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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225065(P2017-225065A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】バッテリレス周辺装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20171124BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20171124BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20171124BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20171124BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20171124BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   H04M1/00 U
   H04M1/02 C
   G06K19/07
   G06K19/077 188
   G06K7/10 252
   H04R1/10 104F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-120658(P2016-120658)
(22)【出願日】2016年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 國彦
(72)【発明者】
【氏名】羽柴 健太
(72)【発明者】
【氏名】海上 貴信
(72)【発明者】
【氏名】林 正司
(72)【発明者】
【氏名】萩原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岡田 喜一
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜一郎
【テーマコード(参考)】
5D005
5K023
5K127
【Fターム(参考)】
5D005BA00
5D005BA16
5D005BB16
5K023AA07
5K023EE03
5K023EE04
5K023HH08
5K023NN06
5K023PP12
5K127BA03
5K127BB02
5K127BB05
5K127BB32
5K127CB06
5K127DA07
5K127GA36
5K127MA12
5K127MA22
(57)【要約】
【課題】動作に必要な電力をスマートフォンに代表される主装置から受け取りつつも、下り2本のサウンド信号ライン(71,72)の双方を電力伝送以外の用途に自由に活用すると共に、同時に、上り1本のサウンド信号ライン(8)も活用可能とすることで、より高機能な周辺機能を実現すること。
【解決手段】4極フォーンプラグ(P)の第3のプラグ電極(P3)及び第4のプラグ電極(P4)を介して主装置側から供給されるバイアス電圧を利用して動作し、第1のプラグ電極(P1)、及び/又は、第2のプラグ電極(P2)へ通ずるサウンド信号入力ライン(71,72)、及び/又は、第3のプラグ電極(P3)に通ずるサウンド信号出力ライン(8)を利用することにより、周辺装置としての所定の機能を実現する周辺機能実現部(34)と、を包含する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する電子機器を主装置としたとき、当該主装置から電源供給されて動作する装置であって、
第1のサウンド信号を受け取るための第1のプラグ電極と、
第2のサウンド信号を受け取るための第2のプラグ電極と、
いずれか一方が、バイアス電圧の受け取りと第3のサウンド信号の送り出しのための共用プラグ電極となり、他方がグランド電位を受け取るためのプラグ電極となる、第3及び第4の2つのプラグ電極と、を有する4極フォーンプラグと、
前記4極フォーンプラグの前記第3及び第4のプラグ電極を介して前記主装置側から供給される前記バイアス電圧を利用して動作し、前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ライン、及び/又は、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインを利用することにより、前記周辺装置としての所定の機能を実現する周辺機能実現部と、を包含するバッテリレス周辺装置。
【請求項2】
前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、サウンドの強弱に応じて点滅するランプを有するイヤフォーン装置としての機能である、請求項1に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項3】
前記第1のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインから受け取った右側のサウンド信号で駆動される右側のイヤフォーンスピーカと、
前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインから受け取った左側のサウンド信号で駆動される左側のイヤフォーンスピーカとを含み、さらに
前記周辺機能実現部が、
前記第1のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインより抽出された右側のサウンド信号、及び/又は、前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインより抽出された左側のサウンド信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部にて増幅されたサウンド信号に基づいて点滅駆動され、左右のイヤフォーンスピーカのそれぞれに付設された左右のランプとを含む、請求項2に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項4】
前記4極フォーンプラグが突き出たケースを有し、前記電源生成部及び周辺機能実現部は前記ケースに収容され、かつ前記左右のランプに至る駆動信号ラインは、前記左右のサウンド信号ラインと共に、前記ケースから左右のイヤフォーンスピーカへと至る左右のイヤフォーンコードに含まれている、請求項3に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項5】
前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、データの読み書きが可能なパッケージメモリ装置としての機能である、請求項1に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項6】
前記周辺機能実現部が、
不揮発性のメモリ部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインを介して到来するサウンド信号を受信・復調することにより、メモリの書込指令及び書込対象データが到来したと判定されるときには、前記書込指令に係る書込対象データを前記メモリ部に書き込む書込制御部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ライン介して到来するサウンド信号を受信・復調することにより、メモリの読出指令が到来したと判定されるときには、前記読出指令に係る読出対象データを前記メモリ部から読み出し、所定の変調処理を行ったのち、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインへと送信する読出制御部と、を含む請求項5に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項7】
前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、無線式カードに対する読み書きが可能な無線式カード・リーダ/ライタ装置としての機能である、請求項1に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項8】
前記周辺機能実現部が、
無線式送受信部と、
前記無線式送受信部を介して無線式カードの存在が判定されるときには、当該無線式カードから読み取られたデータに対して所定の変調処理を行ったのち、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインへと送り出す読出制御部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインを介して受け取ったサウンド信号を受信・復調することにより、前記無線式カードの書込指令及び書込対象データが到来したと判定されるときには、前記書込指令に係る書込対象データを前記無線式カードに書き込む書込制御部と、を含む請求項7に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項9】
