【解決手段】メモリセル領域3およびCMOS領域を区画する素子分離部5が形成された半導体基板2を有する半導体装置1において、半導体基板2にトレンチ10を形成し、トレンチ10の深さ方向途中部まで絶縁膜11を介して第1材料層12を埋め込み、トレンチ10の第1材料層12上の部分に第1材料層12とは異なる第2材料層13を埋め込むことによって素子分離部5を形成する。
前記第1材料層の上面と、前記第1材料層の上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記第2材料層を埋め込む工程は、前記横方向に関して、前記トレンチの底部の幅よりも大きい幅を有する前記第2材料層を形成する工程を含む、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2材料層を埋め込む工程は、前記横方向に関して、前記トレンチの底部の幅よりも大きい幅を有する前記突出部を形成する工程を含む、請求項14または15に記載の半導体装置の製造方法。
前記半導体基板の表面および前記第2材料層の前記突出部によって区画された凹所内において、前記第2材料層の前記突出部を被覆するように、前記不揮発性メモリセル用のフローティングゲートを形成する工程を、さらに含む、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
前記フローティングゲートを形成する工程は、単一の導電材料層からなる単層構造を有する前記フローティングゲートを形成する工程を含む、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
前記フローティングゲートを形成する工程は、前記第2材料層の前記突出部の上面よりも上方に突出するように前記フローティングゲートを形成する工程を含む、請求項19または20に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1材料層を埋め込む工程は、前記第1材料層の上面と、前記第1材料層の上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下となるように、前記トレンチに前記第1材料層を埋め込む工程を含む、請求項14〜21のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1材料層を埋め込む工程は、前記トレンチを満たすように前記第1材料層を埋め込んだ後、当該第1材料層の上面が前記半導体基板の表面よりも低くなるように、当該第1材料層を前記トレンチの深さ方向にエッチングする工程を含む、請求項14〜22のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1材料層を形成する工程は、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によってポリシリコン材料を埋め込む工程を含む、請求項14〜23のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2材料層を埋め込む工程は、HDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)法によって酸化シリコンを埋め込む工程を含む、請求項14〜24のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記絶縁膜を形成する工程は、前記トレンチの内面を酸化することによって前記絶縁膜を形成する工程を含む、請求項14〜25のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の平面図である。
図1(a)は、半導体装置1のメモリセル領域3を示す平面図であり、
図1(b)は、半導体装置1のCMOS領域4を示す平面図である。また、
図2は、
図1(a)における各切断面線から見た断面図であって、
図2(a)が切断面線IIa−IIaに対応し、
図2(b)が切断面線IIb−IIbに対応している。また、
図3は、
図1(b)における各切断面線から見た断面図であって、
図3(a)が切断面線IIIa−IIIaに対応し、
図3(b)が切断面線IIIb−IIIbに対応している。
【0026】
以下では、まず、
図1(a)および
図2(a),(b)を参照して半導体装置1のメモリセル領域3を説明し、次に、
図1(b)および
図3(a),(b)を参照して半導体装置1のCMOS領域4を説明する。
<メモリセル領域>
半導体装置1は、半導体基板2と、この半導体基板2上に設定されたメモリセル領域3とを含む。半導体基板2は、たとえば、p型の導電性を有するシリコン基板である。
【0027】
メモリセル領域3は、素子分離部5によって、複数のアクティブ領域6に区画されている。
素子分離部5は、半導体基板2の表面に形成されたトレンチ10と、トレンチ10の内面に形成されたライナー酸化膜11と、トレンチ10に埋め込まれた埋め込み膜15とを含む。
【0028】
トレンチ10は、この実施形態では、直線状のライントレンチが互いに平行となるようにストライプ状に配列されている。互いに隣り合うトレンチ10間の距離は、0.02μm〜1μmである。この距離は、各アクティブ領域6の幅に対応している。各トレンチ10は、その長手方向に直交する幅方向で切断したときの断面視(以下、単に「断面視」という。)において、開口端から底部へ向かう深さ方向に幅が狭まるテーパ状に形成されている。
【0029】
トレンチ10は、この実施形態では、深さが50nm〜500nmであり、アスペクト比(トレンチの深さをトレンチの開口幅で除した値)が4以上(好ましくは、4〜8)のSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有するが、その深さおよびアスペクト比は適宜変更できる。たとえば、深さが0.5μm以上、好ましくは、1μm〜40μm、アスペクト比が8〜20のDTI(Deep Trench Isolation)構造であってもよい。
【0030】
ライナー酸化膜11は、たとえば酸化シリコンからなり、トレンチ10の側面および底面の全域に亘って形成されている。そして、トレンチ10におけるライナー酸化膜11の内側に、埋め込み膜15が埋め込まれている。
埋め込み膜15は、トレンチ10の底部から開口側にかけてこの順に積層された第1材料層12および第2材料層13を含む。
【0031】
第1材料層12は、第2材料層13との界面がトレンチ10の底部を基準に一定の高さ位置となるように、トレンチ10の深さ方向途中部まで埋め込まれている。つまり、この実施形態では、第1材料層12と第2材料層13との界面が半導体基板2の表面と平行となるように、トレンチ10の底部から一定の高さまでの領域が第1材料層12で満たされており、第1材料層12よりも上側の残りの領域が第2材料層13で満たされている。
【0032】
また、第1材料層12よりも上側の領域(つまり、第1材料層12の上面と、当該上面よりも上側のトレンチの側面とで区画される部分)のアスペクト比は、4以下であることが好ましい。この領域に埋め込まれた第2材料層13は、たとえば、その上面が半導体基板2の表面とほぼ面一になるように、トレンチ10に埋め込まれている。第2材料層13は、この実施形態では、
図2に示されるように、半導体基板2の表面よりも上方に突出するように形成されている。
【0033】
第1材料層12は、たとえば、ポリシリコンからなり、第2材料層13は酸化シリコン(SiO
2)からなる。なお、第1材料層12の他の材料として、TEOS(Tetraethylorthosilicate)および窒化シリコン(SiN)を例示することができる。
素子分離部5によって区画された複数のアクティブ領域6には、それぞれ不揮発性メモリセル20(EEPROM)が1つずつ設けられている。
【0034】
不揮発性メモリセル20は、半導体基板2の表面部に互いに間隔を空けて形成されたn型ソース領域23およびn型ドレイン領域24と、これらの間のチャネル領域25に対向するように配置されたフローティングゲート26と、このフローティングゲート26に積層されたコントロールゲート27とを備えている。n型ソース領域23、n型ドレイン領域24およびコントロールゲート27の表面には、それぞれシリサイド21,22,31が形成されている。
【0035】
フローティングゲート26は、各アクティブ領域6に1つずつ設けられている。各フローティングゲート26は、単一の導電材料層からなる単層構造を有している。各フローティングゲート26は、アクティブ領域6の長手方向に直交する幅方向における両端部(オーバーラップ部分)が、第2材料層13にオーバーラップするように形成されている。より具体的には、フローティングゲート26は、半導体基板2の表面および第2材料層13の突出部によって区画された凹所内に形成されており、フローティングゲート26の両端部(オーバーラップ部分)は、第2材料層13の突出部にオーバーラップしている。
【0036】
コントロールゲート27は、アクティブ領域6の長手方向に直交する幅方向に延びる直線状に形成されている。コントロールゲート27は、複数のアクティブ領域6に跨っていて、その上面が平坦となるように全てのフローティングゲート26を一括して覆っている。つまり、コントロールゲート27は、複数の不揮発性メモリセル20の共通の電極となっている。
【0037】
また、アクティブ領域6の長手方向におけるフローティングゲート26およびコントロールゲート27の両側面は、互いに面一に形成されている。これにより、フローティングゲート26およびコントロールゲート27の積層構造は、段差のない平面状の側面を有している。すなわち、これらの2つのゲート26,27が半導体基板2の同じスペース上の領域に収まっている。
【0038】
これらの2つのゲート26,27により、フローティングゲート26の閾値電圧のばらつきを抑えると共に、不揮発性メモリセル20の微細化が図られている。そして、フローティングゲート26およびコントロールゲート27の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール28に覆われている。
n型ソース領域23およびn型ドレイン領域24と、フローティングゲート26との間、すなわち、サイドウォール28の直下の領域には、それぞれn型ソース低濃度層29およびn型ドレイン低濃度層30が形成されている。これにより、LDD(Lightly Doped Drain)構造が形成されている。
