【解決手段】視準測距ユニット3と、視準測距ユニット3の上側に設けられた2次元スキャナユニット4とを具備し、視準測距ユニット3は水平回転し、水平角を検出する水平角エンコーダ11と、測距する第1距離測定部を内蔵し鉛直回転する望遠鏡部16と、望遠鏡部16の鉛直角を検出する鉛直角エンコーダ15と、制御部17とを具備し、2次元スキャナユニット4は測距を行う第2距離測定部26と、測距光を鉛直面内に偏向し鉛直回転する走査鏡23と、走査鏡23の鉛直角を検出する鉛直角エンコーダ29とを具備し、制御部17は第1距離測定部の測距結果と鉛直角エンコーダ15と水平角エンコーダ11の検出結果に基づき測定点の3次元座標を取得し、第2距離測定部26の測距結果と鉛直角エンコーダ29と水平角エンコーダ11の検出結果に基づき3次元点群データを取得する。
視準測距ユニットと、該視準測距ユニットの上側に設けられた2次元スキャナユニットとを具備し、前記視準測距ユニットは該視準測距ユニットを鉛直軸心を中心に水平回転させる第1水平回転駆動部と、前記視準測距ユニットの水平角を検出する第1水平角検出器と、所定の測定点を視準し測距する第1距離測定部を内蔵する望遠鏡部と、該望遠鏡部を鉛直回転させる第1鉛直回転駆動部と、前記望遠鏡部の鉛直角を検出する第1鉛直角検出器と、制御部とを具備し、前記2次元スキャナユニットは測距光を発し、該測距光毎に測距を行う第2距離測定部と、前記測距光を鉛直面内に偏向する走査鏡と、該走査鏡を水平軸心を中心に鉛直回転させる第2鉛直回転駆動部と、前記走査鏡の鉛直角を検出する第2鉛直角検出器とを具備し、前記制御部は前記第1距離測定部の測距結果と、前記第1鉛直角検出器と前記第1水平角検出器の検出結果に基づき測定点の3次元座標を取得し、前記第2距離測定部の測距結果と、前記第2鉛直角検出器と前記第1水平角検出器の検出結果に基づき3次元点群データを取得する様構成された測量装置。
前記第1距離測定部の座標系の原点に対する、前記第2距離測定部の座標系の原点とは既知の関係にあり、前記制御部は前記関係を基に、前記第2距離測定部の座標系を前記第1距離測定部の座標系に座標変換する請求項1に記載の測量装置。
前記2次元スキャナユニットは、前記鉛直面内に含まれる前記水平軸心と直交する鉛直中心線を有し、該鉛直中心線と前記鉛直軸心とが合致又は略合致する様、前記視準測距ユニットの上側に前記2次元スキャナユニットを配置した請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
前記2次元スキャナユニットは、前記鉛直面内に含まれる前記水平軸心と直交する鉛直中心線を有し、該鉛直中心線と前記鉛直軸心とが既知の間隔で離反し、前記走査鏡が前記視準測距ユニットから張出す様、該視準測距ユニットの上側に前記2次元スキャナユニットを配置した請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
前記2次元スキャナユニットを前記視準測距ユニットに対して水平回転させる第2水平回転駆動部と、前記2次元スキャナユニットと前記視準測距ユニット間の相対水平角を検出する第2水平角検出器とを更に具備する請求項1又は請求項2に記載の測量装置。
前記2次元スキャナユニットは、前記走査鏡の少なくとも上方が開放され、少なくとも上方に前記測距光を照射可能に構成された請求項1〜請求項5のうちいずれかに記載の測量装置。
前記2次元スキャナユニットは、前記走査鏡の少なくとも下方が開放され、少なくとも下方に前記測距光を照射可能に構成された請求項4又は請求項5に記載の測量装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
先ず、
図1に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。
【0018】
測量装置1は、図示しない三脚に取付けられた整準ユニット2、該整準ユニット2に設けられた第1測定ユニットとしての視準測距ユニット3、該視準測距ユニット3上に設けられた第2測定ユニットとしての2次元スキャナユニット4を有している。
【0019】
