特開2017-224734(P2017-224734A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダルトンの特許一覧

<>
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000003
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000004
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000005
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000006
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000007
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000008
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000009
  • 特開2017224734-洗浄方法及び洗浄装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-224734(P2017-224734A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171124BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   H01L21/304 642F
   H01L21/304 642A
   H01L21/304 642D
   H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-119268(P2016-119268)
(22)【出願日】2016年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】512284033
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正広
(72)【発明者】
【氏名】中澤 研一
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD18
5F043EE02
5F043EE05
5F043EE07
5F157AA42
5F157AA46
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB90
5F157AB91
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB04
5F157BB13
5F157BB23
5F157BB32
5F157BB37
5F157BB44
5F157BH17
5F157CB15
5F157CF66
5F157DB51
(57)【要約】
【課題】より良好に被洗浄部材からの被洗浄物の所望の除去をもたらすことが可能な洗浄方法及び洗浄装置を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄方法及び洗浄装置は、複数の被洗浄部材と処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持された状態で、なお且つ、複数の被洗浄部材と処理液噴射口との相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、処理液噴射口から処理液を噴射することにより、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去し、該除去された被洗浄物を、複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と処理液噴射口から噴射された処理液とともに排出することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する被洗浄部材が所定間隔を置いて並置された複数の被洗浄部材を、鉛直方向直立姿勢にて処理液中に沈めた状態で配置する被洗浄部材配置ステップと、
前記複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射する処理液噴射手段の処理液噴射口を、処理液中に沈めて前記複数の被洗浄部材の上方に配置する処理液噴射口配置ステップと、
前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持されながら、前記複数の被洗浄部材に向けて前記処理液噴射口から処理液を噴射しつつ、前記複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と前記処理液噴射口から噴射された処理液との排出を行うことで、前記複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップは、処理液中での前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動ステップを有し、前記洗浄ステップにおける前記複数の被洗浄部材に向けての処理液の噴射は、前記相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行なわれる、洗浄方法。
【請求項2】
