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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223156(P2017-223156A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20171124BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171124BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20171124BHJP
   F02D 41/38 20060101ALI20171124BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20171124BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20171124BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20171124BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   F01N3/20 CZAB
   F01N3/08 A
   F02D41/04 375
   F02D41/38 B
   F02D41/40 C
   F01N3/20 B
   F02D43/00 301H
   F02D43/00 301J
   F02D43/00 301T
   F02D45/00 314Z
   B01D53/94 222
   B01D53/94 241
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-119043(P2016-119043)
(22)【出願日】2016年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】津田 正広
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 誠人
(72)【発明者】
【氏名】中本 圭太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 浩司
【テーマコード(参考)】
3G091
3G301
3G384
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB06
3G091AB13
3G091BA04
3G091BA11
3G091BA14
3G091BA33
3G091CA18
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3G091EA05
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3G091HA37
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3G301LB11
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3G384AA03
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4D148AA06
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4D148BB02
4D148CA01
4D148CC32
4D148CC47
4D148EA04
(57)【要約】
【課題】熱劣化及びスリップガスを抑制するパージ処理を可能にする。
【解決手段】ポスト噴射を制御して、NOx吸蔵還元触媒11に吸着されている硫黄を除去するSパージ制御が可能な内燃機関の排気浄化装置において、エンジンコントロールユニット30は、Sパージ制御におけるポスト噴射を、噴射時期が異なる第1のポスト噴射と第2のポスト噴射を併用して行なわせるとともに、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合を推定し、劣化度合が進むに連れて噴射時期の早い第1のポスト噴射の噴射量比を増加させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の窒素酸化物を吸蔵する排気浄化触媒と、
前記内燃機関の燃料噴射手段による主噴射後に実行するポスト噴射を制御して、前記排気浄化触媒に流入する排気の空燃比をリッチにするとともに前記排気浄化触媒の温度を所定値以上にして、前記排気浄化触媒に吸着されている排気成分を前記排気浄化触媒から除去するパージ制御を実行するパージ制御部と、
前記排気浄化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定部と、を備え、
前記パージ制御部は、第1のポスト噴射と噴射時期が前記第1のポスト噴射より遅い第2のポスト噴射とを選択的に或いは併用して前記パージ制御を実行し、
