【解決手段】流動体の表面位置検出装置は、第1〜第4電極1〜3と、第1電極1及び第3電極3間の静電容量である第1静電容量と第2電極2及び第4電極3間の静電容量である第2静電容量とに基づいて流動体の表面位置を検出する検出部(不図示)と、を備える。検出部の検出範囲において、第1電極1の流動体に対面している領域の面積である第1面積と第2電極2の流動体に対面している領域の面積である第2面積とがそれぞれ流動体の表面位置が高いほど大きくなる。検出部の検出範囲において、前記第1面積と前記第2面積との比率が前記流動体の表面位置に応じて一意に定まる。
前記検出部が、前記第1静電容量を補正した第1補正静電容量と前記第2静電容量を補正した第2補正静電容量との比率に基づいて前記流動体の表面位置を検出する請求項1に記載の流動体の表面位置検出装置。
前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第2面積の増加量が前記流動体の表面位置が高いほど大きくなる請求項2〜4のいずれか一項に記載の流動体の表面位置検出装置。
前記流動体の表面位置が前記第2閾値以上のときは前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第1面積の増加量と、前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第2面積の増加量とが略等しい請求項6に記載の流動体の表面位置検出装置。
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び前記第4電極それぞれと前記流動体との接触を防止する絶縁部材を備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の流動体の表面位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1で提案されている水位センサは、一対の測定用電極間の静電容量の絶対値を測定することで一対の測定用電極間に存在する液体の水位を検出している。一対の測定用電極間の静電容量の絶対値は、一対の測定用電極間に存在する液体の水位が同一であっても液体の温度や組成などの影響を受けて大きく変動する。このため、上述した特許文献1で提案されている水位センサは検出精度が低いという問題を有している。ここで、特許文献1で提案されている水位センサでは、水位と静電容量値とがほぼ線形関係を示すことを利用して、水位が最低位置θ0にあるときの静電容量値CLOWと水位が最高位置θ2にあるときの静電容量値CHIGHとを予め実際に測定しておき、静電容量値CLOW及び静電容量値CHIGHと実際に得られた現在の静電容量値Cとから、現在の水位θ1を求めている。このキャリブレーションを実施することで、センサの個体差などによる測定誤差を少なくすることができる。しかしながら、温度、液体の種類などの条件が静電容量値CLOWおよびCHIGHの測定時から変化すれば検出誤差の要因になる。
【0007】
そこで、特許文献1では、検出精度を高めるための工夫として、一対の参照用電極間の静電容量の絶対値も測定し、一対の測定用電極間の静電容量の絶対値と一対の参照用電極間の静電容量の絶対値から一対の測定用電極間に存在する液体の水位を検出することを提案している。この検出精度を高めるための工夫は、一対の参照用電極間に存在する液体と一対の測定用電極間に存在する液体が同一の状態であることを前提としている。しかしながら、一対の参照用電極間に存在する液体と一対の測定用電極間に存在する液体は互いに遠く離れた場所に存在しているため、同一の状態である保証は無い。例えば、液体の温度分布、濃度分布が一様で無い場合には一対の参照用電極間に存在する液体と一対の測定用電極間に存在する液体が大きく異なる状態になり得る。したがって、特許文献1で提案されている検出精度を高めるための工夫は検出精度が高くなると言い切れるものではない。また、特許文献1では、測定用電極および参照用電極が液体に接しない構成であるが、測定用電極および参照用電極が液体に浸かる構成にした場合、水位測定範囲の下限に相当する水位レベルでは参照用電極が完全に液体に浸かることになる。この場合、参照用電極に接続される電線が水位測定範囲の上限に相当する水位レベルよりも上方から引き回されることになり、構造が複雑になるという問題が生じる。
【0008】
