【解決手段】(a)中間産物を得るため水と第1の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第1のクロマトグラフィー分離のステップにおいて、供給混合物を精製すること;(b)PUFA産物を得るため水と第2の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第2のクロマトグラフィー分離のステップにおいて、中間産物を精製することを含み、第2の有機溶媒が第1の有機溶媒と異なり、かつ0.1ないし2.0の差で第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。
前記PUFA産物がC18 PUFA、C18 PUFA モノ-、ジ-若しくはトリグリセリド、又はC18 PUFA アルキルエステル以外である、請求項1に記載の方法。
前記第1の有機溶媒:水の比が99.9:0.1ないし75:25体積部、好ましくは99.5:0.5ないし80:20体積部である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記第2の有機溶媒:水の比が99.9:0.1ないし75:25体積部、好ましくは90:10ないし85:15体積部である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記第1の有機溶媒がメタノールであり、前記第2の有機溶媒がアセトニトリルであって、(a)前記メタノール:水の比が99.9:0.1ないし85:15体積部、好ましくは99.9:0.5ない
し88:13体積部であり、及び/又は(b)前記アセトニトリル:水の比が90:10ないし80:20体
積部、好ましくは88:12ないし85:15体積部である、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記第1の有機溶媒がアセトニトリルであり、前記第2の有機溶媒がメタノールであって、(a)前記アセトニトリル:水の比が99:1ないし75:25体積部、好ましくは96:4ないし80:20体積部であり、及び/又は(b)前記メタノール:水の比が95:5ないし85:15体積部、好ま
しくは93:7ないし90:10体積部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
前記PUFA産物が95重量%より高い、好ましくは97重量%より高い、より好ましくは98重量%より高い、さらにより好ましくは98.4重量%より高い純度で前記第2の分離ステップにおいて得られる、上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
前記第1のクロマトグラフィー分離のステップが、前記供給混合物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、前記第2のクロマトグラフィー分離のステップが、前記中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含み;
前記第1のクロマトグラフィー分離のステップが、前記供給混合物を固定床装置に導入することを含み、前記第2のクロマトグラフィー分離のステップが前記中間産物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み;
前記第1のクロマトグラフィー分離のステップが、前記供給混合物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、前記第2のクロマトグラフィー分離のステップが、前記中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含み;又は
前記第1のクロマトグラフィー分離のステップが、前記供給混合物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、前記第2のクロマトグラフィー分離のステップが、前記中間産物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含む、
上記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPAエチルエステルを含み、1重量%未満のALA、ALAのモノ、ジ-及びトリグリセリド並びにALAのC1-C4アルキルエステルを含
む、請求項21に記載の組成物。
PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPAエチルエステルを含み、1重量%未満のGLA、GLAのモノ、ジ-及びトリグリセリド並びにGLAのC1-C4アルキルエステルを含
む、請求項21に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
最も一般的な意味において、本発明は、供給混合物から多価不飽和脂肪酸(PUFA)産物を収集するためのクロマトグラフィー分離の方法であって:
(a)中間産物を得るため、水と第1の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第1のク
ロマトグラフィー分離のステップにおいて、供給混合物を精製すること; 及び
(b)PUFA産物を得るため、水と第2の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第2のク
ロマトグラフィー分離のステップにおいて、前記中間産物を精製することを含み、
第2の有機溶媒が、第1の有機溶媒と異なり、かつ0.1ないし2.0の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する、方法を提供する。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「PUFA産物」という語は、典型的に栄養上又は医薬上重要な、1つ以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)、及び/又はその誘導体を含む産物を指す。典型的には、PUFA産物は単一のPUFA又はその誘導体である。あるいは、PUFA産物は、2つ以上
のPUFA又はそれらの誘導体の混合物である。
【0025】
「多価不飽和脂肪酸」(PUFA)という語は、1つより多くの二重結合を持つ脂肪酸を指す。かかるPUFAは当業者にとって周知である。本明細書で用いられる場合、PUFA誘導体は、モノ-、ジ-、若しくはトリ-グリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン、又は
塩の形態のPUFAである。モノ-、ジ-、及びトリグリセリド並びにエステルが好適である。トリグリセリド及びエステルが、より好適である。エステルが、さらにより好適である。エステルは、典型的にはアルキルエステル、好ましくはC
1-C
6アルキルエステル、より好
ましくはC
1-C
4アルキルエステルである。エステルの例としては、メチル及びエチルエス
テルが挙げられる。エチルエステルが、最も好適である。
【0026】
典型的には、PUFA産物は、少なくとも1つのω-3若しくはω-6 PUFA又はそれらの誘導体、好ましくは少なくとも1つのω-3 PUFA又はその誘導体である。
【0027】
ω-3 PUFAの例として、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイ
コサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げ
られる。EPA、DPA及びDHAが好適である。EPA及びDHAが最も好適である。
【0028】
ω-6 PUFAの例として、エイコサジエン酸、ジホモ-ガンマ-リノレン酸 (DGLA)、アラキドン酸(ARA)、ドコサジエン酸、アドレン酸及びドコサペンタエン(ω-6)酸が挙げられる
。ARA及びDGLAが好適である。
【0029】
好ましくは、PUFA産物は、EPA、DHA、それらの誘導体、又はそれらの混合物である。典型的な誘導体として、EPA及びDHA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにEPA及びDHA
エステル、好ましくは、C
1-C
4アルキルエステルなどのアルキルエステルが挙げられる。
【0030】
より好ましくは、PUFA産物は、EPA、DHA又はそれらの誘導体である。典型的な誘導体として、EPA及びDHA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにEPA及びDHAエステル、好ま
しくは、C
1-C
4アルキルエステルなどのアルキルエステルが挙げられる。
【0031】
最も好ましくは、PUFA産物は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、EPAトリグリセリド、DHAトリグリセリド、EPAエチルエステル又はDHAエチルエステルである。
【0032】
特に好ましくは、PUFA産物はEPA、DHA、EPAエチルエステル又はDHAエチルエステルである。
【0033】
一実施形態において、PUFA産物は、EPA及び/又はEPAエチルエステル(EE)である。
【0034】
別の実施形態において、PUFA産物は、DHA及び/又はDHAエチルエステル(EE)である。
【0035】
さらに別の実施形態において、PUFA産物は、EPA及びDHA並びに/又はEPA EE及びDHA EEの混合物である。
【0036】
もっとも好適な実施形態において、第2の分離ステップにおいて得られるPUFA産物は、EPA又はEPA誘導体、例えばEPAエチルエステルであり、そして90重量%より高い、好ましくは95重量%より高い、より好ましくは97重量%より高い、さらに好ましくは98重量%より高
い、さらにより好ましくは98.4重量%より高い純度で得られる。好ましくは、第2の分離
ステップにおいて得られるPUFA産物は、EPA又はEPA誘導体、例えばEPAエチルエステルで
あり、98ないし99.5重量%の純度で得られる。
【0037】
典型的には、前記PUFA産物に加えて、付加的な第2のPUFA産物が本発明のクロマトグラフィー分離の方法において収集される。好ましくは、前記PUFA産物はEPA又はその誘導体
であり、そして付加的な第2のPUFA産物は、DHA又はその誘導体である。
【0038】
本発明のさらなる実施形態において、方法は、EPA及びDHA又はそれらの誘導体の濃縮された混合物であるPUFA産物を収集するため、構成される。従って、EPA、DHA、EPA及びDHAより極性の高い成分、並びにEPA及びDHAより極性の低い成分を含む供給混合物が用いられる。
【0039】
典型的には、PUFA産物は1重量%未満のアルファ-リノレン酸(ALA)、ALA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにALA C
1-C
4 アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA産物は、1重量%未満の、ALA及びその誘導体である不純物を含む。典型的なALA誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。
【0040】
典型的には、PUFA産物は1重量%未満のガンマ-リノレン酸(GLA)、GLA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにGLA C
1-C
4 アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA産物は、1重量%未満の、GLA及びその誘導体である不純物を含む。典型的なGLA誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。
【0041】
典型的には、PUFA産物は1重量%未満のC18脂肪酸不純物、C18脂肪酸モノ-、ジ-、及びトリグリセリド不純物、並びにC18 脂肪酸アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA産物は、1重量%未満の、C18脂肪酸及びその誘導体である不純物を含む。典型的なC18脂肪酸誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。本明細書で用いられる場合、C18脂肪酸は、直鎖又は分枝炭化水素鎖を有するC18脂肪族モノカルボン酸である。典型的なC18脂肪酸として、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1n9)、バ
クセン酸(C18:1n7)、リノール酸(C18:2n6)、ガンマ-リノレン酸/GLA(C18:3n6)、アルファ-リノレン酸/ALA(C18:3n3)、及びステアリドン酸/SDA(C18:4n3)が挙げられる。
【0042】
誤解を避けるため、これらの実施形態において、すべての特定された不純物の最大量は、1重量%である。
【0043】
上記でも説明された通り、PUFA産物における上記の不純物の量は、典型的には1重量%未満である。好ましくは、上記の不純物の量は、0.5重量%未満、より好ましくは、0.25重量%未満、さらに好ましくは、0.1重量%未満、さらにより好ましくは、0.05重量%未満、さらにより好ましくは、0.01重量%未満、さらにより好ましくは、0.001重量%未満、さらによ
り好ましくは、0.0001重量%未満、さらにより好ましくは、0.00001重量%未満である。
【0044】
特定の好適な実施形態において、PUFA産物は、上記の不純物を実質的に含まない。
【0045】
PUFA産物は、ALA、GLA、リノール酸、ALA モノ-、ジ-若しくはトリグリセリド、 GLA
モノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、リノール酸 モノ、ジ-、若しくはトリグリセリド、ALA C
1-C
4 アルキルエステル、GLA C
1-C
4 アルキルエステル若しくはリノール酸 C
1-C
4アルキルエステル、又はそれらの混合物ではない。典型的には、PUFA産物は、ALA、GLA、リノール酸、若しくはその誘導体又はそれらの混合物ではない。典型的なALA、GLA及びリノール酸誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。
【0046】
典型的にPUFA産物は、C18 PUFA、C18 PUFA モノ、ジ-、若しくはトリグリセリド、又はC18 PUFA アルキルエステルではない。従って本発明は、供給混合物から多価不飽和脂肪
酸(PUFA)産物を収集するためのクロマトグラフィー分離の方法であって:
(a)中間産物を得るため、水と第1の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第1のク
ロマトグラフィー分離のステップにおいて、供給混合物を精製すること; 及び
(b)PUFA産物を得るため、水と第2の有機溶媒との混合物を溶離剤として用いる第2のク
ロマトグラフィー分離のステップにおいて、前記中間産物を精製することを含み、
第2の有機溶媒が、第1の有機溶媒と異なり、かつ0.1ないし2.0の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有し、
PUFA産物は、C18 PUFA、C18 PUFA モノ、ジ-、若しくはトリグリセリド、又はC18 PUFA
アルキルエステル以外である、方法を提供する。
【0047】
より典型的には、PUFA産物は、C18 PUFA又はC18 PUFA誘導体ではない。典型的なC18 PUFAとして、リノール酸 (C18:2n6)、GLA (C18:3n6)、及びALA (C18:3n3)が挙げられる。
【0048】
本発明の方法による分離のための適切な供給混合物は、植物、動物の油及び脂肪を含む天然のソースから、並びに遺伝子組み換え植物、動物及び酵母を含む微生物から得られる油を含む合成のソースから得られ得る。例として、魚油、藻類及び微細藻類の油、並びに例えばルリジサ油、シャゼンムラサキ属の油及びマツヨイグサ油といった植物油が挙げられる。一実施形態において、供給混合物は、魚油である。別の実施形態において、供給混合物は藻類の油である。望ましいPUFA産物がEPA及び/又はDHAである場合は、藻類の油が特に適している。望ましいPUFA産物が、EPAである場合は、遺伝子組み換え酵母が特に適
している。
【0049】
特に好適な実施形態において、供給混合物は、魚油又は魚油由来の原料である。有利なことに、魚油又は魚油由来の原料が用いられる場合は、EPA又はEPAエチルエステルPUFA産物は、90%純度よりも高く、好ましくは95%純度より高く、より好ましくは97%純度より高
く、さらに好ましくは98%純度より高く、さらにより好ましくは98.4%純度より高く、例えば98ないし99.5重量%で、本発明の方法により生産され得ることが見出されている。
【0050】
供給混合物は、本発明の方法による分画の前に、化学処理が施されてもよい。例えば、それはグリセリドエステル転移、又はグリセリドの加水分解を受けてもよく、特定の場合は、それに続く結晶化、分子蒸留、尿素分画、硝酸銀若しくは他の金属塩溶液による抽出、ヨードラクトン化又は超臨界液体分画(supercritical fluid fractionation)などの選
択的な処置を受けてもよい。あるいは、供給混合物は最初の処理ステップなしに、直接用いられてもよい。
【0051】
