【解決手段】衿部を有する衣類の首回りにスカーフなどの装飾品を留めるためのループを備えたスカーフ留め構造であって、台衿3の上縁から下縁にかけてループ10が複数形成され、台衿3の表側上縁に沿ってループの上端11が固定され、台衿3の裏側下縁に沿ってループの下端12が固定されていることを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の衣服は、スカーフの着脱を容易ならしめるうえで画期的なものである。しかしながら、取り付けられたスカーフの形状やスカーフの柔らかな膨らみを保持することが難しいという問題がある。また、ある程度はスカーフのずり下がりを抑止できるものの、長時間に亘って安定性を維持することは難しいという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、衣服の衿部などの首回りにスカーフを着脱させるにあたり、スカーフの保形性を長時間に亘って維持することができるスカーフ留め構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るスカーフ留め構造は、衿部を有する衣類の首回りにスカーフなどの装飾品を留めるためのループを備えたスカーフ留め構造であって、台衿の上縁から下縁にかけてループが複数形成されており、台衿の表側上縁に沿ってループの一端が固定され、台衿の裏側下縁に沿ってループの他端が固定されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、スカーフの保形性を長時間に亘って維持することができるスカーフ留め構造が実現される。
【0008】
また、衿部を有する衣類の首回りにスカーフなどの装飾品を留めるためのループを備えたスカーフ留め構造であって、台衿の上縁から下縁にかけてループが複数形成されており、台衿の下縁にループを構成する薄片を挿通可能なスリットが設けられ、台衿の表側上縁に沿ってループの一端が固定され、ループの他端が当該スリットに通されてから台衿の裏側上縁に沿って固定されていることを特徴とするスカーフ留め構造として構成することもできる。
【0009】
さらに、衣類の首回り又は胸元にスカーフなどの装飾品を留めるためのループを備えたスカーフ留め構造であって、衣類の首回り又は胸元にループが複数形成されており、衣類の首回り又は胸元を構成する身生地の縁に沿ってループの一端が固定され、ループの他端は固定されていないことを特徴とするスカーフ留め構造として構成することもできる。
【0010】
ここで、前記複数のループがそれぞれ中間で交差してクロスループを形成しているとするのが好ましく、また、前記複数のループの他端を重ねてV字状ループを形成しているとするとしてもよい。
【0011】
これによれば、スカーフの固定が強化されるとともに、スカーフの形状を崩すことなくふんわりとした整形が可能となる。
【0012】
また、前記複数のループは、径の大きさが異なるループを含むとするのが好ましく、前記複数のループは、同じ径のループ同士を繋ぎ合わせて構成されているループを含むとしてもよい。このとき、小さな径の小ループが大きな径の大ループに重ねられているのが好ましく、小ループより径が大きく大ループより径が小さい中ループを備え、中ループも大ループに重ねられており、小ループが大ループの下端側に重ねられているとすれば、より好ましい。
【0013】
これによれば、ミニスカーフを一枚だけで使用する場合や、成形型のミニスカーフやロングスカーフをアレンジして使用する場合などの様々な利用形態に対応しうるとともに、例えばミニスカーフ使用時に生じやすいスカーフすべりなど、それぞれの利用形態で生じやすい現象を改善して、長時間の使用にも型崩れを生じさせにくいスカーフ留め構造が実現可能となる。
【0014】
さらに、少なくともいずれか1つのループが捻りを加えられたツイストループであるとしてもよいし、少なくともいずれか1つのループが折り畳まれて形成されるフォルディングループであるとしてもよい。
【0015】
これによれば、スカーフを差しこみやすくなるとともに、スカーフの柔らかな膨らみを損なうことなく、スカーフを美しく取り付けられる空間を創出することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るスカーフ留め構造によれば、スカーフの保形性を長時間に亘って維持することができ、種々のスカーフのアレンジが可能となり、様々な利用形態に対応可能となる。また、スカーフを差しこみやすくすることや、スカーフの柔らかな膨らみを損なわずにスカーフを美しく取り付けることができ、首回りを見栄えよく華やかに装飾することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】スカーフ留め構造を衿付きシャツに適用した例を示す図である。
【
図5】スカーフ留め構造を衿付きシャツに適用した別の例を示す図である。
