【課題】乗用型トラクタの車体後部に脱着可能に連結される連結部と、連結部に支持されたバックホウ作業部とを備えたバックホウ装置において、操作レバーを中立位置に固定できるようにし、かつ操作レバーの中立固定及び固定解除を行ないやすくする。
【解決手段】操作レバー33を中立位置に固定するロック状態と、操作レバー33の中立固定を解除するロック解除状態とに切り換え可能なロック機構50が操縦塔32に内装されている。ロック機構50をロック状態とロック解除状態とに切り換え操作する操作具51が操縦塔32の横外側部に配備されている。
前記ロック機構は、前記操作レバーの基部に設けられた係止部と、前記操縦塔にスライド可能に支持され、前記係止部に端部が係合操作されて前記操作レバーを前記中立位置に固定し、前記端部が前記係止部から離脱操作されて前記操作レバーの中立固定を解除するロックスプールと、を備えている請求項1に記載のバックホウ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したバックホウ装置では、一般に、操作レバーが操縦塔から長く延び、振動や慣性などによって動きやすくなっている。バックホウ装置をトラクタに連結するとか、トラクタから外す際、また、移動走行する際、操作レバーがずれ動いてバックホウ作業部が動くことを防止できるように要望されている。また、操縦者がトラクタに乗るとか、トラクタから降りるとき、身体が操作レバーに触れてもバックホウ作業部が動かないことを要望されている。
【0005】
本発明は、操作レバーを中立位置に固定してバックホウ作業部の動きを回避でき、かつ操作レバーの中立固定及び固定解除を行ないやすいバックホウ装置及びトラクタバックホウを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるバックホウ装置は、
乗用型トラクタの車体後部に脱着可能に連結される連結部と、
前記連結部に支持されたバックホウ作業部と、
前記連結部に設けられた操縦塔と、
前記操縦塔の上部に揺動操作可能に設けられ、前記バックホウ作業部を操作する操作レバーと、
前記操作レバーを中立位置に固定するロック状態と、前記操作レバーの中立固定を解除するロック解除状態とに切り換え可能な状態で前記操縦塔に内装されたロック機構と、
前記操縦塔の横外側部に配備され、前記ロック機構を前記ロック状態と前記ロック解除状態とに切り換え操作する操作具と、を備えている。
【0007】
本構成によると、操作具を操作してロック機構をロック状態に切り換えることにより、操作レバーがロック機構によって中立位置に固定されるので、操作レバーを中立位置に固定できる。操作具が操縦塔の横外側部に配備されているので、操作具に車体上からも地上からも手が届きやすい。
【0008】
したがって、バックホウ装置のトラクタに対する脱着作業や移動走行をする際、また、トラクタに対する乗り降りをする際、操作レバーを中立位置に固定しておき、操作レバーのずれ動きによるバックホウ作業部の動きが生じないようにできると共に、車体上からも地上からも操作レバーを固定しやすい。また、脱着作業や移動走行、乗り降りを終えた際、車体上からも地上からも操作レバーの中立固定を解除しやすい。また、操作具を地上からでも操作しやすいので、トラクタから降りるとき、ロック機構のロック操作を忘れることがあっても、降りた後、車体上に戻らなくても地上から、ロック状態に切り換えることができる。
【0009】
本発明をより好適なものにするよう、次の如き構成を備えた。
前記ロック機構は、前記操作レバーの基部に設けられた係止部と、前記操縦塔にスライド可能に支持され、前記係止部に端部が係合操作されて前記操作レバーを前記中立位置に固定し、前記端部が前記係止部から離脱操作されて前記操作レバーの中立固定を解除するロックスプールと、を備えているという構成を備えた。
【0010】
本構成によれば、ロックスプールが操縦塔に支持されつつ操作レバーを中立位置に固定するので、操作レバーを中立位置にしっかり固定できる。