供給混合物は、典型的にはPUFA産物、少なくとも1つのより極性の高い成分、及び少なくとも1つのより極性の低い成分を含む。より極性の低い成分は、本発明の方法で用いられる吸着剤に対して、PUFA産物が有するものより強い吸着性を有する。動作中、かかるより極性の低い成分は典型的には、液体溶離剤相よりはむしろ固体吸着剤相と共に移動する。より極性の高い成分は、本発明の方法で用いられる吸着剤に対して、PUFA産物が有するものより弱い吸着性を有する。動作中、かかるより極性の高い成分は典型的には、固体吸着剤相よりはむしろ液体溶離剤相と共に移動する。一般的には、より極性の高い成分は抽残液流へと分離されるであろうし、より極性の低い成分は抽出液流へと分離されるであろう。
【0052】
供給混合物は、上記で規定されたように、典型的にはPUFA産物及び少なくとも1つのC18脂肪酸不純物を含む。従って、より典型的には供給混合物はPUFA産物並びに少なくとも
1つのC18脂肪酸及び/又はその誘導体を含む。典型的なC18脂肪酸誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。好ましくは、供給混合物は、PUFA産物、並びにステアリン酸 (C18:0)、オレイン酸(C18:1n9)、バクセン酸(C18:1n7)、リノール酸 (C18:2n6)、ガンマ-リノレン酸/GLA (C18:3n6)、アルファ-リノレン酸 (C18:3n3)及びステ
アリドン酸/SDA (C18:4n3)並びにそれらの誘導体から選択された少なくとも1つのC18脂
肪酸不純物を含む。
【0053】
好ましくは、供給混合物は、(i)PUFA産物、及び/又はPUFA産物のモノ-、ジ-、若しく
はトリグリセリド、及び/又はPUFA産物のC
1-C
4 アルキルエステル、並びに(ii)ALA、及
び/又はALAのモノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、及び/又はALAのC
1-C
4 アルキルエステル、を含む。
【0054】
好ましくは、供給混合物は、(i)PUFA産物、及び/又はPUFA産物のモノ-、ジ-、若しく
はトリグリセリド、及び/又はPUFA産物のC
1-C
4 アルキルエステル、並びに(ii)GLA、及
び/又はGLAのモノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、及び/又はGLAのC
1-C
4 アルキルエステル、を含む。
【0055】
より好ましくは、供給混合物は、(i)PUFA産物、及び/又はPUFA産物のモノ-、ジ-、若
しくはトリグリセリド、及び/又はPUFA産物のC
1-C
4 アルキルエステル、並びに(ii)ALA
、及び/又はGLA、及び/又はALAのモノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、及び/又はGLAのモノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、及び/又はALAのC
1-C
4 アルキルエステル、及び/又はGLAのC
1-C
4 アルキルエステル、を含む。
【0056】
PUFA産物が、1重量%未満の上記の特定のC18脂肪酸不純物を含む実施形態において、供給混合物は、典型的には特定のC18脂肪酸不純物を含む。従って、供給混合物中に存在す
るC18脂肪酸不純物の量が、本発明の方法により低いレベルまで減少させられ得ることは
、本発明の特別な利点である。例えば、PUFA産物が、1重量%未満のALA、ALA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにALA C
1-C
4 アルキルエステルを含む場合に、供給混合物は典型的にはALA、ALAモノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びに/又はALA C
1-C
4アルキル
エステルを含む。PUFA産物が、1重量%未満のGLA、GLA モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにGLA C
1-C
4アルキルエステルを含む場合に、供給混合物は典型的にはGLA、GLAモ
ノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びに/又はGLA C
1-C
4 アルキルエステルを含む。PUFA産物が、1重量%未満のC18脂肪酸、C18脂肪酸モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びにC18脂肪酸アルキルエステルを含む場合に、供給混合物は典型的にはC18脂肪酸、C18脂肪酸モノ-、ジ-、及びトリグリセリド、並びに/又はC18脂肪酸アルキルエステルを含む。
【0057】
より極性の高い、より極性の低い成分の例として、(1)天然の油(例えば、海産油又は
植物油)に存在する他の化合物、(2)貯蔵中に形成された副産物、精製及び事前の濃縮の
ステップ、そして(3)事前の濃縮のステップ又は精製のステップ間に利用された溶媒又は
試薬からの混入物質が挙げられる。
【0058】
(1)の例として、他の不必要なPUFA; 飽和脂肪酸; 例えばコレステロールなどのステロ
ール; ビタミン; 並びにポリ塩化ビフェニル(PCB)、多環芳香族炭化水素(PAH)殺虫剤、塩素系殺虫剤、ダイオキシン及び重金属などの環境汚染物質が挙げられる。PCB、PAH、ダイオキシン及び塩素系殺虫剤は、全てほぼ無極性成分である。
【0059】
(2)の例として、PUFA産物からの異性体及び酸化又は分解産物、例えば脂肪酸又はその
誘導体の自動酸化重合産物が挙げられる。
【0060】
(3)の例として、供給混合物からの飽和又はモノ-不飽和脂肪酸を除去するために加えられ得る尿素が挙げられる。
【0061】
好ましくは、供給混合物は、PUFA含有海産油(例えば、魚油)、より好ましくは、EPA
及び/又はDHAを含む海産油(例えば、魚油)である。
【0062】
本発明の方法により、濃縮されたEPA (EE)を調製するための典型的な供給混合物は、50-75% EPA (EE)、0-10% DHA (EE)、並びに他の必須のω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分
を含む。
【0063】
本発明の方法により、濃縮されたEPA (EE)を調製するための好適な供給混合物は、55% EPA (EE)、5% DHA (EE)、並びに他の必須のω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。DHA (EE)は、EPA (EE)よりも極性が低い。
【0064】
本発明の方法により、濃縮されたDHA (EE)を調製するための典型的な供給混合物は、50-75% DHA (EE)、0-10% EPA (EE)、並びに他の必須のω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分
を含む。
【0065】
本発明の方法により、濃縮されたDHA (EE)を調製するための好適な供給混合物は、75% DHA (EE)、7% EPA (EE)、並びに他の必須のω-3及びω-6脂肪酸を含む他の成分を含む。EPA (EE)は、DHA (EE)よりも極性が高い。
【0066】
本発明の方法により、濃縮されたEPA (EE)及びDHA (EE)の混合物を調製するための典型的な供給混合物は、33%を超えるEPA (EE)、及び22%を超えるDHA (EE)を含む。
【0067】
水及び異なる有機溶媒の混合物が、各ステップにおいて溶離剤として用いられる場合に、本発明の方法は、少なくとも2つのクロマトグラフィー分離のステップを含む。第1及び第2の分離ステップは、それぞれ水並びに第1及び第2の有機溶媒の混合物を用いて実行される。
【0068】
典型的には、両方の溶離剤は超臨界状態ではない。典型的には、両方の溶離剤は液体である。
【0069】
第1及び第2の有機溶媒は、典型的にはアルコール、エーテル、エステル、ケトン及びニトリルから選択される。アルコール及びニトリルが好適である。
【0070】
アルコール溶媒は、当業者にとって周知である。アルコールは、典型的には短鎖アルコールである。アルコールは典型的には、式ROH(式中、Rは直鎖又は分岐のC1-C6アルキル
基である)のアルコールである。C1-C6アルキル基は、好ましくは非置換である。アルコ
ールの例として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、s-ブタノール及びt-ブタノールが挙げられる。メタノール及びエタノールが好適である。メタノールがより好適である。
【0071】
エーテル溶媒は、当業者にとって周知である。エーテルは、典型的には短鎖エーテルである。エーテルは典型的には、式R-O-R'(式中、R及びR’は同一又は異なり、かつ直鎖又は分岐C1-C6アルキル基を表す)のエーテルである。C1-C6アルキル基は、好ましくは非置換である。好適なエーテルとして、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、及びメチルt-ブチルエーテル(MTBE)が挙げられる。
【0072】
エステル溶媒は、当業者にとって周知である。エステルは、典型的には短鎖エステルである。エステルは典型的には、式R-(C=O)O-R'(式中、R及びR’は同一又は異なり、かつ
直鎖又は分岐C1-C6アルキル基を表す)のエステルである。好適なエステルとして、酢酸
メチル及び酢酸エチルが挙げられる。
【0073】
ケトン溶媒は、当業者にとって周知である。ケトンは、典型的には短鎖ケトンである。
ケトンは典型的には、式R-(C=O)-R'(式中、R及びR’は同一又は異なり、かつ直鎖又は分岐C1-C6アルキル基を表す)のケトンである。C1-C6アルキル基は、好ましくは非置換である。好適なケトンとして、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられる。
【0074】
ニトリル溶媒は、当業者にとって周知である。ニトリルは、典型的には短鎖ニトリルである。ニトリルは典型的には、式R-CN(式中、Rは直鎖又は分岐C1-C6アルキル基を表す)のニトリルである。C1-C6アルキル基は、好ましくは非置換である。好適なニトリルとし
て、アセトニトリルが挙げられる。
【0075】
第2の有機溶媒は、第1の有機溶媒と異なる。
【0076】
溶媒の極性指数(P’)は、溶媒がどのくらいの極性であるかの周知の基準である。より
高い極性指数値は、より極性の高い溶媒を示す。極性指数は、典型的には様々な試験溶質と相互作用をする、溶媒の能力の測定により決定される。より典型的には、溶媒の極性指数(P’)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれているBurdick and Jackson’s Solvent Guide (AlliedSignal, 1997)中に定義されている。バーディック及びジャクソンは、溶媒の異なる極性に応じて溶媒を順位づける数値指標への参照により、溶媒を順位づける。バーディック及びジャクソン指数は、溶媒の構造を基礎とする。
【0077】
共通溶媒の多様な極性指数(P’)は、バーディック及びジャクソンに従って、以下の表
中に提示される。
【0080】
第2の有機溶媒は、0.1ないし2.0の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。従って、第1の有機溶媒の極性指数がP1であり、第2の有機溶媒の極性指数がP2である場合に、|P1-P2|は0.1-2.0である。
【0081】
典型的には、第2の有機溶媒は、少なくとも0.2の差で、好ましくは少なくとも0.3の差で、より好ましくは少なくとも0.4の差で、さらに好ましくは少なくとも0.5の差で、さらにより好ましくは少なくとも0.6の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を
有する。
【0082】
典型的には、第2の有機溶媒は、多くとも1.8の差で、好ましくは多くとも1.5の差で、より好ましくは多くとも1.3の差で、さらに好ましくは多くとも1.0の差で、さらにより好ましくは多くとも0.8の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。
【0083】
好ましくは、第2の有機溶媒は、0.2ないし1.8の差で、より好ましくは0.3ないし1.5の差で、さらに好ましくは0.4ないし1.3の差で、さらにより好ましくは0.5ないし1.0の差で、最も好ましくは0.6ないし0.8の差で、第1の有機溶媒の極性指数と異なる極性指数を有する。
【0084】
典型的には、第1及び第2の有機溶媒は、水と混和できる。より典型的には、第1及び第2の有機溶媒は、3.9以上の極性指数を有する。好ましくは、第1及び第2の有機溶媒
は、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、n‐プロピルアルコール、メタノー
ル、エタノール、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドから選択される。
【0085】
典型的には、第1の有機溶媒:水の比は、99.9:0.1ないし72:25体積部、好ましくは99.5:0.5ないし80:20体積部である。第1の有機溶媒がメタノールである場合、メタノール:水の比は、典型的には99.9:0.1ないし85:15体積部、好ましくは99.5:0.5ないし88:12体積部である。第1の有機溶媒がアセトニトリルの場合、アセトニトリル:水の比は、典型的に
は99:1ないし75:25体積部、好ましくは96:4ないし80:20体積部である。
【0086】
典型的には、第2の有機溶媒:水の比は、99.9:0.1ないし75:25体積部、好ましくは93:7ないし85:15体積部である。第2の有機溶媒がメタノールである場合、メタノール:水の比は、典型的には95:5ないし85:15体積部、好ましくは93:7ないし90:10体積部である。第2の有機溶媒がアセトニトリルの場合、アセトニトリル:水の比は、典型的には90:10ないし80:20体積部、好ましくは88:12ないし85:15体積部である。
【0087】
典型的には、第1及び第2の有機溶媒のうち1つは、アセトニトリルである。
【0088】
典型的には、第1及び第2の有機溶媒のうち1つは、メタノールである。
【0089】
好ましくは、第1及び第2の有機溶媒は、アセトニトリル及びメタノールから選択される。従って、(i)第1の有機溶媒は、メタノールであり、第2の有機溶媒は、アセトニト
リルである、又は(ii)第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の有機溶媒は、メタノールであることが好適である。
【0090】
より好ましくは、第1の有機溶媒はメタノールであり、第2の有機溶媒はアセトニトリルであり、(a)メタノール:水の比は、99.9:0.1ないし85:15体積部、好ましくは99.5:0.5
ないし88:12であり、及び/又は(b)アセトニトリル:水の比は、90:10ないし80:20体積部
、好ましくは88:12ないし85:15体積部である。特定の実施形態において、(a)メタノール:水の比は、91:9ないし93:7体積部、及び/又は(b)アセトニトリル:水の比は、86:14ない
し88:12体積部であることが好適である。
【0091】
あるいは、第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、(a)アセトニトリル:水の比は、99:1ないし75:25体積部、好ましくは96:4ないし80:20体積部であり、及び/又は(b)メタノール:水の比は、95:5ないし85:15体積部、好ましく
は93:7ないし90:10体積部である。特定の実施形態において、(a)アセトニトリル:水の比
は、86:14ないし88:12体積部、及び/又は(b)メタノール:水の比は、87:13ないし89:11体積部であることが好適である。
【0092】
各クロマトグラフィー分離のステップは、典型的には供給混合物を、1つ以上のクロマトグラフィーカラムに通過させることを含む。従って、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、典型的には溶離剤として水及び第1の有機溶媒の混合物を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムに、供給混合物を通過させることを含む。典型的には、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、溶離剤として水及び第1の有機溶媒の混合物を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムに、中間産物を通過させることを含む。好ましくは、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、溶離剤として水及び第1の有機溶媒の混合物を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムに、供給混合物を通過させることを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、溶離剤として水及び第1の有機溶媒の混合物を含む1つ以上のクロマトグラフィーカラムに、中間産物を通過させることを含む。任意の既知のクロマトグラフィーカラムが、請求項に係る方法において用いられ得る。
【0093】
1つ以上のクロマトグラフィーカラムは、典型的には吸着剤を含む。クロマトグラフィーの分離技術のための、当技術分野において既知の従来の吸着剤は、本発明の方法で用いられ得る。1つより多くのクロマトグラフィーカラムが用いられる場合に、各クロマトグラフィーカラムは、同一又は異なる吸着剤を含み得る。典型的には、1つより多くのクロマトグラフィーカラムが用いられる場合に、各カラムは同一の吸着剤を含む。かかる共通に用いられる物質の例として、ポリマービーズ、好ましくはDVB(ジビニルベンゼン)と網
状化したポリスチレン;及びシリカゲル、好ましくはC8又はC18アルカン、特にC18を有す
