【実施例】
【0013】
図1〜
図4に、コンベヤシステムの実施例と変形例とを示す。
図1において、実施例のコンベヤシステム2の上流側に他のコンベヤ3が接続され、コンベヤ3はコンベヤシステム2の一部ではない。荷物20は段ボール等で、短辺方向と長辺方向とがある荷物であれば良く、例えば直方体状である。荷物20の搬送方向を白抜きの矢印で示し、荷物20は、上流側のコンベヤ3から、例えば短辺方向が搬送方向と平行に、コンベヤシステム2へ送り込まれる。
【0014】
コンベヤシステム2は、上流側に傾動コンベヤ4を、下流側に方向転換コンベヤ10を備えている。傾動コンベヤ4は、荷物20を鉛直軸回りに回転させて荷物20の向き(姿勢)を傾け、方向転換コンベヤ10は、荷物20の長辺方向が搬送方向と一致するように、荷物20の向きを転換し、向かい合った1対のローラ列7,8から成る。
【0015】
傾動コンベヤ4は、実施例では1本の駆動ローラから成り、搬送方向が上流側のコンベヤ3の搬送方向からも、下流側の方向転換コンベヤ10の搬送方向からも傾いている。なお複数本の駆動ローラにより傾動コンベヤを構成しても良く、また傾動コンベヤのローラは従動ローラでも良い。さらに
図1に鎖線で示すボールローラ9などの、荷物20を支持するフリーローラを追加しても良い。
【0016】
傾動コンベヤ4は、荷物20を鉛直軸回りに回転させて、荷物20の搬送方向を方向転換コンベヤ10での搬送方向から傾ける物であれば良い。なお方向転換コンベヤ10の搬送方向は、左右のローラ列7,8間の中心線15に沿って、上流から下流への向きである。
【0017】
図2,
図3に示す変形例のコンベヤシステム2'のように、1本〜複数本のテーパーローラにより傾動コンベヤ4'を構成しても良い。傾動コンベヤ4'ではローラのテーパーのため、搬送方向の左右で不均等な力が荷物20に作用し、この結果、荷物20は鉛直軸回りに回転する。傾動コンベヤ4'は軸受14により支持し、傾動コンベヤ4'の搬送面(テーパーローラの最上部への接平面)は例えば水平であるが、水平から傾いていても良い。
【0018】
なお
図2,
図3では、テーパーローラの軸方向16を、テーパーローラの軸の径が大きい側が搬送方向下流側、小さい側が上流側となるように、傾斜させている。このようにすると、テーパーローラの径の差による速度差と、軸方向16をコンベヤ3のでのローラの軸方向17から傾けたこととの双方により、効率的に荷物20を鉛直軸回りに回転させることができる。しかし平面視での軸方向16を上流側のコンベヤ3でのローラの軸方向17と平行に、即ち、中心線15と直角にしても良い。
【0019】
図1に戻り、方向転換コンベヤ10の搬送方向に水平面内で直角な方向を幅方向と呼び、ローラ列7,8の中心線(方向転換コンベヤ10の搬送方向)15上の位置を幅方向の中心と呼ぶ。ローラ列7は複数のローラ5の列で、ローラ5は、中心線15側が搬送方向の上流側に、反対の端部側が下流側に位置するように、傾斜している。ローラ列8は複数のローラ6の列で、ローラ6も中心線15側が搬送方向上流側に、反対の端部側が下流側に位置するように傾斜している。そしてローラ列7では、搬送方向が中心線15から角度θだけ方向転換コンベヤ10の中心側へ傾き、ローラ列8では、搬送方向が中心線15から角度−θだけ方向転換コンベヤ10の中心側へ傾いている。角度θは鋭角で、例えば10°以上45°以下が好ましく、特に15°以上30°以下が好ましい。
【0020】
ローラ列7,8は中心線15に関して対称で、搬送速度も同一である。ただし、ローラ列7を駆動するモータ11と、ローラ列8を駆動するモータ12との機差などにより、搬送速度が例えば5%以下、好ましくは3%以下、異なっていても良い。またローラ列7,8を同一のモータにより駆動しても良い。実施例では、傾動コンベヤ4をローラ列7のモータ11で駆動したが、傾動コンベヤ4,4'を専用のモータで駆動しても良い。
【0021】
方向転換コンベヤ10は、荷物20の方向を、搬送方向が荷物20の長辺方向と一致するように転換する。この機構を、発明者は
図4のように推定する。荷物20は、ローラ列7から力を受けるエリア21と、ローラ列8から力を受けるエリア22,23に別れる。そしてエリア21とエリア22での力は、荷物20を鉛直軸回りに反時計方向に回転させる力のモーメントを生じ、エリア23での力は時計方向に回転させる力のモーメントを生じる。
【0022】
荷物20の短辺25の方向に作用する力をFl、長辺26の方向に作用する力をFrとすると、荷物20の中心Cからの距離は力Flでは例えばaと大きく、力Frで例えばbと小さい。さらにエリア22の力によるモーメントは、エリア23の力によるモーメントを打ち消す。これらのため、
図4の場合、荷物20には反時計回りに回転する力のモーメントが加わり、荷物20は長辺方向が搬送方向に一致するように回転する。
【0023】
発明者は、試作したコンベヤシステム2により、以下のことを確認した。直方体状の荷物20は、方向転換コンベヤ10上では長辺方向が搬送方向と一致する場合が安定、短辺方向が搬送方向と一致する場合が準安定である。そして荷物20が短辺方向が搬送方向と一致するように方向転換コンベヤ10に入ると、準安定な姿勢のままで搬送されることがある。ここで、方向転換コンベヤ10の上流側に傾動コンベヤ4,4'を設け、荷物20の向きを準安定状態から傾けると、荷物20は長辺方向が搬送方向と一致するように方向を転換する。
【0024】
なお従来のコンベヤシステムでは、ローラ列7とローラ列8とで搬送速度を異ならせることにより、荷物を回転させる。このためローラ列7,8の長さ、あるいはローラ列7,8の速度差をを荷物20のサイズに応じて定めないと、荷物20は回転を続けて、姿勢が揃わなくなる。これに対して、実施例では、方向転換コンベヤ10が長すぎても、荷物20は安定状態の姿勢を保つだけである。
【0025】
方向転換コンベヤ10の長さは例えば荷物20の長辺方向の長さの1倍以上が好ましく、長すぎると非効率なことと、確実に方向転換を行うこととのため、方向転換コンベヤ10の長さは荷物20の長辺方向の長さの2倍以上6倍以下が好ましい。
【0026】
なお荷物20の短辺方向を搬送方向に揃える場合、実施例のコンベヤシステム2の下流側で搬送方向を直角に転換すればよい。傾動コンベヤ4,4'と方向転換コンベヤ10との間には中間の要素を設けず、これらのコンベヤを直結することが好ましいが、中間の要素、例えば荷物1個分のバッファコンベヤ、を設けても良い。