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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223468(P2017-223468A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】X線検査装置およびX線検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20171124BHJP
【FI】
   G01N23/04 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-117187(P2016-117187)
(22)【出願日】2016年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100096873
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 廣泰
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100138357
【弁理士】
【氏名又は名称】矢澤 広伸
(72)【発明者】
【氏名】杉田 信治
(72)【発明者】
【氏名】梅本 勇治
(72)【発明者】
【氏名】大西 貴子
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001FA08
2G001HA14
2G001JA06
2G001KA01
(57)【要約】
【課題】コストの増加や装置構成の限定を招くことなく、X線検査装置における繰り返し誤差に起因する3次元データの画質低下を軽減する。
【解決手段】X線検査装置は、検査対象物、X線源、およびX線カメラの少なくともいずれかを、モータの駆動によって移動させるステージと、前記モータの位置検出値を定期的に取得し、当該位置検出値を時刻と関連付けて記憶する位置検出手段と、前記X線カメラによる撮影タイミングを時刻と関連付けて記憶する撮影タイミング取得手段と、撮影タイミングにおける前記モータの位置検出値から、撮影タイミングにおける前記検査対象物、前記X線源、および前記X線カメラの位置関係を求める撮影位置算出手段と、前記X線カメラによって撮影された撮影データと、当該撮影データの撮影タイミングにおける前記位置関係と、を用いて再構成処理を行う再構成手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物、X線源、およびX線カメラの相対的な位置を変化させて取得した複数の撮影データから前記検査対象物の3次元データを再構成するX線検査装置であって、
検査対象物、X線源、およびX線カメラの少なくともいずれかを、モータの駆動によって移動させるステージと、
前記モータの位置検出値を定期的に取得し、当該位置検出値を時刻と関連付けて記憶する位置検出手段と、
前記X線カメラによる撮影タイミングを時刻と関連付けて記憶する撮影タイミング取得手段と、
撮影タイミングにおける前記モータの位置検出値から、撮影タイミングにおける前記検査対象物、前記X線源、および前記X線カメラの位置関係を求める撮影位置算出手段と、
前記X線カメラによって撮影された撮影データと、当該撮影データの撮影タイミングにおける前記位置関係と、を用いて再構成処理を行う再構成手段と、
を備えるX線検査装置。
【請求項2】
前記撮影位置算出手段は、設計情報と前記位置検出手段によって取得された前記モータの位置検出値とに基づいて、前記位置関係を求める、
請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記撮影位置算出手段は、前記設計情報と前記モータの位置検出値とに基づいて求められた前記位置関係を、あらかじめ取得されたキャリブレーション情報に基づいて補正する、
請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記検査対象物は固定されており、
前記ステージは、前記X線源および前記X線カメラを移動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
検査対象物、X線源、およびX線カメラの相対的な位置を変化させて取得した複数の撮影データから前記検査対象物の3次元データを再構成するX線検査装置におけるX線検査方法であって、
検査対象物、X線源、およびX線カメラの少なくともいずれかをモータの駆動によって移動させるステージから、前記モータの位置検出値を定期的に取得し、当該位置検出値を時刻と関連付けて記憶する位置取得ステップと、
前記ステージを駆動して検査対象物、X線源、およびX線カメラの相対位置を変えつつ、前記X線カメラによって複数の画像を撮影する撮影ステップと、
