【解決手段】不揮発性メモリセルは容量電極ウェル(20)と導電性の浮遊電極(CPLGT)を容量電極とする容量素子(CPE)、延在された前記浮遊電極とその下の書込み消去制御電極ウェル(21)を電極とする書込み/消去素子(WRE)、延在された前記浮遊電極をゲート電極としてスイッチ制御される読出し素子(RDE)を有する。容量電極ウェル、書込み消去電極ウェル、及び読出し素子のウェル(22)を分離する分離用ウェル(23)を、中耐圧電界効果トランジスタのウェル(17)及び高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに対する給電用半導体領域(27)と同じ半導体組成(HNLD)とし、容量電極ウェル及び書込み消去制御電極ウェルを低耐圧の電界効果トランジスタのウェル(18)と同じ半導体組成(LPW)とする。
半導体基板の主面に電気的に分離される複数個のウェルを有し、高圧、中圧及び低圧の3種類の耐圧と導電型に応じた複数種類の電界効果トランジスタが夫々に対応するウェルに形成されると共に、特定のウェルには不揮発性メモリセルが形成され、
前記不揮発性メモリセルは、一方の容量電極を構成する第1導電型の容量電極ウェルが書込みワード線に接続され、導電性の浮遊電極を他方の容量電極とする容量素子、前記浮遊電極が延在された電極を一方の電極とし、絶縁層を介してその下に形成された第1導電型の書込み消去制御電極ウェルを、書込み消去ビット線に接続される他方の電極とする書込み/消去素子、前記浮遊電極が延在された電極をゲート電極としてスイッチ制御される読出し素子、及びゲート電極が読出しワード線に接続され前記読出し素子のスイッチ状態に応じた信号を選択的に読出しビット線に与える選択素子を有し、
前記容量電極ウェルと、前記書込み消去電極ウェルと、前記読出し素子及び前記選択素子が形成される読出し用ウェルは、第2導電型の前記特定のウェル内で相互に分離用ウェルによって分離され、
前記容量電極ウェル及び前記書込み消去電極ウェルは低耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェルと同じ半導体組成を有し、
前記読出し用ウェルは中耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェルと同じ半導体組成を有し、
前記分離用ウェルは中耐圧の電界効果トランジスタが形成される第2導電型のウェル及び高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域と同じ半導体組成を有する、半導体装置。
請求項1において、前記高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域は、高耐圧の電界効果トランジスタが形成される前記第2導電型のウェルに基板バイアス電圧を供給する給電部の半導体領域である、半導体装置。
請求項2において、高耐圧の電界効果トランジスタにおける第2導電型のソース・ドレイン領域の半導体組成は、前記給電部の半導体領域の半導体組成と同じ不純物を少なく含んだ組成である、半導体装置。
請求項1において、マトリクス配置された複数個の前記不揮発性メモリセルを備え、前記読出し用ウェルと前記書込み消去電極ウェルの夫々を共有する隣り合う不揮発性メモリセルは、前記書込み消去ビット線を共有し、前記書込みワード線を個別とし、前記読出しワード線を個別とする、半導体装置。
請求項1において、前記書込み消去制御電極ウェルから前記浮遊電極への電子の注入又は前記浮遊電極から前記書込み消去制御電極ウェルへの正孔の放出によって前記読出し素子の閾値電圧が高くされ、前記浮遊電極から前記書込み消去制御電極ウェルへの電子の放出又は前記書込み消去制御電極ウェルから前記浮遊電極への正孔の注入によって前記読出し素子の閾値電圧が低くされることによって、前記不揮発性メモリセルは情報を記憶する、半導体装置。
請求項6において、マトリクス配置された複数個の前記不揮発性メモリセルを備え、前記第12ウェルと前記第11ウェルの夫々を共有する隣り合う不揮発性メモリセルは、前記書込み消去ビット線を共有し、前記書込みワード線を個別とし、前記読出しワード線を個別とする、半導体装置。
請求項6において、前記第11ウェルから前記浮遊電極への電子の注入又は前記浮遊電極から前記第11ウェルへの正孔の放出によって前記読出し素子の閾値電圧が高くされ、前記浮遊電極から前記第11ウェルへの電子の放出又は前記第11ウェルから前記浮遊電極への正孔の注入によって前記読出し素子の閾値電圧が低くされることによって、前記不揮発性メモリセルは情報を記憶する、半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記単層ポリシリコンゲートから成る浮遊電極を用いた不揮発性メモリセルは2層ポリシリコンゲートを用いた不揮発性メモリセルに比べて製造プロセスが簡素化される反面、チップ占有面積が大きくなる。この点について特許文献1では隣り合う不揮発性メモリセルのレイアウトを考慮してある。本発明者は更に検討した結果、埋め込みウェルに形成された容量素子のウェル及び書込み/消去素子のウェルと、それらのウェルを分離する分離用ウェルと、の間にスペースを設けずに済むようにすること、更には分離用ウェルの形成に用いるフォトマスクをその他の半導体領域の形成に用いるフォトマスクと兼用することについて検討した。前者はチップ占有面積の縮小に寄与し、後者は製造プロセスの簡素化に資するものである。例えば、高耐圧nチャネル型MOSトランジスタのn型ソース・ドレイン領域、中耐圧pチャネル型MOSトランジスタのn型ウェル、及びn型の分離用ウェルの夫々を形成するためのイオン注入を共通のフォトマスクを用いて行う。これによってイオン注入される不純物濃度を低く設定することができ、その後のアニールによって横方向に拡張された部分は更に低濃度になる。したがって、この後に形成される容量素子のウェル及び書込み/消去素子のウェルと、分離用ウェルと、の間はスペースを設けることなく接合耐圧を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、それによって容量素子のウェル及び書込み/消去素子のウェルと、分離用ウェルと、の境界部分の不純物濃度が低くなると、その境界部分に伸びる空乏層を介して容量素子又は書込み/消去素子と、分離用ウェルと、の間にパンチスルーリークを生ずる虞のあることが本発明者によって見出された。例えば、不揮発性メモリセルが形成されるn型埋め込みウェル及びn型分離用ウェルに9Vが印加されていて、書込み動作において書込み/消去素子のp型ウェル及び書込み/消去素子のn型拡散領域に−9Vを印加したとき、n型分離用ウェルとの境界部分で書込み/消去素子のp型ウェルに空乏層が広がり易くなり、n型分離用ウェルと書込み/消去素子のn型拡散領域が導通状態になってリーク電流を生ずる虞がある。特にn型分離用ウェルの上に形成されている溝型分離部の深さが浅い程導通し易くなってパンチスルーリークが顕在化する。このパンチスルー現象は消去動作時も容量素子のウェル側に現れる。例えば、不揮発性メモリセルが形成されるn型埋め込みウェル及びn型分離用ウェルに9Vが印加されていて、消去動作において容量素子のp型ウェル及び容量素子のn型拡散領域に−9Vを印加したとき、n型分離用ウェルとの境界部分で容量素子のp型ウェルに空乏層が広がり易くなり、n型分離用ウェルと容量素子のn型拡散領域が導通状態になってリーク電流を生ずる虞がある。
【0008】
本発明の目的は、不揮発性メモリを備えた半導体装置、特に、単層ポリシリコンゲートから構成される不揮発性メモリを備えた半導体装置のチップ面積の縮小及びチップ厚の薄型化に際して上記不揮発性メモリで生ずる虞のあるパンチスルーリークを抑制することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。尚、本項において括弧内に記載した参照符号などは理解を容易化するための一例である。
【0011】
〔1〕<不揮発性メモリセルのパンチスルーリークを抑制しチップ小型化とフォトマスク削減に寄与>
半導体装置は、半導体基板(10)の主面に電気的に分離される複数個のウェル(11〜15)を有し、高圧、中圧及び低圧の3種類の耐圧と導電型に応じた複数種類の電界効果トランジスタ(HVNMOS,HVPMOS,MVNMOS,MVPMOS,LVNMOS,LVPMOS)が夫々に対応するウェル(11〜14)に形成されると共に、特定のウェル(15)には不揮発性メモリセル(NVMC)が形成される。
【0012】
前記不揮発性メモリセルは、一方の容量電極を構成する第1導電型の容量電極ウェル(20)が書込みワード線(WWL)に接続され、導電性の浮遊電極(CPLGT)を他方の容量電極とする容量素子(CPE)、前記浮遊電極が延在された電極を一方の電極とし、絶縁層を介してその下に形成された第1導電型の書込み消去制御電極ウェル(21)を、書込み消去ビット線(WBL)に接続される他方の電極とする書込み/消去素子(WRE)、前記浮遊電極が延在された電極をゲート電極としてスイッチ制御される読出し素子(RDE)、及びゲート電極が読出しワード線(RWL)に接続され前記読出し素子のスイッチ状態に応じた信号を選択的に読出しビット線(RBL)に与える選択素子(SWMOS)を有する。
【0013】
前記容量電極ウェルと、前記書込み消去電極ウェルと、前記読出し素子及び前記選択素子が形成される読出し用ウェル(22)は、第2導電型の前記特定のウェル(15)内で相互に分離用ウェル(23)によって分離される。
【0014】
前記容量電極ウェル及び前記書込み消去電極ウェルは低耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェル(18)と同じ半導体組成(LPW)を有する。前記読出し用ウェルは中耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェル(16)と同じ半導体組成(MPW)を有する。前記分離用ウェルは中耐圧の電界効果トランジスタが形成される第2導電型のウェル(17)及び高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域(27)と同じ半導体組成(HNLD)を有する。
【0015】
