【解決手段】SIPサーバは、要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送する。次に、第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信する第2のステップと、第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しない。そして、第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行する。
要求元端末が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末が接続されたマルチメディアネットワークとの間に配置されたSIP(Session Initiation Protocol)サーバの網間接続方法において、
前記SIPサーバは、
要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送する第1のステップと、
第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信する第2のステップと、
第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しない第3のステップと、
第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行する第4のステップと
を実行することを特徴とする網間接続方法。
前記所定要素は、レスポンス・コード、ヘッダ・フィールド、ボディに含まれるSDP(Session Description Protocol)のタイプのいずれかに予め規定された要素である
ことを特徴とする請求項1に記載の網間接続方法。
要求元端末が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末が接続されたマルチメディアネットワークとの間に配置されたSIPサーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送するリクエスト転送手段と、
第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信するレスポンス送信手段と、
第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しないダイアログ判定手段と、
第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行するダイアログ交換手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SIPによれば、プロキシサーバが、1つのリクエストから複数のリクエストを生成して送信するフォーキング(Forking、分岐送信)と称される方式がある。例えば同じ電話番号を持つ固定電話機と携帯電話機の優先順位を同じにしておくことによって、着信時に両方の呼び出し音を鳴らすことができる。そして、ユーザによってオフフックされた端末のみを要求先端末として特定することができる。尚、フォーキングは、移動端末に対する移動適応性や、ネットワークに対する冗長性を高めることに役立つ。
【0009】
しかしながら、要求元端末が接続するネットワークによっては、オプション機能が「複数ダイアログ非使用」の場合もある。この場合、要求元端末は、1つのリクエストの送信に対して複数のレスポンスが返信されても使用することができず、セッションを確立することができなかったり、確立できたとしてもタイミング的な不具合が発生することがある。
【0010】
勿論、異なるマルチメディアネットワーク間を相互接続するAS(又はIBCF/TrGW)によって、SIP/SDPを変換する処理を実行することもできる。SIP/SDPの特徴として、要求元端末と要求先端末との間でオプション機能を整合することが期待されている。しかしながら、リクエストやレスポンスの中で、その使用が明示的に示されたオプション機能がある一方で、「複数ダイアログ使用」のように、明示的に示されていないオプション機能もある。
【0011】
そこで、本発明によれば、要求元端末がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であっても、フォーキングに基づく複数の要求先端末のダイアログを整合することができる網間制御方法、SIPサーバ及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、要求元端末が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末が接続されたマルチメディアネットワークとの間に配置されたSIP(Session Initiation Protocol)サーバの網間接続方法において、
SIPサーバは、
要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送する第1のステップと、
第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信する第2のステップと、
第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しない第3のステップと、
第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行する第4のステップと
を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
所定要素は、レスポンス・コード、ヘッダ・フィールド、ボディに含まれるSDP(Session Description Protocol)のタイプのいずれかに予め規定された要素であってもよい。
【0014】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
第1のステップのリクエストは、セッション開始リクエストであり、