前記X線カメラによる撮影タイミングを時刻と関連付けて記憶する撮影タイミング取得ステップと、
撮影タイミングにおける前記モータの位置検出値から、撮影タイミングにおける前記検査対象物、前記X線源、および前記X線カメラの位置関係を求める撮影位置算出ステップと、
前記X線カメラによって撮影された撮影データと、当該撮影データの撮影タイミングにおける前記位置関係と、を用いて再構成処理を行う再構成ステップと、
を含む、X線検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて被検査物の画像を複数取得して3次元データを作成するX線検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のX線画像から3次元データを作成する際には、トモシンセシスやCTなどの技術が用いられる。いずれの技術においても、正確な撮影位置を使用して再構成を行うことが重要である。画像の撮影位置が不正確である場合(すなわち、撮影すべき場所と実際に撮影した場所にズレがある場合)には、3次元データの画質が低下する。
【0003】
撮像位置が不正確になるのは、X線源・カメラ・検査対象物を動かすステージの位置決め精度が不足していることに起因する。
【0004】
撮影画像の高分解能化が進むにつれて、より高い位置決め精度が要求される。たとえば、電子部品などの小型化が進む分野においては、数マイクロメートルの高分解能で撮影することが求められる。このような状況では、次のような理由から位置決め精度の不足による画質低下が生じる。
【0005】
第1に、位置決め精度が同じであっても、画像が高分解能であるほど画質への影響が大きくなる。これは、位置の誤差が同じであっても高分解能なほど画像上でのズレが大きくなることによる。第2に、画像が高分解能であるほど視野が狭く(撮影面積が小さく)なり、撮影枚数が増える。少しでも早く検査を終わらせるためには、ステージを高速に移動させる必要があり、ステージを高速に移動させると位置決め精度がさらに悪化する。
【0006】
このような問題に対して、ステージの改良によって位置決め精度を向上させることも可能ではあるが、コスト増につながる。そこで、撮影位置を補正によって正確な位置にした上で再構成処理することが考えられる。
【0007】
事前に目標位置と実際の位置との間のズレ量を学習して、学習結果に基づいて撮像時の位置を補正することは有効ではない。それは、毎回同じズレが発生するわけではなく、撮像の度に変動するズレ(繰り返し誤差)が生じるためである。
【0008】
特許文献1は、ステージにセンサを設けて、撮像時におけるセンサの読み取り値から位置ズレ量を算出することを開示する。より具体的には、特許文献1は、被検査物を載せたテーブルを回転させて検査(撮影)を行うCT装置において、テーブルの傾きをセンサによって検出して、撮影時における位置ズレを求めている。特許文献1は、このようなソフト補正によって、テーブルのがたつきによる画質劣化を防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−115216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の手法には次のような問題点がある。第1に、センサの精度による制限を受ける。センサの精度が十分高くなければ補正の効果が得られない。第2に、検査装置に可動部が増えるとそれに応じてセンサを追加しなければならない。第3に、
テーブル回転式ではなく、XYステージやXYZステージのように複数軸で構成されているステージを用いる装置には対応できない。複数軸で構成されるステージでは、ステージ全体のがたつきではなく、各軸の位置決め誤差に起因する位置ズレが発生するためである。
【0011】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線検査装置における繰り返し誤差に起因する3次元データの画質低下を軽減可能な、安価かつ広範囲に適用可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様にかかるX線検査装置は、
検査対象物、X線源、およびX線カメラの相対的な位置を変化させて取得した複数の撮影データから前記検査対象物の3次元データを再構成するX線検査装置であって、
検査対象物、X線源、およびX線カメラの少なくともいずれかを、モータの駆動によって移動させるステージと、
前記モータの位置検出値を定期的に取得し、当該位置検出値を時刻と関連付けて記憶する位置検出手段と、
前記X線カメラによる撮影タイミングを時刻と関連付けて記憶する撮影タイミング取得手段と、