前記視準測距ユニット3は、トータルステーションであり、固定部5、第1托架部6、水平回転軸7、水平回転軸受8、第1水平回転駆動部としての水平回転モータ9、第1水平回転検出器としての水平角エンコーダ11、鉛直回転軸12、鉛直回転軸受13、第1鉛直回転駆動部としての鉛直回転モータ14、第1鉛直回転検出器としての鉛直角エンコーダ15、望遠鏡部16、制御部17、記憶部18等を具備している。
【0020】
前記水平回転軸受8は前記固定部5に固定され、前記水平回転軸7は鉛直な軸心7aを有し、前記水平回転軸受8に回転自在に支持される。又、前記第1托架部6は前記水平回転軸7に支持され、前記第1托架部6は水平方向に前記水平回転軸7と一体に回転する様になっている。
【0021】
前記水平回転軸受8と前記第1托架部6との間には前記水平回転モータ9が設けられ、該水平回転モータ9は前記制御部17によって制御される。該制御部17は、前記水平回転モータ9により前記第1托架部6を前記水平回転軸7を中心に回転させる様になっている。
【0022】
前記第1托架部6の前記固定部5に対する相対回転角は、前記水平角エンコーダ11によって検出される。該水平角エンコーダ11からの検出信号は前記制御部17に入力され、該制御部17により水平角データが演算される。該制御部17は、前記水平角データに基づき前記水平回転モータ9に対するフィードバック制御を行う。
【0023】
又、前記第1托架部6には凹部19が形成されている。前記第1托架部6に前記鉛直回転軸受13を介して前記鉛直回転軸12が回転自在に設けられる。
【0024】
該鉛直回転軸12は、水平な軸心12aを有し、一端部は前記凹部19内に延出し、前記一端部に前記望遠鏡部16が固着されている。又、前記鉛直回転軸12の他端部には、前記鉛直角エンコーダ15が設けられている。
【0025】
前記鉛直回転軸12に前記鉛直回転モータ14が設けられ、該鉛直回転モータ14は前記制御部17に制御される。該制御部17は、前記鉛直回転モータ14により前記鉛直回転軸12を回転し、前記望遠鏡部16は前記鉛直回転軸12を中心に回転される様になっている。
【0026】
前記望遠鏡部16の高低角(鉛直角)は、前記鉛直角エンコーダ15によって検出され、検出結果は前記制御部17に入力される。該制御部17は、前記鉛直角エンコーダ15の検出結果に基づき前記望遠鏡部16の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記鉛直回転モータ14に対するフィードバック制御を行う。
【0027】
又、前記制御部17で演算された水平角データ、鉛直角データは前記記憶部18に保存される。該記憶部18は、HDD、CD、メモリカード等種々の記憶手段が用いられる。該記憶部18は、前記第1托架部6に対して着脱可能であってもよく、或は所要の通信手段を介して外部記憶装置或は外部データ処理装置にデータを送出可能としてもよい。
【0028】
次に、前記望遠鏡部16について説明する。
【0029】
該望遠鏡部16は、視準望遠鏡21を具備し、又第1距離測定部(図示せず)を内蔵している。該第1距離測定部は、前記軸心12aと直交する方向に測距光を射出する射出部(図示せず)と、測定対象物で反射された反射測距光を受光する受光部(図示せず)とを有している。
【0030】
前記第1距離測定部は、前記射出部から射出された測距光の発光のタイミングと、測定対象物で反射された反射測距光の前記受光部への受光のタイミングの時間差(即ち、測距光の往復時間)に基づき、測定対象物の測距が実行され、測距結果は前記水平角データと前記鉛直角データに関連付けられて、又は座標値として前記記憶部18に保存される。
【0031】
前記2次元スキャナユニット4は、前記第1托架部6の上面に固定的に設けられている。前記水平回転軸7の軸心7aと前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心(後述)とは合致しており、該2次元スキャナユニット4は前記視準測距ユニット3と一体に回転する様になっている。
【0032】
ここで、前記鉛直軸心は鉛直方向に延出し、鉛直回転軸22(後述)の軸心と直交し、走査鏡23(後述)に測距光が入射する点を通過する。
【0033】
