特開2017-223590(P2017-223590A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017223590-墨出用治具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223590(P2017-223590A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】墨出用治具
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/02 20060101AFI20171124BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   G01C15/02
   B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-120111(P2016-120111)
(22)【出願日】2016年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰明
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC04
(57)【要約】
【課題】重量増加を抑えつつ撓みや破損を防止できる「墨出用治具」を提供する。
【解決手段】墨出用治具1は合成樹脂で成形された本体板部2を備えており、この本体板部2には内側細長孔3と外側細長孔4が同心状に形成されている。内側細長孔3は複数のスリット部3aを繋ぎ部3bを介して環状に連続させた構成となっており、外側細長孔4も複数のスリット部4aを繋ぎ部4bを介して環状に連続させた構成となっており、これら繋ぎ部3b,4bの板厚が本体板部2の板厚よりも大きく設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井面に押し付けられて位置決めされる本体板部と、前記本体板部に形成されて環状に延びる複数のスリット部と、前記各スリット部の間に位置する繋ぎ部とを有し、前記繋ぎ部の板厚が前記本体板部の板厚よりも大きく設定されていることを特徴とする墨出用治具。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記スリット部の周縁に沿って延びる周縁リブを有し、前記周縁リブの板厚が本体板部の板厚よりも大きく設定され、前記周縁リブと前記繋ぎ部が連続していることを特徴とする墨出用治具。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記本体板部に前記スリット部と交差する方向へ延びる補強リブが形成されており、前記補強リブの板厚が本体板部の板厚よりも大きく設定され、前記補強リブと前記繋ぎ部が連続していることを特徴とする墨出用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両天井面にリアモニター等を取り付ける際に使用される墨出用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の天井面にリアモニター等を取り付ける場合、天井面に貼られたルーフライニングを所定の形状に切り取る必要があり、その際、型紙を用いてルーフライニングに所定形状の墨出し線を描いてからカッター等で切除するようにしている。ただし、型紙は変形しやすいため、作業が非常に面倒なばかりでなく、正確な墨出し線を描くことができない場合があった。
【0003】
従来より、天井面に対して墨出し作業を行う治具として、特許文献1に記載されているように、複数に分割された細長孔を墨出し対象形状に配置して1つの矩形状細長孔となし、このような構成の矩形状細長孔を中心部に対して同心状に形成した墨出しテンプレートが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された従来技術においては、天井面に墨出しテンプレートを押し当てて位置決めした状態で、所望の開口寸法に適合したサイズの矩形状細長孔を鉛筆等でなぞることにより、天井面に矩形状細長孔の形状をプロットした墨出し線を描くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−280967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の墨出しテンプレート(墨出用治具)では、均一厚の板状部材に形成された矩形状細長孔が、複数に分割された細長孔を繋ぎ部を介して環状に連続させた構成となっているため、軽量化を図るために板状部材の板厚を薄くすると繋ぎ部の強度が低下してしまい、撓みや破損を生じるおそれがある。なお、板状部材の板厚を全体的に肉厚にすれば、繋ぎ部の強度も高まって撓みや破損のおそれは解消されるが、その場合、墨出しテンプレートの総重量が増加してしまうため、作業性が悪くなるという別の問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、重量増加を抑えつつ撓みや破損を防止できる墨出用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の墨出用治具は、車両の天井面に押し付けられて位置決めされる本体板部と、前記本体板部に形成されて環状に延びる複数のスリット部と、前記各スリット部の間に位置する繋ぎ部とを有し、前記繋ぎ部の板厚が前記本体板部の板厚よりも大きく設定されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成された墨出用治具では、複数のスリット部を環状に連結している繋ぎ部が本体板部の板厚よりも大きく設定されているため、本体板部の板厚を肉厚にしなくても繋ぎ部の強度は高められ、重量増加を抑えつつ撓みや破損を防止することができる。
【0010】
上記の構成において、墨出用治具がスリット部の周縁に沿って延びる周縁リブを有しており、この周縁リブの板厚が本体板部の板厚よりも大きく設定され、この周縁リブと繋ぎ部が連続していると、スリット部の周囲全体が強度アップするため、重量増加を抑えつつ全体的強度をさらに高めることができる。
