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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223397(P2017-223397A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/22 20060101AFI20171124BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20171124BHJP
   F28F 3/06 20060101ALI20171124BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   F28F9/22
   F28F3/08 301A
   F28F3/06 A
   F28D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-118171(P2016-118171)
(22)【出願日】2016年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 友規
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA17
3L103AA19
3L103AA35
3L103BB39
3L103CC09
3L103DD15
3L103DD18
3L103DD54
(57)【要約】
【課題】極低温状態でも伝熱流体の循環を促進させて伝熱流体の温度を速やかに上げることのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、伝熱流体Lが流れる流路Aを形成したコアユニット10と伝熱流体Lの熱を放出するアウタフィン20とが交互に複数積層され、コアユニット10の両端が積層方向に連通されている。少なくとも1つのコアユニット10は、第1のプレート11と第2のプレート12と隔壁13とインナフィン14とを備える。隔壁13は、流路Aを第1の流路A1と第2の流路A2に仕切るように第1のプレート11と第2のプレート12の間に配置され、第1の流路11を第2の流路12に連通させる連通部132を両端に有している。インナフィン14は、第1の流路A1の内部に配置されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱流体が流れる流路を形成したコアユニットと前記伝熱流体の熱を放出するアウタフィンとが交互に複数積層され前記コアユニットの両端が積層方向に連通された熱交換器であって、
少なくとも1つの前記コアユニットは、
前記積層方向に第1の側へ膨出した形状の第1のプレートと、
前記積層方向に前記第1の側と反対の第2の側へ膨出した形状の第2のプレートと、
前記伝熱流体が流される方向に沿って前記流路を第1の流路と第2の流路に仕切るように前記第1のプレートと前記第2のプレートの間に配置されて前記第1の流路を前記第2の流路に連通させる連通部を前記両端に有した隔壁と、
前記第1の流路の内部に配置されるインナフィンと、を備える
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記伝熱流体の一部が固体状になる低温状態での前記第1の流路の流動抵抗に対する前記第2の流路の流動抵抗の比が、前記伝熱流体が液体状である高温状態での前記第1の流路の流動抵抗に対する前記第2の流路の流動抵抗の比よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載された熱交換器。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記第2の流路の流路断面積よりも大きい流路断面積を有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された熱交換器。
【請求項4】
前記連通部は、前記第2の流路側へ延びた突出部を有している
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された熱交換器。
【請求項5】
前記隔壁は、前記第1のプレートと前記第2のプレートの接合面に沿って配置され、前記第1のプレート及び前記第2のプレートとともに外周縁で接合される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された熱交換器。
【請求項6】