また上述した特許文献2で提案されている水位センサは、複数n個の観測点位置刻みでしか水位を検出することができない。このため、上述した特許文献2で提案されている水位センサは複数n個の観測点位置に配置されるn組の電極対の組数を増やさなければ検出精度を高めることができないという問題を有している。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、多数の電極対を設けなくても検出精度が高い流動体の表面位置検出装置およびそれを備えたセンサ情報送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る流動体の表面位置検出装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と対になる第3電極と、前記第2電極と対になる第4電極と、前記第1電極及び前記第3電極間の静電容量である第1静電容量と前記第2電極及び前記第4電極間の静電容量である第2静電容量とに基づいて流動体の表面位置を検出する検出部と、を備え、前記検出部の検出範囲において、前記第1電極の前記流動体に対面している領域の面積である第1面積と前記第2電極の前記流動体に対面している領域の面積である第2面積とがそれぞれ前記流動体の表面位置が高いほど大きくなり、前記第1面積と前記第2面積との比率が前記流動体の表面位置に応じて一意に定まる構成(第1の構成)とする。
【0011】
また、上記第1の構成である流動体の表面位置検出装置において、前記検出部が、前記第1静電容量と前記第2静電容量との比率に基づいて前記流動体の表面位置を検出する構成(第2の構成)としても良い。
【0012】
また、上記第1の構成である流動体の表面位置検出装置において、前記検出部が、前記第1静電容量を補正した第1補正静電容量と前記第2静電容量を補正した第2補正静電容量との比率に基づいて前記流動体の表面位置を検出する構成(第3の構成)としても良い。
【0013】
また、上記第2又は第3の構成である流動体の表面位置検出装置において、前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第1面積の増加量が前記流動体の表面位置が高いほど小さくなる構成(第4の構成)としても良い。
【0014】
また、上記第2〜第4いずれかの構成である流動体の表面位置検出装置において、前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第2面積の増加量が前記流動体の表面位置が高いほど大きくなる構成(第5の構成)としても良い。
【0015】
また、上記第1〜第3いずれかの構成である流動体の表面位置検出装置において、前記流動体の表面位置が第1閾値以上第2閾値未満のときは前記第1面積が正の値であり且つ前記第2面積が零であり、前記流動体の表面位置が前記第2閾値以上のときは前記第2面積が前記第1面積より小さい正の値である構成(第6の構成)としても良い。
【0016】
また、上記第6の構成である流動体の表面位置検出装置において、前記流動体の表面位置が前記第2閾値以上のときは前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第1面積の増加量と、前記流動体の表面位置の増加量に対する前記第2面積の増加量とが略等しい構成(第7の構成)としても良い。
【0017】
また、上記第1〜第7いずれかの構成である流動体の表面位置検出装置において、前記第3電極と前記第4電極が一体化又は共通化されている構成(第8の構成)としても良い。
【0018】
また、上記第1〜第8いずれかの構成である流動体の表面位置検出装置において、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び前記第4電極それぞれと前記流動体との接触を防止する絶縁部材を備える構成(第9の構成)としても良い。
【0019】
また、本発明に係るセンサ情報無線送信装置は、少なくとも一つのセンサと、前記少なくとも一つのセンサによって検出された情報を無線送信する通信部と、を備え、前記少なくとも一つのセンサが上記第1〜第9いずれかの構成である流動体の表面位置検出装置を含む構成(第10の構成)とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多数の電極対を設けなくても流動体の表面位置検出装置の検出精度を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る水位センサ101の概略斜視図である。水位センサ101は流動体の表面位置検出装置の一例であって水の表面位置(水位)を検出するセンサである。