第2のステップのレスポンスは、暫定レスポンスであることも好ましい。
【0015】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
第1のステップのリクエストは、セッション開始リクエストであり、
第2のステップのレスポンスは、リンギングレスポンスであることも好ましい。
【0016】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、第3のステップについて、
第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が相違する場合、第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとしたメッセージ(リクエスト又はレスポンス)を、要求元端末へ送信することも好ましい。
【0017】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
第1のステップのリクエストは、セッション開始リクエストであり、
第2のステップのレスポンスは、暫定レスポンスであり、
第3のステップのレスポンスは、暫定レスポンスであり、
第3のステップのメッセージは、更新リクエストである
ことも好ましい。
【0018】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、第3のステップについて、
要求先端末から暫定レスポンスを受信した後、暫定応答確認リクエストを第2の要求先端末へ送信し、
その後、第2の要求先端末からセッション開始レスポンスを受信した際に、更新リクエストを、要求元端末へ送信することも好ましい。
【0019】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、第3のステップについて、
第1の要求先端末から第1のダイアログを含むセッション開始レスポンスを受信し、第2の要求先端末から第2のダイアログを含むセッション開始レスポンスを受信した場合、両方のダイアログの所定要素が相違する場合にのみ、更新リクエストを、要求元端末へ送信することも好ましい。
【0020】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、第3のステップについて、
更新リクエストを要求元端末へ送信し、要求元端末から更新レスポンスを受信した後、セッション開始レスポンスを要求元端末へ送信することも好ましい。
【0021】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
所定要素が、転送必須ヘッダとして登録されており、
第1のステップのリクエストは、セッション開始リクエストであり、
第2のステップのレスポンスは、暫定レスポンスであり、
第3のステップのレスポンスは、転送必須ヘッダを含む暫定レスポンスであり、
第3のステップのメッセージは、転送必須ヘッダを含む暫定レスポンスである
ことも好ましい。
【0022】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
第1のステップについて、要求先端末が接続されるマルチメディアネットワーク内で、リクエストが複数の要求先端末へフォーキングされることも好ましい。
【0023】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、
第3のステップについて、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であるか否かを判定するために、
第2の要求先端末から受信したレスポンスをそのまま、第2の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスとして、要求元端末へ送信し、
要求元端末との間で失敗シーケンスが実行された際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であると確定する
ように実行することも好ましい。
【0024】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、
第1のステップについて、要求元端末からリクエストを受信した際に、セッション更新リクエスト(UPDATE)の要求元オプションを取得し、
第3のステップについて、要求元端末の要求元オプションについて、「セッション更新リクエスト非使用」であって、且つ、「複数ダイアログ非使用」である場合、切断シーケンスを実行し、
要求元端末の「複数ダイアログ非使用」を記憶した後、改めて、第1のステップから第3のステップを実行する
ことも好ましい。
【0025】
本発明の網間接続方法における他の実施形態によれば、
SIPサーバは、
異なるCSCF間に接続されたAS(Application Server)若しくはIBCF(Interconnection Border Control Function)、又は、
異なるIMS−AGW(IP Multimedia Subsystem - Access Gateway)間に接続されたTrGW(Translation Gateway)であり、
要求元端末は、要求元のUA(User Agent)又はネットワーク通信装置であり、
要求先端末は、要求先のUA又はネットワーク通信装置である
ことも好ましい。
【0026】
本発明によれば、要求元端末が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末が接続されたマルチメディアネットワークとの間に配置されたSIPサーバにおいて、
要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送するリクエスト転送手段と、
第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信するレスポンス送信手段と、
第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しないダイアログ判定手段と、