これによれば、不揮発性メモリセルにおける分離用ウェルとして中耐圧の電界効果トランジスタ向けとして一般的に採用されることが想定される第2導電型のウェルと同じ半導体組成を採用せずに、それを高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域と同じ半導体組成とするから、分離用ウェル及び中耐圧の電界効果トランジスタが形成されるウェルを、共に高耐圧の電界効果トランジスタに用いる半導体組成を形成するのと同じフォトマスクを用いて形成することが可能になる。この分離用ウェルに高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域と同じ半導体組成を採用するということは、その不純物濃度が、中耐圧の電界効果トランジスタ向けに一般に採用されることが想定される第2導電型のウェルの半導体組成に比べて低くなることを意味する。更に、その後のアニールによって横方向に拡張された部分は更に低濃度になるから、前述の如く分離用ウェルと容量素子又は書込み/消去素子のウェルとの境界部分に伸びる空乏層を介して容量素子又は書込み/消去素子と分離用ウェルと間にパンチスルーリークを生ずる虞がある。このとき、前記容量電極ウェル及び前記書込み消去電極ウェルを低耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェルと同じ半導体組成に代えてその不純物濃度を高くすることにより、上記パンチスルーリークの発生を抑制することができる。これは、上記アニールによる横方向の低濃度化によって容量素子のウェル及び書込み/消去素子のウェルと分離用ウェルとの間のスペースを廃止することによるチップの平面方向サイズの縮小、そして、分離用ウェルの上に形成されている溝型分離部の深さを浅くすることによるチップの厚さ方向のサイズの縮小に資するものである。
【0016】
〔2〕<高耐圧電界効果トランジスタのウェルへの給電部>
項1において、前記高耐圧の電界効果トランジスタのウェルに形成される半導体領域は、高耐圧の電界効果トランジスタが形成される前記第2導電型のウェル(12)に基板バイアス電圧を供給する給電部の半導体領域(27)である。
【0017】
〔3〕<高耐圧電界効果トランジスタのソース・ドレインと中耐圧電界効果トランジスタのウェルとの半導体組成の相違>
項2において、高耐圧の電界効果トランジスタにおける第2導電型のソース・ドレイン領域(31)の半導体組成(HNLD’)は、前記給電部の半導体領域(27)の半導体組成(HNLD)と同じ不純物を少なく含んだ組成である。
【0018】
〔4〕<隣接メモリセルの構成>
項1において、マトリクス配置された複数個の前記不揮発性メモリセルを備え、前記読出し用ウェルと前記書込み消去電極ウェルの夫々を共有する隣り合う不揮発性メモリセルは、前記書込み消去ビット線を共有し、前記書込みワード線を個別とし、前記読出しワード線を個別とする。
【0019】
これによれば、不揮発性メモリセルの集積度が向上する。
【0020】
〔5〕<FNトンネル>
項1において、前記書込み消去制御電極ウェルから前記浮遊電極への電子の注入又は前記浮遊電極から前記書込み消去制御電極ウェルへの正孔の放出によって前記読出し素子の閾値電圧が高くされ、前記浮遊電極から前記書込み消去制御電極ウェルへの電子の放出又は前記書込み消去制御電極ウェルから前記浮遊電極への正孔の注入によって前記読出し素子の閾値電圧が低くされることによって、前記不揮発性メモリセルは情報を記憶する。
【0021】
これによれば、FNトンネルによって書込み/消去を行うことができるから、ホットキャリア注入方式に比べてメモリセル構造が簡単になる。
【0022】
〔6〕<不揮発性メモリセルのパンチスルーリークを抑制しチップ小型化とフォトマスク削減に寄与>
半導体装置は、半導体基板(10)の主面に、第1半導体組成(HPW)を有する第1導電型(P型)の第1ウェル(11)と、夫々が第2半導体組成(HNW)による第2導電型の第2乃至第5ウェル(12〜15)を有し、
前記第1ウェル(11)は、第1電界効果トランジスタ(HVNMOS)を構成するための第2導電型のソース・ドレインとして第1半導体領域(31)を有し、
前記第2ウェル(12)は、第2電界効果トランジスタ(HVPMOS)を構成するための第1導電型のソース・ドレインとして第3半導体組成(HPLD)の第2半導体領域(32)と、前記第2電界効果トランジスタに用いる第4半導体組成(HNLD)の第3半導体領域(27)を有し、
前記第3ウェル(13)は、前記第1電界効果トランジスタよりも耐圧の低い第3電界効果トランジスタ(MVNMOS)を構成するための第1導電型のウェルとして第5半導体組成(MPW)の第6ウェル(16)と、前記第2電界効果トランジスタよりも耐圧の低い第4電界効果トランジスタ(MVPMOS)を構成するための第2導電型のウェルとして前記第4半導体組成(HNLD)の第7ウェル(17)を有し、
前記第4ウェル(14)は、前記第3電界効果トランジスタよりも耐圧の低い第5電界効果トランジスタ(LVNMOS)を構成するための第1導電型のウェルとして第6半導体組成(LPW)の第8ウェル(18)と、前記第4電界効果トランジスタよりも耐圧の低い第6電界効果トランジスタ(LVPMOS)を構成するための第1導電型のウェルとして第7半導体組成(LNW)の第9ウェル(19)を有し、
前記第5ウェル(15)は、不揮発性メモリセル(NVMC)を構成するための、前記第6半導体組成(LPW)の第10ウェル(20)と、前記第6半導体組成(LPW)の第11ウェル(21)と、前記第5半導体組成(MPW)の第12ウェル(22)と、前記第10乃至第12ウェルを電気的に相互に分離する前記第4半導体組成(HNLD)の第13ウェル(23)を有し、前記不揮発性メモリセルは、書込みワード線(WWL)に電気的に結合された前記第10ウェル及び導電性の浮遊電極(CPLGT)を用いて形成された容量素子(CPE)と、書込み/消去ビット線(WBL)に電気的に結合された前記第11ウェル及び前記浮遊電極を用いて形成された書込み/消去素子(WRE)と、前記第13ウェルに形成されたソース・ドレイン領域及び前記浮遊電極を用いて形成された読出し素子RDE)と、ゲート電極(64)に接続された読出しワード線(RWL)により前記読出し素子のソース・ドレイン領域(45)を選択的に読出しビット線(RBL)に接続する選択素子(SWMOS)とを有し、前記浮遊電極(CPLGT)は前記第10乃至第12ウェルに重なって延在する。
【0023】
これによれば、不揮発性メモリセルにおける分離用の第13ウェルとして中耐圧の電界効果トランジスタ向けに一般に採用されることが想定される第2導電型のウェルの半導体組成(例えば第2ウェルの不純物濃度と第9ウェルの不純物濃度との間の濃度の半導体組成)を採用せずに、それを高耐圧の第2電界効果トランジスタ(HVPMOS)の第2ウェル(12)に形成される第3半導体領域(27)や中耐圧の第4電界効果トランジスタ(MVPMOS)の第7ウェル(17)と同じ第4半導体組成(HNLD)とするから、分離用ウェル及び中耐圧の電界効果トランジスタが形成されるウェルを共に高耐圧の電界効果トランジスタに用いる半導体組成を形成するのと同じフォトマスクを用いて形成することが可能になる。この分離用の第13ウェル(23)に第4半導体組成(HNLD)を採用するということは、その不純物濃度が、中耐圧の電界効果トランジスタ向けに一般に採用されることが想定される第2導電型のウェルの半導体組成(例えば第2ウェルの不純物濃度と第9ウェルの不純物濃度との間の濃度の半導体組成)に比べて低くなることを意味する。更に、その後のアニールによって横方向に拡張された部分は更に低濃度になる。このことから、前述の如く分離用のウェル(23)と容量素子又は書込み/消去素子のウェル(20,21)との境界部分に伸びる空乏層を介して容量素子又は書込み/消去素子と、分離用の第13ウェルと、の間にパンチスルーリークを生ずる虞がある。このとき、前記容量素子のウェル(20)及び前記書込み消去素子のウェル(21)を低耐圧の電界効果トランジスタが形成される第1導電型のウェル(18)と同じ半導体組成(LPW)に代えてその不純物濃度を高くすることにより、上記パンチスルーリークの発生を抑制することができる。これは、上記アニールによる横方向の低濃度化によって容量素子のウェル(20)及び書込み/消去素子のウェル(21)と、分離用のウェル(23)と、の間のスペースを廃止することによるチップの平面方向サイズの縮小、そして、分離用のウェル(23)の上に形成されている溝型分離部(100)の深さを浅くすることによるチップの厚さ方向のサイズの縮小に資するものである。
【0024】
〔7〕<高耐圧電界効果トランジスタのウェル給電>
項6において、前記第3半導体領域は前記第2ウェルに基板バイアス電圧を供給する給電部の半導体領域である。
【0025】
〔8〕<第1半導体領域の半導体組成と第4半導体組成との差異>
項7において、前記第1半導体領域は、前記第4半導体組成(HNLD)と同じ不純物を第7ウェルよりも少なく含んだ第8半導体組成(HNLD’)を含む。
【0026】
〔9〕<隣接メモリセルの構成>
項6において、マトリクス配置された複数個の前記不揮発性メモリセルを備え、前記第12ウェルと前記第11ウェルの夫々を共有する隣り合う不揮発性メモリセルは、前記書込み消去ビット線を共有し、前記書込みワード線を個別とし、前記読出しワード線を個別とする。
【0027】
これによれば、不揮発性メモリセルの集積度が向上する。
【0028】
〔10〕<FNトンネル>
項6において、前記第11ウェルから前記浮遊電極への電子の注入又は前記浮遊電極から前記第11ウェルへの正孔の放出によって前記読出し素子の閾値電圧が高くされ、前記浮遊電極から前記第11ウェルへの電子の放出又は前記第11ウェルから前記浮遊電極への正孔の注入によって前記読出し素子の閾値電圧が低くされることによって、前記不揮発性メモリセルは情報を記憶する。
【0029】
これによれば、FNトンネルによって書込み/消去を行うことができるから、ホットキャリア注入方式に比べてメモリセル構造が簡単になる。
【発明の効果】
【0030】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0031】
すなわち、不揮発性メモリを備えた半導体装置、特に、単層ポリシリコンゲートから構成される不揮発性メモリを備えた半導体装置のチップ面積の縮小及びチップ厚の薄型化に際して上記不揮発性メモリで生ずる虞のあるパンチスルーリークを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に説明する半導体装置は、半導体基板の主面に電気的に分離される複数個のウェルを有し、高圧、中圧及び低圧の3種類の耐圧と導電型に応じた複数種類の電界効果トランジスタ(以下単にMOSトランジスタとも記す)が夫々に対応するウェルに形成されると共に、特定のウェルには不揮発性メモリセルが形成されている。上記不揮発性メモリセルは論理演算回路や記憶回路等に付随して配置された少容量の不揮発性メモリを構成し、初期設定データやトリミングデータ等を書換え可能に保持する。例えば、主回路としてLCD(Liquid Crystal Device)ドライバ回路が形成された半導体チップに、その主回路に関する所望の情報を記憶する不揮発性メモリが形成されている半導体装置(LCDドライバ)などに適用される。
