(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223455(P2017-223455A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】回転検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20171124BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-116995(P2016-116995)
(22)【出願日】2016年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須山 佑貴
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077NN19
2F077NN21
2F077PP12
2F077PP14
2F077VV02
2F077VV10
2F077VV11
2F077VV31
2F077VV33
2F077WW06
(57)【要約】
【課題】 生産性が良好な回転検出装置を提供する。
【解決手段】 回転検出装置1は、磁力変化を電気信号に変換する検出部2を内蔵する合成樹脂製のハウジング5と、このハウジング5に形成される貫通孔5e1と、この貫通孔5e1に被取付部100とボルト接続するための金属製で筒状の補強部材5fと、を有する取付部5eと、を備え、補強部材5fは、貫通孔5e1に圧入されていることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力変化を電気信号に変換する検出部を内蔵する合成樹脂製のハウジングと、
このハウジングに形成される貫通孔と、この貫通孔に被取付部とボルト接続するための金属製で筒状の補強部材と、を有する取付部と、
を備えた回転検出装置であって、
前記補強部材は、前記貫通孔に圧入されていることを特徴とする回転検出装置。
【請求項2】
前記貫通孔の内面には、前記圧入時に変形可能なリブが設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置。
【請求項3】
前記取付部には、前記貫通孔の周囲に前記ボルト接続によって変形可能な突起部を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転検出装置は、例えば特許文献1に開示されるように、ハウジングと取付部が一体に成形され、取付部に金属製のスペーサーがインサート成形されるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−132836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような回転検出装置は、合成樹脂製のハウジングに金属をインサート成形するため、寸法精度を良好にするための位置調整だけでなく、成形時の工程自体が煩雑となり生産性の上で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、生産性が良好な回転検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転検出装置1は、磁力変化を電気信号に変換する検出部2を内蔵する合成樹脂製のハウジング5と、このハウジング5に形成される貫通孔5e1と、この貫通孔5e1に被取付部100とボルト接続するための金属製で筒状の補強部材5fと、を有する取付部5eと、を備え、補強部材5fは、貫通孔5e1に圧入されていることを特徴とする。
【0007】
貫通孔5e1の内面には、圧入時に変形可能なリブ5kが設けられることを特徴とする。
【0008】
取付部5eには、貫通孔5e1の周囲にボルト接続によって変形可能な突起部5jを設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産性が良好な回転検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態を示す回転検出装置の側面図。
【
図3】
図2のB−B断面における外ケースを示す図。
【
図5】同実施形態を
図1に示す上方(Up側)から見た図。
【
図7】
図5のC−C断面における補強部材圧入前の取付部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明が自動車の回転検出装置として適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0012】
回転検出装置1は、
図1,2に示すように、検出部2と、回路基板3と、中ケース4と、外ケース(ハウジング)5と、充填部材6とから主に構成される。
【0013】
検出部2は、磁石2aと、磁気検出手段2bとから構成されるものである。磁石2aは、円柱状あるいは角柱状をなし、磁気検出手段2bに接している。磁気検出手段2bは、ホールICや磁気抵抗素子(MR素子)等からなるものであり、歯車や専用ロータ等の磁性材料からなる被検出体の回転に伴う磁力の変化(磁石2aが発する磁力の変化)を検出するもので、磁石2aに硬化型接着剤を介して配設される。
【0014】
回路基板3は、ガラス繊維入りエポキシ樹脂材やセラミック等の絶縁基板に所定の配線パターンが形成されてなる硬質回路基板からなり、磁気検出手段2bのノイズ吸収用コンデンサや信号増幅回路等の各種電子部品(図示しない)が実装されている。回路基板3の一端側は、略L字状に折り曲げ形成された磁気検出手段2bのリード2b1が半田等を介して電気的に接続され、また他端側は、後述するリード端子が半田等を介して電気的に接続されている。従って、磁気検出手段2bにより検出された検出信号は、回路基板3から前記リード端子に伝わり外部に出力される。
【0015】
