【解決手段】3次元網状構造体2と、3次元網状構造体2の外周面を被覆するフィルタ材3と、フィルタ材3の外周面を被覆する網体4と、を備えた透水性のドレイン管1であって、フィルタ材3の外周面と網体4の内周面とが熱溶融によって接着されている第1接着部と、3次元網状構造体2の外周面とフィルタ材3の内周面とが熱溶融によって接着されている第2接着部とを備えるドレイン管とする。
前記ドレイン管の両端には、前記3次元網状構造体の外周面に連結部材が取り付けられる環状溝が設けられており、前記フィルタ材は前記環状溝の間で前記3次元網状構造体の外周面を被覆し、前記フィルタ材は前記環状溝の間で前記網体は前記フィルタ材の外周面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のドレイン管。
3次元網状構造体と、前記3次元網状構造体の外周面を被覆するフィルタ材と、前記フィルタ材の外周面を被覆する網体と、を備えた透水性のドレイン管の製造方法であって、
前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面との接着工程が熱溶融によって行われており、
前記3次元網状構造体の外周面と前記フィルタ材の内周面との接着工程が熱溶融によって行われていることを特徴とするドレイン管の製造方法。
前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面との接着工程が行われた後、前記3次元網状構造体の外周面と前記フィルタ材の内周面との接着工程が行われることを特徴とする請求項4に記載のドレイン管の製造方法。
【背景技術】
【0002】
大きな地震が起こると、砂地地盤等では液状化が発生し、この結果、ライフラインの断絶、構造物の沈下及び倒壊等の被害を受けることになりかねない。
近年、この液状化を防ぐために、地盤の浅い部分の地下水を抜いて地下水位を低下させ、非液状化層の厚みを増大し、地下水位以深の液状化層への拘束圧を増強して液状化を抑制する地下水位低下工法が注目されている。
地下水位を低下させるためには、多孔のドレイン管を地中に埋設し、地中の雨水や湧水をドレイン管内に集めて排出するのが一般的である。
【0003】
地中にドレイン管を埋設する方法としては、推進工法等で埋設された鞘管にドレイン管を挿入した後に、鞘管を引き抜いてドレイン管を残置する工法がある。このドレイン管としては、ポリプロピレンのような熱可塑性樹脂の3次元網状構造体を筒形の壁に成形したものがある。このようなドレイン管を用いることとで、相当程度の土被り厚さによる圧力に耐えることができる(特許文献1)。
【0004】
このドレイン管は、3次元網状構造体の外周面がフィルタ材で被覆され、さらにその外周面が網体で被覆されている。フィルタ材は、地中に埋設したドレイン管内に砂等が侵入してすぐに目詰まりして透水性が阻害されてしまうのを防止するために採用されている。網体は、ドレイン管を鞘管内へ挿入するときに、フィルタ材が鞘管内面との摩擦によりめくり上がって押し縮められるのを防止するために採用されている。
【0005】
このフィルタ材および網体による被覆は、3次元網状構造体にフィルタ材および網体を固定しなければならない。この固定には、3次元網状構造体の外周面にフィルタ材、網体を順に巻いた後に、ビニルテープ等を巻いて留める方法やバンドや紐等を巻いて締める方法(固定部材による方法)で行われる。また、接着剤によって固定する方法も行われる。
なお、フィルタ材および網材の双方を巻いた後に固定するだけでなく、フィルタ材を固定した後に、網材を固定する方法も適宜行われる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。具体的な数値はすべてこの実施例においてのものであり、実際には各種の条件に拠る。
本発明に係るドレイン管1を
図1に示す。