前記第3及び第4のプラグ電極と前記周辺機能実現部との間には、
前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第1の状態と、
前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第2の状態とを、
選択可能な切替部を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項10】
前記切替部は、
前記第3のプラグ電極が高側電位、前記第4のプラグ電極が低側電位のとき、前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第1の状態と、
前記第3のプラグ電極が低側電位、前記第4のプラグ電極が高側電位のとき、前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第2の状態とを、
自動選択可能とされている、請求項9に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項11】
前記切替部が、ダイオードブリッジ回路からなる、請求項10に記載のバッテリレス周辺装置。
【請求項12】
スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置と、請求項5に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置とを接続してなるシステムであって、
前記主装置には、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込制御部と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御部と、が含まれているパッケージメモリ装置の書込/読出システム。
【請求項13】
スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置と、請求項8に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置とを接続してなるシステムであって、
前記主装置には、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込制御部と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御部と、が含まれている無線式カード・リーダ/ライタ装置の書込/読出システム。
【請求項14】
請求項5に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法であって、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込ステップと、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出ステップと、を含む4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法。
【請求項15】
請求項8に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法であって、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込ステップと、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出ステップと、を含む4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法。
【請求項16】
請求項5に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置を、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込制御手段と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用のジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項8に記載の4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置を、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込制御手段と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スマートフォンなどの4極フォーンジャックを有する電子機器を主装置としたとき、当該主装置から電力供給されて動作するバッテリレス周辺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自らが備える4極フォーンプラグを、スマートフォン側の4極フォーンジャックに接続することで、スマートフォン側から電力供給を受けて動作する所謂バッテリレス周辺装置は、種々知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
スマートフォン側の4極フォーンジャックには、右側のイヤフォーンスピーカへのサウンド信号を出力するための第1のジャック電極と、左側のイヤフォーンスピーカへのサウンド信号を出力するための第2のジャック電極と、コンデンサマイク(正確には、インピーダンス変換用のFETを内蔵する2線式のエレクトレットコンデンサマイクユニット:ECMユニット)へのバイアス電圧の供給と当該コンデンサマイクからのサウンド信号の入力とに共用される第3のジャック電極と、グランド電位を提供するための第4のジャック電極とが存在する。
【0004】
一方、バッテリレス周辺装置側には、上述の第1のジャック電極、第2のジャック電極、第3のジャック電極、及び第4のジャック電極のそれぞれに対応して、第1のプラグ電極、第2のプラグ電極、第3のプラグ電極、及び第4のプラグ電極が存在する。
【0005】
そのため、スマートフォンとバッテリレス周辺装置との間には、下り2本のサウンド信号ライン(第1のジャック電極と第1のプラグ電極を経由する第1のサウンド信号ライン、及び第2のジャック電極と第2のプラグ電極を経由する第2のサウンド信号ライン)と上り1本のサウンド信号ライン(第3のジャック電極と第3のプラグ電極を経由する第3のサウンド信号ライン)とが存在する。
【0006】
スマートフォンからバッテリレス周辺装置への電力供給は、従来、上述する下り2本のサウンド信号ラインのいずれか1本を介して行われる。これは、具体的には、スマートフォン内蔵プロセッサ側の該当するアナログ出力ポートから第1又は第2のジャック電極のいずれか1つへと、周波数及び振幅が一定の正弦波からなるサウンド信号を送出することで行われる。このような信号形態のサウンド信号によれば、バッテリレス周辺装置の側では、整流回路及び平滑回路と言った簡単な受動回路を用意するだけで、当該サウンド信号に基づいて、電圧の安定した直流電源を生成できるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−036332号公報
【特許文献2】特許第5552191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、スマートフォンからバッテリレス周辺装置へと電力供給を行おうとすると、下り2本のサウンド信号ラインのいずれか1本は、電力供給のために占有されてしまう。このことは、スマートフォンとバッテリレス周辺装置との間には、下り2本のサウンド信号ラインが存在するとはいえ、そのうちの1本は電力供給のために占有されてしまうため、スマートフォン側からバッテリレス周辺装置側へと何らかの信号(例えば、アナログサウンド信号又はデジタルデータ信号)を送り込むためには、1本のサウンド信号ラインしか残されていないことを意味している。
【0009】
そのため、バッテリレス周辺装置において、例えば、イヤホンスピーカでサウンドを再生可能としつつも、なんらかの付加的機能(例えば、サウンドの強弱に応じた光の点滅等)を実現しようとすると、下りのサウンド信号ラインは1本しか使用できないため、左右いずれかのチャネルのサウンドはイヤホンスピーカから再生することができず、ステレオサウンド再生を断念せざるを得ない。
【0010】
また、バッテリレス周辺装置において、例えば、スマートフォンから伝送されてくる一連のデジタルデータを受け取りながら、なんらかの付加的機能(例えば、それらのデータをメモリに書き込む機能やカードに書き込む機能等)を実現しようとすると、この種の周辺装置におけるデータ伝送には、通常、比較的低周波数(可聴周波数又はその前後程度)の搬送波を利用した変調方式(例えば、振幅変調方式(ASK)、周波数変調方式(FSK)、位相変調方式(PSK)等)が採用されることから、1本の下りのサウンド信号ラインだけでは、必要な伝送速度を充分に確保することができない場合もある。
【0011】