中ケース4は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン:syndiotactic polystyrene),PBT(ポリブチレンテレフタレート:poly butylenes terephtalate)及びPPS(ポリフェニレンサルファイド:Poly Phenylene Sulfide)等の合成樹脂材料から構成され、
図2で示すように、ヘッド部4aと、ボディ部4bと、コネクタ部4cとを一体に備えている。
【0016】
ヘッド部4aには、磁石2aを埋設するための凹部4a1と、回路基板3を配設するための載置部4a2とが形成され、載置部4a2は、凹部4a1の底面と略直交する位置関係をなしている。回路基板3は、載置部4a2に硬化型接着剤を介して配設固定され、また、磁石2aは、凹部4a1に硬化型接着剤を介して配設固定される。
【0017】
ボディ部4bには、導電性材料から形成されるリード端子4b1がインサート成形されている。リード端子4b1は、その両端部が略L字状に折り曲げ形成され、一端が回路基板3と電気的に接続され、また他端がコネクタ部4cへ引き出し案内されている。
【0018】
コネクタ部4cは、雄型コネクタ構造をなし、ボディ部4bに対して垂直方向に折り曲げ形成されおり、中ケース4を外ケース5の後述する収納空間に挿入する方向に対し直交方向に屈曲している。図示しない雌型コネクタがリード端子4b1の前記他端に接続可能な形状をなしている。
【0019】
外ケース5は、中ケース4と同様な合成樹脂材料を適用することができ、
図2,3に示すように、断面形状が略コの字状をなし、一端に開口5aを備え、他端に底部5bを設ける円筒のカップ形状からなり、検出部2,回路基板3及び中ケース4を収納する収納空間5cを有する。外ケース5は、磁気検出手段2bの磁石2aとの非接触面である磁気検出面に当接する底部5bが、側壁部5dに比べて薄肉になるように形成され、この底部5bは、回転検出装置1の検出面となる。
【0020】
また、外ケース5は、その側壁部5dのX方向先端部に被取付部100に取り付けるための取付部5eを有し、取付部5eに貫通孔5e1を備えている。貫通孔5e1の内側には複数の線状リブ5kを備えている。金属材料からなるリング状のカラー(補強部材)5fが取付部5eの上方(
図4のUp側)から圧入され、線状リブ(リブ)5kにより取付部5eに保持される。
【0021】
また、
図4,5に示すように、貫通孔5e1の同心円5i上に突起部5jが設けられている。回転検出装置1を、ボルト200を用いて被取付部100に取り付ける際に、ボルト200の螺合接続にともなってボルト200の頭部に接触する脆弱な突起部5jの先端が変形し、突起部5jでボルト200を押さえるようにして互いの摩擦力を高めて、ボルト200の回転を防止して抜け止めする作用がある。
【0022】
また、外ケース5の開口5a近傍の側壁部5dの内壁に充填部材6の充填量を定める規定部5hを備えている。
【0023】
充填部材6は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が適用でき、中ケース4を挿入した外ケース5の収納空間5cに充填され、収納空間5cを気密的に封止するものである。充填部材6は、中ケース4と外ケース5とを組み付けた状態で、底部5b側から注入され、少なくとも検出部2,回路基板3及び中ケース4におけるリード端子4b1が露出している部分が埋まる位置まで注入される。
【0024】
以上の各部によって回転検出装置1が構成されている。
図6に示すように、取付部5eにカラー5fを圧入する構造にすることによって、生産性が良い回転検出装置とすることができる。
【0025】
また、
図7に示すように、貫通孔5e1の内側に、圧入時に変形可能な線状リブ5kを設けたことによって、カラー5fを強固に固定することができる。なお、線状リブ5kはカラー5f挿入口付近(Up側)に傾斜部を設ける場合を例示したが、上方(Up側)から下方(Down側)に向かうにつれて線状リブの突出高さが高くなる傾斜面とすることによって、カラー5fを圧入する際の誘い込み形状とすることができ、組み付け性を容易にするだけでなく、カラーの脱落や回転を防止する効果が高まることが期待できる。
【0026】
また、突起部5jを設けることにより、被取付部100への組み付け強度が増し、回転検出装置の向きを一定に保つことができ、検出精度の良い回転検出装置となることが期待できる。
【0027】
本発明は、上述実施形態に限定するものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述実施形態では、充填部材6を用いる構造を例示したが、本発明は充填部材を用いない構造にも適用可能である。
【0028】
また、上述実施形態では、突起部5jを取付部5eの同心円5i全周に設ける場合を例示したが、ボルト200の回転を防止することが出来れば、同心円5iの一部に突起部5jを設ける構造としても同様の効果が期待できる。
【0029】
また、上述実施形態では、補強部材として金属製でリング状のカラーを用いる場合を例示したが、多角柱形状の部材を用いても同様の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ハウジングに被検出体への取付部を備えた回転検出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 回転検出装置
2 検出部
2a 磁石(検出部)
2b 磁気検出手段(検出部)
4 中ケース
4b1 リード端子
4c コネクタ部
5 外ケース(ハウジング)
5a 開口
5b 底部
5c 収納空間
5d 側壁部
5e 取付部
5e1 貫通孔
5f カラー(補強部材)
5h 規定部
5i 同心円
5j 突起部
5k 線状リブ(リブ)
6 充填部材
100 被取付部
200 ボルト