前記パージ制御部は、前記劣化度合に基づいて、前記第1のポスト噴射及び前記第2のポスト噴射の噴射量比を変更する、または、前記第1のポスト噴射及び前記第2のポスト噴射のうち少なくともいずれか一方の噴射時期を変更するように制御することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記パージ制御部は、前記劣化度合が増加するに伴って、前記噴射量比を前記第1のポスト噴射の燃料噴射量の割合が増加するように変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記パージ制御部は、前記劣化度合が増加するに伴って、前記第2のポスト噴射の噴射時期を進角させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記パージ制御部は、前記劣化度合が所定度合以上劣化した際に、前記第2のポスト噴射の噴射量を0として前記第1のポスト噴射で前記ポスト噴射を実行させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置のパージ制御に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気通路には、排気を浄化するための排気浄化装置が備えられている。例えば、内燃機関の排気中のNOx(窒素酸化物)を浄化するために、NOx吸蔵還元触媒等の排気浄化触媒が開発されている。
排気通路にNOx吸蔵還元触媒を備えた内燃機関では、NOx吸蔵還元触媒に吸着した硫黄を除去するために、内燃機関の燃料噴射制御等によって排気をリッチ空燃比とするとともに、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気の温度を上昇させるSパージが必要に応じて行われる。
【0003】
例えば、引用文献1には、内燃機関の排気通路にNOx吸蔵還元触媒が備えられた筒内噴射型内燃機関が記載されており、排気温度を上昇させる手法として、圧縮行程に燃料を噴射する主噴射の他に膨張行程において燃料を噴射する副噴射(ポスト噴射)を行ない、未燃燃料を排気通路に排出して、排気通路や触媒等で燃焼させて排気温度を昇温させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−87792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排気通路にNOx吸蔵還元触媒及びディーゼルパティキュレートフィルタを備えたディーゼルエンジンにおいて、排気系の最前段にNOx吸蔵還元触媒を備えたものがある。このような内燃機関では、上記のようにSパージを行なった際に、NOx吸蔵還元触媒に未燃燃料が到達し、NOx吸蔵還元触媒に担持されている貴金属と反応して未燃燃料が酸化して、NOx吸蔵還元触媒の温度が上昇するが、燃料噴射量をデユーティ制御した場合にパルス状の燃料噴射に伴って、NOx吸蔵還元触媒の温度が高温域で変動することになる。Sパージを実行する際にNOx吸蔵還元触媒を温度上昇させることは必要であるものの、高温域での温度変動は、過度な温度上昇を招き、NOx吸蔵還元触媒の熱劣化を促進させてしまう虞がある。
【0006】
また、Sパージを行なった際には、NOx吸蔵還元触媒に吸着されている硫黄が二酸化硫黄(SO)や硫化水素(HS)として下流に放出されるが、このNOx吸蔵還元触媒から放出されるスリップガスを抑制することが望ましく特にHSの放出を抑えることが望ましい。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、排気通路に排気浄化触媒を備えた内燃機関において、パージ処理時に排気浄化触媒における過度な温度上昇を抑えて熱劣化を抑制するとともに、スリップガスの放出を抑制するパージ制御が可能な排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の窒素酸化物を吸蔵する排気浄化触媒と、前記内燃機関の燃料噴射手段による主噴射後に実行するポスト噴射を制御して、前記排気浄化触媒に流入する排気の空燃比をリッチにするとともに前記排気浄化触媒の温度を所定値以上にして、前記排気浄化触媒に吸着されている排気成分を前記排気浄化触媒から除去するパージ制御を実行するパージ制御部と、前記排気浄化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定部と、を備え、前記パージ制御部は、第1のポスト噴射と噴射時期が前記第1のポスト噴射より遅い第2のポスト噴射とを選択的に或いは併用して前記パージ制御を実行し、前記パージ制御部は、前記劣化度合に基づいて、前記第1のポスト噴射及び前記第2のポスト噴射の噴射量比を変更する、または、前記第1のポスト噴射及び前記第2のポスト噴射のうち少なくともいずれか一方の噴射時期を変更するように制御することを特徴とする。
【0008】
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記劣化度合が増加するに伴って、前記噴射量比を前記第1のポスト噴射の燃料噴射量の割合が増加するように変更するとよい。
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記劣化度合が増加するに伴って、前記第2のポスト噴射の噴射時期を進角させるとよい。