前記2次元スキャナユニット4は、2次元のレーザスキャナであり、中央に凹部24が形成された第2托架部25と、該第2托架部25に収納される以下の構成要素を具備する。尚、前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心は、前記走査鏡23の反射面を通過し、前記鉛直回転軸22の軸心22aと直交する鉛直線となっている。
【0034】
前記構成要素は、第2距離測定部26、前記鉛直回転軸22、軸受27、前記走査鏡23、第2鉛直回転駆動部としての走査モータ28、第2鉛直角検出器としての鉛直角エンコーダ29等である。
【0035】
前記鉛直回転軸22は、前記第2托架部25に前記軸受27を介して回転自在に支持されている。前記鉛直回転軸22は、水平な前記軸心22aを有し、一端部は前記凹部24内に延出し、前記一端部には前記走査鏡23が固着されている。又、前記鉛直回転軸22の他端部には、前記鉛直角エンコーダ29が設けられている。前記走査モータ28は、前記鉛直回転軸22を回転し、該鉛直回転軸22の回転により前記走査鏡23は前記軸心22aを中心に回転される。
【0036】
前記軸心7aと前記軸心22aとは、前記走査鏡23の反射面上で直交する様になっている。尚、前記鉛直回転軸12の前記軸心12aと前記軸心22aとは平行であり、前記軸心12aと前記軸心22aとの間の距離は既知となっている。即ち、前記第1距離測定部に対する前記第2距離測定部26の位置は既知となっている。
【0037】
前記走査鏡23の回転角は、前記鉛直角エンコーダ29によって検出され、検出結果は前記制御部17に入力される。該制御部17は、該検出結果に基づき前記走査鏡23の鉛直角データを演算し、該鉛直角データに基づき前記走査モータ28をフィードバック制御する。
【0038】
次に、前記第2距離測定部26について説明する。
【0039】
発光素子31からパルス光の測距光が射出され、測距光は投光光学系32、ビームスプリッタ33を介して射出される。該ビームスプリッタ33から射出する測距光の光軸は、前記軸心22aと合致しており、測距光は前記走査鏡23によって直角に偏向される。該走査鏡23が前記軸心22aを中心に回転することで、測距光は前記軸心22aと直交し、且つ前記軸心7aを含む平面内を回転(走査)される。
【0040】
測定対象物で反射された測距光(以下反射測距光)は、前記走査鏡23に入射し、該走査鏡23で偏向され、前記ビームスプリッタ33、受光光学系34を経て受光素子35で受光される。
【0041】
前記制御部17は、前記発光素子31の発光タイミングと、前記受光素子35の受光タイミングの時間差(即ち、パルス光の往復時間)に基づき、測距光の1パルス毎に測距を実行する(Time Of Flight)。
【0042】
尚、前記第2距離測定部26には内部参照光学系(図示せず)が設けられ、該内部参照光学系で受光した測距光の受光タイミングと、反射測距光の受光タイミングとの時間差により測距を行うことで高精度の測距が可能となる。
【0043】
前記走査鏡23を鉛直方向に回転しつつ、測距を行うことで、鉛直角データと測距データが得られ、前記鉛直角データと前記測距データを基に2次元の点群データが取得できる。
【0044】
又、前記制御部17により演算された前記走査鏡23の鉛直角データ、前記第2距離測定部26で測定された測距データは関連付けられて、又は座標値として前記記憶部18に記憶される。
【0045】
而して、前記制御部17は、前記視準測距ユニット3による測距、鉛直角測定及び前記水平角エンコーダ11による水平角の検出結果に基づき、測定点の3次元座標を測定する。又、前記制御部17は、前記2次元スキャナユニット4の点群データ取得の為の制御を行うと共に、前記水平回転モータ9の制御も実行し、前記2次元スキャナユニット4による鉛直方向の走査と、前記水平回転モータ9の水平方向の回転との協働により、2次元(水平、鉛直2方向)のスキャンが実行される。2次元のスキャンとパルス光毎の測距により、前記走査鏡23の鉛直角データ、前記視準測距ユニット3の水平角データ、測距データが取得でき、測定対象物に対応する3次元の点群データが取得できる。
【0046】
以下、前記測量装置1の作動について説明する。
【0047】
先ず、前記視準測距ユニット3により測定点の3次元測定を行う場合について説明する。
【0048】
測定に必要な情報、データが操作入力部(図示せず)から入力されると、前記制御部17は入力情報やデータに対応し、前記水平回転モータ9、前記鉛直回転モータ14、前記第1距離測定部に制御信号を送出する。
