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特開2017-222276リアモニター装置及び該リアモニター装置の表示部の回動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222276(P2017-222276A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】リアモニター装置及び該リアモニター装置の表示部の回動方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20171124BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20171124BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
   H04N5/64 521P
   G09F9/00 351
   G09F9/00 362
   G09F9/00 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-119591(P2016-119591)
(22)【出願日】2016年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】助川 諒
【テーマコード(参考)】
3D020
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA05
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD08
3D020BD09
5G435AA06
5G435EE13
5G435EE16
5G435EE49
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】映像等の視聴中において、乗員と表示部との衝突・接触を有効に防止できる「リアモニター装置」の提供。
【解決手段】車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置であって、前記表示部を前記収納位置と前記視聴位置とに回動させる表示部回動機構と、前記車両に搭乗する乗員の着席の有無を検出する着座検出部と、該着座検出部の検出結果に基づいて前記乗員の車両内の移動方向を判定する移動判定手段と、該移動判定手段の判定結果に基づいて前記表示部回動機構を制御する機構制御手段と、を有し、前記機構制御手段は、前記判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置であって、
前記表示部を前記収納位置と前記視聴位置とに回動させる表示部回動機構と、
前記車両に搭乗する乗員の着席の有無を検出する着座検出部と、
該着座検出部の検出結果に基づいて前記乗員の車両内の移動方向を判定する移動判定手段と、
該移動判定手段の判定結果に基づいて前記表示部回動機構を制御する機構制御手段と、を有し、
前記機構制御手段は、前記判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させるリアモニター装置。
【請求項2】
前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の前部席から後部席への移動方向と判定されたときに、
前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置に回動させる請求項1に記載のリアモニター装置。
【請求項3】
前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の後部席から前部席への移動方向と判定されたときに、
前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項1に記載のリアモニター装置。
【請求項4】
前記車両が複数列の後部席を有するときに、前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が、第1列目の後部席から第2列目の後部席への移動方向、又は第2列目の後部席から第1列目の後部席への移動方向と判定されたときに、
前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項1に記載のリアモニター装置。
【請求項5】
前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の後部席における前記車両の幅方向の移動方向と判定されたときに、
前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項1に記載のリアモニター装置。
【請求項6】
前記移動判定手段により前記乗員の座席の移動が終了したと判定されたときに、
前記機構制御手段は、前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させられた前記表示部を前記表示部回動機構により前記視聴位置に回動させる請求項1乃至5のいずれかに記載のリアモニター装置。
【請求項7】
車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置の表示部の回動方法であって、
前記車両に搭乗する乗員の着席の有無を検出する着座検出ステップと、
該着座検出ステップの検出結果に基づいて前記乗員の車両内の移動方向を判定する移動判定ステップと、
該移動判定ステップの判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる回動制御ステップと、を有するリアモニター装置の表示部の回動方法。
【請求項8】