る逆相結合シリカゲルがある。C18結合逆相シリカゲルが好適である。本発明の方法で用
いられる吸着剤は、好ましくは非極性である。
【0094】
吸着性の固定相物質の形状は、例えば、球状又は非球状のビーズ、好ましくは実質的に球状のビーズであり得る。かかるビーズは、典型的には直径が5-500ミクロン、好ましく
は10-500 ミクロン、より好ましくは15-500 ミクロン、より好ましくは40-500 ミクロン
、より好ましくは100-500 ミクロン、より好ましくは250-500 ミクロン、さらに好ましく
は250-400 ミクロン、最も好ましくは250-350 ミクロンである。いくつかの実施形態において、直径5-35ミクロン、典型的には10-30ミクロン、好ましくは15-25ミクロンのビーズが用いられ得る。いくつかの好適な粒子径は、疑似及び実移動床法において過去に用いられたビーズの粒子径よりもやや大きい。より大きな粒子の使用は、システムで用いられることとなる溶離剤の圧力低減を可能とする。これは、ひいては、コスト削減、効率、及び装置の寿命の点で、利点を有する。驚いたことに、大きな粒子径の吸着性ビーズが、全く分解能の低下なく、本発明の方法において(それらの付随する利点と共に)用いられ得ることが見出されている。
【0095】
用いられるカラムの寸法は、特に限定されず、精製されることになる供給混合物の体積にある程度依存するであろう。当業者は、容易に使用に適したサイズのカラムを決定することができるであろう。各カラムの直径は、典型的には10ないし1000mm、好ましくは10ないし500mm、より好ましくは25ないし250mm、さらに好ましくは50ないし100mm、最も好ま
しくは70ないし80mmである。各カラムの長さは、典型的には10ないし300 cm、好ましくは10ないし200 cm、より好ましくは25ないし150cm、さらに好ましくは70ないし110 cm、最
も好ましくは80ないし100 cmである。
【0096】
任意の既知のクロマトグラフィー装置が、各分離ステップの目的のため用いられ得る。各分離ステップで用いられるクロマトグラフィーカラムの数は、特に限定されない。
【0097】
典型的には、本発明の方法は、室温、又は室温より高い温度で実行される。好ましくは、方法は室温より高い温度で実行される。第1及び第2の分離ステップは、同じ温度、又は異なる温度で実行され得るが、好ましくは同じ温度である。
【0098】
典型的には、供給混合物が通過される、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムの温度は、室温より高い。より典型的には、用いられるすべてのクロマトグラフィーカラムの温度は、室温より高い。
【0099】
従って、典型的には各クロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を1つ以上のクロマトグラフィーカラムに通過させることを含んでおり、そして少なくとも1つのそれらのクロマトグラフィーカラムの温度は、室温より高い。より典型的には、用いられるすべてのクロマトグラフィーカラムの温度は、室温より高い。
【0100】
理解されるであろうが、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムが室温より高い温度である場合に、分離方法にとって重要であることは、カラムの内側である。従って、典型的には、室温より高い温度であり得るのは、クロマトグラフィーカラムの内側の溶離剤及び吸着剤である。もちろん、内部の(例えば、溶離剤及び/又は供給混合物を熱することにより)、及び/又は外部の手段(例えば、任意の既知の従来技術によりクロマトグラフィーカラムの外部を熱することにより)により、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムの内側で要求される温度を達成することは可能である。
【0101】
典型的には、上昇させられた温度は、溶離剤及び/又は供給混合物を熱することにより達成され得る。これは、内部的にカラムを熱する効果を有する。
【0102】
従って、供給混合物が通過される少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムでの温度は、溶離剤の温度としても測定され得る。従って典型的には、第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる溶離剤の温度は、室温より高い温度である。
【0103】
あるいは、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムで要求される温度は、カラムを熱することにより達成され得る。加熱は、例えば、電気マントルヒーター、熱された水ジ
ャケット若しくはコイル(water jacket or coil)を用いて、又は放射熱電灯(radiative heat lamp)により実行され得る。1つ以上のクロマトグラフィーカラムの内部及び/又は
外部は、典型的には熱され得る。
【0104】
少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムで要求される温度は、カラム及び/又は水性有機溶媒溶離剤、及び/又は供給混合物を熱することにより達成され得る。
【0105】
典型的には、室温よりも高い温度は、30℃より高く、好ましくは35℃より高く、より好ましくは40℃より高く、さらに好ましくは45℃より高く、さらに好ましくは50℃より高く、さらに好ましくは55℃より高く、さらに好ましくは57℃より高い。56℃の温度は、特定の実施形態において有用である。
【0106】
典型的には、室温より高い温度は、最高100℃、好ましくは最高95℃、より好ましくは
最高90℃、さらに好ましくは最高85℃、さらに好ましくは最高80℃、さらに好ましくは最高75℃、さらに好ましくは最高70℃である。
【0107】
従って、典型的な温度の範囲は、30ないし100℃、35ないし95℃、40ないし90℃、45な
いし85℃、50ないし80℃、55ないし75℃又は57ないし70℃である。
【0108】
好適な温度の範囲は、40ないし70℃、好ましくは50ないし67℃、より好ましくは56ないし65℃、さらに好ましくは57ないし63℃である。
【0109】
特定の実施形態において、単一のクロマトグラフィーカラム、好ましくは単一の固定クロマトグラフィーカラムが用いられ得る。この方法における分離は、典型的には既知の固定床クロマトグラフィー装置を用いて実行される。この方法における分離は、「固定床」クロマトグラフィーと呼ばれる場合がある。典型的には、少なくとも1つの第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップは、少なくとも1つ、例えば1つの、「固定床」クロマトグラフィーのステップを含む。
【0110】
別の実施形態において、1つより多いクロマトグラフィーカラムが用いられる。これは、供給混合物を、同一又は異なる、直列に又は並列に配置され得る、2つ以上のクロマトグラフィーカラムに通過させることを含み得る。この実施形態で用いられるカラムの数は特に限定されないが、しかし典型的には30のカラムを超えない。
【0111】
多数のクロマトグラフィーカラムが用いられる1つの特定の実施形態は、疑似又は実移動床クロマトグラフィーである。
【0112】
疑似及び実移動床クロマトグラフィー装置は、当業者にとって周知である。
任意の既知の疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置が、装置が本発明の方法に従って用いられる限り、本発明の方法の目的のため利用され得る。本発明の方法に従って構成される場合、米国特許第2,985,589号、米国特許第3,696,107号、米国特許第3,706,812号、
米国特許第3,761,533号、仏国特許出願公開第2103302(A)号、仏国特許出願公開第2651148(A)号、仏国特許出願公開第2651149(A)号、米国特許第6,979,402号、米国特許第5,069,883号及び米国特許第4,764,276号において記載されたそれらの装置は、すべて用いられ得る。例えば、国際公開第2011/080503(A)号において開示されたSMB法も、採用され得る。
【0113】
本明細書で検討したように、第1及び第2の分離ステップは、固定床クロマトグラフィー装置、又は1つ以上の疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置のいずれかを用いて実行され得る。
【0114】
典型的には、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。従って、典型的には第1のクロマトグラフィー分離のステップは、固定床クロマトグラフィー装置を用いて実行され、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、固定床クロマトグラフィー装置を用いて実行される。
【0115】
あるいは、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を固定床装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。従って、典型的には第1のクロマトグラフィー分離のステップは、固定床装置を用いて実行され、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて実行される。
【0116】
あるいは、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。従って、典型的には第1のクロマトグラフィー分離のステップは、疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて実行され、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、固定床クロマトグラフィー装置を用いて実行される。
【0117】
あるいは、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。従って、典型的には第1のクロマトグラフィー分離のステップは、疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて実行され、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いて実行される。
【0118】
前記第1のクロマトグラフィー分離のステップは、単一のクロマトグラフィーの分離、又は2つ以上のクロマトグラフィーの分離からなる場合がある(ただし、各分離は水及び第1の有機溶媒の混合物を溶離剤として用いる)。
【0119】
前記第2のクロマトグラフィー分離のステップは、単一のクロマトグラフィーの分離、又は2つ以上のクロマトグラフィーの分離からなる場合がある(ただし、各分離は水及び第2の有機溶媒の混合物を溶離剤として用いる)。
【0120】
典型的には、前記第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップは、例えば
図1で表されるように、従来の装置を用いた単一のSMB分離ステップの使用を含む場合が
ある。この方法における分離は、「シングルパス」SMBと呼ばれる場合がある。典型的に
は、前記第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップのうち少なくとも1つは、少なくとも1つ、例えば1つの、「シングルパス」SMBステップを含む。
【0121】
あるいは、前記第1及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップは、それぞれ多数のSMB分離の使用を含み得る。
【0122】
一実施形態において、前記第1のクロマトグラフィー分離のステップ及び/又は前記第2のクロマトグラフィー分離のステップは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2011/080503(A)号及び国際出願第PCT/GB2012/051591号において、記載
されたように実行され得る。国際公開第2011/080503(A)号及び国際出願第PCT/GB2012/051591号中に明記された好適な方法の条件は、この実施形態のための好適な方法の条件であ
り、そして国際公開第2011/080503(A)号及び国際出願第PCT/GB2012/051591号から組み込
まれ得る。
【0123】
国際公開第2011/080503(A)号及び国際出願第PCT/GB2012/051591号中で開示された方法
は、疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置が、少なくとも第1の帯域及び第2の帯域を含む多数の帯域を有し、各帯域は、液体が多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムから収集され得る、抽出液流及び抽残液流を有し、及び
(a)より極性の高い成分と共にPUFA産物を含む抽残液流は、第1の帯域中のカラムから収
集され、そして第2の帯域中の非隣接のカラムに導入され、及び/又は(b)より極性の低
い成分と共にPUFA産物を含む抽出液流は、第2の帯域中のカラムから収集され、そして第1の帯域中の非隣接のカラムに導入され、前記PUFA産物は、各帯域における入力流の種々の成分から分離され、入力流を、溶離剤として水性有機溶媒を含む前記多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムを有する装置に導入すること、を含む。この方法における分離は、「ダブルパス」SMB法と呼ばれる場合がある。
【0124】
この「ダブルパス」SMB法において、「帯域(zone)」という語は、溶離剤として水性有
機溶媒を含み、入力流のための1つ以上の注入ポイント、水及び/又は有機溶媒のための1つ以上の注入ポイント、液体が多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽残液脱離流(take-off stream)、そして液体が前記多数の繋がれたクロマトグラフ
ィーカラムから収集され得る抽出液脱離流を有する、前記多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムを指す。典型的には、各帯域は、入力流のための注入ポイントを1つのみ有する。一実施形態において、各帯域は、水性有機溶媒溶離剤のための注入ポイントを1つのみ有する。別の実施形態において、各帯域は、水及び/又は有機溶媒のための2つ以上の注入ポイントを有する。
【0125】
この「ダブルパス」SMB法において、「入力流」の参照は、上記のSMB法が前記第1のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合に、供給混合物を指し、そして上記のSMB法が前記第2のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合に、中間産物を
指す。
【0126】
この「ダブルパス」SMB法において、「水性有機溶媒」の参照は、上記のSMB法が前記第1のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合に、水と第1の有機溶媒との混合物を指し、そして上記のSMB法が前記第2のクロマトグラフィー分離のステップで用い
られる場合に、水と第2の有機溶媒との混合物を指す。
【0127】
「抽残液」の語は、当業者にとって周知である。実及び疑似移動床クロマトグラフィーの文脈において、それは固体吸着剤相と比較して液体溶離剤相と共により迅速に移動する成分の流れを指す。従って、抽残液流は、入力流と比較して、典型的にはより極性の高い成分が濃縮され、そしてより極性の低い成分が減少する。
【0128】
「抽出液」の語は、当業者にとって周知である。実及び疑似移動床クロマトグラフィーの文脈において、それは液体溶離剤相と比較して固体吸着剤相と共により迅速に移動する成分の流れを指す。従って抽出液流は、入力流と比較して、典型的にはより極性の低い成分が濃縮され、そしてより極性の高い成分が減少する。
【0129】
本明細書中で用いられる場合、「非隣接の(nonadjacent)」の語は、例えば同じ装置に
おいて、1つ以上のカラム、好ましくは3つ以上のカラム、より好ましくは5つ以上のカラム、最も好ましくは約5つのカラムにより隔てられたカラムを指す。
【0130】
「ダブルパス」SMB法は、
図11に図示されている。PUFA産物(B)並びにより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)の成分を含む入力流Fは、第1の帯域のカラム5の頂部に導入され
る。水性有機溶媒脱着剤は、第1の帯域のカラム1の頂部に導入される。第1の帯域にお
いて、より極性の低い成分(A)は抽出液流E1として、カラム2の底部から除去される。PUFA産物(B)及びより極性の高い成分(C)は抽残液流R1として、カラム7の底部から除去される。抽残液流R1は次いでカラム12の頂部で、第2の帯域に導入される。水性有機溶媒脱着剤は、第2の帯域のカラム9の頂部に導入される。第2の帯域において、より極性の高い成
分(C)は抽残液流R2として、カラム14の底部で除去される。PUFA産物(B)は、抽出液流E2として、カラム10の底部で収集される。
【0131】
この「ダブルパス」SMB法において、水性有機溶媒は、典型的には第1の帯域のカラム
1の頂部に導入される。
【0132】
この「ダブルパス」SMB法において、水性有機溶媒は、典型的には第2の帯域のカラム9の頂部に導入される。
【0133】
この「ダブルパス」SMB法において、入力流は、典型的には第1の帯域のカラム5の頂部に導入される。