【0049】
前記視準測距ユニット3の水平回転、前記望遠鏡部16の鉛直回転の協働により、前記視準望遠鏡21が所定の測定点に向けられ、該視準望遠鏡21により所定の測定点が視準される。測距光が前記視準望遠鏡21を介して測定点に照射され、測定点の測距が実行される。測距データは前記記憶部18に入力され、該記憶部18に格納される。
【0050】
又、測定点を視準した時の鉛直角が、前記鉛直角エンコーダ15によって検出され、水平角が前記水平角エンコーダ11によって検出され、鉛直角データと水平角データが前記記憶部18に格納される。又、測距データ、水平角データ、鉛直角データは相互に関連付けられる。
【0051】
前記制御部17は、前記記憶部18に格納された測定点の測距データと、測距時の鉛直角データと水平角データとにより、測定点の3次元データ(即ち、3次元座標)を取得することができる。又は、測距データと測距時の鉛直角データと水平角データとにより、測定点の3次元データを算出し、前記記憶部18に格納することができる。
【0052】
次に、前記2次元スキャナユニット4により測定対象物の3次元の点群データを取得する場合について説明する。
【0053】
前記第2距離測定部26から測距光が発せられた状態で、前記走査モータ28により前記走査鏡23が前記鉛直回転軸22を中心に回転される。更に、前記2次元スキャナユニット4(前記視準測距ユニット3)が前記水平回転モータ9により水平回転される。
【0054】
前記走査鏡23の鉛直回転と、前記視準測距ユニット3の水平回転の協働により、前記測距光は鉛直、水平の2方向に走査される。
【0055】
測距光の1パルス毎に測距が実行され、又1パルス毎に鉛直角と水平角が検出される。1パルス毎の測距データ、鉛直角データを基に、鉛直平面内の2次元座標が取得される。又、該2次元座標と水平角データを基に、各測定点での3次元データが取得される。更に、測距光が鉛直、水平の2次元に走査されることで、3次元の点群データが取得できる。
【0056】
尚、前記第1距離測定部で得られる3次元座標系の原点と、前記第2距離測定部26で得られる2次元座標系の原点との位置関係は既知となっている。
【0057】
従って、前記第1距離測定部の原点と前記第2距離測定部26の原点との位置関係と、前記走査鏡23の鉛直角データに基づき、前記制御部17により該第2距離測定部26の座標系を前記第1距離測定部の座標系へと変換することができるので、前記第2距離測定部26で取得された2次元データを座標変換し、各測定点での3次元データを取得する様にしてもよい。
【0058】
上述の様に、本実施例では、トータルステーションである前記視準測距ユニット3の上面に、2次元のレーザスキャナである前記2次元スキャナユニット4を一体に設け、前記視準測距ユニット3を介して前記2次元スキャナユニット4を水平回転させているので、前記走査鏡23の鉛直回転と、前記視準測距ユニット3の水平回転とにより、前記第2距離測定部26から発せられた測距光を、鉛直、水平の2次元に走査させることができる。
【0059】
従って、前記2次元スキャナユニット4と前記視準測距ユニット3の組合わせにより3次元の点群データを取得することができ、高価な3次元のレーザスキャナを用いる必要がないので、3次元の点群データを取得可能な前記測量装置1の製造コストを低減させることができる。
【0060】
又、前記第1距離測定部の原点に対する前記第2距離測定部26の原点の位置が既知となっているので、前記走査鏡23の鉛直回転により得られた2次元座標を前記第1距離測定部の3次元座標に変換することができる。従って、前記2次元スキャナユニット4により、測定点の3次元データを測定することができる。
【0061】
次に、
図2、
図3に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図2中、
図1中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
第2の実施例では、走査鏡23が視準測距ユニット3から水平方向に張出す様、2次元スキャナユニット4が第1托架部6の上面に固定的に設けられている。前記2次元スキャナユニット4は、例えば
