特開2017-223263(P2017-223263A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223263(P2017-223263A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20171124BHJP
   F25B 41/06 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   F16K31/04 Z
   F25B41/06 U
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-117840(P2016-117840)
(22)【出願日】2016年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
(72)【発明者】
【氏名】傳田 宏樹
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB11
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062FF41
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】最小弁開状態における流量の差が小さく省エネ性の高い電動弁を提供する。
【解決手段】ロータの回転運動を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とのネジ螺合により直線運動に変換し、この直線運動に基づいて弁本体内に収容された弁体5を軸方向に移動させる電動弁であって、前記弁体は、弁ポート21に挿入した場合に前記弁ポートの前記内周面との間に微小なクリアランス23を形成する不感態部52を備え、前記弁ポートに挿入された前記不感態部の高さHは、前記ネジ螺合時のネジガタh分の高さよりも高く形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの回転運動を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とのネジ螺合により直線運動に変換し、この直線運動に基づいて弁本体内に収容された弁体を軸方向に移動させる電動弁であって、
前記弁体は、弁ポートに挿入した場合に前記弁ポートの前記内周面との間に微小なクリアランスを形成する不感態部を備え、
前記弁ポートに挿入された前記不感態部の高さは、前記ネジ螺合時のネジガタ分の高さよりも高く形成されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が略平行であることを特徴とする請求項1記載の電動弁。
【請求項3】
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が平行であることを特徴とする請求項2記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルなどに使用される電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージエアコン、ルームエアコン、冷凍機などに用いられる電動弁が知られている(例えば、特許文献1)。この電動弁においては、図7に示すように、ステッピングモータが駆動してロータ103が回転すると、雌ねじ131aと雄ねじ121aのねじ送り作用により、動軸102を介して弁体114が円筒状のガイド113に沿って軸L方向に移動する。これにより、弁体114を開閉する調整がなされ、管継手111から流入して管継手112から流出する冷媒の流量が制御される。
【0003】
なお、この電動弁においては、弁体114を弁閉方向に最大限移動させた状態においても、弁ポート121と弁体114との間に僅かな隙間123が形成され、この時が最小弁開状態となるように設計がなされている。このため、最小弁開状態においても、流体がわずかに隙間123(図8参照)を通じて流れることが許容され、圧縮機の低周波数運転に追従した流量を確保することができる。また、冷媒が冷凍サイクル中を常に循環することが可能となるため、圧縮機の焼損を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−205565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、空調機や冷凍機には、省エネ性の向上が盛んに検討されており、冷凍回路に使用する電動弁においても同様の性能が求められている。ここで、省エネ性を向上させるために求められる性能としては、流路方向の正逆差の抑制、流量や弁開点のばらつきの低減などが挙げられる。特に空調機に用いられる電動弁は、上述した性能を考慮して制御する必要があるため、省エネ運転を実現するための制御が非常に難しくなってきている。
【0006】
なお、上述の特許文献1に記載された電動弁では、流体を正方向に通過させた場合と逆方向に通過させた場合とで流量特性が異なり、ネジガタh分(図2参照)だけ流量に差が生じる。具体的には、図8(a)に示すように、最小弁開状態において正方向に流体が流れた場合に比較して、図8(b)に示すように、最小弁開状態において逆方向に流体が流れた場合の方が、ネジガタh分だけ弁体114の位置が高くなり、隙間123が広くなる。
