(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223603(P2017-223603A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 13/04 20060101AFI20171124BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
G01D13/04 Z
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-120486(P2016-120486)
(22)【出願日】2016年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】板橋 明
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 康之
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA08
3D344AA26
3D344AA28
3D344AB01
3D344AD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加飾部材の金属層が劣化する虞が少ない車両用表示装置を提供する。
【解決手段】指針式計器は、指針と、指針を回動させる指針駆動部と、指針に指示される目盛り部42と、を有する。加飾部材60は、基材61と、基材61に形成された金属層62と、金属層62を保護する保護層63と、を有する。加飾部材60は、目盛り部42を囲んでいる。加飾部材60は切欠き部60aを有する。加飾部材60の基材61は切欠き部60aの周囲に形成された傾斜面61cを有する。保護層63の厚さは、5μm〜40μmである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針式計器と、前記指針式計器を装飾する加飾部材と、を備えた車両用表示装置であって、
前記加飾部材は、基材と、前記基材に形成された金属層と、前記金属層を保護する保護層と、を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記指針式計器は、指針と、前記指針を回動させる指針駆動部と、前記指針に指示される目盛り部と、を有すると共に、前記加飾部材は、前記目盛り部を囲んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記加飾部材は切欠き部を有すると共に、前記加飾部材の前記基材は前記切欠き部の周囲に形成された傾斜面を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記保護層の厚さは、5μm〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針式計器を備えた車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、指針式計器を装飾する加飾部材を備えた車両用表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1,特許文献2に開示されている。特許文献1に開示された車両用表示装置は、指針式計器の文字盤に円環状加飾部材を設けたものであり、立体感を持たせている。また、特許文献2に開示された車両用表示装置では、加飾部材の表面に金属層を形成することによって、高級感を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4462138号公報
【特許文献2】特許第5146902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、環境条件によっては、加飾部材の金属層が劣化する虞があった。例えば直射日光が照射されるような環境下では、金属層が剥離したり、変色するという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、加飾部材の金属層が劣化する虞が少ない車両用表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、指針式計器と、前記指針式計器を装飾する加飾部材と、を備えた車両用表示装置であって、前記加飾部材は、基材と、前記基材に形成された金属層と、前記金属層を保護する保護層と、を有するものである。
【0006】
また、本発明は、前記指針式計器は、指針と、前記指針を回動させる指針駆動部と、前記指針に指示される目盛り部と、を有すると共に、前記加飾部材は、前記目盛り部を囲んでいるものである。
【0007】
また、本発明は、前記加飾部材は切欠き部を有すると共に、前記加飾部材の前記基材は前記切欠き部の周囲に形成された傾斜面を有するものである。
【0008】
また、本発明は、前記保護層の厚さは、5μm〜40μmである。
【発明の効果】
【0009】
加飾部材の金属層を保護する保護層を設けたことにより、金属層が劣化する虞が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。
図1乃至
図3は、第一実施形態を示すものである。車両用表示装置は、指針10と、回路基板20と、ケース体30と、導光部材40と、文字盤50と、円環状加飾部材60と、ハウジング90と、を備えている。
