(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-224257(P2017-224257A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】携帯式電子機器、ネットワーク・サーバ、位置名称の提供方法、およびコンピュータ・プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20171124BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20171124BHJP
G01C 21/26 20060101ALN20171124BHJP
G08G 1/005 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
G06F13/00 510G
H04M1/00 R
G01C21/26 P
G08G1/005
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-121305(P2016-121305)
(22)【出願日】2016年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】増谷 修
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠仁
(72)【発明者】
【氏名】森田 大作
【テーマコード(参考)】
2F129
5B084
5H181
5K127
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129BB07
5B084AA01
5B084AA26
5B084AB50
5B084BB01
5B084CE07
5B084CE12
5B084DB08
5B084DC02
5B084DC03
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC12
5H181FF05
5H181MB11
5K127AA36
5K127BA03
5K127HA10
5K127JA05
5K127JA14
5K127JA23
5K127KA02
(57)【要約】
【課題】携帯式電子機器が存在する領域の位置名称とビーコンを関連付ける。
【解決手段】位置測位システム200は、複数のビーコン・デバイス101a〜101g、複数のクライアント10a〜10c、オフィス・サーバ201、およびアソシエーション・サーバ203を含む。クライアントは、所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得する。ビーコンを受信したクライアントは、オフィス・サーバからその位置を推定させる推定位置名称を取得して識別子とともにアソシエーション・サーバに転送する。アソシエーション・マネージャ203aは、ビーコンの識別子と推定位置名称を関連付けてアソシエーション・テーブル203bに登録する。アソシエーション・サーバは、クライアントが受信したビーコンの識別子に対応する位置名称をアソシエーション・テーブルに基づいて特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーコンに対応する位置名称を提供する方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
前記ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を前記携帯式電子機器が取得するステップと、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて、前記識別子と前記位置名称を関連付けてデータ・ベースに登録するステップと、
前記データ・ベースに基づいて、携帯式電子機器が受信したビーコンに対応する前記位置名称を特定するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記推定位置名称を、ユーザの行動予定を登録したスケジューラから取得する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推定位置名称を、入力デバイスの動作状態から取得する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記推定位置名称を、前記携帯式電子機器に対する外部デバイスの接続状態から取得する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記登録するステップが、1つの位置名称に対して複数のビーコンの識別子を登録し、
前記特定するステップが、複数のビーコンを受信したときに、多数決方式で前記位置名称を特定する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記登録するステップが、受信したビーコンに対して位置名称が対応する確率を登録し、
前記特定するステップが、受信したビーコンに対して対応する位置名称の確率が最大の位置名称を選択する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記登録するステップが、所定の位置名称に対応する複数のビーコンの受信強度のクラスを登録し、
