(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-224242(P2017-224242A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】情報提供装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20171124BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20171124BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20171124BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
G06F13/00 510G
G08G1/09 F
H04M11/00 302
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-121049(P2016-121049)
(22)【出願日】2016年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 渉太
【テーマコード(参考)】
5B084
5H181
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
5B084AA03
5B084AA12
5B084AB35
5B084AB40
5B084BA02
5B084BB15
5B084CE03
5B084CE04
5B084CE07
5B084CE12
5B084DB07
5B084DC02
5B084DC03
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB15
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5K127AA05
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB34
5K127GA14
5K127GD11
5K127JA14
5K127JA23
5K127KA02
5K127KA07
5K201AA01
5K201BA05
5K201BA06
5K201CC04
5K201CC07
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED05
(57)【要約】
【課題】事前に複雑な操作を行うことなく、ネットワークへの接続ができない状況において利用者に有用な情報を提供することができる情報提供装置、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】車載装置1は、ネットワーク4への接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定する抽出条件設定部42と、圏外領域に車両が進入する前に、抽出条件設定部42によって設定された抽出条件に対応する提案情報を、ネットワーク4を介して接続される地図配信サーバ2から取得する情報取得部43と、情報取得部43によって取得した提案情報を格納するメモリ50と、メモリ50に格納された提案情報を利用者に提供する提案処理部44とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定する抽出条件設定手段と、
前記圏外領域に利用者が進入する前に、前記抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、前記ネットワークを介して接続される外部装置から取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得した情報を格納する情報格納手段と、
前記情報格納手段に格納された情報を利用者に提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記情報提供手段は、前記圏外領域において情報の提供を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記圏外領域への進入および前記圏外領域から脱離したことを判定する圏外判定手段をさらに備え、
前記情報提供手段は、前記圏外判定手段によって前記圏外領域に利用者が進入した旨の判定が行われた場合に情報の提供を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記圏外判定手段によって前記圏外領域から脱離した旨の判定が行われたときに、前記情報格納手段に格納された情報を削除する情報削除手段をさらに備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、
利用者の移動予定経路を取得する経路取得手段をさらに備え、
前記抽出条件設定手段および前記情報取得手段のそれぞれの動作は、前記移動予定経路に沿って存在する前記圏外領域について行われることを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において