前記隔壁は、前記第2のプレートと同形状であって、外周縁で前記第1のプレートに接合されるとともに前記第2の側に膨出した部分で前記第2のプレートに接合される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロンカップ式の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
偏平な流路を形成するコアユニットと波形に折り曲げられたフィンとを交互に複数積層して構成されたオイルクーラがある。例えば特許文献1に示すオイルクーラは、チューブ(コアユニット)の内部にもフィン(インナフィン)を有している。このインナフィンは、クランク状の凹凸を有する矩形の波形に成形され、オイルの流れを乱流に促進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−267384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オイルクーラが車両に搭載される場合、内燃機関が始動することでオイルが循環されるが、コアユニットの中を流れるオイルは、温度が極端に低下することによって粘性が高まり、流動抵抗が増す。特に、オイルクーラは外気と熱交換をすることでオイルの熱を排出するように構成されているので、寒冷地や極寒地の冬季には、オイルクーラが極低温に晒されることでオイルの一部が凍結してみぞれ状になることで流路の一部を閉塞させるなど、さらに流動性が悪くなり、オイルクーラの性能が著しく低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、極低温状態でも伝熱流体の循環を促進させて伝熱流体の温度を速やかに上げることのできる熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一実施形態の熱交換器は、伝熱流体が流れる流路を形成したコアユニットと伝熱流体の熱を放出するアウタフィンとが交互に複数積層され、コアユニットの両端が積層方向に連通されている。少なくとも1つのコアユニットは、第1のプレートと第2のプレートと隔壁とインナフィンとを備える。第1のプレートは、積層方向に第1の側へ膨出した形状である。第2のプレートは、積層方向に第1の側と反対の第2の側へ膨出した形状である。隔壁は、伝熱流体が流れる方向に沿って流路を第1の流路と第2の流路に仕切るように第1のプレートと第2のプレートの間に配置され、第1の流路を第2の流路に連通させる連通部を両端に有している。インナフィンは、第1の流路の内部に配置されている。
【0007】
このとき、熱交換器は、伝熱流体の一部が固体状になる低温状態での第1の流路の流動抵抗に対する第2の流路の流動抵抗の比が、伝熱流体が液体状である高温状態での第1の流路の流動抵抗に対する第2の流路の流動抵抗の比が小さい構造を有する。
【0008】
また、第1の流路は、第2の流路の流路断面積よりも大きい流路断面積を有することが好ましい。または、連通部分は、第2の流路側へ延びた突出部を有していることも好ましい。
【0009】
隔壁は、第1のプレートと第2のプレートの接合面に沿って配置され、第1のプレート及び第2のプレートともに外周縁で接合される。または、隔壁は、第2のプレートと同形状であって、外周縁で第1のプレートに接合されるとともに第2の側に膨出した部分で第2のプレートに接合される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態の熱交換器によれば、複数積層されたコアユニットのうちの少なくとも1つのコアユニットの第1のプレートと第2のプレートの間に隔壁を配置して流路を第1の流路と第2の流路に仕切り、第1の流路にはインナフィンを配置している。第1の流路と第2の流路が隔壁を挟んで並んでいるので、第2の流路から第1の流路へ隔壁を介して熱が伝わる。伝熱流体の一部が固体状になる低温状態において第1の流路の流動抵抗が高くなっても、温められた伝熱流体が第2の流路に流れることで第1の流路にも熱が伝わる。その結果、第1の流路の固体状になった伝熱流体を融解し、第1の流路にも伝熱流体が流れやすくなる。
【0011】
そして、コアユニットの内部を流れる伝熱流体の一部が固体状になる低温状態での第1の流路の流動抵抗に対する第2の流路の流動抵抗の比が、伝熱流体が液体状である高温状態での第1の流路の流動抵抗に対する第2の流路の流動抵抗の比よりも小さくなるよう構成された本発明の熱交換器によれば、低温状態において第1の流路の伝熱流体の一部が固体状になって伝熱流体が流れにくい場合は第2の流路に伝熱流体が流れ、高温状態では第1の流路に流れる伝熱流体が増える。第1の流路にはインナフィンが配置されており、伝熱流体の熱を効率よくコアユニットの外表面からアウタフィンを介して放熱させることができ、熱交換器としての性能が向上する。つまり、伝熱流体の循環が促進され、伝熱流体の温度が速やかに上昇する。そして、伝熱流体が温まり液体状になることで他のコアユニットにも安定して伝熱流体が流れるようになり、熱交換器としての性能が安定する。