前記特定するステップが、受信した複数のビーコンの受信強度から所属する前記クラスの位置名称を特定する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ビーコンと位置名称を関連付ける方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
前記ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定するステップと、
前記識別子と前記推定した位置名称に基づいて前記識別子と前記位置名称を関連付けるステップと
を有する方法。
【請求項9】
ビーコンと位置名称を関連付けるためのデータを生成することが可能な携帯式電子機器であって、
所定の位置名称に属する領域でビーコンを受信するビーコン検出部と、
前記ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を取得する位置名称推定部と、
前記ビーコンの識別子と前記推定位置名称を出力するユーザ情報転送部と
を有する携帯式電子機器。
【請求項10】
前記位置名称推定部は、ユーザのスケジュールを管理するオフィス・サーバから前記推定位置名称を取得する請求項9に記載の携帯式電子機器。
【請求項11】
前記位置名称推定部は、前記携帯式電子機器のシステムから前記推定位置名称を取得する請求項9に記載の携帯式電子機器。
【請求項12】
ビーコンを受信するクライアントと通信が可能なネットワーク・サーバであって、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称と前記ビーコンの識別子を前記クライアントから取得して前記識別子と前記位置名称を関連付ける管理部と、
関連付けた前記識別子と前記位置名称を登録するデータ・ベースと
を有するネットワーク・サーバ。
【請求項13】
前記管理部は、所定の前記位置名称の領域において単一または複数のビーコンを受信する確率を登録する請求項12に記載のネットワーク・サーバ。
【請求項14】
前記管理部は、所定の前記位置名称で受信された複数のビーコンの受信強度のクラスを登録する請求項12に記載のネットワーク・サーバ。
【請求項15】
コンピュータに、
所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得する機能と、
前記ビーコンを受信した前記コンピュータが存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を取得する機能と、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて前記識別子と前記位置名称を関連付ける機能と
を実現させるためのコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーコンを利用した位置測位システムで利用可能なデータ・ベースの構築に関し、さらにはビーコンと対応する位置名称の関連付けに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット端末またはラップトップ型パーソナル・コンピュータなどの携帯式電子機器は、屋外ではGPSを利用して位置を特定することができる。アプリケーション・プログラムは用途に応じてGPSが提供する地球上での経度緯度をユーザにとってわかりやすい位置名称に変換して提供する。ビルの中や地下鉄のホームなどのGPSを利用できない環境では、無線LANやBluetooth(登録商標)などの無線通信を利用して位置を推定することが行われている。
【0003】
特許文献1は、複数の小売店のそれぞれに近い位置に設けたビーコン・デバイスからメッセージを含むビーコンを発信し、特定のビーコンを受信したモバイル・デバイスが、当該ビーコンに関連付けられた小売店のキャンペーン・メッセージを表示する発明を開示する。同文献には、ビーコン・デバイスとして、Bluetooth(登録商標)low energy(BLE)の技術を利用することを記載する。
【0004】
特許文献2は、街中に配置されたアクセス・ポイント装置が放出している電波ビーコンを検知して、SSIDの履歴を蓄積し、所定のタイミングで当該履歴をサーバ装置に送信したときに、サーバ装置が、当該履歴に含まれるSSIDに対応付けられた広告情報を端末装置に送信することで、ユーザの場所やユーザの移動方向に応じた内容の広告を提供する広告提供システムを開示する。
【0005】
非特許文献1は、Gaussian Mixture Modelを用いてモバイル端末の位置をリアルタイムに推定する手法を開示する。同文献には、BSSID、フロア画像名、観測地点の座標および電波強度を利用した無線LANデータ・ベースをGaussian Mixture Modelによって表現することで無線LAN情報のデータ量を削減できることを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0148270号明細書