【0023】
水位センサ101は、第1電極1と、第2電極2と、共通電極3と、第1絶縁部材4と、第2絶縁部材5と、検出部6(
図1において不図示)とを備えている。第1絶縁部材4及び第2絶縁部材5はそれぞれ平板形状であり互いの主面が正対するように平行配置されている。第1電極1及び第2電極2が第1絶縁部材4の第2絶縁部材5に対向する主面に配置されており、共通電極3が第2絶縁部材5の第1絶縁部材4に対向する主面に配置されている。第1絶縁部材4と第2絶縁部材5との間を含む第1絶縁部材4及び第2絶縁部材5の周辺に存在し得る水の表面位置(水位)はz方向に上下する。
【0024】
検出部6は、第1電極1及び共通電極3間の静電容量である第1静電容量と第2電極2及び共通電極3間の静電容量である第2静電容量とに基づいて水の表面位置(水位)を検出する。
【0025】
図2は、y方向から見た第1電極1、第2電極2、及び共通電極3を示す図である。
図2において、第1電極1及び第2電極2の外形は実線で示し、共通電極3の外形は太い点線で示している。第1電極1及び第2電極2の外形は同一の直角三角形形状であり、第1電極1の直角三角形形の底辺上に水位レベル0%ラインが設定され、第2電極2の直角三角形形の底辺上に水位レベル100%ラインが設定される。つまり、第1電極1の直角三角形形の底辺から第2電極2の直角三角形形の底辺までが検出部6(
図2において不図示)の検出範囲である。
【0026】
共通電極3の外形は矩形形状である。共通電極3は
図3に示すように第1電極1に対面する第1領域R1、第2電極2に対面する第2領域R2、及び第1領域R1と第2領域R2を繋ぐ第3領域R3によって構成されている。
【0027】
検出部6の検出範囲において、第1電極1の水に対面している領域の面積である第1面積と第2電極2の水に対面している領域の面積である第2面積とはそれぞれ水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。
【0028】
水の表面位置(水位)上における第1電極1のx方向幅は水の表面位置(水位)が高いほど狭くなる。このため、水の表面位置(水位)の増加量に対する第1面積の増加量は水の表面位置(水位)が高いほど小さくなる。一方、水の表面位置(水位)上における第2電極2のx方向幅は水の表面位置(水位)が高いほど広くなる。このため、水の表面位置(水位)の増加量に対する第2面積の増加量は水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。
【0029】
したがって、検出部6の検出範囲において、第1面積と第2面積との比率が水の表面位置(水位)に応じて一意に定まる。そして、検出部6の検出範囲において、第1面積に応じて第1静電容量が変化し、第2面積に応じて第2静電容量が変化する。
【0030】
第1静電容量は第1電極1及び共通電極3間に水が介在している部分の静電容量と第1電極1及び共通電極3間に空気が介在している部分の静電容量とを合成したものである。ところが水の誘電率は空気の誘電率のおよそ10倍であるので、第1静電容量は第1電極1及び共通電極3間に水が介在している部分の静電容量に近似できる。そのため、第1面積と第1静電容量とは比例関係にあると近似できる。
【0031】
同様に第2静電容量は第2電極2及び共通電極3間に水が介在している部分の静電容量と第2電極2及び共通電極3間に空気が介在している部分の静電容量とを合成したものである。ところが水の誘電率は空気の誘電率のおよそ10倍であるので、第2静電容量は第2電極2及び共通電極3間に水が介在している部分の静電容量に近似できる。そのため、第2面積と第2静電容量とは比例関係にあると近似できる。
【0032】
したがって、水の表面位置(水位)に応じて変化する第1面積に対する第2面積の比は第1静電容量に対する第2静電容量の比に等しいと近似できる。このため、検出部6の検出範囲において、第1静電容量と第2静電容量との比率も水の表面位置(水位)に応じて一意に定まる。検出部6は、この関係を利用して第1静電容量と第2静電容量とに基づいて水の表面位置(水位)を検出する。
【0033】
図4Aは、検出部6の一構成例を示す図である。
図4Aに示す構成例の検出部6は、定電圧源6Aと、コンデンサ6Bと、スイッチ6Cと、マイクロコンピュータ6Dとを備えている。なお、