【0034】
図1には本発明に係る半導体装置が有する不揮発性メモリセルの縦断面構造が例示され、
図2には本発明に係る半導体装置が有する高耐圧、中耐圧、低耐圧夫々の電界効果トランジスタ(高耐圧MOSトランジスタ、中耐圧MOSトランジスタ、低耐圧MOSトランジスタ)の縦断面構造が例示される。不揮発性メモリセルの平面的な構成は
図3に例示され、
図1の断面は
図3に明示された断面位置A−B、B−C,C−D,E−F,F−Gにおける断面構造を示している。
図1及び
図2では一部の絶縁層や配線層の構造を省略して簡潔化してある。
図4には不揮発性メモリセルの配線接続関係が例示され、
図5には不揮発性メモリセルの等価回路が示される。
【0035】
<単層の浮遊電極構成を持つ不揮発性メモリセルの縦断面構造>
先ず、
図1乃至
図5を参照しながら不揮発性メモリセルNVMCの概略を説明する。不揮発性メモリセルNVMCは半導体基板(PSub)10の主面上に絶縁膜81,82,83を介して単層ポリシリコンゲートから成る浮遊電極CPLGTが形成されている。浮遊電極CPLGTは夫々の浮遊電極部61,62,63が相互に結合されている。この一つの浮遊電極CPLGTを共有するように、容量素子CPE、書込み/消去素子WRE、及び読出し素子RDEが配置されている。読出し素子RDEには選択素子SWMOSが直列接続される。その容量素子CPEのウェル20と書込み/消去素子WREのウェル21に相互に逆極性の高電位差を印加することにより書込み/消去素子WREのウェル21から浮遊電極CPLGTに電子を注入して不揮発性メモリセルNVMCに対する書込みが行われ、上記高電位の極性を相互に反転することにより浮遊電極CPLGTから書込み/消去素子のウェル21に電子を引き抜いて不揮発性メモリセルNVMCに対する消去が行われる。例えば、分離用ウェル23に正の高電圧(例えば9V)を給電した状態で、書込みでは、容量素子CPEのウェル20に正の高電圧(例えば9V)を、書込み/消去素子WREのウェル21には負の高電圧(例えば−9V)を印加し、それによって書込み/消去素子WREのウェル21の全面から浮遊電極CPLGTに電子を注入する。消去では、容量素子CPEのウェル20に負の高電圧(例えば−9V)を、書込み/消去素子WREのウェル21には正の高電圧(例えば9V)を印加し、それによって浮遊電極CPLGTから書込み/消去素子WREのウェル21の全面に電子を放出する。この書込み/消去はFNトンネル(Fowler-Nordheim Tunneling)による。浮遊電極CPLGTに電子が注入された書込み状態において読み出し素子RDEの閾値電圧は高くされ、浮遊電極CPLGTから電子が放出された消去状態において読出し素子RDEの閾値電圧は低くされる。読出し素子RDEが書込み状態であればこれに直列された選択素子がオン状態にされても読出し素子には電流が流れないことから、例えば論理値1の読出しデータを得ることができる。これに対して、読出し素子RDEが消去状態であればこれに直列された選択素子がオン状態にされると読出し素子に電流が流れることから、例えば論理値0の読出しデータを得ることができる。
【0036】
このように上記単層ポリシリコンゲートから成る浮遊電極CPLGTを用いた不揮発性メモリセルNVMCにおいては書込み/消去時に容量素子CPEのウェル20と書込み/消去素子WREのウェル21には高電圧が印加されるため、埋め込みウェル15に形成された容量素子CPEのウェル20と書込み/消去素子WREのウェル21の耐圧を向上させるために、それらのウェル20,21を分離する分離用ウェル23(第13ウェル)が設けられ、分離用ウェル23はSTI(Shallow Trench Isolation)などと称される溝型分離部100の下方に形成されている。
【0037】
次に不揮発性メモリセルNVMCの構造について詳述する。
【0038】
図1及び
図3に示すように、本実施の形態に係る不揮発性メモリNVMCは、半導体基板10の主面に形成された容量素子CPE、書込み/消去素子WRE、読出し素子RDE及び選択素子SWMOSを有する。尚、不揮発性メモリセルNVMCは複数個がマトリクス配置されて不揮発性メモリを構成する。
【0039】
第1導電型例えばp型の半導体基板10には上記素子を形成するための活性領域を規定する溝形の分離部100が形成されている。この半導体基板10に形成された第2導電型例えばn型の特定のウェルである埋込ウェル(第5ウェル)15には、p型の容量電極ウェル(第10ウェル)20、p型の書込み消去制御電極ウェル(第11ウェル)21、p型のウェル(第12ウェル)22及びn型の分離用ウェル23が形成されている。p型のウェル20,21,22は、埋込ウェル15及び分離用ウェル23により互いに電気的に分離された状態で埋込ウェル15に内包されている。
【0040】
p型のウェル20,21,22には、例えばホウ素(B)等のようなp型を示す不純物が含有されている。p型のウェル22の上層一部には、p+型の半導体領域47が形成されている。p+型の半導体領域47には、p型のウェル22と同じ不純物が含有されているが、p+型の半導体領域47の不純物濃度の方が、p型のウェル22の不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このp+型の半導体領域47は、半導体基板10の主面上の絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95aに電気的に接続され、ウェル22への給電部を成す。この導体部95aが接するp+型の半導体領域47の表層一部にシリサイド層90aを形成しても良い。絶縁層96は、特に制限されないが、窒化シリコンから成る絶縁層96aとその上に形成された酸化シリコンから成る絶縁層96bで構成される。
【0041】
n型のウェル23には、例えばリン(P)又はヒ素(As)等のようなn型を示す不純物が含有されている。このn型のウェル23の上層一部には、n+型の半導体領域46が形成されている。n+型の半導体領域46には、n型のウェル23と同じ不純物が含有されているが、n+型の半導体領域46の不純物濃度の方が、n型のウェル23の不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このようなn+型の半導体領域46は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95bに電気的に接続されていて、ウェル23への給電部を成す。この導体部95bが接するn+型の半導体領域46の表層一部にシリサイド層90bを形成しても良い。
【0042】
不揮発性メモリセルNVMCの浮遊電極CPLGTは容量素子CPEの浮遊電極部61、書込み/消去素子WREの浮遊電極部62、及び読出し素子RDEの浮遊電極部63を一体的に構成し、導電性を備える。浮遊電極CPLGTは、データの記憶に寄与する電荷を蓄積する部分であり、例えば低抵抗な多結晶シリコン等のような導電体膜からなり、電気的に浮遊状態(他の導体と絶縁された状態)で形成されている。
図1に例示されるように、浮遊電極CPLGTの表面には酸化シリコンなどから成る絶縁膜91で覆われ、直接窒化シリコンから成る絶縁層96aと接触しないようにされる。製造工程に起因して窒化シリコン膜が僅かな導電性を呈している場合でも、浮遊電極CPLGTの電荷が不所望にリークしないようにするためである。また、この浮遊電極CPLGTは、
図3に示すように、互いに隣接するp型のウェル20,21,22に平面的に重なるように直線状に延在した状態で形成されている。
【0043】
この浮遊電極CPLGTがp型のウェル21の活性領域に平面的に重なる第1位置には、書込み/消去素子WREが配置されている。書込み/消去素子WREは、容量電極部62と、容量絶縁膜82と、p型の半導体領域44と、n型の半導体領域43と、p型のウェル21とを有している。
【0044】
容量電極62は、浮遊電極CPLGTの一部により形成され、書込み/消去素子WREの一方の電極を形成する部分である。容量絶縁膜82は、例えば酸化シリコンからなり、容量電極62とp型のウェル21との間に形成されている。容量絶縁膜82の厚さは、例えば7nm以上、20nm以下とされている。本実施の形態の書込み/消去素子WREでは、データの書き換えにおいて、電子をp型のウェル21から容量絶縁膜82を介して容量電極62に注入したり、容量電極62の電子を、容量絶縁膜82を介してp型のウェル21に放出したりするので、容量絶縁膜82の厚さは薄くされ、例えば13.5nm程度の厚さに設定されている。容量絶縁膜82の厚さを7nm以上とする理由は、それより薄いと容量絶縁膜82の信頼性を確保できないからである。また、容量絶縁膜82の厚さを20nm以下とする理由は、それより厚いと電子を通過させることが難しくなり、データの書換えが上手くできないからである。
【0045】
書込み/消去素子WREの一対のp型の半導体領域44及びn型の半導体領域43は、p型のウェル212内において容量電極62を挟み込む位置に容量電極62に対して自己整合的に形成されている。p型の半導体領域44、n型の半導体領域43及びp型のウェル21は、書込み/消去素子WREの一方の電極を構成する部分である。書込み/消去素子WREにおいて、容量電極62の左右の半導体領域44,43の導電型が非対称になっている。p型の半導体領域44はp型のウェル21に給電し、n型の半導体領域43はp型のウェル21の容量電極62直下に反転層を形成して他方の電極、即ち、FNトンネル電流の経路を形成する。
【0046】
p型の半導体領域44は、p−型の半導体領域44Bと、その半導体領域44Bに電気的に接続されたp+型の半導体領域44Aとを有している。このp−型の半導体領域44B及びp+型の半導体領域44Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域44Aの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域44Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このp型の半導体領域44は、p型のウェル21と電気的に接続されている。
【0047】
n型の半導体領域43は、n−型の半導体領域43Bと、そのn−型の半導体領域43Bに電気的に接続されたn+型の半導体領域43Aとを有している。このn−型の半導体領域43B及びn+型の半導体領域43Aには、例えばリン(P)又はヒ素(As)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域43Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域43Bよりも不純物濃度が高くなるように設定されている。
【0048】