【0039】
n型ソース低濃度層29およびn型ドレイン低濃度層30は、n型ソース・ドレイン領域23,24よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。n型ソース・ドレイン低濃度層29,30は、フローティングゲート26およびコントロールゲート27に対して自己整合的に形成されている。一方、n型ソース・ドレイン領域23,24は、サイドウォール28に対して自己整合的に形成されている。
【0040】
チャネル領域25において半導体基板2の表面には、フローティングゲート26に対向するようにトンネル酸化膜37が形成されている。トンネル酸化膜37の厚さは、たとえば90Å程度である。このトンネル酸化膜37は、チャネル領域25とフローティングゲート26との間で、FN(ファウラー・ノルドハイム)トンネリングによって電子を通過させる。
【0041】
また、フローティングゲート26とコントロールゲート27との間は、絶縁膜によって絶縁されている。この絶縁膜は、たとえば、窒化シリコン膜を一対の酸化シリコン膜で挟み込んだONO(酸化膜-窒化膜-酸化膜)構造の膜(以下、ONO膜36とする。)からなる。
<CMOS領域>
半導体装置1は、HV−CMOS(High Voltage−Complementary Metal Oxide Semiconductor)領域40、MV−CMOS(Middle Voltage−Complementary Metal Oxide Semiconductor)領域70、およびLV−CMOS(Low Voltage−Complementary Metal Oxide Semiconductor)領域90を共通の半導体基板2上に備えている。
【0042】
HV−CMOS領域40、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90は、素子分離部5によって互いに分離されている。以下、(1)HV−CMOS領域40、(2)MV−CMOS領域70および(3)LV−CMOS領域90の順に説明する。
(1)HV−CMOS領域
HV−CMOS領域40は、n型のHV−nMOS41およびp型のHV−pMOS42を含む。n型のHV−nMOS41およびp型のHV−pMOS42は、これらを矩形状に取り囲む素子分離部5によって互いに分離されている。HV−nMOS41およびHV−pMOS42は、たとえば、定格電圧が5Vを超えて40V以下の高耐圧素子である。
【0043】
HV−nMOS41用の領域には、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿って、ディープn型ウェル32が形成され、さらにディープn型ウェル32の内方領域には、p型ベース領域43が形成されている。p型ベース領域43は、その底部がトレンチ10よりも深くなるように形成されている。
p型ベース領域43において半導体基板2の表面には、HV−nMOSゲート絶縁膜51が形成されている。HV−nMOSゲート絶縁膜51は、たとえば、300Å〜500Åの厚さで形成されている。そして、HV−nMOSゲート絶縁膜51を挟んで半導体基板2に対向するように、HV−nMOSゲート電極52が形成されている。HV−nMOSゲート電極52の表面には、シリサイド49が形成されている。また、HV−nMOSゲート電極52の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール53で覆われている。
【0044】
そして、HV−nMOSゲート電極52に対して一方側に、HV−n型ドリフト領域50、HV−n型ソース領域44およびHV−n型ソースコンタクト領域47が形成され、その反対側に、HV−n型ドリフト領域50、HV−n型ドレイン領域45、およびHV−n型ドレインコンタクト領域48が形成されている。
HV−n型ドリフト領域50は、HV−nMOSゲート電極52に対して自己整合的に形成され、HV−n型ソース・ドレイン領域44,45は、それぞれサイドウォール53に対して自己整合的に形成されている。また、HV−n型ソース・ドレインコンタクト領域47,48は、それぞれHV−n型ソース・ドレイン領域44,45の内方領域に形成されている。また、HV−n型ソース・ドレインコンタクト領域47,48の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
【0045】
HV−pMOS42用の領域には、HV−nMOS41用の領域と同様に、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿って、ディープn型ウェル32が形成され、さらにディープn型ウェル32の内方領域には、n型ベース領域54が形成されている。n型ベース領域54は、その底部がトレンチ10よりも深くなるように形成されている。
n型ベース領域54において半導体基板2の表面には、HV−pMOSゲート絶縁膜62が形成されている。HV−pMOSゲート絶縁膜62は、HV−nMOSゲート絶縁膜51と同じ厚さ、同じ材料で形成されている。そして、HV−pMOSゲート絶縁膜62を挟んで半導体基板2に対向するように、HV−pMOSゲート電極63が形成されている。HV−pMOSゲート電極63の表面には、シリサイド60が形成されている。また、HV−pMOSゲート電極63の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール64で覆われている。
【0046】
そして、HV−pMOSゲート電極63に対して一方側に、HV−p型ドリフト領域61、HV−p型ソース領域55およびHV−p型ソースコンタクト領域58が形成され、その反対側に、HV−p型ドリフト領域61、HV−p型ドレイン領域56、およびHV−p型ドレインコンタクト領域59が形成されている。
HV−p型ドリフト領域61は、HV−n型ドリフト領域50よりも深く形成され、HV−pMOSゲート電極63に対して自己整合的に形成されている。HV−p型ソース・ドレイン領域55,56は、HV−n型ソース・ドレイン領域44,45と同じ深さで形成され、それぞれサイドウォール64に対して自己整合的に形成されている。また、HV−p型ソース・ドレインコンタクト領域58,59は、HV−n型ソース・ドレインコンタクト領域47,48と同じ深さで形成され、それぞれHV−p型ソース・ドレイン領域55,56の内方領域に形成されている。また、HV−p型ソース・ドレインコンタクト領域58,59の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
(2)MV−CMOS領域
MV−CMOS領域70は、n型のMV−nMOS71およびp型のMV−pMOS72を含む。n型のMV−nMOS71およびp型のMV−pMOS72は、これらを矩形状に取り囲む素子分離部5によって互いに分離されている。MV−nMOS71およびMV−pMOS72は、たとえば、定格電圧が2V以上5V以下の中耐圧素子である。
【0047】
MV−nMOS71用の領域には、HV−nMOS41用の領域と同様に、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿って、ディープn型ウェル32が形成され、さらにディープn型ウェル32の内方領域には、MV−p型ウェル73が形成されている。MV−p型ウェル73は、p型ベース領域43よりも不純物濃度が高く、かつ、p型ベース領域43よりも浅く形成されている。たとえば、MV−p型ウェル73は、その底部がトレンチ10の底部と同じ深さ位置になるように形成されている。また、MV−p型ウェル73は、HV−p型ドリフト領域61および後述するLV−p型ウェル93と同じ不純物濃度および同じ深さで形成されている。
【0048】
MV−p型ウェル73の内方領域には、MV−n型ソース領域74およびMV−n型ドレイン領域75が、半導体基板2の表面に沿って互いに間隔を空けて形成されている。このMV−n型ソース領域74とMV−n型ドレイン領域75との間の領域が、MV−p型ウェル73のチャネル領域である。
MV−nMOS71用の領域において半導体基板2の表面には、MV−nMOSゲート絶縁膜77が形成されている。MV−nMOSゲート絶縁膜77は、前述のHV−nMOSゲート絶縁膜51よりも薄く形成されている。その厚さは、たとえば、100Å〜300Åである。そして、MV−nMOS71のチャネル領域に対向するように、MV−nMOSゲート絶縁膜77を挟んで、MV−nMOSゲート電極78が形成されている。MV−nMOSゲート電極78の表面には、シリサイド76が形成されている。また、MV−n型ソース領域74およびMV−n型ドレイン領域75は、MV−nMOSゲート電極78に対して自己整合的に形成されている。MV−nMOSゲート電極78の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール79で覆われている。
【0049】
そして、MV−n型ソース・ドレイン領域74,75の内方領域には、それぞれサイドウォール79に対して自己整合的に、MV−n型ソースコンタクト領域80およびMV−n型ドレインコンタクト領域33が形成されている。また、MV−n型ソース・ドレインコンタクト領域80,33の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
MV−pMOS72用の領域には、HV−nMOS41用の領域と同様に、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿って、ディープn型ウェル32が形成され、さらにディープn型ウェル32の内方領域には、MV−n型ウェル81が形成されている。MV−n型ウェル81は、n型ベース領域54よりも不純物濃度が高く、かつ、n型ベース領域54よりも浅く形成されている。たとえば、MV−n型ウェル81は、その底部がトレンチ10の底部と同じ深さ位置になるように形成されている。また、MV−n型ウェル81は、後述するLV−n型ウェル101と同じ不純物濃度および同じ深さで形成されている。
【0050】
MV−n型ウェル81の内方領域には、MV−p型ソース領域82およびMV−p型ドレイン領域83が、半導体基板2の表面に沿って互いに間隔を空けて形成されている。このMV−p型ソース領域82とMV−p型ドレイン領域83との間の領域が、MV−n型ウェル81のチャネル領域である。