【0012】
第1の流路の流路断面積が第2の流路の流路断面積よりも大きく構成される本発明の熱交換器によれば、高温状態において第1の流路に流れる伝熱流体の流量が増す。第1の流路にはインナフィンが設けられているので、熱伝達に寄与する伝熱流体の流量が増えることで、さらに熱交換器の性能が向上する。
【0013】
第2の流路側へ延びた突出部を連通部に有した本発明の熱交換器によれば、高温状態において伝熱流体が突出部によって第1の流路に流れるように案内され、第1の流路を流れる伝熱流体の割合が増す。第1の流路にはインナフィンが設けられているので、熱交換器としての性能が向上する。
【0014】
第1のプレートと第2のプレートの接合面に沿って隔壁が配置され、第1のプレート及び第2のプレートとともに外周縁で隔壁が接合されることとした本発明の熱交換器によれば、組立構造が簡単であり、製造コストも安価に抑えられる。
【0015】
さらに、隔壁を第1のプレートと同形状にし、外周縁で隔壁を第1のプレートに接合し、第2の側に膨出した部分で第2のプレートに接合されることとした本発明の熱交換器によれば、部品の種類を増やすことなく作ることができるので、製造コストを安価に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る第1の実施形態の熱交換器の正面図。
図2図1の熱交換器の一部の分解斜視図。
図3図1の熱交換器の一部を拡大した断面図。
図4】本発明に係る第2の実施形態の熱交換器の一部を拡大した断面図。
図5】本発明に係る第3の実施形態の熱交換器の一部を拡大した断面図。
図6】本発明に係る第4の実施形態の熱交換器の一部を拡大した断面図。
図7】本発明に係る第5の実施形態の熱交換器の一部を拡大した断面図。
図8】本発明に係る第6の実施形態の熱交換器の一部を拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る第1の実施形態の熱交換器1について、車両に搭載されるオイルクーラを例に、図1から図3を参照して説明する。図1に示す熱交換器1は、伝熱流体であるオイルLが流れる偏平な流路Aを形成したコアユニット10と、オイルLの熱をコアユニット10の外部へ放出させるアウタフィン20と、を交互に複数積層した構造である。コアユニット10及びアウタフィン20の両端は、積層方向に連通されており、一方の端部にオイルLの流入口2が設けられ、他方の端部にオイルLの流出口3が設けられている。
【0018】
図1では、積層方向に同じ側に流入口2及び流出口3が取付られているが、積層方向に反対側に配置されていてもよい。流入口2から供給されたオイルLは、積層された複数のコアユニット10のそれぞれに並列に流れ、流出口3から回収される。
【0019】
複数のコアユニット10のうち少なくとも1つのコアユニット10は、図2及び図3に示すように、第1のプレート11と第2のプレート12と隔壁13とインナフィン14とを含む。第1の実施形態では、積層方向に両端に位置するコアユニット10の外観形状が異なるものの、全てのコアユニット10が同じ内部構造を有している。
【0020】
図2は、積層されたコアユニット10のうち中間の3層の一方の端部を分解斜視図にして示す。図2において、図中の一番下に記載されたコアユニット10は組み合わさった状態であり、中段のコアユニット10は、オイルLが流れる方向及び積層方向に沿う平面で切断した断面を示しており、上段のコアユニット10は、中段のコアユニット10と同じ位置で断面にした状態でさらに積層方向に分解して示している。図3は、中間の3層のコアユニット10の一方の端部を、オイルLが流れる方向及び積層方向に沿う平面で切断した断面図である。
【0021】
第1のプレート11は、図2及び図3に示すように、積層方向へ第1の方向X1(図2及び図3において下方)へ膨出した形状であり、各図中において下側に配置されている。第2のプレート12は、積層方向に第1の方向とは逆方向の第2の方向X2(図2及び図3において上方)へ膨出した形状であり、各図中において上側に配置されている。
【0022】
本実施形態では、第1のプレート11と第2のプレート12は、同じ形状であり、外周縁111,121どうしが向き合うように配置される。第1のプレート11と第2のプレート12が同じ形状であることで、製造コストが軽減される。
【0023】