当該洗浄方法は、前記洗浄ステップの前に浸漬ステップを有し、
前記浸漬ステップは、隣接する被洗浄部材が所定間隔を置いて並置されて鉛直方向直立姿勢にて処理液中に沈められた状態で配置されている前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射する超音波照射ステップと、処理液中での前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動ステップとを有し、
前記浸漬ステップにおける前記複数の被洗浄部材に向けての超音波の照射は、前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行なわれる、請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
複数の被洗浄部材を処理液中に沈めた状態で配置する処理槽と、
前記複数の被洗浄部材の各被洗浄部材を、鉛直方向直立姿勢にて所定間隔を置いて並置して収容する収容手段であって、前記処理槽に対して可動に配設される収容手段と、
前記処理槽の上部に配置され、前記複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射する処理液噴射口を有する処理液噴射手段であって、前記処理槽に対して可動に配設される処理液噴射手段と、
前記処理槽の下部に配置され、該処理槽内の処理液を排出する処理液排出手段と、
を有する洗浄装置であって、
前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動手段と、
前記処理液噴射手段と前記処理液排出手段と前記往復動手段とを制御する制御手段とを更に有し、
前記制御手段は、前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持された状態で、なお且つ、前記相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、前記処理液噴射口から処理液を噴射することにより、前記複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去し、前記複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と前記処理液噴射口から噴射させた処理液とともに排出するように、前記処理液噴射手段と前記往復動手段と前記処理液排出手段とを制御する、洗浄装置。
【請求項4】
当該洗浄装置は、前記収容手段により収容され、処理液中に沈められている前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射する超音波照射手段を有し、
前記制御手段は、前記処理液噴射手段による処理液の噴射の前に、前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射するように、前記往復動手段と前記超音波照射手段とを制御する、請求項3に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等の被洗浄部材の洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体基板上に金属薄膜パターンを作製する方法の一つにリフトオフ法がある。該リフトオフ法では、半導体基板上にレジストパターンを形成した後、さらに金属薄膜を形成し、その後、半導体基板上に形成されたレジストパターンと、そのレジストパターン上に形成された金属薄膜とを除去する洗浄処理を行うことによって金属薄膜パターンを作製する。
【0003】
このようなリフトオフ法における洗浄処理において、複数の半導体基板を同時に洗浄処理することができ、なお且つ、該洗浄処理の際に除去した金属薄膜が半導体基板に再付着したりするという事態を回避することを可能とするべく、複数の被洗浄部材を処理液に沈めるための処理槽と、処理槽の上部に配置され、処理槽内に配置された複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射させるための噴射手段と、処理槽の下部に配置され、処理槽内の処理液を排出するための排出手段とを有し、複数の被洗浄部材を処理槽内の処理液に沈めた状態を保持しながら、噴射手段から処理液を噴射するとともに、排出手段から処理液を排出するように制御する洗浄装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−239141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される洗浄方法によれば、噴射手段からの処理液の噴射と排出手段からの処理液の排出とを、複数の被洗浄部材を処理液に沈めた状態を保持しながら行うので、噴射された処理液によって被洗浄部材から除去された被洗浄物(不要物)を、被洗浄部材を沈めていた処理液と噴射された処理液とともに排出させることができ、被洗浄物が浮遊した状態で被洗浄部材に再付着するのを防ぐことを可能にするとともに、枚葉毎行う洗浄方法とは異なり、複数の被洗浄部材をまとめて処理できるので、処理能力を高めることを可能とする。
【0006】
ところで、求められる製品の多様化が進む現状において、半導体基板やレジスト並びに金属薄膜などを構成する材料や、半導体基板上に形成される金属薄膜パターンも多岐にわたる傾向にあり、構成材料や金属薄膜パターンが異なるものになっても、より良好な被洗浄物の除去をもたらすことを可能とする洗浄方法及び洗浄装置の更なる要望がある。