【特許文献2】特開2009−188922号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】藤田 迪、他2名、“Gaussian Mixture Modelを用いた無線LAN位置推定手法”、情報処理学会 vol.52 No3 Mar.2011 [online]、[平成28年6月12日検索]、インターネット〈URL: https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=73604&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1&page_id=13&block_id=8〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線LANを利用した位置測位システムとして、近接法(proximity)、三角測量法(triangulation)法、および環境分析法(scene analysis)法などが知られている。いずれもビーコンを発信するデバイス(ビーコン・デバイス)や通信しているアクセス・ポイントを既知の基準点として、受信する電波強度や送信範囲から基準点の識別情報に基づいてモバイル・デバイスが存在する領域を推定する。基準点の識別情報は、そのままでは利用しにくいため、当該領域をユーザが認識できる名称(位置名称)に関連付ける。
【0009】
たとえば建物内で区分した領域に付与する位置名称は、オフィス・ビルでは組織名称や会議室番号とし、工場では作業名称や工作室の名称とし、テナント・ビルでは店舗名称とすることができる。しかし、ビーコンに位置名称の情報を組み込むことは、ビーコンのパケット・サイズの制約を伴うだけでなく管理者にとって大きな負担になる。また、ビーコン・デバイスの識別情報と位置名称を関連付けたデータ・ベースを構築することも管理者にとって負担になる。
【0010】
さらに、一旦データ・ベースを構築しても、その後、ビーコン・デバイスの位置変更、ビーコン・デバイスの周辺の位置名称の変更、位置名称に対応する領域の面積の変更、パーティションなどによる電波の伝搬環境の変化などがあるたびにデータ・ベースを更新することは一層の負担になる。また、1つの位置名称に対応する領域で複数のビーコンを受信する場合には正確な位置名称を特定することが困難になる。本発明の目的は、管理者に負担をかけないでビーコンから位置名称を取得できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の態様は、ビーコンに対応する位置名称を提供する方法に関する。携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得し、ビーコンを受信した携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を携帯式電子機器が取得し、識別子と推定位置名称を関連付けてデータ・ベースに登録し、データ・ベースに基づいて携帯式電子機器が受信したビーコンに対応する位置名称を特定する。
【0012】
本発明の他の態様は、ビーコンと位置名称を関連付ける方法に関する。携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得し、ビーコンを受信した携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定し、識別子と推定した位置名称に基づいて、識別子と推定した位置名称を関連付ける。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、ビーコンと位置名称を関連付けるデータを生成することが可能な携帯式電子機器に関する。携帯式電子機器は、所定の位置名称に属する領域でビーコンを受信するビーコン検出部と、ビーコンを受信した携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を取得する位置名称推定部と、ビーコンの識別子と推定位置名称を出力するユーザ情報転送部とを有する。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、ビーコンを受信するクライアントと通信が可能なネットワーク・サーバに関する。ネットサーク・サーバは、ビーコンの識別子とビーコンを受信した携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称をクライアントから取得して識別子と位置名称を関連付ける管理部と、関連付けた位置名称と識別子を登録するデータ・ベースとを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ビーコンと位置名称を管理者が特別な作業をしないで関連付けることができた。さらに本発明によりビーコンと位置名称の関連づけの際に、位置名称やビーコン・デバイスの変更に対して、管理者が特別な作業をしないで適応させることができた。さらに本発明により、検出した複数のビーコンから正しい位置名称を取得することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】複数のビーコン・デバイス101を配置したユーザ空間100をクライアント10が移動するときの様子を説明するための図である。
【
図2】位置測位システム200の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【
図3】クライアント10の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
【
図4】ロケーション・データベース201bのデータ構造の一例を説明するための図である。
【
図5】アソシエーション・テーブル203bのデータ構造の一例を説明するための図である。
【
図6】アソシエーション・テーブル203bのデータ構造の一例を説明するための図である。
【
図7】アソシエーション・テーブル203bのデータ構造の一例を説明するための図である。
【