第1のプレート11及び第2のプレート12は、図1から図3に示すように、一定の幅のフランジ状の外周縁111,121を有している。第1のプレート11及び第2のプレート12の両端部は、中間部に比べて大きく膨出している。第1のプレートの11の両端部は、積層される隣のコアユニット10の第2のプレート12の両端部に対して外面で当接する。同様に第2のプレート12の両端部は、積層される隣のコアユニット10の第1のプレート11の両端部に外面で当接する。第1のプレート11及び第2のプレート12の両端部には、隣り合うコアユニット10に連通される貫通孔112,122をそれぞれに有している。なお、図3は、これら貫通孔112,122を通る断面を示している。
【0024】
さらに、外周縁111,121の端部は、図2及び図3に示すように組み合わされた状態で互いに離れる方向へ反り返ったヘム状のリブ113,123を有しており、第1のプレート11及び第2のプレート12が全体的に湾曲したり外周縁111,121が波打ったりしないように補強する。また外周縁111,121が一定の幅を輸していることで、組み立てる際の位置合わせを容易にし、かつ、組立公差を吸収しやすくする役割を有している。
【0025】
本実施形態では、図2に示すように、流路Aに沿ってオイルL流れる方向及び積層方向を横切る方向にコアユニット10が幅を有しているので、貫通孔112,122をそれぞれ2つずつ有している。コアユニット10の幅が小さければ、貫通孔112,122は1つであってもよし、幅がさらに大きければ、貫通孔112,122は2つ以上に分けられてもよい。貫通孔112,122を複数個に分けてその間にリガメント部(連結部)を設けることによって、オイルLの作動圧力によってコアユニット10の端部が変形することを防止できる。貫通孔112,122が複数設けられる場合、貫通孔112,122に対してオイルLが均等に分配されるように、整流板や分配板などを流入口2とコアユニット10との接続部に設けるとよい。
【0026】
隔壁13は、伝熱流体が流れる方向に沿って流路Aを第1の流路A1と第2の流路A2に仕切るように第1のプレート11と第2のプレート12の間に配置される。本実施形態では、第1のプレート11と第2のプレート12の接合面に沿って配置され、第1のプレート11及び第2のプレート12とともに外周縁131が三枚重ねに重ね合わされて接合される。また、隔壁13は、積層方向に第1のプレート11及び第2のプレート12の貫通孔112,122と同じ形状の連通部132を有している。
【0027】
インナフィン14は、第1の流路A1の中、すなわち第1のプレート11と隔壁13の間に配置され、第1の流路A1を通過するオイルLに接触する熱伝達面積を増やすとともにオイルLを攪拌することで、第1のプレート11を通してオイルLの熱をコアユニット10の外へ伝達する効率を向上させる。図2に示すように、インナフィン14は、オイルLの流れを横切る方向に配置された複数のフィン141を一定の間隔で互い違いに、いわゆる「千鳥配置」に配列した構造を有しており、一続きの材料をプレス成形によって立体的に折り曲げて造られている。伝熱流体であるオイルLは、フィン141に当たる度に横へ迂回するように流れることで、攪拌される。インナフィン14の形状は、伝熱流体が流れることで攪拌される形状であれば、図2に示した形状のものに限定されない。伝熱流体が流れる方向に沿ってフィン141が設けられていてもよい。
【0028】
アウタフィン20は、隣合うコアユニット10の第1のプレート11の中間部と第2のプレート12の中間部の間に挿嵌される。アウタフィン20は、ちょうどその寸法に治まるように蛇腹状に折り返された波形に形成され、オイルLの流れを横切る方向にコアユニット10の間を外気が通り抜ける。
【0029】
本実施形態の熱交換器1において、コアユニット10の第1のプレート11及び第2のプレート12は、外表面にロウ材がクラッドされたいわゆる「ブレージングシート」材を採用している。コアユニット10の各部材(第1のプレート11、第2のプレート12、隔壁13及びインナフィン14)及びアウタフィン20を全て重ね合せて仮組した状態で熱処理炉に入れて加熱し、第1のプレート11の外周縁111と隔壁13の外周縁131、第2のプレート12の外周縁121と隔壁13の外周縁131、第1のプレート11とアウタフィン20、第2のプレート12とアウタフィン20、第1のプレート11とインナフィン14、隔壁13とインナフィン14を一度にロウ付けする。なお、インナフィン14は、ロウ付けされるときにずれ動かないように、仮組する前に隔壁13に対して先にスポット溶接やレーザ溶接、リベット止め等その他の接合方法で取り付けられてもよい。
【0030】
以上のように構成された第1の実施形態の熱交換器1は、コアユニット10内の流路Aが隔壁13によって第1の流路A1と第2の流路A2に分けられ、第1の流路A1にインナフィン14を配置し、第2の流路A2にインナフィンを配置していない。流入口2から供給されるオイルLは、図3に矢印で示すように貫通孔112,122及び連通部132を通して各コアユニット10の流路Aへ供給される。