【
図6】スカーフ留め構造をホール付きジャケットに適用した例を示す図である。
【
図7】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留め構造を拡大して示す図である。
【
図8】スカーフ留め構造をノーカラージャケットに適用した例を示す図である。
【
図9】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留め構造を拡大して示す図である。
【
図10】スカーフ留めダブルループの例を示す図である。
【
図11】スカーフ留めダブルループにスカーフを通した状態を示す図である。
【
図12】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。
【
図13】ジャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。
【
図14】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。
【
図15】スカーフ留めトリプルループの例を示す図である。
【
図16】スカーフ留めトリプルループにスカーフを通した状態を示す図である。
【
図17】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図である。
【
図18】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図である。
【
図19】スカーフ留めトリプルループの別の例を示す図である。
【
図20】スカーフ留めトリプルループにスカーフを通した状態を示す図である。
【
図21】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図である。
【
図22】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図である。
【
図23】スカーフ留めツイストループの例を示す図である。
【
図24】スカーフ留めツイストループを拡大して示す図である。
【
図25】スカーフ留めツイストループを説明するための図である。
【
図26】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めツイストループを示す図である。
【
図27】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めツイストループを示す図である。
【
図28】スカーフ留めフォルディングループの例を示す図である。
【
図29】スカーフ留めフォルディングループを拡大して示す図である。
【
図30】スカーフ留めフォルディングループを説明するための図である。
【
図31】スカーフ留めフォルディングループの作用を説明するための図である。
【
図32】ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めフォルディングループを示す図である。
【
図33】ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めフォルディングループを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本実施形態のスカーフ留め構造を衿付きシャツに適用した例を示す図である。
【0020】
本実施形態のスカーフ留め構造は、シャツ1の衿部2を折り返すことで現れる台衿3の上端から下端にかけてスカーフ留めとなるループ10を複数形成するものである。このループ10にスカーフ9やリボンなどを挿通して首回りを華やかに装飾することができる。ループ10は、薄片で構成されており、ポリエステル製の布帛朱子織テープまたは身頃と同じ素材のものが使用され、経糸に綿タッチのスパンデックスを撚糸し、緯糸に嵩高加工糸のウーリー糸を使用することで、保形性だけでなく、ふくらみ感と柔らかさおよび防皺性を有するものとなっている。
【0021】
図2に、スカーフ留め構造を拡大して示す。台衿3の表側上縁に沿ってループ10の上端11が縫着または接着などにより固定されている。ループ10の他方の端である下端12は、衿部2の折り返りを阻害しないために台衿3の裏側に回り込ませて台衿3の下縁に沿って縫着または接着などにより固定されている。台衿3の表面の直線とループ10の曲線により、衿部2と台衿3の形状、立ち衿の美しさを保ちながらスカーフ9の柔らかな膨らみを損なうことなく、スカーフ9を美しくふんわりと取り付けられる空間を創出することができる。また、ループ10の下端12を台衿3の裏側に回り込ませることで、台衿3の下側にスカーフ9の膨らみを維持させることができる厚み分量を持たせることができスカーフ9のふんわりとした外観を維持することができる。
【0022】