前記情報取得手段は、前記圏外領域まで所定時間あるいは所定距離まで接近したときに、情報を取得することを特徴とする情報提供装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記抽出条件には、利用者の過去の行動および/または趣向、前記圏外領域に進入する時刻が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記抽出条件設定手段は、利用者の過去の行動および/または趣向を、利用者の過去の行動履歴に基づいて判定することを特徴とする情報提供装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記抽出条件設定手段は、利用者の過去の行動履歴を、ネットワークを介して取得することを特徴とする情報提供装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項において、
前記抽出条件には、利用者が前記圏外領域の進入に利用する車両の車種情報が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記抽出条件に含まれる利用者の状況には、前記車両の同乗者人数と各同乗者が大人と子供のいずれかを示す情報が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、
前記抽出条件に含まれる利用者の状況には、利用者の行動内容が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項において、
前記情報提供手段は、利用者からの情報提供要求があったときに情報を提供することを特徴とする情報提供装置。
【請求項14】
ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を抽出条件設定手段によって設定するステップと、
前記圏外領域に利用者が進入する前に、前記抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、前記ネットワークを介して接続される外部装置から情報取得手段によって取得し、情報格納手段に格納するステップと、
前記情報格納手段に格納された情報を情報提供手段によって利用者に提供するステップと、
を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項15】
コンピュータを、
ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定する抽出条件設定手段と、
前記圏外領域に利用者が進入する前に、前記抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、前記ネットワークを介して接続される外部装置から取得し、情報格納手段に格納する情報取得手段と、
前記情報格納手段に格納された情報を利用者に提供する情報提供手段と、
して機能させるための情報提供装置プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して取得した情報を利用者に提供する情報提供装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、利用者が圏外下にあったとしてもクラウドサービスを継続することを目的にクラウドに格納されている情報の中から、圏外下でも利用者に対して提供する必要がある情報を予め選択しておき、事前に利用者が利用する通信端末にその選択された情報を所定期間保存するようにしたクラウドシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−182292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたクラウドシステムでは、予め利用者自身が情報(フォルダ)を選択して通信端末に保存する必要があるため、車両の運転者がナビゲーション装置に表示された地図画像を見ながら目的地まで走行する場合を考えると、選択対象となる情報の範囲(地理的範囲あるいは情報が属する分野の範囲など)が広くなりすぎて、選択する情報を絞り込むことができず、結局有効な情報を得ることができないという問題があった。また、利用者は、ネットワーク接続の圏外となる範囲を正確に把握していない場合が多いため、予め圏外下で必要となる情報を選択することも難しい。さらに、実際に利用者が情報を選択する操作を行うとなると、行き先(目的地)が変わる毎に情報を取捨選択することになるため、操作がかなり煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、事前に複雑な操作を行うことなく、ネットワークへの接続ができない状況において利用者に有用な情報を提供することができる情報提供装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の情報提供装置は、ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定する抽出条件設定手段と、圏外領域に利用者が進入する前に、抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