【0031】
本実施形態では隔壁13によって流路Aが第1の流路A1と第2の流路A2に分けられているので、それぞれの流路断面積と流動抵抗に応じてオイルLは、分流される。第1の流路A1を流れるオイルLの熱は、第1のプレート11を通してアウタフィン20から外部へ放出され、第2の流路A2を流れるオイルLの熱は、第2のプレート12を通してアウタフィン20から外部へ放出される。
【0032】
図3に示すように、積層方向へ第1の流路A1と第2の流路A2の大きさはほぼ同じであるので、インナフィン14が配置されている第1の流路A1の方が流動抵抗は大きく、第2の流路A2の方へオイルLが流れやすい。また、第1の流路A1にはインナフィン14が設けられているので、第1の流路A1を流れるオイルLの方が第2の流路A2を流れるオイルLよりも多くの熱を放出することができる。したがって、単位時間当りに第1の流路A1から放出される熱量と第2の流路A2から放出される熱量の差は、さほど大きくない。
【0033】
また、伝熱流体のオイルLの一部が固体状になる低温状態、例えば−30℃前後において、固体化したオイルLがインナフィン14に付着して第1の流路A1の流れが悪くなった場合、すなわち第1の流路A1の流動抵抗がさらに大きくなった場合でも、インナフィンを設けていない第2の流路A2にオイルLが流れる。つまり、熱交換器1は、個々のコアユニット10にオイルLが循環され、冷却機能を維持することができる。
【0034】
また、第1の流路A1と第2の流路A2は、隔壁13で仕切られているだけであり、それぞれの流路内部のオイルLの熱は、隔壁13を介して伝達される。第2の流路A2に温まったオイルLが流れることで、第1の流路A1内で固体状になったオイルLを速やかに温め、融解させる。第1の流路A1と第2の流路A2の両方にオイルLが循環されるようになるので、オイルクーラとして利用される本実施形態の熱交換器1の冷却性能は回復される。
【0035】
以下に、第2から第6の実施形態の熱交換器1について図面を参照して説明する。各実施形態において第1の実施形態の熱交換器1の構成と同じ機能を有する構成には、第1の実施形態の熱交換器1の構成と同じ符号を付し、その詳細は第1の実施形態の対応する記載を参酌することとする。
【0036】
第2の実施形態の熱交換器1について、図4を参照して説明する。図4は、熱交換器1において積層された複数のコアユニット10のうちの中間の3層のコアユニット10の片側の端部を第1の実施形態の図3と同じ平面で切断した断面図である。
【0037】
図4に示すように、第2の実施形態の熱交換器1は、隔壁13の形状及びそれに伴う構成が第1の実施形態の熱交換器1と異なっている。本実施形態の隔壁13は、第2のプレート12側に偏って配置されており、これによって、第1のプレート11と隔壁13の間に形成された第1の流路A1の流路断面積は、第2のプレート12と隔壁13の間に形成された第2の流路A2の流路断面積よりも大きくなっている。また、第1の流路A1に配置されるインナフィン14の寸法も、コアユニット10の積層方向に拡大されている。
【0038】
また、熱交換器1において、伝熱流体であるオイルLの一部が固体状になる低温状態(例えば−30℃くらい)における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比が、伝熱流体であるオイルLが液体状である高温状態(例えば常温とされる20℃くらい)における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比よりも小さい。具体的には、図4に示すように、第1の流路A1の流路断面積を、第2の流路A2の流路断面積よりも大きく設定している。そして、低温状態で第1の流路A1の流動抵抗よりも第2の流路A2の流動抵抗の方が小さく、かつ、高温状態で第1の流路A1の流動抵抗よりも第2の流路A2の流動抵抗の方が大きくなるように構成されていてもよい。
【0039】
第2の流路A2の流路断面積が第1の流路A1の流路断面積よりも小さくても、インナフィンが配置されていないため、第2の流路A2の流動抵抗が小さく、低温状態でもオイルLは第2の流路A2を流れることができる。また、高温状態になれば固体状になったオイルLも融解するとともに流路断面積の大きい第1の流路A1を流れるオイルLの割合(流量)が増える。その結果、本実施形態の熱交換器1において、オイルLは、低温状態で第2の流路A2を流れ、高温状態で第1の流路A1を主に流れる。
【0040】
