特開2017-222583(P2017-222583A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222583(P2017-222583A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】歯磨組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20171124BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20171124BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q11/00
   A61K8/19
   A61K8/26
   A61K8/27
   A61K8/362
   A61K8/365
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-117559(P2016-117559)
(22)【出願日】2016年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】田島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大山 勤
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB331
4C083AB342
4C083AB351
4C083AB352
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC902
4C083AD072
4C083AD212
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD281
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD532
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE07
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】カテキン類由来の変色をより効率的かつ効果的に抑制することのできる歯磨組成物に関する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)、及び(D);
(A)カテキン類 0.01質量%以上0.1質量%以下、
(B)カルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属の水溶性塩 0.05質量%以上1質量%以下、
(C)リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の酸化合物 酸換算量で0.03質量%以上0.5質量%以下、及び
(D)水 10質量%以上40質量%以下
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.01以上1以下であり、成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))が0.05以上1以下であり、かつ25℃におけるpHが3.5以上6.5以下である歯磨組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、及び(D);
(A)カテキン類 0.01質量%以上0.1質量%以下、
(B)カルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属の水溶性塩 0.05質量%以上1質量%以下、
(C)リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の酸化合物 酸換算量で0.03質量%以上0.5質量%以下、及び
(D)水 10質量%以上40質量%以下
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.01以上1以下であり、成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))が0.05以上1以下であり、かつ25℃におけるpHが3.5以上6.5以下である歯磨組成物。
【請求項2】
成分(B)が、硫酸塩、塩化物、グルコン酸塩、及び乳酸塩から選ばれる1種又は2種以上の水溶性塩である請求項1に記載の歯磨組成物。
【請求項3】
成分(C)よりも高いキレート作用を有する酸化合物の含有量が、酸換算量で0.03質量%以下である請求項1又は2に記載の歯磨組成物。
【請求項4】
カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、及びヒドロキシアルキルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤を0.1質量%以上1.5質量%以下含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【請求項5】
成分(B)の20℃における水100mLに対する溶解度が、1g/100mL以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯磨組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶抽出物及びその成分であるカテキン類は、抗菌作用や抗酸化作用等、有効成分として様々な作用をもたらすことで知られており、口腔内に適用するための種々の組成物に用いられている。例えば、特許文献1には、ゼラチンとカテキン等のポリフェノールと乳酸カルシウム等の多価塩類等を配合したゴム状組成物が開示されており、良好な噛み心地等をもたらしつつ、多価塩類によってポリフェノール特有の収斂性の低減を図っている。
【0003】
一方、こうしたカテキン類は、酸素に触れることによって酸化、重合が起こり、顕著に変色するため、これを配合した組成物自体の変色を引き起こすことでも知られ、種々の対応策も試みられている。例えば、特許文献2には、カテキン類を含有させた水不溶性複合体とともに、アルギン酸及びその塩等の化合物と、乳酸カルシウム等の金属塩を含むハイドロゲル粒子を含有させた歯磨組成物が開示されており、上記アルギン酸及びその塩等の化合物と金属塩とを安定化剤として機能させ、カテキン類を含有する複合体を安定にハイドロゲル粒子内に封じ込めることによって、組成物の変色度を低めている。
【0004】
また、特許文献3には、カテキン類と、これと複合体を形成するポリビニルピロリドン等のポリマー、リンゴ酸やフィチン酸等の酸又はその塩、及び水を含有する歯磨き組成物が開示されており、カテキン類が上記ポリマーとともに水不溶性の複合体を形成することによって安定化され、組成物の変色を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−89579号公報
【特許文献2】国際公開第2011/067924号