ドレイン管1は、ポリプロピレンの熱可塑性樹脂の3次元網状構造体2を外径400mm、内径220mmの筒形の壁に成形してあり、長さ1mである。このドレイン管1が複数接続されて地下排水工が構成される。
この3次元網状構造体2は、前記樹脂による直径約2mmのストランド(紐状体)を絡ませて、ストランドどうしの接点を接合したものである。この構造を有する管は耐圧強度が高く、土被り厚さ7m程度の圧力に耐えることができる。
【0020】
ドレイン管1には、両端部の外周囲にそれぞれ2条の環状溝5が形成され、また、両端部の環状溝5間で後述する連結部材(連結外筒8)が設置される以外の部分の外周面が透水性のフィルタ材3で被覆され、さらに、その外周面が硬質樹脂製の網体4で被覆されている。
フィルタ材3により、地中に埋設したドレイン管1内に砂等が侵入してすぐに目詰まりして透水性が阻害されてしまうのが防止される。網体4により、ドレイン管1を後述する鞘管200内へ挿入するときや鞘管200を引き抜くときに、フィルタ材3の先端部等が鞘管200内面との摩擦によりめくり上がって押し縮められるのが防止される。
フィルタ材3は、ポリプロピレンの不織布であって、その厚さは被覆した状態で1.0mm程度である。網体4は、ポリプロピレンの熱可塑性樹脂であって、その厚さは被覆した状態で1mm程度である。また、網体4の開口は5mm程度で、フィルタ材3より開口率が大きい。フィルタ材3は、3次元網状構造体2および網体4よりも開口寸法が小さい(目が細かい)。
【0021】
フィルタ材3は、3次元網状構造体2の外周面を被覆して固定されており、網体4は、その外周面を被覆して固定されている。この固定は、それぞれの接面が熱溶着によって行われている。具体的には、フィルタ材3の外周面と網体4の内周面とが接着する部分(第1接着部)は、網体4の内周面側を熱で溶融させることでフィルタ材3と接着されている。フィルタ材3の内周面と3次元網状構造体2の外周面とが接着する部分(第2接着部)については、3次元網状構造体2の外周面側を熱で溶融させることでフィルタ材3と接着されている。このように、接着の際に溶融させる部分を開口寸法が小さい(目が細かい)フィルタ材3を避けているので、フィルタ材3が目詰まりせずにドレイン管1の透水性が確保できる。
【0022】
接着剤を用いるのではなく、熱溶着による接着部であるので、接着剤に含まれる有害物質もなく、また、開口部に接着剤がはみ出してしまうこともなく、この点でも透水性が確保できる。
フィルタ材3および網体4の内周面で熱溶着による接着部があるので、ビニルテープやバンド等による固定方法のように、ドレイン管1の外周に凸部が生じず、作業の支障が生じない。
【0023】
ドレイン管1のフィルタ材3および網体4で被覆されていない端部どうしは、
図2(A)、(B)に示すように、連結部材を用いて結合される。連結部材には、連結外筒8と連結内筒7とがある。
連結外筒8は、変形し難い硬質合成樹脂を素材とし、内周面に断面四角形の連結部材環状突条8dを、この実施例において4条形成しており、
図2(C)に示すように、横断面を2分割した一対の半割8a、8bより成る。
突き合わせたドレイン管1どうしの端部間に連結外筒8の半割8a、8bが被せられ、ドレイン管1の3次元網状構造体2に形成された環状溝5に連結部材環状突条8dを合わせ、さらに連結部材環状突条8dの外面側の連結部材環状溝8cにバンド9が巻き付けられて連結外筒8が取り付けられる。
【0024】
連結外筒8は、径方向外側から簡単にドレイン管1の突き合わせ部分の外周面に被せることができ、作業が簡単である。また、突き合わせ部分の外周面に連結外筒8を被せてドレイン管1を連結してあるので、地震等の際にせん断力が加わってもドレイン管1の突き合わせ部分がずれ難い。さらに、断面四角形の環状溝5に断面四角形の連結部材環状突条8dを嵌合させて取り付けてあるため、引っ張り強度も高い。そして、半割8a,8bとした連結外筒8は、取付け易く、また、成形しやすい。
