特開2017-224442(P2017-224442A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-224442(P2017-224442A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】巻取用リール
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20171124BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20171124BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20171124BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20171124BHJP
   H01G 13/02 20060101ALN20171124BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   H01M4/66 A
   H01G13/00 381
   H01M4/139
   H01G13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-118007(P2016-118007)
(22)【出願日】2016年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤井 崇史
(72)【発明者】
【氏名】木下 恭一
【テーマコード(参考)】
5E082
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082AB09
5H017AA02
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H017EE01
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA14
5H050BA16
5H050BA17
5H050GA02
5H050GA09
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA30
(57)【要約】
【課題】電極材料の反りを抑制することができる巻取用リールを提供すること。
【解決手段】巻取用リール10は、円筒状の軸芯部11と、軸芯部11の外周面に存在する巻き取り部15と、を備える。巻き取り部15は、軸芯部11の径方向に延び、かつ折り返された状態で軸芯部11の周方向に延びる経糸状の第1のワイヤW1と、軸芯部11の周方向に延び、第1のワイヤW1と織物Tを構成する緯糸状の第2のワイヤW2と、を含む。巻き取り部15は、第1のワイヤW1の第2の折り返し部16bを巻き取り部15の外周面に備える。第2の折り返し部16bは湾曲した形状である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状金属箔の表面に活物質合剤の塗工部が形成された電極材料を巻き取るとともに、前記活物質合剤の塗工部の加熱乾燥に使用される巻取用リールであって、
円筒状の軸芯部と、
前記軸芯部の外周面に存在する巻き取り部と、を備え、
前記巻き取り部は、前記軸芯部の径方向に延び、かつ折り返された状態で前記軸芯部の周方向に延びる経糸状の第1のワイヤと、
前記軸芯部の周方向に延び、前記第1のワイヤと織物を構成する緯糸状の第2のワイヤと、を含み、
前記第1のワイヤの折り返し部を前記巻き取り部の外周面に備え、該折り返し部は湾曲した形状である巻取用リール。
【請求項2】
前記巻き取り部は、前記軸芯部の軸方向に隣り合う前記折り返し部同士が前記軸芯部の周方向にずれた部位を有する請求項1に記載の巻取用リール。
【請求項3】
前記巻き取り部は、前記軸芯部の軸方向に複数の織物を備える請求項1又は請求項2に記載の巻取用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状金属箔の表面に活物質合剤の塗工部が形成された電極材料を巻き取るとともに、活物質合剤の塗工部の加熱乾燥に使用される巻取用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の一種である二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池は、ケースを備えるとともに、このケース内に電極組立体を備える。電極組立体は、金属箔に活物質層を備える正極の電極及び負極の電極を積層、或いは捲回した構造である。