、ネットワークを介して接続される外部装置から取得する情報取得手段と、情報取得手段によって取得した情報を格納する情報格納手段と、情報格納手段に格納された情報を利用者に提供する情報提供手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の情報提供方法は、ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を抽出条件設定手段によって設定するステップと、圏外領域に利用者が進入する前に、抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、ネットワークを介して接続される外部装置から情報取得手段によって取得し、情報格納手段に格納するステップと、情報格納手段に格納された情報を情報提供手段によって利用者に提供するステップとを有している。
【0008】
また、本発明の情報提供プログラムは、コンピュータを、ネットワークへの接続が不通となる圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定する抽出条件設定手段と、圏外領域に利用者が進入する前に、抽出条件設定手段によって設定された抽出条件に対応する情報を、ネットワークを介して接続される外部装置から取得し、情報格納手段に格納する情報取得手段と、情報格納手段に格納された情報を利用者に提供する情報提供手段として機能させる。
【0009】
圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定し、この抽出条件に対応する情報を、圏外領域に進入する前にネットワークを介して外部装置から取得するため、利用者自身が個別に情報を指定して取得する場合に比べて、事前に煩雑な操作を行う必要がない。また、利用者の状況を反映させることができるため、圏外領域毎に取得する情報の範囲を絞り込むことが可能になり、各利用者に有用な情報を取得して提供することができる。
【0010】
また、上述した情報提供手段は、圏外領域において情報の提供を行うことが望ましい。これにより、ネットワークを介して情報を取得できない圏外領域において利用者に有用な情報を提供することが可能となる。
【0011】
また、上述した圏外領域への進入および圏外領域から脱離したことを判定する圏外判定手段をさらに備え、情報提供手段は、圏外判定手段によって圏外領域に利用者が進入した旨の判定が行われた場合に情報の提供を行うことが望ましい。どの範囲が圏外領域に属するかは利用者が把握していないことも多いため、この判断が不要になることにより、利用者の負担を軽減することが可能となる。
【0012】
また、上述した圏外判定手段によって圏外領域から脱離した旨の判定が行われたときに、情報格納手段に格納された情報を削除する情報削除手段をさらに備えることが望ましい。これにより、不要な情報を速やかに削除することができ、情報格納のために確保する容量の低減が可能となる。
【0013】
また、利用者の移動予定経路を取得する経路取得手段をさらに備え、抽出条件設定手段および情報取得手段のそれぞれの動作は、移動予定経路に沿って存在する圏外領域について行われることが望ましい。また、上述した情報取得手段は、圏外領域まで所定時間あるいは所定距離まで接近したときに、情報を取得することが望ましい。これにより、利用者が進入する可能性が高い圏外領域に限定して情報を取得することができ、情報取得時間の短縮や通信料の低減が可能となる。
【0014】
また、上述した抽出条件には、利用者の過去の行動および/または趣向、圏外領域に進入する時刻が含まれることが望ましい。これにより、利用者個人の趣味嗜好や、情報が必要となる場面を想定した情報の取得を行うことが可能となる。
【0015】
また、上述した抽出条件設定手段は、利用者の過去の行動および/または趣向を、利用者の過去の行動履歴に基づいて判定することが望ましい。また、上述した抽出条件設定手段は、利用者の過去の行動履歴を、ネットワークを介して取得することが望ましい。これにより、利用者自身に関する情報を容易かつ手間をかけることなく取得することができる。
【0016】
また、上述した抽出条件には、利用者が圏外領域の進入に利用する車両の車種情報が含まれることが望ましい。これにより、車両の車種の違いによって個別に必要となる情報を取得することができる。
【0017】
また、上述した抽出条件に含まれる利用者の状況には、車両の同乗者人数と各同乗者が大人と子供のいずれかを示す情報が含まれることが望ましい。これにより、車両の同乗者の人数や構成の違いによって個別に必要となる情報を取得することができる。
【0018】
また、上述した抽出条件に含まれる利用者の状況には、利用者の行動内容が含まれることが望ましい。これにより、利用者の行動内容毎に必要となる情報を取得することができる。
【0019】
また、上述した情報提供手段は、利用者からの情報提供要求があったときに情報を提供することが望ましい。これにより、利用者が必要なときに限って情報を提供することができ、不必要な情報を提供することによって不快感を与えることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態の車載装置を含む情報提供システムの全体構成を示す図である。