【0007】
ここで、図9は、パルスの印加量に対する流量の変化の関係を表すグラフである。図9において、グラフの横軸は、弁体114を移動させるためにステッピングモータに印加するパルスの印加量を表し、グラフの縦軸は、流量を表している。また、グラフの原点は、最小弁開状態を表している。図9によれば、逆方向に流体を通過させた場合の方が、正方向に流体を通過させた場合よりも最小弁開状態における流量がネジガタh分だけ増加することがわかる。
【0008】
このように、従来の電動弁においては、逆方向に流体を通過させた場合に最小弁開状態の流量が増加するため、流量増加によって大きく省エネ性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、最小弁開状態における流量の差が小さく省エネ性の高い電動弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の電動弁は、
ロータの回転運動を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とのネジ螺合により直線運動に変換し、この直線運動に基づいて弁本体内に収容された弁体を軸方向に移動させる電動弁であって、
前記弁体が、弁ポートに挿入された場合に前記弁ポートの前記内周面との間に微小なクリアランスを形成する不感態部を備え、
前記弁ポートに挿入された前記不感態部の高さが、前記ネジ螺合時のネジガタ分の高さよりも高く形成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差を抑制すことができる。したがって、逆方向に流体を通過させた場合に最小弁開状態の流量が増加して省エネ性が低下するという省エネ性の問題を改善することができる。
【0011】
また、本発明の電動弁は、
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が略平行であることを特徴とする。
【0012】
これにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差をさらに低減することができ、省エネ性の問題を大幅に改善することができる。
【0013】
また、本発明の電動弁は、
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が平行であることを特徴とする。
【0014】
これにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差をなくすことができ、省エネ性の問題を解決することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る発明によれば、最小弁開状態における流量の差が小さく省エネ性の高い電動弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る電動弁の断面図である。
図2】実施の形態に係る電動弁における雄ネジと雌ネジの螺合状態を示す図である。
図3】実施の形態に係る電動弁の要部拡大断面図である。
図4】実施の形態に係る電動弁の流量特性を比較した結果を示すグラフである。
図5】他の実施の形態に係る電動弁の要部拡大断面図である。
図6】他の実施の形態に係る電動弁の流量特性を比較した結果を示すグラフである。
図7】特開2007−205565号公報に開示されている従来の電動弁の断面図である。
図8】従来の電動弁の要部拡大断面図である。
図9】従来の電動弁の流量特性を比較した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施の形態に係る電動弁について説明する。図1は、実施の形態に係る電動弁を示した断面図である。なお、本明細書内で表記される、「上」、「下」とは、図1に示された状態における上下の方向を意味する。また、本明細書内に表記される、「正方向」とは、流体を継手管11から継手管12に向けて通過させた場合の方向を意味し、「逆方向」とは、流体を継手管12から継手管11に向けて通過させた場合の方向を意味する。
【0018】
この実施形態の電動弁100は、円筒形状の弁本体1を有し、弁本体1には円筒シリンダ状の弁室1Aが形成されている。また、弁本体1には、側面側から弁室1Aに連通する継手管11が取り付けられるとともに、弁室1Aの軸線L方向の片側端部に継手管12が取り付けられている。さらに、弁本体1には、継手管12の弁室1A側に弁座部材2が配設されている。弁座部材2はステンレスあるいは真鍮等により形成され、弁室1Aと継手管12とを連通する断面形状が円形の弁ポート21と弁ポート21より径の大きな副ポート22を有している。
【0019】