【0011】
本発明をより好適なものにするよう、次の如き構成を備えた。
前記係止部と前記端部との一方が、先端部分が先細り形状の丸軸部であり、前記係止部と前記端部との他方に、前記丸軸部が係入される係合穴が形成されており、前記係合穴の入口部分が先広がりであるという構成を備えた。
【0012】
本構成によれば、操作レバーが中立位置に対して少し位置ずれしており、係止部と端部とが芯ずれ状態になっていても、丸軸部の先端部分が先細り形状になっており、係合穴の入口部分が先広がりになっているので、丸軸部の先端部分が係合穴の入口部分に入り込む。この後、丸軸部の先端部分より後側の部分と、係合穴の入口部分より奥側の部分とが対向するので、丸軸部が係止部と端部との芯ずれを修正しつつ係合穴の奥へ入って行く。丸軸部が係合穴の所定深さまで入り込み、係止部と端部とが所定の係合状態になると、操作レバーが中立位置に修正されて位置する。したがって、操作レバーが中立位置に対して少し位置ずれしていても、ロック機構をロック状態に切換えるだけで操作容易に、操作レバーを中立位置に固定できる。
【0013】
本発明をより好適なものにするよう、次の如き構成を備えた。
前記操作具は、前記ロック機構の回転操作軸に相対回転不能に支持された揺動レバーであるという構成を備えた。
【0014】
本構成によれば、揺動レバーの揺動操作によって回転操作軸を回転させるので、回転操作軸に操作力を伝えやすく、ロック機構の切り換えを軽くできる。また、ロック機構がロック状態とロック解除状態とのいずれになっているかを、車体上からも地上からも揺動レバーの位置によって精度良く判断し易い。したがって、トラクタから降りるとき、ロック機構のロック操作を忘れることがあっても、降りた後、車体上に戻らなくても地上から、ロック機構の状態を確認して、ロック状態に切り換えることができる。
【0015】
本発明をより好適なものにするよう、次の如き構成を備えた。
前記揺動レバーが前記回転操作軸にスライド操作可能に支持されており、
前記揺動レバーを案内するレバーガイドを備え、
前記レバーガイドは、前記揺動レバーを前記回転操作軸の軸芯を揺動中心にしてロック操作域とロック解除操作域とに揺動案内する切換えガイド溝と、前記揺動レバーを前記ロック操作域に係止するロック係止部と、前記揺動レバーを前記ロック解除操作域に係止する解除係止部と、前記揺動レバーを前記切換えガイド溝から前記ロック係止部にスライド案内するロックガイド溝と、前記揺動レバーを前記切換えガイド溝から前記解除係止部にスライド案内する解除ガイド溝と、を備えているという構成を備えた。
【0016】
本構成によれば、ロック操作域にロック係止部によって係止されている揺動レバーは、切換えガイド溝から外れた箇所に位置しているので、揺動レバーをロック係止部によって係止させてある場合、揺動レバーが係止解除方向の外力を受けてロックガイド溝から切換えガイド溝へ移動したとしても、切換えガイド溝のうちのロック操作域に属する部位へ移動するだけで、切換えガイド溝をさらにロック解除操作域まで移動する事態には至り難い。
【0017】
また、ロック解除操作域に解除係止部によって係止されている揺動レバーは、切換えガイド溝から外れた箇所に位置しているので、揺動レバーを解除係止部によって係止させてある場合、揺動レバーが係止解除方向の外力を受けて解除ガイド溝から切換えガイド溝へ移動したとしても、切換えガイド溝のうちのロック解除操作域に属する部位へ移動するだけで、切換えガイド溝をさらにロック操作域まで移動する事態には至り難い。
【0018】
したがって、揺動レバーが操縦者との接触などによって外力を受けた場合でも、揺動レバーがロック操作域からロック解除操作域に切り換わるとか、ロック解除操作域からロック操作域に切り換わることを回避しやすい。
【0019】
本発明をより好適なものにするよう、次の如き構成を備えた。
前記レバーガイドが前記操縦塔に支持されているという構成を備えた。
【0020】