また、好ましくは、前記パージ制御部は、前記劣化度合が所定度合以上劣化した際に、前記第2のポスト噴射量を0として前記第1のポスト噴射で前記ポスト噴射を実行させるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、排気浄化触媒の劣化度合に基づいて、第1のポスト噴射及び第2のポスト噴射を制御するので、パージ制御において排気浄化触媒に流入させる燃料由来の還元剤を制御して、排気浄化触媒の温度上昇及び排気浄化触媒から放出されるスリップガスの成分を制御することができる。したがって、排気浄化触媒の劣化度合に適したパージ制御を行い、排気浄化触媒の過度な温度上昇を抑えて排気浄化触媒の更なる劣化を抑制するとともに、環境性能の優れたパージ制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの吸排気系の概略構成図である。
図2】エンジンコントロールユニットにおけるSパージ制御手順を示すフローチャートである
図3】Sパージにおける各ポスト噴射モードでの燃料噴射タイミングを示すタイムチャートである。
図4】各ポスト噴射モードでのNOx吸蔵還元触媒温度、HS、SOの放出量の推移の一例を示すグラフである。
図5】アーリーモードによるSパージでの触媒劣化度合に対するHS、SOの放出量を示すグラフである。
図6】コンビネーションモードによるSパージでの触媒劣化度合に対するHS、SOの放出量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の排気浄化装置1が適用されたディーゼルエンジン(内燃機関:以下、エンジン2という)の吸排気系の概略構成図である。
エンジン2は、走行駆動源として車両に搭載されており、多気筒の筒内直接噴射式エンジンであって、図1では簡略して1つの気筒のみ記載している。エンジン2は、各気筒に設けられた筒内燃料噴射弁3(燃料噴射手段)から、任意の噴射時期及び噴射量で各気筒の燃焼室4内に燃料を噴射可能な構成となっている。
【0012】
エンジン2の吸気通路5には、新気の流量を調整するための電子制御スロットルバルブ6が設けられている。
エンジン2の排気通路10には、エンジン2から下流に向かって順番に、NOx吸蔵還元触媒11(排気浄化触媒)、ディーゼルパティキュレートフィルタ12が設けられている。NOx吸蔵還元触媒11及びディーゼルパティキュレートフィルタ12は、エンジン2の排気ポート13に近接して配置されている。
【0013】
NOx吸蔵還元触媒11は、例えば、白金(Pt),パラジウム(Pd)等の貴金属を含んだ担体に、バリウム(Ba),カリウム(K)等のNOx吸蔵剤を担持させて構成されており、リーン空燃比雰囲気(酸化雰囲気)下でNOx(窒素酸化物)を捕捉する一方、リッチ空燃比雰囲気(還元雰囲気)下で、捕捉しているNOxを放出し、排気中のHC(炭化水素:未燃燃料)、CO(一酸化炭素)と反応させて還元する機能を有している。
【0014】
ディーゼルパティキュレートフィルタ12は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖して、排気中のPMを捕集する機能を有しており、更に、通路を形成する多孔質の壁に白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
更に、エンジン2には、エンジン2の回転速度を検出する回転速度センサ20が設けられている。エンジン2の吸気通路5には、吸気流量を検出するエアフローセンサ21が設けられている。
【0015】
エンジン2の排気通路10には、NOx吸蔵還元触媒11の上流側に排気空燃比を検出する上流側空燃比センサ22と、排気温度を検出する上流側排気温度センサ23が設けられている。また、ディーゼルパティキュレートフィルタ12の下流側の排気通路10には、排気空燃比を検出する下流側空燃比センサ24が設けられている。
エンジンコントロールユニット30(パージ制御部、劣化度合推定部)は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成され、回転速度センサ20、エアフローセンサ21、上流側空燃比センサ22、上流側排気温度センサ23、下流側空燃比センサ24等の各種センサの検出情報と、その他車両のアクセル操作量等の車両運転情報を入力し、当該各種情報に基づいて、筒内燃料噴射弁3からの燃料噴射量及び燃料噴射時期、電子制御スロットルバルブ6の開度を演算して、上記各種機器の作動制御を行うことで、エンジン2の運転制御を行う。
【0016】
また、エンジンコントロールユニット30は、エンジン2の出力に係るメイン噴射(主噴射)の後に実行するポスト噴射により排気空燃比を低下させることで、NOx吸蔵還元触媒11に吸蔵したNOxを除去するNOxパージと、ポスト噴射により排気空燃比を低下させるとともに、未燃燃料を排気通路10に排出し、排気通路10やNOx吸蔵還元触媒11において燃焼(酸化)させて、NOx吸蔵還元触媒11の温度を上昇させることで、NOx吸蔵還元触媒11に吸着した硫黄(排気成分)を除去するSパージとが可能となっている。
【0017】
なお、エンジンコントロールユニット30は、Sパージ等において、筒内燃料噴射弁3を制御して燃料噴射をパルス状に行なわせ、デューティ比の制御により燃料噴射量を制御する。
次に、図2を用いて、本実施形態のエンジンコントロールユニット30におけるSパージの制御について説明する。図2は、エンジンコントロールユニット30において実行するSパージ制御手順を示すフローチャートである
図2に示す制御は、例えばエンジン運転中に所定時間経過毎に行なわれる。
【0018】
始めにステップS10では、NOx吸蔵還元触媒11のS被毒量を推定する。S被毒量は、NOx吸蔵還元触媒11における排気中の硫黄成分の吸着量であり、例えば前回のSパージからのエンジン2の運転積算時間や燃料噴射量の積算量等に基づいて推定すればよい。なお、本ステップにおける制御が本発明の劣化度合推定部に該当する。そして、ステップS20に進む。