弁本体1の上部から弁室1A内には下端を弁座部材2に結合するようにして支持部材3が取り付けられている。支持部材3は弁本体1の上部開口に設けられた取付金具3aによって弁本体1に固定されている。支持部材3の上端には上に突出した固定下端ストッパSDが形成され、支持部材3の上端の外周縁には半径方向に突出した固定上端ストッパSUが形成されている。また、支持部材3の中心には、弁ポート21の軸線Lと同軸の雌ネジ31とそのネジ孔が形成されるとともに、雌ネジ31のネジ孔の外周よりも径の大きな円筒状のガイド孔32が形成されている。そして、この雌ネジ31のネジ孔とガイド孔32の中に円筒状の弁体保持部としてのオネジ軸4が配設されている。なお、支持部材3には、後述の弁体5が挿通される挿通孔34が形成されている。
【0020】
オネジ軸4はガイド孔32に整合する大径部41とこの大径部41より径の小さな小径部42とを有している。大径部41には円筒状のばね収容部41aが形成され、小径部42の中央にはスライド孔42aが形成されている。そして、ばね収容部41aからスライド孔42aにかけて弁体5が嵌挿されている。また、ばね収容部41a内には、ばね受43と、コイルばね44が配設され、ばね収容部41aの上端にばね受金具45を溶着することにより、コイルばね44は圧縮された状態で配設されている。また、小経部42の外周には雄ネジ42bが形成されており、この雄ネジ42bは支持部材3の雌ネジ31に螺合されている。なお、雄ネジ42bと雌ネジ31が螺合した場合、図2に示すように、雄ネジ42bのネジ山と雌ネジ31のネジ山との隙間にネジガタhが発生する。このネジガタについては、後に詳しく説明する。さらに、オネジ軸4の大径部41にはフランジ部41bが形成され、このフランジ部41bの一部には半径方向に切り欠かれた切り欠き部(図示せず)が形成されている。また、フランジ部41bの下面には可動下端ストッパMDが形成されている。
【0021】
弁本体1の上端には、図示しないステッピングモータのケース61が溶接等によって気密に固定されている。ケース61内には外周部を多極に着磁されたマグネットロータ62が回転可能に設けられている。また、ケース61の外周には、図示しないステータコイルが配設されており、ステッピングモータは、ステータコイルにパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ62を回転させる。マグネットロータ62は嵌合孔62aと回転止め部(図示せず)を有している。そして、嵌合孔62aをオネジ軸4の大径部41に嵌合するとともに、オネジ軸4のフランジ部41bの切り欠き部に回転止め部を係合させ、さらに、前記ばね受金具45を大径部41の端部に圧入し、溶着することにより、マグネットロータ62がオネジ軸4に固着されている。
【0022】
弁体5は、ステンレスあるいは真鍮等により形成され、下端の先端部51と、不感態部52と、円柱棒状のロッド部54とを有している。先端部51及び不感態部52については後に詳しく説明する。なお、本発明の電動弁100においては、可動下端ストッパMDと固定下端ストッパSDとが当接することによってマグネットロータ62の回動が規制されるため、弁体5を弁閉方向に最大限移動させた状態においても、弁体5と弁ポート21との間に僅かなクリアランスが形成される。
【0023】
また、弁体5は、ばね受43を介してコイルばね44により常時下方に付勢されている。また、弁体5はロッド部54が支持部材3の挿通孔34を介して弁座部材2まで延設されている。これにより弁体5は、弁座方向に付勢した状態でオネジ軸4に保持されている。また、弁体5はコイルばね44の付勢力に抗してオネジ軸4に対して軸線L方向に相対的に変位可能となっている。この相対的に変位可能な範囲は、ロッド部54の上端がばね収容部41aの底部に当接してコイルばね44が伸長した位置から、ロッド部54の上端がばね収容部41aの底部から上方に僅かに離間する位置までの範囲である。
【0024】
以上の構成により、マグネットロータ62の回転によってマグネットロータ62と共にオネジ軸4が回転し、オネジ軸4の雄ネジ42bと支持部材3の雌ネジ31のネジ送り作用により、オネジ軸4が軸方向(上下)に変位して弁体5の先端部51と不感態部52が弁座部材2の弁ポート21に対して進退する。これにより、弁ポート21の開度を変化させ、例えば継手管11から継手管12へ流れる冷媒の流量が制御される。なお、本電動弁100においては、弁体5によって弁ポート21が完全に塞がれることはなく、不感態部52が弁座部材2の弁ポート21内に位置した場合には、不感態部52と弁ポート21の間に僅かなクリアランスが生じた最小弁開状態となる。このため、弁体5を弁閉方向に最大限移動させた状態においても、流体がわずかにクリアランスを介して流れることが許容される。
【0025】
次に、実施の形態における電動弁100の要部について説明する。図3は、実施の形態に係る電動弁100の要部を拡大した断面図である。図3に示すように、弁体5の下端には、下方に向かって窄まるテーパー状の外周面を有する略円錐状の先端部51が形成されている。また、先端部51の上方には、弁ポート21の内周面と平行な外周面を有する不感態部52が先端部51と連続して形成されている。なお、不感態部52の高さは、図2に示す、ネジ螺合時のネジガタh分の高さよりも高くなるように形成されている。
【0026】