第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行するダイアログ交換手段と
を有することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、要求元端末が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末が接続されたマルチメディアネットワークとの間に配置されたSIPサーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
要求元端末からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末へ転送するリクエスト転送手段と、
第1の要求先端末からレスポンスを受信した際に、第1の要求先端末用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末へ送信するレスポンス送信手段と、
第2の要求先端末からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、第1の要求先端末用のダイアログと第2の要求先端末用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しないダイアログ判定手段と、
第2の要求先端末用のダイアログを第1の要求先端末用のダイアログとして、要求元端末との間のシーケンスを実行するダイアログ交換手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の網間制御方法、SIPサーバ及びプログラムによれば、要求元端末がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であっても、フォーキングに基づく複数の要求先端末のダイアログを整合することができる。特に、リクエストやレスポンスの中で明示されない複数ダイアログのオプション機能について整合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0032】
図1によれば、要求元端末21が接続されたマルチメディアネットワークと、要求先端末22が接続されたマルチメディアネットワークとの間に、SIPサーバ1が配置されている。SIPサーバ1は、異なるCSCF間に接続されたAS若しくはIBCF、又は、
異なるIMS−AGW間に接続されたTrGWであってもよい。尚、以下の実施形態では、異なるマルチメディアネットワーク間に配置されたSIPサーバは、ASであるとして説明する。
【0033】
図1によれば、AS1を経由して、要求元端末21と要求先端末22との間で、セッションのリクエストとレスポンスとを転送することできる。
図1によれば、要求元端末21は、オプション機能「複数ダイアログ非使用」であるとする。
要求元端末21=オプション機能「複数ダイアログ非使用」
【0034】
尚、要求元端末は、要求元のUA(User Agent)に限られず、要求元のネットワーク通信装置(例えば要求元AS又は要求元IBCF)であってもよい。また、要求先端末も、要求先のUAに限られず、要求先のネットワーク通信装置(同様に例えば要求先AS又は要求先IBCF)であってもよい。例えば、要求元ASと要求先ASとは、網間接続用のSIPサーバであるASを介して通信するものであってもよい。
【0035】
図2は、本発明における第1の基本シーケンス図である。
【0036】
[第1のステップ]
(S11)要求元端末21が、要求先端末へ向けてリクエストを送信する。このリクエストは、要求元ネットワークのCSCF群を経由して、AS1へ転送される。
(S12)AS1は、受信したリクエストをそのまま、要求先端末22へ転送する。ここで、
図2によれば、リクエストは、要求先端末22が接続するCFCF群でフォーキングされ、複数の要求先端末22へ同時に転送されている。
【0037】
[第2のステップ]
(S21)要求先端末221は、第1のダイアログ[D1]に基づくレスポンスを、AS1へ返信する。AS1は、受信したレスポンスに応じて、要求先端末221のオプション機能を、第1のダイアログ[D1]として記憶する。
【0038】
(S22)そして、AS1は、要求先端末221から受信したレスポンスをそのまま、要求元端末21へ転送する。このとき、ダイアログは、第1の要求先端末用の第1のダイアログ[D1]に基づくものである。
【0039】
[第3のステップ]
(S31)要求先端末222も、フォーキングによって、セッション開始リクエストを受信している。そこで、要求先端末222も、レスポンスを、AS1へ返信する。レスポンスは、第2のダイアログ[D2]に基づくものである。
【0040】
(S32)AS1は、複数の要求先端末221及び222から、レスポンスを受信したことを認識する。ここで、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ使用」であれば、AS1は、要求先端末222から受信したレスポンスをそのまま、要求元端末21へ転送することができる(
図2に図示無し)。尚、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ使用」又は「非使用」かは、通信事業者によって予め設定されたものであってもよいし、後述する
図9によって判定されるものであってもよい。
【0041】
(S33)AS1は、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」である場合、第1の要求先端末221用のダイアログと第2の要求先端末222用のダイアログとを比較する。そして、両方のダイアログの所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末21へ送信しない。
【0042】
