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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-222904(P2017-222904A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】チタン複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 32/00 20060101AFI20171124BHJP
   C22C 14/00 20060101ALI20171124BHJP
   B22F 3/10 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   C22C32/00 H
   C22C14/00 Z
   B22F3/10 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-119126(P2016-119126)
(22)【出願日】2016年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】516178723
【氏名又は名称】釧機科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】呉騰飛
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA06
4K018AB01
4K018AB03
4K018AB04
4K018AB10
4K018AC01
4K018AD09
4K018AD10
4K018AD12
4K018AD20
4K018BA03
4K018BA11
4K018BB04
4K018BC12
4K018CA31
4K018EA31
4K018HA01
4K018HA04
4K018HA07
4K018HA08
4K018KA29
4K018KA32
4K018KA35
4K018KA42
4K018KA45
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性及び熱伝導率を高めてなるチタン複合材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択したチタン複合材料であって、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を混合し、鋳造方式により製造されたチタン複合材料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、
該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、鋳造方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
【請求項2】
α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、
該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、焼結方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
【請求項3】
α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、加圧方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
【請求項4】
加熱溶解:α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上含み、溶解するまで加熱してキャスト液を形成するステップ(A)と、
キャスト液の撹拌:ステップ(A)で得た溶解したキャスト液を撹拌するステップ(B)と、
キャスト液の加圧:ステップ(B)で得たキャスト液を加圧処理するステップ(C)と、
金型注入:ステップ(C)で得たキャスト液を金型へ注入するステップ(D)と、
冷却成形:ステップ(D)で得た金型を冷却処理し、離型してチタン複合材料の成形体を形成するステップ(E)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
【請求項5】
材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合するステップ(A1)と、
ブランク製造:ステップ(A1)において材料を混合した混合粉末を常温又は加熱で押出してブランクを形成するステップ(B1)と、
焼結成形:焼結方式によりステップ(B1)の混合粉末ブランクを焼結成形し、チタン複合材料の成形体を形成するステップ(C1)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
【請求項6】
材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合するステップ(A2)と、
加圧成形:加圧方式によりステップ(A2)で混合した粉末材料を、特定の金型又は治具内に封入、注入又は押入してから、混合粉末材料を押圧して締め固め、チタン複合材料の成形体を形成するステップ(B2)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン複合材料及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、純チタン又はチタン合金母材にセラミック又は磁性粉末強化複合材料を加えて鋳造、焼結又は加圧方式により製作した母材と複合材料との両者に物理又は化学、電気性質を付与する、チタン複合材料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のチタン合金は、高強度、軽量、高耐熱性を有する特徴を有するため、高強度が求められる場合に大量に使用されていた。関連分野に応用するために、既に多種類の複合方式と関連した製造工程によりその基本的な特性(例えば、靭性、引張及び降伏強度を目的とする関連した技術開発)が改良されているが、従来のチタン合金は、耐摩耗性及び熱伝導率が低いという問題点を有するため、すでに開示されている関連技術は、摩擦又は熱伝導が求められる部品に応用することは困難であった。
【0003】
また、チタン及びその合金に元々備えていなかった特徴を付与することができる上、電磁特性を有する成分を添加してもよく、複合後の材料は添加量に等しい電磁特性(例えば、圧電効果、焦電効果、磁力効果など)を有し、各種特定の分野に応用することができる。
【0004】
例えば、熱伝導、耐摩耗性、表面硬度を高めるために、チタン金属の母材は、10%以上の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物など1種類又は複数種類を含むセラミック材料を必要に応じて添加してもよい。
【0005】
また圧電効果、焦電効果が必要な場合、10%以上のチタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体など1種類又は複数種類を含む粉末材料を必要に応じて添加してもよい。
【0006】
磁力効果の必要に応じて、10%以上のネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物などの磁性粉末を混入して複合性質の磁石を製造すると、強磁性体の物理特性が向上し、成形、抵抗環境の影響に適する。