【0134】
この「ダブルパス」SMB法において、第1の抽残液流は、典型的には第1の帯域のカラ
ム7の底部から収集され、そして第2の帯域のカラム12の頂部に導入される。第1の抽残
液流は、カラム12に導入される前に、必要に応じて容器内に収集されてもよい。
【0135】
この「ダブルパス」SMB法において、第1の抽出液流は、典型的には第1の帯域のカラ
ム2の底部から除去される。第1の抽出液流は、必要に応じて容器に収集されてもよく、そして一部は、第1の帯域でカラム3の頂部に再導入されてもよい。第1の帯域から第1の帯域へ戻る抽出液流経由で収集される液体の再循環速度は、液体がこの容器からカラム3の頂部にポンプで注入される速度である。
【0136】
この「ダブルパス」SMB法において、第2の抽残液流は、典型的には第2の帯域のカラ
ム14の底部から除去される。
【0137】
この「ダブルパス」SMB法において、第2の抽出液流は、典型的には第2の帯域のカラ
ム10の底部から収集される。この第2の抽出液流は、典型的にはPUFA産物を含む。第2の抽出液流は、必要に応じて容器に収集されてもよく、そして一部は第2の帯域のカラム11の頂部に再導入されてもよい。第2の帯域から第2の帯域へ戻る抽出液流経由で収集される液体の再循環速度は、液体がこの容器からカラム11の頂部にポンプで注入される速度である。
【0138】
この「ダブルパス」SMB法において、第1の帯域から抽出液流経由で収集される液体が
、第1の帯域に戻され再循環される速度は、第2の帯域から抽出液流経由で収集される液体が、第2の帯域に戻され再循環される速度より、典型的には速い。この「ダブルパス」SMB法において、溶離剤は典型的には各帯域において実質的に同一である。
【0139】
典型的には、少なくとも1つの前記第1及び第2のクロマトグラフィー分離のステップは、上記で規定されたように、少なくとも1つ、例えば1つの、「ダブルパス」SMB法を
含む。
【0140】
代替の実施形態において、第1のクロマトグラフィー分離のステップ及び/又は第2のクロマトグラフィー分離のステップは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている国際特許出願第PCT/GB2012/051596号又はPCT/GB2012/051597号において、記載されたように実行され得る。かかる実施形態は、
(i)第1の産物を得るため、溶離剤として水性有機溶媒を含む多数の繋がれたクロマトグ
ラフィーカラムを有する疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置において、第1のSMB
ステップで入力流を精製すること;及び
(ii)第2の産物を得るため、溶離剤として水性有機溶媒を含む多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムを有する疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置を用いた第2のSMBス
テップにおいて、(i)で得られる第1の産物を精製すること;を含み、
(a)第1及び第2のSMBステップが、同一のクロマトグラフィー装置で順次的に実行され、第1の産物が、第1及び第2のSMBステップの間で収集され、クロマトグラフィー装置に
おける方法の条件が、PUFA産物が各SMBステップにおいて供給混合物の異なる成分から分
離されるように、第1及び第2のSMBステップの間で調節され;又は
(b)第1及び第2のSMBステップは、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置でそれぞれ実行され、第1のSMBステップから得られる第1の産物は第2のクロマトグラフィー
装置に導入されており、PUFA産物は、各SMBステップにおいて、供給混合物の異なる成分
から分離される。この方法における分離は、「連続(back-to-back)」SMBと呼ばれる。
【0141】
誤解を避けるため、第1のクロマトグラフィー分離のステップが、上記の経路に沿った「連続」SMB法である場合に、各SMBステップにおける溶離剤は、水と第1の有機溶媒との混合物である。第2のクロマトグラフィー分離のステップが、上記の経路に沿った「連続」SMB法である場合に、各SMBステップにおける溶離剤は、水と第2の有機溶媒との混合物である。
【0142】
この「連続」SMB法において、「疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置」の語は、
典型的には溶離剤として水性有機溶媒を含み、入力流のための1つ以上の注入ポイント、水及び/又は有機溶媒のための1つ以上の注入ポイント、液体が多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽残液脱離流、そして液体が前記多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムから収集され得る抽出液脱離流を有する前記多数の繋がれたクロマトグラフィーカラムを指す。
【0143】
この「連続」SMB法で用いられるクロマトグラフィー装置は、溶離剤として水性有機溶
媒を含む、直列に接続される一列のクロマトグラフィーカラム群を有する。典型的には、前記各クロマトグラフィーカラムは、装置においてそのカラムに隣接した2つのカラムに接続される。従って、前記列における所定のカラムからのアウトプットは、前記列中の隣接のカラムのインプットに接続されるが、これは前記列における溶離剤の流れに対して下流である。従って、溶離剤は、繋がれたクロマトグラフィーカラム群の該列を循環して流れ得る。典型的には、装置におけるどのクロマトグラフィーカラムも非隣接のカラムに繋がれていない。
【0144】
この「連続」SMB法において、「入力流」の参照は、上記のSMB法が第1のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合に、供給混合物を指し、上記のSMB法が第2のク
ロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合に、中間産物を指す。
【0145】
この「連続」SMB法において、「水性有機溶媒」の参照は、上記の「連続」SMB法が第1のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合は、水と第1の有機溶媒との混合物を指し、上記の「連続」SMB法が第2のクロマトグラフィー分離のステップで用いられ
る場合に、水と第2の有機溶媒との混合物を指す。第1及び第2のSMBステップで用いら
れる有機溶媒は、同一である。第1及び第2のSMBステップで用いられる有機溶媒:水の比は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0146】
この「連続」SMB法において、「第2の産物」の参照は、上記のSMB法が第1のクロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合は、中間産物を指し、上記のSMB法が第2の
クロマトグラフィー分離のステップで用いられる場合は、PUFA産物を指す。
【0147】
典型的に、この「連続」SMB法において、各装置は、入力流のための注入ポイントを1
つのみ有する。一実施形態において、各装置は、水性有機溶媒溶離剤のための注入ポイントを1つのみ有する。別の実施形態において、各装置は、水及び/又は有機溶媒のための注入ポイントを2つ以上有する。
【0148】
「抽残液」の語は、当業者にとって周知である。実及び疑似移動床クロマトグラフィーの文脈において、それは固体吸着剤相と比較して、液体溶離剤相と共により迅速に移動する成分の流れを指す。従って、抽残液流は、供給流と比較して、典型的にはより極性の高い成分が濃縮され、そしてより極性の低い成分が減少する。
【0149】
「抽出液」の語は、当業者にとって周知である。実及び疑似移動床クロマトグラフィーの文脈において、それは液体溶離剤相と比較して、固体吸着剤相と共により迅速に移動する成分の流れを指す。従って、抽出液流は、供給流と比較して、典型的にはより極性の低い成分が濃縮され、そしてより極性の高い成分が減少する。
【0150】
この「連続」SMB法において、各装置で用いられるカラムの数は、特に限定されない。
当業者は、容易に使用に適したカラムの数を決定することができるであろう。カラムの数は、典型的には4つ以上、好ましくは6つ以上、より好ましくは8つ以上であり、例えば4、5、6、7、8、9又は10のカラムである。好適な実施形態において、5つ又は6つのカラム、より好ましくは6つのカラムが用いられる。他の好適な実施形態において、7つ又は8つのカラム、より好ましくは8つのカラムが用いられる。典型的には、25のカラム以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0151】
この「連続」SMB法において、第1及び第2の分離ステップにおいて用いられるクロマ
トグラフィー装置は、典型的には同数のカラムを含む。特定の用途のため、それらは異なる数のカラムを有する場合がある。
【0152】
この「連続」SMB法において、第1及び第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置におけるカラムは、典型的には同一の寸法を有するが、しかし特定の用途のために、異なる寸法を有する場合がある。
【0153】
カラムの流速は、一連のカラムに亘る最大圧力により制限され、そしてカラムの寸法及び固定相の粒子径に依存するであろう。当業者は、効率的な着脱を確保するため、各カラムの寸法に対して要求される流速を容易に設定することができるであろう。より大きな直径のカラムは、一般的にカラムを通る線形の流れを維持するために、より速い流れが必要であろう。
【0154】
この「連続」SMB法において、上記で概説された典型的なカラムの大きさに対して、典
型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置への溶離剤の流速
は、1ないし4.5L/分で、好ましくは1.5ないし2.5L/分である。典型的には、第1のSMB分
離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置からの抽出液の流速は、0.1ないし2.5L/分、好ましくは0.5ないし2.25L/分である。第1のSMB分離ステップからの抽出液の一部が、第1のSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される実施形態において、再
循環の流速は、典型的には0.7ないし1.4L/分、好ましくは約1L/分である。典型的には、
第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置からの抽残液の流速は、0.2ないし2.5 L/分、好ましくは0.3ないし2.0 L/分である。第1のSMB分離ステップからの抽残液の一部が、第1のSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される実施形態
において、再循環の流速は、典型的には0.3ないし1.0 L/分、好ましくは約0.5 L/分であ
る。典型的には、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置への入力
流の導入の流速は、5ないし150 ml/分、好ましくは10ないし100 ml/分、さらに好ましく
は20ないし60 ml/分である。
【0155】
この「連続」SMB法において、上記で概説された典型的なカラムの大きさに対して、典
型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置への溶離剤の流速
は、1ないし4. L/分であり、好ましくは1.5ないし3.5L/分である。典型的には、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置からの抽出液の流速は、0.5ないし2L/分、好ましくは0.7ないし1.9L/分である。第2のSMB分離ステップからの抽出液の一部が、第2のSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される実施形態において、再
循環の流速は、典型的には0.6ないし1.4L/分、好ましくは0.7ないし1.1 L/分、より好ま
しくは約0.9 L/分である。典型的には、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグ
ラフィー装置からの抽残液の流速は、0.5ないし2.5 L/分、好ましくは0.7ないし1.8 L/分、より好ましくは約1.4 L/分である。第2のSMB分離ステップからの抽残液の一部が、第
2のSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される実施形態において、再循環
の流速は、典型的には0.3ないし1.0 L/分、好ましくは約0.5 L/分である。
【0156】
当業者は理解するであろうが、液体が様々な抽出液流及び抽残液流経由で収集又は除去される速度の参照は、ある時間で除去される液体の体積、典型的にはL/分を指す。同様に、液体が装置に戻され再循環される速度の参照は、典型的には装置における隣接のカラムに対して、ある時間で再循環される液体の体積、典型的にはL/分を指す。
【0157】
この「連続」SMB法において、実移動床クロマトグラフィーが好適である。
【0158】
ステップ時間、すなわち入力流及び溶離剤の注入ポイント、並びに様々な収集画分の脱離ポイントをシフトさせる時間は、特に限定されず、用いられるカラムの数及び寸法、装置を通る流速に依存するであろう。当業者は、容易に本発明の方法で用いられる、適切なステップ時間を決定できるであろう。ステップ時間は、典型的には100ないし1000秒、好
ましくは200ないし800秒、より好ましくは約250ないし約750秒である。いくつかの実施形態において、100ないし400秒、好ましくは200ないし300秒、より好ましくは約250秒のス
テップ時間が、適切である。他の実施形態において、600ないし900秒、好ましくは700な
いし800秒、より好ましくは約750秒のステップ時間が、適切である。
【0159】
「連続」SMB法は、第1及び第2のSMB分離ステップを含む。
【0160】
これらの2つのステップは、単一のクロマトグラフィー装置で容易に実行され得る。従って、一実施形態において、(a)第1及び第2のSMB分離ステップが、同一のクロマトグラフィー装置で順次的に実行され、第1の産物が、第1及び第2のSMB分離ステップの間で
収集され、そしてクロマトグラフィー装置における方法の条件が、PUFA産物が各分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離されるように、第1及び第2のSMB分離ステッ
プの間で調節される。この「連続」SMB法の好適な実施形態は、
図10aとして示される。そのようにして、第1のSMB分離ステップ(左手側)は、8つのカラムを有するSMB装置で実行される。第1及び第2のSMB分離ステップ間で、第1の産物が、例えば容器に収集され
、クロマトグラフィー装置における方法の条件は、PUFA産物が各SMB分離ステップにおけ
る入力流の種々の成分から分離されるように調節される。第2のSMB分離ステップ(右手
側)は、次いで、8つのカラムを有する前記と同一のSMB装置で実行される。
【0161】
実施形態(a)において、方法の条件を調節することは、典型的には、全体として装置に
おける方法の条件を調節すること、すなわち条件が異なることとなるように、装置を物理的に改変することを指す。それは、方法の条件が期せずして異なり得る場合に、前記の同
一の装置の異なる部分に第1の産物を単に戻して再導入ことを指していない。
【0162】
あるいは、第1及び第2の別個のクロマトグラフィー装置が、第1及び第2のSMB分離
ステップで用いられ得る。従って、別の実施形態において、(b)第1及び第2のSMB分離ステップは、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置でそれぞれ実行され、第1のSMB分離ステップから得られる第1の産物が第2のクロマトグラフィー装置に導入され、そ
してPUFA産物が各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離される。
【0163】
実施形態(b)において、前記2つのSMB分離ステップは順次的又は同時的のいずれかで実行され得る。
【0164】
従って実施形態(b)において、2つのSMB分離ステップが順次的に実行される場合に、第1及び第2のSMB分離ステップは、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装置でそれ
ぞれ順次的に実行され、第1の産物は第1及び第2のSMB分離ステップ間で収集され、そ
してPUFA産物が各分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離されるように、第1及び第2のSMBクロマトグラフィー装置における方法の条件は、調節される。この「連続
」SMB分離法の好適な実施形態は、
図10bとして示される。そのようにして、第1のSMB分
離ステップ(左手側)は、1-8の8つのカラムを有するSMB装置で実行される。第1及び第2のSMB分離ステップ間で、第1の産物が、例えば容器に収集され、次いで第2の離異な
るSMB装置へ導入される。第2のSMB分離ステップ(右手側)は、9-16の8つのカラムを有する第2の別個のSMB装置で実行される。PUFA産物が各SMB分離ステップにおける入力流の種々の成分から分離されるように、2つのクロマトグラフィー装置における方法の条件は、調節される。
【0165】