【
図3】制御部内の各構成とメモリとの関係を示す機能ブロック図である。
【
図4】走行経路と圏外領域の具体例を示す図である。
【
図5】提案情報を取得して圏外領域において提供する車載装置の動作手順を示す流れ図である。
【
図6】抽出条件とこの抽出条件に対応する提案情報の具体例を示す図である。
【
図7】抽出条件とこの抽出条件に対応する提案情報の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した一実施形態の情報提供システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、一実施形態の車載装置を含む情報提供システムの全体構成を示す図である。本実施形態の情報提供システムは、利用者が運転する車両に搭載された車載装置1と、車載装置1とネットワーク4を介して接続される地図配信サーバ2およびSNSサーバ3とを含んで構成されている。
【0023】
地図配信サーバ2は、車載装置1からの依頼を受けて経路探索処理を行って得られた経路情報や、車両周辺の地図画像などのナビゲーション処理に必要な各種情報や、車載装置1から送信依頼を受けた情報などを車載装置1に配信する。本実施形態では、ネットワーク4への接続が不通となる圏外領域を特定する必要があるが、一例として、この圏外領域を特定する情報も地図配信サーバ2によって配信されるものとする。
【0024】
SNSサーバ3は、特定のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を提供するサーバである。利用者のアカウントを指定することにより、SNSのタイムラインから、利用者の過去の行動履歴を取得することが可能であり、この行動履歴に基づいて利用者の過去の行動と趣向を知ることができる。
【0025】
図2は、車載装置1の詳細構成を示す図である。
図2に示すように、車載装置1は、GPS受信機10、座席センサ12、操作部20、タッチパネル22、入力制御部24、表示処理部26、表示装置28、デジタル−アナログ変換器(D/A)30、スピーカ32、制御部40、メモリ50、USBインタフェース部(USB I/F)60を備えている。
【0026】
GPS受信機10は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、自装置の位置(自車位置)を示す測位データを所定の時間間隔で出力する。
【0027】
座席センサ12は、車両の助手席および後部座席の各着座位置に着座した同乗者の構成(人数および大人/子供の別)を検出するためのものである。例えば、座席センサ12として重量センサを用いる場合や、車室内を撮像するカメラを用いて構成する場合などが考えられる。
【0028】
操作部20は、利用者による各種操作を受け付けるためのものであり、各種のスイッチや操作つまみ等が備わっている。タッチパネル22は、表示装置28の画面に重ねて配置されており、利用者の指が接触した画面上の位置を検出する。入力制御部24は、操作部20およびタッチパネル22の操作状態を監視し、利用者による入力内容を検出する。
【0029】
表示処理部26は、各種の操作画面や入力画面等を表示する映像信号を出力して表示装置28にこれらの画面を表示するとともに、ナビゲーション処理によって得られた地図画像や車両の走行経路、利用者に提供する各種情報などの画面を表示する映像信号を出力して表示装置28にこれらの画面を表示する。表示装置28は、運転席と助手席の中央前方に設置されており、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0030】
デジタル−アナログ変換器30は、制御部40による処理によって生成される音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ32から出力する。
【0031】
制御部40は、車載装置1の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。メモリ50は、制御部40の処理に必要な、あるいは、この処理によって得られた各種の情報を格納する半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である。なお、半導体メモリに限定されるものではなく、ハードディスク装置等の他の記憶装置を用いるようにしてもよい。
【0032】
USBインタフェース部60は、USBケーブルを介して携帯端末装置90などとの間で信号の入出力を行うためのものである。このUSBインタフェース部60には、USBポートやUSBホストコントローラが含まれる。なお、車載装置1と携帯端末装置90の間の接続は、ブルートゥース(登録商標)や無線LANを用いて接続するようにしてもよい。
【0033】
また、上述した制御部40は、ナビゲーション処理部41、抽出条件設定部42、情報取得部43、提案処理部44、圏外判定部45、情報削除部46を有する。
図3は、制御部40内の各構成とメモリ50との関係を示す機能ブロック図である。
【0034】