本構成によれば、切換えガイド溝を操縦塔の極力近くに位置させることができるので、揺動レバーを操縦塔からあまり離れなくて外力を受けにくいようにできる。ロック機構がロック状態とロック解除状態とのいずれになっているかをレバーガイドによって確認しやすくなるので、トラクタから降りるとき、ロック機構のロック操作を忘れることがあっても、降りた後、車体上に戻らなくても地上から、ロック機構の状態を確認して、ロック状態に切り換えることができる。
【0021】
本発明によるトラクタバックホウは、請求項1から6のいずれか一項に記載のバックホウ装置を備えている。
【0022】
本構成によれば、移動走行や車体に対する乗り降りをする際など、操作レバーをロック機構によって中立位置に固定しておき、操作レバーのずれ動きによるバックホウ作業部の動きが生じないようにできる。操作具に車体上からも地上からも手が届きやすく、操作レバーの中立固定及び固定解除を行ないやすい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。実施の形態を説明するに当たり、
図1に示すFの方向を車体の前側、Rの方向を車体の後側、紙面表側を車体の右側、紙面裏側を車体の左側と定義する。
【0025】
図1は、トラクタバックホウの全体を示す右側面図である。
図1に示すように、トラクタバックホウは、車体フレーム1の前部に左右一対の前車輪2が駆動可能及び操向操作可能に装備され、車体フレーム1の後部に左右一対の後車輪3が駆動可能に装備されたトラクタ4を備えている。トラクタ4の車体前部に原動部5を形成してある。原動部5には、前車輪2及び後車輪3などの駆動力を出力するエンジン(図示せず)を備えてある。トラクタ4の車体後半部に運転部6を設けてある。運転部6には、運転座席7、前車輪2を操向操作するステアリングホィール8などを装備してあり、トラクタ4は、運転部6に搭乗して操縦するように乗用型になっている。トラクタ4の車体前部に、フロントローダ9が連結されている。トラクタ4の車体後部に、バックホウ装置10が連結されている。
【0026】
バックホウ装置10について説明する。
バックホウ装置10は、
図1に示すように、車体フレーム1の後部に脱着可能に連結される連結部11と、連結部11に支持されたバックホウ作業部20とを備えている。
【0027】
連結部11の車体フレーム1への連結は、
図1に示すように、連結部11の前端側の下部に設けられた連結軸12と、この連結軸12が係脱可能に係合するように車体フレーム1に設けられたフック部(図示せず)と、連結部11の前端側の上部に設けられた連結機構13と、連結機構13に備えられた開閉可能なフック14が係脱可能に係合するように車体フレーム1に設けられた連結軸15とによって行なわれる。
【0028】
バックホウ作業部20は、
図1に示すように、連結部11の後部に左右揺動可能に支持されたスイングブラケット21と、スイングブラケット21に上下揺動可能に支持されたブーム22と、ブーム22の先端部に上下揺動可能に支持されたアーム23と、アーム23の先端部に揺動可能に支持されたバケット24とを備えている。連結部11の左右の端部からスタビライザー25を上昇格納姿勢と、下降使用姿勢とにわたって上下揺動操作可能に延出してある。連結部11と、スイングブラケット21とにわたってスイングシリンダ26を連結してある。スイングブラケット21と、ブーム22とにわたってブームシリンダ27を連結してある。ブーム22と、アーム23とにわたってアームシリンダ28を連結してある。バケット24とアーム23の先端部とにわたってリンク機構29を装着してある。リンク機構29と、アーム23とにわたってバケットシリンダ30を連結してある。
【0029】
図1に示すように、連結部11には、連結部11の上部に形成した操縦ステップ31と、操縦ステップ31に立設した操縦塔32とを設けてある。操縦塔32の上部に左右一対の操作レバー33を揺動操作可能に設け、左右の操作レバー33によってバックホウ作業部20を操作するように構成してあり、具体的には、次の如く構成してある。
【0030】