実施形態(b)において、2つのSMB分離ステップが同時的に実行される(carried our)場
合に、第1及び第2のSMB分離ステップは、別個の第1及び第2のクロマトグラフィー装
置でそれぞれ実行され、第1の産物は第2のSMB分離ステップにおいて用いられるクロマ
トグラフィー装置に導入され、そしてPUFA産物が各SMB分離ステップにおいて入力流の種
々の成分から分離されるように、第1及び第2のクロマトグラフィー装置における方法の条件は、調節される。この「連続」SMB法の好適な実施形態は、
図10cとして示される。そのようにして、第1のSMB分離ステップ(左手側)は、1-8の8つのカラムを有するSMB装
置で実行される。第1のSMB分離ステップにおいて得られる第1の産物は、次いで第2のSMB分離ステップで用いられる第2の別個のクロマトグラフィー装置に導入される。第1の産物は、第1のSMB分離ステップから第2のSMB分離ステップへと直接的又は間接的(例えば容器を経由して)に移動され得る。第2のSMB分離ステップ(右手側)は、9-16の8つ
のカラムを有する第2の異なるSMB装置で実行される。PUFA産物が各分離ステップにおけ
る入力流の種々の成分から分離されるように、2つのクロマトグラフィー装置における方法の条件は、調節される。
【0166】
実施形態(b)において、2つのSMB分離ステップが同時的に実行される(carried our)場
合に、溶離剤は2つの別個のクロマトグラフィー装置中を別々に循環する。従って、溶離剤が溶媒として、第2のSMB分離ステップにおいて精製され、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される第1の産物中に存在し得ること以外に、溶離剤は2つの別個のクロマトグラフィー装置間で共有されない。クロマトグラフィーカラムは、第1及び第2のSMB分離ステップで用いられる2つの別個のクロマトグラフィー装
置間で、共有されない。
【0167】
この「連続」SMB法において、第1の産物が第1のSMB分離ステップにおいて得られた後、第1の産物が第2のSMB分離ステップにおいて精製される前に、水性有機溶媒溶離剤が
、部分的又は完全に除去されてもよい。あるいは、第1の産物は、存在するいずれかの溶
媒の除去なしに、第2のSMB分離ステップにおいて精製されてもよい。
【0168】
上述したように、この「連続」SMB法において、PUFA産物は各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離される。実施形態(a)において、PUFA産物が各分離ステップ
において入力流の種々の成分から分離されるように、両SMB分離ステップで用いられる単
一のSMB装置の方法の条件は、第1及び第2のSMB分離ステップ間で調節される。実施形態(b)において、PUFA産物が各分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離されるよ
うに、第1及び第2のSMB分離ステップで用いられる2つの別個のクロマトグラフィー装
置における方法の条件は、設定される。
【0169】
従って、この「連続」SMB法において、第1及び第2のSMB分離ステップにおける方法の条件は様々である。様々であり得る方法の条件として、例えば、用いられるカラムの大きさ、用いられるカラムの数、カラムで用いられるパッキング、SMB装置のステップ時間、
装置の温度、分離ステップで用いられる溶離剤の水:有機溶媒の比、又は装置で用いられ
る流速、特に抽出液流又は抽残液流経由で収集される液体の再循環速度が挙げられ得る。
【0170】
好ましくは、この「連続」SMB法において、様々であり得る方法の条件は、SMB分離ステップで用いられる溶離剤の水:有機溶媒の比、及び/又はSMB分離ステップにおける抽出液流又は抽残液流を経由して収集される液体の再循環速度である。これらのオプションは両方とも、以下により詳細に記述される。
【0171】
この「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて得られる第1の産物は、典型的にはPUFA産物中に、入力流と比べて、濃縮される。
【0172】
この「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて得られる第1の産物は、次いで第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される。
【0173】
この「連続」SMB法において、第1の産物は典型的には、第1のSMB分離方法で用いられるクロマトグラフィー装置からの抽残液流又は抽出液流として、収集される。
【0174】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1の産物は、第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流として収集され、第2の産物は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流とし
て収集される。従って、第1のSMB分離ステップにおいて収集される抽残液流は、第2のSMB分離ステップにおいて入力流として用いられる。第1のSMB分離ステップにおいて収集
される抽残液流は、典型的にはより極性の高い成分と共に、第2の産物を含む。
【0175】
あるいはこの「連続」SMB法において、第1の産物は、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流として収集され、第2の産物は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液流とし
て収集される。従って、第1のSMB分離ステップにおいて収集される抽出液流は、第2のSMB分離ステップにおいて入力流として用いられる。第1のSMB分離ステップにおいて収集
される抽出液流は、典型的にはより極性の低い成分と共に、第2の産物を含む。
【0176】
この「連続」SMB法において、PUFA産物は各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離される。典型的には、本発明の方法の各SMB分離ステップにおいて分離される
成分は、異なる極性を有する。
【0177】
好ましくは、この「連続」SMB法において、PUFA産物は第1のSMB分離ステップにおいて入力流のより極性の低い成分から分離され、PUFA産物は第2のSMB分離ステップにおいて
入力流のより極性の高い成分から分離される。
【0178】
典型的にこの「連続」SMB法において、(a)第1のSMB分離ステップで用いられる装置か
らの抽出液流の一部は、第1のSMB分離ステップで用いられる装置に戻して再循環され;
及び/又は
(b)第1のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽残液流の一部は、第1のSMB分離方
法で用いられる装置に戻して再循環され; 及び/又は
(c)第2のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽出液流の一部は、第2のSMB分離ス
テップで用いられる装置に戻して再循環され; 及び/又は
(d)第2のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽残液流の一部は、第2のSMB分離ス
テップで用いられる装置に戻して再循環される。
【0179】
好ましくは、この「連続」SMB法において、(a)第1のSMB分離ステップで用いられる装
置からの抽出液流の一部は、第1のSMB分離ステップで用いられる装置に戻して再循環さ
れ;及び
(b)第1のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽残液流の一部は、第1のSMB分離ス
テップで用いられる装置に戻して再循環され:及び
(c)第2のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽出液流の一部は、第2のSMB分離ス
テップで用いられる装置に戻して再循環され;及び
(d)第2のSMB分離ステップで用いられる装置からの抽残液流の一部は、第2のSMB分離ス
テップで用いられる装置に戻して再循環される。
【0180】
この「連続」SMB法における再循環は、第1又は第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置から出る抽出液流又は抽残液流の一部を、SMB法で用いられる装置
、典型的には隣接のカラムに、戻して供給することを含む。この隣接のカラムは、システムにおいて、溶離剤の流れに対して下流である隣接のカラムである。
【0181】
この「連続」SMB法において、第1又は第2のSMB分離ステップにおける抽出液流又は抽残液流経由で収集される液体が、そのSMBステップで用いられるクロマトグラフィー装置
に戻って再循環される速度は、当該流を経由して収集される液体が、そのSMBステップで
用いられる装置、典型的には隣接のカラム、すなわちシステムにおける溶離剤の流れに対して下流のカラム、に戻って供給される速度である。
【0182】
これは、
図9を参照して理解され得る。第1のSMB分離ステップにおける抽出液の再循環速度は、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部
から収集される抽出液が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
のカラム3の頂部に供給される速度であり、すなわち第1のSMB分離ステップで用いられ
るクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部への液体の流速である。
【0183】
この「連続」SMB法において、第2のSMB分離ステップにおける抽出液の再循環速度は、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部で収集される抽出液が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム3の
頂部に供給される速度であり、すなわち第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグ
ラフィー装置のカラム3の頂部への液体の流速である。
【0184】
この「連続」SMB法において、第1及び/又は第2のSMB分離ステップにおける抽出液及び/又は抽残液流の再循環は、典型的にはそのSMB分離ステップにおいて当該流経由で収
集される液体を、容器に供給すること、次いでその液体の量を容器から、そのSMB分離ス
テップで用いられる装置、典型的には隣接のカラムにポンプで注入して戻すことによりもたらされる。この場合において、第1及び/又は第2のSMB分離ステップにおいて特定の
抽出液流又は抽残液流経由で収集される液体の、典型的には隣接のカラムへ戻される再循環速度は、液体が容器からポンプで出され、クロマトグラフィー装置、典型的には隣接の
カラムに戻される速度である。
【0185】
当業者は理解するであろうが、この「連続」SMB法において、溶離剤及び入力流経由で
クロマトグラフィー装置に導入されている液体の量は、装置から除去され、装置に戻され再循環される液体の量と釣り合わされる。
【0186】
従って、
図9に関するこの「連続」SMB法において、抽出液流に関して、第1及び第2
のSMB分離ステップ(D)で用いられるクロマトグラフィー装置(複数可)への溶離剤(脱着剤)の流速は、抽出液が、その特定のSMB分離ステップ(D-E1及びD-E2)で用いられるクロ
マトグラフィー装置に戻され再循環される速度と、そのSMB分離ステップにおいて、抽出
液流経由で収集される液体が、容器(E1及びE2)に蓄積する速度を合わせたものに等しい。
【0187】
この「連続」SMB法において、SMB分離ステップからの抽残液流に関して、原料が、その特定のSMB分離ステップ(F及びR1)で用いられるクロマトグラフィー装置に導入される速度と、抽出液が、その特定のSMB分離ステップ(D-E1及びD-E2)で用いられるクロマトグラフ
ィー装置に戻され再循環される速度を合わせたものは、抽残液が、その特定のSMB分離ス
テップ(D+F-E1-R1及びD+R1-E2-R2)で用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環
される速度と、その特定のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が容
器(R1及びR2)に蓄積する速度を合わせたものに等しい。
【0188】
この「連続」SMB法において、クロマトグラフィー装置からの特定の抽出液流又は抽残
液流から収集される液体が、容器に蓄積する速度はまた、そのクロマトグラフィー装置からの抽出液流又は抽残液流の除去の正味速度とも考えられ得る。
【0189】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流及び抽残液流経由で収集される液体が、その分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される速度は、PUFA産物が、各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離され得
るように、調節される。
【0190】
典型的にこの「連続」SMB法において、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流及び抽残液流経由で収集される液体が、そのSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環
される速度は、PUFA産物が、各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離さ
れ得るように、調節される。
【0191】
好ましくは、この「連続」SMB法において、各SMB分離ステップにおいて抽出液流及び抽残液流経由で収集される液体が、そのSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環
される速度は、PUFA産物が、各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離さ
れ得るように、調節される。
【0192】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻さ
れ再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体
が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される
速度と異なり、及び/又は第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液
体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環され
る速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度と異なる。
【0193】
第1又は第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流及び/又は抽残液流経由で収集され
る液体が、その特定のSMB分離ステップで用いられる装置に戻され再循環される速度を様
々にすることは、抽出液流及び抽残液流中に存在するより極性の高い、より極性の低い成分の量を変化させる効果を有する。従って、例えば、より低い抽出液再循環速度では、そのSMB分離ステップにおいて、抽残液流に運ばれるより極性の低い成分がより少なくなる
結果となる。より高い抽出液再循環速度では、そのSMB分離ステップにおいて、抽残液流
に運ばれるより極性の低い成分がより多くなる結果となる。
【0194】
これは、例えば、
図6において理解され得る。第1のSMB分離ステップにおいて抽出液
流経由で収集される液体が、そのSMB分離ステップ(D-E1)で用いられるクロマトグラフィ
ー装置に戻され再循環される速度は、第1のSMB分離ステップ(R1)において、成分Aがどれだけ抽残液流に運ばれるかに影響を与えるであろう。
【0195】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻さ
れ再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液経由で収集される液体が
、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速
度よりも、速い。好ましくは、より極性の高い成分と共に第2の産物を含む抽残液流は、第1のSMB分離ステップから収集され、第2のSMB分離ステップで精製され、そして第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度は、第2のSMB分離ステップ
において抽出液流経由で収集される液体が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマ
トグラフィー装置に戻され再循環される速度よりも、速い。
【0196】
あるいはこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻さ
れ再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体
が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される
速度よりも、遅い。
【0197】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第1の分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、