撮影タイミングにおける前記モータの位置検出値から、撮影タイミングにおける前記検査対象物、前記X線源、および前記X線カメラの位置関係を求める撮影位置算出手段と、
前記X線カメラによって撮影された撮影データと、当該撮影データの撮影タイミングにおける前記位置関係と、を用いて再構成処理を行う再構成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
ステージはモータの駆動によって検査対象物・X線源・X線カメラの少なくともいずれかを移動させる。典型的には、検査対象物を固定してX線源とX線カメラを移動させるか、X線源とX線カメラを固定して検査対象物を移動させる。モータの位置検出値は、たとえばモータが備えるエンコーダから取得できる。位置検出手段は、モータの位置検出値をその検出時刻と関連付けて記憶(蓄積)する。
【0014】
前記撮影位置算出手段は、モータの位置検出値から、設計情報を用いて検査対象物・X線源・X線カメラの実座標を求めることができ、検査対象物・X線源・X線カメラのあいだの位置関係を求めることができる。また、前記撮影位置算出手段は、前記設計情報と前記モータの位置検出値とに基づいて求められた前記位置関係を、あらかじめ取得されたキャリブレーション情報に基づいて補正することも好ましい。実際の装置は製造誤差によって設計情報通りとはならないので、キャリブレーション情報に基づいて補正を行うことが好適である。
【0015】
本発明にかかるX線検査装置は、検査対象物が固定されており、前記ステージが前記X線源および前記X線カメラを移動させる構成とすることができる。ステージは、XYステージであってもよいし、XYZステージであってもよい。あるいは、本発明にかかるX線検査装置は、X線源とX線カメラが固定されており、前記ステージが検査対象物を移動させる構成とすることができる。この場合ステージは回転ステージが好適である。
【0016】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含むX線検査装置として捉えることができる。また、本発明は、上記手段が行う処理の少なくとも一部を含むX線検査方法として捉えることもできる。また、これらの方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムや、当該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体として捉えることもできる。上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生
じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コストの増加や装置構成の限定を招くことなく、X線検査装置における繰り返し誤差に起因する3次元データの画質低下を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係るX線検査装置の概要を示す図。
図2】第1の実施形態に係るX線検査装置の構成を示す図。
図3】第1の実施形態におけるX線検査処理の流れを示すフローチャート。
図4】モータ実座標とカメラ撮影フラグを記憶するリストの例を示す図。
図5】撮影フラグの種類と撮影位置の算出方法の関係を説明する図。
図6】第2の実施形態に係るX線検査装置の構成を示す図。
図7】第2の実施形態におけるX線検査処理の流れを示すフローチャート。
図8】モータ座標系と空間座標系の差分(座標系情報)の求め方を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
[概要]
本発明の第1の実施形態に係るX線検査装置の外観を図1に示す。X線検査装置は、搬送ローラによって搬送される検査対象物Sを、複数の撮影位置から撮影して3次元データを取得する。具体的には、X線源10から検査対象物SにX線を照射し、透過したX線をX線カメラ20によって撮影する。X線源10はXステージ11およびYステージ12によって移動可能であり、X線カメラ20はXステージ21およびYステージ22によって移動可能である。X線源10およびX線カメラ20はこれらのステージによってそれぞれ円軌道101,102を移動し、軌道上の複数の位置で撮影が行われる。
【0021】
[構成・処理]
図2は、X線検査装置の構成を示す図である。X線検査装置は、X線源10、X線カメラ20(以下、単にカメラという)、X線源X軸モータ31、X線源Y軸モータ32、カメラX軸モータ33、カメラY軸モータ34、撮影条件記憶部C、X線源制御部15、カメラ制御部25、ステージ制御部35、リスト生成部40、撮影実座標算出部50、再構成部60、検査部70を備える。これらの各機能部についての説明は、図3を用いた処理内容の説明と共に行う。
【0022】