【0019】
ステップS20では、Sパージが必要か否かを判別する。ステップS10において推定されたS被毒量が上限値近辺に設定された閾値を超えている場合には、Sパージが必要であると判定し、S被毒量が閾値以下である場合には、Sパージが必要でないと判定する。そして、Sパージが必要であると判定した場合には、ステップS30に進む。Sパージが必要でないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。
【0020】
ステップS30では、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合(触媒劣化度合)を求める劣化推定を行なう。NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合は、例えばエンジン運転積算時間や積算走行距離等に基づいて求めればよい。あるいは、例えば特開2012−036762号公報に記載されているように、ポスト噴射をしてNOx吸蔵還元触媒11の下流側の空燃比の変化状況に基づいてNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合を求めて記憶しておき、次回のエンジン始動時に劣化推定をする場合等に用いてもよい。そして、ステップS40に進む。
【0021】
ステップS40では、ステップS30において推定したNOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいて、Sパージにおけるポスト噴射モードを設定する。
図3は、Sパージにおける各ポスト噴射モードでの燃料噴射タイミングを示すタイムチャートである。
図3に示すように、Sパージにおいては、プレ噴射及びメイン噴射の後にポスト噴射を行なう。本実施形態では、Sパージの際に、ポスト噴射として、同一のサイクルにおいて噴射時期の異なる第1のポスト噴射及び第2のポスト噴射を選択的に、あるいは併用して実行される。
【0022】
そして、触媒劣化度合に基づいて第1のポスト噴射と第2のポスト噴射との噴射量比(燃料噴射量比)を変更する制御を行なう。なお、1回のSパージにおける第1のポスト噴射と第2のポスト噴射との合計燃料噴射量は、あらかじめ設定されている。そして、第1のポスト噴射と第2のポスト噴射の噴射量比を変更することで、アーリーモード及びコンビネーションモードが可能となっている。
【0023】
アーリーモードでは、プレ噴射及びメイン噴射の後に第1のポスト噴射のみ行なう。第1のポスト噴射では、メイン噴射の終了後、比較的直ぐ、エンジン2の排気弁の開弁直前(例えばATDC(上死点後)45度付近)に筒内燃料噴射弁3から燃料を噴射する。この第1のポスト噴射により噴射された燃料が不完全燃焼して、排気温度を上昇させるとともに、COの排出量が増加する。
【0024】
コンビネーションモードでは、プレ噴射及びメイン噴射の後に第1のポスト噴射を行なうとともに、第1のポスト噴射の後に第2のポスト噴射も行なう。第2のポスト噴射は、エンジン2の排気弁が開弁してから(例えばATDC160度付近で)噴射し、未燃燃料(HC)の排出量が増加する。
なお、図3には、参考としてレイトモードでの燃料噴射時期も記載されている。レイトモードでは、プレ噴射及びメイン噴射の後に第2のポスト噴射のみ行なう。
【0025】
本実施形態では、触媒劣化度合が低い場合にコンビネーションモードとし、触媒劣化度合が増加するに伴って、第2のポスト噴射の噴射量比を増加して、触媒劣化度合が高い場合にアーリーモードとする。なお、本実施形態では、触媒劣化度合に基づいて、第1のポスト噴射と第2のポスト噴射との噴射量比を連続的に変化させる。触媒劣化度合が適宜設定された所定値以上に劣化している場合にはアーリーモードに、触媒劣化度合が所定値未満である場合にはコンビネーションモードというように2段階に切換えてもよいし、その他多段階に噴射量比を変更してもよい。そして、ステップS50に進む。
【0026】
ステップS50では、ステップS40において設定したポスト噴射モードにより、Sパージを実行する。そして、本ルーチンを終了する。
図4は、各ポスト噴射モードでSパージを実行した際の、NOx吸蔵還元触媒11の入口温度及び中心温度、NOx吸蔵還元触媒11から排出される排気中の硫化水素(HS)濃度及び二酸化硫黄(SO)濃度、NOx吸蔵還元触媒11の前後での空燃比の推移を示すグラフである。
【0027】
アーリーモード及びコンビネーションモードでSパージを実行した場合には、レイトモードでの場合よりもNOx吸蔵還元触媒11の中心温度の変動が抑えられる。これは、レイトモードでは、第2のポスト噴射量が多いため、未燃燃料が多くNOx吸蔵還元触媒11に流入する。したがって、レイトモードでは、パルス状に噴射するポスト噴射に伴って、多くの未燃燃料がNOx吸蔵還元触媒11で酸化し、よってNOx吸蔵還元触媒11の中心部の温度が大きく振幅する。これに対し、アーリーモード及びコンビネーションモードではレイトモードよりも第2のポスト噴射量が少ないので、NOx吸蔵還元触媒11への未燃燃料の流入量が少なく、よってNOx吸蔵還元触媒11の中心部での温度の振幅が抑えられる。なお、アーリーモードやコンビネーションモードでは、第1のポスト噴射によってNOx吸蔵還元触媒11の上流側で燃料が一部燃焼することで、NOx吸蔵還元触媒11の入口温度は若干高く、中心部の温度はレイトモードと平均値が略同一であっても振幅は少ない。