図4Aに示す構成例では定電圧源6Aの負極は接地されているが、定電圧源6Aの負極は他の電位に固定される構成であっても良く、定電圧源6Aの負極電位が変更できる構成であっても良い。
【0034】
スイッチ6Cは、定電圧源6Aの正極がコンデンサ6Bを介して第1電極1に接続され定電圧源6Aの負極が共通電極3に接続されている状態と、定電圧源6Aの正極がコンデンサ6Bを介して第2電極2に接続され定電圧源6Aの負極が共通電極3に接続されている状態とを切り替える。
【0035】
マイクロコンピュータ6Dは、スイッチ6Cを制御するとともに第1電極1の電位及び第2電極2の電位を略同一タイミングで検知する。また、マイクロコンピュータ6Dは、第1電極1の電位及び第2電極2の電位の検知を所定の周期(例えば1時間おき)で行っている。
【0036】
マイクロコンピュータ6DはA/D変換器を内蔵しており第1電極1の電位及び第2電極2の電位を検知する際に第1電極1の電位及び第2電極2の電位のA/D変換を行っている。なお、検出部6はリセット回路を有してもよい。リセット回路は、第1電極1の電位を検出する直前にコンデンサ6Bと第1電極1及び共通電極3を両端電極として備えている可変容量コンデンサとをリセットする。同様に、リセット回路は、第2電極2の電位を検出する直前にコンデンサ6Bと第2電極2及び共通電極3を両端電極として備えている可変容量コンデンサとをリセットする。
【0037】
第1電極1の電位は第1静電容量とコンデンサ6Bの静電容量との比及び定電圧源6Aの出力電圧によって決まり、第2電極2の電位は第2静電容量とコンデンサ6Bの静電容量との比及び定電圧源6Aの出力電圧によって決まる。したがって、マイクロコンピュータ6Dは、第1電極1の電位及び第2電極2の電位から第1静電容量と第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出する。なお、
図4Aに示す構成の代わりに例えば
図4Bに示す構成を採用してもよい。
図4Bに示す構成では、第1電極1及び共通電極3を両端電極として備えている第1可変容量コンデンサと第2電極2及び共通電極3を両端電極として備えている第2可変容量コンデンサとの共通電極3同士を接続して、第1可変容量コンデンサと第2可変容量コンデンサの直列回路を設け、その直列回路に定電圧源6Aの出力電圧を印加している。この構成により、定電圧源6Aの出力電圧が第1可変容量コンデンサの第1静電容量と第2可変容量コンデンサの第2静電容量との比率によって分圧され、その分圧がマイクロコンピュータ6DのA/D変換器に入力される。マイクロコンピュータ6Dは、定電圧源6Aの出力電圧を把握することで、A/D変換器に入力された分圧から第1静電容量と第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出することができる。
【0038】
ここで、第1電極1の直角三角形形の底辺、第1電極1の直角三角形形の高さ、第2電極2の直角三角形形の底辺、及び第2電極2の直角三角形形の高さをそれぞれ100とした場合の、水位レベルと第1面積、第2面積、及び第1静電容量に対する第2静電容量の比との関係を
図5に示す。この水位レベルと第1静電容量に対する第2静電容量の比との関係をグラフで表すと
図6のようになる。
【0039】
このように水位センサ101は、互いに遠く離れていない第1電極1及び第2電極2を備え、第1電極1及び共通電極3間の静電容量である第1静電容量と第2電極2及び共通電極3間の静電容量である第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出する。このため、検出結果が液体の温度や組成などの影響を受け難くなり、検出精度が高くなる。また、水の表面位置(水位)の検出分解能を向上させるために電極数を増加させる必要がないので、多数の電極を設けなくても良い。なお、水位センサ101は上述した実施形態のように単独で使用する以外に、複数の水位センサ101をz方向に並べて設置して使用しても良い。複数の水位センサ101をz方向に並べて設置する場合、下からn(nは自然数)番目の水位センサ101の水位レベル100%ラインと下からn+1番目の水位センサ101の水位レベル0%ラインとがz方向において同じ高さであることが重複無く連続して水位を検出できるので好ましい。上記のように複数の水位センサ101をz方向に並べて設置して使用する場合、水位センサ101毎に検出部6を設けることによって、何番目の水位センサ101までが水位レベル100%を検出しているかと、水位レベル100%を検出したセンサのうち最も上に位置するセンサの一つ上に設置されている水位センサ101がどの水位レベルを検出しているかを把握することができる。