前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の前部席から後部席への移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置に回動させる請求項7に記載のリアモニター装置の表示部の回動方法。
【請求項9】
前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の後部席から前部席への移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項7に記載のリアモニター装置の表示部の回動方法。
【請求項10】
前記車両が複数列の後部席を有するときに、前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が、第1列目の後部席から第2列目の後部席への移動方向、又は第2列目の後部席から第1列目の後部席への移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項7に記載のリアモニター装置の表示部の回動方法。
【請求項11】
前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の後部席における前記車両の幅方向の移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる請求項7に記載のリアモニター装置の表示部の回動方法。
【請求項12】
前記移動判定ステップにより前記乗員の座席の移動が終了したと判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させられた前記表示部を前記視聴位置に回動させる請求項7乃至11のいずれかに記載のリアモニター装置の表示部の回動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の天井部に設けられ、天井部の収納位置と天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置及び該リアモニター装置の表示部の回動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部座席に着座する乗員にテレビ番組やDVD等による映像の視聴を提供するために、パネル型ディスプレイを有するリアモニター装置が車両内に設けられている。車両の縦断面の概略を示す図4において、車両101の前部席102と後部席103(後部第1列目103a及び後部第2列目103b)との間の天井部105にフリップダウン型のリアモニター装置106が設置されている。このタイプのリアモニター装置106では、表示部(パネル型ディスプレイ)107が、視聴時にはリモコン等の操作により天井部105の収納位置108aから視聴位置108bへと回動(例えば、角度が約110度回動)して映像を表示し、視聴終了時には再び天井部105の収納位置108aへと回動する。
【0003】
ところで、リアモニター装置106での映像の視聴中、乗員111が座席移動のために立ち上がると、視聴位置108bにある表示部107と接触する場合があり、乗員111の頭部に傷が生じ、或いは表示部107が破損することがある。また、表示部107を避けて乗員111が立ち上がった際にも、車両101の揺れ等により乗員111の手が触れてしまい、表示部107が損傷する場合がある。
【0004】
上記したリアモニター装置106の表示部107と乗員111との接触を防止するために、ディスプレイの所定範囲内への物体の進入を検出した時に、ディスプレイを収納位置へと回動させるディスプレイ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−13063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されるディスプレイ装置では、ディスプレイが視聴時の開状態のときに、人感センサーが物体の接近を検出すると、表示部回動機構を作動させてディスプレイを開状態から閉状態(収納状態)に動作させることで、ディスプレイと物体(乗員)との接触防止を図るものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1のディスプレイ装置では、モーターを使用した表示部回動機構ゆえ、開閉動作には所定の時間を要するものであり、人感センサーにより乗員の接近を検出して閉状態へと作動した場合に乗員との接触を避けることができないおそれがある。特に、図4に示すように、第3列目の後部席103bから第2列目の後部席103aへの移動、第2列目の後部席103aから前部席102への移動の場合は、閉状態への回動中の表示部(ディスプレイ)107と移動する乗員111との移動方向が対向するため、衝突する可能性が高くなり、表示部107の破損等も懸念される。
【0008】
本発明は、リアモニター装置による映像等の視聴中において、乗員と表示部との衝突・接触を有効に防止できるリアモニター装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るリアモニター装置は、車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置であって、前記表示部を前記収納位置と前記視聴位置とに回動させる表示部回動機構と、前記車両に搭乗する乗員の着席の有無を検出する着座検出部と、該着座検出部の検出結果に基づいて前記乗員の車両内の移動方向を判定する移動判定手段と、該移動判定手段の判定結果に基づいて前記表示部回動機構を制御する機構制御手段と、を有し、前記機構制御手段は、前記判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成である。
【0010】
