特開2017-222466(P2017-222466A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222466(P2017-222466A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】コンベヤシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20171124BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20171124BHJP
   B65G 13/11 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   B65G47/30 C
   B65G47/30 M
   B65G47/244
   B65G13/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-118747(P2016-118747)
(22)【出願日】2016年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】速水 義之
(72)【発明者】
【氏名】貝沼 博之
【テーマコード(参考)】
3F033
3F081
【Fターム(参考)】
3F033BA03
3F033BB05
3F033BB12
3F033BC02
3F081AA01
3F081BC01
3F081BD15
3F081BE04
3F081CA35
3F081CC12
(57)【要約】

【課題】 荷物の向きを一定に揃えるコンベヤシステムを提供する。
【構成】 コンベヤシステムは、上流側に荷物の向きを鉛直軸回りに回転させる傾動コンベヤを備え、下流側に荷物の長辺方向を搬送方向に揃える方向転換コンベヤを備えている。方向転換コンベヤは、搬送方向が互いに交わる左右一対のローラ列から成り、かつ左右のローラ列は搬送速度が等しい。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を搬送するコンベヤシステムであって、
荷物の向きを鉛直軸回りに回転させる傾動コンベヤと、
前記傾動コンベヤの下流側に位置する、荷物の長辺方向を搬送方向に揃える方向転換コンベヤとを備え、
前記方向転換コンベヤは左右一対のローラ列から成り、前記ローラ列間の中心線よりも左側のローラ列は搬送方向が中心線よりも右側へ鋭角に傾斜し、前記ローラ列間の中心線よりも右側のローラ列は搬送方向が中心線よりも左側へ鋭角に傾斜し、かつ左右のローラ列は搬送速度が等しくなるように構成されている、ことを特徴とする、コンベヤシステム。
【請求項2】
前記傾動コンベヤは、前記中心線に水平面内で直角な方向から、軸方向が傾斜している1本〜複数本のローラから成ることを特徴とする、請求項1のコンベヤシステム。
【請求項3】
前記傾動コンベヤは、直径が軸方向に沿って変化する1本〜複数本のテーパーローラから成ることを特徴とする、請求項1のコンベヤシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷物の向きを揃えるコンベヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤ上で荷物を回転させるために、コンベヤの搬送方向中心線の左右で、搬送方向を異ならせると共に、搬送速度を異ならせることが知られている(特許文献1 JPH11-79369A)。例えば、左半分のローラ列は搬送方向を中心線の右側へ傾斜させ、搬送速度を高速にし、右半分のローラ列は搬送方向を左側へ傾斜させ、搬送速度を低速にする。すると搬送方向がコンベヤの中心線側を向いているので荷物は左右のローラ列の境界から抜け出ることがなく、また荷物は左右のローラ列の速度差により回転する。
【0003】
特許文献1のコンベヤは荷物を回転させるが、向きを一定に揃えることはない。これに対して、荷物の向きを一定に揃えて、その後の扱いを簡単にすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】JPH11-79369A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、荷物の向きを一定に揃えるコンベヤシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、荷物を搬送するコンベヤシステムであって、
荷物の向きを鉛直軸回りに回転させる傾動コンベヤと、
前記傾動コンベヤの下流側に位置する、荷物の長辺方向を搬送方向に揃える方向転換コンベヤとを備え、
前記方向転換コンベヤは左右一対のローラ列から成り、前記ローラ列間の中心線よりも左側のローラ列は搬送方向が中心線よりも右側へ鋭角に傾斜し、前記ローラ列間の中心線よりも右側のローラ列は搬送方向が中心線よりも左側へ鋭角に傾斜し、かつ左右のローラ列は搬送速度が等しくなるように構成されていることを特徴とする。なおここで、搬送速度が等しいとは、正確に等しいことではなく、略等しいことを意味し、例えば左右のローラ列間で搬送速度が5%程度以下異なっていても良い。