つまり、低温状態において、第2の流路A2にオイルLが流れることで、隔壁13を介して隣り合う第1の流路A1中で固体状になったオイルLを融解させることができる。また、高温状態では、第1の流路A1に主にオイルLが流れてインナフィン14に接することでオイルLの熱がインナフィン14を通して第1のプレート11へ伝達されるとともに、インナフィン14で第1の流路A1中の流れが乱されることでオイルLと第1のプレート11との間及びオイルLとインナフィン14との間の熱伝達効率が向上する。これにより、低温状態における熱交換器1としての冷却性能を確保するとともに、高温状態における冷却性能も向上させることができる。
【0041】
第3の実施形態の熱交換器1について、図5を参照して説明する。図5は、熱交換器1において積層された複数のコアユニット10のうちの中間の1層と積層方向にこれに隣り合うコアユニット10の半分ずつを含む端部について、第1の実施形態の図3と同じ平面で切断した断面図である。
【0042】
図5に示すように、第3の実施形態の熱交換器1は、第2のプレート12の形状及びそれに伴う構成が第1の実施形態の熱交換器1と異なっている。本実施形態の第2のプレート12は、中間部が隔壁13に偏って配置されており、これによって、第1のプレート11と隔壁13の間に形成される第1の流路A1の流路断面積は、第2のプレート12と隔壁13の間に形成される第2の流路A2の流路断面積よりも大きくなっている。また、第2のプレート12が隔壁13側へ偏っていることに伴い、アウタフィン20がコアユニット10の積層方向へ拡大されている。
【0043】
第3の実施形態の熱交換器1は、第2の実施形態の熱交換器1と同様に、伝熱流体であるオイルLの一部が固体状になる低温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比が、伝熱流体であるオイルLが液体状である高温状態おける第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比よりも小さくなるように、第1の実施形態の場合よりも第2のプレート12の中間部を隔壁13に近づけることで、第1の流路A1の流路断面積が第2の流路A2の流路断面積よりも大きく設定している。第2の実施形態と同様に第3の実施形態においても、第2の流路A2の流路断面積が第1の流路A1の流路断面積よりも小さくても、第2の流路A2にインナフィンが配置されていないため、低温状態でもオイルLは第2の流路A2を流れやすい。つまり、熱交換器1においてオイルLは、低温状態で第2の流路A2を流れ、高温状態で第1の流路A1を主に流れる。
【0044】
低温状態において、第2の流路A2にオイルLが流れることで、隔壁13を介して隣り合う第1の流路A1中で固体状になったオイルLを融解させることができるとともに、高温状態において第1の流路A1に主にオイルLが流れてインナフィン14に接することでオイルLの熱がインナフィン14を通して第1のプレート11へ伝達されるとともに、インナフィン14で第1の流路A1中の流れが乱されることでオイルLと第1のプレート11との間及びオイルLとインナフィン14との間の熱伝達効率が向上する。この結果、第2の実施形態と同様に第3の実施形態の熱交換器1は、低温状態における冷却性能を確保しつつ、高温状態における冷却性能も向上させることができる。
【0045】
第4の実施形態の熱交換器1について、図6を参照して説明する。図6は、熱交換器1において積層された複数のコアユニット10のうちの中間の1層と積層方向にこれに隣り合うコアユニット10のそれぞれ半分ずつを含む端部について、第1の実施形態の図3と同じ平面で切断した断面図であり、第3の実施形態の図5と同じ範囲を示している。
【0046】
図6に示すように、第4の実施形態の熱交換器1において、コアユニット10は、第1の流路A1に配置されたインナフィン14と、第2の流路A2に配置されたインナフィン15とを有している。第1の流路A1のインナフィン14は、第1の実施形態の熱交換器1におけるインナフィン14と同形状である。第2の流路A2のインナフィン15は、オイルLが流れる方向に第1の流路A1のインナフィン14のフィン141が配置される間隔と比較して、フィン151が配置される間隔が大きく設定されている点が第1の実施形態の熱交換器1と異なっている。なお、フィン151の間隔やインナフィン15の構造は、伝熱流体のオイルLの一部が固体状になる低温状態においてもオイルLが十分に流れるように作られている。本実施形態の熱交換器1では、図6に示すように、オイルLが流れる方向にフィン151の間隔は、フィン141の間隔の約2倍大きく設定されている。
【0047】