図2に示される様に、鉛直回転軸22の軸心22aと鉛直回転軸12の軸心12aとが平行であり、前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心(前記走査鏡23の反射面を通過し、前記軸心22aと直交する鉛直線)と水平回転軸7の軸心7aとが平行となる様設けられている。前記鉛直軸心と前記軸心7aとは、既知の距離だけ離反している。
【0063】
尚、望遠鏡部16内の第1距離測定部(図示せず)の3次元座標系の原点と、第2距離測定部26の2次元座標系の原点との位置関係は既知となっている。
【0064】
又、第2の実施例では、第2托架部25が、走査モータ28、鉛直角エンコーダ29等を収納する駆動部筐体36と、前記第2距離測定部26を収納する測距部筐体37と、該測距部筐体37と前記駆動部筐体36とを連結し、前記測距部筐体37を支持する連結部38とから構成されている。前記駆動部筐体36が前記第1托架部6上に固着されている。
【0065】
前記駆動部筐体36と前記測距部筐体37との間には、空間39が形成されている。該空間39内に前記鉛直回転軸22が延出し、該鉛直回転軸22の延出端部に前記走査鏡23が固着されている。該走査鏡23は、前記鉛直回転軸22を中心に、前記空間39内で鉛直回転する様になっている。
【0066】
前記連結部38は、前記走査鏡23の側方、
図3中では紙面に対して上側で、前記駆動部筐体36と前記測距部筐体37とを連結している。即ち、前記2次元スキャナユニット4は、前記走査鏡23で反射される測距光の照射方向に対し、一方の側方が閉塞され、上下方向及び他方の側方が開放された構造となっている。
【0067】
又、前記走査鏡23が前記第1托架部6から張出しているので、前記第2距離測定部26は前記連結部38及び前記第1托架部6の干渉を受けることなく、前記走査鏡23を介して鉛直下方に測距光を照射させることができる。従って、前記2次元スキャナユニット4は、鉛直下方をスキャンすることができ、測定点の2次元座標を取得することができる。
【0068】
又、前記走査鏡23の鉛直回転と、前記第1托架部6の水平回転の協働により、3次元の点群データを取得することができる。
【0069】
更に、前記第1距離測定部の原点に対する前記第2距離測定部26の原点の位置が既知となっており、前記軸心22aと前記軸心12aとが平行で、前記軸心22aと前記軸心12aとの距離が既知であるので、前記第2距離測定部26の座標系を前記第1距離測定部の座標系に座標変換することができる。而して、前記測量装置1は、前記第1距離測定部の鉛直下方の測定点の3次元座標を取得することができる。
【0070】
第2の実施例では、前記第1距離測定部は、第1の実施例で前記第1托架部6等により遮られ、測定ができなかった鉛直下方の3次元座標を取得することができる。従って、測定が不能となる範囲を大幅に減少させることができ、作業性を向上させることができる。
【0071】
次に、
図4に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図4中、
図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
第3の実施例は、第2の実施例に於ける2次元スキャナユニット4が、視準測距ユニット3に、スキャナ回転軸41を介して回転自在に支持される構成となっている。第3の実施例では、連結部38が側方に位置し、走査鏡23の下方が開放されている。
【0073】
前記スキャナ回転軸41は回転自在に設けられ、第2水平回転駆動部としてのモータ(図示せず)により水平回転される様になっている。前記スキャナ回転軸41の下方には第2水平角検出器としての走査方向検出部42が設けられている。前記モータは制御部17によって制御され、前記モータによって前記2次元スキャナユニット4が前記スキャナ回転軸41の軸心41aを中心に水平回転可能となっている。尚、前記第2水平回転駆動部は、手動としてもよい。
【0074】
