拌子本体と一体である。
【0116】
図24〜
図46の撹拌子の実施形態は、ガイド部226を有する微小流体分注装置210とともに使用すると説明したが、当業者であれば認識できるように、ガイド部134を有する微小流体分注装置110に関して上述した撹拌子132は、ガイド部134と使用する二層構造の撹拌子パドル設計も含むように変更されてもよい。
【0117】
各流体分注装置、例えば、流体分注装置210に流体が最初に導入された時、流体は、混合密度を有する所望の微粒子浮遊状態にある。しかしながら、経時的に、流体の微粒子部分は、流体のバルク液体部分から分離する傾向にある。吐出された流体の被覆均一性を達成するために、流体再混合操作を行うことにより、流体液体において流体を所望の微粒子浮遊状態に維持することが望ましい。
【0118】
経時的に、微粒子部分は、粒子の沈殿層として形成された沈殿した微粒子部分として堆積する傾向がある。流体のバルク流体液体部分の密度は、沈殿した微粒子部分の密度よりも小さいことが観察されている。また、沈殿した微粒子部分の密集した沈殿層は、所望の混合流体の粘度よりも粘度が大きい。沈殿した微粒子部分の密度が高ければ高いほど、撹拌子の回転運動を抑制する傾向にあるため、分離した流体は、再混合の課題が生じる。
図47〜
図50において、流体の再混合を行う望ましさ(desirability)が示されている。
【0119】
図47は、垂直軸600に沿って配置された筐体212の縦方向範囲を有する
図17〜
図23の微小流体分注装置210のX線画像であり、筐体212は、吐出チップ118が垂直上向きに面するよう配向され、吐出チップ118の平面範囲は、垂直軸600に対して実質的に垂直である。筐体212には、磁石560を有する撹拌子500が含まれる。微小流体分注装置210の流体リザーバ228は、流体リザーバ228の重力低領域606において沈殿した微粒子604を含む流体602を収容するために示される。この向きにおいて、吐出チップ118は、垂直上向きに面しており、沈殿した微粒子604は、吐出チップ118に対して筐体212の反対端にある流体リザーバ228の重力低領域606に堆積する。
【0120】
図48は、垂直軸600から約20〜25度の角度量608で軸外に傾斜した微小流体分注装置210の実施例のX線画像であり、垂直軸600に対する筐体212の向きの変化に基づいて、沈殿した微粒子604がいかにして流体リザーバ228の新しい重力低領域610に移動するかを示したものである。また、流体リザーバ228の壁に隣接する粒子層が微小流体分注装置210の向きの変化によって移動しやすい傾向がないこともわかる。
【0121】
図49は、最悪の場合の向きを示した微小流体分注装置210(磁石260を有する撹拌子224を含む;
図18および
図23も参照)の実施例のX線画像であり、筐体212は、吐出チップ118が垂直下向きに面するよう配向され、吐出チップ118の平面範囲は、垂直軸600に対して実質的に垂直である。図示したように、沈殿した微粒子604は、筐体212の向きの変化に基づいて、流体リザーバ228の新しい重力低領域612に移動するため、沈殿した微粒子604は、流路246のチャネル入口246−1およびチャネル出口246−2に堆積する。そのため、流体602を十分に混合しなくても、沈殿した微粒子604は、微小流体分注装置210を操作不可能にし、流路246を完全に遮断することによって、今度は、流体が吐出チップ118に到達するのを防ぐ。
【0122】
図50は、本発明の1つの側面に基づいて流体602の再混合方法を実行した後の
図17〜
図23の微小流体分注装置210の実施例のX線画像であり、以下にさらに詳しく説明する。
図50は、浮遊した微粒子成分を有する流体602を示すが、
図47〜
図48のような沈殿した微粒子604の堆積はない。
【0123】
本発明は、複数の混合モード、つまり、初期起動および保存回復モード(Initial Startup and Storage Recovery Mode)および使用間メンテナンスモード(Between Use Maintenance Mode)を含む。モード名が示すように、初期起動および保存回復モードは、初期起動に使用する微小流体分注装置を準備するために、あるいは微小流体分注装置が長期保存された後に使用する微小流体分注装置を準備するために使用される。使用間メンテナンスモードは、微小流体分注装置の使用間に使用され、使用間の時間の長さは、初期起動および保存回復モードに基づく回復を必要としない。
【0124】
初期起動および保存回復モードは、著しい微粒子の沈殿が発生した時、例えば、長期間不使用中、すなわち、店における保管寿命(shelf-time)中や、長期間にわたり不使用で保管している間、および/または不使用中の微小流体分注装置210の好ましくない向きを考慮して、例えば、