ダイアログとは、例えば呼識別子(Call-ID)と、ローカルtagと、リモートtagとの組み合わせとなるIDである。ダイアログIDは、ヘッダ情報の中の、Toタグ、Fromタグ及びCall-IDによって表される。ここで、所定要素とは、レスポンス・コード、ヘッダ・フィールド、ボディに含まれるSDPのタイプのいずれかに予め規定された要素である。
【0043】
AS1は、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとして記憶する。そして、AS1は、要求元端末21へ複数のダイアログ情報を送信しないように、第2以降のダイアログ情報を終端する。但し、第2以降のダイアログ情報であっても、所定要素が転送必須ヘッダとして登録されている場合にのみ、第1のダイアログ情報として送信する。
【0044】
[第4のステップ]
(S4)AS1は、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]として、要求元端末21との間のシーケンスを実行する。勿論、AS1は、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0045】
図3は、
図2に基づく第1の実施形態のシーケンス図である。
【0046】
図3によれば、
図2と比較して、以下のように対応する。
S1のリクエストは、セッション開始リクエストである。
S2のレスポンスは、暫定レスポンスである。
【0047】
(S11)要求元端末21が、要求先端末のURI(Uniform Resource Indicator)を宛先情報として、セッション開始リクエスト(SIP:INVITE)を送信する。このリクエストは、要求元ネットワークのCSCF群を経由して、AS1へ転送される。
【0048】
(S12)AS1は、受信したセッション開始リクエストをそのまま、要求先端末22へ転送する。
図2によれば、セッション開始リクエストは、要求先端末22が接続するCFCF群でフォーキングされ、複数の要求先端末22へ同時に転送されている。
ここで、要求元端末21がUAである場合、端末種別を特定するために、User-Agentヘッダ、P-Asserted-Identityヘッダ又はFromヘッダに含まれるSIP URIやtel URIを用いてもよい。また、要求元端末21がネットワーク通信装置である場合、網種別を特定するために、P-Charging-Vectorヘッダのioiパラメータ、P-Asserted-Identityヘッダ又はFromヘッダに含まれるSIP URIのドメイン部を用いてもよい。
【0049】
[第2のステップ]
(S21)要求先端末221は、SDPを含む暫定レスポンス(SIP:183(INVITE))を、AS1へ返信する。AS1は、受信した暫定レスポンスに応じて、要求先端末221のオプション機能を、第1のダイアログ[D1]として記憶する。
ここで、要求先端末22がUAである場合、端末種別を特定するために、User-Agentヘッダ、P-Asserted-Identityヘッダ又はToヘッダに含まれるSIP URIやtel URIを用いてもよい。また、要求先端末22がネットワーク通信装置である場合、網種別を特定するために、P-Charging-Vectorヘッダのioiパラメータ、P-Asserted-Identityヘッダ又はToヘッダに含まれるSIP URIのドメイン部を用いてもよい。
【0050】
(S22)そして、AS1は、要求先端末221から受信した暫定レスポンスをそのまま、要求元端末21へ転送する。このとき、ダイアログは、第1の要求先端末用の第1のダイアログ[D1]に基づくものである。
【0051】
[第3のステップ]
(S31)要求先端末222も、フォーキングによって、セッション開始リクエストを受信している。そこで、要求先端末222も、SDPを含む暫定レスポンス(SIP:183(INVITE))を、AS1へ返信する。暫定レスポンスは、第2のダイアログ[D2]に基づくものである。
このとき、AS1は、暫定レスポンスから、要求先端末222におけるセッション更新リクエスト(UPDATE)の要求先オプションを取得することもできる。
【0052】
(S32)AS1は、複数の要求先端末221及び222から、暫定レスポンス(SIP:183(INVITE))を受信したことを認識する。ここで、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であれば、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとして記憶する。
【0053】
(S33)AS1は、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」である場合、第1の要求先端末221用のダイアログと第2の要求先端末222用のダイアログとを比較する。両方のダイアログの所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末21へ送信しない。ここで、所定要素が同一である場合とは、暫定レスポンス・コード(SIP:183(INVITE))が同一であって、且つ、その信号に含まれる所定要素(ヘッダ・フィールド、ボディに含まれるSDPのタイプ)が同一である。即ち、要求元端末21に通知する必要が無い場合である。
【0054】
[第4のステップ]
(S4)AS1は、要求元端末21との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]としてシーケンスを実行し、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0055】
図4は、
図2に基づく第2の実施形態のシーケンス図である。
【0056】
図4によれば、
図2と比較して、以下のように対応する。
S1のリクエストは、セッション開始リクエストである。
S2のレスポンスは、リンギングレスポンスである。
【0057】
(S11〜S12)
図3のS11〜S12と同様のシーケンスである。
(S21)要求先端末221は、リンギングレスポンス(SIP:180(INVITE))を、AS1へ返信する。リンギングレスポンスは、例えば呼接続中に呼出音を要求元端末で再生させることを指示する。AS1は、受信したリンギングレスポンスに応じて、要求先端末221のオプション機能を、第1のダイアログ[D1]として記憶する。