【0003】
各極の電極の製造は、まず、活物質、導電剤、溶媒及びバインダを混合したペースト状の活物質合剤を各極の帯状金属箔の表面に塗布して活物質合剤の塗工部を形成し、電極材料を形成する。そして、塗工部を乾燥及び加圧した後、電極材料を電極の外形に沿う形状に切断する。すると、塗工部から活物質層が形成されるとともに、帯状金属箔からタブ等が形成されて電極が製造される。
【0004】
電極において、活物質層に溶媒や水分が残っていると電池性能が低下するため、塗工部を十分に乾燥させることが好ましい。このため、電極の各製造工程のうち、塗工部を乾燥及び加圧した後、さらに、真空又は減圧乾燥による乾燥工程を行い、活物質合剤の塗工部に残った僅かな溶媒や水分の除去が図られている。
【0005】
乾燥工程では、電極材料が、該電極材料を巻き取った巻取用リールごと乾燥炉内に収容され、巻取用リールごと加熱されて乾燥が行われる。乾燥炉内に収容される巻取用リールとしては、例えば、特許文献1に開示の巻取用リールが挙げられる。特許文献1の巻取用リールは、電極材料が巻回される芯部と、芯部に巻回された電極材料を乾燥炉内の載置部に対して非接触状態に保持可能に芯部を支持する支持部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−232597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、活物質合剤には溶媒として高沸点の溶媒、例えば、NMP(Nメチルピロリドン)が使用されている。このため、溶媒を除去するために、乾燥炉内は100℃以上(例えば、120℃)に昇温される。このとき、活物質合剤を構成する金属酸化物や炭素材料は、巻取用リールを形成する金属に比べて線膨張率が小さい。このため、100℃以上に昇温して加熱乾燥を行うと、活物質合剤の塗工部と巻取用リールとの膨張率の差により、巻取用リールの周長が、巻き取られた電極材料の周長より長くなってしまう。すると、巻き取られた状態の電極材料に張力が加わって電極材料に反りが発生する場合がある。
【0008】
本発明の目的は、電極材料の反りを抑制することができる巻取用リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための巻取用リールは、帯状金属箔の表面に活物質合剤の塗工部が形成された電極材料を巻き取るとともに、前記活物質合剤の塗工部の加熱乾燥に使用される巻取用リールであって、円筒状の軸芯部と、前記軸芯部の外周面に存在する巻き取り部と、を備え、前記巻き取り部は、前記軸芯部の径方向に延び、かつ折り返された状態で前記軸芯部の周方向に延びる経糸状の第1のワイヤと、前記軸芯部の周方向に延び、前記第1のワイヤと織物を構成する緯糸状の第2のワイヤと、を含み、前記第1のワイヤの折り返し部を前記巻き取り部の外周面に備え、該折り返し部は湾曲した形状であることを要旨とする。
【0010】
これによれば、巻き取り部の外周面に存在する折り返し部を軸芯部の周方向に繋いだ円を仮想円とすると、巻き取り部に電極材料が巻き取られる際、電極材料は仮想円の周りに巻き取られる。そして、電極材料を巻き取った巻取用リールが、電極材料とともに加熱された場合、軸芯部が周方向へ膨張し、拡径しても、その軸芯部の外周面に固定された巻き取り部において、第1のワイヤが軸芯部の拡径に追従して周方向へ広がるように変形し、折り返し部の高さは変わりにくい。軸芯部の拡径が、第1のワイヤの変形によって相殺され、巻き取り部の仮想円の周長が加熱前より長くなることが抑えられる。このため、巻き取り部の仮想円の周長が、巻き取られた状態の電極材料の周長より長くなることが抑制される。その結果、巻き取られた状態の電極材料に対し、巻き取り部から張力が加わることが抑制され、電極材料に反りが生じることを抑制できる。
【0011】
また、巻取用リールについて、前記巻き取り部は、前記軸芯部の軸方向に隣り合う前記折り返し部同士が前記軸芯部の周方向にずれた部位を有していてもよい。
これによれば、第1のワイヤの複数の折り返し部において、軸芯部の軸方向に折り返し部が全て同列で並んでいる場合と比べると、巻き取られた電極材料の内周面を支持する箇所の数が増え、電極材料の巻取り形状が崩れにくくなる。