【特許文献3】特開2009−196986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カテキン類を含有する歯磨組成物において、カテキン類由来の不要な着色を抑制しようとするにあたり、上記特許文献2及び3は、カテキン類を水不溶性の複合体を形成することによりハイドロゲル粒子内に封じ込めるに止まり、カテキン類の着色抑制の観点からは、さらなる検討が必要とされている。また、これらの文献に開示されるように、仮にカテキン類をハイドロゲル粒子内に封じこめたとしても、かかる粒子の外周面では、歯磨組成物の基材とカテキン類が接触することになり、ハイドロゲル粒子や水不溶性複合体の有無によらず、カテキン類の着色をさらに抑制する検討が必要とされている。
【0007】
したがって、本発明は、カテキン類由来の不要な着色又は変色をより効率的かつ効果的に抑制することのできる歯磨組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは、種々検討したところ、カテキン類、特定の金属の水溶性塩、特定の酸化合物及び水を各々特定量で含有しつつ、特定の質量比、及び特定のpHを有することにより、金属イオンをカテキン類へ直接作用させて、カテキン類由来の不要な着色又は変色を効果的に抑制することのできる歯磨組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、及び(D);
(A)カテキン類 0.01質量%以上0.1質量%以下、
(B)カルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属の水溶性塩 0.05質量%以上1質量%以下、
(C)リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の酸化合物 酸換算量で0.03質量%以上0.5質量%以下、及び
(D)水 10質量%以上40質量%以下
を含有し、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.01以上1以下であり、成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))が0.05以上1以下であり、かつ25℃におけるpHが3.5以上6.5以下である歯磨組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の歯磨組成物によれば、金属イオンをカテキン類へ直接作用させて、カテキン類の好適な発色を確保しつつ、組成物の不要な着色をより効率的かつ効果的に抑制することができる。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯磨組成物は、成分(A)として、カテキン類を0.01質量%以上0.1質量%以下含有する。かかる成分(A)としては、非重合性カテキン類であって、例えばカテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類;エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類等が挙げられ、これらは茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された緑茶抽出物を濃縮、精製等を行うことによって得ることができる。また、市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」等の緑茶抽出物の濃縮物を用い、成分調整を行うことによっても、成分(A)を得ることができる。
【0012】
成分(A)の含有量は、口腔内においてカテキン類による抗菌作用や抗酸化作用等を充分に発揮させる観点から、本発明の歯磨組成物中に、0.01質量%以上であって、好ましくは0.02質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上である。また、成分(A)の含有量は、組成物の着色抑制効果を有効に発揮させる観点、及び良好な風味を保持する観点から、本発明の歯磨組成物中に、0.1質量%以下であって、好ましくは0.09質量%以下であり、より好ましくは0.08質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、0.01質量%以上0.1質量%以下であって、好ましくは0.02〜0.09質量%であり、より好ましくは0.03〜0.08質量%である。
【0013】
ここで、成分(A)は、予めポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース等の水溶性ポリマーとともに複合体を形成させ、さらに寒天等のゲル形成剤を配合してハイドロゲル粒子(含水膨潤体)を形成させることにより、かかるハイドロゲル粒子内に成分(A)を包含させてもよい。この場合、かかるハイドロゲル粒子内に含まれる成分(A)が、歯磨組成物中で上記含有量となるように、ハイドロゲル粒子中の含有量とハイドロゲル粒子の歯磨組成物への含有量を調製する。かかるハイドロゲル粒子は、上記のポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、及び寒天等のゲル形成剤とともにイオン交換水と混合し、この混合液をゲル形成剤の溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させる。ここにカテキン類を好ましくはイオン交換水と混合させた水溶液を添加し、混合した後、一般的な滴下法、噴霧法、或いは撹拌法等により、ゲル形成剤の溶解温度より低い温度に冷却して固化させたハイドロゲル粒子を得ることができる。ハイドロゲル粒子を製造後、後述するその他の成分と混合して、本発明の歯磨組成物を得ることができる。
【0014】
ハイドロゲル粒子の平均粒径は、歯肉溝への送達性の観点から、好ましくは50〜400μmであり、より好ましくは75〜350μmであり、さらに好ましくは75〜200μmである。本発明の歯磨組成物であれば、粒子径の小さいハイドロゲル粒子であって、その表面積が大きい場合であっても、カテキン類の着色を効果的に抑制することができるため、平均粒径が75〜150μmのハイドロゲル粒子を含有する場合であっても着色を抑制することができる。
なお、ハイドロゲル粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定することが可能であり、レーザー回折散乱法による体積平均粒径の値(体積粒度分布の中央値)とすることができる。
【0015】
本発明の歯磨組成物は、成分(B)として、カルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属の水溶性塩を0.05質量%以上1質量%以下含有する。かかる成分(B)を含有することにより、後述する成分(C)とも相まって、組成物中にカルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを有効に放出させ、これを成分(A)に直接作用させることによって、カテキン類由来の着色を効果的に抑制することができる。また、これらの金属の水溶性塩であれば、金属特有の発色によってカテキン類の好適な発色が損なわれることを抑制することができる。
【0016】
成分(B)の20℃における水100mLに対する溶解度は、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属イオンを組成物中に有効に放出させて、着色抑制効果を充分に発揮させる観点から、好ましくは1g/100mL以上であり、より好ましくは2g/100mL以上であり、好ましくは100g/100mL以下であり、より好ましくは80g/100mL以下である。