第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度
よりも、速い。好ましくは、より極性の低い成分と共に第2の産物を含む抽出液流は、第1のSMB分離ステップから収集され、第2のSMB分離ステップで精製され、そして第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度は、第2のSMB分離ステップに
おいて抽残液流経由で収集される液体が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマト
グラフィー装置に戻され再循環される速度よりも、速い。
【0198】
あるいはこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻さ
れ再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体
が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される
速度よりも、遅い。
【0199】
この「連続」SMB法において、PUFA産物が各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離され得るように、再循環速度が調節される場合に、各SMB分離ステップで用い
られる溶離剤の水:有機溶媒の比は、同一であっても異なっていてもよい。各SMB分離ステップにおける溶離剤の典型的な水:有機溶媒の比は、上記で規定されたものと同様である
。
【0200】
典型的にこの「連続」SMB法において、各SMB分離ステップで用いられる水性有機溶媒溶離剤は、異なる水:有機溶媒の比を有する。各SMB分離ステップで用いられる有機溶媒は、同一である。各SMB分離ステップで用いられる水:有機溶媒の比は、好ましくは、PUFA産物が各SMB分離ステップにおいて入力流の種々の成分から分離され得るように、調節される
。
【0201】
この「連続」SMB法において、SMB分離ステップのそれぞれで用いられる溶離剤の溶離力は、典型的には異なる。好ましくは、第1のSMB分離ステップで用いられる溶離剤の溶離
力は、第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤の溶離力よりも強い。実際に、これは
各SMB分離ステップで用いられる水及び有機溶媒の相対量を変化させることにより、達成
される。
【0202】
有機溶媒の選択に応じて、それらは、水よりも強い脱着剤であり得る。あるいは、それらは、水よりも弱い脱着剤であり得る。アセトニトリル及びアルコールは、例えば、水よりも強い脱着剤である。従って、水性有機溶媒が、水性のアルコール又はアセトニトリルである場合に、第1のSMB分離ステップで用いられる溶離剤のアルコール又はアセトニト
リルの量は、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤のアルコール又はア
セトニトリルの量よりも、多い。
【0203】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおける溶離剤の水:有
機溶媒の比は、第2のSMB分離ステップにおける溶離剤の水:有機溶媒の比よりも低い。従って、第1のSMB分離ステップにおける溶離剤は、典型的には第2のSMB分離ステップにおける溶離剤よりも多くの有機溶媒を含む。
【0204】
上記で参照された各SMB分離ステップにおける水と有機溶媒の割合が、クロマトグラフ
ィー装置の全体内での平均の割合であることは、理解されるであろう。
【0205】
典型的にこの「連続」SMB法において、各SMB分離ステップにおける溶離剤の水:有機溶
媒の比は、SMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、1つ以上の
カラムに水及び/又は有機溶媒を導入することにより、制御される。従って、例えば、第2のSMB分離ステップよりも、第1のSMB分離ステップにおいてより低い水:有機溶媒の比
を達成するために、水は典型的には第2のSMB分離ステップよりも、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に、より緩徐に導入される。
【0206】
典型的にこの「連続」SMB法において、実質的に純粋な有機溶媒及び実質的に純粋な水
は、各SMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置における異なるポイントで
導入され得る。2つの当該流の相対流速は、クロマトグラフィー装置における全体の溶媒特性を決定するであろう。あるいはこの「連続」SMB法において、有機溶媒と水の異なる
混合物は、各SMB分離ステップで用いられる各クロマトグラフィー装置における異なるポ
イントで導入され得る。それは、有機溶媒と水の2つ以上の異なる混合物を、特定のSMB
分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入することを含むであろう(各有機溶媒/水の混合物は、異なる有機溶媒:水の比を有する)。この「連続」SMB法における有機溶媒/水の混合物の相対流速及び相対濃度は、そのSMB分離ステップで用いられるク
ロマトグラフィー装置における全体の溶媒特性を決定するであろう。
【0207】
好ましくは、この「連続」SMB法において、(1)より極性の高い成分と共に第2の産物を含む第1の産物は、第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流として収集され、第2の産
物は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流として収集される; 又は
(2)より極性の低い成分と共に第2の産物を含む第1の産物は、第1のSMB分離ステップに
おいて抽出液流として収集され、第2の産物は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液
流として収集される、のいずれかである。
【0208】
オプション(1)は、入力流からEPAを精製することに適している。
【0209】
オプション(1)は、
図2において図示される。第2の産物(B)、並びにより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離ステップにおいて精製される。第1のSMB分離ステップにおいて、より極性の低い成分(A)は、抽出液流E1として除去される。第2の産物(B)及びより極性の高い成分(C)は、抽残液流R1として収集される。抽残液流R1は、次いで第2のSMB分離ステップにおいて精製される第1の産物である。第2
のSMB分離ステップにおいて、より極性の高い成分(C)は、抽残液流R2として除去される。第2の産物(B)は、抽出液流E2として収集される。
【0210】
オプション(1)は、
図4においてより詳細に図示される。
図4は、有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)を各クロマトグラフィー装置へ導入するポイントが示されることを除いて、
図2
と同一である。有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)は共に、溶離剤を構成する。(D)相は、典型
的には実質的に純粋な有機溶媒であるが、しかし、特定の実施形態において、主として有機溶媒を含む有機溶媒/水の混合物であってもよい。水(W)相は、典型的には実質的に純
粋な水であるが、しかし、特定の実施形態において、主として水を含む有機溶媒/水の混合物、例えば98%水/2%メタノールの混合物、であってもよい。
【0211】
オプション(1)のさらなる図示は、
図6において示される。ここで、別個の水注入ポイ
ントはなく、そしてその代わりに水性有機溶媒脱着剤が、(D)で注入される。
【0212】
オプション(1)において、抽残液流及び抽出液流への分離は、各クロマトグラフィー装
置内の溶離剤の脱離力を変化させることにより、促進され得る。これは、各クロマトグラフィー装置における異なるポイントで、溶離剤の有機溶媒(又は有機溶媒に富んだ)成分及び水(又は水に富んだ)成分を導入することにより、達成され得る。従って、典型的には有機溶媒は、システムにおける溶離剤の流れに関して、抽出液脱離ポイントの上流に導入され、水は抽出液脱離ポイントと、クロマトグラフィー装置への供給物の導入ポイントの間に導入される。これは、
図4において示される。
【0213】
典型的には、オプション(1)において、第1のSMB分離ステップで用いられる水性有機溶媒溶離剤は、第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤よりも多くの有機溶媒を含む、
すなわち第1のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、第2のSMB分離ステップに
おける水:有機溶媒の比よりも低い。
【0214】
オプション(1)において、SMB分離は、第1及び第2のSMB分離ステップにおいて抽出液
流及び抽残液流経由で収集される液体が、そのSMB分離ステップで用いられるクロマトグ
ラフィー装置へ戻され再循環される速度を変化させることにより、促進され得る。
【0215】
典型的には、オプション(1)において、第1のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻さ
れ再循環される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽出液流経由で収集される液体
が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される
速度より、速い。
【0216】
オプション(1)において、第1のSMB分離ステップにおける第1の抽残液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への入力流の導入ポイントの下流で除去される。
【0217】
オプション(1)において、第1のSMB分離ステップにおける第1の抽出液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への入力流の導入ポイントの上流で除去される。
【0218】
オプション(1)において、第2のSMB分離ステップにおける第2の抽残液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への第1の産物の導入ポイントの下流で除去される。
【0219】
オプション(1)において、第2のSMB分離ステップにおける第2の抽出液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への第1の産物の導入ポイントの上流で収集される。
【0220】
典型的にはオプション(1)において、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに関
して、第1の抽出液流の除去ポイントの上流で、第1のSMB分離ステップで用いられるク
ロマトグラフィー装置に導入される。
【0221】
典型的にはオプション(1)において、水が第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される場合に、水は、溶離剤の流れに関して、入力流の導入ポイントの上流、ただし第1の抽出液流の除去ポイントの下流で、第1のSMB分離ステップで用
いられるクロマトグラフィー装置に導入される。
【0222】
典型的にはオプション(1)において、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに関
して、第2の抽出液流の除去ポイントの上流で、第2のSMB分離ステップで用いられるク
ロマトグラフィー装置に導入される。
【0223】
典型的にはオプション(1)において、水が第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される場合に、水は、溶離剤の流れに関して、第1の産物の導入ポイントの上流、ただし第2の抽出液流の除去ポイントの下流で、第2のSMB分離ステップ
で用いられるクロマトグラフィー装置に導入される。
【0224】
オプション(2)は、入力流からDHAを精製することに適している。
【0225】
オプション(2)は、
図3において図示される。第2の産物(B)、並びにより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離ステップにおいて精製される。第1のSMB分離(s SMB eparation)ステップにおいて、より極性の高い成分(C)は、抽
残液流R1として除去される。第2の産物(B)及びより極性の低い成分(A)は、抽出液流E1として収集される。抽出液流E1は、次いで第2のSMB分離ステップにおいて精製される第1
の産物である。第2のSMB分離ステップにおいて、より極性の低い成分(A)は、抽出液流E2として除去される。第2の産物(B)は、抽残液流R2として収集される。
【0226】
オプション(2)は、
図5においてより詳細に図示される。
図5は、有機溶媒脱着剤(D)及び水(W)を各クロマトグラフィー装置へ導入するポイントが示されることを除いて、
図3
と同一である。上記のように、(D)相は、典型的には実質的に純粋な有機溶媒であるが、
しかし、特定の実施形態において、主として有機溶媒を含む有機溶媒/水の混合物であってもよい。水(W)相は、典型的には実質的に純粋な水であるが、しかし、特定の実施形態
において、主として水を含む有機溶媒/水の混合物、例えば98%水/2%メタノールの混合物、であってもよい。
【0227】
オプション(2)のさらなる図示は、
図7において示される。ここで、異なる水注入ポイ
ントはなく、そしてその代わりに水性有機溶媒脱着剤が、(D)で注入される。
【0228】
典型的には、オプション(2)において、第1のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に再導
入される速度は、第2のSMB分離ステップにおいて抽残液流経由で収集される液体が、第
2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に再導入される速度より、速
い。
【0229】
典型的には、オプション(2)において、第1のSMB分離ステップで用いられる水性有機溶媒溶離剤は、第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤よりも少ない有機溶媒を含む、
すなわち第1のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、第2のSMB分離ステップに
おける水:有機溶媒の比よりも高い。
【0230】
オプション(2)において、第1のSMB分離ステップにおける第1の抽残液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への入力流の導入ポイントの下流で除去される。
【0231】
オプション(2)において、第1のSMB分離ステップにおける第1の抽出液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への入力流の導入ポイントの上流で除去される。
【0232】
オプション(2)において、第2のSMB分離ステップにおける第2の抽残液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への第1の産物の導入ポイントの下流で除去される。
【0233】
オプション(2)において、第2のSMB分離ステップにおける第2の抽出液流は、溶離剤の流れに関して、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置
への第1の産物の導入ポイントの上流で収集される。
【0234】
典型的にはオプション(2)において、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに関
して、第1の抽出液流の除去ポイントの上流で、第1のSMB分離ステップで用いられるク
ロマトグラフィー装置に導入される。
【0235】
典型的にはオプション(2)において、水が第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される場合に、水は、溶離剤の流れに関して、入力流の導入ポイントの上流、ただし第1の抽出液流の除去ポイントの下流で、第1のSMB分離ステップで用
いられるクロマトグラフィー装置に導入される。
【0236】
典型的にはオプション(2)において、有機溶媒又は水性有機溶媒は、溶離剤の流れに関
して、第2の抽出液流の除去ポイントの上流で、第2のSMB分離ステップで用いられるク
ロマトグラフィー装置に導入される。
【0237】
典型的にはオプション(2)において、水が第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に導入される場合に、水は、溶離剤の流れに関して、第1の産物の導入ポイントの上流、ただし第2の抽出液流の除去ポイントの下流で、第2のSMB分離ステップ
で用いられるクロマトグラフィー装置に導入される。
【0238】
この「連続」SMB法において、第1及び第2のSMB分離ステップで用いられる各疑似又は実移動床クロマトグラフィー装置は、好ましくは8つのクロマトグラフィーカラムからな
る。これらは、カラム1-8と呼ばれる。各装置において、前記8つのカラムは、カラム1の
底部が、カラム2の頂部に繋げられ、カラム2の底部が、カラム3の頂部に結合され、…同