そして、本実施形態の熱交換器1において、低温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比が、高温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比よりも小さくなるように、第1の流路A1のインナフィン14のフィン141の間隔と第2の流路A2のインナフィン15のフィン151の間隔とが調整されている。
【0048】
低温状態では流路内壁に凝固するオイルLによって流動性が低下する(流動抵抗が増す)。第1の流路A1のインナフィン14のフィン14の間隔よりも第2の流路A2のインナフィン15のフィン151の間隔の方が大きいので、第2の流路A2にオイルLが流れる。また、高温状態ではオイルLは液体状であるので、第1の流路A1の流動抵抗と第2の流路A2の流動抵抗の差は小さくなり、ほぼ同等にオイルLが流れるようになる。
【0049】
このとき、第1の流路A1のインナフィン14の方がフィン141の数が多いので、第1の流路A1の方が流速は遅くなるが、オイルLがインナフィン14に接する表面積が大きくオイルLの熱もインナフィン14を介して第1のプレート11に伝達されやすい。また、第4の実施形態では、第1の流路A1のインナフィン14よりもフィン151の数が少ないが第2の流路A2にもインナフィン15を有しているので、インナフィン15を介して第2のプレート12にもオイルLの熱が伝達される。第2の流路A2の流速は第1の流路A1の流速よりも速く、単位時間当たりのオイルLの流量が大きい。この結果、第1の流路A1から第1のプレート11側へ排出される熱量と、第2の流路A2から第2のプレート12側へ排出される熱量は、高温状態においてほぼ同じ程度になるように設定することもできる。第1の流路A1と第2の流路A2の両方が放熱に寄与するので、熱交換器1の冷却性能が向上する。
【0050】
第5の実施形態の熱交換器1について、図7を参照して説明する。図7は、熱交換器1において積層された複数のコアユニット10のうちの中間の1層と積層方向にこれに隣り合うコアユニット10の半分ずつを含む端部について、第1の実施形態の図3と同じ平面で切断した断面図であり、第3の実施形態の図5及び第4の実施形態の図6と同じ範囲を示している。
【0051】
図7に示すように、第5の実施形態の熱交換器1は、隔壁13の形状及びそれに伴う構成が第1の実施形態の熱交換器1と異なっている。本実施形態の隔壁13は、第2の流路A2側へ延びた突出部133を連通部132に有している。この突出部133は、連通部132としての開口形状が第1の実施形態と同じ、すなわち、第1のプレート11及び第2のプレート12の貫通孔112,122と同じサイズに開けられているとともに、積層方向にちょうど重なる位置に配置されている。
【0052】
図7に示すように、突出部133が設けられることによって、第5の実施形態の隔壁13の連通部132は、第1の実施形態の隔壁13の連通部132に比べて第2のプレート12の貫通孔122に接近して配置される。その結果、第2のプレート12と隔壁13の間に形成された第2の流路A2の流路断面積が第1のプレート11と隔壁13の間に形成される第1の流路A1の流路断面積と同じであっても、オイルLが液体状である高温状態において、第2の流路A2へ流れるオイルLの流量が第1の流路A1へ流れるオイルLの流量よりも少なくなる。また、オイルLの一部が固体状となる低温状態においてインナフィン14が配置された第1の流路A1へオイルLが流れにくくなっても、インナフィンが配置されていない第2の流路A2へオイルLが流れる。
【0053】
第5の実施形態の熱交換器1において、低温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比は、高温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比よりも小さくなるように構成されている。つまり、低温状態では第1の流路A1の流動抵抗よりも第2の流路A2の流動抵抗の方が小さく、高温状態では第1の流路A1の流動抵抗よりも第2の流路A2の流動抵抗の方が大きくなるように、第2及び第3の実施形態の熱交換器1の構成と同じ機能を有する。
【0054】
その結果、低温状態では、隔壁13を介して隣り合う第1の流路A1中で固体状になったオイルLを融解させることができる。また、高温状態では第1の流路A1にオイルLが第2の流路A2よりも多く流れ、インナフィン14に接することでオイルLの熱がインナフィン14を通して第1のプレート11へ伝達されるとともに、インナフィン14で第1の流路A1中のオイルLの流れが乱されることでオイルLと第1のプレート11との間及びオイルLとインナフィン14との間の熱伝達効率が向上する。
【0055】
第6の実施形態の熱交換器1について、図8を参照して説明する。図8は、熱交換器において積層された複数のコアユニット10のうちの中間の2層のコアユニット10の片側の端部を第1の実施形態の図3と同じ平面で切断した断面図である。