【0028】
アーリーモードやコンビネーションモードでは、NOx吸蔵還元触媒11の中心部の温度の振幅が少ないことから、Sパージにおけるリーンインターバル(燃料噴射のインターバル)を短縮し、リッチ頻度を増加させることができる。これにより、アーリーモードやコンビネーションモードでは、レイトモードよりもSパージの開始から直ぐに硫黄成分の放出を促進させて、Sパージの実行時間を短縮させることができる。
【0029】
更に、コンビネーションモードよりもアーリーモードの方が、HSの放出量が多い。これは、コンビネーションモードよりもアーリーモードの方が第1のポスト噴射量が多いので、COが多くNOx吸蔵還元触媒11に流入するためである。
図5は、アーリーモードによるSパージでの触媒劣化度合に対する硫黄成分(HS及びSO)の放出量(S放出量)を示すグラフである。図6は、コンビネーションモードによるSパージでの触媒劣化度合に対する硫黄成分(HS及びSO)の放出量を示すグラフである。なお、図5、6中のハッチング部がHSの放出量を示し、その下に記載された無地部分がSOの放出量を示す。また、図5及び図6に示す硫黄成分の放出量は、Sパージを開始してから所定時間(例えば10分)経過後の硫黄成分の放出量を表している。
【0030】
図5に示すように、アーリーモードによるSパージでは、触媒劣化度合が増加すると、硫黄成分の放出量がわずかに増加する。これに対して、図6に示すように、コンビネーションモードによるSパージでは、触媒劣化度合が低いときに、硫黄成分の放出量、特にHSの放出量が大幅に少なく、触媒劣化度合が増加するに伴って硫黄成分の放出量が増加する。
【0031】
アーリーモードとコンビネーションモードを比較すると、触媒劣化度合が低いときにはコンビネーションモードの方が硫黄成分、特にHSの放出量が大幅に少ない。触媒劣化度合が高い場合には、アーリーモードとコンビネーションモードでは、硫黄成分の放出量は略同一である。
したがって、本実施形態のように、触媒劣化度合が低いときにコンビネーションモードにすることで、硫黄成分の放出量、特にHSの放出量を大幅に少なくすることができる。
【0032】
また、触媒劣化度合が高い場合には、アーリーモードとコンビネーションモードで硫黄成分の放出量が略同一であり、本実施形態ではアーリーモードにすることで、Sパージを実行した際に、還元性能の強いCOによってNOx吸蔵還元触媒11から硫黄成分を速やかに除去して燃料消費を抑制できるとともに、NOx吸蔵還元触媒11でのHCの燃焼を抑えて触媒温度の上昇を抑制し、Sパージの際でのNOx吸蔵還元触媒11の劣化を抑制することができる。
【0033】
更に、本実施形態では、劣化が進むに連れて第2のポスト噴射の噴射量比を連続的に低下させるので、劣化度合に応じてSパージにおけるポスト噴射モード、即ち第1のポスト噴射と第2のポスト噴射の噴射量比を適切に設定することができ、劣化度合に対応して適切なSパージを可能にすることができる。
また、劣化度合が増加した際、すなわち、所定度合以上劣化した際に、最終的にアーリーモードに、即ち第2のポスト噴射量を0にしており、Sパージにおける燃費の抑制及びNOx吸蔵還元触媒11の劣化を最大限抑制することができる。
【0034】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定するものではない。例えば、上記実施形態では、劣化度合に基づいて第1のポスト噴射と第2のポスト噴射の噴射量比を変更するが、第2のポスト噴射の噴射時期を変更してもよい。例えば、第1のポスト噴射と第2のポスト噴射との噴射量比は固定したまま、劣化度合が増加するに伴って第2のポスト噴射の噴射時期を進角させる。そして、劣化度合の最大増加時に第2のポスト噴射の噴射時期を第1のポスト噴射と同時期に、即ちアーリーモードにする。このように制御しても、第2のポスト噴射の噴射時期が進角するに伴って、第1のポスト噴射の噴射量比が増加することと同様に、Sパージにおける燃費の抑制及びNOx吸蔵還元触媒11の劣化を抑制することができる。したがって、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合が低いときには、Sパージ実行中でのHSの放出量を抑制するとともに、劣化度合が高いときにはNOx吸蔵還元触媒11の過度な温度上昇を抑えて劣化を抑制することができる。
【0035】
また、第1のポスト噴射と第2のポスト噴射との噴射量比、及び第2のポスト噴射の噴射時期の両方を、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に基づいて変化させてもよい。
また、本発明は、Sパージ以外にも、NOx吸蔵還元触媒11のNOxパージの際にも適用でき、NOx吸蔵還元触媒11の劣化度合に応じて、温度上昇を抑えるとともにスリップガスを抑えたNOxパージを実施することができる。
【0036】
本発明は、排気浄化装置として排気通路にNOx吸蔵還元触媒を備え、パージを行なうエンジンに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
2 エンジン(内燃機関)
3 筒内燃料噴射弁(燃料噴射手段)
11 NOx吸蔵還元触媒(排気浄化触媒)
30 エンジンコントロールユニット(パージ制御部、劣化度合推定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6