MV−pMOS72用の領域において半導体基板2の表面には、MV−pMOSゲート絶縁膜85が形成されている。MV−pMOSゲート絶縁膜85は、MV−nMOSゲート絶縁膜77と同じ厚さ、同じ材料で形成されている。そして、MV−pMOS72のチャネル領域に対向するように、MV−pMOSゲート絶縁膜85を挟んで、MV−pMOSゲート電極86が形成されている。MV−pMOSゲート電極86の表面には、シリサイド84が形成されている。また、MV−p型ソース領域82およびMV−p型ドレイン領域83は、MV−pMOSゲート電極86に対して自己整合的に形成されている。MV−pMOSゲート電極86の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール87で覆われている。
【0051】
そして、MV−p型ソース・ドレイン領域82,83の内方領域には、それぞれサイドウォール87に対して自己整合的に、MV−p型ソースコンタクト領域88およびMV−p型ドレインコンタクト領域89が形成されている。また、MV−p型ソース・ドレインコンタクト領域88,89の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
(3)LV−CMOS領域
LV−CMOS領域90は、n型のLV−nMOS91およびp型のLV−pMOS92を含む。n型のLV−nMOS91およびp型のLV−pMOS92は、これらを矩形状に取り囲む素子分離部5によって互いに分離されている。LV−nMOS91およびLV−pMOS92は、たとえば、定格電圧が2V未満の低耐圧素子である。
【0052】
LV−nMOS91用の領域およびLV−pMOS92用の領域には、これらの領域を一括して覆うように、素子分離部5の辺に沿ってディープn型ウェル140が形成されている。ディープn型ウェル140は、n型ベース領域54と同じ不純物濃度および同じ深さで形成されている。
LV−nMOS91用の領域においてディープn型ウェル140の内方領域には、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿ってLV−p型ウェル93が形成されている。LV−p型ウェル93は、p型ベース領域43よりも不純物濃度が高く、かつ、p型ベース領域43よりも浅く形成されている。たとえば、LV−p型ウェル93は、その底部がトレンチ10の底部と同じ深さ位置になるように形成されている。
【0053】
LV−p型ウェル93の内方領域には、LV−n型ソース領域94およびLV−n型ドレイン領域95が、半導体基板2の表面に沿って互いに間隔を空けて形成されている。このLV−n型ソース領域94とLV−n型ドレイン領域95との間の領域が、LV−p型ウェル93のチャネル領域である。
LV−nMOS91用の領域において半導体基板2の表面には、LV−nMOSゲート絶縁膜97が形成されている。LV−nMOSゲート絶縁膜97は、前述のMV−nMOSゲート絶縁膜77よりもさらに薄く形成されている。その厚さは、たとえば、10Å〜100Åである。そして、LV−nMOS91のチャネル領域に対向するように、LV−nMOSゲート絶縁膜97を挟んで、LV−nMOSゲート電極98が形成されている。LV−nMOSゲート電極98の表面には、シリサイド96が形成されている。また、LV−n型ソース領域94およびLV−n型ドレイン領域95は、LV−nMOSゲート電極98に対して自己整合的に形成されている。また、LV−nMOSゲート電極98の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール99で覆われている。
【0054】
そして、LV−n型ソース・ドレイン領域94,95の内方領域には、それぞれサイドウォール99に対して自己整合的に、LV−n型ソースコンタクト領域100およびLV−n型ドレインコンタクト領域34が形成されている。また、LV−n型ソース・ドレインコンタクト領域100,34の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
LV−pMOS92用の領域においてディープn型ウェル140の内方領域には、この領域を矩形状に取り囲む素子分離部5の辺に沿ってLV−n型ウェル101が形成されている。LV−n型ウェル101は、n型ベース領域54よりも不純物濃度が高く、かつ、n型ベース領域54よりも浅く形成されている。たとえば、LV−n型ウェル101は、その底部がトレンチ10の底部と同じ深さ位置になるように形成されている。
【0055】
LV−n型ウェル101の内方領域には、LV−p型ソース領域102およびLV−p型ドレイン領域103が、半導体基板2の表面に沿って互いに間隔を空けて形成されている。このLV−p型ソース領域102とLV−p型ドレイン領域103との間の領域が、LV−n型ウェル101のチャネル領域である。
LV−pMOS92用の領域において半導体基板2の表面には、LV−pMOSゲート絶縁膜105が形成されている。LV−pMOSゲート絶縁膜105は、LV−nMOSゲート絶縁膜97と同じ厚さ、同じ材料で形成されている。そして、LV−pMOS92のチャネル領域に対向するように、LV−pMOSゲート絶縁膜105を挟んで、LV−pMOSゲート電極106が形成されている。LV−pMOSゲート電極106の表面には、シリサイド104が形成されている。また、LV−p型ソース領域102およびLV−p型ドレイン領域103は、LV−pMOSゲート電極106に対して自己整合的に形成されている。また、LV−pMOSゲート電極106の両側面は、窒化シリコン等の絶縁材料からなるサイドウォール107で覆われている。
【0056】
そして、LV−p型ソース・ドレイン領域102,103の内方領域には、それぞれサイドウォール107に対して自己整合的に、LV−p型ソースコンタクト領域108およびLV−p型ドレインコンタクト領域109が形成されている。また、LV−p型ソース・ドレインコンタクト領域108,109の表面には、それぞれシリサイドが形成されている。
【0057】
そして、前述のメモリセル領域3およびCMOS領域4を覆うように、半導体基板2上に層間絶縁膜110が積層されている。層間絶縁膜110は、たとえば、酸化シリコン等の絶縁材料からなる。
層間絶縁膜110上には、アルミニウム等の導電材からなる複数の配線111が形成されている。複数の配線111は、層間絶縁膜110を貫通するコンタクトプラグ113を介して、n型ソース領域23、n型ドレイン領域24、HV−n型ソースコンタクト領域47、HV−n型ドレインコンタクト領域48、HV−p型ソースコンタクト領域58、HV−p型ドレインコンタクト領域59、MV−n型ソースコンタクト領域80、MV−n型ドレインコンタクト領域33、MV−p型ソースコンタクト領域88、MV−p型ドレインコンタクト領域89、LV−n型ソースコンタクト領域100、LV−n型ドレインコンタクト領域34、LV−p型ソースコンタクト領域108、LV−p型ドレインコンタクト領域109にそれぞれ接続されている。
【0058】
そして、層間絶縁膜110上には、それぞれの配線111を被覆するように、窒化シリコン等の絶縁材料からなる表面保護膜118が形成されている。
不揮発性メモリセル20に対する情報の書き込み、消去および読み出しの各動作は、以下のように行うことができる。
フローティングゲート26に対する電子の注入は、たとえば、n型ソース領域23をグランド電位とした状態で、コントロールゲート27およびn型ドレイン領域24に正電圧を印加すると、n型ソース領域23からトンネル酸化膜37を介するFNトンネリングによって、フローティングゲート26に電子が注入される。
【0059】
フローティングゲート26からの電子の引き抜きは、たとえば、n型ドレイン領域24をオープンとした状態で、コントロールゲート27に負電圧を印加し、n型ソース領域23に正電圧を印加すると、フローティングゲート26からトンネル酸化膜37を介するFNトンネリングによって、n型ソース領域23へと電子が引き抜かれる。
フローティングゲート26に電子が注入されると、このフローティングゲート26が帯電している状態では、不揮発性メモリセル20を導通させるためにコントロールゲート27に印加すべき閾値電圧が高くなる。そこで、コントロールゲート27に与えるべき読出電圧を、フローティングゲート26が非帯電状態(電子が引き抜かれた状態)のときにn型ソース領域23−n型ドレイン領域24間が遮断状態に保持され、かつ、フローティングゲート26が帯電状態(電子が注入された状態)のときにn型ソース領域23−n型ドレイン領域24間を導通させることができる値に設定しておく。このとき、ソース側に電流が流れるか否かを調べることによって、フローティングゲート26に電子が注入されているかどうかを区別できる。このようにして、不揮発性メモリセル20に対する情報の書き込み、消去および読み出しの各動作を行うことができる。
【0060】
次に、
図4〜
図47を参照して、半導体装置1の製造工程を説明する。
図4〜
図47は、本発明の半導体装置1の製造工程の一例を工程順に説明するための断面図である。
図4〜
図47では、
図4、
図6、
図8のように偶数番号の図面がメモリセル領域3の工程を示し、
図5、
図7、
図9のように奇数番号の図面がCMOS領域4の工程を示している。
【0061】
半導体装置1を製造するには、
図4および
図5に示すように、たとえば熱酸化法によって、半導体基板2の表面にパッド酸化膜114が形成され、その後、たとえばCVD法によって、パッド酸化膜114上にハードマスク120が形成される。パッド酸化膜114の厚さは、たとえば125Å程度である。また、ハードマスク120は、たとえば厚さ800Å程度の窒化シリコン膜によって形成されている。
【0062】
次に、
図6および
図7に示すように、トレンチ10を形成すべき領域に選択的に開口を形成するために、ハードマスク120およびパッド酸化膜114が選択的にエッチングされる。そして、この開口を介して半導体基板2にエッチングガスが供給される。エッチングガスが当該開口から半導体基板2の深さ方向に向けて進行して、断面視テーパ状のトレンチ10がメモリセル領域3およびCMOS領域4に同時に形成される。
【0063】
次に、
図8および
図9に示すように、ハードマスク120を残した状態で、半導体基板2が熱酸化される。熱酸化は、たとえば、酸素ガス等が注入された雰囲気中において700℃〜1200℃の温度下で行われる。この熱酸化により、半導体基板2が露出するトレンチ10の側面および底面の全面に、ほぼ均一な厚さを有するライナー酸化膜11が形成される。