p−型の半導体領域44B及びn−型の半導体領域43Bは、容量電極62の一方の端部辺りから半導体基板10の主面に沿ってサイドウォール93の幅分程度延びて終端している。p+型の半導体領域44A及びn+型の半導体領域43Aは、それぞれp−型の半導体領域44B及びn−型の半導体領域43Bの終端で一部重なり、その重なり位置から半導体基板10の主面に沿って所望の長さ分だけ延びて分離部100で終端している。
【0049】
本実施の形態では、n型の半導体領域43が、
図3に示すように、互いに隣接する2つの浮遊電極CPLGTの隣接間に形成されている。すなわち、n型の半導体領域43は、2つの書込み/消去素子WREの共有領域になっている。
【0050】
これらp型の半導体領域44及びn型の半導体領域43は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95cに電気的に接続されている。この導体部95cは、データ書込み/消去用のビット線(書込み消去ビット線)WBLに電気的に接続されている。この導体部95cが接するp+型の半導体領域44A及びn+型の半導体領域43Aの表層一部にシリサイド層90cを形成しても良い。
【0051】
浮遊電極CPLGTがp型のウェル22の活性領域に平面的に重なる第2位置には、データの読出し用の素子(読出し素子)RDEが配置されている。読出し素子RDEは、ゲート電極63と、ゲート絶縁膜83と、一対のn型の半導体領域45、45とを有している。読出し素子RDEのチャネルは、ゲート電極83と平面的に重なるp型のウェル22の上層に形成される。
【0052】
ゲート電極63は、浮遊電極CPLGTの一部により形成されている。ゲート絶縁膜83は、例えば酸化シリコンからなり、ゲート電極63とp型のウェル22との間に形成されている。ゲート絶縁膜83の厚さは、例えば13.5nm程度である。読出し素子RDEの一対のn型の半導体領域45、45は、p型のウェル22内においてゲート電極63を挟み込む位置にゲート電極63に対して自己整合的に形成されている。読出し素子RDEの一対のn型の半導体領域45、45は、それぞれチャネル側のn−型の半導体領域45Bと、その各々に接続されたn+型の半導体領域45Aとを有している。このn−型の半導体領域45B及びn+型の半導体領域45Aには、例えばリン(P)又はヒ素(As)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域45Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域45Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。
【0053】
このような読出し素子RDEの一方の半導体領域45は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95dに電気的に接続されている。この導体部95dは、ソース線SLに電気的に接続されている。この導体部95dが接するn+型の半導体領域45Aの表層一部にシリサイド層90dを形成しても良い。読出し素子RDEの他方の半導体領域45は、選択素子SWMOSのソース及びドレイン用のn型の半導体領域45の一方と共有とされている。選択素子は例えばMOSトランジスタに代表される絶縁ゲート型の電界効果トランジスタによって構成される。MOSトランジスタのゲート絶縁膜はゲート酸化膜に限定されない。
【0054】
選択素子SWMOSは、ゲート電極64と、ゲート絶縁膜84と、ソース・ドレイン用の一対のn型の半導体領域45、45とを有している。選択素子用SWMOSのチャネルは、ゲート電極64と平面的に重なるp型のウェル22の上層に形成される。
【0055】
ゲート電極64は、例えば低抵抗な多結晶シリコンにより形成されており、浮遊電極CPLGTとは電気的に分離している。このゲート電極64は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95eに電気的に接続されている。そのコンタクトホールの位置は仮想的に示されている。導体部95eが接するゲート電極64の表層部にシリサイド層90eを形成しても良い。この導体部95eにはデータ読出し用のワード線(読出しワード線)RWLが接続される。
【0056】
ゲート絶縁膜84は、例えば酸化シリコンからなり、ゲート電極64とp型のウェル22との間に形成されている。このゲート絶縁膜84の厚さは、例えば13.5nm程度である。選択素子SWMOSの一対のn型の半導体領域45、45の構成は、読出し素子RDEのn型の半導体領域45と同じである。選択素子RDEの他方のn型の半導体領域45は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95fに電気的に接続されている。この導体部95fには、データ読出し用のビット線(読出しビット線)RBLに電気的に接続されている。この導体部95fが接するn+型の半導体領域45Aの表層部にシリサイド層90fを形成しても良い。
【0057】
浮遊電極CPLGTがp型のウェル20に平面的に重なる位置には、容量素子CPEが形成されている。この容量素子CPEは、容量電極61と、容量絶縁膜81と、p型の半導体領域41と、n型の半導体領域42と、p型のウェル20とを有している。
【0058】
容量電極61は、ウェル20の表面に対向する浮遊電極CPLGTの一部により形成されており、容量素子CPEの一方の電極を形成する部分である。浮遊電極CPLGTは、
図3に示すように、容量電極61の一端側から容量電極62及びゲート電極63へ延在するように配置され、特に容量電極61の面積が大きくされる。容量電極61の平面積を大きく確保できるので、カップリング比を高めることができ、書込みワード線WWLからの電圧供給効率を向上させることが可能となっている。容量絶縁膜81は、例えば酸化シリコンからなり、容量電極61とp型のウェル20との間に形成されている。容量絶縁膜81は、ゲート絶縁膜83,84、容量絶縁膜82を形成するための熱酸化工程により同時に形成されており、その厚さは、例えば13.5nm程度である。
【0059】
容量素子CPEの一対のp型の半導体領域41及びn型の半導体領域42は、p型のウェル20内において容量電極61を挟み込む位置に容量電極61に対して自己整合的に形成されている。p型の半導体領域41、n型の半導体領域42及びp型のウェル20は、容量素子CPEの一方の電極を構成する部分である。すなわち、容量素子CPEにおいては、容量電極61の左右の半導体領域の導電型が非対称になっている。この点は書込み/消去素子WREの場合と同様である。
【0060】
半導体領域41は、p−型の半導体領域41Bと、その半導体領域41Bに電気的に接続されたp+型の半導体領域41Aとを有している。このp−型の半導体領域41B及びp+型の半導体領域41Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域41Aの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域41Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このp型の半導体領域41は、p型のウェル22と電気的に接続されている。
【0061】
n型の半導体領域42は、n−型の半導体領域42Bと、そのn−型の半導体領域42Bに電気的に接続されたn+型の半導体領域42Aとを有している。このn−型の半導体領域42B及びn+型の半導体領域42Aには、例えばリン(P)又はヒ素(As)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域42Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域42Bよりも不純物濃度が高くなるように設定されている。
【0062】
p−型の半導体領域41B及びn−型の半導体領域42Bは、容量電極61の一方の端部辺りから半導体基板10の主面に沿ってサイドウォール93の幅分程度延びて終端している。p+型の半導体領域41A及びn+型の半導体領域42Aは、それぞれp−型の半導体領域41B及びn−型の半導体領域42Bの終端で一部重なり、その重なり位置から半導体基板10の主面に沿って所望の長さ分だけ延びて分離部100で終端している。
【0063】
本実施の形態では、n型の半導体領域42が、
図3に示すように、互いに隣接する2つの浮遊電極CPLGTの隣接間に形成されている。すなわち、n型の半導体領域42は、2つの容量素子CPEの共有領域になっている。尚、
図3に例示するように、不揮発性メモリ領域の角部に位置する容量素子CPEは不揮発性メモリセルNVMCを構成しない。
【0064】
これらp型の半導体領域41及びn型の半導体領域42は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95gに電気的に接続されている。この導体部95gは、書込みワード線WWLに電気的に接続されている。この導体部95gが接するp+型の半導体領域41A及びn+型の半導体領域42Aの表層一部にシリサイド層90gを形成しても良い。
【0065】
不揮発性メモリセルNVMCの平面的なレイアウト構成は
図3に例示される通りであり、
図3の上方から順次下方に、ウェル20、ウェル22、及びウェル21が異なる列で繰り返し配置され、そこに不揮発性メモリセルNVMCが規則的に向きを変えて複数個配置されている。不揮発性メモリセルNVMCの配置の向きはレイアウトの面積効率を向上させることが考慮される。例えば
図4に例示されるように、読出し用のウェル22と前記書込み消去電極用にウェル21の夫々を共有する隣り合う不揮発性メモリセルNVMC_1,NVMC_2は、書込み消去ビット線WBL_1を共有し、書込み消去ワード線WWL_1,WWL_2を個別とし、読出しワード線RWL_1,RWL_2を個別とし、読出しビット線RBL_1,RBL_2を個別とする。
【0066】
次に不揮発性メモリセルNVMCの書込み、消去及び読み出し動作について説明する。不揮発性メモリセルNVMCを構成する素子の接続関係を明瞭に示している
図5の等価回路はその動作の理解に資するものである。
図5の等価回路における主なノードa〜fの断面構造上の位置は
図6に示される。
【0067】