【0007】
構成材料や金属薄膜パターンが異なるものとなると、半導体基板に対して、レジスト部及び該レジスト部上の金属薄膜の除去をもたらすレジスト部及び金属薄膜の剥離が、断片的な細片状に進行する場合や、連続的なシート状に進行する場合など、異なる態様にて進行することとなり、その剥離態様に応じて剥離に必要とされる力も異なるものとなる。
【0008】
被洗浄部材となる複数の半導体基板を処理液に沈めた状態で、該複数の半導体基板に向けて処理液を噴射して、各半導体基板上のレジスト部及び該レジスト部上の金属薄膜の除去を行う装置において、構成材料や金属薄膜パターンが異なるものになっても、所望の除去をもたらすことを可能とするためには、各半導体基板上のレジスト部及び該レジスト部上の金属薄膜に対して、より確実に所定の高圧の力を均等に作用させることの実現が一課題となる。
【0009】
このような課題を解決するための一手段として、隣接する半導体基板間の各スペースに、より確実に所定の高圧の力を均等にもたらすべく、処理液を噴射するノズルの処理液噴射口を、隣接する半導体基板間の各スペースのそれぞれに対して配置することが考えられる。
【0010】
しかしながら、このような対応を行う場合、隣接する半導体基板間のスペースの大きさによっては、該スペースの大きさに応じた特注的なノズルの設計や製造の必要性が生じることになり、コスト性や量産性が課題となる。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の半導体基板などの被洗浄部材を処理液に沈めた状態で、複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射して、被洗浄部材を構成する材料や該被洗浄部材上に形成される被洗浄物の形態にかかわらず、より確実に被洗浄物の所望の除去をもたらすことが可能で且つコスト性にも優れた、洗浄方法及び洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明によれば、隣接する被洗浄部材が所定間隔を置いて並置された複数の被洗浄部材を、鉛直方向直立姿勢にて処理液中に沈めた状態で配置する被洗浄部材配置ステップと、
前記複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射する処理液噴射手段の処理液噴射口を、処理液中に沈めて前記複数の被洗浄部材の上方に配置する処理液噴射口配置ステップと、
前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持されながら、前記複数の被洗浄部材に向けて前記処理液噴射口から処理液を噴射しつつ、前記複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と前記処理液噴射口から噴射された処理液との排出を行うことで、前記複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップは、処理液中での前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動ステップを有し、前記洗浄ステップにおける前記複数の被洗浄部材に向けての処理液の噴射は、前記相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行なわれる、洗浄方法が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去して洗浄する際、複数の被洗浄部材と処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持されながら、複数の被洗浄部材に向けて処理液噴射口から処理液を噴射しつつ、複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と処理液噴射口から噴射された処理液とを排出するようにすることで、これらの処理液とともに、除去された被洗浄物を排出するようにすることができ、よって、液中を浮遊する除去された被洗浄物が被洗浄部材への再付着してしまうというような事態を抑制することができ、より良好な被洗浄部材の洗浄を可能とする。
【0014】
さらに、請求項1の発明では、洗浄ステップにおける複数の被洗浄部材に向けての処理液の噴射を、処理液中での複数の被洗浄部材と処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行うようにすることで、処理液噴射手段となるノズルの特注的な設計や製造の必要性もなく、より均等で強力(高圧)な処理液の液中噴流を、複数の被洗浄部材に向けてもたらすことができ、被洗浄部材を構成する材料や該被洗浄部材上に形成される被洗浄物の形態にかかわらず、より良好に被洗浄物の所望の除去をもたらすことを可能とし、また、コスト性にも優れた洗浄方法の提供を可能とする。
【0015】
請求項2の発明によれば、当該洗浄方法は、前記洗浄ステップの前に浸漬ステップを有し、
前記浸漬ステップは、隣接する被洗浄部材が所定間隔を置いて並置されて鉛直方向直立姿勢にて処理液中に沈められた状態で配置されている前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射する超音波照射ステップと、処理液中での前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動ステップとを有し、