この発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、動作に必要な電力をスマートフォンに代表される主装置から受け取りつつも、下り2本のサウンド信号ラインの双方を電力伝送以外の用途に自由に活用すると共に、同時に、上り1本のサウンド信号ラインをも活用可能とすることで、より高機能な周辺機能を実現可能とした、4極フォーンジャック付きのバッテリレス周辺装置を提供することにある。
【0012】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果について、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の技術的課題は、以下の構成を有するバッテリレス周辺装置により、解決することができると考えられる。
すなわち、本発明のバッテリレス周辺装置は、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する電子機器を主装置としたとき、当該主装置から電源供給されて動作する装置であって、
第1のサウンド信号を受け取るための第1のプラグ電極と、
第2のサウンド信号を受け取るための第2のプラグ電極と、
いずれか一方が、バイアス電圧の受け取りと第3のサウンド信号の送り出しのための共用プラグ電極となり、他方がグランド電位を受け取るためのプラグ電極となる、第3及び第4の2つのプラグ電極と、を有する4極フォーンプラグと、
前記4極フォーンプラグの前記第3及び第4のプラグ電極を介して前記主装置側から供給される前記バイアス電圧を利用して動作し、前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ライン、及び/又は、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインを利用することにより、前記周辺装置としての所定の機能を実現する周辺機能実現部と、を包含する。
【0014】
このような構成によれば、周辺機能実現部は、前記4極フォーンプラグの前記第3及び第4のプラグ電極を介して前記主装置側から供給される前記バイアス電圧を利用して動作するものであるから、前記第1のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ラインと前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ラインとからなる下り2本のサウンド信号ラインは、電力伝送以外の用途に自由に活用可能となる。
【0015】
また、前記共用プラグ電極へ通ずるサウンド信号出力ラインは、本来、コンデンサマイクへのバイアス電圧の供給と前記コンデンサマイクからのサウンド信号の入力とに共用されるものであるから、主装置側から電力を受電しつつも、同じサウンド信号出力ラインを利用して、主装置側へとデータを伝送することもできる。
【0016】
加えて、周辺機能実現部は、前記主装置側から供給される前記バイアス電圧を利用して動作し、前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ライン、及び/又は、前記第3のプラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインを利用することにより、前記周辺装置としての所定の機能を実現する。
【0017】
そのため、本発明によれば、動作に必要な電力をスマートフォンに代表される主装置から受け取りつつも、下り2本のサウンド信号ラインの双方を電力伝送以外の用途に自由に活用すると共に、必要により、上り1本のサウンド信号ラインをも活用可能とすることで、より機能性の改善された周辺装置を実現可能とした、4極フォーンジャック付きのバッテリレス周辺装置を提供することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施の態様によれば、前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、サウンドの強弱に応じて点滅するランプを有するイヤフォーン装置としての機能であってもよい。
【0019】
このとき、前記イヤフォーン装置は、
前記第1のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインを介して受け取った右側のサウンド信号で駆動される右側のイヤフォーンスピーカと、
前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインを介して受け取った左側のサウンド信号で駆動される左側のイヤフォーンスピーカとを含み、さらに
前記周辺機能実現部が、
前記第1のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインより抽出された右側のサウンド信号、及び/又は、前記第2のプラグ電極に通ずるサウンド信号入力ラインより抽出された左側のサウンド信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部にて増幅されたサウンド信号に基づいて点滅駆動され、左右のイヤフォーンスピーカのそれぞれに付設された左右のランプとを含む、ものであってもよい。
このような構成によれば、右側及び左側のイヤフォーンスピーカを用いてステレオサウンドを楽しむことができると共に、それらのスピーカに付設されたランプをサウンドの強弱に応じて点滅させることで、意匠性乃至ファッション性にも優れたイヤフォーン装置を実現することができる。
【0020】
このとき、前記4極フォーンプラグが突き出たケースを有し、前記周辺機能実現部は前記ケースに収容され、かつ前記左右のランプに至る駆動信号ラインは、前記左右のサウンド信号ラインと共に、前記ケースから左右のイヤフォーンスピーカへと至る左右のイヤフォーンコードに含まれている、ものであってもよい。
【0021】
このような構成によれば、前記周辺機能実現部は前記ケースに収容され、かつ前記左右のランプに至る駆動信号ラインは、前記左右のサウンド信号ラインと共に、前記ケースから左右のイヤフォーンスピーカへと至る左右のイヤフォーンコードに含まれることで、イヤフォーン装置のコンパクト化が可能となる。
【0022】
本発明の好ましい実施の一態様によれば、前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、データの読み書きが可能なパッケージメモリ装置としての機能であってもよい。
【0023】
このとき、前記周辺機能実現部が、
不揮発性のメモリ部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ラインを介して到来するサウンド信号を受信・復調することにより、メモリの書込指令及び書込対象データが到来したと判定されるときには、前記書込指令に係る書込対象データを前記メモリ部に書き込む書込制御部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ラインを介して到来するサウンド信号を受信・復調することにより、メモリの読出指令が到来したと判定されるときには、前記読出指令に係る読出対象データを前記メモリ部から読み出し、所定の変調処理を行ったのち、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインへと送信する読出制御部と、を含むものであってもよい。
【0024】
このような構成によれば、スマートフォンに代表される主装置からの指令に応答して、不揮発性メモリ部に対して、書込処理及び読出処理を実現することができると共に、特に、書込処理については、必要により、下り2本のサウンド信号ラインの双方を使用することにより、上りの2倍の伝送速度を確保することで、高速なメモリ書込処理を実現することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の一態様によれば、前記周辺機能実現部にて実現されるべき前記周辺装置としての所定の機能が、無線式カードに対する読み書きが可能な無線式カード・リーダ/ライタ装置としての機能であってもよい。
【0026】
このとき、前記周辺機能実現部が、
無線式送受信部と、
前記無線式送受信部を介して無線式カードの存在が判定されるときには、当該無線式カードから読み取られたデータに対して所定の変調処理を行ったのち、前記第3のプラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインへと送信する読出制御部と、
前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ラインを介して到来するサウンド信号を受信・復調することにより、前記無線式カードの書込指令及び書込対象データが到来したと判定されるときには、前記書込指令に係る書込対象データを前記無線式カードに書き込む書込制御部と、を含むものであってもよい。
このような構成によれば、スマートフォンに代表される主装置からの指令に応答して、無線式カードに対して、書込処理及び読出処理を実現することができると共に、特に、書込処理については、必要により、下り2本のサウンド信号ラインの双方を使用することにより、上りの2倍の伝送速度を確保することで、高速なカード書込処理を実現することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施の態様においては、