図49に示した向きにおいて使用される。使用間メンテナンスモードは、流体における所望の微粒子浮遊状態に流体を維持するために、例えば、頻繁な印刷ジョブ間や、ページ間等に使用される。
【0125】
初期起動および保存回復モードを必要とする実際の保存時間量、または使用間メンテナンスモード中の混合頻度は、微粒子の沈殿速度、および不使用中のカートリッジの向きによって決まる。微粒子の沈殿速度は、流体の液体粘度、微粒子の粒子サイズ、および流体の液体部分と流体の微粒子部分の間の密度差によって決まる。例えば、
図49に示すように、筐体の向きが垂直で流路246の領域において微粒子沈殿が生じている時に撹拌子を回転させて流体を再混合する必要のある時間量は、
図47のように、筐体の向きが垂直で吐出チップ118および流路246が垂直上向きに面している時に流体を再混合する必要のある時間量よりも多いことが観察されている。これは、再混合により流路246を再度開かなければならなくなるためである。
【0126】
このように、本発明において、所望の微粒子浮遊状態、すなわち、流体の目標粘度を達成するための実際の時間量および/または再混合に必要な混合頻度は、例えば、X線観察によるデータを収集することによって、初期起動および保存回復モードおよび使用間メンテナンスモードのそれぞれに対して経験的に決定される(
図47〜
図50を参照)。
【0127】
X線の他に、混合流体固体パーセントと初期充填流体固体パーセントを比較することによって、流体の十分な混合を確保するための試験を行うことができる。別の方法は、混合L*a*b測定と初期充填L*a*b測定を比較して、流体の十分な混合を確保する方法である。別の方法は、混合を行なった後にノズルの正常性を調べる方法である。これらの最後の2つの方法は、吐出チップ吐出試料に行うことができ、必要なメンテナンスパラメータの決定に使用するよりも速いことがある。
【0128】
一般的な観察として、微小流体分注装置の使用間、または微小流体分注装置内の再混合間の時間が長ければ長いほど、微粒子浮遊の許容量、例えば、好ましくは、微小流体分注装置の初期充填の許容範囲のレベルを達成するために微小流体分注装置内の流体を再混合するのに必要な混合時間が長くなる。例えば、所望の沈殿の向き想定すると、例えば、
図53に示すように、特定の模範的流体製法により、1日後の沈殿は、30秒未満再混合すればよく;しかしながら、1週間後、混合時間は1分近くであってもよい。2週間後、適切な混合時間は、約2分であってもよい。最速の起動に使用するためには、使用間メンテナンスモードを実施し、数時間毎に数秒間混合することにより、微小流体分注装置を最短可能時間でいつでも使用できるようにすることができる。
【0129】
また、撹拌子の回転を始める前に、微小流体分注装置の向きを変えて重力を使用し、微粒子を移動させて沈殿した微粒子604によって形成された層を破壊すると、流体の再混合に必要な時間量に影響を与える可能性がある。例えば、微小流体分注装置210の向きを
図49の吐出チップが下の向きから
図47の吐出チップが上の向きに逆転させて沈殿した微粒子604を完全に移動させるには、半日またはそれ以上かかるが、向きの変更は、流体の再混合時間を全体的に減らす利点がある。
【0130】
混合中(すなわち、撹拌子を回転させている間)に微小流体分注装置を振動させて、吐出チップ領域から微粒子の密集した沈殿層を除去する速度を速めることにより、さらなる利点を得ることができる。触振動(haptic vibration)は、流路、例えば、流路246(
図49)を洗浄するのに役立つ。触振動の頻度および強度は、経験的に決定され、少なくともある程度は、流体内の微粒子の量によって決まる。例えば、一般的に、流体リザーバに形成された沈殿した微粒子層を除去して分散させることによって、積極的な振動が数時間または数十分から数分または数秒にまでも混合時間を減らす手助けになることがわかっている。微小流体分注装置の本体に接触モータを取り付けることによって、触振動を微小流体分注装置に導入することができる。
【0131】
撹拌子の制御は、ステップモータを駆動することに等しい。そのため、撹拌子のトルクが高い場合、加速度を減らさなければ、運動は、駆動信号により「位相を中断する(break phase)」。撹拌子を複数の回転速度の変化により遅い加速度で駆動し、撹拌子の停止時間の延長を防ぐことによって撹拌子がよく混合することを確保することが、初期インストールで可能である。いくつかの公式(formulations)を使用する応用において、重い沈殿物は、初期振動運動を行って、撹拌子の回転操作を免除する、あるいは非常に低い初期速度で起動する。