連結外筒8は、半割とせず、側面を1か所で軸方向に切断した形状とし、切断した端部を両側へ開くようにしてドレイン管1の端部を挟み付けるようにして取付けることもできる。
【0025】
連結内筒7は、
図2(B)に示すように、連結部材としての連結外筒8に併用しても良いもので、補助的な連結部材である。連結内筒7は、薄く強度が高い硬質合成樹脂製であり、
図1(B)に示すように、その両端部に複数の係止爪7aが形成されている。係止爪7aは、先端が軸方向中央部に向くよう外側へ傾斜させて切起こしてあり、連結内筒7の端部をドレイン管1の3次元網状構造体2の内周面へ挿入すると、連結内筒7をドレイン管1から引き抜こうとしても、前記係止爪7aがドレイン管1の3次元網状構造体2の内周面に食い込んで抜くことはできず、抜け止めとなる。この連結内筒7の内径は、緊結パイプ6の外径より大きい。連結内筒7の併用で、接合強度がさらに高まる。
【0026】
緊結パイプ6は、
図1に示すように、ドレイン管1の3次元網状構造体2の内周面に挿入されて、鞘管200に挿入されるものであり、後に引き抜かれるものである。その外径は、3次元網状構造体2の内径に対応するものであり、連結内筒7を採用する場合には隙間を確保するように設定する。緊結パイプ6とドレイン管1とは、鞘管200に挿入でき、緊結パイプ6を引き抜くのに支障にならないように適宜固定することが望ましい。
【0027】
3次元網状構造体2にフィルタ材3および網体4を熱溶着により被覆して、ドレイン管1を製造する方法を
図3(A)により説明する。
全体のフローとしては、フィルタ材3と網体4とを熱溶着し、必要な長さに切断し、網体4が接着されたフィルタ材3と3次元網状構造体2とを熱溶着する。この工程に用いられる製造装置は、第1加熱ローラ10a、第2加熱ローラ10b、第1圧着ローラ11a、11b、第2圧着ローラ11c、テンションローラ12a〜12c、ガイドローラ13a〜13g、カバー14a、14bを備える。
【0028】
ロールにされたフィルタ材3および網材4がセットされる。ロールから引き出されたフィルタ材3は、テンションローラ12cによりテンションが調整され第1圧着ローラ11a、11bに送られる。
ロールから引き出された網材4は、テンションローラ12a、12bによりテンションが調整され、第1加熱ローラ10aで加熱され溶融される。
図3(A)における下側、ドレイン管1となる場合の内側面から溶融される。第1加熱ローラ10aは、ポリプロピレンの場合(この網材4の融点は180〜200℃程度と想定)、200〜230℃程度に加熱される。溶融された網材4は、第1圧着ローラ11a、11bに送られる。
【0029】
第1圧着ローラ11a、11bにより、フィルタ材3と網材4とが圧着される。第1圧着ローラ11a、11bは、その隙間を調整することができる。単に圧着するだけでなく、溶融した網材4の厚さをもとの厚さより薄くしながら、フィルタ材3に接着させることもできる。このようにすると、
図3(B)に示すように、網材4を構成する線材4aの断面を扁平させることができるので、鞘管200との摩擦抵抗もさらに軽減させることができる。
図3(B)の上図は線材4aの断面が円形である場合であり、下図は線材4aの断面が矩形である場合を示す。図中4bは、網材4の開口である。扁平になると、開口4bの面積が減少するので、圧着により網材4を薄くする際には、それを考慮して設定する。
接着させる箇所は、全体でも構わないが、一部であっても良い。全体にした方が弛みが少なくなる。一部を接着させる場合には、第1加熱ローラ10aの幅や加熱領域を調整して行う。また、連結外筒8(連結部材)との境界部となる端部まで熱溶着させると、この部分による引っかかりやめくれを少なくすることができるが、必ずこの部分まで熱溶着させる必要があるわけではない。
【0030】
溶着されて一体化したフィルタ材3と網体4とは、ガイドローラ13a、13bで送り出されて切断される。切断は、3次元網状構造体2の外周の長さに合わせて切断される。