【0058】
(S22)そして、AS1は、要求先端末221から受信したリンギングレスポンスをそのまま、要求元端末21へ転送する。このとき、ダイアログは、第1の要求先端末用の第1のダイアログ[D1]に基づくものである。
【0059】
(S31)要求先端末222も、フォーキングによって、セッション開始リクエストを受信している。そこで、要求先端末222も、リンギングレスポンス(SIP:180(INVITE))を、AS1へ返信する。リンギングレスポンスは、第2のダイアログ[D2]に基づくものである。
【0060】
(S32)AS1は、複数の要求先端末221及び222から、リンギングレスポンス(SIP:180(INVITE))を受信したことを認識する。ここで、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であれば、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとして記憶する。
【0061】
(S33)第1の要求先端末221用と第2の要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素が同一である場合、AS1は、当該レスポンスを要求元端末21へ送信しない。ここで、所定要素が同一である場合とは、リンギングレスポンス・コード(SIP:180(INVITE))が同一であって、且つ、その信号に含まれる所定要素(ヘッダ・フィールド、ボディに含まれるSDPのタイプ)が同一である。即ち、要求元端末21に通知する必要が無い場合である。
【0062】
(S4)AS1は、要求元端末21との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]としてシーケンスを実行し、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0063】
図5は、本発明における第2の基本シーケンス図である。
【0064】
(S11〜S33)
図2のS11〜S33と同様のシーケンスである。
図5によれば、
図2と比較して、S34のみが追加されている。
(S34)AS1は、要求先端末221用と要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素が相違する場合、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D1]としたメッセージを、要求元端末21へ送信する。
ここでのメッセージは、実施形態に応じて、リクエストであってもよいし、レスポンスであってもよい。要求元端末21から見て、要求先端末221用のダイアログ[D1]に基づくものである。
【0065】
図6は、
図5に基づく第1の実施形態のシーケンス図である。
【0066】
図6によれば、
図5と比較して、以下のように対応する。
第1のステップのリクエストは、セッション開始リクエストである。
第2のステップのレスポンスは、第1の要求先端末からの暫定レスポンスである。
第3のステップのレスポンスは、第2の要求先端末からの暫定レスポンスである。
第3のステップのメッセージは、更新リクエストである。
【0067】
(S11〜S31)
図2のS11〜S31と同様のシーケンスである。
(S32)AS1は、要求先端末222からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末21のオプション機能「複数ダイアログ非使用」である場合、第1の要求先端末221用のダイアログと第2の要求先端末222用のダイアログとを比較する。
(S33)第1の要求先端末221用と第2の要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素が同一である場合、AS1は、要求元端末21へ暫定レスポンスを転送しない。
(S34)AS1は、両方のダイアログの所定要素が相違する場合、要求先端末222のオプション機能のSDPを含む更新リクエスト(SIP:UPDATE)を、要求元端末21へ送信する。この更新リクエストは、第1のダイアログ情報[D1]に基づくものである。即ち、要求元端末21は、要求先端末221用のダイアログに基づく更新リクエストを受信したように見える。また、所定要素は、第2の要求先端末221に合わせたものに更新される。
(S35)要求元端末21は、更新リクエストに対して、SDPを含む更新レスポンス(SIP:200(UPDATE))を、AS1へ返信する。
【0068】
(S4)AS1は、要求元端末21との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]としてシーケンスを実行し、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0069】
図7は、
図5に基づく第2の実施形態のシーケンス図である。
【0070】
(S11〜S32)
図6のS11〜S32と同様のシーケンスである。
(S33)第1の要求先端末221用と第2の要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素が同一である場合、AS1は、要求元端末21へ暫定レスポンスを転送しない。
(S34)そして、暫定レスポンスのRequireヘッダに100relオプションが指定されている場合には、AS1は、暫定応答確認リクエスト(SIP:PRACK)を、要求先端末222へ送信する。暫定応答確認リクエストは、第2のダイアログ[D2]に基づくものである。これによって、AS1は、要求先端末222との間でセッションを確立しようとする。尚、図示しないが、転送必須ヘッダに100relオプションを含むRequireヘッダが指定されている場合には、要求元端末21へ暫定レスポンスを転送する。
(S35)これに対し、要求先端末222は、暫定応答確認リクエストに対する暫定応答確認レスポンス(SIP:200(PRACK))を、AS1へ送信する。