前記第3及び第4のプラグ電極と前記周辺機能実現部との間には、
前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第1の状態と、
前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第2の状態とを、
選択可能な切替部を有する、ものであってもよい。
【0028】
このような構成によれば、前記切替部を第1の状態と第2の状態とに切り替えることにより、iPhone(登録商標)等に採用されるCTIA規格の4極フォーンジャックとAndroid(登録商標)対応のスマートフォン(例えば、Galaxy(登録商標))に採用されるOMPT規格の4極フォーンジャックとのいずれにも適用して、主装置側から電力供給を受けることができる。
【0029】
このとき、前記切替部は、
前記第3のプラグ電極が高側電位、前記第4のプラグ電極が低側電位のとき、前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第1の状態と、
前記第3のプラグ電極が低側電位、前記第4のプラグ電極が高側電位のとき、前記周辺機能実現部の高電位側入力端を前記第4のプラグ電極へ、低電位側入力端を前記第3のプラグ電極へ、それぞれ導通させる第2の状態とを、
自動選択可能とされている、ものであってもよい。
【0030】
このような構成によれば、上述の切替部は、第3のプラグ電極と第4のプラグ電極の電位高低の関係に応じて自動的に切り替わる結果、前記周辺機能実現部の高側入力端には高側電位がまた低側入力端には低側電位が、常に、現れる。そのため、主装置側の4極フォーンプラグの規格がCTIA規格かOMPT規格かを意識する必要がない。
【0031】
このとき、前記切替部が、ダイオードブリッジ回路からなるものであれば、切替部の構成を簡素化して、コストダウンを図ることができる。
【0032】
別の一面から見た本発明は、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置と、先述のパッケージメモリ装置として機能する4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置とを接続してなるシステムとして把握することもできる。
【0033】
このとき、前記主装置には、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込制御部と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御部と、が含まれている、ものであってもよい。
【0034】
別の一面から見た本発明は、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置と、先述の無線式カード・リーダ/ライタ装置として機能する4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置とを接続してなるシステムとして把握することもできる。
【0035】
このとき、前記主装置には、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込制御部と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御部と、が含まれていてもよい。
【0036】
別の一面から見た本発明は、先述のパッケージメモリ装置として機能しかつ4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法として把握することもできる。
【0037】
そして、この方法は、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込ステップと、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出ステップと、を含むものであってもよい。
【0038】
別の一面から見た本発明は、先述の無線式カード・リーダ/ライタ装置として機能しかつ4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置の制御方法として把握することもできる。
【0039】
そして、この方法は、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込ステップと、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出ステップと、を含むものであってもよい。
【0040】
別の一面から見た本発明は、先述のパッケージメモリ装置として機能しかつ4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置を、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリへのデータ書込処理を実現する書込制御手段と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成するパッケージメモリ装置の内蔵メモリからデータを読み出させ、これをバイアス電圧の送り出しとサウンド信号の受け取りのための共用ジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御手段として機能させるためのコンピュータプログラムとしても把握することができる。
【0041】
さらに、別の一面から見た本発明は、先述の無線式カード・リーダ/ライタ装置として機能しかつ4極フォーンプラグを有するバッテリレス周辺装置が接続された、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する主装置を、
書込指令及び書込対象データにより所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて、無線式カードへのデータ書込処理を実現する書込制御手段と、
読出指令により所定の変調がかけられたサウンド信号を、第1のジャック電極、及び/又は、第2のジャック電極へと送り出すことにより、前記バッテリレス周辺装置を構成する無線式カード・リーダ/ライタ装置を動作させて無線式カードからデータを読み出させ、これを第3のジャック電極から読み込んで復調することにより、データ読出処理を実現する読出制御手段として機能させるためのコンピュータプログラムとしても把握することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、動作に必要な電力をスマートフォンに代表される主装置から受け取りつつも、下り2本のサウンド信号ラインの双方を電力伝送以外の用途に自由に活用すると共に、必要により、上り1本のサウンド信号ラインも活用可能とすることで、より機能性の改善された周辺装置を実現可能とした、4極フォーンジャック付きのバッテリレス周辺装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、スマートフォン側のサウンド入出力回路の概略構成図である。
図2図2は、点滅ランプ付きイヤフォン装置の外観図である。
図3図3は、点滅ランプ付きイヤフォン装置の回路図である。
図4図4は、スマートフォン側の楽音再生処理を示す概略フローチャートである。
図5図5は、バッテリレス周辺装置の他の例を示す図である。
図6図6は、パッケージメモリ装置の回路図である。
図7図7は、スマートフォンとパッケージメモリ装置との間のやりとりを示すフローチャート(メモリ書込持)である。
図8図8は、スマートフォンとパッケージメモリ装置との間のやりとりを示すフローチャート(メモリ読出持)である。
図9図9は、スマートフォンとゲーム機との間におけるデータ交換の応用例を示す図である。
図10図10は、無線リーダ/ライタ装置の回路図である。
図11図11は、スマートフォンと無線式カード・リーダ/ライタ装置とのやりとりを示すフローチャートである。
図12図12は、各規格専用対応とする場合の説明図である。
図13図13は、両規格手動切替対応とする場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、本発明に係るバッテリレス周辺装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
本発明に係るバッテリレス周辺装置は、スマートフォンや家庭用ゲーム機などの4極フォーンジャックを有する電子機器を主装置としたとき、当該主装置から電源供給されて動作する装置であって、
第1のサウンド信号を受け取るための第1のプラグ電極と、
第2のサウンド信号を受け取るための第2のプラグ電極と、
いずれか一方が、バイアス電圧の受け取りと第3のサウンド信号の送り出しのための共用プラグ電極となり、他方がグランド電位を受け取るためのプラグ電極となる、第3及び第4の2つのプラグ電極と、を有する4極フォーンプラグと、