なお、X線源制御部15、カメラ制御部25、ステージ制御部35、リスト生成部40、撮影実座標算出部50、再構成部60、検査部70の各機能部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)のような論理回路により構成されてもよいし、汎用マイクロプロセッサとプログラムを記憶したメモリとを含むコンピュータにより構成されてもよい。
【0023】
図3は、本実施形態に係るX線検査装置による検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0024】
ステップS102において、X線検査装置は、撮影条件記憶部Cから撮影条件を読み込
む。撮影条件は、1回の検査における撮影枚数・カメラ露光時間・各撮影におけるX線源10およびカメラ20の位置を含む。
【0025】
撮影条件の一例は以下の通りである。
撮影枚数:32枚、
カメラ露光時間:50ミリ秒、
1枚目撮影時:X線源位置(200,300)・カメラ位置(50,50)、
2枚目撮影時:X線源位置(300,300)・カメラ位置(30,30)、
・・・。
【0026】
次に、撮影画像のそれぞれについてループL1の処理が繰り返し実行される。
【0027】
このループ処理を実行しているあいだ、リスト生成部40は、各ステージのモータから定期的に位置検出値を取得して検出時刻と関連付けて記憶する(ステップS116)。リスト生成部40は、X線源X軸モータ31、X線源Y軸モータ32、カメラX軸モータ33、カメラY軸モータ34のエンコーダが検出した位置検出値(読み取り値)を取得する。各モータの位置検出値からX線源10やカメラ20の位置を求めることができる。
【0028】
リスト生成部40は、各モータ(エンコーダ)の読み取り値から求められるX線源10やカメラ20の位置を記憶する。ただし、モータの読み取り値とX線源10やカメラ20の位置は設計情報(ステージの配置情報など)を用いて交換可能なので、モータの読み取り値自体を記憶してもよい。エンコーダによる位置検出値から求められるX線源10やカメラ20の位置は、X線源10およびカメラ20の実際の位置を表す。以下、この位置のことを、モータからの位置検出値に基づくX線源10やカメラ20の実際の位置座標という意味で、X線源10やカメラ20の「モータ実座標」と称する。リスト生成部40は、モータ実座標を定期的に取得するモータ実座標取得部と捉えることができる。
【0029】
リスト生成部40がモータ実座標を取得する時間間隔は、要求される時間分解能や許容できる通信量などを考慮して適宜決定すればよい。当該時間間隔は、たとえば、1ミリ秒間隔や10ミリ秒間隔とすることができる。
【0030】
なお、リスト生成部40が取得したモータ実座標は必ずしも全て記憶する必要はなく、撮影タイミングに近い時刻における値が記憶されればよい。
【0031】
次に、ループL1におけるステップS104〜S114の処理について説明する。ステップS104において、X線検査装置は、ステージ制御部35を介して、撮影条件に定義される位置(以下、撮影位置)にX線源10およびカメラ20を移動させる移動命令を出す。具体的には、ステージ制御部35は、X線源10を撮影位置に移動するようにX線源X軸モータ31およびX線源Y軸モータ32に移動命令を出し、カメラ20を撮影位置に移動するようにカメラX軸モータ33およびカメラY軸モータ34に移動命令を出す。
【0032】
ステップS106において、X線検査装置は、移動が完了するまで待機する。移動完了の判別方法は特に限定されない。たとえば、モータから完了信号を受けたタイミングを移動完了とすることができる。あるいは、モータ実座標を監視してモータ実座標が規定範囲(たとえば、目標位置±Nマイクロメートル)に入った時点を移動完了とすることができる。あるいは、移動命令を出してから移動距離に応じた規定の時間が経過した時点を移動完了とすることもできる。
【0033】
ステージの移動が完了したら、ステップS108において、X線検査装置は撮影命令を出す。撮影命令にしたがって、X線源制御部15はX線源10が検査対象物Sに対してX
線照射するよう制御し、カメラ制御部25はカメラ20が露光および撮影データの取得を行うように制御する。撮影データはメモリに記憶される。
【0034】
ステップS110において、X線検査装置は、撮影の完了まで待機する。撮影完了の判別方法は特に限定されない。たとえば、カメラ20から撮影完了信号を受けたタイミングを撮影完了とすることができる。あるいは、撮影命令を出した時点から、撮影条件に規定される露光時間が経過したタイミングを撮影完了とすることもできる。
【0035】