このような構成によれば、着座検出部による乗員の離席の検出と、空席の検出とにより移動方向判定手段が乗員の移動方向を判定するので、機構制御手段は、判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させることで、乗員と表示部との接触防止を図ることができる。上記した乗員の移動方向に対応してとは、例えば乗員が前席から後席へ移動したときには表示部を収納位置に回動させることで、表示部を乗員と同様に後席側に向けての回動となるので乗員と表示部との接触防止が図れ、また後席から前席へ移動したときには表示部を収納位置と反対側の退避位置に回動させることで、乗員と同様の前席側に向けての回動となるので乗員と表示部との接触防止が図れることとなる。視聴位置にある表示部を収納位置と反対側の退避位置とは、例えば収納位置を回動角度の基準とすると、視聴位置が回動角度を約110度程度、退避位置が回動角度を約170度程度とする。表示部回動機構は、表示部を退避位置まで回動することができる構造となっている。
【0011】
本発明に係るリアモニター装置において前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の前部席から後部席への移動方向と判定されたときに、前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置に回動させる構成とすることができる。
【0012】
このような構成によれば、移動判定手段により乗員が前部席から後部席への移動方向と判定されたときに、機構制御手段は、表示部回動機構により視聴位置にある表示部を収納位置に回動させるので、後部席に向かう乗員と同様に表示部も後部席側への回動となり、乗員と表示部との接触防止が図れることとなる。
【0013】
本発明に係るリアモニター装置において、前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の後部席から前部席への移動方向と判定されたときに、前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、移動判定手段により乗員が後部席から前部席への移動方向と判定されたときに、機構制御手段は、表示部回動機構により視聴位置にある表示部を収納位置と反対側の退避位置に回動させるので、前部席に向かう乗員と同様に表示部も前部席側への回動となり、乗員と表示部との接触防止が図れることとなる。
【0015】
本発明に係るリアモニター装置において、前記車両が複数列の後部席を有するときに、前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が、第1列目の後部席から第2列目の後部席への移動方向、又は第2列目の後部席から第1列目の後部席への移動方向と判定されたときに、前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、乗員の移動方向が、第1列目の後部席から第2列目の後部席への移動方向、又は第2列目の後部席から第1列目の後部席への移動方向のときに、視聴位置にある表示部を収納位置と反対側の退避位置に回動させるので、表示部は前部席側への回動となり、後部席側から離れた位置となるので、移動する乗員と表示部との接触を防止することができる。
【0017】
本発明に係るリアモニター装置において、前記移動判定手段により前記乗員の移動方向が前記車両の後部席における前記車両の幅方向の移動方向と判定されたときに、前記機構制御手段は、前記表示部回動機構により視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0018】
このような構成によれば、後部席の乗員が車両の幅方向の移動、すなわち横方向に移動すると判定されたときに、表示部を収納位置と反対側の退避位置に回動させるので、表示部は全部席側への回動となり、後部席側から離れた位置となるので、移動する乗員と表示部との接触を防止することができる。
【0019】
本発明に係るリアモニター装置において、前記移動判定手段により前記乗員の座席の移動が終了したと判定されたときに、前記機構制御手段は、前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させられた前記表示部を前記表示部回動機構により前記視聴位置に回動させる構成とすることができる。
【0020】
このような構成によれば、乗員の移動が終了したと判定されたときに、視聴位置から回動させられていた表示部をもとの視聴位置に回動させるので、視聴を続行することができる。
【0021】
また、本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法は、車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置の表示部の回動方法であって、前記車両に搭乗する乗員の着席の有無を検出する着座検出ステップと、該着座検出ステップの検出結果に基づいて前記乗員の車両内の移動方向を判定する移動判定ステップと、該移動判定ステップの判定結果による前記乗員の移動方向に対応して、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる回動制御ステップと、を有する構成である。
【0022】
本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法において、前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の前部席から後部席への移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置に回動させる構成とすることができる。
【0023】
本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法において、前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の後部席から前部席への移動方向と判定されたときに、
前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0024】