図3には、スカーフ留め構造の別の例として、ループをそれぞれの中間においてクロスさせたものを示す。クロスループ13は、ループをたすきがけとすることでスカーフ9の固定が強化されるとともに、スカーフ9の形状を崩すことなくふんわりとした整形を可能にする。スカーフ9の固定をより確実にするうえで、クロスループ13は、ループ同士を約30°の角度で交差させて形成するのが好ましい。
【0023】
図4には、スカーフ留め構造のさらに別の例として、ループをV字状に配したものを示す。V字ループ14は、ループの下端15を台衿3の下縁近傍で重ねてV字状に形成したものであり、スカーフ9の固定を強化することができる。スカーフ9を美しく見せるうえではスカーフ9を下方に垂らす落ち感を持たせて整形するのが望ましいとされる。V字ループ14によれば、スカーフ9の落ち感を活かした見栄えのよい整形が可能となる。このような効果を得るために、V字ループ14はループ同士が約30°の角度となるV字を描くよう形成するのが好ましい。
【0024】
(実施の形態2)
実施の形態2として、スカーフ留め構造を衿付きシャツに適用した別の例を説明する。なお、上記実施の形態と共通する部分については説明を適宜省略し、異なる部分について詳しく説明する。
【0025】
図5は、スカーフ留め構造を衿付きシャツに適用した別の例を示す図である。
【0026】
上記実施の形態ではループの他方の端を台衿3の裏側に回り込ませて台衿3の下縁に沿って固定することにしたが、ここでは台衿3の下端近傍にスリットを設けて台衿ホール18を形成し、ループの他方の端を台衿3の上縁で固定している点で異なる。
【0027】
すなわち、本実施形態のループ16は、台衿3の表側の上縁に沿ってループ上端17が縫着または接着などにより固定され、台衿3の下縁に沿って開けられた台衿ホール18に通されて、他方のループ端(ループ上端19)が台衿3の裏側の上縁に沿って縫着または接着などにより固定されている。台衿ホール18は、ループ16を挿通可能な幅と厚みを有するスリット状に孔が開けられて構成されている。
【0028】
これによれば、衿付きシャツの表側(外側)にも裏側(内側)にもスカーフを通すことができる複数のループが形成されるので、内外いずれにもスカーフを装着することができるようになる。また、いずれか一方のループにスカーフを装着すると、スカーフの重みにより反対側のループは台衿3に接触する方向へ作用してループの膨らみが打ち消されるので、衿近傍の厚みが増すことはない。
【0029】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3として、スカーフ留め構造をホール付きジャケットやノーカラージャケットに適用した例を説明する。なお、上記実施の形態と共通する部分については説明を適宜省略し、異なる部分について詳しく説明する。
【0030】
図6は、スカーフ留め構造をホール付きジャケットに適用した例を示す図である。
【0031】
ここでは、ラペル(下衿)5にホール6を備えたジャケット4に、ループを有するループ片20を取り付けた例を示している。
図7に、このホール付きジャケットにおけるスカーフ留め構造を拡大して示す。ループ21を有するループ片20は、ラペル5の裏側に取り付けられている。ループ片20の一方の端部は、ラペル5と身生地との境界側の縁に沿って縫着または接着などにより固定されており、他方の端部は固定されておらず、遊離した状態となっている。ループ片20は、ホール6に挿通可能な幅と厚みとされ、ホール6にループ片20を通してからラペル5を折り戻すとジャケット4のラペル5の表側にループ21を有するループ片20が現れ、着用者の首回りや胸元を装飾するスカーフ9が取り付け可能となる。ここでは、ラペル5にホール6を備えたジャケット4を例示しているが、ホールのないジャケットの場合は、ループ片を身生地側に折り返すことでラペルから現出させてスカーフ9を取り付け可能な状態とすることができる。なお、ループ片の遊離した状態の他方の端部は、スカーフ9が取り付けられるとスカーフの重みにより身生地側への折り返しが保持されるのでラペル側へ戻ることがない。
【0032】
図8は、本実施形態のスカーフ留め構造をノーカラージャケットに適用した例を示す図である。
【0033】
ここでは、衿部のないノーカラージャケット7に、ループを有するループ片30を取り付けた例を示している。
図9に、このノーカラージャケットにおけるスカーフ留め構造を拡大して示す。ループ33を有するループ片30は、例えばノーカラージャケット7の首回り部の内側(裏側)に取り付けられている。ループ片30の一方の端部32は、首回り部の縁近傍に縫着または接着などにより固定されており、他方の端部は遊離した状態となっている。首回り部の縁に沿ってループ片30を挿通可能な幅と厚みを有する支持ループ31が設けられており、この支持ループ31にループ片30を折り返して通すことにより、ノーカラージャケット7の首回り部からループ33を有するループ片30を現出させて、スカーフ9を取り付け可能とする。ループ片の遊離した状態の他方の端部は、支持ループ31とスカーフ9が取り付けられた際のスカーフの重みとにより折り返しが保持されるので内側へ戻ることがない。また、スカーフ9を取り付けないときには支持ループ31への挿通を解除すればループ片30は身生地側に向けて取り付けられているので首回り部から露出することがない。