前記4極フォーンプラグの前記第3及び第4のプラグ電極を介して前記主装置側から供給される前記バイアス電圧を利用して動作し、前記第1のプラグ電極、及び/又は、前記第2のプラグ電極へ通ずるサウンド信号入力ライン、及び/又は、前記共用プラグ電極に通ずるサウンド信号出力ラインを利用することにより、前記周辺装置としての所定の機能を実現する周辺機能実現部と、を包含することを特徴とするものである。
【0046】
<主装置側の入出力回路について>
本発明のバッテリレス周辺装置が適用される主装置としては、スマートフォンや各種の家庭用ゲーム機等の4極フォーンジャックを有する種々の装置が考えられる。以下、これらの装置の中で、代表的な装置であるスマートフォンを例にとり、その入出力回路の一例について概説する。
【0047】
スマートフォンのサウンド入出力回路の概略構成図が、図1に示されている。当業者にはよく知られているように、この種の4極フォーンジャックJには、CTIA規格のもの(同図(a)参照)とOMPT規格のもの(同図(b)参照)とが知られている。CTIA規格の4極フォーンジャックJは、例えば、android(登録商標)系スマートフォン等に多く採用される一方、OMPT規格の4極フォーンジャックJは、ios(登録商標)系スマートフォン等に多く採用される。いずれの規格の4極フォーンジャックもハードウエア構成は基本的に同一であり、挿入口の奥部から入口部へ向けて4個のジャック電極J1,J2,J3,J4を有する。
【0048】
第1及び第2のジャック電極J1,J2には、いずれの規格の4極フォーンジャックにあっても、同図(a)及び同図(b)に示されるように、スマートフォン内蔵のプロセッサの図示しない2つのアナログ出力ポートから出力される2系統のサウンド信号が、アンプA1,A2をそれぞれ介して供給される。
【0049】
ここで、2系統のサウンド信号の内容は、楽音再生モードの場合とデータ送信モードの場合とで異なる。すなわち、楽音再生モードの場合には、2系統のサウンド信号の内容は、左右のチャネルのオーディオ信号そのものとなるのに対して、データ送信モードの場合には、送信データによりキャリア(例えば、オーディオ周波数又はその近辺の周波数を有する正弦は交流信号など)を所定の変調方式(例えば、周波数変調方式、位相変調方式、振幅変調方式など)により変調してなる変調データ信号となる。
【0050】
第3及び第4のジャック電極J3,J4に供給される信号の内容は、CTIA規格の場合とOMPT規格の場合とで異なる。
【0051】
すなわち、CTIA規格の場合、同図(a)に示されるように、第3のジャック電極J3には、GND電位が供給される一方、第4のジャック電極J4は、図示しないコンデンサマイク(正確には、インピーダンス変換用のFETを内蔵する2線式のエレクトレットコンデンサマイクユニット:ECMユニット)へのバイアス電圧の供給と当該コンデンサマイクからのサウンド信号の入力とに共用される。
【0052】
より具体的には、同図(a)に示されるように、電源電圧VCCは抵抗R01を経由したのち、図示しないコンデンサマイクのバイアス電圧として第4のジャック電極J4へと供給される。同時に、図示しないコンデンサマイクからのサウンド信号は、第4のジャック電極J4から取り込まれたのち、結合コンデンサC01及びアンプA3を経由したのち、スマートフォン内蔵のプロセッサの図示しないアナログ入力ポート(A/D変換器経由)へと供給される。一方、第3のジャック電極J3は、GNDへと接続される。
【0053】
これに対して、OMPT規格の場合、同図(b)に示されるように、第4のジャック電極J4には、GND電位が供給される一方、第3のジャック電極J4は、図示しないコンデンサマイク(正確には、インピーダンス変換用のFETを内蔵する2線式のエレクトレットコンデンサマイクユニット:ECMユニット)へのバイアス電圧の供給と当該コンデンサマイクからのサウンド信号の入力とに共用される。
【0054】
より具体的には、同図(b)に示されるように、電源電圧VCCは抵抗R01を経由したのち、図示しないコンデンサマイクのバイアス電圧として第4のジャック電極J3へと供給される。同時に、図示しないコンデンサマイクからのサウンド信号は、第3のジャック電極J3から取り込まれたのち、結合コンデンサC01及びアンプA3を経由したのち、スマートフォン内蔵のプロセッサの図示しないアナログ入力ポート(A/D変換器経由)へと供給される。一方、第4のジャック電極J4は、GNDへと接続される。
【0055】
このように、CTIA規格とOMPT規格とでは、第3のジャック電極J3及び第4のジャック電極J4の意味付けが正反対となるため、これから説明するバッテリレス周辺装置にあっては、いずれかの規格の専用機とするか、それとも双方の規格の兼用機とするかに応じて、適切な配慮が必要となる。
【0056】
<点滅ランプ付きイヤフォーン装置について>
本発明に係るバッテリレス周辺装置の一実施形態である点滅ランプ付きイヤフォーン装置について説明する。
【0057】
1.外観構成について
点滅ランプ付イヤフォーン装置の外観図が、図2に示されている。同図に示されるように、このイヤフォーン装置1は、回路部品等が内蔵されるケース11と、ケース11から延びる右側イヤフォーンコード12R及び左側イヤフォーンコード12Lと、それらのイヤフォーンコードの先端に取り付けられた右側イヤフォーンスピーカ13R及び左側イヤフォーンスピーカ13Lと、それらにイヤフォーンスピーカに付設された右側LEDランプ14R及び左側LEDランプ14Lとを有する。
【0058】
後述するように、右側イヤフォーンコード12Rには、右側のサウンド信号ラインとなる電線と右側のランプ駆動ラインとなる電線が含まれている。同様にして、左側イヤフォーンコード12Lには、左側のサウンド信号ラインとなる電線と左側のランプ駆動ラインとなる電線が含まれている。
【0059】
ケース11には、4極フォーンプラグPがケースから突き出る状態で一体的に固定されている。この4極フォーンプラグPには、その先端部から根元部に向けて、第1のプラグ電極P1と、第2のプラグ電極P3と、第3のプラグ電極P4とが配置されている。
【0060】
4極フォーンプラグPを4極フォーンジャックJにしっかりと差し込むと、第1のプラグ電極P1は第1のジャック電極J1に、第2のプラグ電極P2は第2のジャック電極J2に、第3のプラグ電極P3は第3のジャック電極J3に、第4のプラグ電極P4は第4のジャック電極J1に、それぞれ導通する。
【0061】
2.回路構成について
a.全体の概略
点滅ランプ付イヤフォン装置の回路図が、図3に示されている。同図に示されるように、点滅ランプ付イヤフォン装置の回路部は、右側のイヤフォーンスピーカ13Rと、左側のイヤフォーンスピーカ13Lと、右側のイヤフォーンスピーカ13Rに付設された右側LEDランプ14Rと、左側のイヤフォーンスピーカ13Lに付設された左側LEDランプ14Lと、切替部15と、周辺機能実現部16とから概略構成されている。
【0062】
第1のプラグ電極P1は、抵抗R1を経由する下りの第1サウンド信号ライン71を介して、右側のイヤフォーンスピーカ13Rの一端に、第2のプラグ電極P2は、抵抗R2を経由する下りの第2サウンド信号ライン72を介して、左側のイヤフォーンスピーカ13Lに、それぞれ接続されている。一方、右側及び左側のイヤフォーンスピーカ13R,13Lの各他端は共通ライン73を経て戻され、さらに、2本に分岐されたのち、それぞれ結合コンデンサC6,C7を経て、第3のプラグ電極P3、第4のプラグ電極P4へと接続されている。なお、図において、抵抗R5は、コンデンサマイク相当の負荷が第3のプラグ電極P3又は第4のプラグ電極P4のいずれかに接続されていることをスマートフォン側に認識させるためのものである。
【0063】
b.切替部の構成
切替部15は、この例にあっては、本装置1を、CTIA規格の4極フォーンジャックとOMPT規格の4極フォーンジャックとの双方に対応可能とするためのもので、具体的には、4個のダイオードD1〜D4を用いたダイオードブリッジ回路(所謂全波整流回路)により構成されいる。
【0064】
本装置1の4極フォーンプラグPがCTIA規格の4極フォーンジャックJに差し込まれると、第3のプラグ電極P3には所定の低側電位(GND)が、第4のプラグ電極P4には所定の高側電位(VCC)が、それぞれ現れる。すると、第4のプラグ電極P4→ダイオードD3→周辺機能実現部16の高電位側入力端61の順に流れる電流路が形成されて、高電位側入力端61には所定の高側電位(VCC−VBE)(VBEはダイオードD3の順方向降下電圧(例えば、約0.6V))が現れる。同時に、周辺機能実現部16の低電位側入力端62→ダイオードD2→第3のプラグ電極P3の順に流れる電流路が形成されて、低電位側入力端62には所定の低側電位(GND+VBE)(VBEはダイオードD2の順方向降下電圧)が現れる。
【0065】
本装置1の4極フォーンプラグPがOMPT規格の4極フォーンジャックJに差し込まれると、第3のプラグ電極P3には所定の高側電位(VCC)が、第4のプラグ電極P4には所定の低側電位(GND)が、それぞれ現れる。すると、第3のプラグ電極P3→ダイオードD4→周辺機能実現部16の高電位側入力端61の順に流れる電流路が形成されて、高電位側入力端61には所定の高電位(VCC−VBE)(VBEはダイオードD3の順方向降下電圧)が現れる。同時に、周辺機能実現部16の低電位側入力端62→ダイオードD1→第4のプラグ電極P4の順に流れる電流路が形成されて、低電位側入力端62には所定の低電位(GND+VBE)(VBEはダイオードD2の順方向降下電圧)が現れる。
