特開2017-225206(P2017-225206A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-225206(P2017-225206A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】磁気駆動装置とその製造方法。
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20171124BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20171124BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
   H02K41/03 A
   H02K15/03 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-116858(P2016-116858)
(22)【出願日】2016年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 安信
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳久
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 雅美
【テーマコード(参考)】
5H622
5H633
5H641
【Fターム(参考)】
5H622CA01
5H622CA07
5H622QB10
5H633BB08
5H633BB10
5H633GG02
5H633GG06
5H633GG09
5H633HH03
5H633HH06
5H633HH12
5H633JA03
5H641BB06
5H641BB14
5H641BB19
5H641GG02
5H641GG05
5H641GG08
5H641HH03
5H641JA20
(57)【要約】
【課題】 1個の磁性体ブロックを着磁して、対向する面が同一の磁極となる磁石を形成し、その磁石を組み込んだ磁気駆動装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 磁石1は中実構造であり、コイル対向側面11と、第1の端面13および第2の端面14とで異なる磁極に着磁されている。この磁石1に上部軸6と下部軸7が固定されて可動部5が形成され、コイル3が巻かれた固定部2の中間4内に可動部5が、コイル3の巻き軸Oに沿って移動自在に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、前記コイルの巻き空間内で前記コイルの巻き軸に沿って移動自在な可動部と、前記可動部に設けられた磁石とを有する磁気駆動装置において、
前記磁石は中実であり、前記コイルに対向するコイル対向側面と、前記巻き軸方向に向けられた第1の端面および第2の端面とを有しており、前記コイル対向側面と、前記第1の端面および第2の端面とが逆極性に着磁されていることを特徴とする磁気駆動装置。
【請求項2】
前記磁石は、磁化容易軸が、前記巻き軸と交差する方向へ向けられている請求項1記載の磁気駆動装置。
【請求項3】
前記第1の端面と前記第2の端面のそれぞれから同じ距離を離れた位置での磁束密度は、前記第1の端面が前記第2の端面よりも高い請求項1または2記載の磁気駆動装置。
【請求項4】
前記磁性体ブロックは、粉末状の磁性体が樹脂材料で固定されたボンドブロックである請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気駆動装置。
【請求項5】
コイルと、前記コイルの巻き空間内で前記コイルの巻き軸に沿って移動自在な可動部と、前記可動部に設けられた磁石とを有する磁気駆動装置の製造方法において、
中実であり、前記コイルに対向するコイル対向側面と、前記巻き軸方向に向けられた第1の端面および第2の端面とを有する磁性体ブロックを使用し、
前記コイル対向側面に、間欠的にまたは連続的に側面ヨークを対向させ、前記第1の端面に端面ヨークを対向させ、前記側面ヨークから前記磁性体ブロックに対して、コイル対向側面から中心部に向かう着磁用磁界を与えて、前記コイル対向側面を同じ極性に着磁し、前記第1の端面と前記第2の端面を、前記コイル対向側面と異なる磁極に着磁して前記磁石を形成し、
この磁石を前記可動部に組み込むことを特徴とする磁気駆動装置の製造方法。
【請求項6】
前記側面ヨークは複数設けられて、それぞれの前記側面ヨークの周囲に巻かれた励磁コイルが設けられており、前記端面ヨークは、すべての前記側面ヨークに連続している請求項5記載の磁気駆動装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴を有していない中実の磁石を使用した磁気駆動装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、磁気駆動装置であるリニアアクチュエータに関する発明が記載されている。
【0003】