【0034】
(実施の形態4)
実施の形態4として、スカーフ留めとなるループを大小2つ形成する例を説明する。なお、上記実施の形態と共通する部分については説明を適宜省略し、異なる部分について詳しく説明する。
【0035】
図10は、スカーフ留めダブルループの例を示す図であり、
図11は、スカーフ留めダブルループにスカーフを通した状態を示す図である。ダブルループ40は、ダブルループ40の本体が形成する大ループ42と、大ループ42よりも小さな径のループを形成する小ループ41と、これら2つのループを備えている。小ループ41は、ダブルループ40の表面側に形成され、大ループ42の下端と小ループ41の下端とは重ね合わされている。小ループ41は、ミニスカーフを一枚だけで使用する際に生じやすいスカーフすべりを大幅に改善し、長時間の使用にも型崩れを生じさせにくくすることができる。一方の大ループ42は成形型のミニスカーフやロングスカーフをアレンジして使用する場合に適した大きさとなっている。小ループ41を下側に配してスカーフ9を着用することで衿の折り返しを美しく表現することができる。なお、小ループ41と大ループ42とは配色を異ならせて、視認性を高めて使いやすくするのが好ましい。
【0036】
図12は、ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。ループ片50は、大ループ51と小ループ52とを備えている。小ループ52は、ホール6にループ片50を挿通させた後、小ループ52が表側に出ないようループ片50の裏側に設けられている。小ループ52の一方の端部は、ループ片50の遊離している側の端部に縫着または接着などにより固定されており、小ループ52の他方の端部は遊離した状態となっている。
【0037】
図13は、ホールのないジャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。このループ片53は、身生地側に折り返すことでラペルから現出させてスカーフ9を取り付け可能な状態とするものである。ループ片53の一方の端部56は、ラペルと身生地との境界側に縫着または接着などにより固定されている。ループ片53の遊離した状態の他方の端部は、スカーフ9が取り付けられるとスカーフの重みにより身生地側への折り返しが保持されるのでラペル側へ戻ることがない。このループ片53も大ループ54と小ループ55とを備えている。小ループ55は、ループ片53が身生地側に折り返されたときに小ループ55が表側に現れないよう、
図12における小ループ52と異なり、ループ片55の表側に設けられている。小ループ55の一方の端部は、ループ片53の遊離している側の端部に縫着または接着などにより固定されており、小ループ55の他方の端部は遊離した状態となっている。
【0038】
図14は、ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めダブルループを示す図である。このループ片60は、大ループ63と小ループ64とを備えている。ループ片60を折り返して支持ループ61に通してノーカラージャケットの首回り部からループ63を有するループ片60を現出させるにあたり、小ループ64が表側に現れないように小ループ64はループ片60の表側に設けられている。小ループ64の一方の端部は、ループ片60の遊離している側の端部に縫着または接着などにより固定されており、小ループ64の他方の端部は遊離した状態となっている。
【0039】
なお、本実施の形態では小ループの全体が大ループに重ねられている例を図示しているが、小ループの一部又は全部が大ループと重ならないように構成するものであってもよい。
【0040】
(実施の形態5)
実施の形態5として、スカーフ留めとなるループを3つ形成する例を説明する。なお、上記実施の形態と共通する部分については説明を適宜省略し、異なる部分について詳しく説明する。
【0041】
図15は、スカーフ留めトリプルループの例を示す図であり、