【0132】
吐出チップ角度が浅いと、輸送状態中の流路を含む吐出チップ領域内に沈殿した動いている沈殿物の中では重力を効果的に使用することができないが、使用間メンテナンスモード中の使用間の混合には使用することができる。
【0133】
図51は、微小流体分注装置210内の流体を再混合する方法のフローチャートである。
図17〜
図27の実施形態を参照して、この方法について説明する。
【0134】
ステップS100において、微小流体分注装置210を所定の向きに配置する。このような位置決めは、本発明の複数の混合モードのうちの所望の混合モードの予測、またはメンテナンスステーションによって提供された所定の向きに基づいて行われる。また、微小流体分注装置210が本発明の再混合方法を実行する前にあった(例えば、保存中または使用中の)向きの反対方向になるよう位置決めを行なってもよい。
【0135】
図52を参照すると、微小流体分注装置210をX、Y、およびZ軸を有する直交座標空間に示す。筐体212の縦方向範囲は、正のZ軸にあり、筐体212の横方向範囲は、X−Y平面にある。X−Z平面において、正のX軸は、0度を示し、Z軸は、垂直を示し上部Z軸(正)は、90度で表示され、上述した垂直軸600に対応する。そして、X軸(負)は、180度を示す。微小流体分注装置210の筐体212の縦方向範囲の向きは、流体吐出方向120−1で示され、吐出チップ118および流路246が面している方向も示す。
【0136】
混合の準備において、微小流体分注装置210は、流体吐出方向120−1が下方に面さないように配置される。用語「下方に面さない」とは、流体吐出方向120−1の矢印がX−Y平面の下に向かない、すなわち、水平よりも小さくならないことを意味する。そのため、本実施例の向きでは、垂直上向きに(90度でZ+)±90度、すなわち、流体吐出方向120−1が下向きにならずに水平に対して垂直上向きの範囲で、微小流体分注装置210をX−Z平面上でY軸を軸にして回転させることができる。
【0137】
言及すべきこととして、吐出チップ118の平面範囲は、実質的に、流体吐出方向120−1の周りの全ての向きにおいて流体吐出方向120−1に対して垂直であり、微小流体分注装置210の筐体212の底壁230の平面範囲は、実質的に、流体吐出方向120−1に対して垂直である。そのため、X−Z平面(例えば、底壁230が上向きに面する、または下向きに面する)における筐体212(X+またはX−)の傾斜方向は、微粒子の沈殿が撹拌子224の周りに堆積する範囲を決定することができる。
【0138】
初期起動および保存回復モードは、著しい微粒子沈殿が生じた、または生じる可能性がある時、例えば、長期間不使用中、すなわち、店における保管寿命(shelf-time)中や、長期にわたり不使用で保管している間等に使用される。
図53を参照すると、初期起動および保存回復モードを使用する流体の初期混合および回復混合では、垂直上向きに近い吐出チップ118を配置する、すなわち、流体吐出方向120−1が上(Z+)に向くことによって、全体の再混合時間を減らすことができる。初期起動および保存回復モードにおける流体混合は、流体吐出方向120−1の向きが90度(垂直上向き)±50度の範囲にある時に、満足な結果を達成することができる。
【0139】
例えば、
図53の図面は、流体吐出方向120−1が135度上向きに向いた(すなわち、90度(垂直上向き)から正に45度ずれた)微小流体分注装置210を示したものであり、微小流体分注装置210は、ダイヤフラム222のドーム部222−1の外観222−2が上向きに面し、底壁230の外観230−1が下向きに面するよう配向される。ダイヤフラム222の外観222−2および底壁230の外観230−1のそれぞれが面していると考えられる角度は、撹拌子224の回転軸250がZ軸の垂直上向きの部分と交差する角度と一致するが、撹拌子224の回転軸250がZ軸に対して平行な時は、例外である。
図53の例において、ダイヤフラム222のドーム部222−1の外観222−2は、45度上向きに面し、底壁230の外観230−1は、45度下向きに面している。
図53に示した流体吐出方向120−1の135度の向きにおいて、底壁230に沿って沈殿した、または沈殿している微粒子は、流体リザーバ228の重力低点に向かって、および撹拌子224から離れるように移動し始める(
図48を参照)。
【0140】
図54を参照すると、代わりに、初期起動および保存回復モードにおける流体混合は、流体吐出方向120−1の向きが40度〜90度の範囲内であり、向きが垂直でない時、すなわち、90度でない時、底壁230の外観230−1は、上向きに面するよう配置され、ダイヤフラム222の外観222−2は、下向きに面するよう配置される。