【0064】
次に、第1材料層12の材料によるトレンチ10の埋め戻し工程が行われる。第1材料層12の材料としては、ポリシリコン、窒化シリコンまたはTEOSを採用することができる。以下では、ポリシリコンを堆積させる場合について説明する。
ポリシリコンの堆積は、たとえば、LP−CVD(Low Pressure-Chemical Vapor Deposition:減圧CVD)法によって行われる。LP−CVD法は、10〜50Pa(パスカル)程度の圧力下において、600℃〜900℃の温度の下で行われる。これにより、トレンチ10およびハードマスク120の開口がポリシリコンで埋め戻され、さらにハードマスク120がポリシリコンで完全に覆われる。これにより、第1材料層12が形成される。
【0065】
次に、
図10および
図11に示すように、第1材料層12の不要部分(トレンチ10およびハードマスク120の開口外の部分)が、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法によって除去される。CMPは、ハードマスク120の表面と第1材料層12の表面(研磨面)とが面一になるまで続けられる。これにより、トレンチ10およびハードマスク120の開口を満たすように第1材料層12が埋め込まれる。
【0066】
次に、
図12および
図13に示すように、第1材料層12の上面が半導体基板2の表面よりも低くなる位置(深さ)まで、第1材料層12がエッチングされる。エッチングは、たとえば、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法等のドライエッチングにより行われる。
このとき、第1材料層12は、第1材料層12の上面と、当該上面よりも上側のトレンチ10の側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下になるように形成されるのが好ましい。なお、
図10および
図11で説明したCMP法によるポリシリコンの研磨工程を省略して、RIE法によるエッチング処理工程のみによっても、同様の第1材料層12を形成することができる。
【0067】
次に、
図14および
図15に示すように、第2材料層13の材料によるトレンチ10の埋め戻し工程が行われる。具体的には、酸化シリコンが、ライナー酸化膜11を介して第1材料層12が形成されたトレンチ10を埋め戻し、ハードマスク120を完全に覆うまで堆積させられる。酸化シリコンの堆積は、たとえば、HDP−CVD(High-Density Plasma Chemical Vapor Deposition:高密度プラズマCVD)法、または、P−CVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマCVD)法によって行われる。好ましくは、HDP−CVD法である。これにより、第2材料層13が形成される。
【0068】
次に、
図16および
図17に示すように、第2材料層13の不要部分(トレンチ10およびハードマスク120の開口外の部分)が、CMP法によって除去される。CMPは、ハードマスク120の表面と第2材料層13の表面(研磨面)とが面一になるまで続けられる。これにより、トレンチ10およびハードマスク120の開口を満たすように第2材料層13が埋め込まれる。このようにして、第1材料層12および第2材料層13を含む埋め込み膜15が形成される。なお、この第2材料層13は、トレンチ10に収容された部分が埋め込み部となり、パッド酸化膜114およびハードマスク120によって挟まれた部分が突出部となる。
【0069】
次に、
図18および
図19に示すように、メモリセル領域3では、ハードマスク120が、エッチング等によりパッド酸化膜114上から完全に除去される。次に、HV−CMOS領域40およびMV−CMOS領域70において、ディープn型ウェル32を形成すべき領域に、レジスト膜や酸化シリコン膜等をマスク(図示せず)として用いて、n型不純物イオンが選択的に注入される。たとえば、n型不純物イオンとしてヒ素(As
+)イオンまたはリン(P
+)イオンが用いられる。これにより、ディープn型ウェル32が形成される。
【0070】
次に、HV−CMOS領域40およびLV−CMOS領域90において、n型ベース領域54およびディープn型ウェル140を形成すべき領域それぞれに、レジスト膜や酸化シリコン膜等をマスク(図示せず)として用いて、n型不純物イオンが選択的に注入される。たとえば、n型不純物イオンとしてヒ素(As
+)イオンまたはリン(P
+)イオンが用いられる。これにより、n型ベース領域54およびディープn型ウェル140が同時に形成される。
【0071】
次に、HV−CMOS領域40において、p型ベース領域43を形成すべき領域に、レジスト膜や酸化シリコン膜等をマスク(図示せず)として用いて、p型不純物イオンが選択的に注入される。たとえば、p型不純物としてホウ素(B
+)イオンが用いられる。これにより、p型ベース領域43が形成される。
次に、
図20および
図21に示すように、たとえばCVD法によって、半導体基板2の表面全域にハードマスク122が形成される。ハードマスク122は、たとえば厚さ300Å程度の窒化シリコン膜によって形成されている。ハードマスク122の形成後、ハードマスク122の表面に酸化膜123が形成される。酸化膜123は、たとえば熱酸化法によって、窒化シリコンからなるハードマスク122の表面を酸化することによって形成できる。なお、酸化膜123は、CVD法によって形成してもよい。
【0072】
次に、
図22および
図23に示すように、たとえばエッチングによって、メモリセル領域3およびHV−CMOS領域40上にある、酸化膜123、ハードマスク122およびパッド酸化膜114が選択的に除去される。これにより、メモリセル領域3およびHV−CMOS領域40において、半導体基板2の表面が露出する。メモリセル領域3では、パッド酸化膜114が除去されることによって、第2材料層13の突出部が突出した状態で露出する。これにより、パッド酸化膜114があった位置に、第2材料層13の突出部で囲まれた凹所からなるメモリセル領域3用のアクティブ領域6が形成される。
【0073】
次に、
図24および
図25に示すように、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90がハードマスク122で覆われた状態で、半導体基板2が熱酸化される。これにより、ハードマスク122で覆われていないメモリセル領域3およびHV−CMOS領域40の半導体基板2の表面に、トンネル酸化膜37が形成される。次に、半導体基板2上に、不純物イオン(たとえばリン(P
+)イオン)を添加したポリシリコン膜115が堆積される。ポリシリコン膜115の厚さは、たとえば700Å程度である。
【0074】
次に、
図26および
図27に示すように、メモリセル領域3において、素子分離部5上のポリシリコン膜115が選択的に除去される。これにより、第2材料層13にオーバーラップするフローティングゲート26が形成される。
次に、
図28および
図29に示すように、半導体基板2上に、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜を順に積層することによって、3層構造のONO膜36が形成される。次に、ONO膜36上に保護膜126が形成される。この保護膜126は、たとえば、窒化シリコンからなり、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90を覆うハードマスク122よりも薄く形成される。たとえば、保護膜126の膜厚は、100Å程度である。
【0075】
次に、CMOS領域4の熱酸化工程が行われる。具体的には、HV−CMOS領域40、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90の熱酸化がこの順に行われる。
まず、HV−CMOS領域40用のゲート酸化が行われる。
図30および
図31に示すように、HV−CMOS領域40を覆っている保護膜126、ONO膜36およびポリシリコン膜115が選択的に除去される。この際、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90においても、ハードマスク122上の保護膜126、ONO膜36およびポリシリコン膜115が除去される。次に、HV−CMOS領域40のトンネル酸化膜37が除去されることによって、HV−CMOS領域40において半導体基板2の表面が露出する。トンネル酸化膜37の除去の際には、ハードマスク122上の酸化膜123が除去される。
【0076】
次に、
図32および
図33に示すように、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90にハードマスク122を残した状態で、半導体基板2が熱酸化される。この熱酸化は、たとえば、900℃〜1000℃で10分〜30分間行われる。これにより、ハードマスク122、ポリシリコン膜115およびONO膜36等で覆われていないHV−CMOS領域40に、HV−nMOSゲート絶縁膜51およびHV−pMOSゲート絶縁膜62が同時に形成される。この際、ハードマスク122および保護膜126も表面側から酸化されて、それぞれの表面部に酸化シリコン部分が形成される。なお、この実施形態では、保護膜126の厚さは100Å程度であるが、HV-CMOS領域40の熱酸化後に窒化シリコンの部分が保護膜126の下部に残る構成であれば(つまり、保護膜126が完全に酸化されて表面の酸化シリコン部分に支配されなければ)、さらに薄くてもよい。
【0077】
次に、半導体基板2上にフッ酸(HF)を供給してハードマスク122および保護膜126の表面の酸化シリコン部分を選択的に除去した後、リン酸(H
3PO
4)を供給することによって、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90を覆うハードマスク122および保護膜126が同時に除去される。この際、保護膜126がハードマスク122よりも薄く形成されているので、保護膜126の除去に必要なエッチング時間が、ハードマスク122のエッチング時間よりも短くて済む。そのため、ハードマスク122の除去完了時に、保護膜126の除去を確実に終えることができる。これにより、ONO膜36上に保護膜126が残ることを防止できる。