図8】位置測位システム200がアソシエーション・テーブル203bを構築して位置名称を提供するときの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、複数のビーコン・デバイス101を配置したユーザ空間100をクライアント10が移動するときの様子を説明するための図である。ユーザ空間100は、クライアントが移動することを想定する領域に相当する。クライアント10は、ユーザ空間100の内部または近辺に配置した、複数のビーコン・デバイス101が発信するビーコンのいずれかまたは複数を受信することができる。クライアント10は一例においてビーコンの検出が可能な、スマートフォン、タブレット端末またはラップトップ型パーソナル・コンピュータとすることができる。
【0018】
図には、黒丸でビーコン・デバイス101を示しその周囲を囲う丸い点線でビーコンの送信距離を示している。ビーコンの送信距離が短いほど位置推定の精度は高くなるが、ユーザ空間100の全体をカバーするためのビーコン・デバイス101の数が増加する。したがって、ビーコン・デバイス101の数、位置、および送信出力などは位置名称に対応する領域の面積と要求される測位の精度に応じて適宜選定することができる。
【0019】
ユーザ空間100は屋外でもよいが、本実施の形態ではオフィス・ビルの内部を例示して説明する。ユーザ空間100は、それぞれ位置名称が付与された複数の領域に区分されている。図には説明のために特定の位置名称#1〜#3を記載している。クライアント10は、位置名称#1に属する領域でビーコン・デバイス101a、101gが発信するビーコンを受信し、位置名称#2に属する領域でビーコン・デバイス101b〜101eが発信するビーコンを受信し、位置名称#3に属する領域でビーコン・デバイス101fが発信するビーコンを受信する。
【0020】
位置名称は、ユーザ空間100の一定の領域に対して付与したユーザが容易に認識できる名称をいう。各位置名称に属する領域は、隣接する領域とパーティションで仕切られている場合もあるが開放されている場合もある。オフィス・ビル内の位置名称は、一例において自席、会議室、組織名、食堂、およびホールのような名称とすることができる。ビーコンはビーコン・デバイスの識別子を含み、電波、音声、または光などの無線媒体を通じて定期的に伝送される情報をいう。ビーコンのフォーマットやサイズは特に限定する必要はなく、また、識別子以外の情報を含んでもよい。ビーコン・デバイス101は、その位置を知らせるための専用のデバイスでもよいし、携帯式電子機器と通信するデバイスでもよい。
【0021】
クライアント10は、ユーザ空間100のさまざまな位置でビーコンを受信したときに、位置名称を推定させる情報を生成する。データ・ベースにはクライアント10が生成した位置名称を推定させる情報に基づいて識別子に関連付けた位置名称を登録する。クライアント10は、所定の位置でビーコンを受信したときに、データ・ベースから当該ビーコンに対応する位置名称を取得することができる。クライアント10が取得した位置名称は、クライアント10が実際に存在した場所の情報としてさまざまなサービスで利用できる。
【0022】
図2は、ユーザ空間100に適用する位置測位システム200の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
図3は、クライアント10a〜10cを代表するクライアント10の構成の一例を説明するための機能ブロック図である。
図2には、位置測位システム200として、ビーコン・デバイス101a〜101g、クライアント10a〜10c、ネットワーク205、オフィス・サーバ201およびアソシエーション・サーバ203を例示している。ビーコン・デバイス101a〜101gは、一定の周期でビーコンを発信する。ビーコン・デバイス101a〜101gの送信出力は同じでも異なっていてもよい。
【0023】
図3で、クライアント10は、ビーコン検出部11、システム12、位置名称推定部13、ユーザ情報転送部15、位置名称提供部17、およびネットワーク・インターフェース19を含んでいる。位置名称推定部13、ユーザ情報転送部15、および位置名称提供部17は、システム12を構成するハードウェアの一部とソフトウェアで構成することができる。
【0024】
ビーコン検出部11は、電波、音声、光などのビーコンを受信するたびに当該ビーコンの識別子をユーザ情報転送部15に送る。位置名称推定部13は、ユーザ情報転送部15から要求されたときに、ネットワーク・インターフェース19を通じてオフィス・サーバ301に問い合わせ、その時刻にクライアント10を保持するユーザが存在すると推定できる領域の位置名称(推定位置名称)を取得する。位置名称推定部13はまた、システム12の動作状態または動作環境からその時点でクライアント1が存在すると推定できる領域の推定位置名称を取得する。
【0025】
たとえば位置名称推定部13は、システム12の動作状態として、キーボードからの入力数が所定値を超えたとき、外部ディスプレイや外部マウスが接続されたときに、推定位置名称を自席とすることができる。あるいは位置名称推定部13は、システム12の動作環境として、クライアント10がAC/DCアダプタに接続されているとき、または有線LANに接続されているときに推定位置名称を自席とすることができる。
【0026】
位置名称推定部13はまた、位置推定のためのビーコンに無線LANを利用しないときに、クライアント10がESSIDを検出した無線LANの特定のアクセス・ポイントの近辺の領域に付与した位置名称を推定位置名称とすることができる。位置名称推定部13は、ユーザ空間100がGPSを利用できる場合にGPSの位置情報に関連付けておいた推定位置名称を取得してもよい。