【0017】
成分(B)の水溶性塩としては、具体的には、例えば硫酸塩、塩化物、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、及び乳酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、金属イオンを組成物中に有効に放出させる観点、及び取扱い性や入手容易性等の観点から、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、硫酸塩が好ましく、グルコン酸塩がより好ましい。また、成分(B)を構成する金属としては、カルシウム、亜鉛、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上であって、カルシウム及び亜鉛が好ましく、風味の観点から、カルシウム塩が好ましい。また、口腔内に適用する観点から、グルコン酸塩、硫酸アルミニウム、及びグリセロリン酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0018】
成分(B)の含有量は、上記金属イオンを組成物中に有効に放出させて、着色抑制効果を充分に発揮させる観点から、本発明の歯磨組成物中に、0.05質量%以上であって、好ましくは0.08質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、高い着色抑制効果を保持しつつ、良好な風味を確保する観点から、本発明の歯磨組成物中に、1質量%以下であって、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、0.05質量%以上1質量%以下であって、好ましくは0.08〜0.9質量%であり、より好ましくは0.1〜0.8質量%である。
【0019】
また、本発明の歯磨組成物中に存在するカルシウム、亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウムから選ばれる1種又は2種以上の金属のイオン量は、着色抑制効果を充分に発揮させる観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.02〜10mmolであり、より好ましくは0.06〜8であり、さらに好ましくは0.08〜6である。
【0020】
成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、口腔内において成分(A)による抗菌作用や抗酸化作用等を充分に発揮させつつ、高い着色抑制効果を充分に確保する観点から、0.01以上であって、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.05以上である。成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、着色抑制効果を効率的かつ効果的に発揮させる観点から、1以下であって、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。そして、成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、0.01以上1以下であって、好ましくは0.02〜0.8であり、より好ましくは0.03〜0.5であり、さらに好ましくは0.05〜0.3である。
【0021】
本発明の歯磨組成物は、成分(C)として、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上の酸化合物を酸換算量で0.03質量%以上0.5質量%以下含有する。かかる成分(C)は、上記成分(B)より放出されるカルシウム、亜鉛、又はアルミニウムなる金属イオンに対してキレート作用が低いため、成分(A)に直接作用して着色抑制効果を発揮する金属イオン量を充分に確保するのに寄与することができ、また後述するように、組成物のpHを着色抑制効果の発揮に最適な領域内に調整するのが容易となる。
かかる成分(C)のなかでも、上記成分(B)から金属イオンの放出を有効に補助する観点、及び良好な風味を保持する観点から、リンゴ酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、リンゴ酸又はその塩が好ましい。
【0022】
成分(C)の含有量は、着色抑制効果を十分に奏する観点、着色抑制効果の発揮に最適なpHに調整する観点から、酸換算量で0.03質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.07質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上である。成分(C)の含有量は、風味の観点、着色抑制効果の発揮に最適なpHに調整する観点から、0.5質量%以下であり、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下である。
【0023】
なお、成分(B)と成分(C)は、これらの構成要素が重複しないことが好ましい。具体的には、例えば成分(B)としてグルコン酸塩を用いる場合、成分(C)としては、グルコン酸又はその塩以外の酸化合物であるのが好ましく、また成分(B)として乳酸塩を用いる場合、成分(C)としては乳酸又はその塩以外の酸化合物であるのが好ましい。
【0024】
成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))は、着色抑制効果の発揮に最適なpH域領内に調整する観点から、0.05以上であって、好ましくは0.07以上であり、より好ましくは0.1以上である。成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))は、成分(B)から放出される金属イオン量を充分に確保して、着色抑制効果を有効に高める観点から、1以下であって、好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.9以下である。そして、成分(C)の含有量と成分(B)の含有量との質量比((C)/(B))は、0.05以上1以下であって、好ましくは0.07〜0.95であり、より好ましくは0.1〜0.9である。
【0025】
本発明の歯磨組成物は、成分(D)として、水を10質量%以上40質量%以下含有する。これにより、本発明の歯磨組成物における各成分の溶解性又は分散性を確保しつつ、口腔内での良好な分散性や使用感を確保し、また成分(B)及び成分(C)の併用による成分(A)由来の着色抑制効果を有効に発揮させることができる。成分(D)の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、10質量%以上であって、好ましくは12質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、40質量%以下であって、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
ここで、本発明における成分(D)の水とは、歯磨組成物に配合した精製水等だけでなく、例えば処方する際に用いる70%ソルビトール液(水溶液)のように、配合した各成分に含まれる水分をも含む、歯磨組成物中に含まれる全水分を意味する。