【0007】
特許文献1には、従来のチタン合金のように、耐摩耗性及び熱伝導率が低いという問題点があったため、高耐摩耗性及び高熱伝導率が必要な車両部品に応用することができないという欠点があり、多様な材料性質を得ることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5897830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、耐摩耗性及び熱伝導率を高めたチタン複合材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、チタン複合材料は、α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を混合し、鋳造方式により製造することを特徴とするチタン複合材料が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、チタン複合材料は、α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を混合し、焼結方式により製造することを特徴とするチタン複合材料が提供される。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の形態によれば、チタン複合材料は、α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を混合し、加圧方式により製造することを特徴とするチタン複合材料が提供される。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第4の形態によれば、加熱溶解:α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を含み、溶解するまで加熱してキャスト液を形成するステップ(A)と、キャスト液の撹拌:ステップ(A)で得た溶解したキャスト液を撹拌するステップ(B)と、キャスト液の加圧:ステップ(B)で得たキャスト液を加圧処理するステップ(C)と、金型注入:ステップ(C)で得たキャスト液を金型へ注入するステップ(D)と、冷却成形:ステップ(D)で得た金型を冷却処理し、離型してチタン複合材料の製品を形成するステップ(E)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法が提供される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第5の形態によれば、材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を一緒に混合するステップ(A1)と、ブランク製造:ステップ(A1)において材料を混合した混合粉末を常温又は加熱で押出してブランクを形成するステップ(B1)と、焼結成形:焼結方式によりステップ(B1)の混合粉末ブランクを焼結成形し、チタン複合材料の製品を形成するステップ(C1)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法が提供される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第6の形態によれば、材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の少なくとも1種類の10%以上の成分の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物のうちの何れか1種類の粉末強化複合材料を一緒に混合するステップ(A2)と、加圧成形:加圧方式によりステップ(A2)で混合した粉末材料を、特定の金型又は治具内に封入、注入又は押入してから、混合粉末材料を押圧して締め固め、チタン複合材料の製品を形成するステップ(B2)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法が提供される。
【0016】
かくして、本発明の要旨は、次の(1)〜(6)に示す通りのものである。
(1)α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、
該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、鋳造方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
(2)α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、
該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、焼結方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
(3)α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材からなる群より選択してなるチタン複合材料であって、該チタン複合材料に対し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合し、加圧方式により製造してなることを特徴とするチタン複合材料。
(4)加熱溶解:α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ相のチタン金属母材から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上含み、溶解するまで加熱してキャスト液を形成するステップ(A)と、
キャスト液の撹拌:ステップ(A)で得た溶解したキャスト液を撹拌するステップ(B)と、
キャスト液の加圧:ステップ(B)で得たキャスト液を加圧処理するステップ(C)と、
金型注入:ステップ(C)で得たキャスト液を金型へ注入するステップ(D)と、
冷却成形:ステップ(D)で得た金型を冷却処理し、離型してチタン複合材料の成形体を形成するステップ(E)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
(5)材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合するステップ(A1)と、
ブランク製造:ステップ(A1)において材料を混合した混合粉末を常温又は加熱で押出してブランクを形成するステップ(B1)と、
焼結成形:焼結方式によりステップ(B1)の混合粉末ブランクを焼結成形し、チタン複合材料の成形体を形成するステップ(C1)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
(6)材料混合:粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、或いは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材から選択し、体積比10〜70%の酸化物セラミック、窒化物セラミック、チタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体、ネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物からなる群より選択された少なくとも1種類の粉末強化複合材料を10%以上混合するステップ(A2)と、