ナビゲーション処理部41は、自車位置周辺の地図画像の描画処理と、指定された目的地までの走行経路の描画処理などのナビゲーション処理を行う。地図画像の描画処理に必要な地図データは、自車位置を指定して地図配信サーバ2から取得することができる。また、走行経路を示すデータは、目的地を指定して経路探索処理を依頼することにより、地図配信サーバ2から取得することができる。なお、この取得した走行経路に沿って存在する圏外領域を特定する情報は、走行経路を示すデータとともに地図配信サーバ2から取得するものとして説明を行うが、同種の情報を地図配信サーバ2以外の外部装置から取得するようにしてもよい。地図配信サーバ2から取得した地図データ等はメモリ50に「ナビ情報」として格納される。
【0035】
抽出条件設定部42は、圏外領域毎に所定の抽出条件を設定する。この抽出条件には、以下の各項目が含まれている。
・圏外領域に進入する際の利用者の状況(利用者の行動内容、車両の同乗者の構成(人数、大人/子供))
・圏外領域に進入する時刻
・車両の車種情報
・利用者の過去の行動
・利用者の趣向
但し、これらの項目は、必ずしも全てを含む必要はなく、利用者の状況次第では一部の項目が抜けていてもよい。
【0036】
また、これらの各項目の内容は、利用者が何らかの操作を行うことなく、抽出条件設定部42が各圏外領域について自動設定することが望ましい。
【0037】
例えば、利用者の行動内容は、接近する圏外領域が決まれば一義的に(あるいは、利用者に対する問い合わせを行うことにより)決まる。同乗者の構成は、座席センサ12を用いることにより取得することができる。圏外領域に進入する時刻は、圏外領域に接近した時点における時刻をそのまま用いるか、その時点で圏外領域に到達する時刻を予測することにより取得することができる。車両の車種情報は、予めメモリ50に格納しておくことにより、容易に取得することができる。利用者の過去の行動と趣向は、上述したように、利用者のアカウントを指定することにより、SNSサーバ3のタイムラインから利用者の過去の行動履歴を取得し、その内容を解析することにより知ることができる。
【0038】
情報取得部43は、各圏外領域に利用者が進入する前に、抽出条件設定部42によって設定された抽出条件に対応する情報を決定し、ネットワーク4を介して接続されている地図配信サーバ2にこれらの情報の送信を依頼し、地図配信サーバ2から送られてくるこれらの情報を取得する。送信を依頼する情報には、(1)利用者の状況によらず共通で取得するべきデータと、(2)優先して取得するデータとが含まれている。これらのデータの具体例については後述する。情報取得部43によって取得された各種情報はメモリ50に「提案情報」として格納される。
【0039】
提案処理部44は、情報取得部43によって取得してメモリ50に格納された提案情報を利用者に提供する。例えば、この提案情報の提供は、車両が圏外領域に進入したタイミングで行われるが、利用者の指示の有無にかかわらず自動的に提供するようにしてもよい。あるいは、利用者の指示(利用者からの要求)に応じて提供するようにしてもよい。また、提案情報の提供は、提案情報の内容を表示装置28に表示することにより、あるいは、スピーカ32から音声出力することにより行われる。
【0040】
圏外判定部45は、車両が圏外領域へ進入したか否か、車両が圏外領域から脱離したか否かを判定する。
【0041】
情報削除部46は、圏外判定部45によって車両が圏外領域から脱離した旨の判定が行われたとき、あるいは、車両が圏外領域に進入することなくその周辺を通過したときに、メモリ50に格納されたこの圏外領域に対応する提案情報を削除する。
【0042】
上述した抽出条件設定部42が抽出条件設定手段に、情報取得部43が情報取得手段に、メモリ50が情報格納手段に、提案処理部44が情報提供手段に、圏外判定部45が圏外判定手段に、情報削除部46が情報削除手段に、ナビゲーション処理部41が経路取得手段にそれぞれ対応する。
【0043】
本実施形態の車載装置1はこのような構成を有しており、次に、地図配信サーバ2から取得した走行経路に沿って目的地まで走行する際に到来する圏外領域を考慮して各種情報(提案情報)の取得および提供を行う動作について説明する。
【0044】
図4は、走行経路と圏外領域の具体例を示す図である。
図4では、走行経路がRで、自車位置がGで、目的地がPで示されている。また、目的地Pに向かう走行経路Rの途中に携帯端末装置90の基地局がなくネットワーク4への接続が不通になる圏外領域Aが広範囲にわたって存在する。また、目的地Pは地下駐車場であって、この地下駐車場が、携帯端末装置90の基地局がなくネットワーク4への接続が不通になる圏外領域Bとなっている。
【0045】
図5は、提案情報を取得して圏外領域において提供する車載装置1の動作手順を示す流れ図である。
【0046】
まず、ナビゲーション処理部41は、利用者によって経路探索処理の目的地Pが入力されたか否かを判定する(ステップ100)。目的地Pが入力されない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、目的地Pが入力されるとステップ100の判定において肯定判断が行われる。次に、ナビゲーション処理部41は、目的地Pと出発地(例えば、現在の自車位置)を指定して地図配信サーバ2に経路探索処理を依頼し(ステップ102)、経路探索処理によって得られた目的地Pまでの走行経路Rと、この走行経路Rに沿った圏外領域を特定する情報を取得する(ステップ104)。