ここで、図3(a)は、最小弁開状態において、流体を正方向に通過させた場合を示す図である。一方、図3(b)は、最小弁開状態において、流体を逆方向に通過させた場合を示す図である。図3(a)に示すように、流体を正方向に通過させた場合には、流体の流れによる力や弁体5に作用する圧力差によって弁体5が下向きに押し下げられる。一方、図3(b)に示すように、流体を逆方向に通過させた場合には、流体によって弁体5が上向きに持ち上げられ、流体を正方向に通過させた場合よりも弁体5の位置がネジガタh分だけ高くなる。
【0027】
しかしながら、不感態部52は、弁ポート21の内周面と平行な外周面を有し、かつ高さがネジガタh分よりも高いことから、不感態部52の最下端と弁ポート21の上面との間の距離Hがネジガタhよりも大きくなる深さまで(H>h)弁体5を弁ポート21に挿入することにより(図3(a)参照)、最小弁開状態において流体を正方向に通過させた場合と、逆方向に通過させた場合とで、クリアランス23の間隔を変化させないようにすることができる。したがって、最小弁開状態においてクリアランス23を通過する流体の流量を一定にすることができる。
【0028】
図4は、パルスの印加量に対する流量の変化の関係を表すグラフである。図4において、グラフの横軸は、弁体5を移動させるためにステッピングモータに印加するパルスの印加量を表し、グラフの縦軸は、流量を表している。また、グラフの原点は、最小弁開状態を表している。
【0029】
最小弁開状態において、不感態部52の最下端と弁ポート21の上面との間の距離Hがネジガタhよりも大きくなる深さまで(H>h)弁体5を弁ポート21に挿入した場合、図4の円内に示すように、最小弁開状態においてクリアランス23を通過する流体の流量は、流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときで同じ流量になる。
【0030】
この実施の形態に係る電動弁100によれば、不感態部52の高さをネジ螺合時のネジガタh分の高さよりも高く形成することにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差を抑制することができる。かかる流量の差は、不感態部52の外周面を弁ポート21の内周面と平行になるように形成することによってなくすことができる。これにより、逆方向に流体を通過させた場合に最小弁開状態の流量が増加することによって大きく省エネ性が低下するという省エネ性の問題を解決することができる。
【0031】
次に、他の実施の形態に係る電動弁について説明する。この他の実施の形態に係る電動弁は、実施の形態において、不感態部52の外周面が若干の角度のテーパーを有するようにしたものである。従って、他の実施の形態では、実施の形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0032】
図5(a)は、流体を正方向に通過させた場合における、最小弁開状態の電動弁の要部を拡大した断面図であり、図5(b)は、流体を逆方向に通過させた場合における、最小弁開状態の電動弁の要部を拡大した断面図である。図5(a)、(b)に示すように、不感態部52´の外周面の傾斜角度βは、先端部51の外周面の傾斜角度αよりも小さくなるように形成されている(β<α)。
【0033】
この場合、最小弁開状態において流体を正方向に通過させた場合と、最小弁開状態において流体を逆方向に通過させた場合とで、クリアランス23の間隔が大きく変化しないようにすることができる。したがって、最小弁開状態においてクリアランス23を通過する流体の流量の変化を抑制することができる。
【0034】
図6は、他の実施の形態に係る電動弁を用いた場合のパルスの印加量に対する流量の変化の関係を表すグラフである。最小弁開状態において、不感態部52´の最下端と弁ポート21の上面との間の距離がネジガタhよりも大きくなるように弁体5を弁ポート21に挿入した場合(図5(a)参照)、図6に示すように、流体を正方向に通過させた場合と、流体を逆方向に通過させた場合とで生じる、最小弁開状態においてクリアランス23を通過する流体の流量の差を抑制することができる。
【0035】
この実施の形態に係る電動弁によれば、不感態部52´の高さをネジ螺合時のネジガタh分の高さよりも高く形成することにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差を抑制することができる。かかる流量の差は、不感態部52´の外周面を弁ポート21の内周面と略平行になるように形成することによってさらに低減することができる。これにより、逆方向に流体を通過させた場合に最小弁開状態の流量が増加することによって大きく省エネ性が低下するという省エネ性の問題を大幅に改善することができる。
【符号の説明】
【0036】
100 電動弁
1 弁本体
1A 弁室
2 弁座部材
3 支持部材
3a 取付金具
4 オネジ軸
5 弁体
21 弁ポート
23 クリアランス
31 雌ネジ
42b 雄ネジ
51 先端部
52 不感態部
54 ロッド部
62 マグネットロータ
h ネジガタ
H 不感態部の最下端と弁ポートの上面との距離
L 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2017年10月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの回転運動を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とのネジ螺合により直線運動に変換し、この直線運動に基づいて弁本体内に収容された弁体を軸方向に移動させる電動弁であって、