【0012】
指針10は、透光性樹脂からなる指示部11と、不透明な樹脂からなる指針キャップ12と、回動軸22aが圧入されるボス部13と、指示部11を載置する指針座14とを有しており、後述する目盛り部42を指示部11にて指示する。指針10のボス部13及び指針座14は、黒色樹脂にて一体形成されている。
【0013】
回路基板20は、基板本体21と、基板本体21の後面側に実装された指針駆動部22と、基板本体21の前面側に実装された発光素子24,25と、を備えており、導光部材40の後側に配置されている。回路基板20は、文字盤50と平行に配置されている。
【0014】
基板本体21は、平板状のガラスエポキシ系基材に、指針駆動部22を駆動させる駆動回路、発光素子24,25を発光させる発光回路等を形成した硬質プリント基板からなる。駆動回路及び発光回路は、夫々、配線パターン,抵抗,コンデンサ等によって構成される。駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動する。発光回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、発光素子24,25を発光させる。
【0015】
指針駆動部22は、可動磁石式駆動装置,ステッピングモータ等からなるものである。指針駆動部22の回動軸22aには、指針10が取り付けられる。指針10のボス部13は、文字盤50に形成された貫通孔50cに挿入される。
【0016】
基板本体21の駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動して、指針10は、制御信号に応じた回転角度で回動軸22aを回転させる。これによって、指針10が車両速度若しくはエンジン回転数に応じた所定の回転角度で回転し、指針10の指示部11が目盛り部42を指示する。
【0017】
発光素子24,25は、夫々、1個以上の発光ダイオード等によって構成される。発光素子24は、文字盤50を透過照明する。発光素子25は、指針10の指示部11を光輝させる。発光素子24,25は、制御部から供給される制御信号に基づいて駆動され、車両運転者によって操作されるイルミネーションスイッチ等に応じてオン/オフされる。
【0018】
ケース体30は白色の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、このケース体30に回路基板20が固定されている。ケース体30は、垂直部31,傾斜部32,平行部33,傾斜部34,垂直部35を有している。ケース体30の垂直部31は、円筒形状になっており、前端が文字盤50の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。ケース体30の垂直部31は、発光素子24が発する照明光と、発光素子25が発する照明光とが混合されることを防ぐ遮光壁になっている。
【0019】
ケース体30の傾斜部32は、垂直部31の外周面から逆円錐状に広がる形状になっている。ケース体30の傾斜部32は、発光素子24が発した照明光を平行部33,傾斜部34に向けて反射させる。ケース体30の平行部33は、導光部材40と平行な平板形状になっている。ケース体30の傾斜部34は、逆円錐状になっており、平行部33の外周端に連なっている。ケース体30の傾斜部34は、発光素子24が発した照明光を導光部材40に向けて反射させる。
【0020】
ケース体30の垂直部35は、円筒形状になっており、後端が回路基板20の前面に当接している。ケース体30の垂直部35は、傾斜部34の外周端に連なっている。ケース体30の垂直部35は、前端が導光部材40の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。
【0021】
導光部材40は、アクリル等の透光性樹脂からなるものであり、平板部41及び目盛り部42を有している。導光部材40の目盛り部42は、貫通孔50cを中心とした円弧状に配置されており、円環状加飾部材60に囲まれている。導光部材40の目盛り部42は、発光素子24が発した照明光によって照明される。本実施形態では、目盛り部42の前面42bは、平板部41と平行になっているが、貫通孔50cに向かって傾斜していても良い。
【0022】
文字盤50は、透光性シートからなる基材の前面に印刷層を形成したものであり、数字表示部51を有している。文字盤50は、導光部材40の前面に配置される。文字盤50には、導光部材40の目盛り部42が挿通される孔部52が形成されている。
【0023】
円環状加飾部材60は、不透明な樹脂からなる基材61と、この基材61に形成された金属層62と、この金属層62を保護する保護層63とを有しており、文字盤50の前面に配置されている。円環状加飾部材60には切欠き部60aが形成されており、この切欠き部60aに目盛り部42が嵌入されている。円環状加飾部材60の基材61は、文字盤50に対向する後面61aと、金属層62が形成される前面61b及び傾斜面61cと、を有している。基材61の前面61bは、文字盤50と平行になっている。基材61の傾斜面61cは、目盛り部42の外周面42aに向かって傾斜している。
【0024】