【0078】
次に、MV−CMOS領域70用のゲート酸化が行われる。具体的には、
図34および
図35に示すように、ハードマスク122の除去によって露出したMV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90からパッド酸化膜114が選択的に除去される。そして、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90において露出した半導体基板2の表面が熱酸化される。この熱酸化は、HV−CMOS領域40用のゲート酸化よりも低温で行われ、たとえば、850℃〜950℃で5分〜10分間行われる。これにより、MV−CMOS領域70に、MV−nMOSゲート絶縁膜77およびMV−pMOSゲート絶縁膜85が同時に形成される。その後、この熱酸化によってLV−CMOS領域90に形成された絶縁膜116が選択的に除去される。
【0079】
次に、LV−CMOS領域90用のゲート酸化が行われる。
図36および
図37に示すように、残ったLV−CMOS領域90において露出した半導体基板2の表面が熱酸化されることによって、LV−CMOS領域90に、LV−nMOSゲート絶縁膜97およびLV−pMOSゲート絶縁膜105が同時に形成される。この熱酸化は、MV−CMOS領域70用のゲート酸化よりも低温で行われ、たとえば、700℃〜800℃で5分〜10分間行われる。
【0080】
次に、
図38および
図39に示すように、MV−n型ウェル81およびLV−n型ウェル101を形成すべき領域に、n型不純物イオンが選択的に注入される。これにより、MV−n型ウェル81およびLV−n型ウェル101が同時に形成される。
次に、MV−p型ウェル73およびLV−p型ウェル93を形成すべき領域に、p型不純物イオンが選択的に注入される。これにより、MV−p型ウェル73およびLV−p型ウェル93が同時に形成される。
【0081】
次に、半導体基板2上に、不純物イオン(たとえばリン(P
+)イオン)を添加したポリシリコン膜117が堆積される。ポリシリコン膜117の厚さは、たとえば210nm程度である。
次に、
図40および
図41に示すように、このポリシリコン膜117が選択的にエッチングされる。これにより、コントロールゲート27、HV−nMOSゲート電極52、HV−pMOSゲート電極63、MV−nMOSゲート電極78、MV−pMOSゲート電極86、LV−nMOSゲート電極98およびLV−pMOSゲート電極106が同時に形成される。すなわち、CMOS領域4のゲート電極52、63、78、86、98、106が、コントロールゲート27の材料を利用して形成される。
【0082】
その後、トンネル酸化膜37、HV−nMOSゲート絶縁膜51、HV−pMOSゲート絶縁膜62、MV−nMOSゲート絶縁膜77、MV−pMOSゲート絶縁膜85、LV−nMOSゲート絶縁膜97およびLV−pMOSゲート絶縁膜105における、上述のゲート電極27(26)、52、63、78、86、98、106の直下にある部分以外の部分が選択的に除去される。
【0083】
次に、
図42および
図43に示すように、半導体基板2への選択的なイオン注入によって、n型ソース低濃度層29、n型ドレイン低濃度層30、HV−n型ドリフト領域50、HV−p型ドリフト領域61、MV−n型ソース領域74、MV−n型ドレイン領域75、MV−p型ソース領域82、MV−p型ドレイン領域83、LV−n型ソース領域94、LV−n型ドレイン領域95、LV−p型ソース領域102およびLV−p型ドレイン領域103が形成される。
【0084】
次に、
図44および
図45に示すように、フローティングゲート26およびコントロールゲート27の側面、ならびにCMOS領域4のゲート電極52、63、78、86、98、106の側面のそれぞれにサイドウォール28、53、64、79、87、99、107が同時に形成される。サイドウォール28、53、64、79、87、99、107は、たとえば、CVD法によって、半導体基板2の全面に窒化シリコン膜等の絶縁膜が形成された後、その絶縁膜をドライエッチングによってエッチバックすることにより形成される。
【0085】
次に、
図46および
図47に示すように、半導体基板2への選択的なイオン注入によって、n型ソース領域23、n型ドレイン領域24、HV−n型ソース領域44、HV−n型ドレイン領域45、HV−n型ソースコンタクト領域47、HV−n型ドレインコンタクト領域48、HV−p型ソース領域55、HV−p型ドレイン領域56、HV−p型ソースコンタクト領域58、HV−p型ドレインコンタクト領域59、MV−n型ソースコンタクト領域80、MV−n型ドレインコンタクト領域33、MV−p型ソースコンタクト領域88、MV−p型ドレインコンタクト領域89、LV−n型ソースコンタクト領域100、LV−n型ドレインコンタクト領域34、LV−p型ソースコンタクト領域108およびLV−p型ドレインコンタクト領域109が形成される。
【0086】
次に、コントロールゲート27、HV−nMOSゲート電極52、HV−pMOSゲート電極63、MV−nMOSゲート電極78、MV−pMOSゲート電極86、LV−nMOSゲート電極98、LV−pMOSゲート電極106、n型ソース領域23、n型ドレイン領域24、HV−n型ソースコンタクト領域47、HV−n型ドレインコンタクト領域48、HV−p型ソースコンタクト領域58、HV−p型ドレインコンタクト領域59、MV−n型ソースコンタクト領域80、MV−n型ドレインコンタクト領域33、MV−p型ソースコンタクト領域88、MV−p型ドレインコンタクト領域89、LV−n型ソースコンタクト領域100、LV−n型ドレインコンタクト領域34、LV−p型ソースコンタクト領域108およびLV−p型ドレインコンタクト領域109のそれぞれの表面にシリサイドが形成される。
【0087】
この後は、
図2および
図3に示すように、層間絶縁膜110が形成された後、各種コンタクトプラグ113および配線111が形成される。次に、メモリセル領域3およびCMOS領域4における層間絶縁膜110および各配線111を被覆するように、窒化シリコン等の絶縁材料からなる表面保護膜118が形成され、表面保護膜118に各電極をワイヤボンディング用のパッドとして露出させる開口(図示せず)が形成される。
【0088】
以上の工程を経て、
図1〜
図3に示したメモリセル領域3およびCMOS領域4を備えた半導体装置1が得られる。なお、層間絶縁膜110は複数積層されてもよい。
以上のように、この実施形態では、半導体基板2に形成されたトレンチ10には、その深さ方向途中部まで第1材料層12が埋め込まれている。そのため、第2材料層13が埋め込まれるべきトレンチ10のアスペクト比を、第1材料層12が埋め込まれるときのトレンチ10のアスペクト比よりも低くすることができる。
【0089】
つまり、どのようなアスペクト比のトレンチ10が形成されたとしても、第1材料層12によって第2材料層13が埋め込まれるときのトレンチ10のアスペクト比を調整することができる。
また、第1材料層12の上面と、当該上面よりも上側の前記トレンチ10の側面とで区画される部分のアスペクト比を調整することができるので、ボイドの発生を効果的に抑制できる範囲において第2材料層13を埋め込むことができる。その結果、当該ボイドを起因とする素子分離部5の漏れ電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0090】
さらに、素子分離部5における漏れ電流の発生を抑制することができるので、メモリセル領域3、ならびに、HV−CMOS領域40、MV−CMOS領域70およびLV−CMOS領域90のそれぞれの領域において信頼性の高い半導体素子領域を形成することができる。
次に、
図48を参照して、本発明の他の実施形態に係る半導体装置201について説明する。
【0091】
図48は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置201のメモリセル202のレイアウト図である。半導体装置201では、平面視において、縦方向(Y方向)に走るストライプ状のビット線BLと、横方向(X方向)に走るストライプ状のワード線WLとが格子状に交差しており、この格子の窓部分にメモリセル202が形成されている。各窓部分にメモリセル202が配置されることによって、メモリセル202は全体としてX行×Y列(X,Yは正の整数)の行列状に配列されている。ビット線BLは後述するp
+型ドレイン領域217に電気的に接続され、ワード線WLは後述するコントロールゲート221に電気的に接続されている。ビット線駆動回路203およびワード線駆動回路204の制御によってビット線BLとワード線WLとの交点を選択することによって、当該交点に位置するメモリセル202にデータを書き込み/消去することができる。
【0092】
次に、
図49を参照して、メモリセル202の内部構造について説明する。
図49(a)(b)は、メモリセル202の内部構造を説明するための鳥瞰図であって、
図49(a)はビット線BLに沿う方向から見た図を示し、
図49(b)はワード線WLに沿う方向から見た図を示している。
半導体装置201は、半導体基板205を備えている。半導体基板205は、たとえば、p型シリコン基板からなり、その不純物濃度は、たとえば、1×10
15cm
−3〜5×10
15cm
−3である。半導体基板205の表面部には、n型ウェル215が形成されている。n型ウェル215の不純物濃度は、たとえば、1×10
17cm
−3〜5×10
17cm
−3である。
【0093】
半導体基板205には、半導体基板205の表面領域を複数のアクティブ領域213に分離するストライプ状のトレンチ206と、トレンチ206の内面に形成されたライナー酸化膜208と、ライナー酸化膜208を介してトレンチ206に埋め込まれた埋め込み膜207とが形成されている。これにより、半導体基板205には、トレンチ206および埋め込み膜207からなるSTI構造が形成されている。
【0094】
トレンチ206は、半導体基板205の表面からn型ウェル215の領域内に形成されており、直線状のライントレンチが互いに平行となるようにストライプ状に配列されている。トレンチ206の幅Aおよび隣り合うトレンチ206間の幅Bは、
図49(a)に示すように、この実施形態では共に90nm以下である。すなわち、半導体装置201では、90nm以下のラインアンドスペースとなっている。