前記弁体は、弁ポートに挿入した場合に前記弁ポートの前記内周面との間に微小なクリアランスを形成する不感態部と、
前記不感態部と連続して形成されたテーパー状の外周面を有する先端部と
を備え、
前記弁ポートに挿入された前記不感態部の高さは、前記ネジ螺合時のネジガタ分の高さよりも高く形成されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が略平行であることを特徴とする請求項1記載の電動弁。
【請求項3】
前記不感態部の前記外周面と前記弁ポートの前記内周面が平行であることを特徴とする請求項2記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁体がステンレスまたは真鍮で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記弁本体に固定され、前記雌ネジ部材として機能する支持部材と、
前記ロータに固着され、前記雄ネジ部材として機能するオネジ軸と
を備え、
前記弁体は、前記弁本体に配設された弁座部材の方向に付勢した状態で前記オネジ軸に保持されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電動弁。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
従来、パッケージエアコン、ルームエアコン、冷凍機などに用いられる電動弁が知られている(例えば、特許文献1)。この電動弁においては、図7に示すように、ステッピングモータが駆動してロータ103が回転すると、雌ねじ131aと雄ねじ121aのねじ送り作用により、動軸102を介して弁体114が軸L方向に移動する。これにより、弁体114を開閉する調整がなされ、管継手111から流入して管継手112から流出する冷媒の流量が制御される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
なお、この電動弁においては、弁体114を弁閉方向に最大限移動させた状態においても、図8に示すように、弁ポート121と弁体114との間に僅かな隙間123が形成され、この時が最小弁開状態となるように設計がなされている。このため、最小弁開状態においても、流体がわずかに隙間123通じて流れることが許容され、圧縮機の低周波数運転に追従した流量を確保することができる。また、冷媒が冷凍サイクル中を常に循環することが可能となるため、圧縮機の焼損を防止することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の電動弁は、
ロータの回転運動を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とのネジ螺合により直線運動に変換し、この直線運動に基づいて弁本体内に収容された弁体を軸方向に移動させる電動弁であって、
前記弁体が、弁ポートに挿入された場合に前記弁ポートの前記内周面との間に微小なクリアランスを形成する不感態部と、
前記不感態部と連続して形成されたテーパー状の外周面を有する先端部と
を備え、
前記弁ポートに挿入された前記不感態部の高さが、前記ネジ螺合時のネジガタ分の高さよりも高く形成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
これにより、最小弁開状態において流体を正方向に通過させたときと、流体を逆方向に通過させたときの流量の差をなくすことができ、省エネ性の問題を解決することができる。
また、本発明の電動弁は、
前記弁体がステンレスまたは真鍮で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の電動弁は、
前記弁本体に固定され、前記雌ネジ部材として機能する支持部材と、
前記ロータに固着され、前記雄ネジ部材として機能するオネジ軸と
を備え、
前記弁体は、前記弁本体に配設された弁座部材の方向に付勢した状態で前記オネジ軸に保持されていることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
弁本体1の上端には、図示しないステッピングモータのケース61が溶接等によって気密に固定されている。ケース61内には外周部を多極に着磁されたマグネットロータ62が回転可能に設けられている。また、ケース61の外周には、図示しないステータコイルが配設されており、ステッピングモータは、ステータコイルにパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ62を回転させる。マグネットロータ62は嵌合孔62aと回転止め部(図示せず)を有している。そして、嵌合孔62aをオネジ軸4の大径部41に嵌合するとともに、オネジ軸4のフランジ部41bの切り欠き部に回転止め部を係合させ、さらに、ばね受金具45を大径部41の端部に圧入し、溶着することにより、マグネットロータ62がオネジ軸4に固着されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1