加圧成形:加圧方式によりステップ(A2)で混合した粉末材料を、特定の金型又は治具内に封入、注入又は押入してから、混合粉末材料を押圧して締め固め、チタン複合材料の成形体を形成するステップ(B2)と、を含むことを特徴とするチタン複合材料の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明のチタン複合材料及びその製造方法は、α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン金属母材中に、少なくとも1種類の10%以上の成分の炭化物、窒化物、酸化物又はホウ化物により構成されたセラミック粉末強化複合材料を添加し、添加するパウダー材料は、α相、α相+β相格子又はβ相格子に中間相が発生された後でも元々の硬度を有するため、耐摩耗性及び表面の最大硬度が高く、最終的に形成されたチタン複合材料の製品を耐摩耗性、高熱伝導性の関連用途に応用することができる。
【0018】
また、機能性材料にとって電気性能は非常に重要であるため、本発明のチタン複合材料は、電気性能を備えたセラミック材料に加えることができ、応用物の必要に応じ、例えば、圧電結晶、焦電部材、半導体ターゲットなどの応用物に、10%以上の成分のチタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、又は、強誘電体などの粉末強化複合材料を添加し、例えば、圧電の圧電効果性、焦電の熱電変換・温度検出などの電気特性を発生させるか、磁石の応用物中に、少なくとも1種類の10%以上の成分のネオジウム−鉄−ホウ素化合物又はサマリウム−コバルト化合物の磁性粉末に添加し、磁場、磁力などを発生させる特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を示す部分断面拡大図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を車両のクラッチプレートへ応用したときの状態を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を別の車両のクラッチプレートへ応用したときの状態を示す説明図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を車両のピストン及びシリンダージャケットへ応用したときの状態を示す説明図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を車両のブレーキディスクのブレーキパッドへ応用したときの状態を示す説明図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を車両のカムシャフトへ応用したときの状態を示す説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を圧電結晶へ応用したときの状態を示す説明図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を1対のセラミック圧電結晶へ応用したときの状態を示す説明図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を焦電部材で構成した温度検出器へ応用したときの状態を示す説明図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を半導体ターゲット材料へ応用したときの状態を示す説明図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を磁石部材へ応用したときの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0021】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100は、α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン合金母材10から選択し、粒径0.8mm以下で体積比10〜70%の粉末強化複合材料20を混合し、鋳造、焼結又は加圧方式により製造される。粉末強化複合材料20は、成分10%以上の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物などを含むセラミック材料のうちの少なくとも1種類により構成されるか、10%以上の成分のチタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、又は、10%以上の成分の強誘電体成分のうちの少なくとも1種類の材料により構成されるか、10%以上の成分のネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物などのうちの少なくとも1種類の磁性粉末により構成される。
【0022】
(第1実施形態)
図2を参照する。図2は、本発明の第1実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るチタン複合材料の製造方法は、ステップ(200)〜(240)を含む。
【0023】
ステップ(200):溶解するまで加熱する
α相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相のチタン合金母材10から選択し、体積比10〜70%の粉末強化複合材料20を加熱溶解してキャスト液(casting liquid)を形成する。粉末強化複合材料20は、10%以上の成分の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物などの成分を含むセラミック材料のうちの少なくとも1種類により構成されるか、10%以上の成分のチタン酸塩、ニオブ化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物、タンタル化合物、イットリウム化合物、強誘電体の成分のうちの少なくとも1種類の材料により構成されるか、10%以上の成分のネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物などのうちの少なくとも1種類の磁性粉末により構成される。
【0024】
ステップ(210):キャスト液の撹拌
ステップ(200)で得た溶解したキャスト液を撹拌する。
【0025】
ステップ(220):キャスト液の加圧
ステップ(210)で得たキャスト液を加圧処理する。
【0026】
ステップ(230):金型注入
ステップ(220)で得たキャスト液を金型へ注入する。
【0027】
ステップ(240):冷却成形
ステップ(230)で得た金型を冷却処理し、離型してチタン複合材料100の製品を形成する。
【0028】
(第2実施形態)
図3を参照する。図3は、本発明の第2実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。図3に示すように、本発明の第2実施形態に係るチタン複合材料の製造方法は、ステップ(250)〜(270)を含む。
【0029】
ステップ(250):材料混合
粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相などのチタン金属粉末のチタン合金母材10から選択し、体積比10〜70%の少なくとも1種類の粉末強化複合材料20を一緒に混合し、粉末強化複合材料20は、同様に上述した図2のステップ(200)のセラミック又は磁性粉末強化複合材料20により構成される。
【0030】
ステップ(260):ブランク製造