図7には書込み動作における不揮発性メモリセルNVMCへの電圧の印加状態が例示される。データの書込み時には、書込み対象にされる不揮発性メモリセルNVMCに対して、その容量素子CPEのウェル20に接続する書込みワード線WWLに例えば9Vの正の電圧を印加し、その書込み/消去素子CWEのウェル21に接続する書込み消去ビット線WBLに例えば−9Vの負の電圧を印加する。それ以外のデータ書込み/消去用のビット線WBLには、例えば0Vの電圧を印加し、選択素子SWMOSのゲート電極に接続する読出しワード線RWLに例えばグランド電圧GNDを印加する。ソース線SL及び読出しビット線RBLは共にグランド電圧GND、ウェル23には給電部46から9Vが印加され、ウェル22には給電部47からグランドレベルGNDが印加される。本明細書では、特に制限されないが、グランド電圧GNDを0Vとする。これにより、書込み対象の不揮発性メモリセルNVMCの書込み/消去素子WREのウェル21の表面から浮遊電極CPLGTにFNトンネルによって電子が注入される。浮遊電極CPLGTに電子が注入された不揮発性メモリセルNVMCにおける読出し素子RDEの閾値電圧は高くされる。
【0068】
図8には消去動作における不揮発性メモリセルNVMCへの電圧の印加状態が例示される。消去動作では書込みワード線WWLと書込みビット線に印加する電圧を書込み動作の場合と逆にする。即ち、消去対象の不揮発性メモリセルNVMCにおける容量素子CPEのウェル20に接続する書込みワード線WWLに例えば−9Vの負の電圧を印加し、その書込み/消去素子CWEのウェル21に接続する書込み消去ビット線WBLに例えば9Vの正の電圧を印加する。その他の印加電圧は書込み動作の場合と同じである。これにより、消去対象の不揮発性メモリセルNVMCの浮遊電極CPLGTから書込み/消去素子WREのウェル21の表面にFNトンネルによって電子が放出される。浮遊電極CPLGTから電子が放出された不揮発性メモリセルNVMCにおける読出し素子RDEの閾値電圧は低くされる。
【0069】
図9には読出し動作における不揮発性メモリセルNVMCへの電圧の印加状態が例示される。データの読出し動作時には、ウェル23には給電部46から電源電圧VDDを印加し、ウェル22には給電部47からグランドレベルGNDを印加し、更に、ソース線SLにグランド電圧GNDを印加し、容量素子CPEのウェル20に接続する書込みワード線WWLに電源電圧VDDを印加し、その書込み/消去素子CWEのウェル21に接続する書込み消去ビット線WBLにグランド電圧GNDを印加する。そして、読出し対象にされる不揮発性メモリセルNVMCに対して選択素子SWMOSのゲート電極に接続する読出しワード線RWLに電源電圧VDDを印加し、読出しビット線RBLを検出電圧Vprcにプリチャージする。特に制限されないが、ここでは電源電圧を3V、検出電圧Vprcを1Vとする。不揮発性メモリセルNVMCが書込み状態であれば読出し素子RDEの閾値電圧は高くされている(電源電圧VDD以上の電圧である)ので、読出しビット線RBLからソース線SLには電流が流れず、読出しビット線RBLに接続されるセンスアンプ(図示せず)の出力は反転されない。一方、不揮発性メモリセルNVMCが消去状態であれば読出し素子RDEの閾値電圧は低くされている(電源電圧VDDよりも低い電圧である)ので、読出しビット線RBLからソース線SLに電流が流れ、その変化が読出しビット線RBLに接続されるセンスアンプで検出され、センスアンプの出力が反転される。このセンスアンプの出力の相違、即ち、読出しビット線RBLからソース線SLに電流が流れるか否かに基づいて、不揮発性メモリセルNVMCに記憶されているデータの論理値(0又は1)が判別される。
【0070】
<高耐圧、中耐圧、低耐圧夫々の電界効果トランジスタの縦断面構造>
次に上記不揮発性メモリセルNVMCを有する半導体装置の主回路等を構成する高耐圧、中耐圧、低耐圧夫々の電界効果トランジスタの縦断面構造について、
図2を参照しながら説明する。実際には夫々の電界効果トランジスタは他の回路素子などと結合されて所要の回路を構成しているが、
図2では夫々1個を代表として例示する。
【0071】
半導体基板(PSub)10の主面上に絶縁膜71,72,73,74,75,76を介して単層ポリシリコンゲートから成るゲート電極51,52,53,54,55,56が形成され、その表面にはシリサイド層90が形成されている。ゲート電極51に対応してnチャンネル型の高耐圧電界効果トランジスタ(第1電界効果トランジスタ)HVNMOSが形成され、ゲート電極52に対応してpチャンネル型の高耐圧電界効果トランジスタ(第2電界効果トランジスタ)HVPMOSが形成される。ゲート電極53に対応してnチャンネル型の中耐圧電界効果トランジスタ(第3電界効果トランジスタ)MVNMOSが形成され、ゲート電極54に対応してpチャンネル型の中耐圧電界効果トランジスタ(第4電界効果トランジスタ)MVPMOSが形成される。ゲート電極55に対応してnチャンネル型の低耐圧電界効果トランジスタ(第5電界効果トランジスタ)LVNMOSが形成され、ゲート電極56に対応してpチャンネル型の低耐圧電界効果トランジスタ(第6電界効果トランジスタ)LVPMOSが形成される。
【0072】
p型の半導体基板10には上記素子を形成するための活性領域を規定する溝形の分離部100が形成されている。この半導体基板10には第1電界効果トランジスタHVNMOSが形成されるp型のウェル(第1ウェル)11、第2電界効果トランジスタHVPMOSが形成されるn型のウェル(第2ウェル)12、n型のウェル(第3ウェル)13及びn型のウェル(第4ウェル)14が形成されている。第3ウェル13には第3電界効果トランジスタMVNMOSが形成されるp型の第6ウェル16及び第4電界効果トランジスタMVPMOSが形成されるn型の第7ウェル17が設けられる。第4ウェル14には第5電界効果トランジスタLVNMOSが形成されるp型の第8ウェル18及び第6電界効果トランジスタLVNMOSが形成されるn型の第9ウェル19が設けられる。
【0073】
p型のウェル11,16,18には、例えばホウ素(B)等のようなp型を示す不純物が含有されている。p型のウェル11の上層一部には、p+型の半導体領域26,48が重ねて形成されている。p+型の半導体領域26,48には、p型のウェル11と同じ不純物が含有されているが、p+型の半導体領域26の不純物濃度の方が、p型のウェル11の不純物濃度よりも高くなるように設定され、p+型の半導体領域48の不純物濃度の方が、p型の半導体領域26の不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このp+型の半導体領域26,48は、半導体基板10の主面上の絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95hに電気的に接続され、ウェル11への給電部を成す。この導体部95hが接するp+型の半導体領域48の表層一部にシリサイド層90hを形成しても良い。尚、図示は省略するがウェル16,18に対する給電部も同様に設けられている。
【0074】
n型のウェル12には、例えばリン(P)又はヒ素(As)等のようなn型を示す不純物が含有されている。このn型のウェル12の上層一部には、n+型の半導体領域27,49が形成されている。n+型の半導体領域27,49には、n型のウェル12と同じ不純物が含有されているが、n+型の半導体領域27の不純物濃度の方が、n型のウェル12の不純物濃度よりも高くなるように設定され、n+型の半導体領域49の不純物濃度の方が、n型の半導体領域27の不純物濃度よりも高くなるように設定されている。このようなn+型の半導体領域27,49は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95iに電気的に接続されていて、ウェル12への給電部を成す。この導体部95iが接するn+型の半導体領域49の表層一部にシリサイド層90iを形成しても良い。尚、図示は省略するがウェル13,14,17,19に対する給電部も同様に設けられている。
【0075】
ゲート電極51がp型のウェル11の活性領域に平面的に重なる位置には高耐圧の電界効果トランジスタHVNMOSが配置されている。電界効果トランジスタHVNMOSは、ゲート電極51と、ゲート絶縁膜71と、n型のソース・ドレイン領域31,31と、p型のウェル11とを有している。ゲート絶縁膜71は、例えば酸化シリコンから成り、例えば25Vの耐圧を実現するために50〜100nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜71の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0076】
電界効果トランジスタHVNMOSの一対のn型のソース・ドレイン領域31,31は、p型のウェル11内においてゲート電極51の下方位置に形成されている。n型のソース・ドレイン領域31は、n−型の半導体領域(ウェル12の不純物濃度よりも高い不純物濃度を持つ)31Bと、その半導体領域31Bに電気的に接続されたn+型の半導体領域31Aを有している。このn−型の半導体領域31B及びn+型の半導体領域31Aには、例えばリン(P)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域31Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域31Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。n−型の半導体領域31Bはゲート電極51の端部辺りから内側に深く入り込んで形成されている。n型のソース・ドレイン領域31,31は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95jに電気的に接続されている。この導体部95jは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95jが接するn+型の半導体領域31Aの表層一部にシリサイド層90jを形成しても良い。
【0077】
ゲート電極52がn型のウェル12の活性領域に平面的に重なる位置には高耐圧の電界効果トランジスタHVPMOSが配置されている。電界効果トランジスタHVPMOSは、ゲート電極52と、ゲート絶縁膜72と、p型のソース・ドレイン領域32,32と、n型のウェル12とを有している。ゲート絶縁膜72は、例えば酸化シリコンから成り、例えば25Vの耐圧を実現するために50〜100nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜72の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0078】