【0056】
図8に示すように、第6の実施形態の熱交換器1は、隔壁13の形状及びそれに伴う構成が第1の実施形態の熱交換器1と異なっている。本実施形態の隔壁13は、第2のプレート12と同じ形状であり、積層方向に第1のプレート11と第2のプレート12の間に配置され、外周縁131で第1のプレート11に接合されるとともに第2の側に膨出した部分で第2のプレート12に接合されている。
【0057】
隔壁13が第2のプレート12と同形状であるので、第1のプレート11と隔壁13の間に作られる第1の流路A1の流路断面積よりも第2のプレート12と隔壁13の間に作られる第2の流路A2の流路断面積の方が小さくなる。また、隔壁13の両端部に設けられる連通部132が第2のプレート12の貫通孔122に接近している。さらに、第2のプレート12の両端部と中間部の間で積層方向に段差を有した変位部124とこれに対応する隔壁13の変位部134は、同形状であるから積層方向に一定の距離であり、両端部や中間部よりも接近している。そして、第1の流路A1に配置されるインナフィン14は、積層方向に第1の流路A1の内面一杯に設けられている。
【0058】
以上のように各コアユニット10が構成されていることによって、本実施形態の熱交換器1において、オイルLの一部が固体状になる低温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比は、オイルLが液体状である高温状態における第1の流路A1の流動抵抗に対する第2の流路A2の流動抵抗の比よりも小さくなる。
【0059】
したがって、本実施形態の熱交換器1は、他の実施形態と同様に、低温状態において第2の流路A2にオイルLが流れることで、固体状になったオイルLを速やかに融解させることができる。また、高温状態において第1の流路A1に主にオイルLが流れることで、インナフィン14に接してオイルLの熱がインナフィン14を通して第1のプレート11へ伝達されるとともに、インナフィン14で第1の流路A1中のオイルLの流れが乱され、オイルLと第1のプレート11との間及びオイルLとインナフィン14との間の熱伝達効率が向上する。
【0060】
以上、本発明の熱交換器1について第1から第6の実施形態を基に説明した。これらの実施形態は、本発明を実施するにあたって理解しやすくするための一例に過ぎない。したがって、本発明を実施するにあたってその趣旨を逸脱しない範囲で、各構成を同等の機能を有するものに置き換えて実施することも可能であり、それらもまた本発明に含まれる。また、各実施形態で説明した構成のいくつかを互いに組み合わせて、あるいは置き換えて実施されることも本発明に含まれる。
【0061】
例えば第2の実施形態の熱交換器1における隔壁13を、第4及び第5の実施形態に採用してもよいし、第5の実施形態の熱交換器1における隔壁13の突出部を、第2〜4の実施形態の熱交換器1の隔壁13の連通部132に設けてもよい。また、第4の実施形態において第2の流路A2に配置されたインナフィン15は、第1の流路A1に配置されるインナフィン14の相似形に限らず、オイルLが流れる方向に対して平行に配置されていたり、斜めに配置されていたりしてもよい。
【0062】
さらに、各実施形態において、全てのコアユニット10に隔壁13が設けられて、流路Aが第1の流路A1と第2の流路A2に分けられている構成としたが、隔壁13を有したコアユニット10は、熱交換器1に少なくとも1つ含まれていればよい。伝熱流体(オイルL)の一部が固体状になる低温状態において、隔壁13を有したコアユニット10の第2の流路A2に伝熱流体が循環されることで、伝熱流体の熱が各部材を伝って流路A内、特に第1の流路A1内で固体状になった伝熱流体を速やかに融解し、熱交換器1としての機能を果たす。
【0063】
各実施形態において、伝熱流体としてオイルLを一例に説明したが、伝熱流体は、オイルLに限らず、使用温度や伝達熱量など熱交換器の仕様に応じて、純水等の他の液体や窒素等の不活性ガス、HFC(ハイドロフルオロカーボン)に代表される代替フロン等の冷媒であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…熱交換器、10…コアユニット、11…第1のプレート、111…外周縁、112…貫通孔、12…第2のプレート、121…外周縁、122…貫通孔、13…隔壁、131…外周縁、132…連通部、133…突出部、14…インナフィン、20…アウタフィン、A…流路、A1…第1の流路、A2…第2の流路、L…オイル(伝熱流体)、X1…第1の方向、X2…第2の方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8