【解決手段】 リード端子14が並設された表示素子10と、所定の回路パターンが形成された回路基板20と、表示素子10側を向く回路基板20の一方の面21に搭載されるコネクタ24とを備え、コネクタ24が、リード端子14を挿入可能とした端子挿入孔24aを有するコネクタハウジング24bと、一端側が回路パターンに電気接続されるとともに他端側が端子挿入孔24aにてリード端子14と電気接続可能に設けられる接続端子24cとを有している表示装置Dにおいて、回路基板20は端子挿入孔24aに対応して設けられる貫通孔部23を有しているとともに、リード端子14の自由端部(末端部)14cを貫通孔部23の内部に位置させる構成としたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜
図4に基づいて、本発明を車載用の表示装置に適用した一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、表示装置を正視(視認)する視認者側を前方側とし、当該視認者側とは反対側である反視認者側を背後側とする。
【0011】
図1、
図2において、本実施形態による表示装置Dは、後述するリード端子が並設された表示素子10と、この表示素子10の背後側に配置される回路基板20と、表示素子10に照明光を供給するように回路基板20に実装された光源30と、この光源30を包囲するように表示素子10と回路基板20との間に位置する樹脂ケース40と、表示素子10と回路基板20との間に介在する拡散板50と、表示素子10の前方側に配置される表示板60とを備えている。
【0012】
表示素子10は、例えば車速や車両の走行距離、燃料消費、外気温、時刻等の各種情報を表示可能な周知のセグメントタイプの液晶表示パネルからなり、上側ガラス基板11とこれと対をなす下側ガラス基板12との間に液晶分子を封入した液晶セル13と、この液晶セル13に作動用電力を供給するための複数個のリード端子14とを有している。
【0013】
この場合、導電性を有する金属製のリード端子14は、下側ガラス基板12の端縁を挟み込むように略コの字状に形成された挟持部14aと、この挟持部14aの背後側に真っ直ぐ延びる端子本体部14bとを有している。なお、隣接するリード端子14のピッチ(間隔)Sは、例えば2ミリメートルに設定されている(
図3参照)。
【0014】
回路基板20は、所定の回路パターンが形成された硬質の回路基板からなり、表示素子10と離間するように表示素子10の背後側に配置され、その板厚(厚さ)Pは、例えば2ミリメートルに設定されている。
【0015】
この回路基板20は、表示素子10が配置される前方側となる一方の面21と、この一方の面21とは反対側となる他方の面22と、端子本体部14bの自由端部(末端部)14cを位置させるための貫通孔部23とを有し、この貫通孔部23は、並設された各リード端子14の配列方向に沿った長孔形状の貫通孔として形成されている(
図3参照)。また、この場合、表示素子10側を向く回路基板20の一方の面21には、コネクタ24が半田付け等の手段によって導通固定されている。
【0016】
コネクタ24は、回路基板20の一方の面21に実装(搭載)され、
図4に示すように端子本体部14b(リード端子14)を挿入可能とした端子挿入孔24aを有する樹脂製のコネクタハウジング24bと、一端側が前記回路パターンに電気接続されるとともに他端側がリード端子14の端子本体部14bを端子挿入孔24aに挿入した際にコネクタハウジング24bの内部で端子本体部14bと電気接続される導電性の接続端子24cとを有している。
【0017】
つまり、ここでの接続端子24cは、その前記他端側がコネクタハウジング24bの内部空洞として形成される端子挿入孔24aにて端子本体部14b(リード端子14)と電気接続可能に設けられる構成となっている。なお、接続端子24cは、リード端子14よりも強度的に硬い導電性材料で形成されている。
【0018】
また、この場合、端子挿入孔24aは、
図3に示すように個々のリード端子14の端子本体部14bを回路基板20側に向けて挿通可能とした区画用孔として各々形成され、これら複数個の区画用孔からなる個々の端子挿入孔24aに対応する回路基板20箇所には上述した長孔形状の貫通孔部23が設けられている。つまり、このことは回路基板20は端子挿入孔24aに対応して設けられる貫通孔部23を有していることを意味している。なお、当然のことながら、接続端子24cは、前記区画用孔毎に各々設けられることは言うまでもない。