このリニアアクチュエータは、強磁性材料で形成された可動子軸に複数のリング状の永久磁石が軸方向に組み合わされて固定されている。個々の磁石は半径方向に向けて着磁されているが、隣り合う永久磁石どうしでは内周面と外周面が異なる磁極に着磁されている。外側にはコイルヨークとその内側に位置するコイルが設けられ、前記永久磁石が、コイルの巻き空間内で軸方向へ移動自在となっている。コイルは、永久磁石の数に合わせて複数設けられており、隣り合うコイルは巻き回し方向が互いに逆向きになっている。
【0004】
上記リニアアクチュエータは、永久磁石の製造上のばらつきや周囲の環境の変化にほとんど影響を受けることがなく、推力のばらつきを減らすことができる、というものである。
【0005】
特許文献2に、磁気駆動装置である振動発生装置に関する発明が記載されている。
この振動発生装置には、コイルに対向する振動子が設けられている。振動子はヨークに板状の磁石が固定され、磁石がコイルに対向している。磁石は、主磁極と副磁極とが振動方向に交互に配置されている。主磁極は、振動方向と直交する向きに着磁され、副磁極は振動方向に着磁され、これら磁極がいわゆるハルバッハ配列となっている。
【0006】
この発明は、磁石の磁極をハルバッハ配列とすることで、コイルを横断する磁束密度を高くし、小型で大きな振動量が得られる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−280033号公報
【特許文献2】特開2014−023238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたリニアアクチュエータに使用されている永久磁石は、リング状であるが、磁石の保磁力はその体積に依存するため、リング状の磁石では外形寸法に対して体積が小さくなり、発生する磁束の強度を高くするのに限界が生じる。
【0009】
また、リング状の磁石を半径方向に着磁するためには、通常は、半リング状の磁石を製造して、それを貼り合わせることが必要になり、製造工程が煩雑である。また半リング状の磁石を接合して使用すると、接合ギャップで磁束のロスが発生する欠点もある。
【0010】
特許文献2に記載された振動発生装置に使用されている磁石は、着磁方向の相違する主磁極と副磁極を接合することが必要であるが、隣り合う主磁極と副磁極は、接合面で反発し合うために、接合作業が非常に難しくなる。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、穴を有していない中実の磁石を使用して、発生する磁束密度を高くして、高出力の磁気駆動を行うことができる磁気駆動装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、コイルと、前記コイルの巻き空間内で前記コイルの巻き軸に沿って移動自在な可動部と、前記可動部に設けられた磁石とを有する磁気駆動装置において、
前記磁石は中実であり、前記コイルに対向するコイル対向側面と、前記巻き軸方向に向けられた第1の端面および第2の端面とを有しており、前記コイル対向側面と、前記第1の端面および第2の端面とが逆極性に着磁されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の磁気駆動装置は、前記磁石は、磁化容易軸が、前記巻き軸と交差する方向へ向けられているものが好ましい。
【0014】
本発明の磁気駆動装置は、前記第1の端面と前記第2の端面のそれぞれから同じ距離を離れた位置での磁束密度が、前記第1の端面が前記第2の端面よりも高いことが好ましい。
【0015】
また、本発明の磁気駆動装置では、前記磁性体ブロックは、粉末状の磁性体が樹脂材料で固定されたボンドブロックとして構成できる。
【0016】
さらに、本発明は、コイルと、前記コイルの巻き空間内で前記コイルの巻き軸に沿って移動自在な可動部と、前記可動部に設けられた磁石とを有する磁気駆動装置の製造方法において、
中実であり、前記コイルに対向するコイル対向側面と、前記巻き軸方向に向けられた第1の端面および第2の端面とを有する磁性体ブロックを使用し、
前記コイル対向側面に、間欠的にまたは連続的に側面ヨークを対向させ、前記第1の端面に端面ヨークを対向させ、前記側面ヨークから前記磁性体ブロックに対して、コイル対向側面から中心部に向かう着磁用磁界を与えて、前記コイル対向側面を同じ極性に着磁し、前記第1の端面と前記第2の端面を、前記コイル対向側面と異なる磁極に着磁して前記磁石を形成し、
この磁石を前記可動部に組み込むことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の磁気駆動装置の製造方法は、前記側面ヨークは複数設けられて、それぞれの前記側面ヨークの周囲に巻かれた励磁コイルが設けられており、前記端面ヨークは、すべての前記側面ヨークに連続しているもので実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の磁気駆動装置は、磁化容易軸が一方向へ向けられた磁気異方性を有する磁性体ブロックを着磁するなどして、中実の磁石においてコイル対向側面と、第1の端面および第2の端面とが逆の磁極に着磁された磁石を構成し、この磁石を可動部に組み込んでいる。