ステップ(250)において材料を混合した混合粉末は、常温又は加熱で押出してブランクを形成する。
【0031】
ステップ(270):焼結成形
焼結方式によりステップ(260)の混合粉末ブランクを焼結成形し、チタン複合材料100の製品を形成する。
【0032】
(第3実施形態)
図4を参照する。図4は、本発明の第3実施形態に係るチタン複合材料の製造方法を示す流れ図である。図4に示すように、本発明の第3実施形態に係るチタン複合材料の製造方法は、ステップ(280)及び(281)を含む。
【0033】
ステップ(280):材料混合
粒径0.8mm以下のα相純チタン又はチタン合金母材、α相+β相純チタン又はチタン合金母材、β相純チタン又はチタン合金母材、もしくは金属間オメガ(Omega)相などのチタン金属粉末のチタン合金母材10の粉末、体積比10〜70%のうちの少なくとも1種類の粉末強化複合材料20を一緒に混合し、粉末強化複合材料20は、同様に上述の図2のステップ(200)のセラミック又は磁性粉末強化複合材料20でもよい。
【0034】
ステップ(281):加圧成形
加圧成形、加圧方式によりステップ280で混合した粉末材料を、特定の金型又は治具内に封入、注入又は押入してから、混合粉末材料を押圧して締め固め、チタン複合材料100の製品を形成する。
【0035】
図5及び図6は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を車両のクラッチ300a,300bのクラッチプレート310に応用したときの状態を示す斜視図である。
【0036】
図7は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を車両のシリンダー400のピストン410及びシリンダージャケット420へ応用したときの状態を示す説明図である。
【0037】
図8は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を車両のブレーキディスク500のブレーキパッド510へ応用したときの状態を示す説明図である。
【0038】
図9は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を車両のカムシャフト600へ応用したときの状態を示す説明図である。
【0039】
図10は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を圧電結晶700へ応用したときの状態を示す説明図である。図10に示すように、圧電結晶(Piezoelectric Crystal)700は、圧力センサ710のハウジング710a内のキャビティ710bの圧電結晶支持体710c中に設置される。圧電結晶700の一面には、プローブ710dが接続され、プローブ710dは、ばね710eの弾性伸縮により案内され、圧力センサ710はプローブ710dの末端を介して圧力を感知し、本発明のチタン複合材料100と一体成形した圧電結晶700へ伝送して対応した電流を発生させ、圧力値を測定することができる上、圧電結晶700に耐圧縮性、耐圧性及び耐久性に優れた物理特性を付与することができる。
【0040】
図11を参照する。図11は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を1対のセラミック圧電結晶720,730へ応用したときの状態を示す説明図である。図11は、セラミック圧電結晶720,730それぞれが圧力を受けて振動するときの圧電電位の正極及び負極を表す。複数対のセラミック圧電結晶720,730は、弾性金属部材740の一面に設置され、弾性金属部材740が圧力を受けて振動変形すると、1対のセラミック圧電結晶720,730間の交流電流の変化の大きさと、電子の伝達方向(図11の矢印で示す)、極性により弾性金属部材740が圧力を受けて変形する方向、部位及び受ける圧力の大きさを判断し、車両及び飛行機のシェル又はアルミニウム合金のコーティングが圧力を受けて変形して生じる金属疲労の検出に利用することができ、勿論、本発明のチタン複合材料100が一体成形されたセラミック圧電結晶720,730を使用すると、同様に耐圧縮性、耐圧性及び耐久性を備えた物理特性を得ることができる。
【0041】
図12を参照する。図12は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料を焦電部材で構成した温度検出器へ応用したときの状態を示す説明図である。図12に示すように、本発明のチタン複合材料100を温度変化に応じて異なる誘導起電力を発生させる焦電材料に加えて焦電部材800を一体成形し、好ましい熱電変換物理性能及び所望の耐熱特性を得て、ハウジング810及び複数の接続ピン820,830,840をパッケージすると、温度検出器又は熱電対の物理的な温度検出部品を形成することができる。
【0042】
図13を参照する。図13は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を半導体ターゲット材料900へ応用したときの状態を示す説明図である。図13に示すように、本発明のチタン複合材料100は、半導体を蒸着するかカバーする半導体ターゲット材料900に応用することができる。本発明のチタン複合材料100を半導体ターゲット材料900中へ加えて一体成形すると、熱伝導、耐磨耗、化学的耐蝕性などの性能を有するチタン複合材料100により半導体ターゲット材料900を製作し、半導体ターゲット材料900は、熱伝導、耐磨耗、化学的耐蝕性などの全材料の物理性を得ることができる。例えば、純金耐蝕性、純銀導電・熱伝導などの特性は、蒸着するかカバーするターゲット半導体製品上へ移転される。即ち、この半導体ターゲット材料900により製作される半導体の製品表面は、熱伝導、耐磨耗、化学的耐蝕性などの性能を得ることができる。
【0043】
図14を参照する。図14は、本発明の一実施形態に係るチタン複合材料100を磁石950へ応用したときの状態を示す説明図であり、上述したネオジウム−鉄−ホウ素化合物、サマリウム−コバルト化合物などの磁性粉末により構成される粉末強化複合材料20とチタン合金母材10により構成される磁石950とから、良好な強化磁石構造強度の物理性能を得て損壊し難くし、磁石950の製品を小型化する精密工業技術分野に応用することができる。
【0044】
図1図14に示すように、本発明のチタン複合材料及びその製造方法は、説明の便宜上、単なる一実施形態であり、その他等しい効果を有する熱溶融、プレス成形、焼結組合構造及び方法、技術は本発明の範囲に含まれる。
【0045】
当該分野の当業者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 チタン合金母材
20 粉末強化複合材料
100 チタン複合材料
300a 車両のクラッチ
300b 車両のクラッチ
310 クラッチプレート
400 車両のシリンダー
410 ピストン
420 シリンダージャケット
500 ブレーキディスク
510 ブレーキパッド
600 車両カムシャフト
700 圧電結晶
710 圧力センサ
710a ハウジング
710b キャビティ
710c 圧電結晶支持体
710d プローブ
710e ばね
720 セラミック圧電結晶
730 セラミック圧電結晶
740 弾性金属部材
800 焦電部材
810 ハウジング
820 接続ピン
830 接続ピン
840 接続ピン
900 半導体ターゲット材料
950 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14