【0012】
また、巻取用リールについて、前記巻き取り部は、前記軸芯部の軸方向に複数の織物を備えていてもよい。
これによれば、複数の織物同士で、第1のワイヤの折り返し部が軸芯部の周方向にずれた状態とすることで、折り返し部によって支持する箇所を簡単に増やすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電極材料の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】巻取用リールを示す分解斜視図。
図2】巻取用リールの径方向に沿った断面図。
図3】巻取用リールを示す部分断面図。
図4】別例の巻取用リールを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、巻取用リールを具体化した一実施形態を図1図3を参照して説明する。
この実施形態の巻取用リールを用いて製造される電極を使用した蓄電装置としての二次電池は、図示しないが、外観が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。この二次電池は、ケース内に電極組立体を備える。電極組立体は、複数の正極の電極と、複数の負極の電極を備える。電極は金属箔の両面に活物質層を備える。電極組立体は、正極の電極と負極の電極とが、両者の間を、多孔質かつ樹脂製のセパレータで絶縁した状態で交互に積層されて構成されている。
【0016】
次に電極の製造方法について説明する。
電極の製造方法は、混練工程と、活物質合剤の塗工部の形成工程と、加圧工程と、乾燥工程と、打ち抜き工程とを含む。
【0017】
混練工程は、活物質、バインダ、溶媒及び必要に応じて導電助剤、増粘剤を混練して活物質合剤を製造する工程である。電極が正極の場合は、活物質として正極用活物質を使用し、電極が負極の場合は、活物質として負極用活物質を使用する。
【0018】
活物質合剤の塗工部の形成工程は、帯状金属箔の表面に活物質合剤を塗布する工程である。塗工部の形成工程では、帯状金属箔が供給用リールから繰り出され、塗工装置により活物質合剤が帯状金属箔の両面(表面)に塗布される。その後、活物質合剤の塗工部が乾燥され、塗工部が形成される。
【0019】
加圧工程は、乾燥された両方の塗工部をロールプレスによって圧縮する工程である。加圧工程は、塗工部の形成工程の直後に行われ、加圧工程を経た電極材料は巻取用リールに巻き取られる。
【0020】
乾燥工程は、塗工部の形成工程の乾燥時には乾燥しきれず、塗工部内に残る僅かな溶媒(水又は非水溶媒)を蒸発させる工程である。乾燥工程では、電極材料を巻き取った巻取用リールを乾燥炉内に配置する。乾燥炉内の減圧高温環境下に、電極材料を巻き取った巻取用リールを数時間〜十数時間保管する。
【0021】
打ち抜き工程は、電極材料から個々の電極を打ち抜く工程である。この実施形態では積層型電極組立体用のタブを備えた電極を打ち抜く。
次に、電極材料を巻き取るとともに、乾燥工程で乾燥炉内に配置される巻取用リールについて説明する。
【0022】
図1又は図2に示すように、巻取用リール10は、円筒状の軸芯部11を備える。軸芯部11の中心軸線Lの延びる方向を軸方向とする。軸芯部11は、円筒状の内周部形成体12と、この内周部形成体12の外周面に固定された円筒状の芯形成体13と、を備える。内周部形成体12はアルミニウム製である。芯形成体13はセラミック製であり、芯形成体13によって、軸芯部11の剛性が高められている。軸芯部11において、内周部形成体12には、図示しない巻取機構のシャフトが嵌挿可能である。
【0023】
巻取用リール10は、軸芯部11における芯形成体13の外周面に固定された円筒状のベース部14を備える。ベース部14はアルミニウム製である。セラミック製の芯形成体13と比べて、アルミニウム製のベース部14の方が線膨張率が大きく、芯形成体13よりベース部14の方が熱膨張しやすい。巻取用リール10の軸芯部11は、ベース部14の外周面に固定された巻き取り部15を備える。
【0024】
巻き取り部15は、金属ワイヤの織物製である。巻き取り部15は、金属ワイヤを織機で織って製造されている。