【0027】
ユーザ情報転送部15は、ビーコンを受信するたびに、または所定数のビーコンを受信したときに位置名称推定部13から推定位置名称を取得してビーコンの識別子と推定位置名称で構成した位置情報の組を生成する。ユーザ情報転送部15は、位置情報の組を、ネットワーク・インターフェース19を通じてアソシエーション・サーバ203に出力する。ユーザ情報転送部15は、アソシエーション・サーバ203の利用段階において、受信したビーコンの識別子を位置名称提供部17に出力することができる。位置名称提供部17は、ビーコンを受信するたびに当該ビーコンの識別子に対応する位置名称をアソシエーション・サーバ303から取得し記憶することができる。
【0028】
一例において位置名称提供部17は、他のシステムから要求されたときに、ネットワーク・インターフェース19を通じてクライアント10が所定の時刻に存在していた位置名称を提供する。他の例において位置名称提供部17は、ユーザ空間100におけるクライアント10の移動履歴を位置名称として提供する。位置名称の具体的な利用方法は本発明において特に限定する必要はなく、さまざまな用途に提供できる。たとえば、オフィス・サーバ201にユーザが現在存在する位置名称を送って、他のユーザに閲覧させることができる。あるいは、警備員が実際に巡回した経路を位置名称として記録することができる。
【0029】
図2に戻ってオフィス・サーバ201は、スケジューラ201aとロケーション・データベース201bを含む。スケジューラ201aは、クライアント10a〜10cから受け取ったユーザの行動予定をロケーション・データベース201bに書き込む。
図4はロケーション・データベース201に登録した行動予定の一例を示している。ユーザの行動予定は、所定の時間帯にユーザが存在することを推定させる位置名称に相当する。オフィス・サーバ201は、クライアント10a〜10cから要求されたときに、その時刻に相当するユーザの行動予定の位置名称をロケーション・データベース201bから取得してクライアント10a〜10cに送る。
【0030】
アソシエーション・サーバ203は、アソシエーション・マネージャ203aとアソシエーション・テーブル203bを含む。アソシエーション・マネージャ203aはハードウェアとソフトウェアで構成され、複数のクライアント10a〜10cから位置情報の組を受け取ってアソシエーション・テーブル203bを構築する。ユーザが予定外の行動をとると、位置情報の組が含む推定位置名称は、ユーザが実際に存在していた領域の位置名称とは異なってくる。
【0031】
しかし、アソシエーション・マネージャ203aは多数の位置情報の組を取得することで正しい位置名称を含む位置情報の組を抽出することができる。アソシエーション・マネージャ203aは、複数のクライアント10a〜10cから取得した複数の位置情報の組の中で一致するものが所定数に達したときは、当該位置情報の組の識別子と推定位置名称の関連付けが正しいと判断することができる。アソシエーション・マネージャ203aは、正しいと判断した位置情報の組をアソシエーション・テーブル203bに登録する。アソシエーション・マネージャ203aが、アソシエーション・テーブル203bに登録した時点で推定位置名称は確定した位置名称として扱われる。
【0032】
ユーザ空間100は、ビーコン・デバイス101の位置、数、特定の位置名称に帰属する領域の面積、パーティションの位置、および位置名称そのものなどがダイナミックに変化することを想定することができる。アソシエーション・マネージャ203aは、位置情報の組を登録したあとも各クライアント10a〜10cから定期的に受け取った位置情報の組が正しいと判断したときに、必要に応じてアソシエーション・テーブル203bを更新することでこのような変化にダイナミックに適応する。
【0033】
図5にアソシエーション・テーブル203bに登録したビーコンの識別子(B1〜B4)と位置名称(会議室#1、#2)の一例を示す。アソシエーション・テーブル203bを構築する過程において、会議室#1の中のさまざまな位置に存在する複数のクライアント10a〜10cまたは会議室#1の中を移動している単一のクライアントがビーコンB1〜B3の中から単数または任意の複数のビーコンを検出するとアソシエーション・テーブル203bに位置情報の組が登録される。会議室#1では、ビーコンB4を検出することもあるが、アソシエーション・マネージャ203aは、位置情報の組の数が十分でない場合は、会議室#1とビーコンB4を関連付けて登録しない。
【0034】
会議室#2に存在するクライアント10は、つねにビーコンB4だけを検出するためアソシエーション・テーブル203bには、会議室#2とビーコンB4が関連付けられている。アソシエーション・テーブル203bが構築されたあとに、クライアント10が、ビーコンB1〜B3のなかから単数または任意の複数のビーコンを受信したときは、アソシエーション・マネージャ203aは、クライアント10の位置名称を会議室#1として返答することができる。
【0035】
クライアント10が、ビーコンB4を検出したときは、アソシエーション・マネージャ203aは、位置名称を会議室#2として返答することができる。クライアント10が、ビーコンB2、B3、B4を同時に検出したときは、会議室#1、#2のいずれも正しい位置名称の可能性があるが、アソシエーション・マネージャ203aは多数決方式で位置名称を会議室#1として返答することができる。