【0040】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る水位センサ102の概略斜視図である。水位センサ102は流動体の表面位置検出装置の一例であって水の表面位置(水位)を検出するセンサである。
【0041】
水位センサ102は、第1電極11と、第2電極12と、第3電極13と、第4電極14と、円筒形状の絶縁体15と、検出部16(
図7において不図示)とを備えている。第1〜第4電極11〜14はそれぞれ絶縁体15の外側側面に配置されている。絶縁体15の内部に存在し得る水の表面位置(水位)はz方向に上下する。なお、絶縁体15の下部において絶縁体15の外側から内側への流動体の侵入を可能にする場合には、絶縁体15を下部に底を設けない形状にすればよく、絶縁体15の内側に流動体を溜める場合には、絶縁体15を下部に底を設けた容器にすればよい。
【0042】
検出部16は、第1電極11及び第3電極13間の静電容量である第1静電容量と第2電極12及び第4電極14間の静電容量である第2静電容量とに基づいて水の表面位置(水位)を検出する。
【0043】
図8は、絶縁体15の正面から見た第1〜第4電極11〜14を示す図である。第1電極11及び第2電極12の外形は同一の直角三角形形状であり、第1電極11の直角三角形形の底辺上に水位レベル0%ラインが設定され、第2電極12の直角三角形形の底辺上に水位レベル100%ラインが設定される。つまり、第1電極11の直角三角形形の底辺から第2電極12の直角三角形形の底辺までが検出部16(
図8において不図示)の検出範囲である。
【0044】
第3電極13及び第4電極14の外形は同一の矩形形状である。
【0045】
検出部16の検出範囲において、第1電極11の水に対面している領域の面積である第1面積と第2電極12の水に対面している領域の面積である第2面積とはそれぞれ水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。
【0046】
水の表面位置(水位)上における第1電極11の円周方向幅は水の表面位置(水位)が高いほど狭くなる。このため、水の表面位置(水位)の増加量に対する第1面積の増加量は水の表面位置(水位)が高いほど小さくなる。一方、水の表面位置(水位)上における第2電極12の円周方向幅は水の表面位置(水位)が高いほど広くなる。このため、水の表面位置(水位)の増加量に対する第2面積の増加量は水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。
【0047】
したがって、検出部6の検出範囲において、第1面積と第2面積との比率が水の表面位置(水位)に応じて一意に定まる。そして、検出部16の検出範囲において、第1面積に応じて第1静電容量が変化し、第2面積に応じて第2静電容量が変化する。
【0048】
第1静電容量は第1電極11及び第3電極13間に絶縁体15の側面及び水が介在している部分の静電容量と第1電極11及び第3電極13間に絶縁体15の側面及び空気が介在している部分の静電容量とを合成したものである。ところが水の誘電率は空気の誘電率のおよそ10倍であるので、第1静電容量は第1電極11及び第3電極13間に絶縁体15の側面及び水が介在している部分の静電容量に近似できる。そのため、第1面積と第1静電容量とは比例関係にあると近似できる。
【0049】
同様に第2静電容量は第2電極12及び第4電極14間に絶縁体15の側面及び水が介在している部分の静電容量と第2電極12及び第4電極14間に絶縁体15の側面及び空気が介在している部分の静電容量とを合成したものである。ところが水の誘電率は空気の誘電率のおよそ10倍であるので、第2静電容量は第2電極12及び第4電極14間に絶縁体15の側面及び水が介在している部分の静電容量に近似できる。そのため、第2面積と第2静電容量とは比例関係にあると近似できる。
【0050】
したがって、水の表面位置(水位)に応じて変化する第1面積に対する第2面積の比は第1静電容量に対する第2静電容量の比に等しいと近似できる。このため、検出部6の検出範囲において、第1静電容量と第2静電容量との比率も水の表面位置(水位)に応じて一意に定まる。検出部16は、この関係を利用して第1静電容量と第2静電容量とに基づいて水の表面位置(水位)を検出する。
【0051】
図9は、検出部16の一構成例を示す図である。