本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法において、前記車両が複数列の後部席を有するときに、前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が、第1列目の後部席から第2列目の後部席への移動方向、又は第2列目の後部席から第1列目の後部席への移動方向と判定されたときに、前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0025】
本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法において、前記移動判定ステップにより前記乗員の移動方向が前記車両の後部席における前記車両の幅方向の移動方向と判定されたときに、前記回動制御ステップは、前記視聴位置にある前記表示部を前記収納位置と反対側の退避位置に回動させる構成とすることができる。
【0026】
本発明に係るリアモニター装置の表示部の回動方法において、前記移動判定ステップにより前記乗員の座席の移動が終了したと判定されたときに、前記回動制御ステップは、前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させられた前記表示部を前記視聴位置に回動させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、リアモニター装置が天井部に設けられた車両内において乗員が座席の移動を行うときに、乗員の移動方向に対応してリアモニター装置の表示部を前記収納位置又は前記収納位置と反対側の退避位置に回動させるので、移動する乗員と表示部との接触防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るリアモニター装置を構成するブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るリアモニター装置の制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、本発明の実施の形態に係るリアモニター装置を搭載した車両の縦断面概略図である。
図3B図3Bは、本発明の実施の形態に係るリアモニター装置を搭載した車両の平面概略図である。
図4図4は、従来のリアモニター装置を搭載した車両の縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るリアモニター装置の構成を示すブロック図である。図1において、リアモニター装置11は、コンピュータユニット(例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oインターフェース、バス等)によって構成される処理ユニット12を有する。処理ユニット12には、車両10(図3A参照。以下、図3A図3Bを適宜参照する。)内部の天井部23の収納位置21aに設けられるパネル型ディスプレイの表示部13が接続されている。さらに、処理ユニット12には、表示部13を天井部23の収納位置21aと天井部23から垂下する視聴位置21bとに回動させる表示部回動機構15が、駆動回路16を介して接続されている。また、車両10の各座席への乗員の着席の有無を検出する着座センサー17(17a〜17g)が処理ユニット12に接続されている。加えて、処理ユニット12には、表示部13で表示する映像等の各種情報、リアモニター装置11を作動させる所定プログラム情報等を記憶する記憶部20(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)が接続されている。更に、リアモニター装置11は、テレビ番組を受信する受信部(不図示)が接続されている。
【0031】
表示部13は、上記したようにパネル型ディスプレイで、一方の表面がLCD等の表示画面13aであり、表示画面13aの裏側が背面部となる。表示部13は、矩形状の表示部13の一辺側を回動軸として表示部回動機構15により天井部23の収納位置21aと天井部23から垂下された状態の視聴位置21b、更に視聴位置から収納位置と反対側の退避位置21c(鎖線で示す)に回動可能に設けられている。表示部13は、表示画面13aを上に背面部を下に向けた状態で収納位置に収納され、視聴時には表示画面13aを車両の後部席26の乗員に向けた視聴位置21bに回動するように設けられている。
【0032】
表示部回動機構15は、回動軸、駆動モーター、各種ギア及びクラッチ等を備えた駆動機構であり、駆動回路16を通じて処理ユニット12により回動が制御される。着座センサー17(17a〜17g)は、座席の座部等に設けた、感圧センサーであり、座席に着座する乗員の有無を検出することができ、処理ユニット12は乗員の車内の移動方向(移動先)を判定することができる。例えば、助手席の着座センサー17bにより乗員の立ち上がりと、後部席の着座センサー17c〜17gにより後部席26の空席を検出すると、処理ユニット12は助手席から後部席への移動の判定ができる。逆に、後部席26の着座センサー17c〜17gにより乗員の立ち上がりと、助手席の着座センサー17bにより助手席の空席を検出すると、処理ユニット12は後部性から助手席への移動の判定をすることができる。
【0033】
上記した構成のリアモニター装置11では、処理ユニット12は図2に示すような手順にて処理を行う。なお、処理手順の説明に際しては、リアモニター装置11を搭載した車両10の縦断面概略図の図3A、横断面概略図の図3Bを適宜参照して説明する。
【0034】
図2図3A及び図3Bにおいて、リモコン機器等(不図示)の操作部からの操作により、リアモニター装置11による視聴が作動開始となると、処理ユニット12(機構制御手段)は、駆動回路16を通じて表示部回動機構15により、車両10の天井部23の収納位置21aにある表示部13を視聴位置21bに回動させ、後部席26に表示画面13aを向けて映像を表示させる(S11:機構制御手段)。