なお、ステージ(X線源10やカメラ20)が一定の速度で一定の軌跡を描き、一定の間隔で撮影を行う場合であれば、撮影ごとの移動命令・移動完了待ち・撮影命令・撮影完了待ちを省略することもできる。この場合、上記軌道に沿って移動するようにステージを制御しつつ、移動距離から求められる規定の時間の経過ごとに撮影を行うようにすればよい。たとえば、ステージを一定の速度で直線軌道や円軌道で移動させつつ、100ミリ秒間隔で定期的に撮影を行うという制御が考えられる。
【0036】
ステップS114において、リスト生成部40は、カメラ20から撮影を行ったことを示す撮影フラグ(撮影完了信号)を取得し、取得時刻と関連付けて記憶する。リスト生成部40は、撮影フラグ取得部と捉えることもできる。フローチャートにおいては、撮影完了後(ステップS110の後)に撮影フラグが取得されるように記載しているが、撮影フラグの取得は撮影命令発行から完了までの待機のあいだに並行して行われてもよい。
【0037】
リスト生成部40は、X線源10やカメラ20のモータ実座標を定期的に取得していることから、撮影フラグを取得したタイミングでのX線源10やカメラ20のモータ実座標を取得することができる。図4は、X線源10およびカメラ20のモータ実座標と撮影フラグを時刻と関連付けて記憶したリストを示す。図4に示すリストにおいて、時刻401はシステムクロック(不図示)から得られる時刻が格納され、X線源X軸402・X線源Y軸403・カメラX軸404・カメラY軸405には各モータから得られるモータ実座標が格納され、カメラ撮影フラグ405にはカメラ20から得られる撮影フラグのオンオフが格納される。
【0038】
撮影実座標算出部50は、図4のリストから、撮影が行われた際のX線源10およびカメラ20の実際の位置を取得する。以下、この位置のことを、撮影が行われた際のX線源10あるいはカメラ20の実際の位置座標という意味で、X線源10やカメラ20の「撮影実座標」と称する。
【0039】
図4のリストからは、1枚目の撮影をX線源10およびカメラ20の位置がそれぞれ(200,200)および(50,50)の状態で行うように命令したが、実際にはX線源10およびカメラ20の位置がそれぞれ(210,205)および(45.52)にある状態で撮影が行われたことが分かる。
【0040】
なお、カメラの撮影フラグは、カメラやカメラ制御ボードの仕様によって撮影の開始時に出力されたり、撮影の完了時に出力されたり、撮影(露光)期間中継続して出力されたりする。撮影実座標算出部50は、これらの仕様も考慮してX線源10やカメラ20の撮影実座標を求めるとよい。特に、モータ実座標の取得間隔が露光時間より短い場合には、露光中の平均位置を撮影実座標とするとよい。
【0041】
図5(a)は撮影開始時に撮影フラグがオンとなる場合のリストの例を示す。この場合は、撮影フラグがオンになってから露光時間経過までの時間のあいだの座標の平均値を撮影実座標とするとよい。図5(b)は撮影完了時に撮影フラグがオンとなる場合のリストの例を示す。この場合は、撮影フラグがオンになるまでの露光時間のあいだの座標の平均
値を撮影実座標とするとよい。図5(c)は撮影中に継続して撮影フラグがオンとなる場合のリストの例を示す。この場合は、撮影フラグがオンである期間の座標の平均値を撮影実座標とするとよい。
【0042】
なお、図3のフローチャートでは、撮影の度にX線源10やカメラ20の撮影実座標を求めているが、先に全ての撮影を行ってから各画像についての撮影実座標を求めるようにしてもよい。また、リスト生成部40は、各モータから取得した位置検出値を全て記憶しておく必要はない。本手法においては、撮影タイミングにおける位置検出値があれば十分であるため、撮影タイミングから離れた時点の位置検出値は破棄し、撮影タイミング近くの位置検出値のみを保持するようにしても構わない。
【0043】
撮影が全て完了したら、ステップS118において、再構成部60が、撮影データおよび各撮影における撮影実座標を用いて再構成処理を行う。これにより、検査対象物Sの3次元データを得ることができる。再構成処理自体は公知であるため、ここでの説明は省略する。
【0044】
検査対象物Sの3次元データが得られたら、それに基づいて検査部70が検査対象物Sの正常・異常の判断を行う。検査部70は、設計通りに検査対象物が製造されているか否かを判断する。X線を用いた3次元データなので、表面欠陥のみでなく内層欠陥も検知することができる。
【0045】
[本実施形態の有利な効果]
ステージ制御部35を介して指定の位置(命令位置)にステージを移動させるようにしても、位置決め誤差によって指定された位置とズレが生じる。本実施形態によれば、X線源10やカメラ20を移動させるステージ(モータ)の位置検出値を定期的に取得し、撮影タイミングにおけるステージの位置検出値から、撮影時のX線源10およびカメラ20の位置を求めている。モータからの位置検出値は高精度であり、たとえば0.1マイクロメートル単位で取得可能である。このように高精度な情報に基づくので、X線源10やカメラ20の実際の位置も高精度に求めることができる。再構成処理の際に、命令位置を用いるのではなくステージのモータから得られる実際の位置を用いることで、ステージの位置ズレ(繰り返し誤差)が生じた場合であっても、高品質な3次元データを得ることができる。