電界効果トランジスタHVPMOSの一対のp型のソース・ドレイン領域32,32は、n型のウェル12内においてゲート電極52の下方位置に形成されている。p型のソース・ドレイン領域32は、p−型の半導体領域(ウェル11の不純物濃度よりも高い不純物濃度を持つ)32Bと、その半導体領域32Bに電気的に接続されたp+型の半導体領域32Aを有している。このp−型の半導体領域32B及びp+型の半導体領域32Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域32Aの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域32Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p−型の半導体領域32Bはゲート電極52の端部辺りから内側に深く入り込んで形成されている。p型のソース・ドレイン領域32,32は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95kに電気的に接続されている。この導体部95kは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95kが接するp+型の半導体領域32Aの表層一部にシリサイド層90kを形成しても良い。
【0079】
ゲート電極53がp型のウェル16の活性領域に平面的に重なる位置には中耐圧の電界効果トランジスタMVNMOSが配置されている。電界効果トランジスタMVNMOSは、ゲート電極53と、ゲート絶縁膜73と、n型のソース・ドレイン領域33,33と、p型のウェル16とを有している。ゲート絶縁膜73は、例えば酸化シリコンから成り、例えば6Vの耐圧を実現するために13.5nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜73の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0080】
電界効果トランジスタMVNMOSの一対のn型のソース・ドレイン領域33,33は、p型のウェル16内においてゲート電極53を挟み込む位置にゲート電極53に対して自己整合的に形成されている。n型のソース・ドレイン領域33は、n−型の半導体領域33Bと、その半導体領域33Bに電気的に接続されたn+型の半導体領域33Aを有している。このn−型の半導体領域33B及びn+型の半導体領域33Aには、例えばリン(P)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域33Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域33Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。n−型の半導体領域33Bはゲート電極53の端部辺りから内側に浅く入り込んで形成されている。n型のソース・ドレイン領域33,33は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95mに電気的に接続されている。この導体部95mは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95mが接するn+型の半導体領域33Aの表層一部にシリサイド層90mを形成しても良い。
【0081】
ゲート電極54がn型のウェル17の活性領域に平面的に重なる位置には中耐圧の電界効果トランジスタMVPMOSが配置されている。電界効果トランジスタMVPMOSは、ゲート電極54と、ゲート絶縁膜74と、n型のソース・ドレイン領域34,34と、n型のウェル17とを有している。ゲート絶縁膜74は、例えば酸化シリコンから成り、例えば6Vの耐圧を実現するために13.5nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜74の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0082】
電界効果トランジスタMVPMOSの一対のn型のソース・ドレイン領域34,34は、n型のウェル17内においてゲート電極54を挟み込む位置にゲート電極54に対して自己整合的に形成されている。p型のソース・ドレイン領域34は、p−型の半導体領域34Bと、その半導体領域34Bに電気的に接続されたp+型の半導体領域34Aを有している。このp−型の半導体領域34B及びp+型の半導体領域34Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域34Aの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域34Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p−型の半導体領域34Bはゲート電極54の端部辺りから内側に浅く入り込んで形成されている。p型のソース・ドレイン領域34,34は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95nに電気的に接続されている。この導体部95nは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95nが接するp+型の半導体領域34Aの表層一部にシリサイド層90nを形成しても良い。
【0083】
ゲート電極55がp型のウェル18の活性領域に平面的に重なる位置には低耐圧の電界効果トランジスタLVNMOSが配置されている。電界効果トランジスタLVNMOSは、ゲート電極55と、ゲート絶縁膜75と、n型のソース・ドレイン領域35,35と、p型のウェル18とを有している。ゲート絶縁膜75は、例えば酸化シリコンから成り、例えば1.5Vの耐圧を実現するために1〜3nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜75の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0084】
電界効果トランジスタLVNMOSの一対のn型のソース・ドレイン領域35,35は、p型のウェル18内においてゲート電極55を挟み込む位置にゲート電極55に対して自己整合的に形成されている。n型のソース・ドレイン領域35は、n−型の半導体領域35Bと、その半導体領域35Bに電気的に接続されたn+型の半導体領域35Aを有している。このn−型の半導体領域35B及びn+型の半導体領域35Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、n+型の半導体領域35Aの不純物濃度の方が、n−型の半導体領域35Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。n−型の半導体領域35Bはゲート電極55の端部辺りから内側に浅く入り込んで形成されている。n型のソース・ドレイン領域35,35は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95pに電気的に接続されている。この導体部95pは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95pが接するn+型の半導体領域35Aの表層一部にシリサイド層90pを形成しても良い。
【0085】
ゲート電極56がn型のウェル19の活性領域に平面的に重なる位置には低耐圧の電界効果トランジスタLVPMOSが配置されている。電界効果トランジスタLVPMOSは、ゲート電極56と、ゲート絶縁膜76と、n型のソース・ドレイン領域36,36と、n型のウェル19とを有している。ゲート絶縁膜76は、例えば酸化シリコンから成り、例えば1.5Vの耐圧を実現するために1〜3nm程度の膜厚を有する。ゲート絶縁膜76の生成は熱酸化の他にCVD方などによって堆積した絶縁膜を積層させてもよい。
【0086】
電界効果トランジスタLVPMOSの一対のn型のソース・ドレイン領域36,36、n型のウェル19内においてゲート電極56を挟み込む位置にゲート電極56に対して自己整合的に形成されている。p型のソース・ドレイン領域36は、p−型の半導体領域36Bと、その半導体領域36Bに電気的に接続されたp+型の半導体領域36Aを有している。このp−型の半導体領域36B及びp+型の半導体領域36Aには、例えばホウ素(B)等のような同一導電型の不純物が含有されているが、p+型の半導体領域36Aの不純物濃度の方が、p−型の半導体領域36Bの不純物濃度よりも高くなるように設定されている。p−型の半導体領域36Bはゲート電極56の端部辺りから内側に浅く入り込んで形成されている。p型のソース・ドレイン領域36,36は、絶縁層96に形成されたコンタクトホール内の導体部95qに電気的に接続されている。この導体部95qは夫々別々に所要の配線層に接続されている。この導体部95qが接するp+型の半導体領域36Aの表層一部にシリサイド層90qを形成しても良い。
【0087】
<フォトマスクを減らし、パンチスルーリークを抑制する考慮>
上述のように不揮発性メモリセルNVMCの浮遊電極CPLGTは、これと同一の半導体基板に形成される電界効果トランジスタHVNMOS,HVPMOS,MVNMOS,MVPMOS,LVNMOS,LVPMOSのゲート電極と同様に単層構造であるから、不揮発性メモリセルNVMCとその他ロジック回路等を構成する電界効果トランジスタなどの素子との製造上の整合を容易化することができる。これは、半導体装置の製造時間の短縮や製造コストの低減に資するものである。上記半導体装置はそればからでなく、各種ウェル及び半導体領域に対する半導体組成の割付を工夫することにより、フォトマスクの数を減らす考慮、そして次に説明するパンチスルーリークを抑制する考慮が払われている。
【0088】
図10は
図1及び
図2の断面構造をその半導体組成に着目して集約した図である。半導体組成として半導体領域の導電型と不純物濃度を考慮する。半導体基板10上の第1ウェル11にはp型の第1半導体組成HPWを採用し、p型の第2乃至第5ウェル12〜15には第2半導体組成HNWを採用する。
【0089】
第1半導体組成HPWの第1ウェル11に形成された高耐圧の電界効果トランジスタHVNMOSにおいてそのソース・ドレイン領域32Bにはn型の第8半導体組成HNLD’を採用し、給電部26には第9半導体組成HPLD’を採用する。
【0090】
第2半導体組成HNWの第2ウェル12に形成された高耐圧の電界効果トランジスタHVPMOSにおいてそのソース・ドレイン領域32Bにはp型の第3半導体組成HPLDを採用し、給電部27にはn型の第4半導体組成HNLDを採用する。第3半導体組成HPLDと第9半導体組成HPLD’との相違はそれが形成されるウェルの導電型がn型かp型かの相違である。そのような半導体組成の相違する半導体領域を製造するときに用いるフォトマスクは共通化することができる。同様に、第4半導体組成HNLDと第8半導体組成HNLD’との相違はそれが形成されるウェルの導電型がn型かp型かの相違であり、フォトマスクの共通化が可能である。
【0091】