巻き取り部15は、軸芯部11の軸方向一端から見て円環状である。巻き取り部15は、シート状に織製された織物Tを円環状に成形して形成されている。また、巻き取り部15は、複数の織物Tを軸芯部11の軸方向に並設して形成されている。
【0025】
各織物Tは、経糸を構成する第1のワイヤW1と、緯糸を構成する第2のワイヤW2とを備える。第1のワイヤW1は、軸芯部11の径方向に沿って軸芯部11の外周面から外に向けて延びた後、折り返されて軸芯部11の径方向に沿って軸芯部11の外周面に向けて延びる。第1のワイヤW1は、軸芯部11の外周面で折り返され、再び、軸芯部11の径方向に沿って軸芯部11の外周面から外に向けて延びる。
【0026】
第1のワイヤW1は、軸芯部11の周方向に沿って折り返しを繰り返した形状である。第1のワイヤW1は、軸芯部11の外周面付近で折り返された第1の折り返し部16aを備える。また、第1のワイヤW1は、織物Tの外周面に位置し、かつ織物Tの外周面付近で折り返された第2の折り返し部16bを備える。第1の折り返し部16a及び第2の折り返し部16bは、それぞれループを形成し、円弧状に湾曲した形状である。
【0027】
第2の折り返し部16bは、ガーゼ織りのように弛ませた状態であり、緩やかに湾曲している。第2の折り返し部16bを備える第1のワイヤW1は、第2のワイヤW2に対し締め付けられておらず、ルーズな状態にある。
【0028】
第2のワイヤW2は、軸芯部11の周方向に延びる。また、第2のワイヤW2は、軸芯部11の径方向に複数本存在する。第2のワイヤW2は、第1のワイヤW1の折り返し形状を保持し、第1のワイヤW1が倒れることを抑制する。
【0029】
織物T製の巻き取り部15は、軸芯部11の外周面全体を覆う状態に存在する。巻き取り部15の内周部には、第1のワイヤW1の第1の折り返し部16aが存在する。第2の折り返し部16bは緩やかに湾曲した形状であり、第1の折り返し部16aは軸芯部11の外周面に固定されている。本実施形態では、第1の折り返し部16aは軸芯部11の外周面に対し、ろう付けされている。
【0030】
巻き取り部15の外周面には、第1のワイヤW1の第2の折り返し部16bが露出した状態にある。軸芯部11を軸方向一端から見て、各第2の折り返し部16bは、軸芯部11の周方向に沿う円弧状であり、緩やかに湾曲した形状である。また、軸芯部11の外周面からの第2の折り返し部16bの突出寸法は全て同じであり、第2の折り返し部16bを周方向に繋いだ仮想線によって形成される仮想円Cの周りに電極材料30が巻き取られる。複数の織物Tは、織物T同士の間で第2の折り返し部16b同士が周方向にずれた部位を有する。
【0031】
図1に示すように、巻取用リール10は、軸芯部11の軸方向両端に一体の円環状の側板21を備える。側板21は、巻き取り部15の仮想円Cより軸芯部11の径方向外側に突出する状態でネジ22によって軸芯部11の内周部形成体12に固定されている。側板21の内径は、軸芯部11の内径と同じである。側板21の外径は、軸芯部11に最大量の電極材料30が巻回された状態において、その電極材料30の巻回体の外径より大きく設定されている。
【0032】
次に、巻取用リール10の作用効果を記載する。
乾燥工程では、電極材料30を巻き取った巻取用リール10ごと乾燥炉内に配置し、巻取用リール10ごと電極材料30の加熱、乾燥が行われる。なお、図3に示すように、電極材料30は、帯状金属箔31の両面に活物質合剤の塗工部32が長手方向全体に亘って形成されたものである。乾燥炉内は100℃以上(例えば、120℃)に昇温され、電極材料30及び巻取用リール10が数時間〜十数時間保管される。その結果、塗工部32の形成工程の乾燥時には乾燥しきれず、塗工部32内に残る僅かな溶媒(水又は非水溶媒)が蒸発する。
【0033】
(1)巻取用リール10が加熱されると、ベース部14が膨張して拡径するが、そのベース部14の外周面に固定された巻き取り部15は、図3の2点鎖線に示すように、各第1のワイヤW1がベース部14の拡径に追従して周方向へ広がるように変形する。すると、巻き取り部15の各第1のワイヤW1の第2の折り返し部16bの高さは変わらず、巻き取り部15の仮想円Cの周長が加熱前より長くなることが抑えられる。その結果、ベース部14の拡径が、第1のワイヤW1の変形によって相殺され、巻き取り部15の仮想円Cの周長が加熱前より長くなることが抑えられる。このため、巻き取り部15と、電極材料30とで周長の差が生じにくく、巻き取られた状態の電極材料30に対し、巻き取り部15から張力が加わることが抑制され、電極材料30に反りが生じることを抑制できる。