前記浸漬ステップにおける前記複数の被洗浄部材に向けての超音波の照射は、前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行なわれる、請求項1に記載の洗浄方法が提供される。
【0016】
すなわち、請求項2の発明では、処理液噴射の前に、複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で超音波を照射することにより、被洗浄部材に対する洗浄能力を向上させることができ、また、本発明をリフトオフ法に適用した場合には、より良好なレジスト部の膨潤及び被洗浄物の除去をもたらすことを可能とする。
【0017】
請求項3の発明によれば、複数の被洗浄部材を処理液中に沈めた状態で配置する処理槽と、
前記複数の被洗浄部材の各被洗浄部材を、鉛直方向直立姿勢にて所定間隔を置いて並置して収容する収容手段であって、前記処理槽に対して可動に配設される収容手段と、
前記処理槽の上部に配置され、前記複数の被洗浄部材に向けて処理液を噴射する処理液噴射口を有する処理液噴射手段であって、前記処理槽に対して可動に配設される処理液噴射手段と、
前記処理槽の下部に配置され、該処理槽内の処理液を排出する処理液排出手段と、
を有する洗浄装置であって、
前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動手段と、
前記処理液噴射手段と前記処理液排出手段と前記往復動手段とを制御する制御手段とを更に有し、
前記制御手段は、前記複数の被洗浄部材と前記処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持された状態で、なお且つ、前記相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、前記処理液噴射口から処理液を噴射することにより、前記複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去し、前記複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と前記処理液噴射口から噴射させた処理液とともに排出するように、前記処理液噴射手段と前記往復動手段と前記処理液排出手段とを制御する、洗浄装置が提供される。
【0018】
請求項4の発明によれば、当該洗浄装置は、前記収容手段により収容され、処理液中に沈められている前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射する超音波照射手段を有し、
前記制御手段は、前記処理液噴射手段による処理液の噴射の前に、前記複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、前記複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射するように、前記往復動手段と前記超音波照射手段とを制御する、請求項3に記載の洗浄装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
各請求項に記載の発明によれば、被洗浄部材から被洗浄物を除去する洗浄方法あるいは洗浄装置において、除去された被洗浄物が被洗浄部材へ再付着してしまうというような事態を抑制することができ、なお且つ、処理液噴射手段となるノズルの特注的な設計や製造の必要性もなく、より均等で強力(高圧)な処理液の液中噴流を、複数の被洗浄部材に向けてもたらすことができ、被洗浄部材を構成する材料や該被洗浄部材上に形成される被洗浄物の形態にかかわらず、より良好に被洗浄物の所望の除去をもたらすことを可能にする、という共通の効果を奏する。特に、被洗浄部材上に形成されているレジスト部を剥離して除去し、所望の金属パターンのみを残すリフトオフ法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る洗浄装置の一実施形態を示す模式的な構成図である。
図2】処理槽内の構成を示す模式的な説明図である。
図3】収容手段に収容された被洗浄部材に、処理液噴射手段となるノズルから処理液を噴射する正面形態を示す説明図である。
図4】収容手段に収容された被洗浄部材に、ノズルから処理液を噴射する側面形態を示す説明図である。
図5】処理槽を上側から見た平面図である。
図6】洗浄方法の各ステップの説明図である。
図7】リフトオフ法の説明図である。
図8】往復動手段による収容手段の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る洗浄方法及び洗浄装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に示す具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る洗浄方法及び洗浄装置に適用されうる被洗浄部材は、特に限定されず、種々のものを洗浄対象にすることができる。例えば図7で説明するように、リフトオフ法に適用されうる処理基板であってもよい。この処理基板は、半導体基板51上に設けられたレジスト部52と、そのレジスト部52上に設けられた金属薄膜53とを有している。また、それ以外の洗浄対象であってもよく、例えば、プリント基板等に代表される各種の回路基板であってもよいし、ガラス基板やシリコン基板上にTFT回路が設けられた回路基板であってもよいし、その他の基板であってもよい。いずれにしても、被洗浄物、図7では、レジスト部52とその上に設けられた金属薄膜53とで構成される被洗浄物54である不要物が浮遊した状態で被洗浄部材に再付着するのを防ぐとともに、複数の被洗浄部材をまとめて同時に処理して処理能力を高めたい被洗浄部材であればよい。