【0035】
処理ユニット12は、視聴位置21bに回動された表示部13に映像を表示中、前部席25、後部席26(26a、26b)の乗員の離席の有無を着座センサー17(17a〜17g)により検出する(S12)。処理ユニット12は、離席を検出したときに、表示部13の回動操作が必要であるか否かを判定する(S13)。例えば、後部席第2列目26bの座席Eの離席を検出しても、空席が同じく後部席第2列目の座席F、座席Gのみであるときは、後部座席第2列目26bの座席間での移動方向であるため、表示部13との接触のおそれがなく、この場合は表示部13を回動させる必要なしとする。処理ユニット12は、表示部13の回動を要しないと判定したときは(S13のNO)、繰り返し着座センサー17により離席の有無を検出する(S12)。
【0036】
処理ユニット12は、離席の検出後に表示部13を回動させる必要があると判定したときは(S13のYES)、離席による乗員の移動方向を判定する(S14:移動判定手段)。具体的には、前部席25から後部席26(後部席第1列目26a、後部席第2列目26b)への移動(方向)であるか否かを判定する。処理ユニット12は、前部席25の座席B(助手席)の乗員の立ち上がりを着座センサー17bにより検出した時に、後部座席26の座席C〜Gに1以上の空席があったときは、処理ユニット12は前部席25から後部席26への移動(方向)であると判定する(S14のYES:移動判定手段)。
【0037】
処理ユニット12は、乗員の座席移動が前部席25から後部席26への移動(方向)であると判定したときは(S14のYES:移動判定手段)、駆動回路16を通じて表示部回動機構15(表示部回動機構)により、表示部13を視聴位置21bから天井部23の収納位置21aへ回動させる(S15:機構制御手段)。図3A図3Bに示すように、乗員が前部席25の座席Bから後部席26の座席C〜座席Gの何れかに移動する際に、表示部13が視聴位置21bから天井部23の収納位置21aに回動するので後部席側に向けての回動となり、移動する乗員の頭部等と表示部13との衝突・接触の防止を図ることができる。
【0038】
一方、処理ユニット12は、前部席25から後部席26への移動方向ではないと判定したとき(S14のNO:移動判定手段)、すなわち(1)後部席26(後部席第1列目26a、後部席第2列目26b)から前部席25への移動、(2)後部席第1列目26a(座席C、D)と後部席第2列目26b(座席E〜座席G)間の移動、(3)後部席第1列目26aの座席Cと座席D間の移動、の場合には、前部席25から後部席26への移動方向ではないと判定して、視聴位置21bにある表示部13を収納位置21aとは反対側の退避位置21cへと回動させる(S16:機構制御手段)。図3A図3Bに示すように、乗員の上記移動(1)〜(3)の場合に、表示部13が視聴位置21bから前部席25側の退避位置に回動するので、移動する乗員の頭部等と表示部13との衝突・接触の防止を図ることができる。
【0039】
処理ユニット12は、着座センサー17(17a〜17g)による乗員の着席の有無検出し、乗員の座席移動が終了したか否かを判定する(S17)。処理ユニット12は、乗員の座席移動が終了したと判定したときは(S17のYES)、移動する乗員との衝突・接触の防止のために収納位置21a又は退避位置21cに回動させていた表示部13をもとの視聴位置21bに回動させる(S18:機構制御手段)。これにより、後部席26(座席C〜G)の乗員は表示部13の表示画面13aに表示される映像を継続して視聴することができる。処理ユニット12は、表示部13が視聴位置21bにあるときは、着座センサー17(17a〜17g)を通じて乗員の離席等の有無を検出する一連の動作を継続する(S12〜S18)。リモコン等の操作部への操作で、表示部13による映像の視聴を終了したときは、処理ユニット12は、表示部13を収納位置21aへ回動して収納する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、車両10内の乗員の移動方向(前部席から後部席、後部席から前部席への移動等)に対応して、リアモニター装置11の表示部13を視聴位置から収納位置、又は視聴位置から収納位置と反対の退避位置へ回動させるので、移動する乗員と表示部13との衝突・接触の防止を有効に図ることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、車両10の座席が3列の場合で説明したが、これに限定するものではない。前部席と後部席の2列の場合、更には後部席が3列以上の場合であっても良い。車両10の乗員の移動があった場合に、乗員の移動方向と対向する(向き合う)方向に表示部13が移動しないようにすることで、移動する乗員と表示部13との衝突・接触の防止を有効に図ることができる。また、着座センサー17(17a〜17g)により乗員の離席等の検出を行っているが、シートベルトの装着の有無を検出することにより離席等の検出を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上、説明したように、本発明に係るリアモニター装置は、乗員が座席の移動を行うときに、乗員の移動方向に対応してリアモニター装置の表示部を収納位置又は収納位置と反対側の退避位置に回動させるので、移動する乗員と表示部との接触防止を図ることができるという効果を奏するので、車両内の天井部に設けられ、前記天井部の収納位置と前記天井部から垂下された後部席乗員の視聴位置とに回動させる表示部を備えたリアモニター装置として有用である。
【符号の説明】
【0043】
10 車両
11 リアモニター装置
12 処理ユニット
13 表示部
13a 表示画面
15 表示部回動機構
16 駆動回路
17(17a〜17g) 着座センサー
20 記憶部
21a 収納位置
21b 視聴位置
21c 退避位置
23 天井部
25 前部席
26 後部席
26a 後部席第1列目
26b 後部席第2列目
図1
図2
図3A
図3B
図4