切断されたフィルタ材3と網体4とは、ガイドローラ13c、13dで第2圧着ローラ11cに送られる。
【0031】
3次元網状構造体2が回転可能に支持されており、その回転に合わせて、第2加熱ローラ10bが回転できるようになっている。第2加熱ローラ10bで、3次元網状構造体2の外周面が加熱されて溶融される。溶融された外周面に一体化されたフィルタ材3と網体4とが、第2圧着ローラ11cによって圧着される。第2加熱ローラ10bは、ポリプロピレンの場合(この3次元網状構造体2の融点は180〜200℃程度と想定)、200〜230℃程度に加熱される。
圧着されたフィルタ材3と網体4は、ガイドローラ13e、13f、13gにより3次元網状構造体2の外周面に沿うようにガイドされる。3次元網状構造体2の外周面全面にフィルタ材3と網体4が圧着されれば、回転を止めて、フィルタ材3と網体4で被覆された3次元網状構造体2であるドレイン管1を取り出す。
接着させる箇所は、全体でも構わないが、一部であっても良い。全体にした方が弛みを少なくすることができる。一部を接着させる場合には、第2加熱ローラ10bの幅や加熱領域を調整して行う。また、連結外筒8(連結部材)が覆う境界部まで熱溶着させると、この部分による引っかかりやめくれを少なくすることができるが、必ずこの部分まで熱溶着させる必要があるわけではない。圧着に際しては、3次元網状構造体2の開口が必要以上に減少してしまわないように配慮する。
【0032】
この実施形態では、3次元網状構造体2、フィルタ材3および網体4の素材をポリプロピレンで統一した。このようにすると、熱溶着を行った際に、素材が同じであるので、接着強度も高くすることができる。しかしながら、そこまで強度を求めないのであれば、素材を異ならせても良い。
【0033】
ドレイン管1の3次元網状構造体2に形成された環状溝5は、ドレイン管1の壁を構成する3次元網状構造体2の外周面を熱溶融させて形成される。
環状溝5を形成するには、
図4および
図5に示す加工装置100を用いる。
加工装置100は、対向して立設された前部支持台101及び後部支持台102と、前部支持台101と後部支持台102の間に設置された管受け台103と、前部支持台101と管受け台103の間において、前部支持台101近傍の上方に上下揺動可能に設けられた加熱ローラ104を備える。
【0034】
後部支持台102は前部支持台101に対して遠近に移動が可能であり、前部支持台101及び後部支持台102の対向面にはそれぞれ回転盤105を設けてある。前後の回転盤105の対向する面には複数の支持爪106を突出し、前部支持台101の回転盤105はモータ107で回転駆動されるようになっている。
図5(A)に示すように、管受け台103の上端には断面半円形の受け部108が設けられ、受け部108の上面には複数の支持ローラ109が周方向に等間隔で設置されている。
【0035】
加熱ローラ104は、中空の円筒形であり、外周囲には断面四角形のフランジ113が2条形成されている(
図5(B))。
また、加熱ローラ104は、支柱110から上下揺動可能に張り出した揺動アーム111の先端に取り付けられ、揺動アーム111に連結したチェーン112を巻き上げることにより上昇し、チェーン112を巻き戻すと自重で下降するようになっている。加熱ローラ104の下方には、加熱ローラ104の下限位置を規制するストッパ114を設けてある(
図5(A))。ストッパ114は上下に位置を調節可能とされている。
加熱ローラ104の内部にはヒータ115を搭載してあり、加熱ローラ104全体を3次元網状構造体2の素材である熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱できるようになっている(
図5(B))。
【0036】
加工装置100で環状溝5を形成するには、まず、後部支持台102を後退させて前部支持台101から遠ざけておき、
図4および