【0019】
そして、本例の場合、
図4に示すように回路基板20側に位置するリード端子14(端子本体部14b)の自由端部(末端部)14cを回路基板20の貫通孔部23の内部に位置させる構成としている。
【0020】
つまり、回路基板20側に位置するリード端子14の自由端部14cは、回路基板20の一方の面21を通過して貫通孔部23の内部に留まるように構成され、他方の面22から背後側に向けて飛び出ないように構成されている。例えば、この場合、自由端部14cの一方の面21から貫通孔部23の内部への侵入量を示す端子侵入部分Tは、その値がリード端子14のピッチSの半分の値である1ミリメートルに設定されている。
【0021】
光源30は、適宜色(例えば橙色)の照明光を発する複数個のチップ型発光ダイオードからなり、
図2に示すように拡散板50の背後側となる回路基板20上にそれぞれ配置(実装)され、前方側(拡散板50側)に照明光を供給する発光体である。
【0022】
樹脂ケース40は、例えば白色系の合成樹脂材料によって形成され、各光源30を取り囲むように回路基板20と拡散板50との間に位置し、拡散板50並びに拡散板50上に載置される表示素子10を保持するための略枠形状の周壁部41を備えてなる。
【0023】
なお、周壁部41の断面形状は、本実施形態の場合、立壁(垂直壁)形状となっているが、例えば光源30側となる下端側開口の幅が、拡散板50側となる上端側開口の幅よりも幅狭となるような傾斜壁形状としてもよい。
【0024】
拡散板50は、例えば乳白色を有する薄板状の透光性合成樹脂材料によって形成され、表示素子10の背面に沿うように配置される。また、拡散板50は、樹脂ケース40の周壁部41によって包囲されてなる各光源30からの照明光を略均一化させるための光拡散部材としての機能を有し、この略均一化された照明光は表示素子10側に導かれる構成となっている。
【0025】
表示板60は、例えばインジケータ表示部等の表示意匠(図示せず)が形成された略枠状の意匠パネルからなり、ポリカーボネートからなる略枠状の透光性基板61を母材とし、この透光性基板61の背面には黒色印刷層からなる地色部62がスクリーン印刷等の手段を用いて印刷形成されている。
【0026】
そして、この場合、表示素子10に対応する表示板60箇所には、表示素子10に表示される前記各種情報を臨ませるための表示窓部63が開口形成されている。
【0027】
以上のように、本実施形態ではコネクタ24が、端子本体部14b(リード端子14)を挿入可能とした端子挿入孔24aを有するコネクタハウジング24bと、一端側が前記回路パターンに電気接続されるとともに他端側が端子挿入孔24aにて端子本体部14b(リード端子14)と電気接続可能に設けられる接続端子24cとを有し、回路基板20は端子挿入孔24aに対応して設けられる貫通孔部23を有しているとともに、リード端子14の自由端部(末端部)14cを貫通孔部23の内部に位置させる構成としたものである。
【0028】
従って、回路基板20側に位置するリード端子14の自由端部14cは、回路基板20の他方の面22から背後側に飛び出ずに貫通孔部23の内部に潜った(留まった)状態となることから、不慮の外的応力が自由端部14cには何ら作用しない構成となり、互いに隣接するリード端子14のピッチ(間隔)が比較的狭い条件下であっても、この隣接するリード端子14の間が電気的にショートする虞がなくなり、表示素子10の誤動作を抑制することが可能となる。
【0029】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、自由端部14cの一方の面21から貫通孔部23の内部への侵入量を示す端子侵入部分Tの値が、並設されたリード端子14のピッチS(つまり2ミリメートル)の半分の値である1ミリメートルに設定されていたが、当該端子侵入部分Tの値は、ピッチSの半分の値(1ミリメートル)に限定されるものではなく、リード端子14のピッチSの値よりも小さい値(つまり2ミリメートル未満)としてもよい。
【0031】
以下、端子侵入部分Tの値をピッチSの値よりも小さい値とすることで得られる作用効果について
図5を用いて説明する。なお、
図5(a)は、本実施形態の変形例による端子本体部14bが端子挿入孔24aへと挿入され始めた状態を示す図であり、
図5(b)は、本実施形態の変形例による端子本体部14bが接続端子24に接触した状態を示す図であり、