【0066】
したがって、スマートフォン側の4極フォーンジャックJの規格が、CTIA規格かOMPT規格かに拘わらず、高電位側入力端61には所定の高電位(VCC−VBE)が、低電位側入力端62には所定の低電位(GND)が現れる。したがって、今仮に、VCC=2.7V、GND=0Vとすると、周辺機能実現部16の高電位側入力端61と低電位側入力端62との間には、直流電源電圧として機能する電位差1.5V(=2.7−0.6×2)が得られることとなる。
【0067】
c.周辺機能実現部の構成
周辺機能実現部16は、電源生成部と、増幅回路16Aと、二値・低域化回路16Bと、昇圧回路16Cとから概略構成されている。
【0068】
電源生成部は、この例にあっては、負荷変動に対して電源電圧を安定化されるためのコンデンサC4を含んで構成されている。これにより、スイッチング動作による負荷の変動に起因する電源電圧の変動が抑制される。
【0069】
増幅回路16Aは、下り2本のサウンド信号ライン71,72から抵抗R6,R7を介して取り出されたのち、結合コンデンサC2を介して抽出された合成サウンド信号を増幅するもので、この例にあっては、NPN型トランジスタQ1と、コレクタ抵抗R3と、コレクタ・エミッタ間帰還抵抗R8とを備えたエミッタ接地型増幅回路により構成されている。
【0070】
二値・低域化回路16Bは、増幅回路16Aで増幅されたのち、結合コンデンサC1を介して抽出された合成サウンド信号を基準値と比較して二値化すると共に、その所定低域成分(例えば、人の目に点滅と認識できる程度の低周波成分)を出力するもので、この例にあっては、PNP型トランジスタQ2と、低域フィルタとして機能するコレクタ側のコンデンサC5と、バイアス抵抗R4とを備えたコレクタ接地型増幅回路により構成されている。
【0071】
昇圧回路16Cは、二値・低域化回路16Bで二値化及び低域化された合成サウンド信号を共振回路を利用して昇圧すると共に、昇圧された合成サウンド信号を右側及び左側のLEDランプ14R、14Lの直列体に印加することで、LEDのしきい値電圧を利用して、右側及び左側のLEDランプ14R,14Lを、サウンドの強弱に応じかつ人の目に点滅と認識できるような間隔で駆動するもので、この例にあっては、NPN型トランジスタQ3と、複数の共振要素(インダクタンスL1,L2、コンデンサC3)及び抵抗R9を含んだエミッタ接地型増幅回路により構成されている。
【0072】
3.スマートフォン側の楽音再生処理について
スマートフォン側の楽音再生処理を示すフローチャートが、図4に示されている。なお、同図に示される処理に相当するアプリケーションプログラムは、通常、購入当初からスマートフォンにインストールされているが、例えば、通信機能を利用して、インターネットからダウンロードすることで、家庭用ゲーム機などの電子装置にもインストールすることができる。
【0073】
同図において、処理が開始されると、先ず、インターネットからダウンロードしてメモリに記憶された複数楽曲の楽音データの1つが、スマートフォンにおける所定の選択操作を介して選択されたのち(ステップ101)、続いて、当該楽曲の演奏開始を待機する状態となる(ステップ102、ステップ103NO)。
【0074】
この状態において、スマートフォンにおける所定操作によって、当該楽曲の演奏開始が指示されると(ステップ103YES)、以後、所定の楽音サンプルタイミングが到来して(ステップ108YES)、読み出しデータ指定のためのポインタがインクリメントされる毎に(ステップ109)、各サンプルタイミングにおける左右楽音の時分割瞬時値に相当する左右一対の楽音データのメモリからの読み出し処理(ステップ104,106)及びD/A変換処理(ステップ105,107)が、演奏終了に至るまで(ステップ110YES)、繰り返される。その結果、スマートフォン側の4極フォーンジャックJの第1のジャック電極J1には右側サウンド信号が、第2のジャック電極J2には左側サウンド信号が現れる(図1参照)。
【0075】
4.点滅ランプ付イヤフォ−ン装置の作用について
以上説明したイヤフォ−ン装置1によれば、装置1側の4極フォーンプラグPをスマートフォン側の4極フォーンジャックJにしっかりと差し込んだのち、スマートフォン側にて所定の楽音再生処理に相当するアプリケーションプログラム(図4参照)を実行させれば、第1のプラグ電極P1に通ずる第1のサウンド信号ライン71にはステレオ右チャネルのサウンド信号が、第2のプラグ電極P2に通ずる第2のサウンド信号ライン72にはステレオ左チャネルのサウンド信号が現れるから、右側のイヤフォーンスピーカ13R及び左側のイヤフォーンスピーカ13Lを利用することで、ユーザはステレオサウンドを楽しむことができる。同時に、右側及び左側のイヤフォーンスピーカ13R,13Lに付設されたLEDランプ14R,14Lは、右側と左側との合成サウンドの強弱に応じて点滅するから、これを周囲から見れば、斬新な意匠性乃至ファッション性を呈することとなる。殊に、図示の回路にあっては、合成サウンドの微細な強弱ではなく、サウンド全体から見たより大きな抑揚のピークに感応して点灯することから、点滅の間隔が比較的に長く、これにより患者をして明確に点滅を認識させることができる。
【0076】
<バッテリレス周辺装置の他の例について>
本発明に係るバッテリレス周辺装置は、第3のプラグ電極P3と第4のプラグ電極P4とを介して得られるバイアス電圧を利用して動作するものであるから、下り2本のサウンド信号ライン71,72を自由に活用できると共に、第3のプラグ電極P3は双方向性であることから、上り1本のサウンド信号ライン8(図6図10参照)も必要に応じて活用することできる。したがって、本発明にあっては、それらの信号ライン71,72,8を適宜に活用することで、様々な機能を有するバッテリレス周辺装置を実現することができる。
【0077】
<パッケージメモリ装置について>
本発明に係るバッテリレス周辺装置の他の実施形態であるパッケージメモリ装置について説明する。
【0078】
1.外観構成について
バッテリレス周辺装置の他の例を示す図が、図5に示されている。同図(a)に示されるように、パッケージメモリ装置2は、回路部品等が収容される所謂USBメモリ装置の本体部に類似のケース21を有する。
【0079】
ケース21には、4極フォーンプラグPがケースから突き出る状態で一体的に固定されている。この4極フォーンプラグPには、その先端部から根元部に向けて、第1のプラグ電極P1と、第2のプラグ電極P3と、第3のプラグ電極P4とが配置されている。
【0080】
4極フォーンプラグPを4極フォーンジャックJにしっかりと差し込むと、第1のプラグ電極P1は第1のジャック電極J1に、第2のプラグ電極P2は第2のジャック電極J2に、第3のプラグ電極P3は第3のジャック電極J3に、第4のプラグ電極P4は第4のジャック電極J1に、それぞれ導通する。
【0081】
2.回路構成について
パッケージメモリ装置の回路図が、図6に示されている。同図に示されるように、パッケージメモリの装置2の回路部は、切替部15と周辺機能実現部27とを主体として構成されている。
【0082】
切替部15の構成は、先に図3を参照して説明したものと同様であって、スマートフォン側の4極フォーンジャックJの規格が、CTIA規格かOMPT規格かに拘わらず、高電位側入力端61には所定の高電位(VCC−VBE)が、低電位側入力端62には所定の低電位(GND)が現れる。したがって、今仮に、VCC=2.7V、GND=0Vとすると、周辺機能実現部27の高電位側入力端61と低電位側入力端62との間には、直流電源電圧として機能する電位差1.5V(=2.7−0.6×2)が得られるように構成されている。
【0083】
周辺機能実現部27は、この例にあっては、コンデンサC4とレギュレータ(電圧安定化回路)22とを含む電源生成部と、この電源生成部にて生成された直流電源を受けて動作する高密度集積回路(LSI)であるシステム・オン・チップ(SoC)とから構成されている。
【0084】
この例にあっては、システム・オン・チップ(SoC)は、入力バッファ23とプロセッサ24と出力バッファ25とメモリ26とを含んで構成されている。
【0085】
入力バッファ23は、第1のプラグ電極P1へと通ずる第1のサウンド信号ライン71と第2のプラグ電極P2へと通ずる第2のサウンド信号ライン72とからなる下り2本のサウンド信号ラインを介して到来する2系統のサウンド信号(変調サウンド信号)を受信するためのものである。
【0086】
出力バッファ25は、第3のプラグ電極P3及び第4のプラグ電極P4に通ずる上り1本のサウンド信号ライン8へと1系統のサウンド信号(変調サウンド信号)を送り出すためのものである。
【0087】
メモリ26は、この例では、不揮発性の読み書き可能な半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ等々)にて構成されており、スマートフォン側から送られてくるデータを格納するものである。
【0088】