図5(A)に示すように、管受け台103の支持ローラ109の上に3次元網状構造体2(フィルタ材3と網体4で被覆されていない状態のドレイン管1)を載せる。
次いで、後部支持台102を前進させて前部支持台101と後部支持台102で3次元網状構造体2を挟み、前部支持台101及び後部支持台102の支持爪106を3次元網状構造体2の両端面に食い込ませる。
この状態で前部支持台101の回転盤105を回転させると、3次元網状構造体2及び後部支持台102の回転盤105が回転する。
【0037】
次に、加熱ローラ104を下降させて、加熱ローラ104のフランジ113を3次元網状構造体2の外周面に押し当てる。3次元網状構造体2の外周面において加熱ローラ104が当った部分は、加熱ローラ104の熱(例えば、ポリプロピレンの場合200〜230℃程度)で溶融されて陥没し、加熱ローラ104は次第に下降する。
この時、3次元網状構造体2は回転しているので、3次元網状構造体2の外周には周方向に沿って溝が形成される。加熱ローラ104の接触で溶融した樹脂ストランドが加熱ローラ104に付着するような場合は、薄い耐熱性フィルムやアルミホイル等を巻き付けてから押圧する。
加熱ローラ104は、フランジ113よりも内側の部分が3次元網状構造体2に接触しない高さでストッパ114により下降が制限され、3次元網状構造体2の一端部にフランジ113の断面と同形状の環状溝5が2条形成される。ストッパ114の高さを調節することで環状溝5の深さを調節できる。また、3次元網状構造体2の管径が変わった場合にも適応できる。
なお、環状溝5が形成される速度は、紐状ストランドの太さや密度、気温による。
【0038】
3次元網状構造体2の一端部に環状溝5を形成した後、加熱ローラ104を上昇させると共に、後部支持台102を後退させて3次元網状構造体2を解放し、さらに、3次元網状構造体2を前後逆にして加工装置100にセットし、同様にして3次元網状構造体2の他端部にも2条の環状溝5を形成する。加熱ローラ104を3次元網状構造体2の両端部に相当する箇所に配置しておけば、3次元網状構造体2を前後逆に置き直す必要はない。
このように熱溶融によって環状溝5を形成するので、切削屑が出ず、また、環状溝5を形成した部分の強度が低下しない。むしろ、環状溝5の内面は樹脂ストランドが溶けて、溝面に露出するストランド端面同士をつなぎ合わされて強度が向上する。さらに、溝面が平坦となって連結外筒8の連結部材環状突条8dをしっかり嵌合することができる。
このため、ドレイン管1間の連結箇所は強固に連結される。
本実施形態では、フィルタ材3と網体4とで3次元網状構造体2を被覆する前に、環状溝5を形成した。しかしながら、これに限定されず、環状溝5を形成した後に、フィルタ材3と網体4とで3次元網状構造体2を被覆するようにしても良い。
【0039】
次に、ドレイン管1の設置方法を
図6〜
図8とともに説明する。ドレイン管1は、予め埋設された鞘管200に挿入された後、鞘管200が引き抜かれることで設置される。
図6に示すように、発進立坑201から到達立坑202との間に、推進機203によって埋設された鞘管200にドレイン管1を発進立坑201側から挿入していく。図中201a、202aは、発進立坑201の発進坑口、到達立坑202の到達坑口にそれぞれ取り付けられた坑口機材である。
【0040】
ドレイン管1と緊結パイプ6を準備し、ドレイン管1の内側に緊結パイプ6を挿入して取付ける。緊結パイプ6は、連結する緊結パイプ6の雌ネジ部6bに螺合させるために雄ネジ部6aをドレイン管1の一端から突出させておく(
図6(C))。
緊結パイプ6を備えたドレイン管1を発進立坑201から鞘管200内に、ドレイン管1の端部どうし及び緊結パイプ6の端部どうしを順次接続しながら押し込み、発進立坑201と到達立坑202の間にドレイン管1と緊結パイプ6を挿入配置する。ドレイン管1の端部どうしの連結は、上述した連結部材(連結外筒8、連結内筒7)を用いて連結する。