【0023】
以下、図1図2及び図6などに示される本発明の一実施形態となる洗浄装置10における構成を説明しつつ洗浄方法を構成する各ステップを説明する。
【0024】
本発明に係る洗浄方法は概して、複数の被洗浄部材を処理液中に沈めた状態で配置する被洗浄部材配置ステップと、処理液噴射手段の処理液噴射口を複数の被洗浄部材の上方に配置する処理液噴射口配置ステップと、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去する洗浄ステップとを有して構成され、本実施形態においてはさらに、洗浄ステップの前に処理液に対する被洗浄部材の十分な浸漬をもたらし洗浄能力の向上を図る浸漬ステップを含んで構成される。
【0025】
(被洗浄部材配置ステップ)
本実施形態における洗浄方法においては、先ず、収容カセット15に収容された被洗浄部材1が処理槽11内の所定の位置にセットされ、その後に、図6(a)に示すように、処理液2が被洗浄部材1を覆うように満たされる被洗浄部材配置ステップが実行される。
【0026】
図1図2及び図6に示される本発明の一実施形態となる洗浄装置10は、複数の被洗浄部材1を処理液中に沈めた状態で配置する処理槽11と、複数の被洗浄部材1の各被洗浄部材を、鉛直方向直立姿勢にて所定間隔を置いて並置し収容し、効率的なバッチ処理を実現する収容手段であって、処理槽11に対して可動に配設される収容手段とを有し、該被洗浄部材配置ステップにおいては、複数の被洗浄部材が、収容手段の一構成要素となる収容カセット15に収容され、処理槽11内にて処理液中に沈められた状態で配置される。すなわち、被洗浄部材配置ステップにおいては、処理液中に、複数の被洗浄部材が、鉛直方向直立姿勢にて所定間隔を置いて並置された状態で配置される。
【0027】
収容カセット15としては、例えば図2及び図3に示すようなカセットを用いることが好ましい。収容カセット15の大きさ、形状、材質は、特に限定されず、収容する被洗浄部材1の数と大きさ、処理液の種類等を考慮して選択される。一般的な汎用品であってもよいし、専用に設計された特注品であってもよい。例えば、ステンレス等の金属成形品や、ポリカーボネート等の樹脂成形品等を挙げることができる。このように、複数の被洗浄部材1が収容カセット15に収容されるので、収容カセット15毎に搬送することができ、その結果、洗浄工程の効率化を実現でき、処理能力を高めることができる。
【0028】
リフトオフ法に適用されうる処理基板のうち、金属薄膜53とレジスト部52とを含む被洗浄物54をできるだけ大きい状態で剥がそうとする場合、好ましい収容カセット15としては、図1に示す処理液通過口29に対応した開口部が収容カセット15の下部に設けられていることが好ましい。開口部は、全体が開口していてもよいし、パンチングメタルのような穴あき形状であってもよい。こうした開口部が収容カセット15の下部に設けられていることにより、大きい状態で剥がれた被洗浄物54を破壊せずに回収手段である回収網41で捕集することができる。なお、収容カセット15の側壁には、穴やスリットが無いものであってもよいし、有るものであってもよい。
【0029】
本実施形態において処理槽11は、被洗浄部材1に向けて処理液2を噴射させる前に、複数の被洗浄部材1を処理液2に十分に浸漬させる処理槽11として用いられうるものとして構成される。但し、これに限られることはなく、処理槽11とは別の処理槽にて、複数の被洗浄部材1を処理液2に十分に浸漬させてもよい。
【0030】
処理槽11の上方は開放されており、その開放された部位から被洗浄部材1を収容した収容カセット15が処理槽内に投入される。投入された収容カセット15は、図3に示すように、処理槽内に設けられたカセット受部材14の上に載置される。カセット受部材14は、通常、処理槽11と同様のステンレス鋼等で形成され、その面は、通常、パンチングメタルのような穴が設けられているが、それに限定されない。
【0031】
処理槽11の形状や材質は特に限定されないが、通常は、ステンレス鋼等の耐薬品性材料が選択されることが好ましい。例えばリフトオフ法での半導体基板51のパターニングを行う場合には、その処理に用いる処理液の種類を考慮して選択することが好ましい。
【0032】
なお、符号14aは、収容カセット15を所定の位置にガイドするカセットガイドであり、符号16は、収容カセット15を保持するカセット保持部材である。
【0033】
(浸漬ステップ)
本実施形態における洗浄方法においては、被洗浄部材配置ステップに続き、浸漬ステップが実行される。
【0034】
洗浄装置10は、処理槽11に対する複数の被洗浄部材1の所定位置への配置と、複数の被洗浄部材1の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の周期的な往復動とをもたらしうるように構成された被洗浄部材用の往復動手段17を有して構成される。本実施形態においては、図8に示されるごとく、収容手段の一構成要素となるカセット保持部材16であって収容カセット15を保持するカセット保持部材16を往復動させて、複数の被洗浄部材1の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の周期的な往復動がもたらされうるように構成されるが、これに限られることはなく、カセット保持部材16は不動とされ、収容カセット15が往復動される構成とされてもよい。