【0011】
また、上記の構成において、本体板部に前記スリット部と交差する方向へ延びる補強リブが形成されており、この補強リブの板厚が本体板部の板厚よりも大きく設定され、この補強リブと繋ぎ部が連続していると、重量増加を抑えつつ全体的強度をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の墨出用治具によれば、本体板部の板厚を肉厚にしなくても繋ぎ部の強度が高められるため、重量増加を抑えつつ撓みや破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態例に係る墨出用治具を下面側から見た斜視図である。
図2】実施形態例に係る墨出用治具を上面側から見た斜視図である。
図3】実施形態例に係る墨出用治具の下面図である。
図4】実施形態例に係る墨出用治具の上面図である。
図5図1のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、本実施形態例に係る墨出用治具1は、車両天井面にリアモニター等を取り付ける際に、天井面に貼られたルーフライニングに所定形状の墨出し線を描くために使用されるものである。
【0015】
図1図5に示すように、この墨出用治具1は合成樹脂で成形された本体板部2を備えており、本体板部2には内側細長孔3と外側細長孔4が同心状に形成されている。本体板部2は車両天井面に設けられた突起物や凹部等の凹凸形状に合致した形状に形成されており、墨出用治具1の総重量を軽くするために本体板部2の板厚は比較的薄く設定されている。
【0016】
内側細長孔3は複数のスリット部3aを繋ぎ部3bを介して環状に連続させた構成となっており、各スリット部3aの幅方向両周縁部には周縁リブ3cが形成されている。これら周縁リブ3cと繋ぎ部3bは同じ板厚で連続しており、各スリット部3aは同じ板厚の繋ぎ部3bと周縁リブ3cによって包囲されている。同様に、外側細長孔4も複数のスリット部4aを繋ぎ部4bを介して環状に連続させた構成となっており、各スリット部4aの幅方向周縁部には周縁リブ4cが形成されている。これら周縁リブ4cと繋ぎ部4bも同じ板厚で連続しており、各スリット部4aは同じ板厚の繋ぎ部4bと周縁リブ4cによって包囲されている。
【0017】
本体板部2の裏面には内側細長孔3と外側細長孔4のスリット部3a,4aと交差する方向へ延びる複数本の補強リブ2aが形成されており、これら補強リブ2aの何本かは内側細長孔3の繋ぎ部3bから外側細長孔4の繋ぎ部4bを通って本体板部2の外縁部まで延びている。また、内側細長孔3によって包囲された本体板部2の裏面中央部にも別の補強リブ2bが形成されており、これら補強リブ2bは内側細長孔3の周縁リブ3cに連続している。
【0018】
ここで、内側細長孔3と外側細長孔4の繋ぎ部3b,4bの板厚は本体板部2の板厚よりも大きく設定されており、これら繋ぎ部3b,4bに連続する周縁リブ3c,4cの板厚も本体板部2の板厚よりも大きく設定されている。また、補強リブ2a,2bの板厚は繋ぎ部3b,4bや周縁リブ3c,4cの板厚と同じであり、本体板部2は、全体的に板厚を薄くして軽量化を図りつつ、補強リブ2a,2bによって剛性が高められるように配慮されている。
【0019】
次に、このように構成された墨出用治具1を用いて、車両天井面にリアモニター等を取り付ける手順について説明する。
【0020】
まず、車両天井面に貼られた図示せぬルーフライニングの所定位置に墨出用治具1を裏面側を下向きにした状態で押し付け、この墨出用治具1を作業者の手で支えながら天井面の凹凸形状等を利用して位置決めする。そして、この状態を維持したまま内側細長孔3と外側細長孔4のいずれか一方、例えば、外側細長孔4のスリット部4aを鉛筆やマーカーインク等でなぞり、ルーフライニングに外側細長孔4の形状をプロットした墨出し線を描いた後、墨出用治具1を取り除いてルーフライニングに描かれた墨出し線を露出させる。
【0021】
しかる後、ルーフライニングを墨出し線の形状に沿ってカッター等で切除することにより、車両天井面に設置されたブラケットを露出させれば、このブラケットにリアモニター等の機器を取り付けることができる。なお、取付対象となる機器が小さい場合は、外側細長孔4の代わりに内側細長孔3を選択し、内側細長孔3のスリット部3aを鉛筆やマーカーインク等でなぞれば良い。
【0022】
以上説明したように、本実施形態例に係る墨出用治具1では、複数のスリット部3a,4aを環状に繋いでいる繋ぎ部3b,4bが本体板部2の板厚よりも大きく設定されているため、わざわざ本体板部2の板厚を肉厚にしなくても繋ぎ部の強度が高められ、重量増加を抑えつつ撓みや破損を防止することができる。したがって、墨出し作業を行う作業者は、比較的軽量な墨出用治具1を片手で支えながら墨出し線を描くことができ、作業性が悪化することを防止できる。
【0023】
しかも、この墨出用治具1はスリット部3a,4aの周縁に沿って延びる周縁リブ3c,4cを有しており、これら周縁リブ3c,4cと繋ぎ部3b,4bが同じ板厚で連続しているため、周縁リブ3c,4cと繋ぎ部3b,4bの両方によってスリット部3a,4aの周囲全体が強度アップし、重量増加を抑えつつ全体的強度をさらに高めることができる。さらに、本体板部2にスリット部3a,4aと交差する方向へ延びる補強リブ2aが形成されており、この補強リブ2aと繋ぎ部3b,4bが同じ板厚で連続しているため、重量増加を抑えつつ全体的強度をさらに高めることができる。
【0024】
なお、上記実施形態例では、本体板部2に同心状に配列された2つの細長孔(内側細長孔3と外側細長孔4)が形成されている場合について説明したが、墨出用治具が有する細長孔の数は1つ、あるいは3つ以上であっても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 墨出用治具
2 本体板部
2a,2b 補強リブ
3 内側細長孔
4 外側細長孔
3a スリット部
3b 繋ぎ部
3c 周縁リブ
4 外側細長孔
4a スリット部
4b 繋ぎ部
4c 周縁リブ
図1
図2
図3
図4
図5