この際には、網体4、フィルタ材3、3次元網状構造体2とが熱溶着されているので、外周面には、凸部も弛みもないので、鞘管200との抵抗も少ない。また、引っかかることや、網体4、フィルタ材3がめくれることもない。よって、作業効率が向上する。
【0041】
ドレイン管1を鞘管200内に押し込む際に、ドレイン管1の先端側外周囲に、生物分解性滑材(プラスチックを素材とするグリス)を盛り付けておいても良い。このグリスは、ドレイン管1を鞘管200内に押し込む際に鞘管200の内面に当たって均され、ドレイン管1の外周面全面に塗布される。この結果、施工中にドレイン管1内へ泥水が侵入するのを防ぐことができ、また、鞘管200に対するドレイン管1の滑りをさらに良くする。
このグリスはドレイン管1が地中に埋設された後、土中の生物により分解されて消失するので、グリスによってドレイン管1の集水機能が阻害される恐れはなく、また、環境が汚染される心配もない。
【0042】
以下、
図7を参照する。配置した緊結パイプ6の端部であって発進坑口から突出した部分に発進側緊結ナット206を螺合し、坑口機材201aに当接させる。また、緊結パイプ6の到達立坑202側の端部にシールヘッド207を取り付けてドレイン管1の到達立坑202側の面に当接させ、これを緊結パイプ6に螺合させた到達側緊結ナット208で固定する。これにより、ドレイン管1が鞘管200内を発進立坑201側および到達立坑202側へ移動できないようにされる。
【0043】
鞘管200の発進立坑201側端部(最後部)の周縁にテールシール205をネジと金属バンドを使って取り付ける。テールシール205は、可撓性と伸縮性を有する軟質合成樹脂を素材とし、後端に向かって次第に径小となるテーパー筒状である。テールシール205の末端部の内径はドレイン管1の外径よりも小さな直径とされ、ドレイン管1の外周面に接するようになっている。
【0044】
発進立坑201から緊結パイプ6内にプッシュロッド209を順次接続しながら押し込み挿入して、プッシュロッド209を到達立坑202に到達させる。
図7(B)に示すように、プッシュロッド209は緊結パイプ6の内面に当接して移動するスペーサ210を有する。
到達立坑202側では、鞘管200の先端とプッシュロッド209の先端とを鞘管押出金具204に連結する。
【0045】
プッシュロッド209を推進機203で押すと、鞘管200が到達立坑202に引き抜かれる。このとき、ドレイン管1は緊結パイプ6とともに到達立坑202側への移動ができないようにされているので、鞘管200の移動と共にドレイン管1が到達立坑202側へ引きずられてくることはない。
この鞘管200の引き抜き作業の際にも、網体4、フィルタ材3、3次元網状構造体2とが熱溶着されているので、外周面には、凸部も弛みもないので、鞘管200との抵抗も少ない。また、引っかかることや、網体4、フィルタ材3がめくれることもない。よって、作業効率が向上する。
【0046】
また、
図7(C)に示すように、鞘管200の後部ではテールシール205がその後縁部でドレイン管1の周面に接しながら移動する。すなわち、鞘管200が引き抜かれるにつれて湧水と共に土砂がドレイン管1と鞘管200との間に入り込むのが防止される。これにより、ドレイン管1と鞘管200との間に入り込んだ土砂によって引抜きの際の摩擦が増大して、プッシュロッド209を押す推進機203に過大な負荷がかかったり、鞘管200を移動させること自体が不能になったりすることを防止できる。
本発明のドレイン管1は、網体4、フィルタ材3、3次元網状構造体2とが熱溶着されているので、外周面には、凸部も弛みもなく、テールシール205とも関係においても、テールシール205に引っかかったり、抵抗も少なくなる。
【0047】
到達立坑202内に引き抜かれてくる鞘管200とプッシュロッド209を、鞘管押出金具204を付け替えてながら、それぞれ分解して回収する。そして、最後の鞘管200をテールシール205とともに回収する。