操縦塔32には、
図2に示すように、第1フレーム34と、第1フレーム34の両横側に左右のサイドフレーム部35aが分かれて位置する第2フレーム35と、第1フレーム34及び第2フレーム35を覆うカバー36とを備えてある。第2フレーム35には、左右のサイドフレーム部35aの上端部に連なったトップフレーム部35bを備えてある。カバー36には、第1フレーム34及び第2フレーム35の下部を覆う筒状の下カバー部36aと、第1フレーム34及び第2フレーム35の上部を覆う上カバー部36bとを備えてある。
【0031】
図2に示すように、第1フレーム34の上端部にボス部37を形成してある。左の操作レバー33は、
図2,4に示すように、先端側がトップフレーム部35bのレバー穴、及び、上カバー部36bのレバー穴を通って操縦塔32の内部から外部に上方向きに長く突出する状態でボス部37に支持されている。
【0032】
図2,4に示すように、左の操作レバー33の基部33aを、横向き支軸38及び中間支持体39を介してボス部37に支持してある。中間支持体39には、基部33aを両横側から挟む二又部39aと、二又部39aから車体後方向きに延出した前後向き支軸39bとを備えてある。二又部39aと基部33aとは、横向き支軸38を介して相対回転可能に連結してある。前後向き支軸39bは、ボス部37にベアリング40を介して相対回転可能に支持されている。
【0033】
左の操作レバー33は、前後向き支軸39bの車体前後方向に延びる軸芯を第1揺動中心Xにして車体横方向に揺動操作できるように、かつ横向き支軸38の車体横方向に延びる軸芯を第2揺動中心Yにして車体前後方向に揺動操作できるように支持されている。操作レバー33は、いわゆる十字揺動操作が可能になっている。
【0034】
図2,4,5に示すように、中間支持体39に、第1揺動中心Xに対して車体横側に偏倚した第1出力部41を形成してある。第1出力部41は、操縦塔32の下方に位置するスイングシリンダ26の制御弁43の操作部43aに連動ロッド44によって連動連結されている。基部33aに、第2揺動中心Yに対して車体後方側に偏倚した第2出力部45を形成してある。第2出力部45は、操縦塔32の下方に位置するアームシリンダ28の制御弁46の操作部46aに連動ロッド47によって連動連結されている。制御弁43及び制御弁46は、制御弁ユニット42に備えられている。制御弁ユニット42は、連結部11のフレーム部11aに支持されている。
【0035】
図示しないが、右の操作レバー33は、左の操作レバー33の支持構造と同じ構成を備えた支持構造によって第1フレーム34に左右揺動操作及び前後揺動操作が可能に支持されている。右の操作レバー33は、制御弁ユニット42に備えられたブームシリンダ27及びバケットシリンダ30の制御弁に、左の操作レバー33の連結構造と同じ構成を備えた連結構造によって連動連結されている。
【0036】
バックホウ作業部20を操作する場合、運転座席7を車体に対して前向きの取付け姿勢から車体に対して後向きの取付け姿勢に姿勢変更して使用する。そして、左の操作レバー33を中立位置に対して車体横方向に揺動操作することにより、中間支持体39が第1揺動中心Xを揺動中心として操作レバー33と共に揺動して第1出力部41が連動ロッド44を昇降操作し、制御弁43が連動ロッド44によって切換え操作されてスイングシリンダ26を制御し、スイングシリンダ26が伸縮作動してスイングブラケット21を左右に揺動操作し、ブーム22、アーム23及びバケット24を一体的に車体左右方向に揺動させることができる。
【0037】
左の操作レバー33を中立位置に対して車体前後方向に揺動操作することにより、第2出力部45が第2揺動中心Yを揺動中心にして操作レバー33と共に揺動して連動ロッド47を昇降操作し、制御弁46が連動ロッド47によって切換え操作されてアームシリンダ28を制御し、アームシリンダ28が伸縮作動してアーム23を揺動操作し、アーム23を上下揺動させることができる。
【0038】