第2半導体組成HNWの第3ウェル13に中耐圧の電界効果トランジスタMVNMOSを形成する第6ウェルにはp型の第5半導体組成MPWを採用し、第2半導体組成HNWの第3ウェル13に中耐圧の電界効果トランジスタMVPMOSを形成する第7ウェルには上記n型の第4半導体組成HNLDを採用する。
【0092】
第2半導体組成HNWの第4ウェル14に低耐圧の電界効果トランジスタLVNMOSを形成する第8ウェルにはp型の第6半導体組成LPWを採用し、第2半導体組成HNWの第4ウェル14に低耐圧の電界効果トランジスタLVPMOSを形成する第9ウェルにはn型の第7半導体組成LNWを採用する。
【0093】
第2半導体組成HNWの第5ウェル15に内包された不揮発性メモリセルNVMCにおいて、容量素子CPEが形成される第10ウェル20及び第11ウェル21には上記第6半導体組成LPWを採用し、読出し素子RDEや選択素子SWMOSが形成される第12ウェル22には上記第5半導体組成MPWを採用し、分離用ウェル(第13ウェル)23には上記第4半導体組成を採用する。
【0094】
上記n型の半導体組成における不純物濃度は、HNW<HNLD’<HNLD<LNWの順番に高くされ、上記p型の半導体組成における不純物濃度は、HPW<HPLD<HPLD’<MPW<LPWの順番に高くされる。
【0095】
夫々の半導体組成における不純物濃度は夫々の半導体領域が必要とする接合耐圧やその他特性に従って決定される。例えば
図11に例示されるように、不揮発性メモリセルにおけるウェル領域(20a,21aなど)の半導体組成に中耐圧電界効果トランジスの半導体組成MPWを採用し、分離用のウェル領域(23a)にMNWを採用し、相互間に空間(SP)を形成して接合耐圧の向上を図るというよう、前記特許文献1に記載された構造が既に提供されている。
【0096】
これに対して本実施の形態では、中耐圧電界効果トランジスタMVPMOSの第7ウェル17及び不揮発性メモリセルNVMCの分離用ウェル23にMNWを採用せず、これに代えて、第4半導体組成HNLDを採用する。MNWとHNLDとの不純物濃度の関係は、HNW<HNLD<MNW<LNWとなり、隣接する半導体領域との間での接合耐圧については問題なく、逆にHNLDの方が不純物濃度が薄く、熱拡散(アニール)による効果も期待される結果、空間SPも不要になり、不揮発性メモリセルNVMCによるチップ占有面積の縮小に資するものある。更に、MNWのフォトマスクが不用になる。即ち、ソース・ドレイン領域31B及び給電部27の半導体領域を形成するフォトマスクに、中耐圧電界効果トランジスタMVPMOSの第7ウェル17及び不揮発性メモリセルNVMCの分離用ウェル23を形成するマスクパターンを組み込めばよい。これは半導体装置の製造工程の短縮に寄与する。
【0097】
図12に例示されるように、
図11に対してこの分離用のウェル23に第4半導体組成HNLDを採用するということは、上述のようにその不純物濃度が、
図11の半導体領域23aの半導体組成MNWに比べて低くなることを意味する。特に、アニールによって横方向に拡張された部分は更に低濃度になる。このことから、
図12に例示するように、半導体組成HNLDの分離用のウェル23と半導体組成MPWの容量素子のウェル20a又は書込み/消去素子のウェル21aとの境界部分に伸びる空乏層を介して容量素子又は書込み/消去素子と分離用のウェル23と間にパンチスルーリークを生ずる虞がある。例えば、
図12において、不揮発性メモリセルが形成されるn型埋め込みウェル15及びn型分離用ウェル23に9Vが印加されていて、書込み動作において書込み/消去素子のp型ウェル21a及び書込み/消去素子のn型拡散領域43に−9Vを印加したとき、n型分離用ウェル23との境界部分で書込み/消去素子のp型ウェル21aに空乏層が広がり易くなり、n型分離用ウェル23と書込み/消去素子のn型拡散領域43が導通状態になってパンチスルーリーク電流Ipt1を生ずる虞がある。特にn型分離用ウェル23の上に形成されている溝型分離部100の深さが浅い程導通し易くなってパンチスルーリークIpt1が顕在化する。このパンチスルー現象は消去動作時も容量素子のウェル側に現れる。例えば、不揮発性メモリセルが形成されるn型埋め込みウェル15及びn型分離用ウェル23に9Vが印加されていて、消去動作において容量素子のp型ウェル20a及び容量素子のn型拡散領域42に−9Vを印加したとき、n型分離用ウェル23との境界部分で容量素子のp型ウェル20aに空乏層が広がり易くなり、n型分離用ウェル23と容量素子のn型拡散領域42が導通状態になってリーク電流Ipt2を生ずる虞がある。
【0098】
これに対して本実施の形態では、
図10にも示されるように、容量素子CPEのウェル20及び書込み消去素子WREのウェル21を低耐圧の電界効果トランジスタLVNMOSが形成されるp型のウェル18と同じ半導体組成LPWに代えてその不純物濃度を高くしてある。これにより、上記パンチスルーリークの発生を抑制することができる。
【0099】
それらによって、フォトマスクを減らし、パンチスルーリークを抑制することができる。しかも、それらは、上記アニールによる横方向の低濃度化によって容量素子のウェル20及び書込み/消去素子のウェル21と分離用のウェル23との間のスペースを廃止することによるチップの平面方向サイズの縮小、そして、分離用のウェル23の上に形成されている溝型分離部100の深さを浅くすることによるチップの厚さ方向のサイズの縮小に資するものとなり、半導体装置の小型化に寄与するものである。
【0100】
<半導体装置の製造方法>
次に、上述した半導体装置の製造方法につてその一例を
図13〜
図28に基づいて説明する。
図13〜
図28は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中における同一の半導体基板10(ここでは、半導体ウエハと称する平面円形状の半導体薄板)の要部断面図である。高耐圧電界効果ランジスタが形成される高耐圧MOS部、中耐圧電界効果ランジスタが形成される中耐圧MOS部及び低耐圧電界効果ランジスタが形成される低耐圧MOS部は、例えばLCDドライバ回路を構成するMOSトランジスタの形成領域である。高耐圧MOS部のMOSトランジスタの動作電圧は、例えば25Vである。中耐圧MOS部のMOSトランジスタの動作電圧は、例えば6Vである。低耐圧MOS部のMISトランジスタの動作電圧は、例えば1.5Vである。動作電圧が1.5VのMISトランジスタは、そのゲート絶縁膜が6.0VのMISトランジスタのゲート絶縁膜よりも薄く、その膜厚が1〜3nm程度で構成されている。
【0101】
図13及び
図14に示すように、p型の半導体基板10(半導体ウエハ)を用意し、その高耐圧MOS部の一部に、半導体組成HPWを持つp型のウェル11をフォトリソグラフィ(以下、単にリソグラフィという)工程及びイオン注入工程等により形成する。リソグラフィ工程は、フォトレジスト(以下、単にレジストという)膜の塗布、露光及び現像等により所望のレジストパターンを形成する一連の工程である。イオン注入工程では、リソグラフィ工程を経て半導体基板10の主面上に形成されたレジストパターンをマスクとして、半導体基板10の所望の部分に所望の不純物例えばホウ素(B)を選択的に導入する。ここでのレジストパターンは、不純物の導入領域が露出され、それ以外の領域が覆われるようなパターンとされている。
【0102】
続いて、高耐圧MOS部の残りの部分、低耐圧MOS部及び不揮発性メモリセルの形成領域に、半導体組成HNWを持つn型のウェル12,13,14,15をリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により同時に形成する。例えば注入イオンにはリン(P)を用いる。その後、半導体基板10の主面の分離領域に分離溝を形成した後、その分離溝内に絶縁膜を埋め込むことにより、溝形の分離部100を形成する。
図13及び
図14のリソグラフィ工程及びイオン注入工程では数時間かけて窒素ガス中でアニールが行われる。
【0103】
次に、
図15及び
図16に示すように、半導体組成HNLD’を持つ高耐圧電界効果トランジスタHVNMOSのソース・ドレイン領域のための半導体領域31B、半導体組成HNLDを持つ給電部のための半導体領域27、半導体組成HNLDを持つ電界効果トランジスタのためのウェル17、及び分離用ウェル23をリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により形成する。注入イオンとして例えばリン(P)を用いる。半導体組成HNLD’と半導体組成HNLDは下地の半導体領域の導電型が相違するだけであり、同一のフォトマスクを用いて同時にそれら半導体組成HNLD’、HNLDは形成される。
【0104】
更に、半導体組成HPLD’を持つ給電部のための半導体領域26、半導体組成HPLDを持つ高耐圧電界効果トランジスタHVPMOSのソース・ドレイン領域のための半導体領域32Bをリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により形成する。注入イオンとして例えばホウ素(B)を用いる。半導体組成HPLD’と半導体組成HPLDは下地の半導体領域の導電型が相違するだけであり、同一のフォトマスクを用いて同時にそれら半導体組成HPLD’、HPLDは形成される。
図15及び
図16のリソグラフィ工程及びイオン注入工程では数十分かけて窒素ガス中でアニールが行われる。
【0105】
次に、
図17及び
図18に示すように、半導体組成MPWを持つ中耐圧電界効果トランジスタMVNMOSのウェル16、及び不揮発性メモリセルNVMCの読出し素子RDEと選択素子SWMOSのためのウェルをリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により形成する。注入イオンとして例えばホウ素(B)を3回に分けて順に深さと注入量を変え注入していく。
【0106】
更に、半導体組成LPWを持つ低耐圧電界効果トランジスタLVNMOSのウェル18、容量素子CPEのためのウェル20及び書込み/消去素子WREのためのウェル21をリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により形成する。注入イオンとして例えばホウ素(B)を4回に分けて順に深さと注入量を変え注入していく。
【0107】
そして、半導体組成LNWを持つ低耐圧電界効果トランジスタLVPMOSのウェル19をリソグラフィ工程及びイオン注入工程等により形成する。注入イオンとして例えばリン(P)を3回に分けて順に深さと注入量を変え注入していく。夫々を注入した後はアニールによって各ウェルの不純物濃度を均一化する。
【0108】
以上のように形成したウェル及び半導体領域の夫々の半導体組成における不純物濃度の高低関係は前述の通りであり、ここでは重ねて説明しない。