図54の具体例において、微小流体分注装置210の向きは、吐出チップ118のノズルが上向きの利点を有するが、垂直から45度下向きに面するよう切り替えられたダイヤフラム222のドーム部222−1の外観222−2を有するため、底壁230の外観230−1、およびそれに対応して、底壁230に接触する撹拌子224の凸面276は、この時、垂直から45度の角度上向きに面する。微小流体分注装置210の45度の向きは、依然として微粒子を吐出チップ118および流路246から離れるように移動させるだけでなく、微粒子を撹拌子224の複数のパドル252、254、256、258(
図24を参照)から離れた領域に、且つダイヤフラム222のドーム部222−1に向かって沈殿させる。しかしながら、撹拌子224が回転できる場合、すなわち、微粒子沈殿物によって回転が阻止されていない場合、
図53に示した向きでは、撹拌子224の先端速度が高くなれば高くなるほど
図54の向きよりも沈殿した微粒子に近くなるため、
図54に示した向きよりも
図53に示した向きが好ましい。
【0141】
そのため、初期起動および保存回復モードの目的では、流体吐出方向120−1で示された微小流体分注装置210の筐体212の縦方向範囲の向きが垂直(90度)±50度である時、より好ましくは、90度〜140度の範囲において(例えば、
図53を参照)、底壁230の外観230−1が下向きに面し、ダイヤフラム222のドーム部222−1の外観222−2が上向きに面している時に、満足な結果を達成することができる。
【0142】
使用間メンテナンスモードは、著しい微粒子の沈殿が生じる前、すなわち、使用時間を大体知っている時、例えば、流体リザーバ228内で微粒子層の生成を促進する長期の不使用期間がない印刷ジョブ間やページ間などに使用される。使用間メンテナンスモードの目的では、垂直な向きは粒子の沈殿が生じにくいため、それほど重要ではない。しかしながら、依然として、流体吐出方向120−1、および流路246も下向きに面さないことが望ましい。使用間メンテナンスモードは、流体吐出方向120−1で示された微小流体分注装置210の筐体212の縦方向範囲の向きが垂直(90度)±90度(水平)である時に、満足な結果を達成することができる。また、微小流体分注装置210の向きは、底壁230の外観230−1が下向きに面し、それにより、ダイヤフラム222のドーム部222−1の外観222−2が上向きに面しているのがさらに好ましく、90度(垂直)〜180度の位置の範囲で示される(例えば、
図53を参照)。
【0143】
ステップS102において、外部磁場発生装置164の操作により撹拌子224を回転させる。詳しく説明すると、本発明の複数の混合モードのうちの所望の混合モードに基づいて、撹拌子224を回転させる。
【0144】
図55を参照すると、外部磁場発生装置164のブロック図を示したものである。外部磁場発生装置164は、マイクロコントローラ164−1、電磁場回転子164−2、および電磁場発生装置164−3を含む。マイクロコントローラ164−1は、本分野において周知のマイクロプロセッサ、オンボード(on-board)の非一時的(non-transitory)電子記憶装置、およびインターフェース回路を含む。マイクロコントローラ164−1は、プログラム命令を実行して、撹拌子224の回転を制御するよう構成される。
【0145】
さらに詳しく説明すると、電磁場発生装置164−3は、撹拌子224の磁石260に結合された電磁場を生成する。マイクロコントローラ164−1は、電磁場発生装置164−3によって生成された電磁場の回転速度および回転方向を制御し、今度は、撹拌子224の回転速度および回転方向を制御するよう電磁場回転子164−2に供給される制御信号を生成するためのプログラム命令を実行する。上述したように、外部磁場発生装置164によって生成された外部磁場は、ステッパモータの操作と同様に、電源を選択的にオンオフして電磁場の仮想回転を生成し、方向を切り替えることのできる不連続に配置された電磁石によって電子的に回転させてもよく、あるいは、回転可能なモータ軸に接続された磁気板、例えば、永久磁石により物理的に回転させてもよい。
【0146】
本実施形態において、撹拌子224の回転の制御は、ステッパモータを駆動することと等しい。そのため、撹拌子224のトルクが高い時、例えば、撹拌子224が沈殿した微粒子中で沈殿している場合、初期開始速度から撹拌子224の加速度を減らさなければ、回転運動は、電磁場回転子164−2および電磁場発生装置164−3によって提供された回転中の電磁場により「位相を中断する」。