【0095】
各トレンチ206は、
図49(a)に示すように、その長手方向に直交する幅方向で切断したときの断面視において、開口端から底部へ向かう深さ方向に幅Aが狭まるテーパ状に形成されている。各トレンチ206の深さHは、この実施形態では50nm〜500nmであり、各トレンチ206のアスペクト比(トレンチ206の深さH/トレンチ206の幅A)は、4以上(好ましくは、4〜8)となっている。なお、トレンチ206の幅Aは、この実施形態では、トレンチ206の開口端における幅と定義する。また、トレンチ206は、STI構造を有するが、その深さおよびアスペクト比は適宜変更できる。たとえば、深さが0.5μm以上、好ましくは、1μm〜40μm、アスペクト比が8〜20のDTI構造であってもよい。
【0096】
ライナー酸化膜208は、たとえば酸化シリコンからなり、トレンチ206の側面および底面の全域に亘って形成されている。そして、トレンチ206におけるライナー酸化膜208の内側に、埋め込み膜207が埋め込まれている。埋め込み膜207は、トレンチ206の底部から開口側にかけてこの順に積層された第1材料層209および第2材料層210を含む。
【0097】
第1材料層209は、第2材料層210との界面がトレンチ206の底部を基準に一定の高さ位置となるように、トレンチ206の深さ方向途中部まで埋め込まれている。つまり、この実施形態では、第1材料層209と第2材料層210との界面が半導体基板205の表面と平行となるように、トレンチ206の底部から一定の高さまでの領域が第1材料層209で満たされており、第1材料層209よりも上側の残りの領域が第2材料層210で満たされている。
【0098】
また、第1材料層209よりも上側の領域(つまり、第1材料層209の上面と、当該上面よりも上側のトレンチの側面とで区画される部分)のアスペクト比は、4以下であることが好ましい。この領域に埋め込まれた第2材料層210は、トレンチ206内に収容された埋め込み部211と、トレンチ206外に形成され、半導体基板205の表面よりも上方に突出した突出部212とを一体的に含む。突出部212は、断面視において、半導体基板205の表面に対して垂直に突出する四角形状に形成されていて、半導体基板205の表面に対して平行な頂面(平坦面)および垂直な側面を有している。突出部212の突出量は、たとえば、半導体基板205の表面を基準に0.09μm〜0.17μmである。
【0099】
第1材料層209は、たとえば、ポリシリコンからなり、第2材料層210は酸化シリコン(SiO
2)からなる。なお、第1材料層209の他の材料として、TEOSおよび窒化シリコン(SiN)を例示することができる。
トレンチ206で区画されたアクティブ領域213は、隣り合う突出部212で挟まれていて、突出部212の頂面と半導体基板205の表面との高低差に相当する深さの凹所となっている。各凹所(アクティブ領域213)には、フローティングゲート214が形成されている。フローティングゲート214は、単一の導電材料層からなる単層構造を有している。フローティングゲート214は、その側面が第2材料層210の突出部212の側面に密着するように凹所からなるアクティブ領域213に埋め込まれ、さらに突出部212よりも上方に突出している。フローティングゲート214の突出部分は、第2材料層210の突出部212にオーバーラップしないように、その側面全域が突出部212の側面と同一平面となるように仕上げられている。フローティングゲート214は、この実施形態では、p型不純物(たとえばボロン)が高濃度にドープされたp型ポリシリコンからなる。フローティングゲート214の不純物濃度は、たとえば、1×10
20cm
−3〜5×10
20cm
−3である。
【0100】
また、
図49(b)に示すように、フローティングゲート214は各アクティブ領域213において、トレンチ206の長手方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。このように各アクティブ領域213に露出した半導体基板205(n型ウェル215)の表面には、p
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217が形成されている。また、これらで挟まれたn型ウェル215の表面部がn型チャネル領域218を提供している。すなわち、各メモリセル202は、p型MOSFETで構成されている。
【0101】
p
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217は、トレンチ206の長手方向に沿って交互に設けられている。したがって、各フローティングゲート214は、p
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217に跨る単一層となっている。ここで、「フローティングゲート214が単一層」とは、たとえばトレンチ206の長手方向に沿ってアクティブ領域213を走査したときに、隣り合う一対のp
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217間に複数のフローティングゲート214が設けられていないことを意味し、むろん、その境界や当該境界に配置される絶縁分離膜等も存在しないことをいう。また、各フローティングゲート214のトレンチ206の幅方向に沿う部分の第1の幅W
1(
図2(a))、トレンチ206の長手方向に沿ってp
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217に跨る部分の第2の幅W
2(
図2(b))は、共に90nm以下となっている。第1の幅W
1は、隣り合うトレンチ206間の幅Bに一致している。なお、この実施形態では、一例として第1の幅W
1および第2の幅W
2が共に90nm以下としているが、場合により、第1の幅W
1および第2の幅W
2は100nm以下であってもよい。
【0102】
n型チャネル領域218において半導体基板205の表面には、フローティングゲート214に対向するようにトンネル酸化膜219が形成されている。トンネル酸化膜219の厚さは、たとえば80Å程度である。このトンネル酸化膜219は、n型チャネル領域218とフローティングゲート214との間で、FN(ファウラー・ノルドハイム)トンネリングによって電子を通過させる。
【0103】
フローティングゲート214上には、ONO膜220を介してフローティングゲート214に対向するように、コントロールゲート221が形成されている。
ONO膜220は、窒化シリコン(SiN)からなる膜を、それぞれ酸化シリコン(SiO
2)からなる膜で上下から挟んだONO積層絶縁膜からなる。
コントロールゲート221は、トレンチ206を横切って延びる直線状に形成されている。つまり、コントロールゲート221は、隣り合うフローティングゲート214の間に形成された埋め込み膜207上の凹所230を介して、複数のアクティブ領域213に跨っている。これにより、コントロールゲート221は、トレンチ206を横切る方向に沿う同一直線上に配置された全てのフローティングゲート214を一括して覆っている。コントロールゲート221は、同一直線上に配置された複数のメモリセル202の共通のゲートとなっている。
【0104】
コントロールゲート221上には、ワード線WLおよび窒化膜222が積層されている。この実施形態では、ワード線WLはタングステンシリサイドからなり、窒化膜222は窒化シリコン(SiN)からなる。ワード線WLの厚さは0.07μm程度であり、窒化膜222の厚さは0.15μm程度である。そして、フローティングゲート214、ONO膜220、コントロールゲート221、ワード線WLおよび窒化膜222の側面を一括して覆うようにサイドウォール223が形成されている。サイドウォール223は、たとえば窒化シリコン(SiN)/酸化シリコン(SiO
2)の積層構造からなる。
【0105】
p
+型ソース領域216には、ソース配線224が電気的に接続されている。ソース配線224は、トレンチ206を横切って延びる直線状に形成されている。つまり、ソース配線224は、複数のアクティブ領域213に跨っていて、トレンチ206を横切る方向に沿う同一直線上に配置された全てのp
+型ソース領域216に一括して接続されている。これにより、ソース配線224は、同一直線上に配置された複数のメモリセル202の共通のソースとなっている。ソース配線224の材料としては、たとえばタングステンを使用できる。タングステンを使用することによって、ラインアンドスペースが90nm以下である半導体装置201においても、良好な加工精度でソース配線224を形成することができる。
【0106】
ビット線BLは、ビットコンタクト225(ビットプラグ)を介してp
+型ドレイン領域217に電気的に接続されている。ビットコンタクト225は、互いに分離された各p
+型ドレイン領域217に一つずつ接続されている。また、ビット線BLおよびビットコンタクト225の材料としては、たとえばタングステンを使用できる。タングステンを使用することによって、ラインアンドスペースが90nm以下である半導体装置201においても、良好な加工精度でビット線BLおよびビットコンタクト225を形成することができる。
【0107】
この半導体装置201においてメモリセル202に対するデータの書き込みは、p
+型ドレイン領域217の近傍でのバンド間トンネル現象によって発生した電子(ホットエレクトロン)をフローティングゲート214に注入することによって達成される。すなわち、p
+型ソース領域216に接続されたソース配線224が接地電位(0V)にされる。そして、ビット線BL、ワード線WLおよびn型ウェル215に電圧(たとえば、Vg=−1.8V、Vd=10V〜12V、V
WELL=4.4V)が印加される。これにより、p
+型ドレイン領域217の近傍でホットエレクトロンが発生し、このホットエレクトロンがフローティングゲート214に注入される。
【0108】
一方、データの消去時には、ビット線BL、ワード線WLおよび半導体基板205に高電圧(たとえば、Vg=−20V、Vd=0V、V
WELL=0V)が印加される。この電圧の印加によって、フローティングゲート214とn型ウェル215との間に電界が発生し、その電界を利用したFNトンネル現象によって、フローティングゲート214からn型ウェル215に電子が引き抜かれる。
【0109】