【0019】
この磁石は小型でありながら保磁力を高くでき、しかもコイル対向側面からコイルに与えられる磁束密度を高くできるので、磁気駆動装置も小型で出力の大きいものとすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態の磁気駆動装置の外観を示す斜視図、
図2図1に示す磁気駆動装置の断面図、
図3図1に示す磁気駆動装置のコイルと磁石の対向状態を説明する斜視図、
図4図1に示す磁気駆動装置に使用する磁石を着磁する着磁装置の斜視図、
図5図1に示す磁気駆動装置に使用する磁石の着磁工程を示す説明図、
図6】(a)は、図4図5に示す着磁装置の動作説明図、(b)は、着磁用の励磁パルス電圧波形の概念図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図2に、本発明の実施の形態の磁気駆動装置Aが示されている。磁気駆動装置Aはリニアアクチュエータや振動装置として動作する。
【0022】
磁気駆動装置Aは、コイルボビンとなる固定部2にコイル3が巻かれている。固定部2には、コイル3の巻き軸Oに沿って延びる空間4が設けられ、空間4内に可動部5が設けられている。すなわち、可動部5はコイル3の巻き空間内に設けられている。図2に示すように、可動部5は、磁石1と、磁石1の図示上側に固定された上部軸6と、磁石1の図示下側に固定された下部軸7を有している。固定部2に板ばねである支持ばね8が固定されており、下部軸7が支持ばね8に支持されている。前記固定部2と上部軸6および下部軸7は非磁性材料で形成されている。
【0023】
磁石1は、穴を有することなく、また貼り合わせ構造ではない中実の単一部材であり、円柱形状あるいは円板形状である。磁石1は、コイル3に内側から対向する円筒面であるコイル対向側面11と、コイル3の巻き軸Oに沿う方向において互いに平行に対向する第1の端面13および第2の端面14を有している。上部軸6の下部のフランジ部6aが第1の端面13に固定され、下部軸7の上部のフランジ部7aが第2の端面14に固定されている。
【0024】
図2図3に示すように、磁石1は、第1の端面13と第2の端面14が同じ磁極に着磁されており、コイル対向側面11が、第1の端面13および第2の端面14とは、逆極性の磁極に着磁されている。実施の形態では、第1の端面13と第2の端面14がN極あり、コイル対向側面11がS極である。各面の極性は、実施の形態と逆であってもよい。また、磁石1は1つの可動部5に2個設けられていてもよい。
【0025】
図3に示すように、この磁気駆動装置Aでは、磁石1において、第1の端面13からコイル対向側面11に向かう磁束Bがコイル3を横断し、第2の端面14からコイル対向側面11に向かう磁束Bもコイル3を横断する。この磁束Bと、コイル3に流れる電流Caとによる電磁力Fが可動部5に作用し、可動部5がコイル3の巻き軸Oに沿って移動する。
【0026】
この磁気駆動装置Aは、穴を有しておらず、接合されてもいない中実の磁石1を使用しているため、この磁石1を、寸法が比較的小さくても体積を大きくでき保磁力を高くできる。よって、コイル3を横断する磁束密度を高くでき、大きな電磁力Fを発揮することが可能となる。
【0027】
図4ないし図6に磁石1を着磁する工程が示されている。磁気駆動装置Aに使用されている磁石1は、円柱状または円板状の磁性体ブロック10を着磁することで製造される。磁性体ブロック10はボンドブロックであり、着磁された磁石1はボンド磁石である。
【0028】
ボンドブロックは、粉末状の磁性体である磁粉がバインダー樹脂によって固められたものである。磁粉は、Sm−Fe−N系(サマリウム−鉄―窒素系)やNd−Fe−B系(ネオジウム−鉄−ボロン系)である。または複数種の磁粉が混合されて使用されてもよい。バインダー樹脂はPA(ポリアミド樹脂)である。磁性体ブロック10は希土類ブロックと呼ぶことができ、完成後の磁石1は希土類磁石である。
【0029】
磁性体ブロック10は磁気異方性を有しており、磁化容易軸EAが、円柱状または円板状の磁性体ブロック10の中心軸(コイル3の巻き軸Oと一致)と直交する方向へ向けられている。磁性体ブロック10は円柱状または円板状であるため、磁化容易軸EAは直径方向に向けられ放射状に向けられている。磁性体 ブロック10は、磁粉とバインダー樹脂との混合体を金型の内部に射出して成型することができるが、このときに中心軸と直交する磁場中で成形することで、磁化容易軸EAがX方向に向けられた磁気異方性の磁性体ブロック10が形成される。あるいは、バインダー樹脂を混合した磁粉を金型で加圧するいわゆる圧粉成形で磁性体ブロック10を成形することもできる。この場合も、中心軸と直交する磁場中で磁粉をZ方向へ圧縮成形することで、磁化容易軸EAを設定できる。
【0030】
磁性体ブロック10はボンドブロックであり、金型を使用した射出成形などで形成できるため、形状に自由度があり、Z方向の厚さや直径を自由に設定することができる。
【0031】