【0147】
撹拌子224に用いる実際の回転制御曲線は、複数の混合モードのうちどの混合モードを選択するか、例えば、初期起動および保存回復モードか使用間メンテナンスモードのうちの1つによって決まる。
【0148】
初期起動および保存回復モードは、長期保存後、および/または微小流体分注装置の向きが潜在的に未知の状態の後に使用される。本実施形態において、例えば、撹拌子224は、第1回転速度で第1回転方向に回転され、例えば、まず、遅い回転速度(経験的に決定される)で始まり、回転速度は、第1加速度曲線(経験的に決定される)に基づいて、第2、例えば、ピークの回転速度(経験的に決定される)まで徐々に増加する。あるいは、いくつかの応用において、第1回転速度がゼロであってもよく、第1回転方向は、回転を生じさせる所定の方向である。すなわち、第1加速度曲線は、ゼロ回転速度で始まる。第1加速度曲線は、例えば、線状加速度曲線であってもよく、および/または回転速度において段階的増加を有してもよい。撹拌子は、第1所定期間(経験的に決定される)の間、第2、例えば、ピークの回転速度で回転する。撹拌子224は、その後、停止した後、撹拌子224は、第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転し、第1回転速度で始まり、所定の加速度加速度曲線、例えば、第1加速度曲線に基づいて、第2、例えば、ピークの回転速度まで回転速度を徐々に増加させる。撹拌子は、第2所定期間(経験的に決定される)の間、第2、例えば、ピークの回転速度で回転するため、第2所定期間は、第1所定期間と等しくてもよい。第1および第2回転方向は、それぞれの回転速度および加速度曲線が同じであってもよく、あるいは、第1および第2回転方向に対して異なる値を有してもよい。必要であれば、撹拌子224の逆の回転方向を複数回実行してもよい。
【0149】
撹拌子224の回転を開始する時の回転速度が遅ければ、密集した沈殿層が撹拌子224の下に位置する場合、撹拌子224の初期回転により磁石260を外部電磁場発生装置164によって生成された回転中の磁場と同調して、ロックされたままにすることができる。撹拌子224の回転速度が上がるにつれて、外部電磁場発生装置164の回転撹拌位相が撹拌子224の磁石260にとって速すぎてついていけなくなった場合、撹拌子224は、位相を中断し、効果的に混合せずに無秩序に(chaotically)移動する傾向がある。ピーク回移転速度において、撹拌子の高い先端速度は、吐出チップ118の隣の流路246の流れを良くするとともに、高いせん断速度を引き起こして沈殿層を混合する。
【0150】
使用間メンテナンスモードは、時間および向きの状態が知られている適用(使用)間に使用され、初期起動および保存回復モードを認可する時間よりも短い。これらの時間は、経験的に決定され、少なくともある程度は、流体の微粒子含有量に基づいて決定される。撹拌子224は、第1回転方向に回転し、まず、遅い回転速度で始まってから、回転速度は、第2加速度曲線(経験的に決定される)に基づいて、第2、例えば、ピークの回転速度まで急速に増加する。第2加速度曲線は、初期起動および保存回復モードの第1加速度曲線よりも急な勾配を有するため、初期起動および保存回復モードよりも早いピーク回転速度を達成する。
【0151】
選択的に、撹拌子224を停止し、その後、混合頻度スケジュールに基づいて、1回または2回再起動してもよい。最も速い再混合を達成するために、2秒〜10秒の範囲の期間、2時間〜4時間毎の頻度で繰り返し混合する、すなわち、撹拌子224を回転して、微小流体分注装置210を使える状態に維持することにより、明らかな微粒子の分離や微小流体分注装置210の使用間の沈殿が生じないようにすることができる。
【0152】
また、選択的に、再起動した時、必要であれば、第2加速度曲線または異なる加速度曲線に基づいて、第1回転方向とは逆の第2回転方向に撹拌子224を回転してもよい。
【0153】
そのため、使用間において、撹拌子224を使用した混合は、比較的速く、且つ良い流体流動を提供してバルク流体を混合するとともに、混合流体を吐出できるよう混合流体を流路246中に通す。インクジェット印刷分野において周知の初期メンテナンスジェッティング(Initial maintenance jetting)を使用して、流路246における希薄な流体および/または微粒子の凝縮を除去することにより、所望の再混合流を吐出チップ118に迅速に回復させることができる。
【0154】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。