【0007】
この発明での、方向転換コンベヤでの荷物の方向転換メカニズムを図4に例示する。荷物20中のエリア21,22では反時計回りに回転させる力のモーメントがローラ列7等から荷物に作用し、エリア23では時計回りの力のモーメントがローラ列8から作用する。エリア21,22の合計面積はエリア23よりも広く、エリア21での力Flと荷物の中心Cとの距離a等は、エリア23での力Frと荷物の中心Cとの距離b等よりも長い。このため、荷物20には全体として反時計回りの力のモーメントが作用し、荷物20は長辺方向がローラ列間の中心線(方向転換コンベヤの搬送方向)と一致する状態が安定となる。なお荷物20は、短辺方向が中心線と一致する状態は準安定状態で、準安定状態のまま荷物20が方向転換コンベヤに入ると、荷物の方向(荷物の向き)が揃わないことがある。そこで、上流側の傾動コンベヤにより、荷物の向きを回転させて、準安定状態から外れた状態で、下流側の方向転換コンベヤに入るようにする。以上のようにしてこの発明では、荷物の長辺方向が搬送方向を向くように、荷物の向きを揃えることができる。
【0008】
この発明では、方向転換コンベヤでの左右のローラ列の速度差を利用しない。そして方向転換コンベヤが長すぎる場合でも、荷物は長辺方向が中心線を向いている状態で安定する。このため、荷物が所望の向きを向くまで回転した時に、荷物が方向転換コンベヤから出るように、方向転換コンベヤの長さを定める必要がない。言い換えると、サイズが一定でない荷物でも、長辺方向が搬送方向を向くように、向きを揃えることができる。また左右のローラ列は搬送速度を略等しくすれば良いので、制御が簡単である。
【0009】
好ましくは、前記傾動コンベヤは、前記中心線に水平面内で直角な方向から、軸方向が傾斜している1本〜複数本のローラから成る。軸方向が中心線に水平面間で直角な方向から傾斜したローラコンベヤを用いると、簡単に荷物の向きを鉛直軸回りに回転させることができる。
【0010】
また好ましくは、前記傾動コンベヤは、直径が軸方向に沿って変化する1本〜複数本のテーパーローラから成る。テーパーローラにより力のモーメントが作用して、荷物は鉛直軸回りに回転する。テーパーローラの軸方向は前記中心線に平面視で直角な方向でも良いが、ローラの径が大きい側を中心線の下流側に、径が小さい側を中心線の上流側に配置するように、テーパーローラの軸方向を定めると、軸の傾斜による力と、テーパーによる力のモーメントの双方で、荷物を鉛直軸回りに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例のコンベヤシステムの平面図
図2】変形例のコンベヤシステムの平面図
図3】変形例でのテーパーローラの正面図
図4】実施例での荷物の方向転換作用を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0013】
図1図4に、コンベヤシステムの実施例と変形例とを示す。図1において、実施例のコンベヤシステム2の上流側に他のコンベヤ3が接続され、コンベヤ3はコンベヤシステム2の一部ではない。荷物20は段ボール等で、短辺方向と長辺方向とがある荷物であれば良く、例えば直方体状である。荷物20の搬送方向を白抜きの矢印で示し、荷物20は、上流側のコンベヤ3から、例えば短辺方向が搬送方向と平行に、コンベヤシステム2へ送り込まれる。
【0014】
コンベヤシステム2は、上流側に傾動コンベヤ4を、下流側に方向転換コンベヤ10を備えている。傾動コンベヤ4は、荷物20を鉛直軸回りに回転させて荷物20の向き(姿勢)を傾け、方向転換コンベヤ10は、荷物20の長辺方向が搬送方向と一致するように、荷物20の向きを転換し、向かい合った1対のローラ列7,8から成る。
【0015】
傾動コンベヤ4は、実施例では1本の駆動ローラから成り、搬送方向が上流側のコンベヤ3の搬送方向からも、下流側の方向転換コンベヤ10の搬送方向からも傾いている。なお複数本の駆動ローラにより傾動コンベヤを構成しても良く、また傾動コンベヤのローラは従動ローラでも良い。さらに図1に鎖線で示すボールローラ9などの、荷物20を支持するフリーローラを追加しても良い。
【0016】
傾動コンベヤ4は、荷物20を鉛直軸回りに回転させて、荷物20の搬送方向を方向転換コンベヤ10での搬送方向から傾ける物であれば良い。なお方向転換コンベヤ10の搬送方向は、左右のローラ列7,8間の中心線15に沿って、上流から下流への向きである。
【0017】
図2図3に示す変形例のコンベヤシステム2'のように、1本〜複数本のテーパーローラにより傾動コンベヤ4'を構成しても良い。傾動コンベヤ4'ではローラのテーパーのため、搬送方向の左右で不均等な力が荷物20に作用し、この結果、荷物20は鉛直軸回りに回転する。傾動コンベヤ4'は軸受14により支持し、傾動コンベヤ4'の搬送面(テーパーローラの最上部への接平面)は例えば水平であるが、水平から傾いていても良い。