【0035】
また、洗浄装置10には、処理槽11の下部に、超音波照射手段となる超音波洗浄装置35が配設されている。超音波洗浄装置35は、被洗浄部材1の洗浄処理の態様により、任意に作動させることができる。特に、後述の処理液脱気装置91と併用する場合には効果が大きい。また、リフトオフ法に適用する場合には、超音波洗浄装置35は、レジスト部52の膨潤を促進させる手段として作動されてもよい。なお、超音波洗浄装置35は、強力な洗浄補助手段であり、半導体基板51上のレジスト部52と金属薄膜53との剥離にも好ましく適用でき、金属薄膜53を細かく破壊する。そのため、金属薄膜53をできるだけ大きい状態で剥がそうとする場合には、超音波洗浄装置35を作動させないことができる。
【0036】
浸漬ステップにおいては、処理液2を噴射させる前に、複数の被洗浄部材1を処理液2に十分に浸漬させる。さらに本実施形態における洗浄方法の浸漬ステップにおいては、制御手段により、複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、複数の被洗浄部材に向けて超音波を照射しうるように、往復動手段17と超音波照射手段35とを制御する。
【0037】
このような浸漬ステップによれば、処理液中に沈められた被洗浄部材1に対して超音波を照射することで、洗浄効果の向上を図ることを可能とする。また、リフトオフ法に適用する場合には、超音波照射によりレジスト部の膨潤を促進させることを可能にするとともに、複数の被洗浄部材に向けての超音波の照射を、該複数の被洗浄部材の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行うようにすることで、超音波照射により液中に発生する定在波の影響による膨潤効果の偏り(ムラ)を抑制し、被洗浄部材にダメージを与えることなく、レジスト部全体にわたり、より良好で均等な膨潤効果をもたらすことを可能にする。その結果、半導体基板51上に設けられたレジスト部52とそのレジスト部52上に設けられた金属薄膜53とからなる被洗浄物54を容易に剥離することを可能とし、半導体基板51のパターンニングを、半導体基板51に浮遊物を再付着させることなく高い処理効率で行うことを可能とする。
【0038】
(処理液噴射口配置ステップ)
本実施形態における洗浄方法においては、浸漬ステップに続き、上方から処理液噴射手段21が降下して、被洗浄部材1の上方近くにセットされる処理液噴射口配置ステップが実行される。
【0039】
洗浄装置10は、複数の被洗浄部材1に向けて処理液を噴射する処理液噴射手段21を有して構成され、該処理液噴射手段21は、処理槽11の上部12に配置され、複数の被洗浄部材1に向けて処理液を噴射する処理液噴射口を有し、処理槽11に対して可動に配設される。
【0040】
処理液噴射手段21としては、図1等に示すように、複数の被洗浄部材1に向けて均等に配置された複数のシャワーノズルであることが好ましい。シャワーノズルとしては、ストレートノズル、フラットコーンノズル、フルコーンノズル等を用いることができる。これらのシャワーノズルから、好ましい形状のシャワーノズルを選択して用いることができる。図7に示すリフトオフ法で利用する処理基板のうち、金属薄膜53とレジスト部52とからなる被洗浄物54をできるだけ大きい状態で剥がそうとする場合には、フルコーンノズルを用いることが好ましい。
【0041】
処理液噴射手段21は、図1図4に示すように、被洗浄部材1の上方に、複数配置される。例えば被洗浄部材1が収容カセット15に収容された半導体基板1である場合、半導体基板1の径方向(基板面方向ということもできる。)に複数(図示の例では4つ)配置され、収容カセット15の長手方向(半導体基板1が並んだ方向ということもできる。)にも複数(図示の例では8つ)配置されている。シャワーノズルの数とその配置は、洗浄しようとする被洗浄部材1の大きさや収容カセット15内の被洗浄部材1の配置等によって任意に設定されることが好ましい。
【0042】
処理液噴射手段(シャワーノズル)21は、図示の例では、ノズル配管22に等間隔で8つ並んで取り付けられている。そして、シャワーノズル21が取り付けられたノズル配管22が、半導体基板1の径方向に4列等間隔に配置されている。4列のノズル配管22は、保持部材23で一体に保持され、処理液噴射手段用の往復動手段27に取り付けられている。
【0043】
また、処理液噴射手段用の往復動手段27は、被洗浄部材1に対する処理液噴射口の所定位置への配置と、処理液噴射手段21の処理液噴射口の水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の周期的な往復動とをもたらしうるように構成される。
【0044】
処理液噴射手段21の噴射量は、シャワー配管22毎に任意に制御することができる。こうした制御は、各シャワー配管のバルブの開閉により調整できる。その結果、図示例では、4列のなかで任意のシャワー配管を多くしたり少なくしたりすることができる。例えば、図3に示すように、4列のシャワー配管のうち、両側の2列のシャワー配管の流量を多くしてシャワーノズル21a,21dの噴射量を大きくしたり、流量を少なくしてシャワーノズル21a,21dの噴射量を小さくしたりすることができる。処理液噴射の制御は、自動制御であっても手動制御であってもよい。処理液噴射の時間は、任意に設定され、例えば、1,2秒であってもよいし、5,6秒であってもよいし、10秒以上であってもよい。
【0045】
(洗浄ステップ)