図9に示す構成例の検出部16は、定電圧源16Aと、コンデンサ16Bと、スイッチ16Cと、マイクロコンピュータ16Dとを備えている。なお、定電圧源16Aの負極は接地されている。
【0052】
スイッチ16Cは、定電圧源16Aの正極がコンデンサ16Bを介して第1電極11に接続され定電圧源16Aの負極が第3電極13及び第4電極14に接続されている状態と、定電圧源16Aの正極がコンデンサ16Bを介して第2電極12に接続され定電圧源16Aの負極が第3電極13及び第4電極14に接続されている状態とを切り替える。
【0053】
マイクロコンピュータ16Dは、スイッチ16Cを制御するとともに第1電極11の電位及び第2電極12の電位を略同一タイミングで検知する。また、マイクロコンピュータ16Dは、第1電極11の電位及び第2電極12の電位の検知を所定の周期(例えば1時間おき)で行っている。
【0054】
マイクロコンピュータ16DはA/D変換器を内蔵しており第1電極11の電位及び第2電極12の電位を検知する際に第1電極11の電位及び第2電極12の電位のA/D変換を行っている。なお、検出部6はリセット回路を有してもよい。リセット回路は、第1電極11の電位を検出する直前にコンデンサ16Bと第1電極11及び第3電極13を両端電極として備えている可変容量コンデンサとをリセットする。同様に、リセット回路は、第2電極12の電位を検出する直前にコンデンサ16Bと第2電極12及び第4電極14を両端電極として備えている可変容量コンデンサとをリセットする。
【0055】
第1電極11の電位は第1静電容量とコンデンサ16Bの静電容量との比及び定電圧源16Aの出力電圧によって決まり、第2電極12の電位は第2静電容量とコンデンサ16Bの静電容量との比及び定電圧源16Aの出力電圧によって決まる。したがって、マイクロコンピュータ16Dは、第1電極11の電位及び第2電極12の電位から第1静電容量と第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出する。
【0056】
このように水位センサ102は、互いに遠く離れていない第1電極11及び第2電極12を備え、第1電極11及び第3電極13間の静電容量である第1静電容量と第2電極12及び第4電極14間の静電容量である第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出する。このため、検出結果が液体の温度や組成などの影響を受け難くなり、検出精度が高くなる。また、水の表面位置(水位)の検出分解能を向上させるために電極数を増加させる必要がないので、多数の電極を設けなくても良い。
【0057】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る水位センサは、第1実施形態に係る水位センサ101の第1電極1、第2電極2、及び共通電極3の形状を
図10のように変更し、その変更に伴って検出部6の処理内容も変更した構成である。
【0058】
図10は、y方向から見た第1電極1、第2電極2、及び共通電極3を示す図である。
図10において、第1電極1及び第2電極2の外形は実線で示し、共通電極3の外形は太い点線で示している。第1電極1、第2電極2、及び共通電極3の外形はそれぞれ矩形形状であり、第1電極1の下辺は第2電極2の下辺よりもh
1だけ低い位置にあり、第1電極1の上辺と第2電極2の上辺は同一の高さに位置している。第1電極1のx方向幅と第2電極2のx方向幅とは略同一である。共通電極3は第1電極1に対面する第1領域、第2電極2に対面する第2領域、及び第1領域と第2領域を繋ぐ第3領域によって構成されている。
【0059】
第1電極1の下辺上に基準位置ラインが設定され、第2電極2の下辺上に検出部6(
図10において不図示)の検出範囲の下限ラインが設定され、第1電極1の上辺及び第2電極2の上辺上に検出部6(
図10において不図示)の検出範囲の上限ラインが設定される。
【0060】
基準位置ラインから検出部6の検出範囲の上限ラインにおいて、第1電極1の水に対面している領域の面積である第1面積は水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。また、第2電極2の水に対面している領域の面積である第2面積は、基準位置ラインから検出部6の検出範囲の下限ラインにおいて零であり、検出部6の検出範囲において水の表面位置(水位)が高いほど大きくなる。
【0061】