右の操作レバー33を中立位置に対して車体横方向にあるいは車体前後方向に揺動操作することにより、ブームシリンダ27が伸縮作動してブーム22を揺動操作し、ブーム22を上下揺動させることができ、バケットシリンダ30が伸縮作動してリンク機構29を操作し、バケット24を揺動させることができる。
【0039】
図2に示すように、操縦塔32にロック機構50を内装してある。操縦塔32の車体右横側の横外側部に配備してある揺動レバー51(操作具に相当、
図1,6参照)を操作することにより、左の操作レバー33をロック機構50によって中立位置に固定したり、左の操作レバー33のロック機構50による中立固定を解除したりできるように構成してあり、具体的には、次の如く構成してある。
【0040】
ロック機構50は、
図2,5に示すように、左の操作レバー33の基部33aに設けられた係止部52と、係止部52に係脱可能なロックスプール53とを備えている。
【0041】
図2,7に示すように、係止部52には、下向きに開口した係合穴54を形成してある。係合穴54の入口部分54aは、先広がり形状に形成してある。係合穴54のうちの入口部分54aより奥側に位置する奥側部分54bは、円筒周面形状に形成してある。
【0042】
ロックスプール53は、
図2,5に示すように、第1フレーム34が備える支持部55に上下スライド可能に支持されている。ロックスプール53の上端部53a(端部に相当)は、係合穴54に係入可能な丸軸部56に構成してある。丸軸部56の先端部分56aは、先細り形状に形成してある。丸軸部56のうちの先端部分56aより下側に位置する下側部分56bは、円筒周面形状に形成してある。
【0043】
図2,5に示すように、ロックスプール53が上昇ロック位置に上昇操作されると、丸軸部56の下側部分56bが係合穴54の奥側部分54bに入り込むまで丸軸部56が係合穴54に係入することによって上端部53aが係止部52に係合し、係止部52の第1揺動中心Xを揺動中心とする揺動、及び係止部52の第2揺動中心Yを揺動中心とする揺動が不能になるように、ロックスプール53が係止部52を揺動不能に固定し、ロック機構50が操作レバー33を中立位置に固定するようロック状態になる。
【0044】
上端部53aが係止部52に係合しようとするとき、操作レバー33が中立位置に対して少し位置ずれしていて、
図8に示すように、係止部52と上端部53aとが芯ずれ状態の位置関係にあっても、丸軸部56の先端部分56aの先細りと、係合穴54の入口部分54aの先広がりとによって先端部分56aが係合穴54に入り込む。この後、丸軸部56が係合穴54の奥側へ入り込んで行くと、丸軸部56の円筒周面形状の下側部分56bと、係合穴54の円筒周面形状の奥側部分54bとが対向するので、丸軸部56が係止部52と上端部53aとの芯ずれを修正しつつ係合穴54の奥へ入って行き、ロック機構50は、中立位置に対して位置ずれしていた操作レバー33を中立位置に修正して固定する。
【0045】
図3に示すように、ロックスプール53が下降解除位置に下降操作されると、丸軸部56が係合穴54から抜け出て上端部53aが係止部52との係合を解除して、ロックスプール53が係止部52の固定を解除し、ロック機構50が操作レバー33の中立固定を解除するようロック解除状態になる。
【0046】
支持部55に、ロックスプール53を上昇ロック位置及び下降解除位置に位置決めするデテント機構57を装備してある。デテント機構57は、
図2に示すように、ロックスプール53が上昇ロック位置に位置すると、位置決め球体57aをロックスプール53の環状凹部53bに係入させて、ロックスプール53を上昇ロック位置に位置決めする。デテント機構57は、
図3に示すように、ロックスプール53が下降解除位置に位置すると、位置決め球体57aをロックスプール53の環状凹部53cに係入させて、ロックスプール53を下降解除位置に位置決めする。
【0047】