【0047】
その後、走行経路Rに沿って車両が走行を開始すると、抽出条件設定部42は、走行経路Rに沿った次の圏外領域が接近したか否かを判定する(ステップ106)。
図4に示す例では、次の圏外領域Aの手前の地点aに到達したか否かが判定される。この地点aは、圏外領域Aまで所定距離、あるいは、圏外領域Aまでの走行時間が所定時間となる位置である。これらの所定距離あるいは所定時間は、車両が圏外領域Aに到達するまでに提案情報の取得が終了するような値に設定されている。なお、車両が走行経路Rに沿って走行中は、自車位置周辺の地図画像の表示等がナビゲーション処理部41によって行われるが、本実施形態ではこれらの動作の説明は省略されている。
【0048】
車両が地点aに到達していない場合にはステップ106の判定において否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、車両が地点aに到達するとステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、抽出条件設定部42は、その時点における利用者の状況、時刻(あるいは、圏外領域に進入する時刻)、車両の車種情報、利用者の過去の行動、利用者の趣向を含む抽出条件を設定する(ステップ108)。
【0049】
次に、情報取得部43は、設定された抽出条件に対応する情報(提案情報)を決定し、この提案情報の送信を地図配信サーバ2に依頼し、この依頼に対して地図配信サーバ2から送られてくる提案情報を取得し(ステップ110)、メモリ50に格納する(ステップ112)。
【0050】
次に、提案処理部44は、次の圏外領域Aに進入したか否かを判定する(ステップ114)。進入していない場合には否定判断が行われ、圏外判定部45は、圏外領域Aを進入することなく通過したか否かを判定する(ステップ116)。
図4に示す例では、次の圏外領域Aについては、走行経路Rに沿って車両が走行する場合には、進入することなく通過することはないが、走行経路Rに沿った経由地としてのビルの地下駐車場が次の圏外領域となっている場合などでは、この地下駐車場に立ち寄らずに通過する場合もあるため、ステップ116の判定動作が行われる。
【0051】
次の圏外領域に進入することなく通過した場合にはステップ116の判定において肯定判断が行われる。この場合には、情報削除部46は、この通過した圏外領域に対応する提案情報をメモリ50から削除する(ステップ122)。その後、あるいは、圏外領域を通過せずにステップ116の判定において否定判断が行われた後、抽出条件設定部42は、車両が目的地に到達したか否かを判定する(ステップ124)。目的地に未到達の場合には否定判断が行われ、ステップ106に戻って、次の圏外領域が接近したか否かの判定動作が繰り返される。また、車両が目的地に到達した場合にはステップ124の判定において肯定判断が行われ、提案情報の提供に関する一連の動作が終了する。
【0052】
また、車両が次の圏外領域Aに進入するとステップ114の判定において肯定判断が行われる。次に、提案処理部44は、次の圏外領域Aに対応する提案情報をメモリ50から読み出して利用者に提供する(ステップ118)。次に、圏外判定部45は、進入した圏外領域Aから脱離したか否かを判定する(ステップ120)。車両が圏外領域A内にいる場合には否定判断が行われ、ステップ118に戻って提案情報の提供が継続される。
【0053】
また、車両が圏外領域Aを離脱した場合にはステップ120の判定において肯定判断が行われる。この場合には、ステップ122の動作に移行し、脱離した圏外領域Aに対応する提案情報がメモリ50から削除される。
【0054】
図6および
図7は、抽出条件とこの抽出条件に対応する提案情報の具体例を示す図である。これらの図に示すように、ケース1〜7のそれぞれのような抽出条件が決まると、この抽出条件に対応して取得しようとする、(1)利用者の状況によらず共通で取得するべきデータと、(2)優先して取得するデータの具体的な内容が決定され、これらのデータが地図配信サーバ2から、圏外領域に入る前に取得される。
【0055】
このように、本実施形態の車載装置1では、圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定し、この抽出条件に対応する提案情報を、圏外領域に進入する前にネットワーク4を介して外部装置としての地図検索サーバ2から取得するため、利用者自身が個別に提案情報を指定して取得する場合に比べて、事前に煩雑な操作を行う必要がない。また、利用者の状況を反映させることができるため、圏外領域毎に取得する提案情報の範囲を絞り込むことが可能になり、各利用者に有用な提案情報を取得して提供することができる。
【0056】
また、圏外領域において提案情報の提供を行うことにより、ネットワーク4を介して提案情報を取得できない圏外領域において利用者に有用な提案情報を提供することが可能となる。特に、本実施形態の車載装置1では、圏外領域に利用者(車両)が進入した旨の判定が行われた場合に提案情報の提供を行っている。どの範囲が圏外領域に属するかは利用者が把握していないことも多いため、この判断が不要になることにより、利用者の負担を軽減することが可能となる。