そして、第1電極1のx方向幅と第2電極2のx方向幅とは略同一であるので、検出部6の検出範囲において、水の表面位置(水位)の増加量に対する第1面積の増加量と、水の表面位置(水位)の増加量に対する第2面積の増加量とが略等しい。
【0062】
したがって、検出部6の検出範囲において、第1面積が第2面積よりも大きい。そして、基準位置ラインから検出部6の検出範囲の上限ラインにおいて、第1面積に応じて第1静電容量が変化し、検出部6の検出範囲において、第2面積に応じて第2静電容量が変化する。
【0063】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、水の表面位置(水位)に応じて変化する第1面積に対する第2面積の比は第1静電容量に対する第2静電容量の比に等しいと近似できる。検出部6は、この関係を利用して第1静電容量と第2静電容量とに基づいて水の表面位置(水位)を検出する。
【0064】
検出部6の構成例も第1実施形態と同様であるが、検出部6は下記(1)式に基づいて基準位置ラインから水の表面位置(水位)までの高さh
2を求める。なお、S
1は第1面積を表しており、S
2は第2面積を表している。
h
2=h
1/(1−S
2/S
1) …(1)
【0065】
上記(1)式から明らかなように本実施形態に係る水位センサも第1実施形態に係る水位センサ101と同様に、互いに遠く離れていない第1電極1及び第2電極2を備え、第1電極1及び共通電極3間の静電容量である第1静電容量と第2電極2及び共通電極3間の静電容量である第2静電容量との比率を求めて、水の表面位置(水位)を検出することになる。このため、検出結果が液体の温度や組成などの影響を受け難くなり、検出精度が高くなる。また、水の表面位置(水位)の検出分解能を向上させるために電極数を増加させる必要がないので、多数の電極を設けなくても良い。
【0066】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係るセンサ情報送信装置201の概略構成図である。センサ情報送信装置201は、水位センサ101を備え、水位センサ101によって検出された水位の情報を外部の無線アクセスポイントやサーバーなどに無線送信する装置である。センサ情報送信装置201は、例えば田んぼや河川などに設置される。
【0067】
センサ情報送信装置201は、環境発電装置21と、電源IC22と、蓄電装置23と、制御マイコン24と、無線通信部25と、水位センサの電極部26とを備えている。
【0068】
環境発電装置21は、周りの環境からエネルギーを収穫し、その収穫したエネルギーを電力に変換する装置であり、例えば太陽電池や水流を駆動源として利用する水流発電機などを用いることができる。
【0069】
電源IC22は、環境発電装置21の発電電力に余剰が生じたときにその余剰電力を蓄電装置23に蓄えさせる。蓄電装置23としては例えば二次電池やコンデンサなどを用いることができる。また、電源IC22は、環境発電装置21の発電電力或いは蓄電装置23の放電電力を所定電圧値の安定化電力に変換して制御マイコン24及び無線通信部25に供給する。なお、環境発電装置21及び蓄電装置23に代えて或いは加えて、一次電池を設けても良い。
【0070】
制御マイコン24は、例えば
図4に示すコンデンサ6B、スイッチ6C、及びマイクロコンピュータ6Dに相当する機能或いは
図9に示すコンデンサ16B、スイッチ16C、及びマイクロコンピュータ16Dに相当する機能を有している。なお、制御マイコン24がコンデンサ6Bや16Bに相当する機能を有さず、制御マイコン24にコンデンサ6Bや16Bが外付けされる構成であっても良い。
【0071】
また制御マイコン24は、水位センサによって検出された水位の情報を無線通信部25に送る。無線通信部25は、水位センサによって検出された水位の情報を変調した無線送信信号を外部の無線アクセスポイントやサーバーなどに送信する。なお、無線通信部25は、外部の無線アクセスポイントやサーバーから送られてくる指令を受信し、受信した指令を制御マイコン24に送るようにしても良い。外部の無線アクセスポイントやサーバーから送られてくる指令としては、例えば大雨警報発令時に水位の検出周期を通常時よりも短くする指令などを挙げることができる。
【0072】
図12は、環境発電装置21に太陽電池を用いた場合のセンサ情報送信装置201の概略斜視図である。
【0073】