【0036】
図6にアソシエーション・テーブル203bの他の例を示す。1つのビーコンが複数の位置名称の領域で検出されるときに、
図5では多数決方式で位置名称を特定する例を説明したが、ここでは、多数決方式に代えてまたは多数決方式と併用して位置名称を特定する方法を説明する。
図6に示すように会議室#1、#2では、クライアント10の位置によってそれぞれビーコンB5、B6の両方またはいずれかが検出される。
【0037】
式(1)は、ビーコンB5、B6からなるビーコンの集合Bを検出したときに、そのときの位置名称が会議室rである確率をP(r|B)で示している。式(1)において、|B|は、集合Bの濃度または個数、biは、i番目に検出したビーコン、rは位置名称(会議室#1、#2)、P(r|bi)は、ビーコンbiを検出したときに位置名称rであった確率を示している。
【0039】
アソシエーション・マネージャ203aは、クライアント10a〜10cからそれぞれ受け取った位置情報の組から、式(1)を使って位置名称の確率を計算してアソシエーション・テーブル203bに登録する。
図6では、クライアント10a〜10cがビーコンB5だけを受信したときに会議室#1、#2であった確率がそれぞれ60%、30%で、ビーコンB6だけを受信したときに会議室#1、#2であった確率がそれぞれ40%、100%であることを示している。
【0040】
また、所定の時間内にビーコンB5、B6を受信したときは、会議室#1、#2である確率がそれぞれ50%、65%であることを示している。確率の差は、ビーコンの送信距離と会議室#1、#2におけるクライアント10a〜10cの位置に依存する。アソシエーション・テーブル203bが構築されたあとに、クライアント10が、ビーコンB5、B6の両方またはいずれか一方を受信したクライアント10から位置名称の問い合わせがあると、アソシエーション・マネージャ203aは、式(2)で特定した位置名称を返答することができる。
r=arg・maxP(r|B) (2)
【0041】
アソシエーション・マネージャ203aは、ビーコンB5だけを受信したクライアント10に対して確率が60%(>30%)の会議室#1を特定し、ビーコンB6だけを受信したクライアント10に対して確率が100%(>40%)の会議室#2を特定し、ビーコンB5、B6を受信したクライアント10に対して確率が65%(>50%)の会議室#2を特定することができる。
【0042】
図7にアソシエーション・テーブル203bのさらに他の例を示す。1つのビーコンが複数の位置名称の領域で検出されるときに、
図6では所定の位置名称である確率から特定する例を説明したが、さらに確率方式に代えてまたは確率方式と併用して採用できる多クラス教師付き学習による特定方法を説明する。ここでは、正規分布でモデル化する例を示すが、kNN(k-Nearest Neighbor)、SVM(Support Vector Machine)、NN(Neural Net)などの他の多クラス教師付学習の手法を採用してもよい。
【0043】
クライアント10は、会議室#1、#2でそれぞれビーコンB7〜B10の電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を検出し、識別子と推定位置名称からなる位置情報の組にRSSIを含めてアソシエーション・サーバ203に送る。アソシエーション・マネージャ203aは、クライアント10から受け取った位置情報の組をアソシエーション・テーブル203bに登録して位置名称ごとにクラスを構築する。
【0044】
図3には、会議室#1のクラスに属する3つのデータ群を示している。式(3)は、ビーコンB7〜B10のRSSIの集合Sを検出したときに、Gaussian Mixture Model(GMM)でモデル化した会議室rである確率P(r|S)示している。N(s
i|μ
r,Σ
r)はビーコンB7〜B10のRSSIに対応する二次元正規分布の確率密度関数で、μ
rは平均を示し、Σ
rは分散共分散行列を示している。また、π
rは混合係数で各ビーコンの正規分布の重みを示し、rは位置名称(会議室#1、#2)を示している。
P(r|S)=π
rN(s
i|μ
r,Σr) (3)
【0045】
2次元のGMMの形状は、個々の正規分布の平均、分散共分散行列、および混合係数により決まる。アソシエーション・マネージャ203aは、クラスを構成するデータ群からGMMの形状を推定する。アソシエーション・テーブル203bを構築したあとに、アソシエーション・マネージャ203aがビーコンB7〜B10のRSSIを検出したクライアント10から位置情報の組を受け取ると、式(3)に基づいて確率を計算して特定したクラスの位置名称を返答する。
【0046】
図8は、位置測位システム200がアソシエーション・テーブル203bを構築して位置名称を提供するときの動作手順を示すフローチャートである。ブロック301で、アソシエーション・テーブル203bは未登録か、位置情報の組が登録されている。ブロック303で、クライアント10a〜10cがユーザ空間100を移動すると、ビーコン・デバイス101a〜101gのいずれかまたは複数が発信したビーコンの識別子を取得する。
【0047】