尚、前記2次元スキャナユニット4は、例えば水平回転軸7の軸心7aと2次元スキャナユニット4の鉛直軸心とが合致する位置を基準位置とする。基準位置に対する前記視準測距ユニット3の第1距離測定部の3次元座標系の原点と、前記2次元スキャナユニット4の第2距離測定部26の2次元座標系の原点との位置関係は既知となっている。又、前記軸心41aと前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心との間の距離は既知となっている。
【0075】
前記2次元スキャナユニット4の第1托架部6に対する相対回転角は、前記走査方向検出部42によって検出される。該走査方向検出部42からの検出信号は前記制御部17に入力され、該制御部17により前記2次元スキャナユニット4の前記第1托架部6に対する相対水平角データが演算される。
【0076】
前記制御部17は、相対水平角データを基に前記モータをフィードバック制御する。又、前記制御部17は、相対水平角データと、前記基準位置に於ける前記第1距離測定部と前記第2距離測定部26の原点の位置関係と、前記軸心41aと前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心との間の距離とを基に、前記第1距離測定部の原点に対する前記第2距離測定部26の原点の位置を演算する。
【0077】
第3の実施例では、前記軸心41aを中心に前記2次元スキャナユニット4を回転させることができる。従って、第1の実施例の様に、前記水平回転軸7の前記軸心7aと前記2次元スキャナユニット4の鉛直軸心とが合致する様に該2次元スキャナユニット4を配置してもよい。又、第2の実施例の様に、前記軸心7aと前記鉛直軸心とが離反する様に前記2次元スキャナユニット4を配置してもよい。
【0078】
第3の実施例の場合も、前記走査鏡23の鉛直回転と前記視準測距ユニット3の水平回転の協働により、3次元の点群データを取得することができる。
【0079】
又、第2の実施例と同様、前記走査鏡23の鉛直下方が開放されているので、前記2次元スキャナユニット4を回転させ、前記走査鏡23が前記第1托架部6から張出した状態とすることで、前記第2距離測定部26は鉛直下方の測定点の2次元座標を取得することができる。
【0080】
更に、前記第1距離測定部の原点に対する前記第2距離測定部26の原点の位置が演算可能であるので、該第2距離測定部26の座標系から前記第1距離測定部の座標系へと座標変換することで、前記第2距離測定部26による鉛直下方の測定点の測距結果を前記第1距離測定部の3次元座標系として取得することができる。
【0081】
尚、前記2次元スキャナユニット4の配置は、第1の実施例の配置、第2の実施例の配置に限られるものではなく、例えば前記2次元スキャナユニット4を基準位置から90°回転させ、鉛直回転軸12の軸心12aと前記鉛直回転軸22の前記軸心22aとが直交する配置としてもよく、用途に応じて自由に前記2次元スキャナユニット4の向きを設定することができる。
【0082】
又、第3の実施例では、前記2次元スキャナユニット4が前記スキャナ回転軸41を中心に回転可能となっているが、前記2次元スキャナユニット4は前記視準測距ユニット3上をスライド可能な構成としてもよい。前記2次元スキャナユニット4を例えば前記軸心22aと平行な方向にスライド可能とすることで、第1の実施例の配置から第2の実施例の配置へと前記2次元スキャナユニット4を変位させることができる。
【0083】
又、第1の実施例〜第3の実施例では、前記2次元スキャナユニット4に前記第2距離測定部26を1つのみ設けているが、異なる鉛直平面の2次元点群データを取得可能な複数の第2距離測定部26を前記2次元スキャナユニット4に設けてもよい。
【0084】
更に、第2托架部25にカメラを設け、或は該第2托架部25内に前記走査鏡23を介して撮影するカメラを設けてもよい。該カメラで取得した画像データと画像取得時の鉛直角データと水平角データを記憶部18に保存し、保存されたデータを図示しない記憶媒体等を介して図示しないPCへ転送し、PCによりパノラマ画像を作成すると共に、該パノラマ画像を基に3次元点群データの各測定点にRGBの色情報を付加することができる。
【0085】
尚、第1の実施例〜第3の実施例では、2次元スキャナユニット4は測距光をパルス光とし、TOF方式で測距を行ったが、前記2次元スキャナユニット4の測距光を変調した連続光とし、射出光と反射光との位相差を求め、該位相差に基づき距離測定を行う様にしてもよい。