図5(c)は、本実施形態の変形例による端子本体部14bの接続端子24への接触後に自由端子14cに後述する削り塵が繋がるように設けられた状態を示す図である。
【0032】
まず、表示素子10のリード端子14を回路基板20に実装されたコネクタハウジング24に組み付け固定するにあたっては、例えばここでの詳細図示は省略するが、リード端子14の端子本体部14bがコネクタハウジング24bの端子挿入孔24aとそれぞれ向かい合うようにリード端子14が並設された表示素子10とコネクタ24が実装された回路基板20とを位置合わせする。
【0033】
そして、この状態から、表示素子10を背後側(つまり回路基板20側)へと平行移動させると、やがて端子本体部14bが端子挿入孔24aへと挿入された状態となる(
図5(a)参照)。その後、端子本体部14bを背後側に移動させると、端子本体部14bは、接続端子24cに接触し、接続端子24cに通電した状態となる(
図5(b)参照)。この通電状態時において、端子本体部14bは、接続端子24cに備えられる屈曲部24dを
図5(b)中、矢印Y方向に撓み変形させながら背後側にさらに移動可能となる。
【0034】
ここで、ともに導電性材料で形成される端子本体部14bと接続端子24cとの強度に着目した場合、上述したように接続端子24cが、リード端子14よりも強度的に硬い導電性材料で形成されていることに起因して、接続端子24cの前記撓み変形時に、強度的に接続端子24cよりも弱い自由端部14cが部分的に削られることで、自由端部14cには自由端部14cが部分的に削られたことによる糸状の削り塵70が発生する(
図5(c)参照)。
【0035】
この自由端部14cに繋がるように設けられる削り塵70は、自由端部14cがコネクタハウジング24bの内部(つまり端子挿入孔24a)に位置しているときはコネクタハウジング24bの内部に存在し、コネクタハウジング24bの内部から貫通孔部23の内部へと侵入し始めるのと同時に、当該貫通孔部23の内部に留まる(存在する)構成となる。
【0036】
つまり、このことは削り塵70の貫通孔部23内部での削り塵形成寸法は、貫通孔部23内部での自由端部14cの値である上述した端子侵入部分Tの値と略同等となることを意味している。
【0037】
例えば上述した実施形態のように端子侵入部分Tの値が1ミリメートルのときにリード端子14のコネクタハウジング24bへの取付が完了した場合、削り塵形成寸法は端子侵入部分Tの値と等しく1ミリメートルとなる。ここで、削り塵70が自由端部14cを起点として貫通孔部23の長手方向(リード端子14の配列方向)に沿い、1ミリメートル延びたと仮定する。
【0038】
このとき、互いに隣接するリード端子14のピッチSが1ミリメートルの2倍の寸法である2ミリメートルに設定されていることで、所定のリード端子14の自由端部14cから繋がるように前記長手方向に1ミリメートル延びた削り塵70が、2ミリメートルのピッチSを有して当該所定のリード端子14の隣に位置する他のリード端子14の自由端部14cに接触しない構成となる。従って、導電性の削り塵70が不用意に形成された場合であっても、互いに隣接するリード端子14の間が電気的にショートする虞がなくなるため、表示素子10の誤動作を抑制することが可能となる。
【0039】
また、同様に例えば端子侵入部分Tの値が1.9ミリメートルの場合は削り塵形成寸法も1.9ミリメートルとなり、ここで、削り塵70が自由端部14cを起点として貫通孔部23の前記長手方向に沿い1.9ミリメートル延びたと仮定する。この場合においても、所定のリード端子14の自由端部14cから繋がるように前記長手方向に1.9ミリメートル延びた削り塵70が、2ミリメートルのピッチSを有して所定のリード端子14の隣に位置する他のリード端子14の自由端部14cに接触するのが防止され、表示素子10の誤動作を抑制することが可能となる。
【0040】
要は、回路基板20の一方の面21から貫通孔部23の内部へと侵入する端子侵入部分Tの値と、互いに隣接するリード端子14のピッチSの値との大小関係については、端子侵入部分T(つまり削り塵形成寸法)の値がピッチSの値よりも小さい値であればよく、より好ましくはリード端子14や回路基板20、コネクタ24の寸法ばらつき(寸法公差)を考慮して、端子侵入部分Tの値をピッチSの値の約半分の値とすればよく、このように構成することで不用意に形成される虞のある削り塵70が上述した他のリード端子14の自由端部14cに接触するのが防止され、表示素子10の誤動作を抑制することが可能となる。