ブロック305で、クライアント10a〜10cは、ビーコンを取得したタイミングで、オフィス・サーバ201またはシステム12から推定位置名称を取得してアソシエーション・サーバ203に位置情報の組を出力する。ブロック307でアソシエーション・マネージャ203aは、同一の位置情報の組の数が所定数を超えたときに、ブロック309で、アソシエーション・テーブル203bに新たな位置情報の組を登録し、またはすでに登録されていた位置情報の組を更新する。ブロック311で、アソシエーション・マネージャ203aは、クライアント10または他のクライアントから所定のビーコンの識別子と必要に応じてRSSIを受け取ると、アソシエーション・テーブル203bを参照して、
図5〜7で説明した方法で対応する位置名称を取得して返答する。
【0048】
上記手順によれば、ビーコンに位置名称を示す情報を含む必要がないため管理者は位置名称の書き込みの負担がなくなる。また、クライアント10がユーザ空間100を移動するだけでビーコン・デバイス101と位置名称が関連付けられアソシエーション・テーブル203bが構築されるため、管理者が手作業でアソシエーション・テーブル203bを構築する必要がない。さらに、ビーコン・デバイス101の位置の変更、新たな設置または撤去があっても、その後、クライアント10がアソシエーション・サーバ203に位置情報の組を送ることで、アソシエーション・テーブル203bは自動的に当該ユーザ空間100に適応するように更新される。
【0049】
さらに位置名称に対応する領域の面積の変更があっても、クライアント10が生成した位置情報の組でアソシエーション・テーブル203bは自動的に更新される。変更された位置名称は、ユーザがスケジューラ201aに登録したり、クライアント10に設定したりすることで、アソシエーション・テーブル203bに自動的に反映されるため、管理者が手作業でメインテナンスをする必要がない。位置名称で画定される領域は、隣接する領域との間のパーティションが変更される場合がある。パーティションは、電波の伝搬距離に影響を与えるが、本実施の形態によれば、パーティションによるビーコンの変化に応じて自動的にアソシエーション・テーブル203bが更新される。
【0050】
また、1つの位置名称に対応する領域で複数のビーコンを検出する場合でも、多数決方式、確率方式、および電波強度の確率密度などから位置名称を推定することができる。複数のクライアント10が送る位置情報の組でアソシエーション・テーブル203bを構築する例を示したが、特定のクライアント10の中にアソシエーション・マネージャ203aとアソシエーション・テーブル203bを設けて、当該クライアントだけでアソシエーション・テーブル203bを構築するようにしてもよい。たとえば、クライアント10aを保持する管理者がスケジューラ201aに従ってユーザ空間100を移動してクライアント10aの中にアソシエーション・テーブルを構築し、その後アソシエーション・サーバ203にそのデータを送ることができる。
【0051】
ビーコンの識別子に関連付けた位置名称は、さまざまな位置推定手法において利用できる。たとえば、ビーコンの強さから最も近いビーコン・デバイスの位置を推定する近接法(proximity)、複数の基準点からのビーコンの強さで位置を推定する三角測量法(triangulation)法、および複数のシーンを学習しておき、学習していないシーンについては付近のシーンを観測した地点からビーコンの距離特性を利用して推定し補完する環境分析法(scene analysis)法または位置フィンガープリンティング(Location Fingerprinting)法などに適用することができる。
【0052】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0053】
10 クライアント
100 ユーザ空間
101、101a〜101g ビーコン・デバイス
200 位置測位システム
201 オフィス・サーバ
201b ロケーション・データベース
203 アソシエーション・サーバ
20a アソシエーション・マネージャ
203b アソシエーション・テーブル
【手続補正書】
【提出日】2017年8月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーコンに対応する位置名称を提供する方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を前記携帯式電子機器が入力デバイスの動作状態から取得するステップと、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて、前記識別子と前記位置名称を関連付けてデータ・ベースに登録するステップと、
前記データ・ベースに基づいて、前記携帯式電子機器が受信したビーコンに対応する前記位置名称を特定するステップと
を有する方法。
【請求項2】
ビーコンに対応する位置名称を提供する方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を前記携帯式電子機器が取得するステップと、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて、1つの前記位置名称に対して複数のビーコンの前記識別子を関連付けてデータ・ベースに登録するステップと、
複数のビーコンを受信したときに、前記データ・ベースに基づいて、前記携帯式電子機器が受信したビーコンに対応する前記位置名称を多数決方式で特定するステップと
を有する方法。
【請求項3】
ビーコンに対応する位置名称を提供する方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を前記携帯式電子機器が取得するステップと、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて、前記識別子に対して前記位置名称が対応する確率をデータ・ベースに登録するステップと、