その結果、緊結パイプ6を備えたドレイン管1が残置される。
【0048】
以下、
図8を参照する。発進側緊結ナット206、到達側緊結ナット208およびシールヘッド207を取り外し、緊結パイプ6とドレイン管1との拘束を解除する。
プッシュロッド209の先端と緊結パイプ6の先端を緊結パイプ引出し金具211で連繋し、推進機203で引き作動させる。すると、プッシュロッド209は発進立坑201側へ引き出され、緊結パイプ6とプッシュロッド209はドレイン管1から発進立坑201に引き出される。そして、発進立坑201側で緊結パイプ6とプッシュロッド209を分解して回収する。
その工程を繰り返して、発進立坑201と到達立坑202間にドレイン管1のみを残置する。このようにして、ドレイン管1が埋設される。
【0049】
本発明は上記実施例に限定されない。
本実施形態では、ドレイン管1を埋設された鞘管200に挿入し、鞘管200を引き抜くことでドレイン管1を地中に埋設するものであった。しかしながら、鞘管200を設けないで、開削によって直接ドレイン管1を埋設する場合であっても本発明を適用できる。
その際には、本発明のドレイン管1は、埋設後においても網体4、フィルタ材3、3次元網状構造体2とが熱溶着されているので、接着剤のはみ出しによる透水性の低下も生じず、十分な排水機能を確保することができるという効果に注目して適用することができる。
また、網体4は、鞘管200からフィルタ材3を保護する機能であるが、開削で用いる際には、ドレイン管1の強度を確保するためや、運搬中の保護の効果に注目して適用することができる。
例えば、網体4を生物分解性のもので形成してもよい。そのようにすると、さきのグリスと同様に、ドレイン管1が地中に埋設された後、土中の生物により分解されて消失するので、ドレイン管1の集水機能も確保され、また、環境が汚染される心配もない。
請求項1に係る発明は、3次元網状構造体と、前記3次元網状構造体の外周面を被覆するフィルタ材と、前記フィルタ材の外周面を被覆する網体と、を備えた透水性のドレイン管であって、前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面とが熱溶融によって接着されている第1接着部と、前記3次元網状構造体の外周面と前記フィルタ材の内周面とが熱溶融によって接着されている第2接着部と、
請求項4に係る発明は、3次元網状構造体と、前記3次元網状構造体の外周面を被覆するフィルタ材と、前記フィルタ材の外周面を被覆する網体と、を備えた透水性のドレイン管の製造方法であって、前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面との接着工程が熱溶融によって行われており、前記3次元網状構造体の外周面と前記フィルタ材の内周面との接着工程が熱溶融によって行われて
に係る発明によれば、ドレイン管の鞘管への挿入や鞘管の引き抜きの際に、引っかかり抵抗となり、作業性が低下することを防止することができる。網体やフィルタ材が外れることを防止することができる。熱溶着によるため、接着剤がはみ出すようなことがなく開口面積を確保することができるので被覆による透水性が低下しない。連結部材との境界付近においても、網体やフィルタ材が外れることを防止することができる。
3次元網状構造体と、前記3次元網状構造体の外周面を被覆するフィルタ材と、前記フィルタ材の外周面を被覆する網体と、を備えた透水性のドレイン管の製造方法であって、
前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面との接着工程が熱溶融によって行われており、
前記3次元網状構造体の外周面と前記フィルタ材の内周面との接着工程が熱溶融によって行われており、
前記フィルタ材の外周面と前記網体の内周面との接着工程は、前記網体の内周面を熱溶融するとともに前記網体の線材の断面を扁平させることによって行われることを特徴とするドレイン管の製造方法。