【0046】
また、本実施形態による手法はXYステージを用いたX線検査装置に限らず、XYZステージを用いた構成や回転ステージ(回転テーブル)を用いたX線検査装置にも適用が可能であり、適用範囲が広いという利点がある。
【0047】
また、モータから検出位置を取得しているので、可動部品が増えても追加のセンサは不要である。したがって、本実施形態の手法は低コストで実現できる。
【0048】
[変形例]
上記の説明では、検査対象物Sを固定して、X線源10およびカメラ20を移動させる構成を採用しているが、X線源10およびカメラ20を固定して検査対象物Sを移動させる構成を採用してもよい。より一般的には、検査対象物S、X線源10およびカメラ20を相対的に移動させる任意の構成を採用できる。移動手段(ステージ)の位置検出値を定期的に取得することで、撮影タイミングにおける検査対象物S、X線源10およびカメラ20の相対的な位置関係を決定することができる。したがって、上記の説明と同様に、指示した撮影位置と実際の撮影位置のあいだに位置ズレが生じても高品質な3次元データを再構成することができる。
【0049】
上記の説明では、モータの実座標をモータから直接取得するものとして説明しているが、モータドライバやPLCを介して間接的に取得してもよい。撮影フラグも同様に、カメラから直接取得する以外に、カメラ制御ボードやPLCを介して間接的に取得してもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るX線検査装置の構成を示す図である。図7は、本実施形態における検査処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係るX線検査装置は、撮影実座標補正部80および座標系情報記憶部81を備え、再構成処理S118の前に撮影実座標の補正処理S120が加えられている点が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点について主に説明する。
【0051】
ステージのモータの位置検出値から得られるX線源10やカメラ20の位置と、X線源10やカメラ20の実際の位置とは完全に一致しているとは限らない。たとえば、XYステージにおいてXステージの位置検出値がX線源10やカメラ20のX座標を表すと考えられるが、実際にはXステージがX軸と完全に一致するとは限らず、ステージのモータから得られる位置検出値と実際の位置のあいだにズレが生じる。あるいは、設計上はX軸とY軸が直交しているが、現物は所定の範囲(たとえば89.9〜90.1度)でばらつく。製造精度を上げるとコストがかかるため、全ての軸を高精度に製造するとX線検査装置のコスト増加につながる。
【0052】
そこで、本実施形態では、撮影実座標を補正する処理を加えて、第1の実施形態よりもさらに高品質な3次元データを生成できるようにする。
【0053】
この補正処理のために、モータから得られる検出座標と現実の空間座標の差分を事前に測定しておき、座標系情報記憶部81に記憶しておく。差分の測定には、座標系のキャリブレーションに用いられる既存の任意の手法を用いればよい。下記に一例を挙げる。
【0054】
図8(a)に示すように、まず、測定治具Bがカメラ20の中心に写るように、X線源10とカメラ20の位置を調整する。このときの座標から、軸間の相対位置ズレを算出できる。
【0055】
次に、図8(b)に示すように、各軸について、他の軸を固定して当該軸だけを移動させて測定治具Bを撮影する。たとえば、X線源10のX軸角度が設計通りであれば、治具の写る場所はX方向にのみ移動するはずである。もし写る場所がY方向に移動していればX線源のX軸がカメラに対して角度ズレがあることが分かる。このように、移動前後で測定治具Bの写る場所がどれだけ変化したかによって、軸間の相対角度ズレを算出できる。
【0056】
撮影実座標補正部80は、撮影画像のそれぞれについて撮影実座標算出部50によって求められた座標を、座標系情報記憶部81に記憶された差分に応じて補正する。これによって、撮影時におけるX線源10およびカメラ20の実際の位置をさらに精度良く求めることができる。再構成部60は、精度のよい位置情報を用いて再構成するため、得られる3次元データはさらに高品質なものとなる。
【符号の説明】
【0057】
S 検査対象物
10 X線源
20 X線カメラ
40 リスト生成部
50 撮影実座標算出部
60 再構成部
70 検査部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8