本実施形態における洗浄方法においては、処理液噴射口配置ステップに続き、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去する洗浄ステップが実行される。
【0046】
洗浄装置10は、処理液噴射手段21と被洗浄部材用の往復動手段17と処理液噴射手段用の往復動手段27とともに、さらに、処理槽11の下部に配置され、該処理槽内の処理液を排出する処理液排出手段31と、これらの各手段を制御する制御手段とを有して構成される。
【0047】
処理液排出手段31は、図1等に示すように、処理槽11の下方に設けられた排出口を挙げることができる。通常、処理槽11の下方の側壁が斜めに傾いており、その最下点に排出口31が設けられる。なお、被洗浄部材1を収容する収容カセット15は、下に処理液通過口29が開口しており、シャワーノズル21から噴射された処理液2は、被洗浄部材1を洗浄した後にその処理液通過口29から下方に流れる。処理液通過口29を通過した処理液2は、処理槽11の排出口31から排出される。
【0048】
排出口31の大きさや形状は、噴射量等や排出速さによって任意に設定される。排出された処理液2は、図1に示すように、循環槽81に流れ込む。循環槽81に流れ込んだ処理液2に含まれる被洗浄物54は、必要に応じて回収網41で捕集される。洗浄処理を終了した後の処理液2は、循環ポンプ82、フィルター83,84,85、熱交換器86を経て循環させることができ、処理液2に含まれる細かい被洗浄物54をフィルターで除去して、次の洗浄処理に利用することができる。
【0049】
制御手段は、複数の被洗浄部材1と処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持された状態で、なお且つ、複数の被洗浄部材と処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で、処理液噴射口から処理液を噴射することにより、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去し、該除去された被洗浄物を複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と処理液噴射口から噴射された処理液とともに排出するように、処理液噴射手段21と被洗浄部材用の往復動手段17と処理液噴射手段用の往復動手段27と処理液排出手段31とを制御するように構成される。
【0050】
また、本実施形態の制御手段は、処理液噴射手段21での処理液の噴射量を徐々に増すとともに、処理液排出手段31の処理液の排出量を徐々に増すことができるように構成される。こうした噴射量と排出量の制御によれば、複数の被洗浄部材1を処理液2に沈めた状態を保持しながら、噴射量を徐々に増すとともに排出量を徐々に増すことができるので、処理液噴射手段21での処理液の噴射によって被洗浄部材1の洗浄を急激に行わずに緩やかに行うことを可能とする。こうした制御は、特に洗浄の初期段階で好ましい。その結果、リフトオフ法で半導体基板1を処理する場合、金属薄膜53とレジスト部52とからなる被洗浄物54をできるだけ大きい状態で剥がすことを可能とする。
【0051】
本実施形態の洗浄ステップにおいては、複数の被洗浄部材1と処理液噴射手段21の処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持されながら、複数の被洗浄部材に向けて処理液噴射口から処理液を噴射しつつ、複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と処理液噴射口から噴射された処理液との排出を行うことで、複数の被洗浄部材に形成されている被洗浄物を除去して洗浄する。
【0052】
さらに、本発明の洗浄ステップにおいては、処理液中での複数の被洗浄部材と処理液噴射手段の処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動を周期的にもたらす往復動ステップを有し、複数の被洗浄部材に向けての処理液の噴射が、該相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行なわれる。
【0053】
このような洗浄ステップによれば、処理液噴射と処理液排出とを、複数の被洗浄部材と処理液噴射口とが処理液に沈められた状態が保持されながら行い、なお且つ、複数の被洗浄部材を沈めていた処理液と処理液噴射口から噴射された処理液とともに、除去された被洗浄物とを排出するようにすることができ、よって、液中を浮遊する除去された被洗浄物が被洗浄部材への再付着してしまうというような事態を抑制することでき、より良好な被洗浄部材の洗浄を可能とする。
【0054】
さらに、このような洗浄ステップによれば、複数の被洗浄部材に向けての処理液の噴射を、処理液中での複数の被洗浄部材と処理液噴射口との互いに対する相対的な水平方向往復動及び鉛直方向往復動の少なくともいずれか一方の往復動がなされている状態で行うようにすることで、より均等で強力(高圧)な処理液の液中噴流を、複数の被洗浄部材に向けてもたらすことができ、被洗浄部材を構成する材料や該被洗浄部材上に形成される被洗浄物の形態にかかわらず、より良好な被洗浄物の所望の除去をもたらすことを可能とする。
【0055】