円環状加飾部材60の金属層62は、スパッタリング法や金属蒸着法等の気相成長法にて、基材61の前面61b及び傾斜面61cに形成されている。円環状加飾部材60の保護層63は、透明なトップコート膜からなるものであり、塗装等の方法にて、金属層62上に形成されている。保護層63の厚さは、5μm〜40μmであることが望ましい。
【0025】
ハウジング90は、前ケース91,後ケース92,透明カバー93を有している。前ケース91及び後ケース92は、不透明な樹脂からなるものであり、図示しない弾性係止部によって、前ケース91の後側に後ケース92が係止されている。透明カバー93は、アクリル等の透明樹脂からなるものであり、平板形状になっている。ハウジング90には、指針10,回路基板20,ケース体30,導光部材40,文字盤50,円環状加飾部材60が収納される。
【0026】
図10は、比較例を示す図である。比較例では、円環状加飾部材60の基材61に傾斜面61cがない。比較例では、金属層62は均一な厚さであるが、目盛り部42の近傍に、保護層63が部分的に厚くなった液溜まり63bが生じてしまうため、外観上、好ましくない。
【0027】
図4及び
図5は、第二実施形態を示すものである。第二実施形態は、第一実施形態と同一または相当する個所に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略して、特徴部分のみを説明する。
【0028】
円環状加飾部材70は、不透明な樹脂からなる基材71と、この基材71に形成された金属層72と、この金属層72を保護する保護層73とを有しており、透明カバー93の前面に配置されている。円環状加飾部材70は、断面台形状のリング状になっている。円環状加飾部材70の基材71は、透明カバー93に対向する後面71aと、金属層72が形成される前面71b及び傾斜面71cと、を有している。基材71の傾斜面71cは、半径方向の外向き及び内向きに向かって傾斜している。第二実施形態では、指針10の指示部11に指示される目盛りが文字盤50に印刷形成されている。
【0029】
図6及び
図7は、第三実施形態を示すものである。第三実施形態は、第一実施形態と同一または相当する個所に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略して、特徴部分のみを説明する。
【0030】
加飾部材80は、不透明な樹脂からなる基材81と、この基材81に形成された金属層82と、この金属層82を保護する保護層83とを有しており、前ケース91の前面に配置されている。加飾部材80は、断面台形状の長方形枠状になっている。加飾部材80の基材81は、前ケース91に対向する後面81aと、金属層82が形成される前面81b及び傾斜面81cと、を有している。第三実施形態では、指針10の指示部11に指示される目盛りが文字盤50に印刷形成されている。
【0031】
図8及び
図9は、第四実施形態を示すものである。第四実施形態は、第一実施形態と同一または相当する個所に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略して、特徴部分のみを説明する。
【0032】
加飾部材100は、不透明な樹脂からなる基材101と、この基材101に形成された金属層102と、この金属層102を保護する保護層103とを有しており、前ケース91の前面に配置されている。加飾部材100には切欠き部100aが形成されており、この切欠き部100aに押釦スイッチ110が嵌入されている。加飾部材100の基材101は、前ケース91に対向する後面101aと、金属層102が形成される前面101b及び傾斜面101cと、を有している。基材101の傾斜面101cは、押釦スイッチ110の外周面110aに向かって傾斜している。押釦スイッチ110はゴム等の弾性体からなるものであり、タクトスイッチ(図示しない)を押圧する。押釦スイッチ110の前面11bは加飾部材100の前面よりも突出している。
【0033】
各実施形態によれば、加飾部材60,70,80,100の金属層62,72,82,102を保護する保護層63,73,83,103を設けたことにより、金属層62,72,82,102が劣化する虞が少ない。また、加飾部材60,70,80,100の基材61,71,81,101に、傾斜面61c,71c,81c,101cを設けたことにより、保護層63,73,83,103の厚さが略均一になり、部分的に厚くなった液溜まりが生じる虞が少ない。
【0034】
なお、本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、加飾部材60,70,80,100の基材61,71,81,101は、不透明な樹脂からなるものであったが、透明な樹脂からなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0035】
10 指針
20 回路基板
22 指針駆動部
40 導光部材
42 目盛り部
50 文字盤
60 円環状加飾部材(加飾部材)
60a 切欠き部
61 基材
61c 傾斜面
62 金属層
63 保護層
70 円環状加飾部材(加飾部材)
71 基材
71c 傾斜面
72 金属層
73 保護層
80 加飾部材
81 基材
81c 傾斜面
82 金属層
83 保護層
100 加飾部材
101 基材
101c 傾斜面
102 金属層
103 保護層