図4ないし図6に、着磁装置20が示されている。着磁装置20は着磁ヨーク21を有している。着磁ヨーク21はNi−Fe合金(ニッケル−鉄合金)などのような軟磁性材料で形成されている。着磁ヨーク21は、磁性体ブロック10のコイル対向側面11に対向する複数の側面ヨーク21aと、第1の端面13に対向する端面ヨーク21bとが一体に形成されている。図4に示すように、複数の側面ヨーク21aは、磁性体ブロック10のコイル対向側面11の周方向に沿って一定の角度ピッチで配置されている。そして、端面ヨーク21bは全ての側面ヨーク21aと連続しており、端面ヨーク21bと全ての側面ヨーク21aが同じ磁路距離を有している。
【0032】
それぞれの側面ヨーク21aに第1の励磁コイル22aが巻かれ、端面ヨーク21bに第2の励磁コイル22bが巻かれている。図6(a)に示すように、各励磁コイル22a,22bは直列に接続されており、これら励磁コイル22a,22bに駆動回路25が接続されている。
【0033】
図6(a)では、側面ヨーク21aが2個のみ図示されているが、図4に示すように側面ヨーク21aが4個設けられている場合には、4個の第1の励磁コイル22aが直列に接続され、直列の一方の端部に位置する第1の励磁コイル22aと、他方の端部に位置する第1の励磁コイル22aとの間に、第2の励磁コイル22bが直列に接続されて介在する構造となる。
【0034】
駆動回路25は、直流電源26とスイッチ27を有している。スイッチ27はトランジスタなどの能動素子で構成され、所定の周期でON−OFFの切替えがなされる。スイッチ27がONのときに、コンデンサCとチョークコイルLと固定抵抗器Rとで決まる時定数によって、図6(b)に示す波形の駆動電圧が生成され、これが励磁コイル22a,22bに与えられる。図6(b)に示す駆動電圧の半値幅Tは130μs程度である。
【0035】
駆動回路25のスイッチ27がOFFからONに切換えられた瞬間に、図6(b)の電圧波形に基づいて、励磁コイル22a,22bに急激に立ち上がる励磁電流が流れる。この励磁電流により、着磁ヨーク21の内部では、端面ヨーク21bからそれぞれの側面ヨーク21aの間で励磁磁束Φ1が周回する。励磁磁束Φ1が繰り返し与えられることで、図3図4に示すように、磁性体ブロック10のコイル対向側面11がS極に着磁され、第1の端面13と第2の端面14がN極に着磁されて磁石1が完成する。
【0036】
図5に示すように、磁性体ブロック10は、磁気異方性を有し、ブロック全体で磁化容易軸EAが中心軸と直交する向きに設定されており、ブロック全体として中心軸の方向(Z方向)が磁化困難軸方向である。図5図6に示すように、外部から励磁磁界を与えたときに、磁性体ブロック10の内部では、磁化容易軸EA方向に磁化されやすいが、磁化困難軸の方向を磁化するのはきわめて困難である。
【0037】
図5に示すように、複数の側面ヨーク21aから円柱状または円板状の磁性体ブロック10に対して、中心に向く励磁磁界が同時に与えられると、磁性体ブロック10の内部では、コイル対向側面11から中心方向へ磁化されていく。磁性体ブロック10の中心部では、コイル対向側面11から中心に向かう磁場が閉じ込められてカスプ磁場(cusped magnetic field)となる。このとき、端面ヨーク21bも同時に励磁されるため、磁性体ブロック10の中心部のカスプ磁場は端面ヨーク21bの方向へ配向される。
【0038】
このようにして着磁された磁石1は、コイル対向側面11が周面方向のほぼ全面においてS極に着磁され、第1の端面13と第2の端面14がN極に着磁される。ただし、磁性体ブロック10の中心部のカスプ磁場が端面ヨーク21bに吸引されるため、着磁後は、第1の端面13でのN極の磁力が、第2の端面14でのN極の磁力よりも強くなる。すなわち、第1の端面13と前記第2の端面14のそれぞれから同じ距離を離れた位置での磁束密度は、第1の端面13が第2の端面14よりも高くなる。
【0039】
また、磁石1は、磁化容易軸EAが中心軸と直交して放射状に向けられているために、コイル対向側面11を通過する磁束密度を高くでき、小型の磁石1を使用して大きな磁気駆動力を得ることができる。
【0040】
本発明の磁気駆動装置Aの製造方法では、前記工程で着磁した磁石1を可動部5に組み込み、コイル3が巻かれた固定部2の内部に組み込んで、組み立てを完了する。
【0041】
なお、図4などに示す実施の形態では、複数の側面ヨーク21aが、磁性体ブロック10のコイル対向側面11に沿って一定の角度ピッチで配列しているが、側面ヨークは、前記コイル対向側面11に沿って連続的に設けられたリング状ヨークであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 磁石
2 固定部
3 コイル
5 可動部
10 磁性体ブロック
11 コイル対向側面
13 第1の端面
14 第2の端面
20 着磁装置
21 着磁ヨーク
21a 側面ヨーク
21b 端面ヨーク
25 駆動回路
A 磁気駆動装置
EA 磁化容易軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6