プロセッサ24は、入力バッファ23を介して受信されたサウンド信号の復調処理、復調により取り出された指令の解読実行処理、メモリ26に対するデータ書込処理、メモリ26からのデータ読出処理、変調されたサウンド信号を出力バッファ25への送出処理等々を実行するマイクロプロセッサである。なお、プロセッサ24の動作については、図7及び図8を参照しつつ、のちに、詳細に説明する。
【0089】
3.スマートフォンとパッケージメモリとのやりとりについて
a.メモリ書込時
スマートフォンとパッケージメモリとのやりとりを示すフローチャートが、図7に示されている。同図において、処理が開始されると、先ず、スマートフォン側では、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれか一方を経由して、パッケージメモリ側へと、接続要求に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ201)。
【0090】
続いて、パッケージメモリ側では、受信復調した接続要求に基づいて所定の準備を行ったのち、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、接続応答に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ212)。
【0091】
続いて、スマートフォンの側では、接続応答を受信したのち(ステップ202)、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれかを経由して、パッケージメモリ側へと、書込コマンドに相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ203)。パッケージメモリの側では、受信復調した書込コマンドに基づいて所定の書込準備を行う(ステップ213)。
【0092】
続いて、スマートフォンの側では、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch,Rch)の双方を経由して、パッケージメモリ側へと、一連の書込データに相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ204)。パッケージメモリの側では、受信した変調サウンド信号を復調して一連の書込データを再生し(ステップ214)、これらをメモリ26へと順次に書き込み(ステップ215)、その完了を待って、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、書込完了応答に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ216)。
【0093】
続いて、スマートフォンの側では、受信復調した書込完了応答に基づいて書込完了を確認したのち(ステップ205)、通信の接続を断ってから(ステップ206)、全ての処理を終了する。
【0094】
以上説明したメモリ書込時の処理によれば、上り2本のサウンド信号ラインであるスピーカライン(Lch,Rch)の双方を経由して、パッケージメモリ側へと、一連の書込データに相当する変調サウンド信号を送り出すことから(ステップ204)、1本のサウンド信号ラインに依存する場合に比べて、伝送速度を約2倍とすることで、実質的な書込所要時間を大幅に短縮することができる。
【0095】
b.メモリ読出時
スマートフォンとパッケージメモリとのやりとりを示すフローチャートが、図8に示されている。同図において、処理が開始されると、先ず、スマートフォン側では、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれか一方を経由して、パッケージメモリ側へと、接続要求に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ221)。
【0096】
続いて、パッケージメモリ側では、受信復調した接続要求に基づいて所定の準備を行ったのち、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、接続応答に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ232)。
【0097】
続いて、スマートフォンの側では、接続応答を受信したのち(ステップ222)、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれかを経由して、パッケージメモリ側へと、読出コマンドに相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ223)。
【0098】
続いて、パッケージメモリの側では、受信復調した読出コマンドに基づいて所定の読出準備を行ったのち(ステップ233)、読出コマンドにて指定された一連のデータをメモリ26から読み出すと共に、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、読み出しされたデータに相当する変調サウンド信号を送り出し(ステップ236)、読出完了を待って、読出完了応答に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ236)。
【0099】
一方、スマートフォンの側では、パッケージメモリ装置側から送られてくる変調サウンド信号を受信復調して読出データを再生すると共に(ステップ224)、それらの読出データを所定のメモリに格納し(ステップ225)、読出完了応答が受信復調されるのを待って(ステップ226)、通信接続を断って(ステップ227)、処理を終了する。
【0100】
4.パッケージメモリ装置の用途について
スマートフォンとゲーム機との間におけるデータ交換への応用例を示す図が、図9に示されている。本発明に係るパッケージメモリ装置2は、4極フォーンジャックJを有する電子機器である限り、スマートフォンであろうと、いずれの形式の家庭用ゲーム機であろうと、図7及び図8のフローチャートに示されるアプリケーションプログラムを例えばネットからダウンロードして組み込む限り、適用が可能である。そのため、図9(a)〜(b)に示されるように、スマートフォンと家庭用ゲーム機同士、あるいは、家庭用ゲーム機同士の間で、各種のデジタル情報の交換や移植に広く応用が可能である。
【0101】
<無線式カード・リーダ/ライタ装置>
本発明に係るバッテリレス周辺装置の他の実施形態である無線式カード・リーダ/ライタ装置について説明する。
【0102】
1.外観構成について
バッテリレス周辺装置の他の例を示す図が、図5に示されている。同図(b)に示されるように、無線式カード・リーダ/ライタ装置3は、回路部品等が収容されるケース31を有し、電磁波を介して、無線式カード4に対するデータの書込および読出が可能とされている。
【0103】
ケース31には、4極フォーンプラグPがケースから突き出る状態で一体的に固定されている。この4極フォーンプラグPには、その先端部から根元部に向けて、第1のプラグ電極P1と、第2のプラグ電極P3と、第3のプラグ電極P4とが配置されている。
【0104】
4極フォーンプラグPを4極フォーンジャックJにしっかりと差し込むと、第1のプラグ電極P1は第1のジャック電極J1に、第2のプラグ電極P2は第2のジャック電極J2に、第3のプラグ電極P3は第3のジャック電極J3に、第4のプラグ電極P4は第4のジャック電極J1に、それぞれ導通する。
【0105】
2.回路構成について
無線式カード・リーダ/ライタ装置の回路図が、図10に示されている。同図に示されるように、無線式カード・リーダ/ライタ装置3の回路部は、切替部15と周辺機能実現部37とを主体として構成されている。
【0106】
切替部15の構成は、先に図3を参照して説明したものと同様であって、スマートフォン側の4極フォーンジャックJの規格が、CTIA規格かOMPT規格かに拘わらず、高電位側入力端61には所定の高電位(VCC−VBE)が、低電位側入力端62には所定の低電位(GND)が現れる。したがって、今仮に、VCC=2.7V、GND=0Vとすると、周辺機能実現部27の高電位側入力端61と低電位側入力端62との間には、直流電源電圧として機能する電位差1.5V(=2.7−0.6×2)が得られるように構成されている。
【0107】
周辺機能実現部37は、この例にあっては、コンデンサC4とレギュレータ(電圧安定化回路)32とを含む電源生成部と、この電源生成部にて生成された直流電源を受けて動作する高密度集積回路(LSI)であるシステム・オン・チップ(SoC)と、同様に電源生成部にて生成された直流電源を受けて動作が可能であって、無線による読み書きの可能なICメモリを内蔵する公知の無線カード4に対する電磁波を介する読み書きを行うための無線送受信部36とから構成されている。
【0108】
システム・オン・チップ(SoC)は、この例にあっては、入力バッファ33とプロセッサ34と出力バッファ35とを含んで構成されている。
【0109】
入力バッファ33は、第1のプラグ電極P1へと通ずる第1のサウンド信号ライン71と第2のプラグ電極P2へと通ずる第2のサウンド信号ライン72とからなる下り2本のサウンド信号ラインを介して到来する2系統のサウンド信号(変調サウンド信号)を受信するためのものである。
【0110】