図12に示すセンサ情報送信装置201は、外観が円柱である収納部27を備えている。収納部27の内部空間には、電源IC22、蓄電装置23、制御マイコン24、及び無線通信部25が収納されている。そして、収納部27は内部空間に水が浸入しないように防水構造になっている。防水構造の一例としては、収納部27が、有底円筒形状の本体部と、円板形状の蓋部と、本体部の上面に設けられる溝部に装着されるゴム製のOリングとを備え、Oリングによってシーリングを確保する構造を挙げることができる。
【0074】
収納部27の底面中央から下方に向かって水位センサの電極搭載部28が2枚互いに平行に対面して延伸している。
図12に示すセンサ情報送信装置201を田んぼや河川の底部に突き刺して固定し易いように、水位センサの電極搭載部28の下端を鋭利な形状としている。収納部27の上面には太陽電池29を配置している。
【0075】
なお、収納部27の内部空間に配置している部品の一部を収納部27の外部に配置しても良い。この場合、例えば収納部27の上面にケーブル接続用のコネクタ部を設け、ケーブルを介して収納部27の内部空間に配置している部品と収納部27の外部に配置している部品とを電気的に接続すると良い。
【0076】
<その他の変形例>
なお、第1実施形態で説明した変形例は第2実施形態においても適用することができる。同様に、第1実施形態で説明した変形例は第3実施形態においても適用することができる。また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では水の表面位置(水位)を検出したが、水以外の液体の表面位置や例えばプリンタで用いられるトナーなどの紛体の表面位置を検出しても良い。
【0078】
また、上記第1実施形態では第1電極1及び第2電極2が同一の形状であったが、例えば
図13のように第1電極1及び第2電極2が互いに異なる三角形形状であってもよい。
【0079】
なお、第1電極1及び第2電極2の形状は三角形に限定されない。例えば
図14のように第1電極1及び第2電極2は台形形状であっても良い。
【0080】
また、第1電極1及び第2電極2の一方を、水の表面位置(水位)にかかわらずx方向幅が一定である形状にしてもよい。例えば
図15のように第2電極2を矩形形状にしても良い。ここで、第1電極1の直角三角形形の底辺を100とし、第1電極1の直角三角形形の高さを100とし、第2電極2のx方向幅を50とし、及び第2電極2のy方向高さを100とした場合の、水位レベルと第1面積、第2面積、及び第1静電容量に対する第2静電容量の比との関係を
図16に示す。この水位レベルと第1静電容量に対する第2静電容量の比との関係をグラフで表すと
図17のようになる。
図17と
図6を比較すると、静電容量比の増加量に対する水位レベルX%の増加量が
図6の方が小さいので、
図6の方がより高精度に水位レベルX%を検出することができる。なお、
図6及び
図17において静電容量比と水位レベルX%の関係は非線形特性を有しているが、電極形状を調整して静電容量比と水位レベルX%の関係は線形特性を有するようにしてもよい。また、水位レベル0%付近における水位レベルの変化をより高精度に検出したい場合には、水位レベル0%付近における静電容量比の増加量に対する水位レベルX%の増加量が水位レベル0%付近以外における静電容量比の増加量に対する水位レベルX%の増加量よりも小さくなるように電極形状を調整すると良い。逆に、水位レベル100%付近における水位レベルの変化をより高精度に検出したい場合には、水位レベル100%付近における静電容量比の増加量に対する水位レベルX%の増加量が水位レベル100%付近以外における静電容量比の増加量に対する水位レベルX%の増加量よりも小さくなるように電極形状を調整すると良い。
【0081】
また、第3実施形態では第3電極13と第4電極14を別々に設けたが、第3電極13及び第4電極14の代わりに例えば
図18のように第3電極13及び第4電極14を共用化した共用電極17を設ける構成にしても良い。
【0082】
また、上記実施形態では水の表面位置(水位)に応じて変化する第1面積に対する第2面積の比は第1静電容量に対する第2静電容量の比に等しいと近似したが、この近似を用いずに第1静電容量を補正することで第1静電容量の一部を成す電極間に水が介在している部分の静電容量を求め、第2静電容量を補正することで第2静電容量の一部を成す電極間に水が介在している部分の静電容量を求めるようにしてもよい。
【0083】
このように、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。