図16は、スカーフ留めトリプルループにスカーフを通した状態を示す図である。トリプルループ70は、トリプルループ70の本体が形成する大ループ73と、大ループ73の表面に形成される同じ径の大きさの双子のループ71およびループ72と、計3つのループを備えている。双子のループ71およびループ72を形成することで、実施の形態4と同様に、スカーフすべりを大幅に改善することができ、長時間使用でも型崩れしにくくすることができる。双子のループ71およびループ72は、それぞれループの下端は大ループ73の上端と下端と重ね合わされており、それぞれループの上端はループ同士が接合する接合部となっている。このループ同士の接合部が繋ぎ合されてループを組み合わせているためアーチ型に全体の膨らみが生まれ、スカーフを挿入しやすい構成になっている。また、スカーフ9を大ループ73に通してから双子のループ71およびループ72に通して使用することでスカーフの厚みを軽減した結び方が可能となり、衿の形状を美しく保ちながら首回りを華やかに見せることができる。
【0042】
図17は、ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図であり、ループ片80は、同じ大きさの双子のループ82およびループ83と、大ループ81の計3つのループを備えている。
図18は、ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図であり、このループ片90も同じ大きさの双子のループ93およびループ94と、大ループ95の計3つのループを備えている。
【0043】
なお、双子のループと大ループとは配色を異ならせて、視認性を高めて使いやすくするのが好ましい。また、双子のループ同士も配色を異ならせて視認性を高めるようにしてもよい。
【0044】
(実施の形態6)
実施の形態6では、スカーフ留めとなるループを大きさを異ならせて3つ形成する例を説明する。上記実施の形態と共通する部分については説明を適宜省略し、異なる部分について詳しく説明する点は同様である。
【0045】
図19は、スカーフ留めトリプルループの別の例を示す図であり、
図20は、スカーフ留めトリプルループにスカーフを通した状態を示す図である。トリプルループ100は、トリプルループ100の本体が形成する大ループ103と、大ループ103の表面の上側に形成される、大ループ103よりも小さいループの中ループ101と、大ループ103の表面の下側に形成される、最も小さいループの小ループ102と、これらそれぞれ大きさの異なるループを備えている。小ループ102は、スカーフすべりを大幅に改善する効果があり、ミニスカーフを1枚で使用するのに適している。中ループ101は、成形型のミニスカーフを使用するのに適している。大ループ103は、成形型のミニスカーフやロングスカーフのアレンジや、様々なボリュームアレンジに適している。このように3つの大きさの異なるループを形成することで、スカーフの様々なバリエーションに適応することができるようになっている。また、小ループ102を下側に配してスカーフ9を着用することで衿の折り返しを美しく表現することを可能にしている。
【0046】
図21は、ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めトリプルループの例を示す図であり、ループ片110は、大きさの異なる大ループ113、中ループ111および小ループ112の計3つのループを備えている。
図22は、ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めトリプルループを示す図であり、このループ片120も大きさの異なる大ループ123、中ループ125および小ループ124を備えている。さらに、ループ片120は、折り返した時に表側に配置される中ループ126も備えており、計4つのループを備えている。ここでは、ホール付きジャケットおよびノーカラージャケットにおいて、大中小のサイズの異なるループを例示しているが、ジャケットの使用形態ではループ片を折り返したり、ホールに通して使用するため、ループの大きさに3段階の差異をつけるのではなく、大ループ2つと小ループ1つという組み合わせとすることが好ましいこともある。
【0047】
なお、上記実施の形態と同様に、大ループ、中ループおよび小ループはそれぞれ配色を異ならせて、視認性を高めて使いやすくするのが好ましい。
【0048】
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7としてスカーフ留めとなるループを捻らせてツイストループとして形成する例を説明する。ここでは、実施の形態6の小ループをツイストループとする例を説明する。
【0049】
図23は、スカーフ留めツイストループの例を示す図である。トリプルループ130は、大ループ133と、中ループ131と、小ループ132とを備えている。小ループ132は、ループに捻りが加えられてツイストループ134となっている。
【0050】
図24は、スカーフ留めツイストループを拡大して示す図であり、
図25は、ツイストループを説明するための図である。ツイストループ134は、ツイスト(捻り)を2回転加えることで形成される。2回転のツイストにより、テープ状の平面が筒状の立体になり、小さなループでもスカーフを差しこみやすい空間を創出することができる。この捻りをしやすいように中ループ131と小ループ132を構成する素材は、薄地のタフタ素材を用いるのが好ましく、経糸よりも緯糸を細くして摩耗や擦れに強いテープで形成するのが好ましい。