じように続く…、そしてカラム8の底部が、カラム1の頂部に結合されるように、直列に配置される。これらの結合は、必要に応じて、次のカラムへの再循環流を含んだ、保持容器経由となってもよい。システムを通じた溶離剤、カラム1からカラム2、カラム3等へと
流れる。システムを通じて、吸着剤は、実質的にカラム8からカラム7、カラム6等へと流
れる。
【0239】
これは、
図8において図示される。第2の産物(B)、並びにより極性の高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラ
フィー装置においてカラム5の頂部に導入される。有機溶媒脱着剤は、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。水は、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。第1のSMB分離ステップにおいて、より極性の低い成分(A)は、カラム2の底部から抽出液流E1として除去される。第2の産物(B)及びより極性の高い成分(C)は、カラム7の底部から抽残液流R1として除去される。抽残液流R1は、次いでカラム5の頂部で、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置へ導入されることにより、第2のSMB分離ステ
ップで精製される第1の産物である。有機溶媒脱着剤は、第2のSMB分離ステップで用い
られるクロマトグラフィー装置において、カラム1の頂部に導入される。水は、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、カラム4の頂部に導入され
る。第2のSMB分離ステップにおいて、より極性の高い成分(C)は、カラム7の底部で、抽
残液流R2として除去される。第2の産物(B)は、カラム2の底部で、抽出液流E2として収集される。
【0240】
図8で示される「連続」SMB法において、有機溶媒は、典型的には、第1のSMB分離ステ
ップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。
【0241】
図8で示される「連続」SMB法において、水は、典型的には、第1のSMB分離ステップで
用いられるクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。
【0242】
図8で示される「連続」SMB法において、有機溶媒は、典型的には、第2のSMB分離ステ
ップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。
【0243】
図8で示される「連続」SMB法において、有機溶媒は、典型的には、第2のSMB分離ステ
ップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。
【0244】
図8で示される「連続」SMB法において、入力流は、典型的には、第1のSMB分離ステッ
プで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に導入される。
【0245】
図8で示される「連続」SMB法において、第1の抽残液流は、典型的には、第1のSMB分
離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から、第1の産物とし
て収集される。この第1の産物は、次いで第2のSMB分離ステップにおいて精製され、及
び典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に導入される。第1の抽残液流は、必要に応じて、第2のSMB分離ステップにおいて精
製される前に、容器に収集されてもよい。
【0246】
図8で示される「連続」SMB法において、第1の抽出液流は、典型的には、第1のSMB分
離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から除去される。第1
の抽出液流は、必要に応じて、容器に収集されてもよく、そして第1のSMB分離ステップ
で用いられるクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。
【0247】
図8で示される「連続」SMB法において、第2の抽残液流は、典型的には、第2のSMB分
離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から除去される。
【0248】
図8で示される「連続」SMB法において、第2の抽出液流は、典型的には、第2のSMB分
離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集される。この
第2の抽出液流は、典型的には第2の産物を含む。第2の抽出液流は、必要に応じて、容器に収集されてもよく、そして第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー
装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。
【0249】
図8で示される「連続」SMB法において、用いられる溶離剤は、典型的には上記で規定されたものと同様である。
【0250】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒の比は、第2のSMB法で用いられるクロマトグラフィー装置における水:有機溶媒の比よりも、低い。従って、第1のSMB分離ステップにおける溶離剤は、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤よりも、多くの有機溶媒
を含む。
【0251】
この「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、典
型的には0.5:99.5ないし1.5:98.5体積部である。第2のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、典型的には2:98ないし6:94体積部である。
【0252】
この「連続」SMB法において、
図8の装置は、
図10aにおいて示されるように構成される
が、
図10b及び
図10cにおいて示される構成もまた、用いられ得る。
【0253】
この「連続」SMB法は、
図9においても図示される。第2の産物(B)、並びにより極性の
高い(C)及びより極性の低い(A)成分を含む入力流Fは、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、カラム5の頂部に導入される。水性有機溶媒脱着剤
は、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導
入される。第1のSMB分離ステップにおいて、より極性の低い成分(A)は、カラム2の底部
から抽出液流E1として除去される。第2の産物(B)及びより極性の高い成分(C)は、カラム7の底部から抽残液流R1として除去される。抽残液流R1は、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入されることにより、第2のSMB分離ステップにおいて精製される第1の産物である。水性有機溶媒脱着剤は、第2のSMB分離
ステップで用いられるクロマトグラフィー装置においてカラム1の頂部に導入される。第
2のSMB分離ステップにおいて、より極性の高い成分(C)は、カラム7の底部で抽残液流R2
として除去される。第2の産物(B)は、カラム2の底部で抽出液流E2として収集される。
【0254】
図9で示される「連続」SMB法において、水性有機溶媒は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、カラム1の頂部に導入される。
【0255】
図9で示される「連続」SMB法において、水性有機溶媒は、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、カラム9の頂部に導入される。
【0256】
図9で示される「連続」SMB法において、入力流は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置において、カラム5の頂部に導入される。
【0257】
図9で示される「連続」SMB法において、第1の抽残液流は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から、第1の産物として
収集される。この第1の産物は、次いで第2のSMB分離ステップにおいて精製され、典型
的には第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に導入される。第1の抽残液流は、必要に応じて、第2のSMB分離ステップにおいて精製され
る前に、容器に収集されてもよい。
【0258】
図9で示される「連続」SMB法において、第1の抽出液流は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から除去される。第1の
抽出液流は、必要に応じて、容器に収集されてもよく、そして第1のSMB分離ステップで
用いられるクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に、一部が再導入されてもよい。第
1のSMB分離ステップにおける抽出液流経由で収集される液体の、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻す再循環速度は、液体がこの容器からカラム3
の頂部に、ポンプで注入される速度である。
【0259】
図9で示される「連続」SMB法において、第2の抽残液流は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から除去される。
【0260】
図9で示される「連続」SMB法において、第2の抽出液流は、典型的には第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集される。この第
2の抽出液流は、典型的には第2の産物を含む。第2の抽出液流は、必要に応じて、容器に収集されてもよく、そして第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装
置のカラム3の頂部に一部が再導入されてもよい。第2のSMB分離ステップから抽出液流経由で収集される液体の、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に
戻す再循環速度は、液体がこの容器からカラム3の頂部に、ポンプで注入される速度であ
る。
【0261】
図9で示される「連続」SMB法において、用いられる溶離剤は、上記で規定されたもの
と同様である。
【0262】
典型的にこの「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置における、水:有機溶媒の比は、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置における、水:有機溶媒の比よりも、低い。従って、第1のSMB分離ステップで用いられる溶離剤は、典型的には第2のSMB分離ステップで用いられる溶離剤より
も、多くの有機溶媒を含む。
【0263】
この「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、典
型的には0.5:99.5ないし1.5:98.5体積部である。第2のSMB分離ステップにおける水:有機溶媒の比は、典型的には2:98ないし6:94体積部である。
【0264】
この「連続」SMB法において、第1のSMB分離ステップから抽出液流経由で収集される液体が、第1のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環され
る速度は、第2のSMB分離ステップから抽出液流経由で収集される液体が、第2のSMB分離ステップで用いられるクロマトグラフィー装置に戻され再循環される速度よりも、典型的には速い。この場合において、水性の有機溶媒溶離剤は、典型的には各SMB分離ステップ
において実質的に同一である。
【0265】
この「連続」SMB法において、
図9の装置は、
図10aにおいて示されるように構成される
が、
図10b及び
図10cにおいて示される構成もまた、用いられ得る。
【0266】
典型的には、上記で規定されたように、少なくとも1つの第1及び第2のクロマトグラフィー分離のステップは、少なくとも1つ、例えば1つの「連続」SMB法を含む。
【0267】
典型的には、PUFA産物は、各クロマトグラフィー分離のステップにおいて、供給混合物の異なる成分から分離される。
【0268】
典型的には、PUFA産物は、第1及び/又は第2の分離ステップにおいて、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物から分離される。典型的にはPUFA産物は、第1及び第2
の分離ステップの一方のみにおいて、先出の通り、1つ以上のC18脂肪酸不純物から分離
される。
【0269】
より典型的には、PUFA産物は、第1及び/又は第2の分離ステップにおいて、ALA、ALA
モノ-、ジ-及びトリグリセリド、並びにALA C
1-C
4アルキルエステルから分離される。
【0270】
より典型的には、PUFA産物は、第1及び/又は第2の分離ステップにおいて、GLA、GLA
モノ-、ジ-及びトリグリセリド、並びにGLA C
1-C
4アルキルエステルから分離される。
【0271】
好ましくは、PUFA産物は、第1及び/又は第2の分離ステップにおいて、C18脂肪酸、C18脂肪酸モノ-、ジ-及びトリグリセリド、並びにC18脂肪酸アルキルエステルから分離さ
れる。
【0272】
典型的には、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物を有する;及び/又は第2の分離ステップで生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物を有する。
【0273】
より典型的には、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、ALA、ALAのモノ、ジ-及び
トリグリセリド、並びにALAのC
1-C
4アルキルエステルから選択される不純物を有する;及
び/又は第2の分離ステップで生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の前記不純物を有する。
【0274】
より典型的には、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、GLA、GLAのモノ、ジ-及び
トリグリセリド、並びにGLAのC
1-C
4アルキルエステルから選択される不純物を有する;及
び/又は第2の分離ステップで生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の前記不純物を有する。
【0275】
好ましくは、中間産物は、供給混合物よりも低濃度のC18脂肪酸、又はC18脂肪酸誘導体を有する;又は第2の分離ステップで生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度のC18脂肪酸、又はC18脂肪酸誘導体を有する。特定の実施形態において、中間産物は、供給混
合物よりも低濃度のC18脂肪酸、又はC18脂肪酸誘導体を有する;及び第2の分離ステップ
で生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度のC18脂肪酸、又はC18脂肪酸誘導体を有する。
【0276】
低濃度は、典型的には5重量%以上、より典型的には10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは50重量%以上、さらにより好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上、
さらにより好ましくは80重量%以上、さらにより好ましくは90重量%以上低い濃度を意味する。従って、中間産物が、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上の前記C18脂肪酸不純物を有する場合に、中間産物におけるC18脂肪酸不純物の濃度は、供給混合物における前記C18脂肪酸不純物の濃度よりも、典型的には10重量%以上、好ましくは20重量%等以上低い。第2の分離ステップにおいて生産されるPUFA産物が、中間産物よりも低
濃度の、上記で開示された1つ以上の前記C18脂肪酸不純物を有する場合に、PUFA産物に
おけるC18脂肪酸不純物の濃度は、中間産物における前記C18脂肪酸不純物の濃度よりも、典型的には10重量%以上、好ましくは20重量%等以上低い。
【0277】
典型的には、第1の有機溶媒は、アセトニトリルであり、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上の前記C18脂肪酸不純物を有する。あるいは、第
2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離ステップにおいて生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上の前記C18脂肪酸不純物を有
する。
【0278】
好ましくは、PUFA産物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18
脂肪酸不純物を有する、又は(ii)第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離ステップにおいて生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物を有する。