出力バッファ35は、第3のプラグ電極P3及び第4のプラグ電極P4に通ずる上り1本のサウンド信号ライン8へと1系統のサウンド信号(変調サウンド信号)を送り出すためのものである。
【0111】
プロセッサ34は、入力バッファ33を介して受信されたサウンド信号の復調処理、復調により取り出された指令の解読実行処理、無線送受信部36を介する無線式カード4に対するデータ書込処理、無線送受信部36を介する無線式カード4からのデータ読出処理、変調されたサウンド信号を出力バッファ25への送出する処理等々を実行するマイクロプロセッサである。なお、プロセッサ24の動作については、図11を参照しつつ、のちに、詳細に説明する。
【0112】
3.スマートフォンと無線式カード・リーダ/ライタ装置とのやりとりについて
スマートフォンとパッケージメモリとのやりとりを示すフローチャートが、図11に示されている。同図において、処理が開始されると、先ず、スマートフォン側では、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれか一方を経由して、無線式カード・リーダ/ライタ装置側へと、接続要求に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ301)。
【0113】
続いて、無線式カード・リーダ/ライタ装置側では、受信復調した接続要求に基づいて所定の準備を行ったのち、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、接続応答に相当する変調サウンド信号を送り出し(ステップ311)、さらに、無線式カード4の接近を待機し(ステップ313)、接近が検出されるのを待って(ステップ314)、無線式カード4との無線交信を行って、一連のデータの読み取りを行う(ステップ315)。続いて、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、一連の読み取りデータに相当する変調サウンド信号を送信する(ステップ316)。
【0114】
続いて、スマートフォン側では、一連の読み取りデータに相当する変調サウンド信号を受信復調することにより、一連の読み取りデータを取得すると共に、それらの読み取りデータに対して所定の書換処理を行ったのち(ステップ304)、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch/Rch)のいずれか一方を経由して、無線式カード・リーダ/ライタ装置側へと、書込要求に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ305)。
【0115】
続いて、スマートフォンの側では、下り2本のサウンド信号ラインに相当するスピーカライン(Lch,Rch)の双方を経由して、無線式カード・リーダ/ライタ装置側へと、一連の書換済みデータに相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ305)。
【0116】
続いて、無線式カード・リーダ/ライタ装置の側では、受信した変調サウンド信号を復調して一連の書換済みデータを再生し(ステップ318)、これらを無線式カード4へと順次に書き込み(ステップ319)、その完了を待って、上り1本のサウンド信号ラインに相当するマイクラインを経由して、スマートフォンへと、書込完了応答に相当する変調サウンド信号を送り出す(ステップ320)。
【0117】
続いて、スマートフォンの側では、受信復調した書込完了応答に基づいて書込完了を確認したのち(ステップ205)、処理を終了する。
【0118】
以上説明した処理によれば、上り2本のサウンド信号ラインであるスピーカライン(Lch,Rch)の双方を経由して、無線式カード・リーダ/ライタ装置側へと、一連の書換済みデータに相当する変調サウンド信号を送り出すことから(ステップ204)、1本のサウンド信号ラインに依存する場合に比べて、伝送速度を約2倍とすることで、実質的な無線カード書換所要時間を大幅に短縮し、書換ミスを低減することができる。
【0119】
<4極フォーンジャックの規格への対応について>
上述した本発明のバッテリレス周辺装置の各実施形態においては、いずれも、CTIA規格とOMPT規格の双方の4極フォーンジャックに対応可能な兼用構成としたが、本発明に係るバッテリレス周辺装置の対応規格はこれに限定されるものではない。
【0120】
1.いずれかの規格専用とする場合
各規格専用対応とする場合の説明図が、図12に示されている。同図(a)に示されるように、CTIA規格対応の専用機とする場合、第3のプラグ電極P3は周辺機能実現部の低電位側入力端62へ、また第4のプラグ電極P4は高電位側入力端61へと導通するように構成すればよい。同図(b)に示されるように、OMPT規格対応の専用機とする場合、第3のプラグ電極P3は周辺機能実現部の高電位側入力端61へ、また第4のプラグ電極P4は低電位側入力端62へと導通するように構成すればよい。
【0121】
2.手動切替により双方の規格に兼用とする場合
両規格手動切替対応とする場合の説明図が、図13に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、手動切替可能な切替部5を有することで、CTIA規格とOMPT規格との双方の4極フォーンジャックに対応可能としている。
【0122】
切替部5は、それぞれa側とb側とに択一的に切替可能な2つの単極双投(SPDT)型接点51,52を有する。それらの接点51,52は、図示しないスライド操作子の動きに連動して、a側とb側とに択一的に接続するように構成される。
【0123】
接点51,52がa側に接続されると、第3のプラグ電極P3は周辺機能実現部の低電位側入力端62へ、また第4のプラグ電極P4は高電位側入力端61へと導通する。逆に、接点51,52がb側に接続されると、第3のプラグ電極P3は周辺機能実現部の高電位側入力端61へ、また第4のプラグ電極P4は低電位側入力端62へと導通する。
【0124】
この手動切替可能な切替部5によれば、主装置側の4極フォーンジャックJの規格に応じて、手動で切り替える手間がかかるものの、ブリッジダイオードにて実現する場合のような電圧降下(VBE)が存在しない分、主装置側から供給されるバイアス電圧(約2.7V)の利用効率が高いという利点がある。
【0125】
<電源生成部の構成について>
上述した各実施形態においては、電源生成部として、コンデンサ(C4)やレギュレータ(22,32)を採用したが、これらに代えて又はこれらとともに、適宜なDC/DCコンバータを含めて、負荷回路の特性に応じた昇圧を行ってもよいことは勿論である。
【0126】
<「4極」の語について>
上述した各実施形態においては、4極フォーンジャックと4極フォーンプラグとを有する例を示したが、本発明の適用は、下り2本のサウンド信号ラインと上り1本のサウンド信号ラインのほかに、さらに、他の任意の専用ラインを有する「5極」や「6極」の構成にもそのまま適用が可能である。したがって、本発明に言う「4極」とは、「少なくとも4つの電極を有する」の意味に解すべきことは言うまでもないことであります。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明によれば、動作に必要な電力をスマートフォンに代表される主装置から受け取りつつも、下り2本のサウンド信号ラインの双方を電力伝送以外の用途に自由に活用すると共に、必要により、上り1本のサウンド信号ラインも活用可能とすることで、より応答性の改善された周辺装置を実現可能とした、4極フォーンジャック付きのバッテリレス周辺装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 点滅ランプ付きイヤフォ−ン装置
2 パッケージメモリ装置
3 無線式カード・リーダ/ライタ装置
4 無線式カード
5 切替部(手動切替式)
11 ケース
12R 右側イヤフォーンコード
12L 左側イヤフォーンコード
13R 右側イヤフォ−ンスピーカ
13L 左側イヤフォ−ンスピーカ
14R 右側のLEDランプ
14R 左側のLEDランプ
15 切替部
16 周辺機能実現部
16A 増幅部
16B 二値・低域化部
16C 昇圧部
21 ケース
22 レギュレータ
23 入力バッファ
24 プロセッサ
25 出力バッファ
26 メモリ
27 周辺機能実現部
31 ケース
32 レギュレータ
33 入力バッファ
34 プロセッサ
35 出力バッファ
36 無線送受信部
37 周辺機能実現部
51 第1の単極双投型接点
52 第2の単極双投型接点
61 高電位側入力端
62 低電位側入力端
71 下りの第1のサウンド信号ライン
72 下りの第2のサウンド信号ライン
73 共通ライン
8 上りのサウンド信号ライン
A1〜A3 アンプ
R01 抵抗
C01 コンデンサ
J 4極フォーンジャック
J1 第1のジャック電極
J2 第2のジャック電極
J3 第3のジャック電極
J4 第4のジャック電極
P 4極プラグ電極
P1 第1のプラグ電極
P2 第2のプラグ電極
P3 第3のプラグ電極
P4 第4のプラグ電極
R1〜R9 抵抗
C1〜C7 コンデンサ
Q1〜Q3 コンデンサ
SoC システム・オン・チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13