図2,5,6に示すように、ロック機構50の回転操作軸58を第1フレーム34に形成した支持部59に相対回転可能に支持してある。回転操作軸58の端部に相対回転不能に設けたアーム部58aをロックスプール53に連結ピン60を介して相対揺動のみ可能に係合させてある。回転操作軸58のうちの下カバー部36aの車体右横側の横外側に突出している端部に揺動レバー51を連結してある。
【0048】
回転操作軸58と揺動レバー51との連結は、
図5,6に示すように、回転操作軸58に相対回転可能かつスライド可能に外嵌するよう構成した状態で揺動レバー51に相対回転不能に備えさせた連結筒部51aと、連結筒部51aに開口した長穴形のピン孔51bにスライド可能に係入した状態で回転操作軸58に装着した連結ピン61とによって連結してある。したがって、揺動レバー51は、回転操作軸58に相対回転不能に支持され、かつピン孔51bの範囲内でスライド可能に支持されている。本実施例では、揺動レバー51は、回転操作軸58から車体後方向きに延出している。揺動レバー51は、回転操作軸58から車体前方向きに延出可能である。
【0049】
図6に示すように、操縦塔32における下カバー部36aに、揺動レバー51を案内するレバーガイド62を支持してある。レバーガイド62には、
図7に示すように、レバーガイド62のうちの操縦塔側寄りの部位に形成した切換えガイド溝63と、切換えガイド溝63の操縦塔側とは反対の横側に設けた係止部64と、切換えガイド溝63の一端部から係止部64におけるロック係止部64aに臨む操作位置に至るロックガイド溝65と、切換えガイド溝63の他端部から係止部64における解除係止部64bに臨む操作位置に至る解除ガイド溝66とを備えてある。切換えガイド溝63の一端部、及び、ロックガイド溝65は、揺動レバー51の操作域のうちのロック操作域67に揺動レバー51を位置させるべく揺動レバー51対して案内作用するよう構成してある。切換えガイド溝63の他端部、及び、解除ガイド溝66は、揺動レバー51の操作域のうちのロック解除操作域68に揺動レバー51を位置させるべく揺動レバー51に対して案内作用するよう構成してある。
【0050】
揺動レバー51を切換えガイド溝63に位置させ、回転操作軸58の軸芯を揺動支点にして、切換えガイド溝63によって案内させて、切換えガイド溝63の一端部へ揺動操作すると、揺動レバー51は、切換えガイド溝63の案内によってロック操作域67の一端部に位置して回転操作軸58をロック側に回転操作し、ロックスプール53がアーム部58aによって上昇ロック位置に上昇操作され、ロック機構50がロック状態になる。このとき、操作レバー33が中立位置に対して少し位置ずれしていても、丸軸部56の係合穴54への入り込みによって係止部52と丸軸部56との芯ずれが修正され、操作レバー33は、中立位置に修正されて固定される。
【0051】
操作レバー33が中立位置に固定されると、揺動レバー51を回転操作軸58に沿わせて、ロックガイド溝65に案内させて、ロックガイド溝65の切換えガイド溝側と反対側の端部へスライド操作すると、揺動レバー51は、ロックガイド溝65による案内によってロック操作域67の端部に位置し、この位置にロック係止部64aによって係止され、ロック機構50をロック状態に保持でき、かつ、揺動レバー51がロック解除操作域68に切り換わることを防止できる。
【0052】
揺動レバー51を切換えガイド溝63に位置させ、回転操作軸58の軸芯を揺動支点にして、切換えガイド溝63によって案内させて、切換えガイド溝63の他端部へ揺動操作すると、揺動レバー51は、切換えガイド溝63の案内によってロック解除操作域68の一端部に位置して回転操作軸58をロック解除側に回転操作し、ロックスプール53がアーム部58aによって下降解除位置に下降操作され、ロック機構50がロック解除状態になる。
【0053】
操作レバー33の中立固定が解除されると、揺動レバー51を回転操作軸58に沿わせて、解除ガイド溝66に案内させて、解除ガイド溝66の切換えガイド溝側と反対側の端部へスライド操作すると、揺動レバー51は、解除ガイド溝66による案内によってロック解除操作域68の端部に位置し、この位置に解除係止部64bによって係止され、ロック機構50をロック解除状態に保持でき、かつ、揺動レバー51がロック操作域67に切り換わることを防止できる。