この一連の書き込み/消去の動作は、n型MOSFETからなるメモリセルの書き込み/消去の動作に比べて少ない電流で行うことができる。したがって、この実施形態のようにフローティングゲート214が単一層からなるという簡単な構造であっても、良好な書き込み/消去の動作を行うことができる。すなわち、メモリセル202をp型MOSFETとすることによって、半導体装置201をより効果的に活用することができる。
【0110】
図50〜
図60は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置201の製造方法の一部を工程順に説明するための図である。なお、
図50〜
図60において、(a)の鳥瞰図が
図49(a)の鳥瞰図に対応し、(b)の鳥瞰図が
図49(b)の鳥瞰図に対応している。
半導体装置201を製造するには、まず半導体基板205が用意され、この半導体基板205にイオン注入等の加工処理が何も施されていない状態から、トレンチ206および埋め込み膜207を形成する工程が行われる。具体的には、
図50(a)(b)に示すように、たとえば熱酸化法によって、半導体基板205の表面にパッド酸化膜226が形成され、その後、たとえばCVD法によって、パッド酸化膜226上にハードマスク227が形成される。パッド酸化膜226の厚さは、たとえば10nm程度である。また、ハードマスク227は、たとえば厚さ175nm程度の窒化シリコン膜によって形成されている。
【0111】
次に、
図51(a)(b)に示すように、トレンチ206を形成すべき領域に選択的に開口228を形成するために、ハードマスク227およびパッド酸化膜226が選択的にエッチングされる。そして、この開口228を介して半導体基板205にエッチングガスが供給される。エッチングガスが当該開口228から半導体基板205の深さ方向に向けて進行して、断面視テーパ状のトレンチ206が半導体基板205に形成される。
【0112】
次に、ハードマスク227を残した状態で、半導体基板205が熱酸化される。熱酸化は、たとえば、酸素ガス等が注入された雰囲気中において700℃〜1200℃の温度下で行われる。この熱酸化により、半導体基板205が露出するトレンチ206の側面および底面の全面に、ほぼ均一な厚さを有するライナー酸化膜208が形成される。
次に、
図52(a)(b)に示すように、第1材料層209の材料によるトレンチ206の埋め戻し工程が行われる。第1材料層209の材料としては、ポリシリコン、窒化シリコンまたはTEOSを採用することができる。以下では、ポリシリコンを堆積させる場合について説明する。
【0113】
ポリシリコンの堆積は、たとえば、LP−CVD法によって行われる。LP−CVD法は、10〜50Pa(パスカル)程度の圧力下において、600℃〜900℃の温度の下で行われる。これにより、トレンチ206およびハードマスク227の開口228がポリシリコンで埋め戻され、さらにハードマスク227がポリシリコンで完全に覆われる。これにより、第1材料層209が形成される。
【0114】
次に、第1材料層209の不要部分(トレンチ206およびハードマスク227の開口228外の部分)が、CMP法によって除去される。CMPは、ハードマスク227の表面と第1材料層209の表面(研磨面)とが面一になるまで続けられる。これにより、トレンチ206およびハードマスク227の開口228を満たすように第1材料層209が埋め込まれる。
【0115】
次に、第1材料層209の上面が半導体基板205の表面よりも低くなる位置(深さ)まで、第1材料層209がエッチングされる。エッチングは、たとえば、RIE法等のドライエッチングにより行われる。
このとき、第1材料層209は、第1材料層209の上面と、当該上面よりも上側のトレンチ206の側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下になるように形成されるのが好ましい。なお、前述のCMP法によるポリシリコンの研磨工程を省略して、RIE法によるエッチング処理工程のみによっても、同様の第1材料層209を形成することができる。
【0116】
次に、第2材料層210の材料によるトレンチ206の埋め戻し工程が行われる。具体的には、酸化シリコンが、ライナー酸化膜208を介して第1材料層209が形成されたトレンチ206を埋め戻し、ハードマスク227を完全に覆うまで堆積させられる。酸化シリコンの堆積は、たとえば、HDP−CVD法、または、P−CVD法によって行われる。好ましくは、HDP−CVD法である。これにより、第2材料層210が形成される。
【0117】
次に、第2材料層210の不要部分(トレンチ206およびハードマスク227の開口228外の部分)が、CMP法によって除去される。CMPは、ハードマスク227の表面と第2材料層210の表面(研磨面)とが面一になるまで続けられる。これにより、トレンチ206およびハードマスク227の開口228を満たすように第2材料層210が埋め込まれる。このようにして、第1材料層209および第2材料層210を含む埋め込み膜207が形成される。なお、この第2材料層210では、トレンチ206に収容された部分が埋め込み部211となり、パッド酸化膜226およびハードマスク227によって挟まれた部分が突出部212となる。
【0118】
次に、
図53(a)(b)に示すように、ハードマスク227が除去されることによって、第2材料層210(埋め込み膜207)の突出部212が突出した状態で露出する。これにより、ハードマスク227があった位置に、当該突出部212で囲まれた凹所からなるアクティブ領域213が形成される。その後、半導体基板205にn型不純物イオンが注入されることによって、n型ウェル215が形成される。なお、n型不純物イオンとしては、ヒ素(As
+)イオンまたはリン(P
+)イオンが用いられる。
【0119】
次に、
図54(a)(b)に示すように、パッド酸化膜226が除去された後、それにより露出した半導体基板205の表面を熱酸化することによって、トンネル酸化膜219が形成される。トンネル酸化膜219の形成後、CVD法によって、p型不純物イオン(たとえばボロン(B
+)イオン)を添加したポリシリコン膜229が堆積される。ポリシリコン膜229は、凹所からなるアクティブ領域213を満たすと共に、埋め込み膜207を覆うように形成される。
【0120】
次に、
図55(a)(b)に示すように、ポリシリコン膜229の表面が露出した状態、つまりポリシリコン膜229の表面がいかなる膜にも覆われていない状態から、ポリシリコン膜229の不要部分(埋め込み膜207を覆う部分)が、CMP法によって研磨して除去される。この研磨は、第2材料層210の突出部212の頂面とポリシリコン膜229の表面(研磨面)とが面一になるまで続けられる。これにより、突出部212で囲まれた凹所からなるアクティブ領域213に、フローティングゲート214が埋め込まれる。
【0121】
次に、
図56(a)(b)に示すように、第2材料層210の突出部212が表面から一様な厚さで選択的に除去されることによって、突出部212が薄くなるように調節される。突出部212が薄くなることによって、隣り合うフローティングゲート214の間には、フローティングゲート214の頂面と突出部212の頂面との高低差に相当する深さの凹所230が形成される。次に、CVD法によって、複数のフローティングゲート214を一括して覆うように、半導体基板205の表面全体にONO膜220が形成される。次に、ONO膜220の形成後、CVD法によって、p型不純物イオン(たとえばボロン(B
+)イオン)を添加したポリシリコン膜232が堆積される。
【0122】
次に、
図57(a)(b)に示すように、CVD法によって、半導体基板205の表面全体に、タングステンシリサイド膜233および窒化膜234が堆積される。
次に、
図58(a)(b)に示すように、窒化膜234、タングステンシリサイド膜233、ポリシリコン膜232、ONO膜220およびフローティングゲート214が、トレンチ206の長手方向に沿って選択的に除去される。これにより、半導体基板205が行列状に配列されたメモリセル202に区画されると共に、フローティングゲート214を挟むようにソース形成領域235およびドレイン形成領域236が同時に形成される。また、窒化膜234の一部からなる窒化膜222、タングステンシリサイド膜233の一部からなるワード線WL、ポリシリコン膜232の一部からなるコントロールゲート221およびONO膜220の一部からなるONO膜220も同時に形成される。次に、ソース形成領域235およびドレイン形成領域236に、p型不純物としてのボロン(B
+)がイオン注入され、その後、アニール処理されることによって熱拡散する。これにより、p
+型ソース領域216、p
+型ドレイン領域217およびn型チャネル領域218が同時に形成される。
【0123】
次に、たとえばCVD法によって、半導体基板205の表面全体に、窒化シリコン(SiN)膜および酸化シリコン(SiO
2)膜が堆積される。その後、当該窒化シリコン膜および酸化シリコン膜をエッチバックすることによって、
図59(a)(b)に示すように、サイドウォール223が形成される。
その後、
図60(a)(b)に示すように、ソース配線224、ビットコンタクト225およびビット線BLが形成されることによって、
図49(a)(b)に示す半導体装置201が得られる。
【0124】
以上の方法によれば、
図50(a)(b)に示すように、半導体基板205にイオン注入等の加工処理が何も施されていない状態から、トレンチ206および埋め込み膜207を形成する工程が行われる。そのため、トレンチ206および埋め込み膜207からなるSTI構造の形成前に、半導体基板205に微小な欠陥が発生することを防止することができる。したがって、良好なSTI構造を形成できるので、歩留まりを改善することができる。
【0125】
また、
図51(a)(b)に示すように、埋め込み膜207用のトレンチ206の形成の際、ハードマスク227と半導体基板205との間に電極材料を介在させないので、当該ハードマスク227の開口228を含めたトレンチ206のアスペクト比を、電極材料を介在させる場合に比べて小さくすることができる。さらに、
図49(a)(b)に示すように、フローティングゲート214を埋め込み膜207の突出部212にオーバーラップさせる必要がないので、トレンチ206の幅Aを設計する際に、フローティングゲート214のオーバーラップ部分の幅を見越してトレンチ幅Aを広くしなくて済む。そのため、トレンチ206を微細加工することができ、さらに埋め込み膜207の埋め込み性を向上させることもできる。