【0034】
(2)第1のワイヤW1の第2の折り返し部16bは、緩やかに湾曲した形状に折り返されている。このため、巻き取り部15に電極材料30がテンションを掛けた状態で巻き取られても、各第1のワイヤW1の第2の折り返し部16bによって電極材料30が損傷を受けることが抑制できる。
【0035】
(3)巻き取り部15は、第1のワイヤW1と第2のワイヤW2の織物T製である。第1のワイヤW1は、第2のワイヤW2によって、軸芯部11の軸方向へ倒れないように形状が保持されている。このため、巻き取り部15の形状を維持して、電極材料30を安定して巻き取ることができる。
【0036】
(4)軸芯部11は、内周部形成体12の外周面に接合された芯形成体13を備える。芯形成体13は、セラミック製である。セラミックは、アルミニウム製のベース部14及び巻き取り部15よりも線膨張率が低い。このため、乾燥工程では、芯形成体13は膨張しにくく、芯形成体13の膨張を原因として、ベース部14や巻き取り部15が拡径されることを抑制できる。また、セラミックは剛性を有するため、内周部形成体12によって軸芯部11の強度を確保でき、巻き取った電極材料30の重みで軸芯部11が撓むことを抑制できる。
【0037】
(5)軸芯部11を軸方向の一端から見て、軸方向に隣り合う織物T同士では、第2の折り返し部16bが周方向にずれた位置に配置されている。このため、例えば、軸芯部11の軸方向全体に亘って全ての第2の折り返し部16bが同列で並んでいる場合と比べると、電極材料30を支持する箇所が増え、電極材料30の巻取り形状が崩れにくくなる。
【0038】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図4に示すように、軸芯部11を軸方向一端から見て第2の折り返し部16bが周方向にずれず、同列に配置されていてもよい。
【0039】
○ 巻き取り部15において、第1のワイヤW1の折り返し数、すなわち折り返し部の数は適宜変更してもよい。この場合、折り返し部の数が多い方が、電極材料30を支持する箇所が増えて好ましい。
【0040】
○ シート状の織物を織製し、その織物を円筒状に成形すると、織物の内周部は第1のワイヤW1及び第2のワイヤW2が密集し、所要の剛性を有する状態となる。この剛性を有することとなった、織物の内周部を軸芯部としてもよい。
【0041】
○ 軸芯部11は、芯形成体13を備えず、内周部形成体12だけの構成であってもよく、この場合、内周部形成体12の外周面にベース部14が固定される。
○ 側板21は無くてもよい。
【0042】
○ 軸芯部11の芯形成体13は、インバー合金製であってもよい。インバー合金は、アルミニウム製のベース部14及び巻き取り部15よりも線膨張率が低い。このため、乾燥工程では、芯形成体13は膨張しにくく、芯形成体13の膨張を原因として、ベース部14や巻き取り部15が拡径されることを抑制できる。インバー合金は剛性を有するため、内周部形成体12によって軸芯部11の強度を確保でき、巻き取った電極材料30の重みで軸芯部11が撓むことを抑制できる。
【0043】
○ 巻取用リール10で巻き取った電極材料30から製造される電極は、ニッケル水素電池用でもよい。
○ 帯状金属箔31に対する活物質合剤の塗工方法は間欠塗工であり、帯状金属箔31の長手方向に沿って塗工部32が間隔を空けて形成されていてもよい。
【0044】
○ 電極は、金属箔の片面に活物質層を備える形状でもよい。この場合、電極材料30は、帯状金属箔31の片面に塗工部32を備える構成となる。又は、電極は、金属箔の両面で異なる性質の活物質層を備える形状でもよい。
【0045】
○ 蓄電装置としてのキャパシタに適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記巻き取り部において、前記折り返し部は、前記軸芯部を軸方向一端から見て円弧状である巻取用リール。
【0046】
(2)前記第1のワイヤは、前記軸芯部の外周面に接合された折り返し部を備える巻取用リール。
【符号の説明】
【0047】
T…織物、W1…第1のワイヤ、W2…第2のワイヤ、10…巻取用リール、11…軸芯部、15…巻き取り部、16b…折り返し部としての第2の折り返し部、30…電極材料、31…帯状金属箔、32…塗工部。
図1
図2
図3
図4