処理液排出の制御は、自動制御であっても手動制御であってもよい。本実施形態においては、図6(b)に示すように、処理液噴射と処理液排出とを、複数の被洗浄部材1を処理液2に沈めた状態を保持しながら行うので、処理液排出での処理液2の排出量と上記した処理液噴射での処理液2の導入量とは、浸漬した状態が保持できる範囲内で設定され、その量は、同量又はほぼ同量になるように制御される。排出量と導入量が同じ又はほぼ同じ場合、処理液排出の時間は、上記した処理液噴射の時間に対応させて任意に設定される。例えば、処理液噴射が1,2秒である場合、被洗浄部材1を処理液2に沈めた状態を保持しながら行う処理液排出は同じく1,2秒であり、処理液噴射が5,6秒である場合、被洗浄部材1を処理液2に沈めた状態を保持しながら行う処理液排出は同じく5、6秒である。
【0056】
処理液排出において、図6(b)に示すように処理液噴射での導入量と処理液排出での排出量とを同じ又はほぼ同じにして処理した後は、図6(c)に示すように処理液排出の排出量を処理液噴射の導入量よりも増して処理液2の水位を下げる。こうした処理により、処理液2の水位が下がって行く途中で処理液2中に浮遊した被洗浄物54が仮に存在した場合、その被洗浄物54が被洗浄部材1に付着したとしても、付着した被洗浄物54をシャワーノズル21から噴射された処理液2で洗い流すことができる。最後に、図6(d)に示すように、シャワーノズル21を上方に引き上げ、その後に収容カセット15も引き上げる。
【0057】
処理液2の水位が下がって行く途中では、噴射ノズルから処理液2だけ噴射してもよいし、処理液2とガス(空気や窒素等)を混合して同時に噴射してもよい。また、排出途中の処理液2の水位が、被洗浄部材1(例えば半導体基板)よりも下になった場合にも、噴射ノズルから処理液2だけ噴射してもよいし、処理液2とガス(空気や窒素等)を混合して同時に噴射してもよいが、ガスだけを噴射してもよい。ガスだけを噴射する場合は、被洗浄部材1の液切りを行うことができる。
【0058】
(回収ステップ)
尚、被洗浄物54を回収する場合には、回収ステップが洗浄ステップと併せて行われてもよい。本実施形態における洗浄装置10においては、被洗浄部材1を洗浄することによって生じた被洗浄物54を回収する回収手段がさらに配設される。この回収手段は、その被洗浄物54の種類や大きさにより、必要に応じて設けられる。被洗浄物54が、上記したリフトオフ法によって除去する金属薄膜53及びレジスト部52からなる被洗浄物54である場合は、回収手段として回収網41(図1を参照)を設けることが好ましい。こうした回収網41は、ステンレス製の網を用いることができ、その網目(メッシュ)は、除去した金属薄膜53の大きさに応じて選択することができる。
【0059】
こうした回収手段を設けることにより、被洗浄部材1が例えばレジスト部52と金属薄膜53とを形成した半導体基板51である場合、レジスト部52とともに剥離した金属薄膜53を被洗浄物54として効率的に回収することができる。その結果、回収した金属薄膜53を資源として再利用することも可能になる。
【0060】
さらに、本実施形態においては、オーバーフロー槽18が処理槽11に付設され、処理槽11から不測に溢れた処理液を収容することを可能としうるとともに、また、処理槽11の下側から処理液を循環させ、処理液の液面を上昇させることにより、処理液の液面付近に浮遊した金属スラッジ等の浮遊物をオーバーフロー槽18内へ流入させ、この浮遊物の被洗浄部材への再付着を防ぐことを可能としうるようにも構成されている。
【0061】
(その他)
処理液2は、洗浄目的や被洗浄部材1の種類に応じて任意に選択され、有機溶剤等の有機系の処理液であってもよいし、無機系の処理液であってもよい。こうした処理液2は、通常、図1中に示すバルブを任意に操作することにより、図1に示す経路内を循環させて用いられる。処理液2の循環、処理槽11への供給、及びシャワーノズル21への供給は、各種の方法で行うことができる。
【0062】
例えば処理液浸漬の段階では、処理液2はポンプ循環で処理槽11に供給することができる。一方、処理液噴射の段階では、キャニスター71内に入れた処理液2をガス(空気、窒素ガス等)で加圧(通常、0.2MPa〜0.6MPa程度)し、高圧状態でキャニスター71から一気に送り出し、シャワーノズル21の先端の処理液噴射口から排出させることが好ましい。キャニスター71から送られる処理液2は、高い圧力でシャワー噴射するため、薄い膜でも瞬時に剥がすことができる。
【0063】
また、処理液2は、処理液脱気装置91により処理されたものであってもよい。処理液脱気装置91で脱気処理された処理液2は、例えば微細パターンの隙間にも浸透し易い。その結果、処理液2を用いた洗浄を効果的に行うことができる。特に、超音波洗浄装置35を用いた場合に好ましく、洗浄効率を向上させることができる。脱気処理した処理液2を用いた応用例としては、超音波洗浄の効果を増して処理時間を短縮することができたり、超音波洗浄の効果が隅々にまで行き渡ることによる歩留まりを向上させることができたり、処理しない処理液に比べて処理温度を低くすることができたりすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 被洗浄部材(半導体基板)
2 処理液
10 洗浄装置
11 処理槽
15 収容手段(収容カセット)
17 往復動手段(被洗浄部材用)
18 オーバーフロー槽
21 処理液噴射手段(ノズル)
27 往復動手段(処理液噴射手段用)
31 処理液排出手段(排出口)
35 超音波照射手段(超音波洗浄装置)
41 回収手段(回収網)
51 半導体基板
52 レジスト部
53 金属薄膜
54 被洗浄物(不要物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8