【0018】
なお図2図3では、テーパーローラの軸方向16を、テーパーローラの軸の径が大きい側が搬送方向下流側、小さい側が上流側となるように、傾斜させている。このようにすると、テーパーローラの径の差による速度差と、軸方向16をコンベヤ3のでのローラの軸方向17から傾けたこととの双方により、効率的に荷物20を鉛直軸回りに回転させることができる。しかし平面視での軸方向16を上流側のコンベヤ3でのローラの軸方向17と平行に、即ち、中心線15と直角にしても良い。
【0019】
図1に戻り、方向転換コンベヤ10の搬送方向に水平面内で直角な方向を幅方向と呼び、ローラ列7,8の中心線(方向転換コンベヤ10の搬送方向)15上の位置を幅方向の中心と呼ぶ。ローラ列7は複数のローラ5の列で、ローラ5は、中心線15側が搬送方向の上流側に、反対の端部側が下流側に位置するように、傾斜している。ローラ列8は複数のローラ6の列で、ローラ6も中心線15側が搬送方向上流側に、反対の端部側が下流側に位置するように傾斜している。そしてローラ列7では、搬送方向が中心線15から角度θだけ方向転換コンベヤ10の中心側へ傾き、ローラ列8では、搬送方向が中心線15から角度−θだけ方向転換コンベヤ10の中心側へ傾いている。角度θは鋭角で、例えば10°以上45°以下が好ましく、特に15°以上30°以下が好ましい。
【0020】
ローラ列7,8は中心線15に関して対称で、搬送速度も同一である。ただし、ローラ列7を駆動するモータ11と、ローラ列8を駆動するモータ12との機差などにより、搬送速度が例えば5%以下、好ましくは3%以下、異なっていても良い。またローラ列7,8を同一のモータにより駆動しても良い。実施例では、傾動コンベヤ4をローラ列7のモータ11で駆動したが、傾動コンベヤ4,4'を専用のモータで駆動しても良い。
【0021】
方向転換コンベヤ10は、荷物20の方向を、搬送方向が荷物20の長辺方向と一致するように転換する。この機構を、発明者は図4のように推定する。荷物20は、ローラ列7から力を受けるエリア21と、ローラ列8から力を受けるエリア22,23に別れる。そしてエリア21とエリア22での力は、荷物20を鉛直軸回りに反時計方向に回転させる力のモーメントを生じ、エリア23での力は時計方向に回転させる力のモーメントを生じる。
【0022】
荷物20の短辺25の方向に作用する力をFl、長辺26の方向に作用する力をFrとすると、荷物20の中心Cからの距離は力Flでは例えばaと大きく、力Frで例えばbと小さい。さらにエリア22の力によるモーメントは、エリア23の力によるモーメントを打ち消す。これらのため、図4の場合、荷物20には反時計回りに回転する力のモーメントが加わり、荷物20は長辺方向が搬送方向に一致するように回転する。
【0023】
発明者は、試作したコンベヤシステム2により、以下のことを確認した。直方体状の荷物20は、方向転換コンベヤ10上では長辺方向が搬送方向と一致する場合が安定、短辺方向が搬送方向と一致する場合が準安定である。そして荷物20が短辺方向が搬送方向と一致するように方向転換コンベヤ10に入ると、準安定な姿勢のままで搬送されることがある。ここで、方向転換コンベヤ10の上流側に傾動コンベヤ4,4'を設け、荷物20の向きを準安定状態から傾けると、荷物20は長辺方向が搬送方向と一致するように方向を転換する。
【0024】
なお従来のコンベヤシステムでは、ローラ列7とローラ列8とで搬送速度を異ならせることにより、荷物を回転させる。このためローラ列7,8の長さ、あるいはローラ列7,8の速度差をを荷物20のサイズに応じて定めないと、荷物20は回転を続けて、姿勢が揃わなくなる。これに対して、実施例では、方向転換コンベヤ10が長すぎても、荷物20は安定状態の姿勢を保つだけである。
【0025】
方向転換コンベヤ10の長さは例えば荷物20の長辺方向の長さの1倍以上が好ましく、長すぎると非効率なことと、確実に方向転換を行うこととのため、方向転換コンベヤ10の長さは荷物20の長辺方向の長さの2倍以上6倍以下が好ましい。
【0026】
なお荷物20の短辺方向を搬送方向に揃える場合、実施例のコンベヤシステム2の下流側で搬送方向を直角に転換すればよい。傾動コンベヤ4,4'と方向転換コンベヤ10との間には中間の要素を設けず、これらのコンベヤを直結することが好ましいが、中間の要素、例えば荷物1個分のバッファコンベヤ、を設けても良い。
【符号の説明】
【0027】
2,2' コンベヤシステム
3 コンベヤ
4,4' 傾動コンベヤ
5,6 ローラ
7,8 ローラ列
9 ボールローラ
10 方向転換コンベヤ
11,12 モータ
14 軸受
15 中心線
20 荷物
21〜23 エリア
25 短辺
26 長辺

Fl,Fr 力
a,b 荷物の中心からの距離
図1
図2
図3
図4