【0071】
(S36)そして、要求先端末222は、セッション開始レスポンス(SIP:200(INVITE))を、AS1へ送信する。セッション開始レスポンスは、第2のダイアログ[D2]に基づくものである。
【0072】
(S37)要求先端末222からのみ、第2のダイアログ[D2]を含むセッション開始レスポンス(SIP:200(INVITE))を受信した場合、AS1は、第1の要求先端末221用と第2の要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素は相違すると判定する。
一方で、図示していないが、AS1は、要求先端末221から第1のダイアログ[D1]を含むセッション開始レスポンス(SIP:200(INVITE))を受信した場合、そのレスポンスはそのまま、要求元端末21へ転送される。その後、要求先端末222から第2のダイアログ[D2]を含むセッション開始レスポンス(SIP:200(INVITE))を受信した場合、両方のダイアログの所定要素が同一か否か判定される。第1のダイアログ[D1]と第2のダイアログ[D2]とで、例えば、SDPネゴシエーションの結果で使用するコーデックが相違している場合もある。
【0073】
(S38)両方のダイアログの所定要素が相違する場合、要求元端末21と要求先端末222との間でセッションを確立させるため、AS1は、要求先端末222のオプション機能のSDPを含む更新リクエスト(SIP:UPDATE)を、要求元端末21へ送信する。更新リクエストは、第1のダイアログ情報[D1]に基づくものである。即ち、要求元端末21から見て、要求先端末221用のダイアログに基づく更新リクエストを受信したようになる。
(S39)要求元端末21は、更新リクエストに対して、SDPを含む更新レスポンス(SIP:200(UPDATE))を、AS1へ返信する。
【0074】
(S3A)AS1は、第2のダイアログ情報[D2]及び要求先端末222のオプション機能で更新できたことを確認した後に、セッション開始レスポンス(SIP:200(INVITE))を第1のダイアログ[D1]に乗せ換えて、要求元端末21へ送信する。要求元端末21は、更新リクエストによって要求先端末222のオプション機能に整合させた後、セッション開始レスポンスを要求元端末へ送信することによって、セッションを確立することができる。
【0075】
(S3B)要求元端末21は、セッション開始レスポンスに対して、確認リクエスト(SIP:ACK)を、AS1へ送信する。
(S3C)AS1は、第1のダイアログ情報を、第2のダイアログ情報に乗せ換えた確認リクエスト(SIP:PRACK)を、要求先端末222へ転送する。
【0076】
(S4)AS1は、要求元端末21との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]としてシーケンスを実行し、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0077】
図8は、
図5に基づく第3の実施形態のシーケンス図である。
【0078】
図8によれば、
図5に以下のように対応する。
S1のリクエストは、セッション開始リクエストである。
S2のレスポンスは、暫定レスポンスである。
S3のレスポンスは、転送必須ヘッダを含む暫定レスポンスである。
S3のメッセージは、転送必須ヘッダを含む暫定レスポンスである。
【0079】
図8によれば、AS1は、暫定レスポンスのヘッダの中で転送必須ヘッダを登録している。具体的には、例えばP-Early Mediaのヘッダであってもよい。P-Early Mediaとは、セッションの確立前に、端末間でメディアを流す機能である。このメディアは、例えば呼接続中に要求元端末で再生される呼出音のようなものである。そのために、P-Early Mediaは、転送必須ヘッダとして登録されることが好ましい。
【0080】
(S11〜S22)
図7のS11〜S22と同様のシーケンスである。
(S31)要求先端末222も、SDPを含む暫定レスポンス(SIP:183(INVITE))を、AS1へ返信する。ここで、レスポンスは、第2のダイアログ[D2]に基づくものであって、ヘッダにP-Early Mediaを含んだものである。
(S32)AS1は、複数の要求先端末221及び222から、レスポンスを受信したことを認識する。ここで、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ使用」であれば、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとして記憶する。
(S33)AS1は、転送必須ヘッダを含む場合に、第1の要求先端末221用と第2の要求先端末222用との両方のダイアログの所定要素が相違するか否かを判定する。
(S34)両方のダイアログの所定要素が相違し、且つ、S31で受信した暫定レスポンスのヘッダにP-Early Mediaが含まれている場合、AS1は、その暫定レスポンスを、要求先端末222用のダイアログ[D2]から要求先端末221用のダイアログ[D1]へ置き換えて、要求元端末21へ送信する。
(S35)要求元端末21は、暫定応答確認リクエストPRACKを、AS1へ返信する。
(S4)AS1は、要求元端末21との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]を要求先端末221用のダイアログ[D2]としてシーケンスを実行し、要求先端末222との間では、要求先端末222用のダイアログ[D2]に基づいてシーケンスを実行する。
【0081】
図9は、要求元端末が複数ダイアログ非使用であることを認識するための第1のシーケンス図である。
【0082】
図9によれば、セッションにおける要求元端末のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であるか否かを判定することができる。
(S11〜S31)
図2のS11〜S31と全く同じである。
【0083】
(S32)