【0126】
また、フローティングゲート214を埋め込み膜207の突出部212にオーバーラップさせない結果、フローティングゲート214と埋め込み膜207との間に段差が形成されない。その結果、埋め込み膜207を埋め込む際にウィークスポットやボイドが発生することを効果的に防止することもできる。
また、
図55(a)(b)に示すように、ポリシリコン膜229の表面がいかなる膜にも覆われていない状態からの研磨によって単一層からなるフローティングゲート214が形成されるため、フローティングゲート214の形成のための研磨工程を複数回行う必要がない。そのため、研磨装置間の移送が不要になり、また、フローティングゲート214の形成に当たっての研磨条件の設定も一回で済むので、製造工程を簡単にすることができる。さらに、研磨装置間の移送が不要になるので、半導体基板205(ウエハ)表面へのパーティクルの付着を少なくすることもできる。
【0127】
また、
図54(a)(b)および
図55(a)(b)に示すように、ハードマスク227の除去後、そのハードマスク227があった凹所からなるアクティブ領域213に埋め込まれたポリシリコン膜229がフローティングゲート214となることから、
図50(a)(b)の工程でハードマスク227の厚さを調整するだけで、フローティングゲート214の高さを簡単に調整することができる。
【0128】
また、CVD法によるポリシリコン膜229の堆積工程が1工程で済むので、フローティングゲート214の形成に際して、半導体基板205をCVD装置に何度も出し入れする必要がない。そのため、ポリシリコン膜229が不必要に酸化されることを考慮しなくてよく、半導体基板205をCVD装置に低温挿入するなどの特殊な準備をする必要がなくなる。その結果、CVD装置への負担を軽減することができる。
【0129】
そして、上記の方法によって製造された半導体装置201では、
図49(a)(b)に示すように、フローティングゲート214がp
+型ソース領域216およびp
+型ドレイン領域217に跨る単一層からなるので、小さなセルサイズを実現することができる。
また、
図49(a)(b)に示すように、フローティングゲート214が第2材料層210の突出部212にオーバーラップしないので、埋め込み膜207を隔てて隣り合うフローティングゲート214間の距離を広くすることができる。これにより、隣り合うフローティングゲート214間の寄生容量が小さくできるので、フローティングゲート214間のカップリングの影響による閾値変動を小さくすることができる。すなわち、逆に言えば、フローティングゲート214が突出部212にオーバーラップすると、隣り合うフローティングゲート214に近づくこととなるから、必然的にフローティングゲート214間の距離が近くなる。そのため、上記寄生容量が大きくなる傾向にある。
【0130】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の一実施形態および他の実施形態では、半導体装置1,201の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1,201において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。したがって、メモリセル3,202を構成するMOSFETは、前述のようにp型MOSFETであってもよいし、n型MOSFETであってもよい。
【0131】
また、前述の一実施形態および他の実施形態では、2層構造からなる埋め込み膜15,207を一例として説明したが、互いに異なる材料層の積層構造であれば、埋め込み膜15,207は、たとえば、3層、4層およびそれ以上の多層構造であってもよい。たとえば、ポリシリコン層、窒化シリコン(SiN)層および酸化シリコン(SiO
2)層がこの順で積層された3層構造であってもよい。
【0132】
また、前述の一実施形態および他の実施形態では、メモリセル領域3,202およびCMOS領域4の周囲には、チャージポンプ、ツェナーダイオード、MISトランジスタ等の各種素子が形成された周辺回路領域が設定されていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
【0133】
項1:半導体素子を選択的に備える半導体基板と、前記半導体基板に形成され、前記半導体素子用の領域にアクティブ領域を区画する素子分離部とを含み、前記素子分離部は、前記半導体基板に形成されたトレンチ、前記トレンチの深さ方向途中部まで絶縁膜を介して埋め込まれた第1材料層、および前記トレンチの前記第1材料層上の部分に埋め込まれた前記第1材料層とは異なる第2材料層を含む、半導体装置。
【0134】
この構成によれば、半導体基板に形成されたトレンチには、その深さ方向途中部まで第1材料層が埋め込まれている。そのため、第2材料層が埋め込まれるべきトレンチのアスペクト比を、第1材料層が埋め込まれるときのトレンチのアスペクト比よりも低くすることができる。つまり、どのようなアスペクト比のトレンチが形成されたとしても、第1材料層によって第2材料層が埋め込まれるときのトレンチのアスペクト比を調整することができる。
【0135】
これにより、素子分離部にボイドが生ずるのを抑制しつつ、第1材料層および第2材料層をトレンチに埋め込んで素子分離部を形成することができる。その結果、当該ボイドを起因とする素子分離部の漏れ電流の発生を抑制することができる。
項2:前記第1材料層の上面と、当該上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下である、項1に記載の半導体装置。
【0136】
この構成では、第1材料層の上面と、当該上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分のアスペクト比を調整することにより、ボイドの発生を効果的に抑制できる範囲において第2材料層を埋め込むことができる。その結果、当該ボイドを起因とする素子分離部の漏れ電流の発生を効果的に抑制することができる。
項3:前記素子分離部は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を含む、項1または2に記載の半導体装置。
【0137】
項4:前記トレンチのアスペクト比が4以上である、項3に記載の半導体装置。
項5:前記トレンチの深さが50nm〜500nmである、項3または4に記載の半導体装置。
この構成では、第1材料層によって第2材料層が埋め込まれるときのトレンチのアスペクト比を調整することができるので、たとえ、高アスペクト比を有するトレンチからなるSTI構造を形成する場合であっても、第2材料層を良好に埋め込むことができる。
【0138】
項6:前記トレンチは、その深さ方向に向かって幅が狭まるテーパ状に形成されている、項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
項7:前記第1材料層がポリシリコンからなり、前記第2材料層が酸化シリコンからなる、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成では、第1材料層に埋め込み性の優れたポリシリコンを使用することにより、トレンチに第1材料層を良好に埋め込むことができる。
【0139】
項8:前記半導体素子は、不揮発性メモリを含む、項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
項9:前記半導体素子は、CMOSトランジスタを含む、項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成では、素子分離部の漏れ電流の発生を効果的に抑制することができるので、信頼性の高い半導体素子を備えた半導体装置を達成することができる。
【0140】
項10:半導体基板の半導体素子用の領域にアクティブ領域を区画するように、前記半導体基板にトレンチを形成する工程と、前記トレンチの深さ方向途中部まで、絶縁膜を介して第1材料層を埋め込む工程と、前記トレンチの前記第1材料層上の部分に第2材料層を埋め込む工程とを含む、半導体装置の製造方法。
この方法によれば、項1の半導体装置に関して述べた効果と同様の効果を奏する半導体装置を製造することができる。
【0141】
項11:前記第1材料層を埋め込む工程は、前記第1材料層の上面と、当該上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分のアスペクト比が4以下となるように、前記トレンチに前記第1材料層を埋め込む工程を含む、項10に記載の半導体装置の製造方法。
この方法では、項2の半導体装置に関して述べた効果と同様の効果を奏する半導体装置を製造することができる。
【0142】
項12:前記第1材料層を埋め込む工程は、前記トレンチを満たすように前記第1材料層を埋め込んだ後、当該第1材料層の上面が前記半導体基板の表面よりも低くなるように、当該第1材料層を前記トレンチの深さ方向にエッチングする工程を含む、項10または11に記載の半導体装置の製造方法。
この方法では、エッチングの条件を調節することによって、第2材料層を埋め込むべき部分(前記第1材料層の上面と、当該上面よりも上側の前記トレンチの側面とで区画される部分)のアスペクト比を簡単に制御できる。
【0143】
項13:前記第1材料層を形成する工程は、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によってポリシリコン材料を埋め込む工程を含む、項10〜12のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
項14:前記第2材料層を埋め込む工程は、HDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)法によって酸化シリコンを埋め込む工程を含む、項10〜13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0144】
項15:前記半導体装置の製造方法は、前記第1材料層の形成に先立って、前記トレンチの内面を熱酸化することによって前記絶縁膜を形成する工程を含む、項10〜14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。