前記データ・ベースに基づいて、携帯式電子機器が受信したビーコンに対応する前記確率が最大の前記位置名称を特定するステップと
を有する方法。
【請求項4】
ビーコンに対応する位置名称を提供する方法であって、
携帯式電子機器が所定の位置名称に属する領域で受信したビーコンの識別子を取得するステップと、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を前記携帯式電子機器が取得するステップと、
前記識別子と前記推定位置名称に基づいて、前記所定の位置名称に対する複数のビーコンの受信強度のクラスをデータ・ベースに登録するステップと、
前記データ・ベースに基づいて、前記携帯式電子機器が受信した複数のビーコンの前記受信強度から所属する前記クラスの前記位置名称を特定するステップと
を有する方法。
【請求項5】
ビーコンと位置名称を関連付けるためのデータを生成することが可能な携帯式電子機器であって、
所定の位置名称に属する領域でビーコンを受信するビーコン検出部と、
ビーコンを受信した前記携帯式電子機器が存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称を入力デバイスの動作状態から取得する位置名称推定部と、
前記識別子と前記推定位置名称を出力するユーザ情報転送部と
を有する携帯式電子機器。
【請求項6】
前記位置名称推定部は、ユーザのスケジュールを管理するオフィス・サーバからその時刻に前記携帯式電子機器を保持するユーザが存在すると推定できる前記推定位置名称を取得する請求項5に記載の携帯式電子機器。
【請求項7】
前記位置名称推定部は、システムに対する入出力デバイスの接続状態から前記推定位置名称を自席と判断する請求項5に記載の携帯式電子機器。
【請求項8】
前記位置名称推定部は、前記携帯式電子機器に接続するデバイスから前記推定位置名称を自席と判断する請求項5に記載の携帯式電子機器。
【請求項9】
ビーコンを受信するクライアントと通信が可能なネットワーク・サーバであって、
ビーコンを受信した前記クライアントが存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称とビーコンの識別子を前記クライアントから取得して1つの前記位置名称に対して複数のビーコンの前記識別子を関連付ける管理部と、
関連付けた前記識別子と前記位置名称を登録するデータ・ベースとを有し、
前記管理部は前記クライアントが複数のビーコンを受信したときに前記データ・ベースを参照して多数決方式で決定した前記位置名称を前記クライアントに返答するネットワーク・サーバ。
【請求項10】
ビーコンを受信するクライアントと通信が可能なネットワーク・サーバであって、
ビーコンを受信した前記クライアントが存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称とビーコンの識別子を前記クライアントから取得して所定の前記位置名称の領域において単一または複数のビーコンを受信する確率を計算する管理部と、
前記識別子に対して前記位置名称が対応する前記確率を登録するデータ・ベースとを有し、
前記管理部は前記クライアントがビーコンを受信したときに前記データ・ベースを参照して前記確率が最大の前記位置名称を前記クライアントに返答するネットワーク・サーバ。
【請求項11】
ビーコンを受信するクライアントと通信が可能なネットワーク・サーバであって、
ビーコンを受信した前記クライアントが存在する領域の位置名称を推定させる推定位置名称とビーコンの識別子とビーコンの受信強度を前記クライアントから取得して所定の前記位置名称ごとの前記受信強度のクラスを構築する管理部と、
前記所定の位置名称に対する複数のビーコンの前記受信強度のクラスを登録するデータ・ベースとを有し、
前記管理部は、前記データ・ベースを参照して前記クライアントが受信した複数のビーコンの前記受信強度から所属する前記クラスの前記位置名称を特定して前記クライアントに返答するネットワーク・サーバ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
ビーコン検出部11は、電波、音声、光などのビーコンを受信するたびに当該ビーコンの識別子をユーザ情報転送部15に送る。位置名称推定部13は、ユーザ情報転送部15から要求されたときに、ネットワーク・インターフェース19を通じてオフィス・サーバ
201に問い合わせ、その時刻にクライアント10を保持するユーザが存在すると推定できる領域の位置名称(推定位置名称)を取得する。位置名称推定部13はまた、システム12の動作状態または動作環境からその時点でクライアント1が存在すると推定できる領域の推定位置名称を取得する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図7には、会議室#1のクラスに属する3つのデータ群を示している。式(3)は、ビーコンB7〜B10のRSSIの集合Sを検出したときに、Gaussian Mixture Model(GMM)でモデル化した会議室rである確率P(r|S)示している。N(si|μr,Σr)はビーコンB7〜B10のRSSIに対応する二次元正規分布の確率密度関数で、μrは平均を示し、Σrは分散共分散行列を示している。また、πrは混合係数で各ビーコンの正規分布の重みを示し、rは位置名称(会議室#1、#2)を示している。
P(r|S)=πrN(si|μr,Σr) (3)