【0026】
なお、本発明の歯磨組成物中の成分(D)の水の含有量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えば、カールフィッシャー水分計で測定することもできる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業)が挙げられる。この装置では、歯磨組成物を2gとり、無水メタノール100mLにより懸濁させ、この懸濁液5mLを分取して水分量を測定することができる。
【0027】
本発明の歯磨組成物では、上記成分(C)よりも高いキレート作用を有する酸化合物は、金属イオンがこれらの酸化合物にキレートされてしまい、金属イオンがカテキン類に直接作用することにより発揮される着色抑制効果が減じられたり、歯磨組成物の好適な発色及び/又はカテキン類の好適な発色が損なわれるおそれがあるため、上記成分(C)により、成分(B)から放出される金属イオン量を充分に確保させて、高い着色抑制効果を確保する観点から、これらの酸化合物の含有を制限するのが好ましい。かかる酸化合物は、上記成分(C)以外の酸化合物であって、成分(C)よりも高いキレート作用を有する酸化合物であり、具体的には、例えば、フィチン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0028】
上記成分(C)よりも高いキレート作用を有する酸化合物の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、酸換算量で成分(C)の含有量より少ないことが好ましく、好ましくは0.03質量%以下であり、より好ましくは0.02質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、或いは本発明の歯磨組成物は、上記成分(C)よりも高いキレート作用を有する酸化合物を含有しないのが好ましい。
【0029】
本発明の歯磨組成物は、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、及びヒドロキシアルキルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の粘結剤を含有することができる。粘結剤としてこれらを用いることにより、本発明の歯磨組成物が有する高い着色抑制効果が減じられることなく、適度な粘性を付与することができる。本発明の歯磨組成物は、成分(B)との併用による粘度上昇を抑制する観点から、アルギン酸ナトリウムの含有量を制限することが好ましく、成分(B)の含有量に対して質量比(アルギン酸ナトリウム/(B))で、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.2以下であり、さらに好ましくは0.1以下であり、或いは本発明の歯磨組成物は、アルギン酸ナトリウムを含有しなくてもよい。
【0030】
かかる粘結剤の含有量は、組成物に適度な粘性を付与する観点から、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
【0031】
本発明の歯磨組成物は、カテキン類の着色をさらに抑制する観点から、水溶性マグネシウム塩を含有することができる。水溶性マグネシウムの含有量は、風味の観点から、好ましくは0.1〜1.2質量%であり、より好ましくは0.3〜1質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。
【0032】
本発明の歯磨組成物は、カテキン類の着色をさらに抑制する観点、及びカテキン類により、歯磨組成物が付着した陶器や歯ブラシの変色を抑制する観点から、トリポリリン酸、及びヘキサメタリン酸又はこれらの塩から選ばれるポリリン酸又はその塩を含有することが好ましい。かかるポリリン酸又はその塩の含有量は、着色抑制効果と風味とのバランスの観点から、好ましくは0.01〜0.8質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0033】
本発明の歯磨組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を阻害しない範囲内で、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、トレハロース等の湿潤剤;アシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤のほか、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤等の各種界面活性剤;エリスリトールやキシリトール、マンニトール等の糖アルコール;吸油量50〜150mL/100gの研磨性シリカや、吸油量150〜500mL/100gの増粘性シリカ(吸油量:JIS K5101−13−2(2004年制定)の方法により、吸収される煮あまに油の量により特定される値);香料;甘味料;殺菌剤;防腐剤;着色剤;β−グリチルレチン酸やトコフェロール等の各種薬効成分等を適宜含有させることができる。
【0034】
本発明の歯磨組成物の25℃におけるpHは、口腔内における良好な使用感を確保する観点から、3.5以上であって、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上である。また、本発明の歯磨組成物の25℃におけるpHは、カテキン類由来の着色を有効に抑制する観点から、6.5以下であって、好ましくは6.3以下であり、より好ましくは6.1以下であり、さらに好ましくは6未満である。そして、本発明の歯磨組成物の25℃におけるpHは、3.5以上6.5以下であって、好ましくは4.0〜6.3であり、より好ましくは4.5〜6.1である。
なお、本発明の歯磨組成物のpHとは、25℃でpH電極を用いて測定した値であり、蒸留水を加えて歯磨組成物の濃度として10質量%の水溶液に調整した後に測定した値を意味する。
【実施例】
【0035】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0036】
[実施例1〜13、比較例1〜2]
表1〜2に示す処方にしたがって、各歯磨剤を調製した。得られた歯磨剤を用い、下記方法にしたがって評価を行った。
なお、表2中に記載のカテキン類含有ハイドロゲル粒子の組成については、表3に示す。
【0037】
《pHの測定》
得られた歯磨剤に蒸留水を加えて10質量%の水溶液に調整した後、pH電極を用いて25℃にて測定した。
【0038】
《着色抑制効果の評価》
得られた歯磨剤を容器に充填し、50℃、2週間保存し、保存前と後の色差を下記方法により測定し、この色差によって変色度合いを評価した。保存後の歯磨組成物を透明で内容量が3cm×3cm×1cmのケース(AS ONE社、PS CASE No.1)に詰め、白板の上で撮影を行った。撮影条件は一定の照明、シャッター速度、しぼり、焦点距離で行った。撮影した画像をADOBE PHOTOSHOP(登録商標)にて被測定部位のL*a*b*(以下L、a、bとする)を定量化し、50℃、2週間保存品のL、a、bと製造直後(初期)のL、a、bの差異(ΔE:変色度)を下記式(I)により求め、着色抑制効果の評価の指標とした。
結果を表1〜2に示す。
【0039】
【数1】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】