【0279】
より好ましくは、PUFA産物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物を有する、又は(ii)第1の有機溶
媒は、メタノールであり、第2の有機溶媒は、アセトニトリルであり、第2の分離ステップにおいて生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物を有する。
【0280】
より好ましくは、PUFA産物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を固定床装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含む、又は(ii)第1の有機溶媒はメタノールであり、第2の有機溶媒はアセトニトリルであり、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、供給混合物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。
【0281】
さらに好ましくは、PUFA産物は、EPAエチルエステルであり、(i)第1の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の有機溶媒はメタノールであり、中間産物は、供給混合物よりも低濃度の、上記で開示された1つ以上の前記C18脂肪酸不純物を有し、第1のクロマトグ
ラフィー分離のステップは、供給混合物を固定床装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含む;又は
(ii)第1の有機溶媒はメタノールであり、第2の有機溶媒はアセトニトリルであり、第2の分離ステップにおいて生産されるPUFA産物は、中間産物よりも低濃度の、上記で開示される1つ以上のC18脂肪酸不純物を有し、第1のクロマトグラフィー分離のステップは、
供給混合物を疑似若しくは実移動床クロマトグラフィー装置に導入することを含み、第2のクロマトグラフィー分離のステップは、中間産物を固定床クロマトグラフィー装置に導入することを含む。
【0282】
本発明は、上記で規定されたように、本発明の方法により得られるPUFA産物も提供する。
【0283】
本発明は、本発明のPUFA産物を含む組成物も提供する。
【0284】
かかる組成物は、典型的にはPUFA産物として、EPA又はEPAエチルエステルを含む。
【0285】
PUFA産物は、典型的には90重量%より多くの、好ましくは95重量%より多くの、より好ま
しくは97重量%より多くの、さらに好ましくは98重量%より多くの、さらにより好ましくは98.4重量%より多くの量で(in an amount in an amount)、組成物中に存在する。
【0286】
好ましくは、PUFA産物は、EPA又はEPAエチルエステルであり、90重量%より多くの、好
ましくは95重量%より多くの、より好ましくは97重量%より多くの、さらに好ましくは98重量%より多くの、さらにより好ましくは98.4重量%より多くの量(in an amount in an amount)、例えば98ないし99.5重量%の量で、組成物中に存在する。
【0287】
典型的には、PUFA産物は、1重量%未満の上記で開示された1つ以上のC18脂肪酸不純物
を含む。
【0288】
典型的には、PUFA産物は、1重量%未満のアルファ-リノレン酸(ALA)、ALA モノ-、ジ-及びトリグリセリド、並びにALA C
1-C
4 アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA産物は、1重量%未満のALA及びその誘導体である不純物を含む。典型的なALA誘導体は、PUFA誘導体に対して上記で規定されたものと同様である。
【0289】
典型的には、PUFA産物は、1重量%未満のガンマ-リノレン酸(GLA)、GLA モノ-、ジ-及びトリグリセリド並びにGLA C
1-C
4アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA
産物は、1重量%未満のGLA及びその誘導体である不純物を含む。典型的なGLA誘導体は、PUFA誘導体に対して上記で規定されたものと同様である。
【0290】
典型的には、PUFA産物は、1重量%未満のC18脂肪酸不純物、C18脂肪酸 モノ-、ジ-及び
トリグリセリド並びにC18脂肪酸アルキルエステル不純物を含む。より典型的には、PUFA
産物は、1重量%未満のC18脂肪酸及びその誘導体である不純物を含む。誤解を避けるため
、この実施形態におけるすべての前記不純物の最大量は、1重量%である。典型的なC18脂肪酸誘導体は、PUFA誘導体に対して上記で規定されたものと同様である。本明細書で用いられる場合、C18脂肪酸は、直鎖又は分岐の炭化水素鎖を有するC18脂肪酸モノカルボン酸である。典型的なC18脂肪酸としては、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1n9)、バ
クセン酸(C18:1n7)、リノール酸 (C18:2n6)、ガンマ-リノレン酸/GLA (C18:3n6)、アルファ-リノレン酸/ALA (C18:3n3)及びステアリドン酸/SDA (C18:4n3)が挙げられる。
【0291】
上記でも説明された通り、典型的にはPUFA産物における上記の不純物の量は、1重量%未満である。好ましくは、上記の不純物の量は、0.5重量%未満、より好ましくは0.25重量%
未満、さらに好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.05重量%未満、さらによ
り好ましくは0.01重量%未満、さらにより好ましくは0.001重量%未満、さらにより好まし
くは0.0001重量%未満、さらにより好ましくは、0.00001重量%未満である。
【0292】
特定の好適な実施形態において、PUFA産物は、上記の不純物を実質的に含まない。
【0293】
PUFA産物は、ALA、GLA、リノール酸、ALA モノ-、ジ-若しくはトリグリセリド、 GLA
モノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、オレイン酸モノ、ジ-、若しくはトリグリセリド
、ALA C
1-C
4 アルキルエステル、GLA C
1-C
4 アルキルエステル若しくはオレイン酸 C
1-C
4アルキルエステル、又はそれらの混合物ではない。典型的には、PUFA産物は、ALA、GLA、リノール酸、若しくは誘導体又はそれらの混合物ではない。典型的なALA、GLA及びリノール酸誘導体は、上記でPUFA誘導体に対して規定されたものと同様である。
【0294】
典型的には、PUFA産物は、C18 PUFA、C18 PUFA モノ、ジ-、若しくはトリグリセリド、又はC18 PUFA アルキルエステルではない。より典型的には、PUFA産物は、C18PUFA又はC18PUFA誘導体ではない。典型的なC18 PUFAとしては、リノール酸(C18:2n6)、GLA(C18:3n6)、及びALA(C18:3n3)が挙げられる。
【0295】
典型的には、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPA又はEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のALAエチルエステルを含む。
【0296】
典型的には、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPA又はEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のGLAエチルエステルを含む。
【0297】
好ましくは、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPA又はEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のALA、ALA モノ-、ジ-及びトリグリセリド並びにALA C
1-C
4アルキルエステルを含む。
【0298】
好ましくは、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPA又はEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のGLA、GLA モノ-、ジ-又はトリグリセリド及びGLA C
1-C
4 アルキルエステルを含む。
【0299】
より好ましくは、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のALA、ALA モノ-、ジ-又はトリグリセリド及
びALA C
1-C
4 アルキルエステルを含む。
【0300】
より好ましくは、組成物は、PUFA産物として、98ないし99.5重量%の量で存在するEPAエチルエステルを含み、組成物は1重量%未満のGLA、GLA モノ-、ジ-又はトリグリセリド及
びGLA C
1-C
4 アルキルエステルを含む。
【実施例】
【0301】
次の実施例は、本発明を示す。
【0302】
実施例
実施例1
第1のクロマトグラフィー分離のステップ
図16において示す通りの脂肪酸プロファイルを有する魚油由来の原料(55重量% EPAエチルエステル(EE)、5重量% DHA EE)を、C18結合シリカゲル(粒径300μm、粒子多孔度150 オングストローム)を固定相として、及び水性メタノール(典型的には0.5%-10%水)を溶離
剤として用いた実移動床クロマトグラフィー方式を用いて、直列に接続された15のカラム(直径: 76.29mm、長さ: 914.40mm)からなる「シングルパス」SMB装置を通じて、分画した。
【0303】
動作パラメーター及び流速は、次のとおり。
(
図8による典型的なフロースキーム)
ステップ時間: 750秒
サイクル時間: 200分
供給混合物供給速度(F1): 74 ml/分
脱着剤供給速度(D1): 6250 ml/分
抽出液蓄積速度(E1): 1250ml/分
抽出液再循環速度(D1-E1): 5000 ml/分
抽残液蓄積速度(R1): 1688ml/分
サイクル時間: 600秒
【0304】
この方法により生産した中間産物は、
図12で示す通りのGC-FAMESトレースを有する。EPA EEは、96.5%の純度で含有される。主な不純物は、0.9%で存在するエチル-アルファリノレン酸(ethyl-alpha linolenoate)(ALA - C18:3n3)である。ALAは、原料中に0.65%で存在
する。従って移動相としてメタノール/水を用いると、ALAは、EPAと共溶離することが理解され得る。しかしながら、メタノール/水は、類縁の成分エチル-ドコサヘキサエン酸(DHA - C22:6n3)の除去において非常に効率的である。
【0305】
第2のクロマトグラフィー分離のステップ
第1のクロマトグラフィー分離のステップにおいて生産した中間産物を、アセトニトリル/水の移動相混合物を用いて、固定床の分取HPLCによりさらに精製した。重量比87:13
のアセトニトリル/水を利用した。c18結合シリカ(粒径20μm)をパッキングした寸法600mm x 900mmのHPLCカラムを、供給混物注入体積1400ml、及び脱着剤流速2200ml/分で用いる。
【0306】
生産した最終PUFA産物をGC FAMESにより解析して、そしてトレースを
図13に示す。ALA
が完全に除去されていること、そしてEPA純度は98.5%まで上昇していることが理解できる。
【0307】
代替の第2のクロマトグラフィー分離のステップ
第1のクロマトグラフィー分離のステップにおいて生産した中間産物を、C18結合シリ
カゲル(粒径300μm、粒子多孔度150 オングストローム)を固定相として、及び水性アセトニトリル(12% 水)を溶離剤として用いた実移動床クロマトグラフィー方式を用いて、直列に接続された8つのカラム(直径: 76.29mm、長さ: 914.40mm)からなる「シングルパス」SMB装置を通じて、分画した。
【0308】
動作パラメーター及び流速は、次のとおり。
(
図8による典型的なフロースキーム)
ステップ時間: 780 秒
供給混合物供給速度(F1): 90 ml/分
脱着剤供給速度(D1): 6500 ml/分
抽出液蓄積速度(E1): 1400ml/分
抽出液再循環速度(D1-E1): 5100 ml/分
抽残液蓄積速度(R1): 1690ml/分
サイクル時間: 600 秒
【0309】
実施例2
第1のクロマトグラフィー分離のステップ
図16に示す通りの脂肪酸プロファイルを有する魚油由来の原料(55重量% EPA EE、 5 重量% DHA EE)を、アセトニトリル/水の溶離剤を用いて分取HPLC分離にかけた。用いた移
動相は、87:13のアセトニトリル:水である。c18結合シリカ(粒径20μm)をパッキングした寸法600mm x 900mmのHPLCカラムを、供給混物注入体積600ml、及び脱着剤流速2200ml/分
で用いる。生産した中間産物をGC FAMEにより解析して、そしてトレースを
図14に示す。
【0310】
エチル-アルファリノレン酸(ethyl-alpha-linolenoate)(ALA-C18:3n3)が供給混合物か
ら完全に除去されたことが理解できる。しかしながら、主として高いレベルのエチル-ド
コサヘキサエン酸(DHA - C22:6n3)の存在のため、たった92.5% EPA EEの純度レベルしか
、達成できなかった。
【0311】
代替の第1のクロマトグラフィー分離のステップ
図16に示す通りの脂肪酸プロファイルを有する魚油由来の原料(55重量% EPA EE、 5 重量% DHA EE)を、C18結合シリカゲル(粒径300μm、粒子多孔度150 オングストローム)を固定相として、そして水性アセトニトリル(典型的には4%-18%水)を溶離剤として用いた実移動床クロマトグラフィー方式を用いて、直列に接続された15のカラム(直径: 76.29mm、
長さ: 914.40mm)からなる「シングルパス」SMB装置を通じて分画した。
【0312】
動作パラメーター及び流速は、次のとおり。
(
図8による典型的なフロースキーム)
ステップ時間: 600 秒
原料(F)供給速度:105 ml/分
脱着剤(D)供給速度: 4800 ml/分
抽出液速度: 1250 ml/分
抽残液速度: 1800 ml/分
【0313】
第2のクロマトグラフィー分離のステップ
生産した中間産物は、溶離剤としてメタノール/水を88:12重量比で用いた分取HPLCを
用いてさらに精製をかけた。c18結合シリカ(粒径20μm)をパッキングした寸法600mm x 900mmのHPLCカラムを、供給混物注入体積1250ml、及び脱着剤流速2200ml/分で用いる。
【0314】
前記生産した最終産物は、
図15に示す通りのGC FAMESトレースを有する。前記生産した産物は、99%純度でEPA EEを含む。
【0315】
従って、最初にアセトニトリル/水分離、その後メタノール/水分離を実施することの結果は、最初にメタノール/水、その後アセトニトリル/水を実施することと本質的に同一であることが理解できる。各場合において、メタノール/水を含むステップ、及びアセトニトリル/水を含むさらなるステップを組み合わせることは、低含有量のC18脂肪酸不
純物、例えばALAを伴う~99%純度の高度精製のEPA(EE)濃縮物を調製することについて、利点を有する。
【0316】
代替の第2のクロマトグラフィー分離のステップ
【0317】
生産した中間産物を、C18結合シリカゲル(粒径300μm、粒子多孔度150 オングストローム)を固定相として、水性メタノール(7% 水)を溶離剤として用いた実移動床クロマトグラフィー方式を用いて、直列に接続された8つのカラム(直径: 76.29mm、長さ: 914.40mm)
からなる「シングルパス」SMBを通じて、分画した。
【0318】
動作パラメーター及び流速は、次のとおり。
(
図8による典型的なフロースキーム)
ステップ時間: 960 秒
原料(F)供給速度: 45 ml/分
脱着剤(D)供給速度: 3975 ml/分
抽出液速度: 3655 ml/分
抽残液速度: 2395 ml/分
【0319】
比較例1
図16に示す通りの脂肪酸プロファイルを有する魚油由来の原料(55重量% EPA EE、 5 重量% DHA EE)を、C18結合シリカゲル(粒径300μm、粒子多孔度150 オングストローム)を固定相として、両方のステップで水性メタノールを溶離剤として用いた実移動床クロマトグラフィー方式を用いて、第1及び第2のクロマトグラフィー分離のステップにおいて分画する。
【0320】
第1の分離ステップは、直列に接続された一連の8つのカラム(直径: 76.29mm、長さ: 914.40mm)で実施した。
【0321】
動作パラメーター及び流速は、次のとおり。
(
図8による典型的なフロースキーム)
供給混合物供給速度(F1): 34 ml/分
脱着剤供給速度(D1): 14438 ml/分
抽出液蓄積速度(E1): 9313 ml/分
抽出液再循環速度(D1-E1): 5125 ml/分
抽残液蓄積速度(R1): 1688ml/分
サイクル時間: 1200 秒
【0322】
第2の分離ステップは、直列に接続された第2の一連の7つのカラム(直径: 76.29mm、
長さ: 914.40mm)で実施した。
【0323】
第2の中間産物供給速度(F3): 40 ml/分
脱着剤供給速度(D3): 6189 ml/分
抽出液蓄積速度(E3): 1438 ml/分
抽出液再循環速度(D3-E3): 4750 ml/分
抽残液蓄積速度(R3): 1438 ml/分
サイクル時間: 1080 秒
【0324】
前記比較例は、利点のより少ない不純物プロファイルを有するEPA濃縮物を生じる。よ
り高い純度の達成可能性は、特にC18:3 成分(GLA及びALA)の存在により、制限される。