【0057】
また、圏外領域から脱離した旨の判定が行われたときに、メモリ50に格納されている提案情報を削除することにより、不要な提案情報を速やかに削除することができ、提案情報格納のために確保するメモリ50の容量の低減が可能となる。
【0058】
また、本実施形態の車載装置1では、経路探索処理によって得られた走行経路(移動予定経路)に沿って存在する圏外領域について、抽出条件の設定や提案情報の取得が行われている。また、圏外領域まで所定時間あるいは所定距離まで接近したときに、提案情報の取得が行われている。これにより、車両が進入する可能性が高い圏外領域に限定して提案情報を取得することができ、提案情報取得時間の短縮や通信料の低減が可能となる。
【0059】
また、抽出条件には、利用者の過去の行動や利用者の趣向、圏外領域に進入する時刻が含まれているため、利用者個人の趣味嗜好や、提案情報が必要となる場面を想定した提案情報を取得して提供することが可能となる。
【0060】
また、利用者の過去の行動や利用者の趣向を、利用者の過去の行動履歴に基づいて、具体的には、ネットワーク4を介してSNSサーバ3から取得しており、利用者自身に関する情報を容易かつ手間をかけることなく取得することができる。
【0061】
また、抽出条件には、利用者が運転する車両の車種情報が含まれているため、車種の違いによって個別に必要となる提案情報を取得して提供することが可能となる。
【0062】
また、抽出条件に含まれる利用者の状況には、車両の同乗者の構成(同乗者人数と各同乗者が大人と子供のいずれかを示す情報)が含まれているため、これら同乗者の構成の違いによって個別に必要となる提案情報を取得して提供することが可能となる。
【0063】
また、抽出条件に含まれる利用者の状況には、利用者の行動内容が含まれているため、利用者の行動内容毎に必要となる提案情報を取得して提供することが可能となる。
【0064】
また、提案情報の提供を、利用者からの情報提供要求があったときに行う場合には、利用者が必要なときに限って提案情報を提供することができ、不必要な提案情報を提供することによって不快感を与えることを防止することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した本実施形態では、車載装置1において提案情報を取得して提供する場合について説明したが、車両に設置された、あるいは、車室内で携帯している携帯端末装置90を情報提供装置として用い、提案情報の取得及び提供を行うようにしてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、車載装置1に携帯端末装置90を接続してネットワーク4に接続したが、車載装置1に携帯端末装置90の機能を持たせ、車載装置1から直接ネットワーク4への接続を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、地図配信サーバ2に対して提案情報の送信を依頼する場合について説明したが、地図配信サーバ2以外のサーバに対して、あるいは、地図配信サーバ2とともにその他のサーバに対して提案情報の送信を依頼するようにしてもよいし、ネットワーク全体に存在する様々な情報を利用するようにしてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、目的地までの走行経路を地図配信サーバ2から取得するようにしたが、車載装置1自身で経路探索処理を行って走行経路を得るようにしてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、目的地までの走行経路に沿って存在する各圏外領域について抽出条件の設定や提案情報の取得および提供を行う場合について説明したが、予め走行経路が設定されていない場合についても本発明を適用することができる。例えば、自車位置の前方であって所定の範囲内(距離的あるいは時間的)に圏外領域が存在する場合に、この圏外領域に接近した時点で抽出条件を設定し、この抽出条件に対応する提案情報を決定し、この提案情報を取得し、この圏外領域に進入した時点でこの提案情報を提供すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上述したように、圏外領域に進入する際の利用者の状況を含む抽出条件を設定し、この抽出条件に対応する情報を、圏外領域に進入する前にネットワークを介して外部装置から取得するため、利用者自身が個別に情報を指定して取得する場合に比べて、事前に煩雑な操作を行う必要がない。また、利用者の状況を反映させることができるため、圏外領域毎に取得する情報の範囲を絞り込むことが可能になり、各利用者に有用な情報を取得して提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 車載装置
2 地図配信サーバ
3 SNSサーバ
4 ネットワーク
12 座席センサ
40 制御部
41 ナビゲーション処理部
42 抽出条件設定部
43 情報取得部
44 提案処理部
45 圏外判定部
46 情報削除部
50 メモリ
60 USBインタフェース部(USB I/F)