図9によれば、AS1は、要求先端末222から受信した、第2のダイアログに基づく暫定レスポンス(SIP:183)をそのまま、要求元端末21へ返信する。ここで、要求元端末21は、第1のダイアログ[D1]に基づく暫定レスポンスと、第2のダイアログ[D2]に基づく暫定レスポンスとの両方を受信したこととなる。
【0084】
(S33)このとき、要求元端末21は、オプション機能「複数ダイアログ非使用」であるために、AS1との間で失敗シーケンスを実行することとなる。失敗シーケンスとしては、信号を破棄するのみで何もしないものでもよいし、セッションキャンセル信号(SIP:CANCEL)を送信してセッションを終了するものでもよいし、など様々な動作を想定することができる。
尚、失敗シーケンスについて、失敗レスポンスが発生した場合、特定のエラー種別(SIP Status Codeで識別)に限定してもよいし、全てのエラー種別を対象にしてもよい。
【0085】
(S34)要求元端末21との間で失敗シーケンスが実行された場合、AS1は、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であると確定する。
【0086】
(S35)そして、AS1は、要求元端末21と要求先端末221及び222との間で、セッションの切断シーケンスを実行する。
【0087】
これによって、AS1は、要求元端末21が複数ダイアログ非使用であることを認識した上で、改めて、前述した
図9のシーケンスを実行することができる。
【0088】
S11〜S35によれば、要求元端末21のオプション機能「複数ダイアログ」が明示的に特定できない場合であっても、リクエスト−レスポンスの交換の中で失敗シーケンスが発生した場合、そのオプション機能を非使用として整合させることができる。即ち、要求元端末21が「複数ダイアログ非使用」であっても、AS1は、要求元端末21へその旨を通知する必要がない。AS1は、直ぐに、単一ダイアログとして要求先端末とオプション機能を整合させることができる。
【0089】
図10は、要求元端末が複数ダイアログ非使用であることを認識するための第2のシーケンス図である。
【0090】
(S11)AS1は、要求元端末21からセッション開始リクエスト(SIP:INVITE)を受信した際に、セッション更新リクエスト(UPDATE)の要求元オプションを取得する。ここで、AS1は、要求元端末21がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であることを、知ることができる。
(S12〜S22)
図2のS12〜S22と全く同じである。
(S31)AS1は、複数の要求先端末221及び222から暫定レスポンスを受信したことを認識する。
(S32)AS1は、要求元端末21の要求元オプションについて、セッション更新リクエスト(UPDATE)が非使用であって、且つ、セッションの複数ダイアログが非使用である場合、切断シーケンスを実行する。
そして、AS1は、要求元端末21について、セッションの複数ダイアログが非使用であることを記憶した後、改めて、
図2のシーケンスを実行することができる。
【0091】
図11は、本発明におけるアプリケーションサーバの機能構成図である。
【0092】
図11によれば、アプリケーションサーバ1は、リクエスト転送部11と、レスポンス送信部12と、ダイアログ判定部13と、ダイアログ交換部14とを有する。これら機能構成部は、マルチメディアネットワーク間に配置されたサーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
リクエスト転送部11は、要求元端末21からリクエストを受信した際に、当該リクエストを要求先端末22へ転送する(
図2のS1参照)。
レスポンス送信部12は、要求先端末221からレスポンスを受信した際に、要求先端末221用のダイアログに基づくレスポンスを、要求元端末21へ送信する。
ダイアログ判定部13は、要求先端末222からレスポンスを受信した際に、セッションにおける要求元端末21のオプション機能「複数ダイアログ非使用」であって、要求先端末221用のダイアログと要求先端末222用のダイアログとを比較して所定要素が同一である場合、当該レスポンスを要求元端末へ送信しないように制御する。また、要求先端末221用のダイアログと要求先端末222用のダイアログとを比較して所定要素が相違する場合、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとしたメッセージ(リクエスト又はレスポンス)を、要求元端末へ送信する。
ダイアログ交換部14は、要求先端末222用のダイアログを要求先端末221用のダイアログとして、要求元端末21との間のシーケンスを実行する。
【0093】
以上、詳細に説明したように、本発明の網間制御方法、SIPサーバ及びプログラムによれば、要求元端末がオプション機能「複数ダイアログ非使用」であっても、フォーキングに基づく複数の要求先端末のダイアログを整合することができる。特に、リクエストやレスポンスの中で明示されない複数ダイアログのオプション機能について整合することができる。
【0094】
これによって、セッションに基づく複数ダイアログのオプション機能の不一致に基づく不具合を回避し、相互接続性を高めることができる。具体的には、移動体事業者が、自社網サービスに最適化されていない端末(例えばSIMフリー端末など)と、自社網サービスの相互接続性を高めることができる。
【0095】
また、本発明によれば、端末に特別な機能を搭載することなく、通信事業者がIMSにアプリケーションサーバ(又はIBCF)を設置するだけでよい。そのために、セッションの要求元端末及び要求先端末がオプション機能「複数ダイアログ使用/非使用」を認識する必要がない。即ち、端末から見て、IMSを介した既存シーケンスに変更を加える必要がない。また、異なる事業者に運用されるIMSやIPネットワークに対しても、汎用的に用いることができる。
【0096】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。