【0051】
図26は、ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めツイストループを示す図であり、ループ片140は、大ループ143、中ループ141および小ループ142の計3つのループを備えており、小ループ142がツイストループ144となっている。
【0052】
図27は、ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めツイストループを示す図であり、このループ片151も大ループ153、中ループ154および小ループ155の計3つのループを備えており、小ループ155がツイストループ156となっている。
【0053】
なお、上記実施の形態と同様に、大ループ、中ループおよび小ループはそれぞれ配色を異ならせて、視認性を高めて使いやすくするのが好ましい。
【0054】
(実施の形態8)
さらに、実施の形態8としてスカーフ留めとなるループを折り畳んだフォルディングループとして形成する例を説明する。ここでは、実施の形態6の小ループをフォルディングループとする例を説明する。
【0055】
図28は、スカーフ留めフォルディングループの例を示す図である。トリプルループ160は、大ループ163と、中ループ161と、小ループ162とを備えている。小ループ162は、ループが折り畳まれて形成されるフォルディングループ164となっている。このトリプルループ160においても、中ループ161と小ループ162を構成する素材は、薄地のタフタ素材を用いるのが好ましく、経糸よりも緯糸を細くして摩耗や擦れに強いテープで形成するのが好ましい。
【0056】
図29は、スカーフ留めフォルディングループを拡大して示す図であり、
図30は、スカーフ留めフォルディングループを説明するための図である。フォルディングループ164は、小ループ162を側方(右)へ直角に折り曲げ、反対側方(左)へ折り返し、下方へ直角に折り曲げ、最後に側方(右)へ折り返すという手順で小ループ162を折り畳むことにより(4回の捻りを加えることにより)形成される。
図31は、スカーフ留めフォルディングループの作用を説明するための図である。このフォルディングループ164は、平面のテープが略直角三角形の2つで構成される折り畳み構造となることで、立体的なスプリングのごとき作用を奏する。すなわち、スカーフ着用時にはフォルディングループ164を上方へ引き上げると、開くように蛇腹状に伸びるだけでなく空間165を形成するのでスカーフを差しこみやすくなる。またスカーフを外して未使用とするときは、フォルディングループ164を構成する素材に高熱高圧プレスをかけておくことで、指で軽くたたく程度で閉じていき、元の折り畳み状態に戻るようになっている。
【0057】
図32は、ホール付きジャケットにおけるスカーフ留めフォルディングループを示す図であり、ループ片170は、大ループ173、中ループ171および小ループ172の計3つのループを備えており、小ループ172がフォルディングループ174となっている。
【0058】
図33は、ノーカラージャケットにおけるスカーフ留めフォルディングループを示す図であり、このループ片180も大ループ183、中ループ184および小ループ185の計3つのループを備えており、小ループ185がフォルディングループ186となっている。
【0059】
なお、上記実施の形態と同様に、大ループ、中ループおよび小ループはそれぞれ配色を異ならせて、視認性を高めて使いやすくするのが好ましい。
【0060】
以上、本発明に係るスカーフ留め構造について、各実施の形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【0061】
例えば、上記各実施の形態では、シャツ、ジャケットなどを例にして説明したが、首回り部を有する衣類(例えば、ベストやプルオーバーシャツなど)であれば、いずれにも適用可能であり、ベストやプルオーバーシャツであればノーカラージャケットと同様のループが適用可能である。
【0062】
また、上記各実施形態では配色について各ループで異ならせることを述べているが、シャツなどの白地や淡色系が多い衣類であればループの配色も淡色とし、ジャケットなどの黒や紺など濃色系が多い衣類であればループの配色も濃色として目立ちにくくするのが好ましい。
【0063】
さらに、上記各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、実施の形態7のツイストループや実施の形態8のフォルディングループを実施の形態1の衿付きシャツのいずれかのループに適用してもよいし、実施の形態1の複数のループを実施の形態4のダブルループや実施の形態5の双子のループによって形成するとしてもよい。