【0054】
〔別実施形態〕
(1)
図9は、第1の別実施構造を備えたロック機構70を示す後面図、
図10は、第1の別実施構造を備えたロック機構70を示す平面図、
図11は、第1の別実施構造を備えたロック機構70を示す右側面図である。
図9,10,11に示すように、第1の別実施構造を備えたロック機構70では、操作レバー33の基部33aから下向きに延出したアーム形の係止部71と、係止部71に係脱するロックアーム72とを備えている。係止部71は、車体前後方向視で屈曲した形状のアーム部材によって構成され、係止部71の延出端側が基端側に対して車体横外側に偏倚している。
【0055】
ロックアーム72は、回転操作軸73を介して支持部59に支持されている。回転操作軸73のうち、操縦塔32の横外側に突出している端部につまみ形の回転操作部材74(操作具に相当)を相対回転不能に支持してある。
【0056】
回転操作部材74の回転操作によって回転操作軸73がロック側に回転操作されると、ロックアーム72が回転操作軸73よって下降ロック位置に揺動操作され、ロックアーム72のフック部72aが係止部71のピン部71aに上方から係合してロックアーム72が係止部71に係合し、係止部71がロックアーム72によって揺動不能に固定されることにより、ロック機構70は、操作レバー33を中立位置に固定するようロック状態になる。
【0057】
回転操作部材74の回転操作によって回転操作軸73が解除側に回転操作されると、ロックアーム72が回転操作軸73によって上昇解除位置に操作され、フック部72aがピン部71aから離脱してロックアーム72が係止部71との係合を解除し、ロックアーム72による係止部71の固定が解除されることにより、ロック機構70は、ロック解除状態になる。ロックアーム72が上昇解除位置に操作された場合、ロックアーム72に固定してある支持ピン72bがバネ板製のキャッチャー75に支持され、ロックアーム72を上昇解除位置に保持できる。
【0058】
(2)
図12は、第2の別実施構造を備えたロック機構80を示す後面図である。
図13は、第2の別実施構造を備えたロック機構80を示す左側面図である。
図12,13に示すように、第2の別実施構造を備えたロック機構80では、操作レバー33の基部33aから下向きに直線状(非屈曲状態)で延出したアーム部材によって係止部81を構成してある。ロックアーム82は、回転操作部材74の回転操作による回転操作軸73の回転操作によって上昇ロック位置と下降解除位置とに切り換え操作される。ロックアーム82は、上昇ロック位置に操作されると、フック部82aが係止部81のピン部81aに下方から係合する。
【0059】
(3)上記した実施例では、揺動レバー51及び回転操作部材74を操縦塔32の車体右横側の横外側部に配備した例を示したが、車体左横側の横外側部に配備してもよい。
【0060】
(4)上記した実施例では、バックホウ作業部20を操作する左右一対の操作レバー33のうち、スイングブラケット21及びアーム23を操作する操作レバー33だけを中立位置にロックするよう構成した例を示したが、両方の操作レバー33を中立位置に固定するよう構成してもよい。
【0061】
(5)上記した実施例ではロックスプール53が上下スライド可能に支持される例を示したが、前後方向にあるいは左右方向にスライド可能に支持してもよい。
【0062】
(6)上記した実施例では、係止部52に係合穴54を形成し、係合穴54に係入する丸軸部56をロックスプール53に設けた例を示したが、係合穴54をロックスプール53に形成し、丸軸部56を係止部52に設けてもよい。
【0063】
(7)上記した実施例では、レバーガイド62を操縦塔32に支持した例を示したが、操縦ステップ31に立設した支持部材など、専用の支持部材に支持してもよい。