【0109】
次に、
図19及び
図20に示すように、ゲート絶縁膜71,72,73,74,75,76,83,84及び容量絶縁膜81,82を熱酸化法等により形成した後、半導体基板10(半導体ウエハ)の主面上に、例えば低抵抗な多結晶シリコンからなる導体膜110をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成する。このとき、高耐圧MOS部の電界効果トランジスタHVNMOS,HVPMOSのゲート絶縁膜71、72は、25Vのような耐圧に耐えられるように、中耐圧MOS部の電界効果トランジスタMVNMOS,MVPMOSのゲート絶縁膜73,74よりも厚い膜厚のゲート絶縁膜で形成される。中耐圧MOS部の電界効果トランジスタMVNMOS,MVPMOSのゲート絶縁膜73、74は、6Vのような耐圧に耐えられるように、低耐圧MOS部の電界効果トランジスタLVNMOS,LVPMOSのゲート絶縁膜75,76よりも厚い膜厚のゲート絶縁膜で形成される。例えばゲート絶縁膜71,72は80nm、ゲート絶縁膜73,74は11.5nm、ゲート絶縁膜75,76は2nmの厚さを有する。ゲート絶縁膜は前記の熱酸化法による酸化膜の他に、CVD法などによって堆積した絶縁膜を積層させることもできる。
【0110】
不揮発性メモリNVMCのゲート絶縁膜83,84及び容量絶縁膜81,82は、中耐圧MOS部の電界効果トランジスタMVNMOS,MVPMOS(ここでは動作電圧が、例えば6.0Vの電界効果トランジスタ)のゲート絶縁膜73,74と同じ工程によって形成され、例えば11.5nmの厚さを有する。
【0111】
図21及び
図22に例示するように、導体膜110をリソグラフィ工程及びエッチング工程によりパターニングすることにより、ゲート電極51,52,53,54,55,56,64及び浮遊電極CPLGT(ゲート電極63及び容量電極61,62)を同時に形成する。
【0112】
続いて、中耐圧MOS部のnチャネル型の電界効果トランジスタMVNMOSの形成領域、容量素子CPEの形成領域、書込み/消去素子CWEの形成領域、読出し素子RDE形成領域、及び選択素子SWMOSの形成領域に、n−型の半導体領域33B,42B,43B,45Bをリソグラフィ工程及びイオン注入法等により同時に形成する。続いて、中耐圧MOS部のpチャネル型の電界効果トランジスタMVPMOSの形成領域、容量素子CPEの形成領域、及び書込み/消去素子CWEの形成領域に、p−型の半導体領域34B,41B,44Bをリソグラフィ工程及びイオン注入法等により同時に形成する。続いて、低耐圧MOS部のnチャネル型の電界効果トランジスタLVNMOSの形成領域に、n−型の半導体領域35Bをリソグラフィ工程及びイオン注入法等により形成する。続いて、低耐圧MOS部のpチャネル型の電界効果トランジスタLVPMOSの形成領域に、p−型の半導体領域36Bをリソグラフィ工程及びイオン注入法等により形成する。
【0113】
次いで、
図23及び
図24に示すように、半導体基板10の主面上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜をCVD法等により堆積した後、それを異方性のドライエッチングによりエッチバックすることにより、ゲート電極51〜56、63,64及び容量電極61,62の側面にサイドウォール93を形成する。
【0114】
続いて、高耐圧MOS部、中耐圧MOS部及び低耐圧MOS部のpチャネル型の電界効果トランジスタ形成領域と、容量素子部及び書込み/消去素子部と、p型のウェル22,26とに、p+型の半導体領域32A、34A,36A,41A,44A,47,48をリソグラフィ工程及びイオン注入法等により同時に形成する。これにより、高耐圧MOS部に、ソース・ドレイン用のp型の半導体領域32Aが形成され、電界効果トランジスタHVPMOSが形成され、ウェル26に給電用の半導体領域48が形成される。また、中耐圧MOS部に、ソース・ドレイン用のp型の半導体領域34Aが形成され、pチャネル型の中耐圧電界効果トランジスタMVPMOSが形成される。同様に、低耐圧MOS部に、ソース・ドレイン用のp型の半導体領域36Aが形成され、pチャネル型の低耐圧電界効果トランジスタLVPMOSが形成される。また、容量素子部に、p型の半導体領域41Aが形成され、書込み/消去素子部にp型の半導体領域44Aが形成され、ウェル22に給電用の半導体領域47が形成される。
【0115】
続いて、高耐圧MOS部、中耐圧MOS部、低耐圧MOS部、容量素子部、書込み/消去素子部、読出し素子部及び選択素子部のnチャネル型の電界効果トランジスタ形成領域、及びn型の半導体領域27に、n+型の半導体領域31A,33A、35A、42A,43A,45A、49をリソグラフィ工程及びイオン注入法等により同時に形成する。これにより、高耐圧MOS部に、ソース・ドレイン用のn型の半導体領域31Aが形成されてnチャネル型の電界効果HVNMOSが形成され、ウェル27に給電用の半導体領域49が形成される。また、中耐圧MOS部に、ソース・ドレイン用のn型の半導体領域33Aが形成されて、nチャネル型の電界効果トランジスタMVNMOSが形成される。低耐圧MOS部には、ソース及びドレイン用のn型の半導体領域35Aが形成されて、nチャネル型の電界効果トランジスタLVNMOSが形成される。また、容量素子部に、n型の半導体領域42Aが形成され、容量素子CPEが形成される。また、書込み/消去素子部に、n型の半導体領域43Aが形成され、書込み/消去素子WREが形成される。また、読出し素子部及び選択素子部に、n型の半導体領域45Aが形成され、データの読出し素子RDE及び選択素子SWMOSが形成される。
【0116】
次いで、
図25及び
図26に示すように、シリサイド層90、90a〜90k、90m〜90n、90p〜90qを選択的に形成する。このシリサイド層90、90a〜90h、90j〜90k、90m〜90n、90p〜90qの形成工程に先立って、不揮発性メモリセルNVMCの領域においては、浮遊電極CPLGT(容量電極61、62、ゲート電極63)の上面に絶縁膜91を形成することで、その部分にシリサイド層が形成されないようにする。すなわち、高耐圧MOS部、中耐圧MOS部、低耐圧MOS部及び不揮発性メモリセルNVMCの選択素子SWMOSのゲート電極(51〜56、64)の上にはシリサイド層が形成されており、不揮発性メモリセルNVMCの容量素子部、書込み/消去素子部及び読出し素子部の浮遊電極CPLGT(61,62,63)上にはシリサイドが形成されないように構成されている。上記絶縁膜91は、例えば、酸化シリコン膜によって形成されている。
【0117】
このような絶縁膜91を形成する理由を以下に述べる。不揮発性メモリセルNVMCの浮遊電極CPLGTは自己整合性のコンタクトを形成するために窒化シリコン膜(
図1の絶縁膜96a)で覆われている。この膜はプロセスの低温化のため、プラズマCVDで生成される。本来窒化シリコン膜は導電性を持たないが、膜生成時のガス流量比や、プラズマの立ち上がり具合によっては、僅かに伝導性を有することがある。そのような場合、浮遊電極CPLGTに蓄えられた電荷はこの窒化シリコン膜(
図1の絶縁膜96a)を伝わって半導体基板10に流出する。このため不揮発性メモリセルNVMCのデータ保持ができない不具合を起こすことがある。上記問題が発生しないように、浮遊電極CPLGTと窒化シリコン膜(
図1の絶縁膜96a)の間に、絶縁膜91、例えば、酸化シリコン膜を挟む構造としており、浮遊電極CPLGTから窒化シリコン膜(
図1の絶縁膜96a)への電荷の移動を防止している。
【0118】
また、この絶縁膜91は各浮遊電極CPLGTのサイドウォールSW端93部から、ゲート長方向に延在するように形成されている。これにより、不揮発性メモリセルNVMCのシリサイド層90g,90c,90dは絶縁膜91に対して自己整合的に形成されることになる。
【0119】
続いて、
図27及び
図28に示すように、半導体基板10(半導体ウエハ)の主面上に、例えば窒化シリコンからなる絶縁層96aをCVD法等により堆積した後、その上に、例えば酸化シリコンからなる絶縁層96bを絶縁層96aよりも厚くCVD法等により堆積し、更に絶縁層96bに化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)処理を施し、絶縁層96bの上面を平坦化する。その後、絶縁層96にコンタクトホールをリソグラフィ工程及びエッチング工程により形成する。その後、半導体基板10(半導体ウエハ)の主面上に、例えばタングステン(W)等からなる導体膜をCVD法等により堆積した後、それをCMP法等により研磨することでコンタクトホール内に導体部95a〜95k、95m〜95n、95p〜95qを形成する。これ以降は通常の配線形成工程、検査工程及び組立工程を経て半導体装置を完成させる。
【0120】
本実施の形態に係る半導体装置によれば、高耐圧、中耐圧、及び低耐圧夫々の電界効果トランジスタを用いて液晶ドライバのロジック回路や駆動回路と共に、初期設定データ等を格納する不揮発性メモリセルNVMCの容量素子CPE、書込み/消去素子WRE及び読出し素子RDE、選択素子SWMOSを一緒に形成することができるので、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。これにより、半導体装置の製造時間を短縮できる。また、半導体装置のコストを低減できる。
【0121】
更に上述したように、フォトマスクを減らすことができ、そして、パンチスルーリークを抑制することができる。それらによって、容量素子のウェル20及び書込み/消去素子のウェル21と分離用のウェル23との間のスペースを廃止することによるチップの平面方向サイズの縮小、そして、分離用のウェル23の上に形成されている溝型分離部100の深さを浅くすることによるチップの厚さ方向のサイズの縮小に資することができ、ひいては半導体装置の小型化に寄与する。
【0122】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0123】
例えば、不揮発性メモリセルの平面レイアウトは上記実施の形態に限定されず適宜変更可能である。
【0124】
また、書込み/消去の電圧関係は上記実施の形態と逆にしてもよい。即ち、電子の注入を消去とし、電子の放出を書込みとしてもよい。
【0125】
電子の注入と放出はホールの放出と注入と等価である。
【0126】
上記実施の形態における電界効果トランジスタの耐圧とゲート絶縁膜厚は一例であり、適宜変更可能である。
【0127】
単層ポリシリコンゲートを使って構成される主回路と、不揮発性メモリとを有する半導体装置であれば、本発明は液晶ドライバに限定されるものではなく、論理デバイス、アナログデバイス、RFデバイスなど、種々の機能の半導体装置に適用可能である。